会社名 | 株式会社村田製作所 |
業種 | 電気機器 |
従業員数 | 連72572名 単10865名 |
従業員平均年齢 | 40.1歳 |
従業員平均勤続年数 | 14.1年 |
平均年収 | 8031000円 |
1株当たりの純資産 | 409.33円 |
1株当たりの純利益(連結) | 125.08円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 57円 |
配当性向 | 48.1% |
株価収益率(PER) | 19.45倍 |
自己資本利益率(ROE)(単体) | 29.8% |
営業活動によるCF | 4519億円 |
投資活動によるCF | ▲2080億円 |
財務活動によるCF | ▲2427億円 |
研究開発費※1 | 920.55億円 |
設備投資額※1 | 1804.71億円 |
販売費および一般管理費※1 | 4276.14億円 |
株主資本比率※2 | 52.3% |
有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針 当社グループは、「独自の製品を供給して文化の発展に貢献する」ことを中核とした社是にもとづく経営を実践しております。また、エレクトロニクス産業のイノベーションを先導していく存在でありたいという思いを込めたスローガン「Innovator in Electronics」を全従業員で共有しています。 今後も真のInnovator in Electronicsとして主体的に価値創造をしていくためには、価値提供の軸を「お客様に対するイノベーション」だけでなく、「社会課題に対するイノベーション」へとその範囲を広げていくことが重要であると考えております。当社グループが大切な価値観として掲げる「CS(Customer Satisfaction=お客様が認めてくださる価値を創造し、提供し続けること)とES(Employee Satisfaction=仕事を通じて従業員一人ひとりがやりがいを感じ、成長し続けること)」を原動力に、「先を読む力」、「ニーズをカタチにする力」、「価値を届ける力」という3つのコア・コンピタンスを相互に結びつけて総合力を発揮し、社会価値と経済価値の好循環を生み出すことにより、豊かな社会の実現に貢献していくことをありたい姿として掲げています。 なお、この実現のためには、多様な人材が組織を超えて連携し合い、イノベーションを創出していくことに加え、ステークホルダーとの共創を積極的に進めていくことがこれまで以上に大切であると考えています。今後さらにステークホルダーの皆様との関係を強固なものにし、社会課題の解決に向けて取り組み、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。 「当社グループの価値創造プロセス」当連結会計年度に当社グループは、価値創造の源泉である経営資本の再整理を行うとともに、「CSとESによる総合力」をコンピタンスの中心に据えるなど、価値創造プロセスの見直しを行っております。 (2) 中長期的な会社の経営戦略 Ⅰ Vision2030(長期構想) 当社グループは2021年度に、長期構想「Vision2030」を策定いたしました。 Vision2030では「ムラタのイノベーションで社会価値と経済価値の好循環を生み出し、豊かな社会の実現に貢献していく」ことをありたい姿として掲げています。さらに、「基盤事業の深化とビジネスモデルの進化」及び「4つの経営変革の実行」を成長戦略として位置づけています。これらをビジョンとして示すことで2030年までの取り組みに一貫性を持たせ、ありたい姿を実現していくことによりお客様や社会にとって当社グループが「最善の選択」であり続けることが、「Global No.1部品メーカー」としてめざす姿でもあります。 「Vision2030ありたい姿」 成長戦略① 基盤事業の深化とビジネスモデルの進化 大きな変化を迎えているエレクトロニクス市場において、当社グループが今後もイノベーターとして価値を生み出していくためには、技術や社会変化の潮流を大局的に捉えた経営が求められます。長期視点で将来を見据えて多様なイノベーションを生み出すために、当社グループでは3層構造のポートフォリオを用いた経営を行い、5つの事業領域を重要な事業機会として位置づけ価値を創出してまいります。 「3層ポートフォリオ」 「5つの事業機会」 当連結会計年度に策定した「中期方針2027」では、事業機会を従来の4つから5つへ変更しております。当社グループの基盤領域である「通信」領域を「エッジデバイス」と「ITインフラ」の2つに捉えなおすことで、AIやクラウドなどの技術革新により創出される事業機会をより具体化いたしました。これら5つの事業機会を捉えることにより、価値を創出していくことを目指してまいります。 成長戦略② 4つの経営変革の実行 ・経営変革1「社会価値と経済価値の好循環を生み出す経営」 当社グループは、社会に対して提供する価値(社会価値)を向上させ、経済価値との好循環を生み出していくことで、ステークホルダーの皆様に信頼され、選ばれ続ける存在であることを目指しています。これを実現するために、社会課題を起点とした重点課題(マテリアリティ)を定めています。 ・経営変革2「自律分散型の組織運営の実践」 会社の規模や事業範囲が拡大する中でも、社是が定められた当時と変わらずに社員一人ひとりが日々の仕事において社是を実践し、価値を提供し、成長を続けるために、より自律分散型の組織運営へと変革してまいります。 ・経営変革3「仮説思考にもとづく変化対応型経営」 激化する環境変化の中でも、受け身でなく、将来起こり得ることについて仮説を立てて備え、柔軟に軌道修正を行うことができる変化対応型の事業経営を実践していきます。各機能、各組織が将来の変化に対する情報収集、議論、アクション、モニタリングを継続的に実行することで、変化対応力を強化してまいります。 ・経営変革4「デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」 当社グループではデジタルトランスフォーメーション(DX)を「ムラタ内外の人・組織(業務)を、デジタルで縦横無尽につなぎ、プロセスを短く、早く、かつ見える化を進めることで、飛躍的に顧客価値と競争力の向上をドライブし続けるもの」と定義しています。全社DXの戦略推進組織と実行組織がともに強化領域と基盤領域のあるべき姿の実現に向け、全体的なデジタル推進を加速してまいります。 Ⅱ 中期方針2027 中期方針2024の振り返り 当社グループは2021年度に、Vision2030のありたい姿に向かっていくための第1フェーズとして「中期方針2024」(2023年3月期~2025年3月期)を策定しました。 ① 経済価値目標の達成状況 中期方針2024の経済価値目標については、売上収益・営業利益率・ROIC(税引前)のいずれも未達となりました。 中期方針2024目標2025年3月期実績目標比売上収益2,000,000百万円1,743,352百万円△256,648百万円営業利益率20%以上16.0%△4.0%ROIC(税引前)(注)20%以上13.0%△7.0%(注)ROIC(税引前)= 営業利益 / 期首・期末平均投下資本(有形固定資産・使用権資産・のれん・ 無形資産+棚卸資産+営業債権-営業債務) 売上収益については、AIサーバー向け需要の盛り上がりやモビリティ市場における電動化の加速や円安の進行などはありましたが、スマートフォンやPCなどの民生市場において、コロナ禍で生じた需要増の反動減による在庫調整が長期化し部品需要が想定よりも大きく下振れしたこと、2層目事業におけるモジュールのシェア拡大が遅れたことなどにより、当社グループの想定を下回りました。営業利益率については、部品需要減に対してコストダウンや生産性向上の取り組みを進めましたが、工場操業度の低下や低収益事業の改善遅れなどにより目標に届きませんでした。ROIC(税引前)について、上述の通り営業利益率が低下するなかで、エレクトロニクス領域の拡大に備えた先行投資を継続したことにより、目標を下回る結果となりました。 ② キャピタル・アロケーションの実績 中期方針2024では、キャピタル・アロケーションを明確化し、長期視点での環境投資や技術獲得、リスク対策、ITインフラ強化などを戦略投資と位置付け、新たに「戦略投資枠」を設定しております。 戦略投資の進捗は、最近3連結会計年度の実行済および実行決裁済案件の累計が850億円となりました。また、株主還元については、最近3連結会計年度の配当金の支払いおよび自己株式の取得の累計が4,480億円となりました。さらに社債償還については、最近3連結会計年度に1,100億円の償還を実行しました。 今後も主力事業であるコンポーネント、デバイス・モジュールへ投資を継続し、着実なキャッシュ創出を目指していくとともに、事業環境に応じた追加的な株主還元を機動的に実施することでステークホルダーの皆様の期待に応えてまいります。※ 2021年度末時点の手元余剰資金および当該期間中に経費処理したものなどが含まれる。 ③社会価値目標の達成状況 「社会価値1:環境」・「GHG排出量(2019年度比)」、「再生可能エネルギー導入比率」、「持続可能な資源利用率」及び「循環資 源化率」の目標達成に向けた取り組みを進めてまいりました。中期方針2024期間における実績については、後掲 「(3)当社グループのマテリアリティ」に記載の当社ウェブサイトを参照ください。 「社会価値2:多様性」・「海外間接部門従業員の他拠点での勤務経験比率」の目標達成に向けた取り組みを進めてまいりました。中期方 針2024期間における実績については、後掲「(3)当社グループのマテリアリティ」に記載の当社ウェブサイトを参照ください。 「社会価値3:ES」・当連結会計年度において、国内外全拠点の約72,000人の全従業員を対象としたグローバルサーベイを実施しまし た。回答率は95%、「従業員エンゲージメント肯定回答比率」は67%となり、2024年度目標を3ポイント下回る 結果となりました。従業員のボトムアップによる活動は実を結び始め、着実に改善はしておりますが、会社全体 の戦略・方向性を従業員が十分に理解し、行動につなげていく取り組みに対しては改善余地を残す結果となった ため、今後は経営層からの声をより確実に届けるような施策を実行してまいります。 ・国内外の各拠点・各組織における好事例を全社に共有する事例共有会をウェビナーにて実施し、1,000名以上 がリアルタイムで視聴しました。動画データや日・英の多言語対応した発表資料を全従業員へ配信しました。 ・従業員向け研修(役員主催研修・階層教育・理念教育など)や社内のポータルサイトを通じた経営層と従業員 の対話促進に取り組みました。 ・組織風土変革活動の推進を目的として、部門長向けのワークショップ、管理職向けの研修を実施しました。 ・エンゲージメント向上のために注力すべき属性である中途・シニア・製造に対し、各々の課題に合わせた取組 みを実施しました。 ④ 中期経営課題への取り組み 中期方針2024では、中期構想2021において顕在化した課題を解決していくとともに、長期視点で環境変化を捉え、バックキャストをして今から必要な備えを着実に進めていくために、「経営変革の推進」、「ポートフォリオ経営の実践(高度化)」、「筋肉質な経営基盤の形成」、「2030年への備え」の4つの中期経営課題に対する取り組みを進めてまいりました。 ・経営変革の推進 当社グループでは「Vision2030(長期構想)」の成長戦略として、「社会価値と経済価値の好循環を生み出す経営」、「自律分散型の組織運営の実践」、「仮説思考にもとづく変化対応型経営」、「デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」の4つの経営変革を掲げております。 中期方針2024の期間では、社会課題を起点とした重点課題(マテリアリティ)に対する各種取り組みを推進するとともに、社会価値と経済価値の好循環を促進するための新たな経営管理制度の仕組みとして、サステナビリティ投資促進制度とインターナルカーボンプライシング(ICP)制度を導入いたしました。加えて、環境課題を解決する事業として、統合型再エネ制御ソリューション「efinnos」、当社製品と協業パートナーであるMutron社製AI省エネ制御を組み合わせた省エネルギーシステムの社内外への展開を推進しております。また、自律分散型組織を担保する仕組みとして、事業計画の管理プロセスに仮説思考アプローチを導入し、予算策定、事業中期計画策定、事業性評価プロセスの見直しを実施いたしました。事業性評価プロセスでは、ROICと市場成長率の2軸において一定の基準を下回るプロダクトを対象とし、改善計画を策定して定期的なモニタリングを実行してまいりました。その他にも、次世代デジタルプラットフォームおよびインフラ基盤の構築に向けた課題整理、構想・計画策定、PoC(Proof of Concept)実施に加えて、社内の意識醸成やDX人材の獲得・育成を推進いたしました。Vision2030実現に向けて、経営変革の取り組みを今後も推進してまいります。 ・ポートフォリオ経営の実践(高度化) 「Vision2030(長期構想)」の成長戦略として掲げた「基盤事業の深化とビジネスモデルの進化」を実現するために、前掲の「3層ポートフォリオ」を用いたポートフォリオ経営の高度化を進めております。 1層目は、需要の成長に追随した供給力、技術的な限界を破って実現するカッティングエッジの技術力、事業効率の向上の3つをもって業界トップの位置づけを確実にするための取り組みを推進してまいりました。積層セラミックコンデンサやインダクタの中長期的な需要拡大への備えとして、中国、タイ、ベトナムでの新生産棟建設、合弁会社「MFマテリアル株式会社」の設立を進めたほか、将来的なインドでの生産活動への準備としてインドの工業団地内での工場賃借の契約を開始しております。また、カッティングエッジ技術の追求により、電子機器のさらなる小型化・高機能化に貢献する世界最小016008Mサイズ(0.16mm×0.08mm)の積層セラミックコンデンサを世界で初めて開発したほか、同サイズの世界最小クラスのチップインダクタの開発にも着手しております。 2層目は、差異化技術の強化を進めることで市場シェアの獲得に努めるとともに、事業の選択と集中などポートフォリオの見直しを行うことで財務体質の改善に努めてまいりました。高周波・通信では、2022年3月期に当社による買収が完了したResonant社のXBAR技術の開発を推進し、翌連結会計年度での出荷開始に向けて準備を進めております。電池事業においては、環境領域での事業機会創出、筋肉質な事業基盤の構築、経営資本の強化と再配分を通して、黒字化に向けた取り組みを推進しております。 3層目は、当社の強みを活かせる領域の探索を進めてまいりました。中期方針2024の期間では、当社グループのハードウェアを活用して、スタートアップや大学などのアイデア実現を目指す「KUMIHIMO Tech Camp with Murata」を始動し、当連結会計年度には初めて日本国外(ブルガリア)での開催を実現するなど、イノベーションの創出・加速に向けた社外との共創活動も積極的に拡大してまいりました。また、PIECLEXや作業者安全モニタリングシステム、efinnos、無線センシングソリューションの展開など、3層目事業の社会実装事例は着実に増加しており、今後は事業のスケール化に向けて、ステークホルダーと共創をしながら取り組みを加速させてまいります。 ・筋肉質な経営基盤の形成 筋肉質な経営基盤の形成を実現するために、人的資本および品質基盤の強化に注力してまいりました。 社会価値指標として掲げる「ES」、「多様性」の向上に向けて、グローバル組織サーベイの実施とその結果に基づくアクションプランを検討・実行したほか、グローバルに他拠点での業務経験ができる機会の積極的な提供に努めてまいりました。さらに、将来の幹部人材育成を目的とした国内外の選抜教育プログラムを整備・実行するとともに、モノづくり現場でのムダ取りやスマート技術・デジタル活用による生産性向上、グローバル生産体制や現場改善を支える人材育成を推進いたしました。また、ビジネスリスクアセスメントの仕組みの導入、3層ポートフォリオ経営を支える品質保証・品質管理体制を強化いたしました。今後も、プロセスの源流から科学的管理を実践することで、すべてのお客様から信頼される品質の追求に努めてまいります。 ・2030年への備え 重要経営リスクの評価を進め、必要な備えを確立していくとともに、将来の競争力の源泉となる技術の発掘・育成や、それを支える知的財産戦略の立案・実行に取り組んでまいりました。 具体的には、「備えプロジェクト」、「η(イータ)プロジェクト」の推進など、2030年以降を見据えたバックキャスティングを意識した取り組みを強化してきました。「備えプロジェクト」では、「次世代通信/6G」、「環境」、「光/半導体」、「生体エレクトロニクス」の4つのテーマに加えて、当連結会計年度には新たに「スペース」と「ロボティクス」を追加し、調査探索・研究開発・事業化を推進しております。さらに、多様化する顧客ニーズに応えるための営業・マーケティング力の強化、東京ロジスティクスセンターの開設をはじめとするBCM体制の整備、サプライチェーンの複線化を推進することにより、地政学リスクをはじめとした将来の経営リスクに対するリスクマネジメントを強化してきました。今後も短期視点にとどまらず、中長期の成長を見据えた経営を推進してまいります。 中期方針2027 当社グループは当連結会計年度に、Vision2030のありたい姿に向かっていくための第2フェーズとして「中期方針2027」(2026年3月期~2028年3月期)を策定しました。 ① 中期方針2027の位置づけ 「中期方針2027」は、Vision2030で描いた「ありたい姿」の実現に向けた「解像度を上げる3年」と位置付けています。AIの登場により、当社グループが2030年の世界観として想定する「デジタルツイン」の実現がより加速していくと考えております。2030年の世界観に至る2027年までの3年間がエレクトロニクス産業の大きな変革期となる中で、当社グループが「お客様や社会にとって最善の選択となる」ための取り組みを3つの基本方針として掲げ、解像度を上げて実行してまいります。 ② 全社経営目標 中期方針2027における全社経営目標は、以下図の通りです。※1 当中期方針から、開示するROICを税引前から税引後に変更しています。 ROIC(税引後)=営業利益×(1-実効税率)/期首・期末平均投下資本(有形固定資産・ 使用権資産・のれん・無形資産+棚卸資産+営業債権-営業債務) なお、計算で用いる実効税率は、平均実際負担税率を用いております。※2 Greenhouse Gas 温室効果ガス※3 カーボンニュートラル※4 主に枯渇リスクの高い24資源におけるリサイクル材使用の重量割合※5 当社グループの排出物(廃棄物 + 有価物)が循環資源化された重量割合 ※6 2025年以降に、自国以外への異動や研修・リモートアサインメントでグローバルな経験を した国内外社員の累積数※7 村田製作所単体 ③ キャピタル・アロケーション方針 中期方針2027に基づき、事業拡大および企業価値最大化を目指したキャピタル・アロケーション方針を以下の通り定めています。 中長期的な稼ぐ力の強化に向けて、生産能力の増強やサプライチェーンの複線化への投資に加え、非連続な成長を実現するための戦略的な投資を積極的に実施します。株主還元においては、収益性の改善を通じてDOE(親会社所有者帰属持分配当率)の目標を引き上げることで安定した配当につなげ、事業環境に応じた追加的な株主還元を機動的に実行します。※ 2021年度末時点の手元余剰資金および当該期間中に経費処理したものなどが含まれる。 ④ 3つの「基本方針」 ・基本方針1「AIがドライブするエレクトロニクスにおける飛躍的な成長」 AI技術の発展に伴い、サイバー(仮想)空間とフィジカル(物理)空間が途切れなくつながる「デジタルツイン」の世界観が実現していくことで、当社グループの事業機会はより一層拡大すると想定しております。 「エッジデバイス」、「モビリティ」、「ITインフラ」を当社グループの基盤領域として捉え、コンデンサやインダクタ・EMIフィルタにおけるシェアNo.1の確立、機能デバイス、高周波・通信、エナジー・パワーにおける高い売上成長の実現を目指してまいります。 また、「環境」、「ウェルネス」、「3層目事業」を挑戦領域として捉え、事業拡大に向けた取り組みを進めるとともに、2030年以降の超長期を見据えた技術の探索を進めてまいります。 ・基本方針2「持続可能な事業プロセスの追求」 当社グループでは、軽薄短小・高効率な製品の追求による電子機器の小型化への貢献、持続可能な事業プロセスを通じた環境負荷低減の取り組みに率先して取り組むことで、これまで事業成長を遂げてまいりました。今後は、「気候変動対策」と「資源循環」の2つを主要テーマとして掲げ、ステークホルダーとの共創を通じて取り組みを加速させてまいります。 また、ハザードリスクの脅威や地政学リスクの複雑化が見られる経営環境において、安定的な製品の供給を実現するために、グローバルでの拠点間ネットワークの強化や、適正な在庫政策、サプライチェーンの強靭化・複線化に向けた取り組みを一層強化してまいります。 ・基本方針3「経営資本の中核である人・組織力の強化」 当社グループでは、「組織・人的資本」がすべての経営資本をつなぐ中核であると考え、イノベーションにあふれる個と組織への変容を促進することによって、Vision2030の実現を目指しております。自律分散型の組織運営において、個と組織が取るべき行動を明らかにした「個と組織の好循環」モデルを新たに描き、「ダイナミックな適所適材」、「未来変革リーダーの育成」、「個と組織の好循環モデルの実現」を3つの重点テーマとして掲げ、取り組みを推進してまいります。 また、DXの推進によって、エンジニアリングチェーン、サプライチェーン、デマンドチェーンの可視化・効率化を通じた事業プロセスのハイサイクル化の実現を目指します。これにより、業務本来の目的やお客様に向き合う時間を増やし、CSとESの最大化につなげてまいります。 (3) 当社グループのマテリアリティ 当社グループでは、重要な環境・社会課題(マテリアリティ)を特定し、製品・サービス及び事業プロセスの両面から取り組みを推進しています。マテリアリティは三か年の中期方針策定にあわせて見直しを行っており、2024年度を最終年度とする中期方針2024の実績につきましては、当社ウェブサイト(https://corporate.murata.com/ja-jp/csr/materiality/activities-2022)にて公表予定です。中期方針2027でも引き続き経営変革の一環として社会価値と経済価値の好循環を生み出す経営を掲げ、マテリアリティを「エレクトロニクス社会の発展」「持続可能な地球環境の実現」「社会との共栄」に分け取り組みを推進してまいります。 <特定プロセス> STEP1:環境・社会課題抽出ESRS、SASB、SDGs、グローバルリスクから環境・社会課題を抽出しました。 STEP2:環境・社会へのインパクト / 自社財務への機会・リスクの特定・評価CSRD、ESRSが提唱する「ダブルマテリアリティ」の考え方に則り、外部ステークホルダーからの意見を踏まえて、当社グループのバリューチェーン全体での「環境・社会へのインパクト」と「自社財務への機会・リスク」を特定し、評価しました。 STEP3:マテリアリティの特定代表取締役社長を委員長とするCSR統括委員会で議論を重ね、マテリアリティを特定し、取締役会で決定しました。 「エレクトロニクス社会の発展」マテリアリティ2030年 目指す姿ムラタの思いエッジデバイスによるデジタル革新の実現最先端技術による多様なニーズへの価値提供と、積み重ねてきた供給力によってエッジデバイスの普及を促し、エレクトロニクスの恩恵を受ける人を増やすとともに、デジタル革新による社会課題解決に貢献できている状態当社グループは、軽薄短小・無線通信技術を追求した最先端部品や高シェア部品の安定供給を果たすことで、スマートフォンをはじめとするエッジデバイスの小型化・多機能化や通信の高速・大容量化、エレクトロニクスの人々の暮らしへの浸透に貢献してきました。デジタル社会の進展に伴い、エッジデバイスは人々の生活にますます欠かせない存在となり、グローバルでの人口増加に伴い裾野の広がりも期待されます。当社グループは、高効率・低消費電力・センシングソリューションなどの新たな価値創出の追求と、積み重ねてきた供給力によってエッジデバイスの普及を促すことで、エレクトロニクスの恩恵を受ける人を増やすとともに、デジタル革新による社会課題解決への貢献を目指します。 マテリアリティ2030年 目指す姿ムラタの思い次世代モビリティ社会の実現拡張していくモビリティ社会のニーズに応じた製品・サービスを提供することで、安全・安心で便利な社会の実現と、持続可能な地球環境の両立に貢献できている状態当社グループは、高信頼性、高性能な製品を生み出す技術力、あるいは同一品質の製品を大量生産できる供給力という強みを活かしながら、電気自動車の普及や自動車の安全性向上へと貢献してきました。脱炭素社会への移行や交通事故防止、都市・過疎地での交通問題の解消、移動手段・消費者ニーズの多様化など、当市場は今後さらに大きく変革することが予想されます。このような環境変化の中、“モビリティ”として市場を広く捉え、高機能・高信頼な製品の安定供給を通じたxEVのさらなる普及、自動運転技術とこれを支える都市インフラの進化に貢献することで、安全・安心で便利な社会の実現と、持続可能な地球環境の両立を目指します。持続可能なITインフラの実現高速・大容量・高効率を軸とした信頼性の高い製品を提供することで、エレクトロニクス社会の発展を支え続けるとともに、環境に配慮した持続可能なITインフラの実現に貢献できている状態当社グループは、集積化に寄与する小型部品や、エネルギー効率の改善に寄与する各種電源装置などの製品を提供することで、社会とともに発展してきたITインフラの構築に貢献してきました。クラウド化の進行やAIの登場にともなって、通信のトラフィック量やITインフラ側での演算量も飛躍的に増加しています。これに伴い、データセンターのエネルギー消費量の急増など新しい課題も浮上しています。当社グループは、高速・大容量、高効率を軸とした信頼性の高い製品を安定供給することで、エレクトロニクス社会の発展を支え続けるとともに、環境に配慮した持続可能なITインフラの実現を目指します。心身ともに健康で豊かな社会の実現ウェルネス市場における新たな価値を創出し、人々の身体的、精神的、そして社会的に健康で安心な生活に貢献できている状態当社グループは、最先端の技術や部品を創出するなどエレクトロニクスを通じてその時代に応じた社会課題解決に貢献してきました。健康志向が高まる今、身体的な健康だけでなく、精神的・社会的にバランスのとれた健康や生活者自身の幸せの追求など健康概念は変化しています。当社グループは、小型化・センシング・通信・流体制御技術といった要素技術や培ってきたエレクトロニクス領域の知見を製品・サービスに展開することで、医療の発展や病気の予防、さらに心の健康や人と人との良好な関係といった新しい豊かさを実現していくためのイノベーションを生み出し、すべての人が健康で豊かな人生を送ることができる社会の実現を目指します。 「持続可能な地球環境の実現」マテリアリティ長期目標中期目標(2025年度~2027年度)脱炭素社会の実現2050年度目標GHG※1排出量(Scope1,2,3):カーボンニュートラル 2040年度目標GHG排出量(Scope1,2):カーボンニュートラル 2035年度目標再生可能エネルギー導入比率:100% 2030年度目標GHG排出量(Scope1,2):87.3万t-CO2e(2019年度比46%減)GHG排出量(Scope3):324.6万t-CO2(2019年度比27.5%減)再生可能エネルギー導入比率:75% GHG排出量(Scope1,2):97.6万t-CO2e(2019年度比39%減)GHG排出量(Scope3):データの精緻化再生可能エネルギー導入比率:55%循環型社会の実現2050年度目標持続可能な資源利用率※2:100%循環資源化率※3:100% 2030年度目標持続可能な資源利用率:25%循環資源化率:50%持続可能な資源利用率:16%循環資源化率:41% 「社会との共栄」マテリアリティ長期目標中期目標(2025年度~2027年度)ダイバーシティと働きがいの実現2030年度目標従業員エンゲージメント肯定回答比率:76%以上グローバル経験者数※4:3,000人(6年累計)女性管理職比率※5:10%主観的健康観※6:80%労働災害千人率(休業4日以上):0.39未満従業員エンゲージメント肯定回答比率:71%以上グローバル経験者数:1,500人(3年累計)女性管理職比率:7%主観的健康観:79%労働災害千人率(休業4日以上):0.44未満人権の尊重2030年度目標特定した顕著な人権リスクに対する防止・軽減、モニタリング、情報開示の実施率:100%特定した顕著な人権リスクに対する防止・軽減、モニタリング、情報開示の実施率:100%社会・地域の発展2030年度目標地域における会社の印象度調査肯定回答率:75%以上STEAM教育プログラム体験者数(当社グループ所在地の小中学生中心):34,000人 / 年地域における会社の印象度調査肯定回答率:70%以上STEAM教育プログラム体験者数(当社グループ所在地の小中学生中心):31,000人 / 年 ※1 GHG:Greenhouse gas。温室効果ガスの総称。※2 持続可能な資源利用率:主に枯渇リスクの高い24資源におけるリサイクル材使用の重量割合。※3 循環資源化率:当社グループの排出物(廃棄物+有価物)が循環資源化された重量割合。※4 2025年以降に、自国以外への異動や研修・リモートアサインメントでグローバルな経験をした国内外社員の累積数。※5 提出会社。※6 健康診断などの数値結果ではなく、自身の健康状態を主観的に評価する指標。評価対象を国内従業員とし、肯定回答率で把握。 |
経営者による財政状態の説明
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1)経営成績 ①経営成績の概要 当連結会計年度の世界の経済情勢は、中東情勢の緊迫化や米国の政策動向等、先行き不透明な状況が続くものの、緩やかな回復基調で推移しました。米国では、底堅い雇用・所得環境を背景とした個人消費に支えられ景気は堅調に推移しました。欧州では、ドイツを中心に製造業の低迷が続いているものの、インフレ率の低下や所得環境の改善による消費者マインドの回復もあり、底堅く推移しました。中国では、不動産市況の落ち込みの継続や輸出の弱さが景気の下押し要因となり、景気の回復は力強さを欠いていますが、景気刺激策や春節の影響もあり内需を中心に持ち直しの動きがみられました。 当社グループが属するエレクトロニクス市場の部品需要は、AIサーバー等のITインフラ投資の拡大を背景にコンピュータ向けで増加しました。 そのような中、当連結会計年度の売上収益は、表面波フィルタやコネクティビティモジュールがスマートフォン向けで減少しました。一方で、コンデンサがコンピュータやモビリティ向けで、樹脂多層基板やインダクタがスマートフォン向けで増加しました。その結果、為替変動(前連結会計年度比7円95銭の円安)の影響はありましたが、前連結会計年度比6.3%増の1,743,352百万円となりました。 利益につきましては、製品価格の値下がりや固定費の増加といった減益要因はありましたが、操業度の回復やコストダウンなどの増益要因により、営業利益は前連結会計年度比29.8%増の279,702百万円、税引前当期利益は同27.2%増の304,404百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同29.3%増の233,818百万円となりました。 当連結会計年度のROIC(Return On Invested Capital)(税引前)は営業利益が大きく増加したことに加え、棚卸資産などの投下資本が減少したことにより、前連結会計年度比3.0ポイント増の13.0%となりました。 前連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)当連結会計年度(2024年4月1日~2025年3月31日)増 減金額(百万円)百分比(%)金額(百万円)百分比(%)金額(百万円)増減率(%)売上収益1,640,158100.01,743,352100.0103,1946.3営業利益215,44713.1279,70216.064,25529.8税引前当期利益239,40414.6304,40417.565,00027.2親会社の所有者に帰属する当期利益180,83811.0233,81813.452,98029.3ROIC(税引前) (%)10.0-13.0-3.0-対米ドル平均為替レート(円)144.62-152.57-7.95-(注)ROIC(税引前)= 営業利益 / 期首・期末平均投下資本(有形固定資産・使用権資産・のれん・ 無形資産+棚卸資産+営業債権-営業債務)(参考)事業別セグメントROIC(税引前) コンポーネント 2024年3月期 19.0% 2025年3月期 21.2% デバイス・モジュール 2024年3月期 △ 1.5% 2025年3月期 1.2% 事業別セグメントについては、コンポーネントは売上収益が1,043,956百万円(前連結会計年度比10.8%増)で営業利益が275,150百万円(同17.5%増)、デバイス・モジュールは売上収益が697,176百万円(同0.3%増)で営業利益9,995百万円(前連結会計年度は営業損失12,999百万円)、その他は売上収益が67,274百万円(同0.3%減)で営業損失5,443百万円(前連結会計年度は営業損失5,735百万円)となりました。 ②製品又は事業別の売上収益概況当連結会計年度の製品又は事業別の売上収益を前連結会計年度と比較した概況は、以下のとおりであります。 〔コンデンサ〕この区分には、積層セラミックコンデンサなどが含まれます。当連結会計年度は、積層セラミックコンデンサがコンピュータやモビリティ向けで増加しました。その結果、コンデンサの売上収益は前連結会計年度に比べ10.4%増の831,845百万円となりました。 〔インダクタ・EMIフィルタ〕この区分には、インダクタ、EMI除去フィルタが含まれます。当連結会計年度は、インダクタがスマートフォン、コンピュータ、モビリティ向けで、EMI除去フィルタがモビリティ向けで増加しました。その結果、インダクタ・EMIフィルタの売上収益は前連結会計年度に比べ11.7%増の201,273百万円となりました。 〔高周波・通信〕この区分には、高周波モジュール、樹脂多層基板、コネクティビティモジュール、表面波フィルタなどが含まれます。当連結会計年度は、表面波フィルタやコネクティビティモジュールがスマートフォン向けで減少しましたが、樹脂多層基板がスマートフォン向けで、高周波モジュールがPC向けで増加しました。その結果、高周波・通信の売上収益は前連結会計年度に比べ0.8%増の443,602百万円となりました。 〔エナジー・パワー〕この区分には、リチウムイオン二次電池、電源モジュールが含まれます。当連結会計年度は、電源モジュールが産業機器向けで減少しました。また、リチウムイオン二次電池がサーバー向けで増加しましたが、ゲーム機やパワーツール向けで減少しました。その結果、エナジー・パワーの売上収益は前連結会計年度に比べ5.3%減の155,741百万円となりました。 〔機能デバイス〕この区分には、センサ、タイミングデバイスなどが含まれます。当連結会計年度は、アクチュエータやセンサがコンピュータ向けで増加しました。その結果、機能デバイスの売上収益は前連結会計年度に比べ7.9%増の97,822百万円となりました。 ③用途別の売上収益概況当連結会計年度の用途別の売上収益を前連結会計年度と比較した概況は、以下のとおりであります。 〔通信〕当連結会計年度は、スマートフォン向けで樹脂多層基板が増加しましたが、表面波フィルタやコネクティビティモジュールが減少しました。その結果、通信用途の売上収益は前連結会計年度に比べ0.3%減の674,188百万円となりました。 〔モビリティ〕当連結会計年度は、自動車向けで積層セラミックコンデンサ、EMI除去フィルタ、インダクタが増加しました。その結果、モビリティ用途の売上収益は前連結会計年度に比べ4.7%増の453,081百万円となりました。 〔コンピュータ〕当連結会計年度は、サーバー向けで積層セラミックコンデンサやリチウムイオン二次電池が、PC向けで積層セラミックコンデンサや高周波モジュールが増加しました。その結果、コンピュータ用途の売上収益は前連結会計年度に比べ38.8%増の281,942百万円となりました。 〔家電〕当連結会計年度は、ゲーム機やパワーツール向けでリチウムイオン二次電池が減少しましたが、AV機器向けで積層セラミックコンデンサが増加しました。その結果、家電用途の売上収益は前連結会計年度に比べ1.3%増の150,392百万円となりました。 〔産業・その他〕当連結会計年度は、産業機器向けで電源モジュールが減少しましたが、代理店向けで積層セラミックコンデンサが増加しました。その結果、産業・その他用途の売上収益は前連結会計年度に比べ2.4%増の183,749百万円となりました。 ④生産、受注及び販売の実績イ)生産実績 当連結会計年度のセグメント別の生産実績は、下表のとおりであります。 生産実績(2024年4月1日~2025年3月31日)金額(百万円)構成比(%)前連結会計 年度比(%) コンデンサ850,01948.922.2 インダクタ・EMIフィルタ207,49911.924.7 コンポーネント1,057,51860.822.7 高周波・通信434,31825.04.6 エナジー・パワー140,3418.16.4 機能デバイス93,3385.45.3 デバイス・モジュール667,99738.55.1 その他12,0160.7△0.0 計1,737,531100.015.1 (注)1.金額は、販売価格で表示しております。2.セグメント間取引については、相殺消去しております。3.以下のセグメント別諸表については、主たる事業である電子部品並びにその関連製品の生産、受注及び販売の実績を記載しております。 ロ)受注実績 当連結会計年度のセグメント別の受注高及び受注残高は、下表のとおりであります。 受注高(2024年4月1日~2025年3月31日)受注残高(2025年3月31日現在)金額(百万円)構成比(%)前連結会計年度比(%)金額(百万円)構成比(%)前連結会計年度末比(%) コンデンサ832,68448.49.7142,00749.40.6 インダクタ・EMIフィルタ203,04811.812.231,45710.96.0 コンポーネント1,035,73260.210.2173,46460.31.5 高周波・通信433,29525.22.243,69615.2△19.1 エナジー・パワー143,0108.3△4.049,18017.1△20.6 機能デバイス95,7635.610.215,9395.6△11.4 デバイス・モジュール672,06839.11.9108,81537.9△18.7 その他12,9000.717.95,2161.8△3.1 計1,720,700100.06.8287,495100.0△7.3 (注)1.金額は、販売価格で表示しております。2.セグメント間取引については、相殺消去しております。 ハ)販売実績 当連結会計年度のセグメント別の販売実績は、下表のとおりであります。 販売実績(2024年4月1日~2025年3月31日)金額(百万円)構成比(%)前連結会計年度比(%) コンデンサ831,84547.710.4 インダクタ・EMIフィルタ201,27311.511.7 コンポーネント1,033,11859.210.6 高周波・通信443,60225.40.8 エナジー・パワー155,7418.9△5.3 機能デバイス97,8225.67.9 デバイス・モジュール697,16539.90.3 その他13,0690.917.2 計1,743,352100.06.3 (注)セグメント間取引については、相殺消去しております。 ニ)用途別販売実績 当連結会計年度の用途別の販売実績は、下表のとおりであります。 販売実績(2024年4月1日~2025年3月31日)金額(百万円)構成比(%)前連結会計年度比(%) 通信674,18838.7△0.3 モビリティ453,08126.04.7 コンピュータ281,94216.238.8 家電150,3928.61.3 産業・その他183,74910.52.4 計1,743,352100.06.3 (注)当社推計値に基づいております。 ホ)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合相手先前連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)Hon Hai Technology Group166,54110.2162,3489.3 (2)財政状態 当連結会計年度末の資産合計は、その他の金融資産や繰延税金資産が増加しましたが、棚卸資産やその他の非流動資産の減少により、前連結会計年度末に比べ9,701百万円減少し、3,028,194百万円となりました。 負債合計は、主に社債及び借入金やその他の金融負債の減少により、前連結会計年度末に比べ34,067百万円減少し、448,219百万円となりました。 資本合計は、資本剰余金やその他の資本の構成要素は減少しましたが、利益剰余金の増加により、前連結会計年度末に比べ24,366百万円増加し、2,579,975百万円となりました。親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末に比べ1.1ポイント上昇の85.2%となりました。 (3)キャッシュ・フロー ①キャッシュ・フローの状況<営業活動によるキャッシュ・フロー> 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、451,905百万円のキャッシュ・イン(前年同期比37,732百万円の収入減少)となりました。 これは、主にキャッシュ・フローの源泉となる当期利益が232,973百万円、減価償却費及び償却費が173,335百万円となったことによるものです。 <投資活動によるキャッシュ・フロー> 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、208,070百万円のキャッシュ・アウト(前年同期比6,499百万円の支出増加)となりました。 これは、主に生産能力増強や生産棟の建設を中心とした有形固定資産の取得による支出が182,936百万円となったことによるものです。 <財務活動によるキャッシュ・フロー> 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、242,733百万円のキャッシュ・アウト(前年同期比77,412百万円の支出増加)となりました。 これは、主に配当金の支払額が101,581百万円、自己株式の取得による支出が80,006百万円、社債の償還による支出が50,000百万円となったことによるものです。 ②資本の財源及び資金の流動性イ)財務戦略と経営資源の配分に関する考え方 当社グループは、健全な財務体質と高い資本効率を両立することを目指し、市場環境・競争環境に応じた最適な経営資源配分を行ってまいります。 財務体質については、事業環境の変化に機敏に対応し、持続的な利益成長を達成するとともに、厳しい環境下においても経営の安定を維持し、金融市場の市況悪化等のリスクへ備えるため自己資本の充実に努めております。また、信用格付は「AA+(信用力は極めて高く、優れた要素がある)」(格付投資情報センターによる)を取得し、資金調達が必要な場合に円滑かつ低コストの調達を可能としております。 経営資源の配分につきましては、「中期方針2027」に記載のキャピタル・アロケーション方針に基づき、資本効率と成長性を重視した投資と株主還元を行ってまいります。 資本効率については、継続的な資本効率の改善を目的として2027年度のROIC(税引後)12%以上を目標値として設定しております。また、資本コストを投資の意思決定と事業評価に反映しており、安定的にROICが資本コストを上回る構造を維持しております。なお、当連結会計年度末における当社グループの資本コスト(WACC)は7.4%(当社推計値)となっております。 株主還元については、長期的な企業価値の拡大と企業体質の強化を図りながら、2027年度を目標にDOE(親会社所有者帰属持分配当率)5%に引き上げることを実現することといたします。また、自己株式の取得につきましても株主還元の手段として、資本効率の改善等を目的として適宜実施することといたします。 ロ)資金調達と手許流動性 当社グループは、設備投資及びその他の事業資金については、自らの事業活動により獲得した内部資金で対応することを基本方針としておりますが、事業の成長に向けた投資や運転資金のために資金需要が生ずる場合には、時々の金融市場の状況を踏まえた適切な手段により外部から調達することとしており、銀行からの借入及び国内普通社債発行による資金調達を適宜実施しております。健全な財務体質を維持し、また主要な取引先金融機関と良好な関係を構築しており、今後の事業資金の調達に関して問題はないと認識しております。 完全子会社の資金需要に対しては、原則として銀行など外部からの資金調達を行わず、当社及び関係会社からのグループファイナンスにより対応しており、資金調達の一元化と資金効率の向上を図っております。 また、当社グループは、事業活動による資金需要への機動的な対応と金融市場の市況悪化等のリスクを最小限に抑えるため、月平均売上収益2.5か月~3.5か月を必要な資金流動性の水準としております。事業の状況によりこの水準を一時的に超過する場合もありますが、キャピタル・アロケーション方針に基づく資源配分へ資金の充当を進めることにより適正化を図ってまいります。当連結会計年度末における現金及び現金同等物、短期投資、有価証券の流動性資金の残高は666,522百万円となり月平均売上収益4.6か月となっております。事業投資の原資として手許資金を保有しているため、投機目的の運用は行わず、信用リスクが小さいと考えられる銀行への預金など、安全性の高い金融商品に分散して資金を保有しております。なお、当連結会計年度末における借入金等の有利子負債の残高は2,437百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は625,148百万円となっております。 (4)重要性がある会計方針及び見積り 当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。当連結会計年度において、当社グループにおいて重要性があると認識している会計方針及び見積りは、連結財務諸表注記の「3.重要性がある会計方針」及び「4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。 |
※本記事は「株式会社村田製作所」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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