会社名 | 株式会社村田製作所 |
業種 | 電気機器 |
従業員数 | 連73165名 単10401名 |
従業員平均年齢 | 39.9歳 |
従業員平均勤続年数 | 13.9年 |
平均年収 | 7606000円 |
1株当たりの純資産 | 383.46円 |
1株当たりの純利益 | 57.06円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 102円 |
配当性向 | 91.1% |
株価収益率(PER) | 49.49倍 |
自己資本利益率(ROE) | 15.1% |
営業活動によるCF | 4896億円 |
投資活動によるCF | ▲2015億円 |
財務活動によるCF | ▲1653億円 |
研究開発費※1 | 887.53億円 |
設備投資額※1 | 2195.31億円 |
販売費および一般管理費※1 | 6752.23億円 |
株主資本比率※2 | 50.9% |
有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針 当社グループは、「独自の製品を供給して文化の発展に貢献する」ことを中核とした社是にもとづく経営を実践しております。また、エレクトロニクス産業のイノベーションを先導していく存在でありたいという思いを込めたスローガン「Innovator in Electronics」を全従業員で共有しています。 今後も真のInnovator in Electronicsとして主体的に価値創造をしていくためには、価値提供の軸を「お客様に対するイノベーション」だけでなく、「社会課題に対するイノベーション」へとその範囲を広げていくことが重要であるという考えのもと、2021年度に当社グループの価値創造プロセスを、新たにサステナビリティの視点を織り込んだシナリオへと進化させました。当社グループが大切な価値観として掲げる「CSとES(Customer Satisfaction(お客様が認めてくださる価値を創造し、提供し続けること)とEmployee Satisfaction(仕事を通じて従業員一人ひとりがやりがいを感じ、成長し続けること))」を原動力に、「先を読む力」、「ニーズをカタチにする力」、「価値を届ける力」という3つのコア・コンピタンスを相互に結びつけて総合力を発揮し、社会価値と経済価値の好循環を生み出すことにより、豊かな社会の実現に貢献していくことをありたい姿として掲げています。 なお、この実現のためには、多様な人材が組織を超えて連携し合い、イノベーションを創出していくことに加え、ステークホルダーとの共創を積極的に進めていくことがこれまで以上に大切であると考えています。今後さらにステークホルダーの皆様との関係を強固なものにし、社会課題の解決に向けて取り組み、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。 「当社グループの価値創造プロセス」 (2) 中長期的な会社の経営戦略 Ⅰ Vision2030(長期構想) 2021年度に当社グループは、新たな長期構想として「Vision2030」、前連結会計年度を初年度とした3か年の取り組み計画である「中期方針2024」を策定いたしました。Vision2030では「ムラタのイノベーションで社会価値と経済価値の好循環を生み出し、豊かな社会の実現に貢献していく」ことをありたい姿として掲げています。さらに、「基盤事業の深化とビジネスモデルの進化」及び「4つの経営変革の実行」を成長戦略として位置づけています。これらをビジョンとして示すことで2030年までの取り組みに一貫性を持たせ、ありたい姿を実現していくことによりお客様や社会にとって当社グループが「最善の選択」であり続けることが、「Global No.1部品メーカー」としてめざす姿でもあります。 「Vision2030ありたい姿」 成長戦略① 基盤事業の深化とビジネスモデルの進化 大きな変化を迎えているエレクトロニクス市場において、当社グループが今後もイノベーターとして価値を生み出していくためには、技術や社会変化の潮流を大局的に捉えた経営が求められます。長期視点で将来を見据えて多様なイノベーションを生み出すために、当社グループでは3層構造のポートフォリオを用いた経営を行い、4つの事業領域を重要な事業機会として位置づけ価値を創出してまいります。 「3層ポートフォリオ」 「4つの事業機会」 成長戦略② 4つの経営変革の実行・経営変革1「社会価値と経済価値の好循環を生み出す経営」 当社グループは、社会に対して提供する価値(社会価値)を向上させ、経済価値との好循環を生み出していくことで、ステークホルダーの皆様に信頼され、選ばれ続ける存在であることを目指しています。これを実現するために、社会課題を起点とした重点課題(マテリアリティ)を定めています。当社グループのマテリアリティへの取り組みの詳細につきましては後掲「当社グループのマテリアリティ」をご参照ください。 ・経営変革2「自律分散型の組織運営の実践」 会社の規模や事業範囲が拡大する中でも、社是が定められた当時と変わらずに社員一人ひとりが日々の仕事において社是を実践し、価値を提供し、成長を続けるために、より自律分散型の組織運営へと変革してまいります。 ・経営変革3「仮説思考にもとづく変化対応型経営」 激化する環境変化の中でも、受け身でなく、将来起こり得ることについて仮説を立てて備え、柔軟に軌道修正を行うことができる変化対応型の事業経営を実践していきます。各機能、各組織が将来の変化に対する情報収集、議論、アクション、モニタリングを継続的に実行することで、変化対応力を強化してまいります。 ・経営変革4「デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」 当社グループではデジタルトランスフォーメーション(DX)を「ムラタ内外の人・組織(業務)を、デジタルで縦横無尽につなぎ、プロセスを短く、早く、かつ見える化を進めることで、飛躍的に顧客価値と競争力の向上をドライブし続けるもの」と定義しています。全社DXの戦略推進組織と実行組織がともに強化領域と基盤領域のあるべき姿の実現に向け、全体的なデジタル推進を加速してまいります。 Ⅱ 中期方針2024 基本方針 長期構想として打ち出したVision2030に向かっていくための第1フェーズとして「中期方針2024」を位置づけています。中期方針2024では、すでに顕在化している課題を解決していくとともに、長期視点で環境変化を捉え、バックキャストをして今から必要な備えを着実に進めていくために、「経営変革の推進」、「ポートフォリオ経営の実践(高度化)」、「筋肉質な経営基盤の形成」、「2030年への備え」の4つを3か年で着実に成果につなげていくべき経営課題として掲げています。 中期経営課題 「経営変革の推進」 「Vision2030(長期構想)」の成長戦略として掲げた4つの経営変革である「社会価値と経済価値の好循環を生み出す経営」、「自律分散型の組織運営の実践」、「仮説思考にもとづく変化対応型経営」、「デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」において、社会課題を起点とした重点課題(マテリアリティ)に対する取り組みに加えて、自律分散型組織を担保していく仕組みとして仮説思考にもとづく事業計画の管理プロセスの高度化を図っております。また、デジタル基盤の構築やデジタルを活用したモノづくり領域の変革及びDX人材の採用や育成を進めております。 「ポートフォリオ経営の実践(高度化)」 「Vision2030(長期構想)」の成長戦略として掲げた「基盤事業の深化とビジネスモデルの進化」を実現するために、前掲の「3層ポートフォリオ」を用いたポートフォリオ経営の高度化を進めてまいります。1層目は、需要の成長に追随した供給力、技術的な限界を破って実現するカッティングエッジの技術力、事業効率の向上の3つをもって業界トップの位置づけを確実にしてまいります。当連結会計年度には、積層セラミックコンデンサの材料の安定供給体制構築のため、石原産業株式会社 ・ 富士チタン工業株式会社・当社で、合弁会社「MFマテリアル株式会社」を設立しました。また、電子機器・車載向けコイル製品の中長期的な需要の増加に対応できる体制の構築を目的として、ベトナムでの新生産棟が竣工しました。また、2層目は、差異化技術の強化を進めることで市場シェアの獲得に努めるとともに、事業の選択と集中などポートフォリオの見直しを行うことで財務体質の改善に努めてまいります。当連結会計年度には、自動運転市場向けで、近距離検知15cmを実現したADAS(先進運転支援システム)向け超音波センサを開発し量産化を実現しました。また、安定供給体制構築のため、Murata Electronics Oy社に加え、金沢村田製作所においてもMEMS慣性力センサの生産能力増強を実行しております。3層目は当社の強みを活かせる領域の探索を進めてまいります。当連結会計年度には、ピエクレックス社において、ピエクレックスを使用したアパレル製品や繊維製品を回収し、農業や林業での利活用を目的とする堆肥化までを、パートナー企業、自治体、福祉施設、学校法人等、多くのステークホルダーと連携・共創し構築した、透明性高い循環インフラ「P-FACTS」(PIECLEX FAbrics Composting Technology Solution)の実証を開始しました。今後とも、多様なイノベーションを用いた経営で、事業や技術の新陳代謝を促すとともに、事業ごとの収益性・効率性・成長性を追求し、お客様、社会に価値を提供し続けるために、4つの事業機会において3層構造のポートフォリオを用いた経営の実践に向けて取り組みを進めてまいります。 「筋肉質な経営基盤の形成」 筋肉質な経営基盤の形成を実現するために、人的資本及び品質基盤の強化に注力してまいります。人的資本については、人材は価値創造の中核であると捉え、「人材の獲得と育成」、「従業員エンゲージメントの向上」、「多様な人材の活躍」の3つの重要課題に対しての取り組みを進め、持続的に価値を創造するための人材基盤と組織力を強化してまいります。当連結会計年度には、次世代リーダー育成プログラムの推進、グローバル組織サーベイの実行及び結果に基づくアクションプランの検討・実行、多様な人材が活躍する職場を目指し、グローバルに他拠点での業務経験ができる機会の積極的な提供に努めてまいりました。また、品質基盤の強化においては、多種多様なビジネスに応じた品質保証・管理体制を構築し、品質視点のリスクマネジメントの実践に取り組んでまいります。当連結会計年度には、ビジネスリスクアセスメントの仕組みの推進など、品質ガバナンスの強化に取り組んでまいりました。今後とも、プロセスの源流から科学的管理を実践することで、すべてのお客様から信頼される品質の追求に努めてまいります。 「2030年への備え」 重要経営リスクの評価を進め必要な備えを確立していくとともに、将来の競争力の源泉となる技術を発掘、育成し、技術を支える知的財産戦略を立案して実行に努めてまいります。具体的には、イノベーションの創出に向けて、6Gの通信規格の普及や環境問題の解決を含む将来の事業機会に備えたインテリジェンス機能の体制の強化及び技術・事業開発を進めております。また、社会や市場、お客様のニーズを適時的確に把握し、価値を提供し続けるために売る力と総合的なオペレーション力(支える力)を強化することに加えて、2030年を見据えたモノづくり体制の構築とともに飛躍的な生産性向上と革新技術の創出、ECM軸の抜本的強化、SCM軸の改善の取り組みにより、お客様に提供する付加価値の向上の実現に努めてまいります。 全社経営指標 ※1 対象はScope1とScope2の合計になります。Scope3の目標値については後掲「(3)当社グループのマテリアリティ」の重点課題「気候変動対策の強化」をご参照ください。※2 持続可能な資源:リサイクルスキームを構築するなどにより、将来にわたって持続的に利用できる「枯渇リスクの低い資源」※3 循環資源化率:当社グループのOutput(排出物)が循環資源としてリサイクルに回されている割合※4 2024年度の目標値は2021年度実績からの改善幅を示しています。※5 日本から海外への出向者を除いた、海外ローカルスタッフを対象 経済価値目標及びキャピタル・アロケーションに対する進捗状況 「経済価値目標」 中期方針2024策定時における2025年3月期の経済価値目標と、最近2連結会計年度における実績は以下のとおりであります。 2025年3月期目標2023年3月期実績(注1)2024年3月期実績売上収益(百万円)2,000,0001,686,7961,640,158営業利益率(%)20%以上17.713.1ROIC(税引前)(%)(注2)20%以上14.410.0 (注)1.当社グループは、当連結会計年度からIFRSを初めて適用しております。そのため、「2023年3月期実 績」についてはIFRSに組み替えて記載しております。 2.ROIC(税引前)= 営業利益 / 期首・期末平均投下資本(有形固定資産・使用権資産・のれん・無形 資産+棚卸資産+営業債権-営業債務) 2024年4月26日に当社が公表した2025年3月期の連結業績予想では、売上収益、営業利益率、ROIC(税引前)の3つの指標において、中期方針2024策定時の「2025年3月期目標」を下回る予想となっております。基盤市場と位置付けるモビリティ市場に関しては、自動車の電動化の進展を事業機会として掴み、前中期方針から売上を成長させることができました。その一方で、スマートフォンやPCといった民生市場においては、新型コロナウイルス感染症の流行時に生じた特需の反動減による電子機器の在庫調整が長期化したことで部品需要が想定より大きく減少しました。そのような中で、当社ではコストダウンや生産性向上の取り組みを進めましたが、部品需要の減少による工場操業度の低下や低収益事業の改善の遅れ等により売上収益と営業利益率が目標を下回る見込みです。また、短期的には部品需要は低迷しておりますが、今後もエレクトロニクス領域の拡大は進展すると予想しており、その備えとして先行投資も継続していきます。その結果、ROIC(税引前)は上述の営業利益率の低下と先行投資による資本回転率の低下により、目標を下回る見込みです。 なお、前連結会計年度と比較した当連結会計年度の実績は、後掲「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおりであります。 「キャピタル・アロケーション」 中期方針2024では、キャピタル・アロケーションを明確化し、長期視点での環境投資や技術獲得、リスク対策、ITインフラ強化などを戦略投資と位置付け、新たに「戦略投資枠」を設定しております。戦略投資の進捗は、最近2連結会計年度の実行済及び実行決裁済案件の累計が533億円となりました。また、株主還元については、最近2連結会計年度の配当金の支払い累計が1,865億円となりました。さらに社債償還については、当連結会計年度に600億円の償還を実行しております。今後も主力事業であるコンポーネント、デバイス・モジュールへ投資を継続し、着実なキャッシュ創出を目指していくとともに、強固な財務基盤を維持しながら、株主還元を拡大することでステークホルダーの皆様の期待に応えてまいります。 社会価値目標に対する進捗状況 「社会価値①:環境」 ・「温室効果ガス排出量(2019年度比)」及び「再生可能エネルギー導入比率」の目標達成に向けた取り組みを進めております。詳細については、後掲「当社グループのマテリアリティ」の重点課題「気候変動対策の強化」をご参照ください。 ・「持続可能な資源利用率」及び「循環資源化率」の目標達成に向けた取り組みを進めております。詳細については、後掲「当社グループのマテリアリティ」の重点課題「持続可能な資源利用」をご参照ください。 「社会価値②:多様性」 ・「海外間接部門従業員の他拠点での勤務経験比率」の目標達成に向けた取り組みを進めております。詳細については、後掲「当社グループのマテリアリティ」の重点課題「人権と多様性の尊重」をご参照ください。 「社会価値③:ES」 ・当連結会計年度に国内外全拠点の約73,000人の全従業員を対象としたグローバルサーベイを実施し、回答率96%、「従業員エンゲージメント肯定回答比率」66%で前回2021年度比2ポイント下落の結果となりました。翌連結会計年度から、グローバルサーベイの実施頻度を1回/2年から1回/年に変更することで、より短いサイクルで活動を確認・促進し、「従業員エンゲージメント肯定回答比率」の目標達成に向けた取り組みを進めてまいります。 ・2023年4月に国内外の各拠点・各組織における好事例を全社に共有する事例共有会を実施し、1,400名以上がリアルタイムで視聴しました。また、動画データや日・英の多言語対応した発表資料を全従業員へ配信しました。 ・従業員向け研修(役員主催研修・階層教育・理念教育など)や社内のポータルサイトを通じた経営層と従業員の対話促進に取り組みました。 ・組織風土変革活動の推進を目的として、部門長向けのワークショップやリーダーシップ開発の研修を実施しました。 ・エンゲージメント向上のために注力すべき属性である中途・シニア・製造に対し、各々の課題に合わせた取組みを実施しました。 (3) 当社グループのマテリアリティ 当社グループは、社会課題を起点とした重点課題(マテリアリティ)を定め、「事業を通じた社会課題解決への貢献」と「企業活動全体での社会課題への取り組み」に分け取り組みを進めております。 「事業を通じた社会課題解決への貢献」・4つの事業機会(通信、モビリティ、環境、ウェルネス)における社会課題解決の方向性をマテリアリティとして設定しております。・ムラタだからこそ実現できるイノベーションを創出し、事業を通じた社会課題解決への貢献を目指します。 「企業活動全体での社会課題への取り組み」・E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)領域に対して9つのマテリアリティを設定しております。・地球環境、地域社会への負荷の最小化を通じた社会価値の向上を目指します。具体的には以下の中長期目標を設定し、取り組みを進めております。重点領域重点課題長期目標中期目標(2022年度~2024年度)2023年度取り組み実績E気候変動対策の強化2050年度目標再生可能エネルギー導入比率:100% 2030年度目標温室効果ガス排出量(Scope1+2):2019年度比46%減(87万t-CO2e以下)温室効果ガス排出量(Scope3):2019年度比27.5%減(325万t-CO2以下)再生可能エネルギー導入比率:50%温室効果ガス排出量(Scope1+2):2019年度比20%減(128万t-CO2e以下)再生可能エネルギー導入比率:25%・省エネ・再エネ・証書の購入等の施策を実施し、2023年度の温室効果ガス排出量(Scope1+2)は105万t-CO2e※1(2019年度比35%減)、再エネ導入率は36%※1となり、それぞれ1年前倒しで2024年度の中期目標を達成しました。<ご参考>2023年度のScope3排出量は386万t-CO2※1です。・レノバと、同社が開発する追加性のある太陽光発電所を活用したバーチャルPPAによる環境価値売買契約(年間発電量予測:約100GWh)を締結し、運用を開始しました。・高品質のカーボンクレジット創出を目的として、Appleが主導するRestore Fund(再生基金)へ出資することを決定しました。・バリューチェーン上流のCO2の削減に向け、国内仕入先様を対象にした取り組み方針説明会・主要仕入先様へのヒアリングを実施し、その中でScope3算定のための1次データ比率の提供もお願いしました。また、モーダルシフトのトライアルを実施しました。・国際的な環境非営利団体CDPによる2023年度の調査で、気候変動の分野で最高評価であるAリスト企業に選定されました。持続可能な資源利用2050年度目標持続可能な資源利用率※2:100%循環資源化率※3:100% 2030年度目標持続可能な資源利用率:25%循環資源化率:50%持続可能な資源利用率:2021年度実績から1%改善循環資源化率:2021年度実績から5%改善・実態調査を進め、基準年度となる2021年度の持続可能な資源利用率は約15%※4、循環資源化率は36%であることを把握しました。・樹脂多層基板に使用する内層銅箔材料が、ISO14021に準拠したリサイクル100%品であることを第三者機関に検証いただき、信頼性を確保しました。・原料から使用・廃棄まで、業界を超えた連携によるプラスチックの循環スキーム構築を目指しているアールプラスジャパンへ出資を決定しました。・日本国内の倉庫で発生する、製品表示ラベルを出力・貼付した後に残るラベル台紙のリサイクルを開始しました。 重点領域重点課題長期目標中期目標(2022年度~2024年度)2023年度取り組み実績E公害防止と化学物質管理2030年度目標重大な環境インシデント※5件数:0件VOC排出量:2021年度比30%減重大な環境インシデント件数:0件VOC排出量:2021年度排出量以下洗浄用途化学品への特定VOC含有を廃止していること。・2023年度は、重大な環境インシデントが4件発生しましたが、いずれのインシデントについても再発防止策を講じました。また、重大な環境インシデントの発生リスクを低減するために、リスクアセスメント手法を見直し、運用を開始しました。・VOC排出量削減にむけて、2024年度目標を達成する施策とスケジュールを策定し、取り組みを開始しました。・洗浄用途化学品への対象VOC含有の廃止にむけた施策とスケジュールを策定し、取り組みを開始しました。S安全・安心な職場と健康経営2030年度目標死亡重大災害がなく、従業員が怪我をせず、事故もなく、いきいきと働けている職場にすること。死亡重大災害:0件労働災害千人率※6:1.0未満発火事故件数:0件主観的健康観:80%(内、非常に健康と回答20%)死亡重大災害:0件労働災害千人率:1.35未満発火事故件数:2019年度-2021年度平均比30%減主観的健康観:80%(内、非常に健康と回答14%)・2023年度は死亡重大災害が0件、労働災害千人率:1.28となりました。・労災情報の展開や担当者会議の開催、リスク抽出の網羅性を高めた新リスクアセスメントの導入開始等を通じて、労働災害の低減に取り組みました。・2023年度の発火事故件数は2019年度-2021年度平均比30%減となりました。発火事故の原因を分析し、再発防止策を立案実施しました。・2023年度の主観的健康観は77%となりました。健康経営プランに基づく取り組み事例の共有や担当者による相互相談会を実施しました。人権と多様性の尊重2030年度目標:海外間接部門従業員※7の他拠点での勤務経験比率:10%女性管理職比率:10%(提出会社)海外間接部門従業員の他拠点での勤務経験比率:7%女性管理職比率:4%(提出会社)人権マネジメントシステムに沿ったPDCAサイクルを各事業所で展開していること。・2023年度の海外間接部門従業員の他拠点での勤務経験比率は6.2%となりました。グローバルに他拠点で業務経験ができる機会を積極的に提供しました。・2023年度の提出会社における女性管理職比率は4.0%となり、1年前倒しで2024年度の中期目標を達成しました。・当社グループにおける労働人権の遵守体制を構築するために、人権マネジメントシステムに沿った運用を国内外事業所で実施しました。・CSR統括委員会の下部委員会「人権委員会」を主体とし、当社グループの工場・仕入先を含むサプライチェーンでの人権デュー・ディリジェンスを遂行しました。 重点領域重点課題長期目標中期目標(2022年度~2024年度)2023年度取り組み実績S地域社会との共生2030年度目標地域の皆様とのコミュニケーションを大切にし、地域課題の解決につながる貢献活動を推進すること。地域の皆様とのコミュニケーションを大切にし、地域課題の解決につながる貢献活動を推進すること。・社会・地域貢献活動ガイドラインに沿って、当社グループが所在する地域に与える影響や地域の課題・ニーズを把握し、主体的に貢献活動を計画・実施しました。・当社の取り組みや考え方を継続的に情報発信しました。・2019年より地域の各教育機関等と連携し、子どもたち自身での問題解決を通して、プログラミング的思考や論理的思考を身に付ける出前授業として、体験型プログラミング教育「動け!!せんせいロボット」を実施しています。2023年度は20校、828名の児童が受講しました。・福井村田製作所(福井県)や出雲村田製作所(島根県)では行政との対話を通じ、日系ブラジル人の子どもたちが多く在籍する小中学校へ、日本語指導の支援やコミュニケーションの向上を目的に、通訳者を派遣しました。G公正な商取引2030年度目標:<独占禁止法>法令・社内規定・手続きをグローバルで浸透・徹底していること。<贈収賄>すべての関係会社において、グループポリシーに準拠した贈収賄防止マネジメントシステムを確立し、贈収賄・汚職の発生件数ゼロを維持していること。<独占禁止法>法令・社内規定・手続きをグローバルで浸透・徹底していること。<贈収賄>腐敗度指数の高い地域においてグループポリシーに準拠した贈収賄防止マネジメントシステムが機能し、本社への報告体制を構築していること。<独占禁止法>・独占禁止法違反防止に関する社内規定及び手続きを適切に運用するため、グローバルで当該社内規定及び手続きの社内周知などを強化しました。・国内外で実践的なカルテル防止教育を実施しました。<贈収賄>・贈収賄マネジメントシステムの展開を進めました。・従業員の理解を向上させるため、贈収賄に関する従業員教育の充実に取り組みました。事業継続の取り組み(BCM)2030年度目標災害が発生した際に、非被災拠点が迅速に連携して、当社グループ全体としての事業継続を図れるような全社的なBCM※8を構築していること。各事業所・工場が定期的に訓練等を通じてBCPの有効性の検証・改善を行うなど、自律的なBCM活動を実践していること。甚大な被害が想定される南海トラフ地震に対する対策を実施していること。国内事業所・工場において必要項目を充足したBCPを整備していること。海外事業所・工場において、当地で想定される災害に対応したBCPを策定すること。・国内において、各事業所・工場で想定される自然災害及びインフラ状況等を確認の上、BCP整備を進めました。・海外において、各国の自然災害リスク等を考慮の上、BCPの改定を進めました。情報セキュリティ2030年度目標重大な影響が生じ得ると判断される事案数:0件従業員教育実施率※9:100%重大な影響が生じ得ると判断される事案数:0件従業員教育実施率:100%・重大な影響が生じ得ると判断される事案は0件でした。・従業員教育実施率は100%でした。 ※1 2024年6月時点の暫定値※2 リサイクルスキームを構築するなどにより、将来にわたって持続的に利用できる「枯渇リスクの低い資源」が使用されている割合(枯渇する可能性のある資源:AgやNiなど)※3 当社グループのoutput(排出物)が循環資源としてリサイクルに回されている割合※4 持続可能な資源利用率の算出においてはリサイクル率の一般公開情報を活用しているため推定値※5 化学物質の敷地外への流出により、環境法規制値超過または地域住民に不安を与えた事故(当社では公害防止に真摯に取り組むため、行政処分・指導の対象外の事故も計上の対象としている)※6 不休業災害もカウントした当社独自の基準※7 日本から海外への出向者を除いた、海外ローカルスタッフ対象※8 BCP策定や維持・更新、事業継続を実現するための予算・資源の確保、事前対策の実施、取り組みを浸透させるための教育・訓練の実施、点検、継続的な改善などを行う平常時からのマネジメント活動※9 実施率=実施拠点数/全拠点数 |
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1)経営成績 ①経営成績の概要当連結会計年度の世界の経済情勢は、世界的な金融引き締めの継続が景気の下押し要因となっているほか、地政学リスクの高まりもあり、先行き不透明な状況が続いています。米国では、金融の引き締め環境のなかでも賃金上昇に加え、予想を下回る失業率を背景とした堅調な個人消費に支えられ景気は底堅く推移しています。欧州では、物価高や金融引き締めによって低調な消費マインドが継続しているほか、海外経済の停滞により輸出も落ち込んでおり、景気の低迷が続いています。中国では、景気刺激策や春節の影響もあり消費に持ち直しの動きがみられましたが、不動産市況の落ち込みの継続や輸出の弱さが景気の下押し要因となり、景気の停滞感が続いています。当社グループが属するエレクトロニクス市場の部品需要は、半導体不足の緩和による自動車生産台数の回復もありモビリティ向けが増加したほか、スマートフォン市場において部品在庫調整からの回復が見られました。一方で、各国での物価上昇による最終消費の落ち込みにより、PCやAV機器、パワーツール向けなどの用途で減少しました。そのような中、当連結会計年度の売上収益は、高周波モジュールがスマートフォン向けで増加したほか、コンデンサがモビリティやスマートフォン向けで増加しました。一方で、リチウムイオン二次電池がパワーツール向けで減少したことに加え、コネクティビティモジュールがスマートフォンやPC向けで減少しました。その結果、為替変動(前連結会計年度比9円14銭の円安)の影響はありましたが、前連結会計年度比2.8%減の1,640,158百万円となりました。利益につきましては、円安効果やコストダウン、固定費の減少などの増益要因はありましたが、操業度の低下や製品価格の値下がり、円筒形リチウムイオン二次電池の設備等に係る減損損失の計上といった減益要因により、営業利益は前連結会計年度比27.8%減の215,447百万円、税引前当期利益は同20.9%減の239,404百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同25.9%減の180,838百万円となりました。当連結会計年度のROIC(Return On Invested Capital)(税引前)は円筒形リチウムイオン二次電池の設備等に係る減損損失の計上による営業利益率の低下に加え、将来の市場成長を見据えて先行投資を実施したことに伴い、有形固定資産が増加したことによって使用資本回転率が低下し、前連結会計年度比4.4ポイント減の10.0%となりました。 前連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)増 減金額(百万円)百分比(%)金額(百万円)百分比(%)金額(百万円)増減率(%)売上収益1,686,796100.01,640,158100.0△46,638△2.8営業利益298,23117.7215,44713.1△82,784△27.8税引前当期利益302,68317.9239,40414.6△63,279△20.9親会社の所有者に帰属する当期利益243,94614.5180,83811.0△63,108△25.9ROIC(税引前) (%)14.4-10.0-△4.4-対米ドル平均為替レート(円)135.48-144.62-9.14-(注)ROIC(税引前)= 営業利益 / 期首・期末平均投下資本(有形固定資産・使用権資産・のれん・ 無形資産+棚卸資産+営業債権-営業債務)(参考)事業別セグメントROIC(税引前) コンポーネント 2023年3月期 24.6% 2024年3月期 19.0% デバイス・モジュール 2023年3月期 2.3% 2024年3月期 △ 1.5% 事業別セグメントについては、コンポーネントは売上収益が942,512百万円(前連結会計年度比2.0%増)で営業利益が234,181百万円(同17.0%減)、デバイス・モジュールは売上収益が695,251百万円(同8.6%減)で営業損失12,999百万円(前連結会計年度は営業利益20,181百万円)、その他は売上収益が67,506百万円(同9.5%減)で営業損失5,735百万円(前連結会計年度は営業損失4,213百万円)となりました。 ②製品又は事業別の売上収益概況当連結会計年度の製品又は事業別の売上収益を前連結会計年度と比較した概況は、以下のとおりであります。 〔コンデンサ〕この区分には、積層セラミックコンデンサなどが含まれます。当連結会計年度は、積層セラミックコンデンサが産業機器やAV機器向けで減少しましたが、モビリティやスマートフォン向けで増加しました。その結果、コンデンサの売上収益は前連結会計年度に比べ2.0%増の753,520百万円となりました。 〔インダクタ・EMIフィルタ〕この区分には、インダクタ、EMI除去フィルタが含まれます。当連結会計年度は、インダクタがスマートフォンやモビリティ向けで増加しました。その結果、インダクタ・EMIフィルタの売上収益は前連結会計年度に比べ2.8%増の180,251百万円となりました。 〔高周波・通信〕この区分には、コネクティビティモジュール、樹脂多層基板、高周波モジュール、表面波フィルタなどが含まれます。当連結会計年度は、高周波モジュール、表面波フィルタ、樹脂多層基板がスマートフォン向けで増加しましたが、コネクティビティモジュールがスマートフォンやPC向けで減少しました。その結果、高周波・通信の売上収益は前連結会計年度に比べ3.0%減の440,142百万円となりました。 〔エナジー・パワー〕この区分には、リチウムイオン二次電池、電源モジュールが含まれます。当連結会計年度は、リチウムイオン二次電池がパワーツール向けで減少しました。その結果、エナジー・パワーの売上収益は前連結会計年度に比べ23.4%減の164,393百万円となりました。 〔機能デバイス〕この区分には、センサ、タイミングデバイスなどが含まれます。当連結会計年度は、センサがモビリティ向けで増加しましたが、センサやタイミングデバイスが産業機器やコンピュータ向けで減少しました。その結果、機能デバイスの売上収益は前連結会計年度に比べ2.2%減の90,701百万円となりました。 ③用途別の売上収益概況当連結会計年度の用途別の売上収益を前連結会計年度と比較した概況は、以下のとおりであります。 〔通信〕当連結会計年度はスマートフォン向けではコネクティビティモジュールが減少しましたが、高周波モジュール、積層セラミックコンデンサ、表面波フィルタが増加しました。その結果、通信用途の売上収益は前連結会計年度に比べ2.6%増の676,546百万円となりました。 〔モビリティ〕当連結会計年度は、自動車の生産台数の増加や電動化・電装化への対応により、積層セラミックコンデンサ、インダクタ、センサが増加しました。その結果、モビリティ用途の売上収益は前連結会計年度に比べ10.9%増の432,658百万円となりました。 〔コンピュータ〕当連結会計年度は、PC向けでコネクティビティモジュールが減少しました。その結果、コンピュータ用途の売上収益は前連結会計年度に比べ9.6%減の203,075百万円となりました。 〔家電〕当連結会計年度は、パワーツール向けでリチウムイオン二次電池が減少したほか、AV機器向けで積層セラミックコンデンサが減少しました。その結果、家電用途の売上収益は前連結会計年度に比べ25.0%減の148,450百万円となりました。〔産業・その他〕当連結会計年度は、産業機器や代理店向けで積層セラミックコンデンサが減少しました。その結果、産業・その他用途の売上収益は前連結会計年度に比べ16.5%減の179,429百万円となりました。 ④生産、受注及び販売の実績イ)生産実績 当連結会計年度のセグメント別の生産実績は、下表のとおりであります。 生産実績(2023年4月1日~2024年3月31日)金額(百万円)構成比(%)前連結会計 年度比(%) コンデンサ695,49646.1△12.3 インダクタ・EMIフィルタ166,43911.0△7.7 コンポーネント861,93557.1△11.5 高周波・通信415,19127.5△9.4 エナジー・パワー131,9438.7△46.0 機能デバイス88,6325.9△7.2 デバイス・モジュール635,76642.1△20.3 その他12,0170.83.6 計1,509,718100.0△15.3 (注)1.金額は、販売価格で表示しております。 2.エナジー・パワーの「生産実績」は、パワーツール向けでリチウムイオン二次電池の需要が減少したことに より、前連結会計年度比で大幅な減少となりました。3.以下のセグメント別諸表については、主たる事業である電子部品並びにその関連製品の生産、受注及び販売の実績を記載しております。 ロ)受注実績 当連結会計年度のセグメント別の受注高及び受注残高は、下表のとおりであります。 受注高(2023年4月1日~2024年3月31日)受注残高(2024年3月31日現在)金額(百万円)構成比(%)前連結会計年度比(%)金額(百万円)構成比(%)前連結会計年度末比(%) コンデンサ758,82047.117.5141,16845.53.9 インダクタ・EMIフィルタ181,01011.215.329,6829.62.6 コンポーネント939,83058.317.0170,85055.13.7 高周波・通信423,94026.31.654,00317.4△23.1 エナジー・パワー148,9169.3△20.761,91120.0△20.0 機能デバイス86,9155.4△1.217,9985.8△17.4 デバイス・モジュール659,77141.0△4.8133,91243.2△20.9 その他10,9460.728.55,3851.7△3.7 計1,610,547100.07.0310,147100.0△8.7 (注)金額は、販売価格で表示しております。 ハ)販売実績 当連結会計年度のセグメント別の販売実績は、下表のとおりであります。 販売実績(2023年4月1日~2024年3月31日)金額(百万円)構成比(%)前連結会計年度比(%) コンデンサ753,52046.02.0 インダクタ・EMIフィルタ180,25111.02.8 コンポーネント933,77157.02.1 高周波・通信440,14226.8△3.0 エナジー・パワー164,39310.0△23.4 機能デバイス90,7015.5△2.2 デバイス・モジュール695,23642.3△8.6 その他11,1510.7△4.3 計1,640,158100.0△2.8 ニ)用途別販売実績 当連結会計年度の用途別の販売実績は、下表のとおりであります。 販売実績(2023年4月1日~2024年3月31日)金額(百万円)構成比(%)前連結会計年度比(%) 通信676,54641.22.6 モビリティ432,65826.410.9 コンピュータ203,07512.4△9.6 家電148,4509.1△25.0 産業・その他179,42910.9△16.5 計1,640,158100.0△2.8 (注)当社推計値に基づいております。 ホ)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合相手先前連結会計年度(自 2022年4月1日至 2023年3月31日)当連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)Hon Hai Technology Group206,30212.2166,54110.2 (2)財政状態 当連結会計年度末の資産合計は、棚卸資産が減少しましたが、現金及び現金同等物や有形固定資産、営業債権が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ179,592百万円増加し、3,037,895百万円となりました。 負債合計は、未払法人所得税やリース負債が増加しましたが、社債及び借入金やその他の金融負債が減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ16,075百万円減少し、482,286百万円となりました。 資本合計は、その他の資本の構成要素や利益剰余金が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ195,667百万円増加し、2,555,609百万円となりました。親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末に比べ1.5ポイント上昇の84.1%となりました。 (3)キャッシュ・フロー ①キャッシュ・フローの状況<営業活動によるキャッシュ・フロー> 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、489,637百万円のキャッシュ・イン(前連結会計年度比211,996百万円の収入増加)となりました。 これは、キャッシュ・フローの源泉となる当期利益が180,336百万円、減価償却費及び償却費が175,873百万円、棚卸資産の減少が83,451百万円となったことなどによるものです。 <投資活動によるキャッシュ・フロー> 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、201,571百万円のキャッシュ・アウト(前連結会計年度比50,155百万円の支出増加)となりました。 これは、投資の売却及び償還による収入が16,700百万円となった一方、生産能力増強や生産棟の建設を中心とした有形固定資産の取得による支出が228,626百万円となったことなどによるものです。 <財務活動によるキャッシュ・フロー> 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、165,321百万円のキャッシュ・アウト(前連結会計年度比16,950百万円の支出減少)となりました。 これは、配当金の支払額が94,460百万円、社債の償還による支出が60,000百万円となったことなどによるものです。 ②資本の財源及び資金の流動性イ)財務戦略と経営資源の配分に関する考え方 当社グループは、健全な財務体質と高い資本効率を両立することを目指し、市場環境・競争環境に応じた最適な経営資源配分を行ってまいります。 財務体質については、事業環境の変化に機敏に対応し、持続的な利益成長を達成するとともに、厳しい環境下においても経営の安定を維持し、金融市場の市況悪化等のリスクへ備えるため自己資本の充実に努めております。また、信用格付は「AA+(信用力は極めて高く、優れた要素がある)」(格付投資情報センターによる)を取得し、資金調達が必要な場合に円滑かつ低コストの調達を可能としております。 経営資源の配分につきましては、「中期方針2024」に記載のキャピタル・アロケーション方針に基づき、資本効率と成長性を重視した投資と株主還元を行ってまいります。 資本効率については、継続的な資本効率の改善を目的としてROIC(税引前)20%以上を目標値として設定しております。また、資本コストを投資の意思決定と事業評価に反映しており、税引後ベースの比較においても安定的にROICが資本コストを上回る構造を維持しております。なお、当連結会計年度末における当社グループの資本コスト(WACC)は8.4%(当社推計値)となっております。 株主還元については、長期的な企業価値の拡大と企業体質の強化を図りながら、1株当たり利益を増加させることにより、配当の安定的な増加に努めることを基本方針とし、中期的に配当性向30%程度を目安にDOE(株主資本配当率)4%以上を実現することといたします。また、自己株式の取得につきましても株主還元の手段として、資本効率の改善等を目的として適宜実施することといたします。 ロ)資金調達と手許流動性 当社グループは、設備投資及びその他の事業資金については、自らの事業活動により獲得した内部資金で対応することを基本方針としておりますが、事業の成長に向けた投資や運転資金のために資金需要が生ずる場合には、時々の金融市場の状況を踏まえた適切な手段により外部から調達することとしており、銀行からの借入及び国内普通社債発行による資金調達を適宜実施しております。健全な財務体質を維持し、また主要な取引先金融機関と良好な関係を構築しており、今後の事業資金の調達に関して問題はないと認識しております。 完全子会社の資金需要に対しては、原則として銀行など外部からの資金調達を行わず、当社及び関係会社からのグループファイナンスにより対応しており、資金調達の一元化と資金効率の向上を図っております。 また、当社グループは、事業活動による資金需要への機動的な対応と金融市場の市況悪化等のリスクを最小限に抑えるため、月平均売上収益2.5か月~3.5か月を必要な資金流動性の水準としております。事業の状況によりこの水準を一時的に超過する場合もありますが、キャピタル・アロケーション方針に基づく資源配分へ資金の充当を進めることにより適正化を図ってまいります。当連結会計年度における現金及び預金、短期投資、有価証券の流動性資金の残高は628,341百万円となり月平均売上収益4.6か月となっております。事業投資の原資として手許資金を保有しているため、投機目的の運用は行わず、信用リスクが小さいと考えられる銀行への預金など、安全性の高い金融商品に分散して資金を保有しております。なお、当連結会計年度における社債及び借入金等の有利子負債の残高は52,836百万円となっております。また、当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は622,007百万円となっております。 (4)重要性がある会計方針及び見積り 当社グループでは、2024年3月31日に終了する連結会計年度よりIFRSを初めて適用しております。当連結会計年度において、当社グループにおいて重要性があると認識している会計方針及び見積りは、連結財務諸表注記の「3.重要性がある会計方針」及び「4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。 |
※本記事は「株式会社村田製作所」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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