三井化学株式会社の基本情報

会社名三井化学株式会社
業種化学
従業員数連17320名 単5259名
従業員平均年齢40歳
従業員平均勤続年数16年
平均年収8506254円
1株当たりの純資産2967.54円
1株当たりの純利益(連結)170.56円
決算時期3月
配当金150円
配当性向110.9%
株価収益率(PER)12.11倍
自己資本利益率(ROE)(連結)10.1%
営業活動によるCF1652億円
投資活動によるCF▲603億円
財務活動によるCF▲873億円
研究開発費※147億円
設備投資額※1398.71億円
販売費および一般管理費※1611.1億円
株主資本比率※230.2%
有利子負債残高(連結)※3※40円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1) 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題当社グループは、「地球環境との調和の中で、材料・物質の革新と創出を通して高品質の製品とサービスを顧客に提供し、もって広く社会に貢献する」ことを企業グループ理念として掲げ、ESGを中核に据えた経営を行っていくことで、事業活動を通じた社会貢献を目指しております。また、目指すべき企業グループ像として、「化学の力で社会課題を解決し、多様な価値の創造を通して持続的に成長し続ける企業グループ」を掲げております。2021年度に策定した長期経営計画「VISION 2030」では、当社グループが目指す未来社会「環境と調和した循環型社会」、「健康・安心にくらせる快適社会」、「多様な価値を生み出す包摂社会」の実現に向けて、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)を特定し、それらを前提に5つの基本戦略を策定しました。「社会課題視点」、「ソリューション型ビジネスモデル」、「サーキュラーエコノミー型ビジネスモデル」、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を全社・全事業に展開して従来型の素材提供型ビジネスからの転換を図るとともに、強靭な「経営基盤・事業基盤」を構築し、変革を加速してまいります。                 <目指す未来社会/マテリアリティ>                 <VISION 2030基本戦略>  また、マテリアリティに紐づくKPIを非財務指標として定めております。KPIマネジメントを推進することにより、事業・機能部門の相互連携を強化し、VISION 2030の実行力の強化に取り組んでおります。(KPIの詳細は次頁をご参照ください)。 <VISION 2030 計数目標(KPI)>財務KPI目標(2028年度)目標(2030年度)コア営業利益2,000億円2,500億円親会社の所有者に帰属する当期利益1,100億円1,500億円以上ROE10%以上13%以上ROIC7%以上9%以上NET D/E0.8以下0.8以下 マテリアリティ非財務KPI目標(2030年度)持続可能な社会への貢献・気候変動・サーキュラーエコノミー・健康とくらし・住みよいまち・食の安心・ライフサイクル全体を意識した製品設計Blue ValueR製品売上収益比率40%Rose ValueR製品売上収益比率40%GHG排出量削減率(Scope1、2)40%(2013年度比) 事業継続の前提となる課題人権尊重人権リスクへの対応国内外全拠点での人権デュー・ディリジェンスシステム構築によるリスク把握と是正安全重大事故・重大労災件数ゼロ(VISION 2030期間を通じて)コンプライアンス重大な法令・ルール違反数品質PL事故、重大品質インシデント件数安定生産生産及び設備信頼性高額損失トラブル件数 ゼロ 事業継続に不可欠な能力企業文化エンゲージメントスコア50%人的資本戦略重要ポジション後継者候補準備率250%執行役員多様化人数(女性・外国籍・中途採用)10名以上(うち、女性3名以上、提出会社)女性管理職(課長級以上)比率15%(提出会社)生活習慣病平均有所見率8.0%以下(提出会社)メンタル不調休業強度率0.25(提出会社)デジタルトランスフォーメーションデータサイエンティスト数165名(2025年度)イノベーション事業部所管テーマ数2倍以上(2020年度比)未来技術創生センターにおける開発新領域数3領域以上パートナーシップ持続可能な調達率80%  (注)Blue ValueRとRose ValueRとは、当社グループが目指す未来社会実現のため、提供する製品・サービスの環境および社会への貢献を見える化し、その価値をステークホルダーの方々と共有できるようにしたものです。製品・サービスを用途別に独自の指標で評価し、環境貢献価値の高いものをBlue ValueR製品、QOL向上貢献価値の高いものをRose ValueR製品として認定しております。  また、2030年度目標の通過点である2028年度の目標の達成に向け、次の基本方針にてスピード感を持って戦略を実行してまいります。 [基本方針]方針内容事業ポートフォリオ変革の追求・地域・他社連携を進め、クラッカー最適生産体制構築始め、ベーシック&グリーン・マテリアルズの再構築第2幕を加速し、ボラティリティ低減と安定的なキャッシュ創出を図り、自立的な運営体制を構築する。・強みを活かせる差別化分野へのM&A・提携も含めた集中的な資源投下、再構築の加速、聖域なきポートフォリオ入れ替えで成長加速と資本効率改善を図る。・グローバル視点でグループ内資源を最大活用し、成長領域を中心に新興市場を含めたグローバル展開を加速する。ソリューション型ビジネスモデルの構築CTO室を核とした社内横串連携と資源最適配分による新事業育成強化、新設した共創空間の積極活用による社内外連携を強化し、ビジネスモデル転換を図る。サーキュラーエコノミーへの対応強化ファーストムーバーとして燃料転換や東・西コンビナートの地域・他社連携を更に推し進め、カーボンニュートラル技術の早期社会実装を目指す。DXを通じた企業変革IT・データ基盤強化を着実に進め、生成AI活用等のDX施策によるマーケティング業務効率の向上を図り、企業変革とマネタイズの実現を目指す。経営基盤・事業基盤の変革加速・グローバル視点でグループ内資源を最大限活用し、新市場・新事業展開を加速する。・財務・非財務双方の視点での実効性あるKPIマネジメント、リスクと機会両面からのリスクマネジメントのPDCAを着実に回し、企業価値向上に繋げる。・設備信頼性の向上、更なる安全安定運転実現のために抜本対策PJを推進する。・業務効率化による間接部門の強化とグループ最適視点でのコスト削減を実行する。 また、当社は、長期経営計画に基づき毎年向こう3ヵ年の事業計画の見直しを行うというローリング方式を採用しています。社会環境の変化が急速かつ大きくなる中で、長期的な視野を持ちつつ、経営の環境適応性を高め、戦略推進を加速してまいります。 このような経営ビジョン及び経営計画のもと、2025年度において、当社は、次のように経営環境を認識し、VISION 2030達成に向けて取り組んでまいります。 <経営環境>2025年度の世界経済は、景気持ち直しの動きが見られるものの、米国の通商政策の影響による先行きの不透明感が懸念されます。日本経済においても、緩やかな回復が継続しているものの、為替の変動、物価の上昇及び海外経済の減速等に伴う景気下振れのリスクのほか、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクが高まっています。化学工業界においても、景気の持ち直しの動きに伴う需要の拡大が期待されるものの、為替の変動、物価の上昇及び海外経済の減速等の影響による市況の変動に留意すべき状況が継続することが見込まれます。 <VISION 2030達成に向けた2025年度における取り組み>早期の成長軌道回帰へ向けた、以下の基本方針のもと、スピード感を持った戦略の実行に努めます。・安全・安定生産に向けた製造トラブル・労災の撲滅・聖域なきポートフォリオ変革の加速による、成長領域の持続的な拡大、ベーシック&グリーン・マテリアルズにおける構造改革の実現・選択と集中に徹した資源投入及びライトアセット化推進による資本効率(ROE、ROIC)の徹底的な追求・新事業、研究開発における事業化を意識したイノベーションの加速・全社を挙げてのコスト効率の追求・DXによるビジネスモデル、業務プロセス、組織能力等の高度化による業務効率の追求及びサプライチェーン全体の変革を通じた価値創出の実現・リスクマネジメントシステムの運用継続による当社を取り巻く脅威の最小化及び機会の最大化 このような情勢のもと、2025年度の当社グループの業績は、下表のとおりとなることを予想しております。 2025年度連結業績予想2024年度連結業績売上収益(億円)17,70018,092コア営業利益(億円)1,1001,010営業利益(億円)980783親会社の所有者に帰属する当期利益(億円)550322※当社は2020年度より国際財務報告基準(IFRS会計基準)を適用しております。コア営業利益は、営業利益から非経常的な要因(事業撤退や縮小から生じる損失等)により発生した損益を除いて算出しております。 (2) 事業領域ごとの環境分析及び戦略①ライフ&ヘルスケア・ソリューション世界の総人口増加・健康寿命延伸などを背景として生活の質(QOL)向上、安全・安心な食への貢献が求められています。ライフ&ヘルスケア・ソリューション事業は、ライフケアソリューション、ウェルネスソリューション、メディカルソリューションという3つの事業領域にわたって、いのちと健康、豊かな暮らしに貢献するソリューションを提供し、第1の収益の柱として当社グループの持続的成長に寄与していきます。 主要製品競争優位性基本戦略課題・方策[ビジョンケア材料]・プラスチックメガネレンズ材料(MR?、KOC/KR、RAV7?、Do Green?製品)・フォトクロミックメガネレンズ材料(SunSensors?)・コーティング材(Crystal Coat?)・レンズ加工機器(Velocity?、Cobalt?、CrystalChrome?)・幅広い顧客ニーズ、需要の拡大に対応可能な製品ラインナップ及び供給能力・グローバルでのブランド力・視界の快適さや目の健康、環境負荷低減等の市場ニーズに応じた新規材料・技術を継続的に創出する力・高屈折レンズ市場の成長の確実な取り込み・機能性レンズの開発力強化による差別化・レンズ加工ラボ向け事業の更なる拡大・高屈折メガネレンズ材料の需要拡大に即した拡販・供給能力確保→北米・中国市場での高屈折メガネレンズ材料の拡販・MR?生産能力増強計画の確実な実行・新規の機能性レンズ材料開発を通じた競合との差別化→レンズ機能向上・環境負荷低減を実現した新材料の開発、顧客採用の促進・コート材・機器事業拡大の更なる加速→グローバル販売体制強化とM&A等を活用した品目拡充[パーソナルケア材料]・アクリルアマイド、アクリルアマイドバイオ触媒(YURIKOS?)、メタクリルアミド、合成パルプ(SWPR)・抗菌・防カビ剤(ヨートルRDP95、ヨートルRDP-CD)、DMIR酵素技術、有機合成技術を基盤とした研究開発力バイオ触媒事業の拡大アクリルアマイドバイオ触媒事業の収益拡大→中国市場での新規顧客の獲得、北米市場での拡販の確実な実行 主要製品競争優位性基本戦略課題・方策[農業化学品/生活環境用薬剤]殺虫剤、殺菌剤、除草剤/業務・家庭用、ペット用薬原料、ベクターコントロール・有機合成を基盤とした独自性の高い創薬力と生産技術・安全で環境負荷の少ない天然物由来の製品ポートフォリオ・幅広い顧客ニーズに対応可能な製剤開発力・成長ドライバーの更なる拡大による事業価値の最大化・サプライチェーンの強靭化による供給能力の向上・研究開発の基盤強化と新製品創出・成長ドライバーの展開地域拡大と用途拡大→ジノテフラン・テネベナールR・フルピリミンの海外重点国での販売促進、マラリア根絶に資するVECTRON?T500のアフリカ諸国での登録推進・販売促進・サプライチェーンの最適化→大牟田工場・北上工場での原体生産体制の強化・低環境負荷農薬の研究開発の加速と新製品創出→高い安全性・環境負荷の少ない革新的化学農薬の創薬推進、天然物創薬基盤をもとにしたバイオロジカルソリューション研究の強化[パーソナルケア材料]タウリン高品質な製品の安定供給高品質な製品供給による日欧米市場での収益維持海外向け需要の確実な取り込みによる収益維持→高価格帯の新規顧客獲得による拡販の推進[新領域]バイオ触媒バイオ触媒開発で培った酵素改良技術バイオ技術基盤を活かした関連領域の拡大ニュートリション分野の事業基盤の確立→アンチエイジング・食糧課題に対応したバイオプロセスによるニュートリションの提供 主要製品競争優位性基本戦略課題・方策[オーラルケア材料]・修復材(ビーナスR、カリスマR)、接着用セメント(スーパーボンドR)・義歯関連(パラR)、3Dプリンターインク(ディーマR)・グローバルでのブランド力・ポリマーサイエンス・精密合成技術と歯科臨床知識の組み合せによる製品開発力・Kulzer収益力の抜本的強化による事業成長の加速・日本事業基盤の強化・Kulzer収益力強化策への注力→マーケティング・販売機能の強化、コスト構造の改善、製品ポートフォリオの改善・日本事業基盤の強化→グループ提携の深化[整形外科材]-歯科材料などに展開している素材技術事業基盤の拡充と製品開発の加速事業基盤の拡充と差別化製品の事業化→日本エム・ディ・エムとの協業を通じた戦略の具体化・実行と開発推進[検査・診断]コンパニオン診断(肺がんコンパクトパネルRDXマルチコンパニオン診断システム)最先端の遺伝子解析技術事業基盤の確立と検査サービスの拡充事業基盤の強化と検査サービスの事業拡大→DNAチップ研究所との経営統合プロセスの確実な実行と開発推進、細菌迅速検査システムの上市 ②モビリティソリューション 世界的な環境意識の高まりや社会的責任への対応要請を背景に、サプライチェーンにおける環境負荷低減の重要性が高まっており、モビリティの燃費向上、リサイクル材料、バイオ材料の活用、省エネルギーや再生可能エネルギーの利活用拡大等への貢献が求められています。また、CASEやMaaSの進展により、移動空間としての快適性の向上や車室の高機能化といった、モビリティにおける多様なニーズや機会の創出に繋がると期待されています。 当社では、自動車を中心としたあらゆる種類の人・モノの移動手段を「モビリティ」と定義しています。このモビリティ領域において、多様化するニーズに対応したソリューションの提供と個々の事業の競争力強化を通じた持続的な成長を実現していきます。 主要製品競争優位性基本戦略課題・方策[エラストマー重合製品]エチレン・プロピレンゴム(三井EPT?)、α-オレフィンコポリマー(タフマーR)、液状ポリオレフィンオリゴマー(ルーカントR)・幅広い材料ラインナップ・高い技術力と品質・グローバルネットワークを活かした幅広い顧客基盤・技術サービス・当社グループ機能を活用したコンセプト提案力・「高成長&サステナビリティへの貢献」×「競争優位」な領域に対する販売・開発の集中・需要に応じた生産能力増強、グローバル拠点を最大活用したレジリエントな生産体制の構築市場変化や需要増加に対応するための生産供給能力の不足、および柔軟な生産体制の構築→需要に応じた適切な生産能力増強の実行、製品や組織を超えた生産体制最適化の実現[複合材料製品]接着性ポリオレフィン(アドマーR)、熱可塑 性エラストマー(ミラストマーR)、エンジニアリングプラスチック(アーレンR、オーラムR)、PPコンパウンド 主要製品等競争優位性基本戦略課題・方策ARRKグループ、共和工業(株)・設計、解析機能・試作、LVP(少量生産)機能・金型技術・開発支援機能・これまで獲得してきたソリューション機能と他社提携の深化によるビジネスモデルの確立・デザイン・設計・解析から量産までのワンストップサービスの提供へのビジネスモデル変革・新たなビジネスモデルによる早期収益貢献→ARRKグループ、共和工業㈱、MDC(モビリティデベロップメントセンター)の機能の活用と他社提携を通じた事業機会の探索と具体化 ③ICTソリューション DXの進展により、半導体等ICT関連製品への需要は益々高まっています。ICTソリューションでは、①半導体・実装、②イメージング、③電池材料、④コンバーティングの各領域に重点的に取り組んでおり、本年度より本事業部に加わった不織布事業も含めた事業ポートフォリオの変革を通じたソリューション型ビジネスモデルの構築を加速してまいります。 また、安全・快適なインフラ、健康な暮らし、持続可能な地球環境を支えるAI、Beyond 5G(6G)、ロボティクス等の進化といった様々な社会課題の解決に貢献する『ユニーク』なICTソリューション事業の創造・拡大を図ります。 主要製品競争優位性基本戦略課題・方策[半導体・実装ソリューション]フォトマスク用防塵カバー(三井ペリクル?)、成膜プロセス用高純度ガス(シラン・ジシラン)、フォトレジスト原料(ミレックスR)、半導体製造工程用テープ(イクロステープ?)、シリコーンコートフィルム(SP-PET?)、耐熱離型フィルム(オピュランR)、低誘電モノマー、過酸化水素製造用触媒、フィルター(ユーテックR)、フィルター用不織布(シンテックスRMB、プレシゼR)・半導体・実装領域およびイメージング領域におけるユニークでシェアの高い製品・高い技術力と品質、技術サービス・グローバルでの顧客基盤・バリューチェーンを通じたトータルソリューション提案力・不織布事業において統合シナジーを活かした生産・技術力既存事業の強化・拡大と半導体・実装プロセス革新に対して競争優位性の高い新製品・ソリューションの提案を強化し、既存チャネルを生かし不織布事業の産業用途の新製品拡大を目指す・顧客のスピードに適した仕組みづくり→ニーズ起点である海外拠点の企画・マーケティング力強化や社外パートナーとの共同開発強化・プラットフォーマーとの協働関係構築・強化→顧客拠点におけるソリューション・製品・技術を訴求する「Mitsui Day」の開催・顧客プロセス適合性評価等の研究開発機能の強化→クリエイティブインテグレーションラボRの開設、評価設備の集約・拡充を通じた顧客との共創の推進・不織布事業における構造改善、拡大・高付加価値化→更なる生産体制最適化→NanoMBならびに新製品の拡大、伸縮不織布等の差別化製品の高付加価値化[イメージングソリューション]レンズ材料(アペルR)、液晶反射フィルム用材料(TPXR)、液晶・有機ELシール材(ストラクトボンドR)先端ニーズへの先着に向けた競争優位性の高い新製品・ソリューションの提案強化[電池材料ソリューション]LiBセパレータ用材料(ハイゼックスミリオンR)、LiB用電解液(ミレットR)、LiBパウチ用接着剤(ユニストールR)、耐熱コート材(ボンロンR)、太陽電池用封止シート(ソーラーエース?)次世代電池材料の開発強化[コンバーティングソリューション]環境配慮型紙包装材用ヒートシール剤(ケミパールR)、サステナブル包材用バリアコート剤(タケラックRWPB)、包装用接着剤(タケネートR、タケラックR)、不織布(エアリファR、エコライズR)、形状保持材料(テクノロートR)、通気性フィルム(エスポアールR)、不飽和ポリエステル(ポリホープR)、成形用コンパウンド(ポリマールRマット)環境対応包材の拡大とグローバルな事業展開、および衛生材料製品の高付加価値化 ④ベーシック&グリーン・マテリアルズ 石化・基礎化学品を中心とする当本部の事業は、自動車、半導体、住宅、家電、インフラ、食品包装をはじめ、様々な分野に素材提供を行っています。特徴のある技術と付加価値製品群の拡大、さらなるコスト競争力強化により、安定した収益の確保を目指します。 2025年5月30日に、石化事業統合を含む他社との再編に向けた、ベーシック&グリーン・マテリアルズ事業の分社化検討開始を発表しました。VISION 2030基本戦略の「事業ポートフォリオ変革」加速のため、当社は、業界構造・事業戦略・意思決定スピードの異なる成長3領域(ライフ&ヘルスケア・ソリューション、モビリティソリューション、ICTソリューション)とベーシック&グリーン・マテリアルズ各々で、他社連携を含む戦略推進を進めています。当本部の事業環境は、中国をはじめとした大型プラント新増設と国内需要の漸減により、今後も厳しい状況が継続する見込みです。現在、クラッカーのダウンサイジング、誘導品の再構築・高機能化をはじめとした事業構造転換を実行しているものの、更に抜本的な構造改善策に早急に取り組む必要があります。 また、クラッカー、ポリオレフィン(PO)を中心とする石化事業は、石油精製等の川上産業においてはグリーン原料を含む原燃料の安定需要家であり、自動車、半導体等の川下産業においては、エッセンシャル素材の安定供給元の位置づけです。日本のエネルギー政策や経済安全保障、日本国全体のカーボンニュートラル達成において、石化産業は重要な役割を担っています。 上記の厳しい環境の中で、ベーシック&グリーン・マテリアルズの戦略目標である「競争力のある誘導品を中核とした、サステナブルなグリーンケミカル事業」へ着実に転換して行くには、当社単独ではなく、同じ事業・方向性を有する他社と経営資源を統合し、人財や技術のシナジー創出、事業基盤や競争力の強化、合理化・効率化を推進して行く必要があると判断しました。 少なくとも2027年近傍にはベーシック&グリーン・マテリアルズを分社化し(例、当社100%関係会社)、統合・再編の核となる事業体を設立します。石化事業に特化した経営と迅速な意思決定、自社キャッシュフローによるグリーン化等投資を実行しつつ、統合・再編のスムーズな推進につなげます。主要製品競争優位性基本戦略課題・方策[石化製品]エチレン、プロピレン、高密度ポリエチレン、メタロセン直鎖状低密度ポリエチレン(エボリューR)、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン重合触媒・世界トップクラスの競争力を有するナフサクラッカー・メタロセンをはじめとするポリオレフィン触媒技術・ウレタン製品差別化のための高機能ポリオール、高機能MDI・バイオマスポリオールの開発、製造技術・バイオマスナフサおよび廃プラスチック分解油の原料投入による、バイオマス製品・ケミカルリサイクル製品の幅広い展開・更なる再構築推進による資本効率性の向上→需要に見合った能力最適化(岩国大竹PET樹脂停止、大牟田TDIダウンサイジング、市原フェノール停止)→他社連携による再編・競争力向上(ナフサクラッカー、ポリオレフィン)・グリーンケミカルの拡大による環境対応強化→原料転換(バイオマスナフサ、廃プラスチック分解油)→燃料転換(アンモニア燃焼炉)→バイオマス誘導品、リサイクル製品の拡大・高機能化・ニッチ品の拡大など、ダウンフロー強化による収益安定化→高機能PP、高機能MDI→ライセンス、オレフィン重合触媒・需要に見合った能力最適化・再編→資本効率が低い製品の縮小や撤退、他社連携による事業リスク低減・高機能製品の強化・拡大→エンドユーザー起点の素材開発、MI活用の拡大による新銘柄開発や処方開発、マテリアル・ケミカルリサイクル起点での製品開発(石油由来同等の物性など)・製造における低炭素化(SCOPE1+2)→省エネ、再生エネルギーの活用、低炭素原料・燃料への転換、高エネルギー効率機器の導入・製品によるGHG削減→製品提供を通じたGHG削減貢献量の最大化(Blue ValueR製品の売上収益比率の拡大)・サーキュラーエコノミーへの対応強化→バイオマス・マテリアル・ケミカルリサイクル製品の拡大[基礎化学品]フェノール、ビスフェノールA、アセトン、イソプロピルアルコール、メチルイソブチルケトン、高純度テレフタル酸、PET樹脂、エチレンオキサイド、エチレングリコール、ハイドロキノン(HQ)、メタ/パラクレゾール、アンモニア、尿素、メラミン[ポリウレタン原料]TDI(コスモネートR)、MDI(コスモネートR)、PPG(アクトコールR、エコニコールR、NextyolR)
経営者による財政状態の説明
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】  当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1) 経営成績の概況、認識及び分析・検討内容 ①全般的状況当連結会計年度における世界経済は、一部の国や地域においては需要の減少や金融引き締め等を背景とする回復鈍化の傾向がみられたものの、景気持ち直しの動きが継続しました。日本経済においては、一部に足踏みが残るものの、雇用や所得環境の改善もあり、景気持ち直しの動きが継続しました。また、化学工業界においては、川下製品の需要鈍化の影響を受け、国内のナフサクラッカーの稼働率は低調に推移しました。このような情勢のもとで、当社グループは、「地球環境との調和の中で、材料・物質の革新と創出を通して高品質の製品とサービスを顧客に提供し、もって広く社会に貢献する」ことを企業グループ理念として掲げ、ESGを中核に据えた経営を行っていくことで、事業活動を通じた社会課題解決に取り組んでおります。また、目指すべき企業グループ像として、「化学の力で社会課題を解決し、多様な価値の創造を通して持続的に成長し続ける企業グループ」を掲げております。また、2021年度に策定した長期経営計画「VISION 2030」のもと、当社グループが目指す未来社会に向けて、変革を加速しております。ライフ&ヘルスケア・ソリューション領域では、先進国の少子高齢化や新興国の経済成長・人口増加に伴い、生活の質(QOL)向上や、食資源の不足等の社会課題への関心が高まっています。世界トップシェアのビジョンケア材料では、欧米に加えて中国やインドでも高まる高付加価値レンズ需要に応えるため、昨年生産能力を増強した当社大牟田工場において、さらにプラントの新増設を決定しました。2028年度上期の営業運転開始を予定しております。金属から樹脂への材料転換が進む歯科材料においては、当社、子会社であるサンメディカル㈱及び資本提携先である㈱松風の3社業務提携によりそれぞれのユニークな技術を融合した新製品「歯科材料 i-TFC?ルミナスⅡシリーズ」の販売を開始しました。モビリティソリューション領域では、自動車業界において燃費向上ニーズや電動化へのシフトに加え、軽量化・快適性の向上といった多様化したニーズが生まれています。柔軟・軽量という特長を持ち、自動車、包装資材など幅広い分野で使用され、太陽電池モジュールの封止シート向けに採用が広がっているタフマー?は、更なる用途展開による需要獲得を目指し、シンガポールにおいて進めていた新プラントの建設を2024年度に完工し、2025年度の商業運転開始を予定しております。また、当社及び子会社である㈱アークが開発したダイレクトペレット式3Dプリンティング部品と、当社が開発した一方向性炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂シート「TAFNEX?CF/PP」が、TOYOTA FORTUNERをベースにした高機能コンセプトカー「TOYOTA Hyper-F CONCEPT」に搭載されました。この実現には、試作から量産までの製品開発支援企業で業界国内最大手である㈱アークの技術が貢献しております。ICTソリューション領域では、高速通信、AIの開発等、世界的なデジタル化の進展に伴い、安全・快適なインフラ、持続可能な地球環境を支えるAI、Beyond 5G等の情報通信(ICT)分野における進化の重要性が高まっております。中長期的な拡大と継続的な技術革新が見込まれる半導体関連市場において、当社グループとしてのシナジーをこれまで以上に追求するとともに、迅速な意思決定を実現するため、ICT分野に特化したフィルムソリューション企業として三井化学ICTマテリア㈱を設立し、2024年4月より営業を開始しました。また、次世代半導体パッケージ基板の分野における市場競争力や顧客へのソリューション力の強化のため、新光電気工業㈱の株式取得を目的とした特別目的会社への出資を完了するとともに、2024年10月には、ICT領域の開発をさらに強化するため、当社名古屋工場内に新たな研究開発拠点として「クリエイティブインテグレーションラボ?」を開所しました。ベーシック&グリーン・マテリアルズ領域では、石化・基礎化学品を中心とする従来の基盤素材領域において、ボラティリティ低減及びダウンフロー強化を通じた高機能・ニッチ品の拡大を通じて事業再構築を進めており、引き続き収益安定化に向けて更なる再構築を推進しております。当社岩国大竹工場のポリエチレンテレフタレート(PET)プラントを2024年10月に停止し、当社市原工場のフェノールプラントを2026年度までに停止することを決定したほか、西日本におけるエチレンプラントのカーボンニュートラル実現に向けて、当社、旭化成㈱、三菱ケミカル㈱の3社で連携し、エチレンプラントのグリーン化や将来の能力削減も含めた生産体制最適化を検討することで合意しております。また、自動車部品や家具寝具、住宅や冷蔵庫の断熱材等、多くの分野で使用されているジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の更なる需要拡大に対応するため、2024年9月に韓国における生産設備を増強しました。 このような情勢のもとで、当連結会計年度の業績は以下のとおりとなりました。なお、当社は経営指標の一つとしてコア営業利益を採用しております。コア営業利益は、営業利益から非経常的な要因により発生した損益(事業撤退や縮小から生じる損失等)を除いて算出しております。 売上収益コア営業利益営業利益親会社の所有者に帰属する当期利益当連結会計年度(億円)18,0921,010783322前連結会計年度(億円)17,497962741500増減率(%)3.44.95.7△35.5 売上収益は、前連結会計年度に比べ595億円増(3.4%増)の1兆8,092億円となりました。これは、ナフサ等原料価格の上昇に伴う販売価格の上昇や、為替差などによるものです。 海外売上収益は9,359億円となり、売上収益全体に占める割合は前連結会計年度に比べ1.2ポイント増の51.7%となりました。 コア営業利益は、前連結会計年度に比べ48億円増(4.9%増)の1,010億円となりました。これは、主にライフ&ヘルスケア・ソリューション及びICTソリューションセグメントにおける販売の増加などによるものです。なお、当連結会計年度の為替レートは153円/$、国産ナフサ価格は75,600円/KLとなりました。 営業利益は、コア営業利益の増加に伴い、前連結会計年度に比べ42億円増(5.7%増)の783億円となりました。 金融収益・費用は、前連結会計年度に比べ59億円悪化の67億円の損失となりました。 以上により、税引前利益は、前連結会計年度に比べ17億円減(2.3%減)の716億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、主に法人所得税費用が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ178億円減(35.5%減)の322億円となり、基本的1株当たり当期利益は170.56円となりました。 ②セグメント別の状況セグメント別の業績は、次のとおりです。  なお、当社は、2024年4月1日に実施した組織改正に伴い、本州化学工業㈱他一部の連結子会社並びに持分法適用会社の帰属セグメントを見直しております。これに伴い、前連結会計年度比較にあたっては、前連結会計年度分を変更後のセグメントに組み替えて行っております。 (ライフ&ヘルスケア・ソリューション)当セグメントの売上収益は、前連結会計年度に比べ241億円増の2,958億円、売上収益全体に占める割合は16%となりました。また、コア営業利益は、主にビジョンケアの販売が堅調に推移したことにより、前連結会計年度に比べ42億円増の342億円となりました。以上により、セグメント全体では、増収・増益となりました。ビジョンケアのメガネレンズ用材料は、販売が堅調に推移しました。オーラルケアは、販売が前連結会計年度並で推移しました。農業化学品は、販売が堅調に推移しました。不織布は、事業統合により販売が増加しました。 (モビリティソリューション)当セグメントの売上収益は、前連結会計年度に比べ258億円増の5,698億円、売上収益全体に占める割合は32%となりました。一方、コア営業利益は、主にエラストマーの販売が堅調に推移したものの、一時的な市場環境の変化に伴う交易条件の悪化により、前連結会計年度に比べ18億円減の559億円となりました。以上により、セグメント全体では、増収・減益となりました。エラストマーは、販売が堅調に推移しました。一方、一時的な市場環境の変化に伴い交易条件が悪化しました。PPコンパウンドは、販売が前連結会計年度並で推移しました。また、価格改定及び為替差により交易条件が改善しました。ソリューション事業は、販売が前連結会計年度並で推移しました。 (ICTソリューション)当セグメントの売上収益は、子会社株式の一部譲渡に伴う持分法適用会社化により、前連結会計年度に比べ406億円減の2,188億円、売上収益全体に占める割合は12%となりました。一方、コア営業利益は、上記の持分法適用会社化による減少があったものの、主に半導体・光学材料の販売が堅調に推移したことにより、前連結会計年度に比べ22億円増の258億円となりました。以上により、セグメント全体では、減収・増益となりました。半導体・光学材料は、半導体及びスマートフォン市場の回復により販売が堅調に推移しました。コーティング・機能材は、販売が堅調に推移しました。ICTフィルム・シートは、為替差等により交易条件が改善しました。 (ベーシック&グリーン・マテリアルズ)当セグメントの売上収益は、前連結会計年度に比べ501億円増の7,100億円、売上収益全体に占める割合は39%となりました。一方、コア営業損失は、上期において定期修理のため生産を停止していたエチレンプラントの生産再開の延期があったものの、価格改定やナフサ等原料価格の変動に伴う在庫評価損益の良化による交易条件の改善により、前連結会計年度に比べ2億円減の114億円となりました。以上により、セグメント全体では、増収・コア営業損失の改善となりました。ポリオレフィン及びフェノール類は、販売が低調に推移しました。ナフサクラッカーの稼働率は、川下製品の需要減少の影響に加え、上記生産再開の延期の影響を受け、低調に推移しました。 (その他)当セグメントの売上収益は、前連結会計年度に比べ1億円増の148億円、売上収益全体に占める割合は1%となりました。一方、コア営業損失は、前連結会計年度に比べ9億円増の26億円となりました。 売上収益とコア営業利益のセグメント別増減内訳はそれぞれ以下のとおりであります。 (売上収益)(単位:億円) 第27期 第28期 増減 計数量差価格差ライフ&ヘルスケア・ソリューション2,7172,95824118358モビリティソリューション5,4405,698258149109ICTソリューション2,5942,188△406△45953ベーシック&グリーン・マテリアルズ6,5997,100501△74575その他1471481-1消去又は全社-----合計17,49718,092595△201796 (コア営業損益)(単位:億円) 第27期 第28期 増減 計数量差交易条件固定費差他ライフ&ヘルスケア・ソリューション300342425938△55モビリティソリューション577559△1862△35△45ICTソリューション23625822626△46ベーシック&グリーン・マテリアルズ△116△1142△3282△48その他△17△26△9--△9消去又は全社△18△99--9合計9621,0104815191△194(注) 交易条件=価格差+変動費差(主として原燃料価格差) ③経営成績に重要な影響を与える要因当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、以下のとおりであります。なお、当社グループは、ライフ&ヘルスケア・ソリューション、モビリティソリューション、ICTソリューション及びベーシック&グリーン・マテリアルズの各セグメントにおいて、多種多様な製品を取り扱っており、それぞれの製品によって経営成績に影響を与える要因及びその程度は異なります。 a 売上収益について 売上収益は、販売数量及び販売価格等により変動します。 販売数量については、主に顧客の状況、市場環境及び競合他社の事業展開等の要因によって影響を受ける可能性があります。 販売価格については、主にナフサ等の原燃料価格の変動の製品価格への転嫁状況、製品市況の変動及び為替変動等の要因によって影響を受ける可能性があります。 b コア営業利益について コア営業利益は、販売数量、交易条件及び固定費等により変動します。 販売数量については、主に顧客の状況、市場環境及び競合他社の事業展開等の要因によって影響を受ける可能性があります。 交易条件については、主にナフサ等の原燃料価格の変動、原燃料価格の製品価格への転嫁状況、製品市況の変動及び為替変動等の要因によって影響を受ける可能性があります。 固定費については、主に生産設備の新増設、研究開発の状況等の要因によって影響を受ける可能性があります。 ④生産、受注及び販売の実績a 生産実績及び受注実績 当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。 このため生産実績及び受注実績については、「(1) 経営成績の概況、認識及び分析・検討内容 ②セグメント別の状況」におけるセグメント別の業績に関連付けて示しております。 b 販売実績セグメントの名称当連結会計年度自 2024年4月1日至 2025年3月31日前年同期比(%)ライフ&ヘルスケア・ソリューション(百万円)295,7818.9モビリティソリューション(百万円)569,8134.7ICTソリューション(百万円)218,791△15.7ベーシック&グリーン・マテリアルズ(百万円)710,0427.6報告セグメント計(百万円)1,794,4273.4その他(百万円)14,737△0.3合計(百万円)1,809,1643.4 (注)1.主な相手先の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。相手先前連結会計年度自 2023年4月1日至 2024年3月31日当連結会計年度自 2024年4月1日至 2025年3月31日金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)三井物産㈱326,42318.7346,95119.2 (2) 財政状態の概況、認識及び分析・検討内容 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ618億円減の2兆1,540億円となりました。当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ476億円減の1兆1,834億円となりました。また、有利子負債は198億円減の7,917億円となりました。この結果、資産合計に対する有利子負債の比率は前連結会計年度末に比べ0.2ポイント増の36.8%となりました。 第24期第25期第26期第27期第28期有利子負債残高(億円)5,6387,1517,9478,1157,917有利子負債比率(%)36.237.038.436.636.8 当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末に比べ142億円減の9,706億円となり、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末に比べ0.5ポイント増の39.4%となりました。以上により、当連結会計年度末のネットD/Eレシオ(ネット有利子負債(有利子負債-現預金・長期性預金)/親会社の所有者に帰属する持分)は、前連結会計年度末に比べ0.04ポイント増の0.73となりました。ネットD/Eレシオの推移は以下のとおりであります。 (3) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性 ①キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下、「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ397億円減の1,706億円となりました。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によって得られた資金は、前連結会計年度に比べ392億円増の2,005億円となりました。これは主に、運転資本が減少したことなどによるものです。この結果、営業キャッシュ・フローに対する有利子負債の比率は前連結会計年度の5.0から3.9に減少し、インタレスト・カバレッジ・レシオは21.6倍から25.0倍に増加しました。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によって使用された資金は、前連結会計年度に比べ411億円増の1,650億円となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出が増加したことなどによるものです。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によって使用された資金は、前連結会計年度に比べ484億円増の744億円となりました。これは主に、有利子負債の返済額が増加したことなどによるものです。なお、キャッシュ・フローに関する指標は以下のとおりであります。 第24期第25期第26期第27期第28期親会社所有者帰属持分比率(%)39.036.838.038.939.4時価ベースの親会社所有者帰属持分比率(%)44.030.931.337.229.1キャッシュ・フロー対有利子負債比率3.27.77.85.03.9インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)37.123.317.221.625.0(注)親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分/資産合計時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/資産合計キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。※キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。※有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っている負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。 キャッシュ・フローの推移は以下のとおりであります。 ②資金の調達について当社グループの資金調達については、1)高い格付けを維持し、資金需要に応じて都度、社債、借入及びコマーシャル・ペーパーを主体に低コストの資金調達を行うこと。2)一定割合の間接金融を導入し、資金調達の安定化を図ること。3)売上債権流動化等の資産の流動化により、資金調達の多様化を図ること。を基本的な考え方として実施しております。  また、子会社(日米欧、中国、シンガポール)の資金調達については、原則として、当社及び地域統括会社を通じたグループファイナンスを行うことにより、グループ全体での有利子負債削減と資金効率の向上に努めております。 ③資金の流動性について 資金の流動性については、資産効率を考慮しながら、手元流動性を確保すると共に、コミットメント・ライン、当座貸越枠等の代替調達手段を備えております。 ④資本政策のための基本方針 当社は、資本コストを意識した経営が重要との認識の下、投資効率性の向上と資本コストの低減に向けた取り組みを通じて、企業価値の最大化を図っております。投資効率性向上の取り組みとして、当社は「ポートフォリオマネジメント」、「KPIマネジメント」、「投資評価適正化」を推進しています。一方資本コスト低減に向けては、「収益ボラティリティの低減」、「最適資本構成の実現」、「投資家とのコミュニケーション強化」に取り組んでおります。 このうち、最適資本構成については、財務健全性と資本コスト最小化を両立できる資本構成を追及しております。足下のネットD/Eレシオの状況は財政状態に記載のとおり安定して推移しており、営業キャッシュ・フローも高水準な状況が継続しております。 今後につきましては、現状の財政状態の水準を維持しつつ、積極投資を継続して事業の成長・拡大による更なる企業価値の向上を推進してまいります。 一方で、当社は株主の皆様への利益還元を経営上の重要課題と位置づけています。翌連結会計年度以降の株主還元方針としましては、資本効率を向上させながら、安定的かつ継続的な配当の実現と、機動的かつ柔軟な自己株式の取得により、株主還元の充実を図ることといたします。 (4) 目標とする経営指標の達成状況等  2030年度長期経営目標に対する2024年度の達成・進捗状況は以下のとおりであります。 当連結会計年度(計画)当連結会計年度(実績)当連結会計年度(計画比)2030年度長期経営目標コア営業利益1,250億円1,010億円240億円減(19.2%減)2,500億円親会社の所有者に帰属する当期利益730億円322億円408億円減(55.9%減)1,500億円以上親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)8.3%3.8%4.5ポイント減13%以上Net D/E0.730.73-0.8以下投下資本利益率(ROIC)4.9%4.2%0.7ポイント減9%以上 (5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定  当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準審議会によって公表されたIFRS会計基準に準拠して作成しております。また、当社は連結財務諸表規則第1条の2に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を満たすことから、同第312条の規定を適用しております。連結財務諸表の作成に当たり、当連結会計年度における資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える将来に関する見積りを実施する必要があります。経営者は、これらの見積りについて、当連結会計年度末時点において過去の実績やその他の様々な要因を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、将来においてこれらの見積りとは異なる場合があります。 当社グループの連結財務諸表作成において採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」及び「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。

※本記事は「三井化学株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。

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連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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