会社名 | 株式会社 商船三井 |
業種 | 海運業 |
従業員数 | 連10500名 単1329名 |
従業員平均年齢 | 38.5歳 |
従業員平均勤続年数 | 13.4年 |
平均年収 | 14367707円 |
1株当たりの純資産 | 7687.49円 |
1株当たりの純利益(連結) | 1186.6円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 360円 |
配当性向 | 59.1% |
株価収益率(PER) | 4.37倍 |
自己資本利益率(ROE)(連結) | 16.88% |
営業活動によるCF | 3604億円 |
投資活動によるCF | ▲4508億円 |
財務活動によるCF | 1170億円 |
研究開発費※1 | 18.99億円 |
設備投資額※1 | 727.76億円 |
販売費および一般管理費※1 | 611.1億円 |
有利子負債残高(連結)※3 | 16899.7億円 |
経営方針
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社が判断したものです。 (1)会社の経営の基本方針 当社は、商船三井グループの企業理念、グループビジョン、価値観・行動規範(MOL CHARTS)を以下のとおり設定しています。 脱炭素化を始めとする環境意識の高まりや、企業として社会のサステナビリティに貢献することへの期待が高まるなか、輸送にとどまらない事業領域への拡大やそれに伴う価値観の変化を反映し、更なる成長を実現するために、社会における当社グループの存在意義、目指す姿、及び価値観を確認したものです。 (2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社は、優先的に対処すべき課題として、2023年度に策定したグループ経営計画「BLUE ACTION 2035」に掲げた、2035年度のありたい姿(グループビジョン)実現に取り組んでいます。 「BLUE ACTION 2035」においては、長期的な戦略に基づき、社会課題や環境面からも受容できる、持続的な成長の実現をめざすサステナビリティ経営を推進しています。企業理念・MOL CHARTSの精神に沿って「BLUE ACTION 2035」に取り組むことで、サステナビリティ課題を解決し、更には企業価値の向上、最終的にはグループビジョンの実現へと繋げていく計画です。 「BLUE ACTION 2035」では、ゴールまでの期間を3年+5年+5年の3フェーズに分けて中間目標を設定しています。グループビジョン実現へ向けて、毎年Core KPIをモニタリングしながらアクションプランを更新しています。 <BLUE ACTION 2035における主要なテーマ> BLUE ACTION 2035では3つの主要戦略とサステナビリティ課題への取組のうち、最重点5項目(環境、安全、人財、DX、ガバナンス)を中心に据えています。3つの主要戦略の要点は以下のとおりです。最重点5項目については、第2 事業の状況 2「サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。 ① ポートフォリオ戦略(後述の<BLUE ACTION 2035で目指す事業ポートフォリオ>も併せてご参照ください。)・事業別ROA目標を設定し、個別投資採算基準もそれに沿ったものとする。利益規模だけでなく資本効率の改善を図り、全体としてROA資本コストを上回るROAを達成すべく、高リターンを期待する市況享受型事業に継続投資する一方、相対的に低リターンながら安定収益型である事業への投資の傾斜を高める。・IFRS(国際財務報告基準)の早期適用に取り組む。・効率的なポートフォリオ変革のため、スピード感を持ってM&Aを推進する。 ② 地域戦略・事業ポートフォリオ変革を支えるグローバルな事業推進体制へ移行する。・地域部門主導のM&A、非海運を中心とした新規事業開発を促進する。 ③ 環境戦略(3つの主要戦略のうちの1つ、且つサステナビリティ課題「環境」への取組)・環境ビジョン2.2(2023年4月に更新)の下、環境への取組をリードする存在であり続ける。・クリーンエネルギーの導入について、2020年代のネットゼロ・エミッション外航船の就航に向けた準備を進める。・燃料需要家としてクリーン燃料調達に取り組むとともに、そこでの多様なパートナーシップを活かしてサプライチェーンに参画し、海運業界におけるクリーン燃料サプライチェーンの構築を後押しする。 2024年度は、3つの主要戦略(ポートフォリオ戦略・環境戦略・地域戦略)のうち、ポートフォリオ戦略では2035年度に目指す事業ポートフォリオの実現に向け、当初計画を上回るペースで投資を積み上げ、エネルギー事業や製品輸送事業を中心に安定収益型及び非海運事業のアセット比率を増やしました。環境戦略では、環境ビジョン2.2のアクションプランに沿って、2050年におけるグループ全体でのネットゼロ・エミッション達成に向けた取り組みを継続しています。地域戦略では、前述した2つの戦略(ポートフォリオ戦略、環境戦略)を各地域でも力強く推進するため、地域ごとの重点事業領域特定を進めました。 <BLUE ACTION 2035で目指す事業ポートフォリオ> 当社は、グループビジョンを実現するためのメインシナリオとして事業ポートフォリオ変革を進めており、以下2点を実現させる計画です。 ?海運市況軟調時でも黒字を維持できる事業ポートフォリオへの変革 ?成長投資の積上げと株主の期待に応える利回り(ROE 9~10%)の両立 これらを達成するため、2035年度時点で「税引前利益 4,000億円/総資産 7.5兆円」と「市況享受型:安定収益型= 40:60 のアセット比率」の目標ポートフォリオ構成を設定し、リバランス計画を策定しています。 海運市況と損益の相関性が高い市況享受型事業において海運好況時には高リターンを得る一方、安定収益型事業の比重をより高め、海運市況軟調時でも黒字を確保することを目指します。安定収益型事業では、海運の長期契約のみならず、海運業と市況サイクルが異なる非海運事業もさらに成長させていきます。 <BLUE ACTION 2035 Phase 1の具体的なアクションプラン> 各事業本部の2035年に向けた方向性とPhase 1(2023~2025年度)のアクションプランは以下のとおりです。 ドライバルク事業2035年に向けた方向性:貨物構成の変化に対応しつつ市況エクスポージャーを戦略的に取って、好況時には高リターンを獲得する。Phase 1の具体的なアクションプラン:・脱炭素・低炭素化社会の進展により創出される新規貨物・拡大が見込まれる既存貨 物の輸送需要取り込み(バイオ燃料、穀物、肥料、スクラップ鉄など)・世界経済のサプライチェーン・トレードパターンの変化に対応するグローバルな営 業ネットワーク整備・貨物需要・トレードパターン・船腹需給の変化に適切に対応するためのインテリジ ェンス機能の強化・GHG排出削減に寄与する環境対応船整備の強化・高いリターンを実現するための市況エクスポージャー許容度の引き上げエネルギー事業2035年に向けた方向性:エネルギーシフトの大きな流れに積極的に対応し、Green Transformationをリードする存在であり続ける。Phase 1の具体的なアクションプラン: ≪タンカー・ケミカル船≫・Methanex社との提携なども活かした、船舶燃料としてのクリーンメタノールの調 達、事業機会の獲得・代替燃料船隊による脱炭素ソリューションの提供≪液化ガス船≫・今後の需要増を見据えLNG船の中短期契約向け船隊を整備、一定の範囲内で市況リ スクテイクを進める・LPG・アンモニア船隊の整備 ≪海洋事業・洋上風力発電≫・欧州中心に広がる見通しのCCUS事業(二酸化炭素回収・貯留)への参画・台湾・日本での洋上風力発電への参画実績を積み上げ、周辺事業を取り込む製品輸送事業2035年に向けた方向性:コンテナ船・自動車船の競争優位を磨く一方、物流への積極投資で非海運分野での成長を遂げる。Phase 1の具体的なアクションプラン:≪コンテナ船≫・ONE発足を通じて獲得した規模のメリットの維持・拡大・環境・デジタル戦略を柱とする更なる優位性の構築≪自動車船≫・環境への対応をリードし顧客の評価を高め、パートナーとして選ばれる存在に・増加する中国・インド発ビジネスでの優位性構築≪物流≫・宇徳・商船三井ロジスティクスをコアと位置づけ、両社を中心に成長を図る・海外M&Aによる事業拡大ウェルビーイングライフ事業2035年に向けた方向性:不動産・フェリーに加えクルーズなどの多彩な事業群を形成し、非海運分野の柱に育てる。Phase 1の具体的なアクションプラン: ≪不動産≫・国内:アセットタイプの拡充、再開発・街づくりに取り組む・海外:ベトナム・豪州の事業拡大に加え、東南アジア諸国・インドへ進出 ≪フェリー≫・経営統合(商船三井さんふらわあ設立)のメリット最大化・貨物・旅客それぞれのマーケティング強化 ≪クルーズ≫・新ブランド「MITSUI OCEAN CRUISES」の設立、新規投入船のサービス開始・国内顧客に加え、インバウンドを中心に海外顧客の基盤を拡大 <BLUE ACTION 2035の定量目標(利益計画・財務計画・投資計画・株主還元策)>① 利益計画 利益計画については、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (7)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況」をご参照ください。② 財務計画・投資計画 財務計画・投資計画については、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (7)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況」をご参照ください。③ 株主還元策 株主還元策については「第4 提出会社の状況 3配当政策」をご参照ください。 <コンプライアンス上の対処すべき課題> コンプライアンス上の対処すべき課題・取組については、「第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等 (2)役員の状況 ④業務の適正を確保するための体制の概要」をご参照ください。 <アドバイザリーボード> 経営戦略およびリスク管理の観点で優先度の高い分野について社外の有識者から意見を得ることを目的とし、2024年4月から社長のもとにアドバイザリーボードを設置しています。今年度は以下5名の有識者を選任しました。 氏名主な経歴専門分野石井 菜穂子氏東京大学グローバルコモンズ担当総長特使未来ビジョン研究センター特任教授、グローバル・コモンズ・センター ダイレクターサステナビリティ江藤 名保子氏学習院大学法学部教授地政学上月 豊久氏前・駐ロシア日本国特命全権大使地政学的場 大輔氏デジタル・ブレイン・イネーブルメント株式会社 代表取締役DX小柴 満信氏Cdots合同会社 Co-Founder技術経営 |
経営者による財政状態の説明
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績 前連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)増減額/増減率売上高(億円)16,27917,7541,475 / 9.1%営業損益(億円)1,0311,508477 / 46.3%経常損益(億円)2,5894,1971,607 / 62.1%親会社株主に帰属する当期純損益(億円)2,6164,2541,638 / 62.6%為替レート\143.43/US$\152.79/US$\9.36/US$船舶燃料油価格 ※US$621/MTUS$603/MT△US$17/MT※平均補油価格(全油種) 当期の対ドル平均為替レートは、前期比\9.36/US$円安の\152.79/US$となりました。また、当期の船舶燃料油価格平均は、前期比US$17/MT下落し、US$603/MTとなりました。 当期の業績につきましては、売上高1兆7,754億円、営業損益1,508億円、経常損益4,197億円、親会社株主に帰属する当期純損益は4,254億円となりました。 売上高は、エネルギー事業また製品輸送事業のうち自動車船事業等の貢献や円安の影響等により前期比で増収となりました。なお、2024年3月より連結子会社としたFairfield Chemical Carriers Pte. Ltd.も増収に大きく貢献しました。 経常損益では、ドライバルク事業が前期比で減益となったものの、コンテナ船事業を中心に製品輸送事業、エネルギー事業の好業績等により前期比で増益となりました。 親会社株主に帰属する当期純損益には、段階取得に係る差益及び投資有価証券売却益並びに減損損失等が含まれますが、主として経常損益の改善により前期比で増益となりました。 セグメントごとの売上高及びセグメント損益(経常損益)、それらの対前期比較及び概況は以下のとおりです。上段が売上高(億円)、下段がセグメント損益(経常損益)(億円)セグメントの名称前連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)増減額/増減率ドライバルク事業3,9554,00044 / 1.1%372139△232 / △62.5%エネルギー事業4,3785,7151,336 / 30.5%6691,036367 / 55.0%製品輸送事業6,1876,159△28 / △0.5%1,2553,0291,773 / 141.3% うち、コンテナ船事業56359329 / 5.2%5152,1761,660 / 322.4%ウェルビーイングライフ事業1,0461,147100 / 9.6%9081△9 / △10.3% うち、不動産事業40843425 / 6.3%8610923 / 26.7%関連事業49153645 / 9.2%2925△3 / △12.6%その他218194△23 / △10.7%436△36 / △84.2%(注)「売上高」は外部顧客に対する売上高を表示しております。 ① ドライバルク事業 ケープサイズの市況は、上半期は西豪州・ブラジルの鉄鉱石出荷や西アフリカのボーキサイト出荷が堅調で、概ね底堅く推移しました。下半期は、12月から2月にかけてのブラジルの雨季による鉄鉱石出荷の停滞に伴い、船腹需給が緩和したことで一時低迷しましたが、3月以降は出荷量の増加と共に回復基調となりました。 パナマックス以下の市況は、上半期は石炭・穀物の底堅い出荷に加え、中国からの鋼材の旺盛な荷動きに支えられ堅調に推移しました。下半期は、パナマ運河の滞船が解消し船腹の稼働率が上がったこと、中国国内需要の低迷、水域間の需給バランス悪化により低調なマーケットが続いたものの、年明け以降は南米穀物の好調な出荷も伴い、市況は回復基調となりました。 ドライバルク事業全体としては、上期に好況を維持したケープサイズ市況による改善効果はありましたが、前年度計上した貸倒引当金の戻し入れによる利益が剥落した影響という特殊要因もあり、前期比で減益となりました。 ② エネルギー事業<タンカー> 原油船は、限定的な新造船供給や地政学的リスクの高まりを受けたプラス要因と、中国の需要減少やOPECプラスの生産調整等のマイナス要因が打ち消し合い、前期比並みの市況で底堅く推移しましたが、機をとらえた輸送契約の更改により収益性が向上しました。 石油製品船は、中国内需の落ち込みを起因として、製油所の稼働低下に伴う石油製品生産量の減少から中国積み市況への影響はあったものの、米国や中東出しの輸送需要が継続したこと、また限定的な新造船供給により市況は堅調に推移しました。 LPG船は、米国及び中東からの輸出は堅調だったものの、パナマ運河の混雑緩和によるトンマイル減少で、市況は前期比でやや軟化しました。斯かる中、新造船の竣工、契約更改等により前期比で増益となりました。 ケミカル船においては中東情勢を背景に多くの船社が喜望峰経由の航路を選択しているためトンマイルが伸長し、好市況が続きました。加えて、当社100%子会社のMOL Chemical Tankers Pte. Ltd.が2024年3月に株式を取得し、連結子会社としたFairfield Chemical Carriers Pte. Ltd.も増益に貢献しました。 このような事業環境下、タンカー事業全体としては前期比で増益となりました。 <オフショア> FPSO事業においては、三井海洋開発㈱の持分法適用化に伴う株式再評価による、持分法による投資利益の計上もあり、前期比で増益となりました。 <液化ガス> LNG船事業は、既存の長期貸船契約や新造船竣工に伴い安定的な利益を確保しましたが、管理船の入渠等による一時的な費用増により前期比で減益となりました。 LNGインフラ事業は、新規プロジェクトの開始や既存プロジェクトの安定操業により、前期比で増益となりました。 ③ 製品輸送事業<コンテナ船> 新造船大量竣工による船腹供給量の増加が見られましたが、喜望峰経由の輸送による供給制約や欧米航路の力強い荷動きにより引き締まった需給環境が続き、スポット運賃市況も高水準で推移しました。その結果、当社持分法適用会社であるOcean Network Express Pte. Ltd.においても前期比で大幅な増益となりました。 <自動車船> 完成車輸送需要は堅調に推移し、港湾混雑の発生や紅海の避航継続による影響を受けたものの、運航効率の向上や為替の影響等により、前期比で増益となりました。 <その他製品輸送> 港湾事業においては、国内コンテナターミナル事業の取扱量は概ね堅調に推移しました。一方、ロジスティクス事業は、荷動きの回復により航空・海上貨物の取扱量が増加したものの、競争の激化に加え仕入れ価格の上昇により前期比で減益となりました。 ④ ウェルビーイングライフ事業<不動産事業> 当社グループの不動産事業の中核であるダイビル㈱の業績が堅調に推移し、持分法適用会社の増加に伴う持分法による投資利益の計上等により前期比で増益となりました。 <フェリー・内航RORO船> ㈱商船三井さんふらわあにおいては、急激なコストインフレ影響を受けながらも、貨物事業はモーダルシフトの進行により積高が前期比で大幅に増加しました。旅客事業も好調で、5年ぶりにコロナ禍前の乗船客数まで回復し、前期比で増益となりました。 <クルーズ事業> 堅調な旅行需要を捉え、利用客数は好調であったものの、MITSUI OCEAN FUJI就航に向けた費用が先行し、前期比で減益となりました。 ⑤ 関連事業 曳船事業及び商社事業を含む関連事業は前期比で減益となりました。 ⑥ その他 その他の事業には、船舶運航業、船舶管理業、金融業等がありますが、前期比で減益となりました。 (2)生産、受注及び販売の実績 当社グループ(当社及び連結子会社。以下同じ。)は「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載したとおり、6つの事業区分からなり、提供するサービス内容も、多種多様であります。従って、受注の形態、内容も各社ごとに異なっているため、それらをセグメントごとに金額、数量で示しておりません。セグメントの売上高セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)金額(百万円)前期比(%)ドライバルク事業400,015101.1%エネルギー事業571,531130.5%製品輸送事業615,96699.5% うち、コンテナ船事業59,310105.2%ウェルビーイングライフ事業114,772109.6% うち、不動産事業43,404106.3%関連事業53,695109.2%その他19,48989.3%合 計1,775,470109.1% (3)財政状態 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ8,623億円増加し、4兆9,844億円となりました。これは主に船舶が増加したことによるものです。 負債は、前連結会計年度末に比べ5,077億円増加し、2兆2,602億円となりました。これは主に長期借入金が増加したことによるものです。 純資産は、前連結会計年度末に比べ3,545億円増加し、2兆7,242億円となりました。これは主に利益剰余金が増加したことによるものです。 以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ、3.2ポイント低下し、53.9%となりました。 なお、当連結会計年度において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、前連結会計年度末との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いています。 (4)キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて、404億円増加し、1,559億円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が4,527億円となったこと等により、3,604億円(前期3,142億円)となりました。 投資活動によるキャッシュ・フローは、船舶を中心とする固定資産の取得及び売却等により、△4,508億円(前期△3,528億円)となりました。 財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金による収入等により、1,170億円(前期497億円)となりました。 なお、当連結会計年度において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、前連結会計年度末との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いています。 (5)財務戦略 2023年3月に策定した経営計画「BLUE ACTION 2035」において、海運不況時でも黒字を維持できる事業ポートフォリオへの変革に取り組み、着実に利益を積み上げる計画です。Phase 1と位置づけております2023~2025年度の3年間で、2025年4月の最新見通しでは約18,750億円の事業投資を計画しております。事業投資では、財務規律を維持する方針を基本とし、成長投資を実行する過程でのネットギアリングレシオの一時的な上昇は最小限に抑え、ネットギアリングレシオ0.9~1.0を目安にコントロールします。(有利子負債額はIFRS導入後に織り込むべき将来傭船料などオフバランス資産(約9,000億円)を含んだものを想定。なお、本数値は当社が一定の想定の下に試算した概算値で、IFRSを正式に適用した場合の算出値とは相違する可能性があります)。 ① 資金調達の方針 当社は事業活動を支える資金調達に際して、調達の安定性と低コストを重視しております。 また、金利変動リスクや為替変動リスク等を把握し、過度に市場リスクに晒されないように、金利スワップや通貨スワップ等の手法も利用しながら、金利固定化比率や借入通貨構成をリスク許容範囲に収めるようにしております。 ② 資金調達の多様性 当社は調達の安定性と低コスト調達を実現するために、調達方法の多様化や調達期間の分散を進めております。 直接調達については、2024年度には新規の国内普通社債発行を実施しており、2024年5月に266億円、2025年1月に180億円を発行しました。 2025年3月末の国内普通社債発行残高は886億円、劣後特約付社債発行残高は500億円となっております。円滑な直接調達を進めるため、当社は国内2社及び海外1社の格付機関から格付を取得しており、2025年3月末時点の発行体格付は格付投資情報センター(R&I)「A」、日本格付研究所(JCR)「A+」、ムーディーズ・インベスターズ・サービス(Moody’s)「Ba1」となっております。また、短期債格付(CP格付)についてはR&I/JCRより「a-1」/「J-1」を取得しております。 当社は社債発行残高の上限として2,000億円の社債発行登録、CP発行枠として1,500億円を設定しているほか、政府系や内外金融機関との幅広い取引関係をベースとする間接調達により、運転資金や設備資金の需要に迅速に対応できるものと考えております。 更に、安定的な経常運転資金枠の確保・緊急時の流動性補完を目的に国内金融機関から円建て及び米ドル建てのコミットメントラインを設定しており、資金の流動性確保に努めております。 当社の環境戦略を資金調達の面から支えるESGファイナンスについては、2024年4月にシンジケーション方式トランジション・リンク・ローン、2024年9月にトランジション・リンク・ローンを組成しております。 ③ 資金需要 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、各事業運営に関する海運業費用です。この中には燃料費・港費・貨物費等の運航費、船員費・船舶修繕費等の船費及び借船料などが含まれます。このほか物流事業の運営に関わる労務費等の役務原価、各事業についての人件費・情報処理費用・その他物件費等の一般管理費があります。また、設備資金需要としては、船舶への投資に加え、非海運事業の拡大方針に則った不動産・物流設備・フェリー等への投資があり、当連結会計年度中に4,536億円の設備投資を実施しました。 ④ グループ資金の効率化 当社及び主要子会社間でキャッシュマネージメントサービス(CMS)を導入しており、グループ内の資金効率化を図ることにより、外部借入の削減に努めております。 (6)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。その作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。・契約損失引当金 詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。・固定資産の減損 当社グループは、資産又は資産グループが使用されている事業の経営環境及び営業活動から生ずる損益等から減損の兆候判定を行っており、減損の兆候が識別された場合、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて回収可能価額まで減損処理を行うこととしております。将来の市況悪化等により減損の兆候及び認識の判定の前提となる事業計画等が修正される場合、減損処理を行う可能性があります。・貸倒引当金 当社グループは、売上債権及び貸付金等の貸倒損失に備えて回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しております。将来、債務者の財政状況の悪化等の事情によってその支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。 (7)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況 当期の業績は、コンテナ船事業、自動車船事業、ケミカル船事業の好市況に支えられ、経常利益4,197億円、税金等調整前当期純利益4,527億円を達成し、グループ経営計画「BLUE ACTION 2035」Phase 1 最終年度である2025年度の利益目標として定めた、税引前当期純利益2,400億円を前倒しで達成する結果となりました。 ドライバルク事業は、長期契約による利益貢献がありつつも中国内需の低迷等により市況が低迷し、また、前期に計上した貸倒引当金の戻し入れによる利益の剥落の影響もあり、前期比で減益となりました。エネルギー事業は、タンカー・LNG船・FPSOの各事業での長期契約による安定収益に加え、限定的な新造船供給や地政学リスクの影響に伴うトンマイルの伸長により市況が堅調に推移し、特にケミカル船事業において高水準の市況を享受し、前期比で増益となりました。コンテナ船事業は、喜望峰ルートの長期化、港湾混雑、コンテナ不足により、船腹・コンテナ需給が逼迫し運賃市況が高水準で推移した結果、前期比で大幅増益となりました。自動車船事業は、完成車輸送需要が堅調に推移した結果、通年で好市況を享受し、前期比で増益となりました。不動産事業は、既存物件の賃貸収入に加え、持分法適用会社における投資利益の計上により、前期比で増益となりました。フェリー・内航RORO船事業は、貨物輸送が前期比で増加し、旅客輸送もコロナ禍前の乗船客数に達したことから、前期比で増益となりました。 2025年度は、コンテナ船事業・自動車船事業・ケミカル船事業の市況がピークアウトし、米国の関税政策によりインフレ進行・世界経済停滞が懸念される中、荷動きの弱含みと円高影響を見込み、前期比で減益を見込んでいます。ロシア・ウクライナや中東情勢等の地政学的緊張の継続を始めとして当社グループを取り巻く事業環境の不確実性は引き続き高いですが、「BLUE ACTION 2035」に基づき、グローバルな社会インフラ事業への飛躍に向けて邁進します。 経営計画の主な内容は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。なお、「BLUE ACTION 2035」で掲げるCore KPI・利益計画・投資計画・財務計画は以下のとおりです。 <Core KPI> グループ経営計画「BLUE ACTION 2035」では、その目標の達成状況を判断するための指標(Core KPI)として、3つの財務KPI・5つの非財務KPIを設定しています。 <利益計画> BLUE ACTION 2035」では2035年度4,000億円という利益目標を設定しており、Phase 1(2023~2025年度)の期間では経営計画で掲げた目標を堅持する方針としています。なお、将来的な国際財務報告基準(IFRS)の適用を想定し、利益目標の数値は税引前当期純利益(*)としています。(*)日本会計基準を前提に算出しており、国際財務報告基準(IFRS)を適用した場合の算出値とは相違する可能性があります。 <投資計画> 「BLUE ACTION 2035」では、2023~2035年度の累計で約3.8兆円の投資を想定しています。うち、Phase 1(2023~2025年度)の3年間では総額13,400億円の投資(*)計画を設定しており、これまで、この投資計画を超過する累計18,750億円の投資に目途が付いております。その中でも、当社及び世界のGHG排出量削減に貢献する環境投資については9,590億円を意思決定しています。(*)いずれも対象期間中に発生する投資キャッシュアウト額を示す。 <財務計画> 2024年度の業績とONEが計画する特別配当を反映することで、3年間累計の営業キャッシュ・フローが当初計画比で約2,500億円上振れする見込みです。あわせて、外部資金調達と資産入替を進め、追加の投資と株主還元の実施を進めます。 また、当社の株主還元方針は、積上げた利益で積極投資を行い、利益を拡大し、企業価値を高めていく従来の方向性から変更はありません。Phase 1(2023~2025年度)では配当性向30%、1株当たりの最低保証配当額を150円とする方針を維持し、海運市況サイクルが低位を推移するときでも配当額が過小となることを防ぎつつ安定配当に努めます。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものです。 |
※本記事は「株式会社 商船三井」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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