会社名 | 三井不動産株式会社 |
業種 | 不動産業 |
従業員数 | 連26630名 単1928名 |
従業員平均年齢 | 42.4歳 |
従業員平均勤続年数 | 16.4年 |
平均年収 | 17562000円 |
1株当たりの純資産 | 1135.07円 |
1株当たりの純利益(連結) | 89.26円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 31円 |
配当性向 | 41.6% |
株価収益率(PER) | 14.9倍 |
自己資本利益率(ROE)(連結) | 8% |
営業活動によるCF | 5992億円 |
投資活動によるCF | ▲3219億円 |
財務活動によるCF | ▲2693億円 |
研究開発費※1 | 10.15億円 |
設備投資額※1 | 27.06億円 |
販売費および一般管理費※1 | 611.1億円 |
株主資本比率※2 | 29.9% |
有利子負債残高(連結)※3 | 39233.43億円 |
経営方針
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1)会社の経営の基本方針 当社グループは、経営理念である「GROUP DNA」および「GROUP MISSION」、経営理念に基づき当社グループが重点的に取り組む課題である「GROUP MATERIALITY」を定め、これらのもと、企業としての成長と社会的な価値の創出に積極的に取り組んでおります。 また、2024年4月にはグループ長期経営方針である「& INNOVATION 2030」を策定し、2030年度前後における当社グループの「ありたい姿」を「産業デベロッパーとして、社会の付加価値の創出に貢献」することと位置づけ、それを実現する事業戦略として、「三本の道」を通じた成長の実現と、財務戦略として、「成長・効率・還元」を三位一体で捉えた経営の推進に取り組んでおります。 (2)会社の長期経営方針、経営環境及び対処すべき課題 ①グループ長期経営方針「& INNOVATION 2030」の骨格 当社グループは、2030年度前後における当社グループの「ありたい姿」を「産業デベロッパーとして、社会の付加価値の創出に貢献」することと位置付けています。 当社グループの価値創造においては、「社会的価値の創出」と「経済的価値の創出」を車の両輪としており、社会的価値を創出することが、経済的価値の創出につながり、その創出した経済的価値により、更に大きな社会的価値の創出につなげてまいります。 そして、それを実現する事業戦略として、「三本の道」を通じた成長の実現と、財務戦略として、「成長・効率・還元」を三位一体で捉えた経営の推進に取り組んでまいります。 (グループ長期経営方針「& INNOVATION 2030」の骨格) ②グループ長期経営方針「& INNOVATION 2030」の事業戦略事業戦略として、1.「コア事業の更なる成長」、2.不動産領域における「新たなアセットクラスへの展開」、3.不動産領域を超えた「新事業領域の探索、事業機会獲得」の、「三本の道」を設定いたしました。コア事業およびその周辺領域での成長を進め、既存の不動産領域にとどまらず、新事業領域でのビジネス機会の獲得を目指すという両利きの経営を実践してまいります。 (事業戦略「三本の道」の全体像)(注)グループ長期経営方針「& INNOVATION 2030」の詳細については、下記をご参照ください。 URL: https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/innovation2030/pdf/innovation2030.pdf ③グループ長期経営方針「& INNOVATION 2030」の財務戦略 企業価値を最大化していくために、財務戦略においては、「成長・効率・還元」を三位一体で捉え、それらを安定・継続的に維持向上させてまいります。具体的な取り組み方針については以下のとおりです。 (「成長・効率・還元」の維持向上のための取り組み) ④経営環境及び対処すべき課題2026年3月期は、昨年4月に策定したグループ長期経営方針「& INNOVATION 2030」の2年目となります。足下の事業環境はめまぐるしく変化しており、世界情勢を展望すると、4月に発動された米国の通商政策や世界規模の地政学的リスクの高まり等を受け、世界経済のブロック化やそれに伴う景気後退の懸念、安全保障リスクの高まり等、極めて不安定な状態が継続することが予想されます。国内においては、賃金と物価の好循環の動きがある一方で、建築費の高騰や人手不足、金利の上昇といった様々なリスク要因が存在し、上記世界情勢と絡み合うことで、事業環境は極めて不透明な状況にあります。これらをすべて予測することは困難であり、これらの変化に柔軟に対応する力が求められます。このような環境下において、当社グループにおきましては、「& INNOVATION 2030」で示した事業戦略を着実に実行し、市場からのデカップリングを通じて、めまぐるしく変化する事業環境への耐性をより強固なものとすることで、「& INNOVATION 2030」に掲げた目標の達成を実現してまいります。来期業績予想につきましては、営業収益2兆7,000億円、営業利益3,800億円、事業利益4,250億円、親会社株主に帰属する当期純利益2,600億円を計画しております。 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、グループ長期経営方針「& INNOVATION 2030」において、2026年度および2030年度前後の定量目標を以下のとおり定めております。 |
経営者による財政状態の説明
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループの財政状態及び経営成績の状況の概要は、以下のとおりであります。 ①財政状態および経営成績の状況a.財政状態◆資産 当期末の総資産は、9兆8,598億円となり、前期末比で3,703億円増加しました。 主な増減としては、新規投資等により有形・無形固定資産が3,018億円増加、販売用不動産(仕掛販売用不動産、開発用土地、前渡金を含む)が1,254億円増加した一方で、投資有価証券が時価評価等により1,349億円減少しました。 なお、当期の設備投資額は3,627億円、減価償却費は1,405億円でした。◆負債 当期末の有利子負債(短期借入金、ノンリコース短期借入金、コマーシャル・ペーパー、1年内償還予定の社債、ノンリコース1年内償還予定の社債、社債、ノンリコース社債、長期借入金、ノンリコース長期借入金の合計額)は、4兆4,160億円となり、前期末比で143億円減少しました。 なお、資金調達の流動性補完を目的として、コミットメントラインを複数の金融機関との間で設定しており、未使用のコミットメントラインが4,000億円あります。 また、当期末の流動比率(流動資産/流動負債)は、前期末の211%から低下し171%となりました。◆純資産 当期末の純資産合計は、3兆2,707億円となり、前期末比で360億円の増加となりました。これは、利益剰余金が1,233億円、為替換算調整勘定が961億円増加した一方で、その他有価証券評価差額金が1,690億円減少したこと等によります。 当期末の自己資本比率は31.9%と前期末の32.8%から低下し、D/Eレシオ(有利子負債/自己資本)は1.40倍と前期末の1.42倍から低下しました。なお、1株当たり純資産額は、1,135.07円(前期末は1,109.89円)となりました。 b.経営成績 当社グループの連結業績につきましては、売上高は2兆6,253億円(前期比2,420億円増、10.2%増)、事業利益3,986億円(前期比525億円増、15.2%増)、経常利益2,902億円(前期比223億円増、8.4%増)となりました。これに特別利益として投資有価証券売却益545億円や固定資産売却益291億円を計上し、特別損失として減損損失108億円等を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は2,487億円(前期比241億円増、10.8%増)となりました。 報告セグメント別の業績は、次のとおりです。 なお、当連結会計年度よりセグメント利益を営業利益から事業利益に変更しており、前連結会計年度の報告セグメントごとの利益又は損失の金額は、変更後の算定方法に基づき算定したものを開示しています。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等) セグメント情報」の「2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額の算定方法」に記載のとおりであります。 各セグメントの売上高は、外部顧客に対する売上高を記載しており、特に記載のない場合、単位は百万円となっております。 ◆ 賃貸 当期(2024.4.1~2025.3.31)前期(2023.4.1~2024.3.31)増減売上高872,331815,00257,329事業利益176,429169,0977,332 国内外オフィスの賃貸収益や既存商業施設の売上の伸長等により、セグメント全体では、573億円の増収、73億円の増益となりました。なお、当期末における当社の首都圏オフィス空室率(単体)は1.3%(第3四半期末の2.5%から1.2pt改善)となりました。 <売上高の内訳> 当期(2024.4.1~2025.3.31)前期(2023.4.1~2024.3.31)増減オフィス466,601446,08720,513商業施設299,100286,55312,547その他106,62882,36024,268合計872,331815,00257,329 ・貸付面積の状況(単位:千㎡) 当期末(2025.3.31)前期末(2024.3.31)増減オフィス 所有2,0592,060△1 転貸1,5731,54528商業施設 所有2,0052,010△5 転貸70866741 ・期末空室率推移(%) 2025/32024/32023/32022/32021/32020/32019/32018/3オフィス・商業施設(連結)3.53.84.33.02.92.31.82.4首都圏オフィス(単体)1.32.23.83.23.11.91.72.2地方オフィス(単体)3.43.22.83.73.51.31.82.3 <当期における主要な新規・通期稼働物件>・新規稼働物件(当期稼働物件)パークウェルステイト幕張ベイパーク千葉県千葉市2024年9月開業シニアレジデンスパークウェルステイト西麻布東京都港区2024年10月開業シニアレジデンスパークウェルステイト湘南藤沢SST神奈川県藤沢市2024年10月開業シニアレジデンス三井アウトレットパーク マリンピア神戸兵庫県神戸市2024年11月開業商業施設三井アウトレットパーク 台湾林口 Ⅱ館台湾新北市2024年11月開業商業施設 ・通期稼働物件(前期稼働物件)ららぽーと門真・三井アウトレットパーク 大阪門真大阪府門真市2023年4月開業商業施設ららぽーと台中台湾台中市2023年5月開業商業施設ららテラスTOKYO-BAY千葉県船橋市2023年11月開業商業施設ららテラスHARUMI FLAG東京都中央区2024年3月開業商業施設 <単体の賃貸事業内訳>・全体 当期(2024.4.1~2025.3.31)前期(2023.4.1~2024.3.31)売上高732,733702,491粗利益132,015121,904粗利益率(%)18.017.4 ・オフィス・商業施設 オフィス商業施設 首都圏地方合計首都圏地方合計売上高320,87324,075344,948174,16596,454270,620貸付面積(千㎡)2,5812792,8601,4409152,355棟数(棟)9322115702898空室率(%)1.33.41.51.83.02.3 ◆ 分譲 当期(2024.4.1~2025.3.31)前期(2023.4.1~2024.3.31)増減売上高758,069627,611130,458事業利益167,078135,18731,891 国内住宅分譲は、「パークタワー勝どきサウス」「三田ガーデンヒルズ」等の引渡しの進捗等により増収増益とな りました。一方、投資家向け・海外住宅分譲等は、販売用不動産・固定資産をトータルで捉えた資産回転の加速によ り物件売却が進捗するも、前期に高利益率物件を売却した反動等により、増収減益となりました。セグメント全体では、1,304億円の増収、318億円の増益となりました。なお、国内の新築マンション分譲の次期計上予定戸数2,800戸に対する契約達成率は88.4%となりました。 <売上高・事業利益の内訳> 当期(2024.4.1~2025.3.31)前期(2023.4.1~2024.3.31)増減国内住宅分譲 売上高413,574314,40099,174 事業利益96,43149,78846,643投資家向け・海外住宅分譲等 売上高344,495313,21031,284 事業利益70,64785,399△14,752売上高合計758,069627,611130,458事業利益合計167,078135,18731,891 <国内住宅分譲内訳>・売上高等の内訳 当期(2024.4.1~2025.3.31)前期(2023.4.1~2024.3.31)増減マンション377,592(3,693戸)280,561(3,280戸)97,031(413戸) 首都圏346,925(3,182戸)253,923(2,665戸)93,002(517戸) その他30,667(511戸)26,638(615戸)4,029(△104戸)戸建35,981(417戸)33,839(420戸)2,142(△3戸) 首都圏33,908(388戸)33,839(420戸)69(△32戸) その他2,072(29戸)-(0戸)2,072(29戸)売上高合計413,574(4,110戸)314,400(3,700戸)99,174(410戸) ・契約状況 マンション戸建合計期首契約済み(戸) (A)4,425594,484期中契約(戸) (B)3,1124013,513計上戸数(戸) (C)3,6934174,110期末契約済み(戸) (A)+(B)-(C)3,844433,887完成在庫(戸)322254新規発売(戸)3,0724023,474(注)契約済み戸数、新規発売戸数には、次期以降に計上が予定されている戸数も含まれております。 ・期末完成在庫推移(戸) 2025/32024/32023/32022/32021/32020/32019/32018/3マンション32245582150128141108戸建22220717583040合計54465589167186171148 ・当期における主要な計上物件(国内住宅分譲)パークタワー勝どきサウス東京都中央区マンション三田ガーデンヒルズ東京都港区マンションパークタワー西新宿東京都新宿区マンションパークタワー勝どきミッド東京都中央区マンション ・当期における主要な計上物件(投資家向け分譲・海外住宅分譲)横浜三井ビルディング神奈川県横浜市オフィスOtemachi One タワー東京都千代田区オフィスMFIP多摩東京都多摩市データセンターCortland米国ニューヨーク市マンション200 Amsterdam米国ニューヨーク市マンション ◆ マネジメント 当期(2024.4.1~2025.3.31)前期(2023.4.1~2024.3.31)増減売上高486,291462,85723,434事業利益71,64266,2895,352 プロパティマネジメントは、リパーク(貸し駐車場)における前期比での稼働向上の一方で、システム関係費用の 増加等により増収微減益となりました。仲介・アセットマネジメント等は、リハウス(個人向け仲介)における取引 単価向上・AUMの拡大等により増収増益となりました。セグメント全体では、234億円の増収、53億円の増益となりました。 <売上高・事業利益の内訳> 当期(2024.4.1~2025.3.31)前期(2023.4.1~2024.3.31)増減プロパティマネジメント 売上高(※1)361,400347,02514,375 事業利益38,46438,554△89仲介・アセットマネジメント等 売上高124,891115,8319,059 事業利益33,17727,7355,442売上高合計486,291462,85723,434事業利益合計71,64266,2895,352 ※1 当期末のリパーク(貸し駐車場)管理台数の状況 リパーク管理台数:247,740台(前期末:247,046台) ・三井不動産リアルティの仲介事業の状況(仲介・アセットマネジメント等に含む) 当期(2024.4.1~2025.3.31)前期(2023.4.1~2024.3.31)増減 取扱高件数取扱高件数取扱高件数仲介2,218,842(38,103件)1,934,599(38,680件)284,242(△577件) ・三井不動産レジデンシャルの販売受託事業の状況(仲介・アセットマネジメント等に含む) 当期(2024.4.1~2025.3.31)前期(2023.4.1~2024.3.31)増減 取扱高件数取扱高件数取扱高件数販売受託116,045(1,056件)67,951(870件)48,094(186件) ◆ 施設営業 当期(2024.4.1~2025.3.31)前期(2023.4.1~2024.3.31)増減売上高224,054194,51229,542事業利益38,61026,33312,277 ホテル・リゾートのADRが大幅に上昇したことや、東京ドームにおける稼働日数・来場者数の増加等により、セグメント全体では、295億円の増収、122億円の増益となりました。 <売上高の内訳> 当期(2024.4.1~2025.3.31)前期(2023.4.1~2024.3.31)増減ホテル・リゾート162,105140,57721,528スポーツ・エンターテインメント61,94853,9348,013合計224,054194,51229,542 ・ホテル稼働率 当期(2024.4.1~2025.3.31)前期(2023.4.1~2024.3.31)増減宿泊主体型ホテル82%83%△1pt <当期における主要な新規・通期稼働物件>・新規稼働物件(当期稼動物件)LaLa arena TOKYO-BAY千葉県船橋市2024年5月開業アリーナ三井ガーデンホテル京都三条プレミア京都府京都市2024年7月開業ホテル三井ガーデンホテル銀座築地東京都中央区2024年9月開業ホテル ・通期稼働物件(前期稼働物件)ブルガリ ホテル 東京東京都中央区2023年4月開業ホテル三井ガーデンホテル横浜みなとみらいプレミア神奈川県横浜市2023年5月開業ホテル ◆ その他 当期(2024.4.1~2025.3.31)前期(2023.4.1~2024.3.31)増減売上高284,616283,3061,310事業利益6,5694,1512,417 <売上高の内訳> 当期(2024.4.1~2025.3.31)前期(2023.4.1~2024.3.31)増減新築請負・リフォーム等244,370245,948△1,577その他40,24537,3572,887合計284,616283,3061,310 ・受注工事高内訳 当期(2024.4.1~2025.3.31)前期(2023.4.1~2024.3.31)増減新築請負138,680131,7926,888 ②キャッシュ・フローの状況 当期末における現金及び現金同等物の残高は、前期末比で159億円減少し、1,632億円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次の通りです。 ◆営業活動によるキャッシュ・フロー 当期は、営業活動により5,992億円の増加となりました。これは、税金等調整前当期純利益3,630億円や減価償却費1,405億円等によるものです。一方で、法人税等の支払額又は還付額1,002億円等による減少がありました。 ◆投資活動によるキャッシュ・フロー 当期は、投資活動により3,219億円の減少となりました。これは、有形及び無形固定資産の取得による支出2,714億円、投資有価証券の取得による支出1,370億円等によるものです。一方で、投資有価証券の売却による収入1,035億円、預り敷金保証金の受入による収入493億円等による増加がありました。 ◆財務活動によるキャッシュ・フロー 当期は、配当金の支払や借入金の返済等により、財務活動によるキャッシュ・フローは2,693億円の減少となりました。 ③生産、受注および販売の状況 生産、受注および販売の状況については、「①財政状態および経営成績の状況」における報告セグメント別の業績に関連付けて示しています。(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下の通りです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容a.経営成績等 当社グループの連結業績につきましては、売上高は2兆6,253億円(前期比2,420億円増、10.2%増)、事業利益3,986億円(前期比525億円増、15.2%増)、経常利益2,902億円(前期比223億円増、8.4%増)となりました。これに特別利益として投資有価証券売却益545億円や固定資産売却益291億円を計上し、特別損失として減損損失108億円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は2,487億円(前期比241億円増、10.8%増)となりました。また、当連結会計年度末の総資産は9兆8,598億円となり、有利子負債残高は4兆4,160億円となりました。 b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 当連結会計年度のわが国経済は、2024年7月に日経平均株価が史上最高値を更新し、公示地価上昇率や賃上げ率はバブル期以来の伸びを記録するなど、幅広い分野でインフレ経済への回帰がみられ、雇用・所得環境の改善等が相まって、景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方、米国の予測不能な通商政策や、世界規模の地政学的リスクによる不透明感がこれまでになく高まっており、これらが世界経済や国際金融資本市場に与える影響を、今後最大限注視する必要があります。 このような事業環境のもと、当社グループは、2024年4月にグループ長期経営方針「& INNOVATION 2030」を策定し、各種事業を推進してまいりました。 オフィス賃貸事業については、好立地と高い管理品質を兼ね備えた競争力の高い物件ポートフォリオに加え、ソフトサービスの提供等、テナント企業の様々なニーズに対応することで低い空室率を維持しており、堅調に推移しました。また、オフィス・商業施設・劇場・バスターミナル等を含むミクストユース型プロジェクトとなる「八重洲二丁目中地区第一種市街地再開発事業」(東京都中央区)の着工等、様々な事業を推進いたしました。 商業施設賃貸事業については、「三井アウトレットパーク マリンピア神戸」(兵庫県神戸市)が全面建替えにより拡大再オープンし好調なスタートを切ったことに加え、各施設におけるスポーツ・エンターテインメントを活かした施策による来館価値の向上や会員プログラムの拡充等により、当社施設全体の売上は1年を通して好調に推移しました。また、株式会社MIXIとの共同事業である大型多目的アリーナ「LaLa arena TOKYO-BAY(ららアリーナ 東京ベイ)」(千葉県船橋市)が順調に稼働を開始するとともに、周辺当社商業施設との相乗効果も表れ始めるなど、スポーツ・エンターテインメントを活かした街づくりが着実に進捗しました。 住宅分譲事業については、「暮らし方」「働き方」の多様化に伴う顧客ニーズの変化を的確に捉え、「パークタワー勝どきミッド/サウス」(東京都中央区)、「三田ガーデンヒルズ」(東京都港区)等を売上に計上いたしました。また、シニアレジデンス事業では、三井のシニアレジデンスにおける都心初・シリーズ最高水準の商品企画となる「パークウェルステイト西麻布」(東京都港区)を開業いたしました。 物流施設賃貸事業については、引き続きEC事業拡大等による物流施設への需要の高まりを的確に捉え、都内最大の街づくり型物流施設である「三井不動産ロジスティクスパーク・LOGIFRONT東京板橋」(東京都板橋区)を竣工させるなど、事業規模を着実に拡大いたしました。 ホテル施設運営事業については、上質な滞在体験の提供を通じた滞在価値の最大化を図ることで、増加するインバウンド需要を的確に取込み、多くのホテルで過去最高の業績を達成いたしました。また、「三井ガーデンホテル京都三条プレミア」(京都府京都市)、「三井ガーデンホテル銀座築地」(東京都中央区)を新たに開業いたしました。 これらの様々な施策を通じて、売上高、営業利益、事業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のすべてにおいて、期中に公表した連結業績予想を上回る結果となりました。 c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループでは、2024年4月にグループ長期経営方針「& INNOVATION 2030」を策定し、2026年度に向けて、EPS成長率は+8%/年以上、ROEは8.5%以上、総還元性向は毎期50%以上、事業利益は4,400億円以上、親会社株主に帰属する当期純利益は2,700億円以上を達成することを主な目標指標といたしました。また、2030年度前後には、EPS成長率は+8%/年以上、ROEは10%以上を達成することを目標指標としております。なお、EPS成長率につきましては、2024年2月9日に公表済みの2024年3月期連結業績予想における、1株当たり当期純利益235.60円(2024年4月1日付の株式分割後基準では78.53円)を起点とした、年平均成長率として定義しております。 当連結会計年度におけるEPS成長率は+13.7%/年、ROEは8.0%、総還元性向は52.7%、事業利益は3,986億円、親会社株主に帰属する当期純利益は2,487億円となりましたが、グループ長期経営方針初年度としては、目標指標の達成に向けて順調に推移していると判断しております。 当社グループの連結業績につきましては、売上高は2兆6,253億円となり、通期業績予想2兆6,000億円に比べて253億円上回り(1.0%増)、事業利益は3,986億円となり、通期業績予想3,900億円に比べて86億円上回り(2.2%増)、経常利益は2,902億円となり、通期業績予想2,800億円に比べて102億円上回り(3.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,487億円となり、通期業績予想2,400億円に比べて87億円上回りました(3.7%増)。 報告セグメントごとの連結業績に関する通期業績予想比については次のとおりです。 賃貸セグメントにおいては、事業利益は1,764億円となり、通期業績予想1,750億円よりも14億円の増益となりました。 分譲セグメントにおいては、国内住宅分譲および投資家向け・海外住宅分譲等の事業利益はともに概ね想定通りとなりました。セグメント全体では事業利益は1,670億円となり、通期業績予想1,700億円よりも△29億円の減益となりました。 マネジメントセグメントにおいては、事業利益は716億円となり、通期業績予想700億円よりも16億円の増益となりました。 施設営業セグメントにおいては、主に東京ドームグループおよびホテル・リゾート事業の営業状況が想定を上回り、事業利益は386億円となり、通期業績予想350億円よりも36億円の増益となりました。 その他セグメントにおいては、三井ホームグループにおける粗利益の改善等により、事業利益は65億円となり、通期業績予想0円よりも65億円の増益となりました。 <連結セグメント別業績(通期予想比)> 当期(2024.4.1~2025.3.31)2025年3月期通期業績予想(2024.4.1~2025.3.31)増減 売上高事業利益売上高事業利益売上高事業利益賃貸872,331176,429830,000175,00042,3311,429分譲758,069167,078800,000170,000△41,930△2,921マネジメント486,29171,642470,00070,00016,2911,642施設営業224,05438,610210,00035,00014,0543,610その他284,6166,569290,0000△5,3836,569消去又は全社-△61,641-△60,000-△1,641合計2,625,363398,6882,600,000390,00025,3638,688 (注)2025年2月7日公表時の通期業績予想となります。 当連結会計年度の当社グループの経営資源の配分・投入につきましては、有形・無形固定資産について、設備投資3,627億円、減価償却費1,405億円となり、販売用不動産について、新規投資6,074億円、原価回収5,612億円となりました。 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 当社グループの主要な資金需要は、国内のビル賃貸事業や商業施設賃貸事業等における新規投資や、販売用不動産の取得、および海外事業の拡大に伴う開発資金等であります。これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、金融機関からの借入や社債およびコマーシャル・ペーパーの発行による資金調達等にて対応していくこととしております。また、手元の運転資金につきましては、当社及び一部の連結子会社においてキャッシュ・マネジメント・システムを導入することにより、資金効率の向上を図っております。 当連結会計年度においては、シニアサービスレジデンス「パークウェルステイト西麻布」、「パークウェルステイト幕張ベイパーク」、「パークウェルステイト湘南藤沢SST」への投資等、投資活動により3,219億円キャッシュ・フローが減少しました。また、配当金の支払や借入金の返済等の財務活動により2,693億円キャッシュ・フローが減少しましたが、営業活動によるキャッシュ・フロー5,992億円で充当し、現金及び現金同等物の期末残高が1,632億円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因につきましては、前記「(1)経営成績等の状況の概要/②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。 翌連結会計年度においては、新規・既存物件への投資等が計画されておりますが、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、借入金の調達等の財務活動によるキャッシュ・フローで対応していく予定です。 ③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。当社グループの連結財務諸表で採用する会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。 |
※本記事は「三井不動産株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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