株式会社三越伊勢丹ホールディングスの基本情報

会社名株式会社三越伊勢丹ホールディングス
業種小売業
従業員数連8921名 単381名
従業員平均年齢47.5歳
従業員平均勤続年数23.8年
平均年収9228366円
1株当たりの純資産1646.23円
1株当たりの純利益(連結)142.42円
決算時期3月
配当金54円
配当性向114%
株価収益率(PER)15倍
自己資本利益率(ROE)(連結)8.8%
営業活動によるCF895億円
投資活動によるCF▲259億円
財務活動によるCF▲949億円
研究開発費※1-円
設備投資額※164.23億円
販売費および一般管理費※1611.1億円
株主資本比率※267.6%
有利子負債残高(連結)※3863.29億円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】  文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1)経営の基本方針当社グループは、創業以来一貫して“お客さま第一”の精神を持ち、常に時代の変化や価値観の多様化に合わせ、生活に豊かさを提供することに邁進してまいりました。長期に目指す姿を「お客さまの暮らしを豊かにする、“特別な”百貨店を中核とした小売グループ」と定め、その実現に向けた道のりを3つのフェーズ(再生~まち化準備~結実)に区分し取り組みの進化を図っております。「再生フェーズ」にあたる前中期経営計画(2022~2024年度)においては百貨店を中心にグループの再生を大幅に進展させるとともに、「個客業」への変革の足場を固めてまいりました。2025年4月に始動させた新中期経営計画(2025~2030年度)では、「まち化準備フェーズ」としてこれまでの百貨店の枠を超えた個客視点での多様な価値を提供するために「館業」から「個客業」への変革を図り、企業価値の向上を目指してまいります。 (2)目標とする経営指標当社グループは、営業利益とともに株主資本コストを意識し、ROE等の複数の経営指標を掲げ、将来にわたる企業の持続的成長と企業価値の向上に取り組んでおります。6ヶ年の新中期経営計画(2025~2030年度)のフェーズⅠ(2025~2027年度)の最終年度となる2027年度には営業利益850億円、ROE9.8%の実現を目指し、フェーズⅡ(2028~2030年度)終了時点では営業利益水準を1,000~1,100億円規模、ROE10~11%水準で計画しております。また、「個客業」を目指す当社グループ独自の経営指標として、カードやアプリ等でつながったお客さまによる売上高(識別顧客売上高)等の「顧客KPI」を掲げております。2027年度には識別顧客売上高6,870億円、2030年度には同7,140~7,310億円規模を計画しております。 (3)経営環境及び対処すべき課題①外部環境マクロ環境においては、国内人口の減少や高齢化基調が進行する中、1人当たり実質GDP成長率の鈍化、資源・エネルギーや食料品を含む消費財価格の大幅な上昇等、国内経済の環境は厳しさを増しております。加えて、欧州や中東等での地政学リスクの顕在化や国家間での関税競争の激化、急激な為替変動等、当社グループの業績に影響を及ぼす不透明な状況が続いております。そのような環境においても、国内都市部人口やアジア圏も含めた世界人口は引き続き増加すると予測されており、純金融資産1億円以上を保有する富裕層世帯数は増加が予測されております。また、消費動向が二極化する中、百貨店が強みとする「こだわり消費」の市場は拡大することが期待されます。当社グループでは、環境が大きく変化する中でも成長が見込まれる要素を機会ととらえて、中長期的な成長を目指してまいります。 ②内部環境前述の通り、前中期経営計画(2022~2024年度)においては、グループの再生を大幅に進展させるとともに、「個客業」への変革の足場を固めてまいりました。「再生」の主な取り組みとしては、徹底した販管費コントロールや事業再編、国内百貨店での要員数適正化等の“科学”の視点による生産性の向上を図りました。 「個客業への変革の足場固め」としては、アプリを中心に識別顧客数を拡大し、そのつながったお客さまに向けた個別のマーケティング活動や国内外の外商顧客へのセールス活動を強化する等の顧客基盤の確立を図ってまいりました。また、百貨店事業を支える金融事業や不動産事業、その他の関連各事業がそれぞれの独自性を磨くとともに、事業間での連携を深めて外部収益の拡大を図る“連邦”戦略を進めております。 (4)中長期的な経営戦略①中長期ステップ当社はグループが長期に目指す姿である「お客さまの暮らしを豊かにする、“特別な”百貨店を中核とした小売グループ」の実現に向けた中長期のステップを「再生」「まち化準備」「結実」の3つのフェーズで描き、バックキャストの視点で中期の経営計画を組み立てております。 ②新中期経営計画(2025~2030年度)当社グループは、前進の三越呉服店による「デパートメントストア宣言」(1904年)から120年余が経過した今、2025年4月より始動させた新中期経営計画において、前中期経営計画で固めてきた基盤を足掛かりとして、百貨店の館を前提としたこれまでのマス向けビジネスモデルである「館業」から、個のお客さまとのつながりをベースとする 「個客業」への事業構造の変革を本格的に進めてまいります。「個客業」において、世界中からお客さまを集め、識別化し、つながったお客さまに多様な顧客価値を提案するとともに、“連邦”活動による事業間の連携を深めた上で、「世界」「時間」「空間」「用途」の4つの拡大をキーワードとした新たな事業機会を獲得し、利益拡大を図ってまいります。 当社グループが考える「個客業」プロセスの活動は次の通りです。<集客>   店舗やコンテンツの魅力で世界中からお客さまを集めます。       そのために、伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店等の更なる「高感度上質店舗化」に向けた        店舗リモデル等により独自性の強化を図ります。 <識別化>  集まった顧客とカードやアプリ等の「仕組み」でつながります。       今後、国内顧客の識別化100%を目指し、更にターゲットを海外顧客へ拡大。カードとアプ       リの機能を駆使したさまざまな識別化戦略を展開してまいります。<利用拡大> つながった顧客に当社グループの各種事業による多様な価値を提案します。       識別化により充実する顧客情報をもとに“個客”単位のコミュニケーション活動を強化す       るとともに、グループ内での“連邦”活動を活発化させ、BtoB・BtoCビジネスの展開拡大       を図ります。<生涯顧客化>顧客とのつながりを深め、LTV(ライフタイム・バリュー)を最大化します。       つながった顧客との接点の深化を図りつつ、これまで百貨店が取り扱って来なかった商品       やサービスの提案強化により顧客の生涯におけるさまざまなニーズに幅広くお応えしてま       いります。 これらの「個客業」プロセスの活動を当社グループの中核である百貨店事業の他、金融事業、不動産事業、その他関連事業の多様な事業領域において「“連邦”戦略」や「まち化戦略」等の重点戦略と掛け合わせて推進し、「個客業」への変革を図ってまいります。 ■事業別戦略①百貨店事業 百貨店事業では、「個客業」プロセスを本格展開し、「まち化」の中核として圧倒的な独自性で世界からお客さまを集める“特別な”百貨店を目指します。伊勢丹新宿本店は世界一・唯一無二の「最新・最先端」、三越日本橋本店は比類なき「伝統・文化芸術・暮らし」、三越銀座店は銀座から世界へ発信する「グローバルストア」を標榜し、店舗リモデル強化によるハイタッチMDの拡充やPB等での独自性の追究等を通じ、各店のコンセプトに応じた魅力度の磨き上げを図ります。また、地域百貨店においても「百貨店の科学」の視点で構造改革を進めるとともに、エリアでの集客・識別化の推進等によりビジネスモデルを進化させ、安定黒字化を図り、地域の高感度上質消費を支える唯一無二の存在を目指してまいります。 ②海外事業 海外事業では、“選択と転換”から“展開と深掘”フェーズに移行し、エリアのコンディションに応じた構造改革の進行とフード&ビバレッジ領域等での新たなビジネスモデルの探索により、事業領域を再構築してまいります。新たなビジネスモデルの一環として、フィリピン・マニラにおける小売事業とレジデンス、タイ・バンコクにおける小売事業とオフィスを掛け合わせた複合不動産開発に参画しております。 ③不動産事業 不動産事業では、世界中から顧客を集め、用途をつなぎ合わせ、各事業の価値を最大化させる「まち化」の具現化を目指します。各拠点の開発計画と「まち」での提供価値の設計を本格化させながら、ホテルやレストランなどの高感度上質コンテンツの開発やその専門領域を担う人財の育成に取り組みます。 ④金融事業 金融事業では、暖簾とグループ顧客基盤を活かし、“三越伊勢丹グループならではの価値”を提供する金融サービス業を確立します。カード領域では、アプリ会員などの百貨店ライトユーザーに向けた年会費永年無料の〈エムアイカード ベーシック〉を2025年3月にローンチ。今後、新たな上位カードの発行や新ポイント制度の導入も計画しており、顧客ニーズに沿ったカード戦略により顧客拡大を図ってまいります。金融領域では、ショッピング保険や資産運用等の百貨店ならではの金融サービスを拡充させるとともに、アプリのみ顧客などのカード会員以外の顧客へのサービス提供にも取り組んでまいります。 ⑤国内関連事業 国内関連事業では、「BtoB」「BtoC」ビジネスの拡大による、各事業の収益拡大とビジネスモデルの進化を目指します。グループ内での内製化を推進するとともに、グループの持つアセットを活用した飲食等の新たな事業機会の創出や、「まち化戦略」で生じる新たな事業機会への参画等によるマネタイズで外部収益をさらに拡大していきます。
経営者による財政状態の説明
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度における我が国経済は、物価上昇により賃上げの動きが広がり雇用・所得環境の改善が進む中で、個人消費は回復基調で推移しました。また、小売業を含む非製造業は相対的に堅調な状況が続いており、訪日外国人の増加によるインバウンド消費額は2024年度に過去最高を記録しました。一方、世界経済においては欧州や中東の地政学リスクや、各国の金融引き締め政策継続による景気の下振れリスク、急激な為替変動等の影響に対する懸念が見られました。また、世界的インフレによってエネルギーや原材料価格が高騰し、国内においても所得の伸びを上回る物価上昇により一部において消費に慎重になる傾向も見受けられ、消費の二極化がこれまで以上に進むなど、景気の先行きは依然不透明な状況が続いています。こうした環境下において当社グループは、「三越伊勢丹グループ 企業理念」のミッションとして「こころ動かす、ひとの力で。」を掲げ、「お客さまの暮らしを豊かにする“特別な”百貨店を中核とした小売グループ」というビジョンの実現に向け、中期経営計画(2022~2024年度)に基づいて事業活動を進めてまいりました。中期経営計画の最終年度である当連結会計年度は、第1フェーズである「百貨店を中心にグループの再生」を大幅進展させ、「館」にお客さまを集客するマス向けのビジネスモデルである「館業」から、「個」のお客さまとつながる「個客業」への変革に向け取り組みを強化してまいりました。特にマスから個へのマーケティングの取り組みにより、識別顧客数・識別顧客売上高が増加し、個客とのつながりの深化で1人当たり年間購買額も着実に増加傾向にあります。また同時に次なる「まち化準備」フェーズに向けた取り組みを加速させるべく、地域百貨店や関係会社の事業構造改革への注力、「百貨店の科学」のグループ会社への浸透による経費コントロールを推し進め、国内百貨店事業を中心にした経営効率の大幅な改善により財務体質の盤石化を図ってまいりました。その結果、百貨店事業全体での損益分岐点売上高が低下し、収入拡大が利益拡大に直結する構造が確立でき、第1フェーズで目指した「百貨店の再生」を実現しました。また、国内関連事業においては、構造改革による事業再編を着実に進行させ、加えて事業活動体制の拡充に努めてまいりました。経営基盤としての「サステナビリティ」では、「三越伊勢丹グループ 企業理念」のもとで重点取り組み(マテリアリティ)を「人・地域をつなぐ」「持続可能な環境・社会をつなぐ」「ひとの力の最大化」「グループガバナンス・コミュニケーション」の4つに定め、当社グループの事業戦略とつなぎ合わせ、一体的に推進して社会課題の解決に取り組んでおります。中でも「think good」は、彩りある豊かな未来に向けて「想像力を働かせ、真摯に考えることからスタートする」という想いが込められた三越伊勢丹グループのサステナビリティ活動のスローガンであり、2024年度は全国で1,300件を超える企画を実施いたしました。特に国内百貨店業で実施した、お取組先や教育機関と協業し、残反をファッションやアートにアップサイクルする大型プロジェクト「ピースdeミライ」は好評を博し、伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店、岩田屋本店など複数店舗で開催し、これまでに延べ150以上のブランドと50名以上の学生が参加しています。詳細は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」とあわせてご覧ください。当社では、企業理念のミッションとして「こころ動かす、ひとの力で。」を掲げている通り、企業の持続的な成長を続けるうえでの根幹は、多様な従業員一人ひとりの「ひとの力」であると考えます。“暖簾”を愛し、信頼してくださるお客さまとの深いつながり(お客さまとの関係性)、350年を超える歴史と経営陣の想いが紡ぐ、ビジネスパートナーとの信頼関係(お取組先との信頼関係)、戦略を理解・コミットして生涯にわたって成長を続ける人財(従業員の実行力)、これらすべてを「ひとの力」で継続的に深化させて「個客業」における競争優位を確立してまいります。またこの度、三越伊勢丹グループの人財戦略や取り組みが評価され、2025年3月に「共働きや共育てを可能にする性別を問わない両立支援」の取り組みが特に優れた企業として経済産業省と東京証券取引所より令和6年度「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」に選定されました。上記の取り組みを進めた結果、当連結会計年度において、計画当初の営業利益額64,000百万円を大きく上回り2期連続して過去最高を更新しました。当連結会計年度の連結決算につきましては、売上高は555,517百万円(前連結会計年度比3.6%増)、営業利益は76,313百万円(前連結会計年度比40.4%増)、経常利益は88,123百万円(前連結会計年度比47.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は52,814百万円(前連結会計年度比5.0%減)となりました。 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。百貨店業国内百貨店においては、伊勢丹新宿本店や三越銀座店を中心に入店客数が大幅に伸長しました。また、免税売上高の大幅な伸長に加えて、外商やエムアイカード会員などの識別顧客による売上が拡大しました。当社グループでは、上質で豊かな生活を求めるお客さまの消費ニーズにお応えする「高感度上質戦略」を推進しており、伊勢丹新宿本店や三越銀座店のリモデルにより新規に導入したコンテンツ・MDが好調に推移しました。地域百貨店においては、高感度上質消費を志向する全国のお客さまのご要望にお応えするため、伊勢丹新宿本店・三越日本橋本店への送客や商品の取り寄せを可能とする「拠点ネットワーク戦略」の取り組みを強化したことで、売上が拡大しました。「個客とつながるCRM戦略」としては、伊勢丹新宿本店「丹青会」、三越日本橋本店「逸品会」などの両本店のお得意様向けのご招待会に加えて、各店で上位個客に向けた独自のおもてなし企画を実施しました。その結果、首都圏の都心店舗だけでなく地域店舗においても前年実績を大きく上回り、国内百貨店計で過去最高の総額売上高を更新しております。さらなる戦略の推進に向け、2025年3月には海外個客向けアプリ「MITSUKOSHI ISETAN JAPAN」や年会費無料の「エムアイカード ベーシック」を導入し、個客の識別化に向けた取り組みを強化しております。合わせて、経費コントロールの取り組みを引き続き強化したことで、大幅な収益の改善につながりました。このうち、オンライン事業についても売上拡大に加えて収支構造改革により黒字化を達成し、安定的に収益を創出できる構造へと転換しております。海外店舗では、2023年8月にレストランをリモデルオープンした米国三越の売上が好調で、前年実績を大きく上回りました。また、マレーシアにおいても、先行してリモデルオープンしたKLCC店の食品エリアが全体を牽引し、売上が堅調に推移しております。このセグメントにおける売上高は461,136百万円(前連結会計年度比2.9%増)、営業利益は64,563百万円(前連結会計年度比43.0%増)となりました。 クレジット・金融・友の会業クレジット・金融・友の会業は、好調なグループ百貨店売上の牽引によるクレジットカード利用の拡大に加え、割賦手数料やマーケティング事業収入の拡大などにより、売上が前年実績を上回り増収となりました。また、収支構造改革の推進が奏功し、販売管理費の抑制につながり、2024年度は前年度に続き増益となっております。なお、新たな金融サービスである伊勢丹新宿本店時計売場における商品保証サービスは当初計画の加入率を達成し、新規カード入会にもつながるなど、将来の事業拡大に向けた戦略推進に寄与しています。2025年3月には新たに会員数拡大に向けた「エムアイカードベーシック」を導入し、足元のカード獲得件数は大きく伸長しております。引き続き百貨店事業を通じてつながったすべての識別顧客の暮らし全般に関わるご要望にお応えするべく、今後も金融サービスのラインアップを拡充してまいります。このセグメントにおける売上高は34,433百万円(前連結会計年度比5.1%増)、営業利益は5,743百万円(前連結会計年度比41.8%増)となりました。 不動産業不動産業は、新宿エリアの保有物件における賃料収入増加や建装事業のグループ間での連携強化により受注が増え、増収増益となりました。高品質な内装・造作家具、自社工場による高い品質と技術力を強みとする株式会社三越伊勢丹プロパティ・デザインでは、外部の大型開発案件のホテルやオフィス、ブランドショップ改装の施工を中心に売上が拡大し、増収となりました。このセグメントにおける売上高は29,539百万円(前連結会計年度比10.3%増)、営業利益は3,615百万円(前連結会計年度比18.7%増)となりました。 その他クイーンズ伊勢丹などのスーパーマーケット事業や食品のOEM製造事業を展開している株式会社エムアイフードスタイルは、三越伊勢丹のグループ力を活かしたプライベートブランドの販路拡大やOEM受注拡大、エムアイカード会員に向けたキャンペーンの実施など、グループでの取り組みを強化しました。2024年11月にはJR埼京線十条駅の再開発地区に「クイーンズ伊勢丹十条店」を新規オープンし、販路を拡大しています。旅行業の株式会社三越伊勢丹ニッコウトラベルは、国内旅行では、毎年ご好評頂いているチャータークルーズ催行、海外旅行では独自の欧州リバークルーズに加えてイタリア4大モニュメントの貸切見学など、希少性の高い特別企画旅行を展開しました。加えて、円安傾向や海外での物価高の影響を受けながらも原価管理と経費コントロールを徹底したことにより、大幅な増収増益となりました。広告・メディア事業の株式会社スタジオアルタは、屋外広告やデジタルサイネージ等の百貨店の広告メディア販売事業が堅調に推移しました。また、グループ会社の広告制作を集約させた効果が継続し、大幅な増収増益となりました。このセグメントにおける売上高は96,094百万円(前連結会計年度比5.5%増)、営業利益は2,079百万円(前連結会計年度比0.3%増)となりました。 当連結会計年度末の総資産は1,205,726百万円となり、前連結会計年度末に比べ19,376百万円減少しました。これは主に、有利子負債の返済による現金及び預金の減少、のれんの減損などによるものです。負債合計では602,847百万円となり、前連結会計年度末から21,431百万円減少しました。これは主に、有利子負債の返済などによるものです。また、純資産は602,878百万円となり、前連結会計年度末から2,054百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことおよび為替換算調整勘定が増加したことなどによるものです。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて30,555百万円減少し、41,834百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動によるキャッシュ・フローは、89,564百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ収入が32,669百万円増加しました。これは主に、税金等調整前当期純利益が25,753百万円増加したこと及び売上債権の増減額が33,849百万円増加したことなどによるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動によるキャッシュ・フローは、25,955百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出が1,059百万円減少しました。これは主に、長期貸付による支出3,963百万円があった一方で、有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による収入が4,254百万円増加したことなどによるものです。  (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動によるキャッシュ・フローは、94,909百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出が26,423百万円増加しました。これは主に、連結の範囲を伴わない子会社株式の取得による支出16,161百万円があったこと及び自己株式の取得による支出が10,003百万円増加したことなどによるものです。 ③ 生産、受注及び販売の実績 a.生産実績及び受注実績当社及び当社の関係会社においては、その他事業の一部に実績がありますが、当社グループ全体の事業活動に占める比重が極めて低いため、記載を省略しております。 b.販売実績販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前連結会計年度比(%)百貨店業458,2192.9クレジット・金融・友の会業19,9833.2不動産業24,31915.2その他52,9945.0合計555,5173.6 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等  注記事項」の(重要な会計上の見積り)に記載しております。 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容経営成績の分析 1)概要 2025年3月期前期実績 (百万円)当期実績 (百万円)前年差 (百万円)前年比 (%)売上高536,441555,51719,075103.6売上総利益318,937337,67518,738105.9販売費及び一般管理費264,568261,362△3,20698.8営業利益54,36976,31321,944140.4経常利益59,87788,12328,246147.2親会社株主に帰属する当期純利益55,58052,814△2,76695.0  2)営業外損益 2025年3月期前期実績 (百万円)当期実績 (百万円)前年差 (百万円)前年比 (%)営業外収益10,46117,0606,599163.1 受取利息562800237142.2 受取配当金570686115120.3 持分法による投資利益6,93312,2605,326176.8 その他2,3943,313919138.4営業外費用4,9535,250297106.0 支払利息731704△2696.3 固定資産除却損1,9861,631△35482.2商品券回収損引当金繰入額263219△4383.4 その他1,9732,695722136.6  3)特別損益 2025年3月期(百万円)主な内容特別利益4,993  投資有価証券売却益4,993 特別損失12,242 減損損失11,229エムアイフードスタイル のれん、イセタン(シンガポール) 他店舗閉鎖損失1,013海外店舗 他  4)資本の財源及び資金の流動性 当社グループは、事業活動のための適切な資金確保、充分な流動性の確保及び財務健全性の維持を常にめざし、安定的な営業キャッシュ・フローの創出と幅広い資金調達手段の確保に努めております。 運転資金及び収益基盤拡大に必要な投融資資金は、営業キャッシュ・フローに加え、銀行借入金、社債、コマーシャル・ペーパー等により賄っております。 また、一時的な資金不足に備え、主要取引銀行とのコミットメントライン契約及び当座借越契約、並びにコマーシャル・ペーパー発行枠により、充分な流動性を確保しております。 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

※本記事は「株式会社三越伊勢丹ホールディングス」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

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連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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