会社名 | 三菱自動車工業株式会社 |
業種 | 輸送用機器 |
従業員数 | 連28982名 単13844名 |
従業員平均年齢 | 42.1歳 |
従業員平均勤続年数 | 15.3年 |
平均年収 | 7863000円 |
1株当たりの純資産 | 679.45円 |
1株当たりの純利益 | 103.97円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 10円 |
配当性向 | 8.96% |
株価収益率(PER) | 4.86倍 |
自己資本利益率(ROE) | 17.08% |
営業活動によるCF | 1408億円 |
投資活動によるCF | ▲1388億円 |
財務活動によるCF | 376億円 |
研究開発費※1 | 1145.83億円 |
設備投資額※1 | 936.28億円 |
販売費および一般管理費※1 | 3778.74億円 |
株主資本比率※2 | 48.3% |
有利子負債残高(連結)※3 | 2677.43億円 |
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 足許の環境変化を踏まえた経営課題の認識と、今後の経営戦略の考え方は次のとおりです。なお、文中の将来に 関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 自動車業界は、地球温暖化対策としての電動化に加え、AIやIoTなどテクノロジーの発展により、人の移動とモノを運ぶための手段であった自動車の概念が大きく変わり、「100年に一度」の、大変革の時代を迎えています。 当社グループは2023年3月に、2023年度から2025年度までの中期経営計画「Challenge 2025」を発表しました。「Challenge 2025」では、これまで行ってきた構造改革により、強靭かつ機動的な経営体質を基盤にし、地域や国の独自性に適した事業の拡充を図ります。そして、全社で取り組んでいる「手取り改善活動」を継続し、安定的な収益基盤を確立します。そのうえで、更なる成長と次の時代へのチャレンジを実現するため、研究開発費や設備投資を安定的に増加させることを計画しています。以下は、具体的な主要項目の実現に向けた取組みです。 1. 販売台数110万台、営業利益2,200億円(営業利益率7%)を目標2. 今後5年間で16車種(内、電動車9車種)を投入3. アセアン・オセアニア地域での更なる成長とアセアン向け商品を活用した他地域の収益力アップ4. アライアンスを活用した欧米をはじめとする先進技術推進地域への対応5. カーボンニュートラルの実現に向け温室効果ガス排出削減6. デジタル化推進と新ビジネス領域への進出7. 更なるアライアンスとの連携強化(OEM商品相互補完等) 当該中期経営計画初年度であった当連結会計年度には、主に以下の取組みを行いました。 まず、商品面では、新型1トンピックアップトラック『トライトン』、新型コンパクトSUV『エクスフォース』、クロスオーバーMPV『エクスパンダー』『エクスパンダー クロス』のHEVモデルと、アセアン戦略車を連続投入しました。今後はこれらの販売を本格化させ、他地域へも展開を拡大していきます。また、日本国内においては、軽スーパーハイトワゴン『デリカミニ』の販売を開始いたしました。更に欧州市場では、新型『ASX』と新型『コルト』を、アライアンスパートナーであるルノーグループよりOEM供給を受け、販売開始しました。新型車の成功は、当社の持続的成長に向けた重要な一歩と位置付けています。 次に、販売の質向上については、「手取り改善活動」による売価改善に加えて為替の追い風もあり、台当たり売上高が伸長しています。地域戦略では、アセアンの一部で市場回復に遅れが生じているものの、アセアン向け商品が展開可能な中南米、中東・アフリカでは収益性が向上しています。また、北米では価値訴求販売の成功により車種ミックスが好転しています。一方で、急速に市場変化していた中国自動車産業において、当社グループの中国戦略を抜本的に見直し、現地での完成車生産を取りやめました。ロシアでの完成車組立生産については、ロシアのウクライナ軍事侵攻により停止しておりましたが、生産を再開しないことを決定しました。 また、持続的成長の実現に向けた投資として、電動化の加速フェーズに向けた電動車開発とアライアンスとの連携を強化するため、ルノーグループが設立するEV&ソフトウェア新会社アンペアへの出資を決定しました。 今後も、「モビリティの可能性を追求し、活力ある社会をつくる」という当社グループビジョンのもと、持続可能な社会の実現と当社グループの持続的成長を目指し、事業を行ううえでのマテリアリティ/最重要課題を整理し、カーボンニュートラルの実現のほか、人権を尊重するとともに多様な人材が活躍できる職場の確立や、全てのステークホルダーに対する透明性の高い経営を目指してまいります。 |
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、本項において含まれる将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)財政状態及び経営成績の状況① 経営成績当連結会計年度下期は、半導体不足等に起因する在庫不足は概ね解消され、販売現場における競争環境は正常化に向かいました。一方で、当社が軸足を置くアセアン地域では、一部の国で自動車総需要が大幅に減少するなど、当社グループを取り巻く経営環境は、全般的に厳しいものとなりました。このように経営環境が厳しいなか、当社グループは、コストの優先順位を明確にし、販売の質向上、あるいは「手取り改善活動」に注力しました。しかし、修正した見通しには、若干届かない結果となりました。結果、通期販売台数はグローバルで前年度比2%減の81万5千台、通期売上高は前年度比13%増の2兆7,896億円となりました。通期営業利益は、アセアン一部地域での全需低迷や、車両供給制約緩和に伴う競争激化、資材費・輸送費悪化を、販売の質向上に伴う売価改善や為替好転により打ち返し、1,910億円(前年度比+5億円)となりました。なお、経常利益は2,090億円(前年度比+270億円)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,547億円(前年度比△140億円)となりました。 当連結会計年度は、中期経営計画「Challenge 2025」の初年度でしたが、中国やロシアを含む地域ポートフォリオの見直し、アライアンスパートナーからの車種導入を含む新型車の投入・商品構成の見直し、当社グループ初めてとなるHEV車の投入など、過去からの流れを大きく変える起点となる年となりました。車種入れ替えの端境期となったことに、アセアン市場の景気低迷が重なり、対応に苦慮した面があった一方、手取り戦略は確実に進捗し、三菱自動車らしさを体現した『デリカミニ』や『トライトン』のヒット、ここ数年開発を進めてきたHEV車のヒット等で一定の収益を上げるとともに、次の成長に向けた手応えを掴んだ年でもありました。2024年度に関しては、地政学リスクの高まりや、各国の景気先行き懸念など、引き続き外部環境は不安定です。また、自動車業界においては、BEVの需要が一旦踊り場を迎えるなか、HEVやPHEVの存在感が増すなど、わずか半年前とまったく違う動きがみられます。世の中の変化は極めて急速かつ激しいですが、一方で、大きな変化の方向性には変わりがないものとも考えています。いずれにしろ変化の節目を上手く捉え、これをチャンスに変えるべく、2024年度は一層成長に向けた打ち手を具現化してまいります。 事業別セグメントの状況は以下のとおりです。 (ⅰ)自動車当連結会計年度における自動車事業に係る売上高は2兆7,716億円(前年度比+3,296億円)となり、営業利益は1,879億円(前年度比+18億円)となりました。 (ⅱ)金融当連結会計年度における金融事業に係る売上高は380億円(前年度比+29億円)となり、営業利益は44億円(前年度比△5億円)となりました。 ② 財政状態当連結会計年度末の総資産は2兆4,545億円(前年度末比+2,530億円)となりました。そのうち現金及び預金は6,742億円(前年度末比+782億円)となりました。負債合計は1兆4,100億円(前年度末比+389億円)となり、そのうち有利子負債残高は、4,924億円(前年度末比+641億円)となりました。純資産は1兆445億円(前年度末比+2,141億円)となりました。 (2)キャッシュ・フローの状況① キャッシュ・フローの基本的な考え方当社は、財務規律を維持しつつ健全で持続可能な成長を図り、企業価値を高めることで、株主の皆様への成果配分を安定的に維持することを基本としており、フリー・キャッシュ・フローをそのための経営管理指標の一つとして設定しております。この考え方に基づき、当社グループにおける自動車の開発・生産・販売等の事業活動における運転資金需要(材料費、人件費、各種経費、金融事業に係る貸付資金等)や、次世代新技術や環境規制対応、生産効率向上に資する設備の維持・更新などの設備投資需要を、毎年当社が新たに生み出すキャッシュ・フローにより賄うことを基本としつつ、必要に応じ過年度までに蓄積した内部資金や金融機関借入等の外部資金を活用しております。 (注)フリー・キャッシュ・フローの算出においては、以下の計算式を使っております。 営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計です。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動により1,408億円の収入超(前年度比328億円の収入減少)、投資活動により1,389億円の支出超(前年度比858億円の支出増加)、財務活動により377億円の収入超(前年度比996億円の収入増加)となりました。加えて、現金及び現金同等物に係る為替換算差額による387億円の増加もあり、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末残高に対し783億円増加し、6,742億円となりました。なお、当連結会計年度のフリー・キャッシュ・フローは、19億円の収入超(前年度比1,186億円の収入減少)となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動による収入は1,408億円の収入超となり、前連結会計年度の1,736億円の収入超に対し328億円の収入減少となりました。この収入減少は主として、仕入債務が減少したことによるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動は1,389億円の支出超となり、前連結会計年度の531億円の支出超に対し858億円の支出増加となりました。この支出増加は主として、前年比有形固定資産の売却収入減少、及び有形固定資産の取得増加によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動は377億円の収入超となり、前連結会計年度の619億円の支出超に対し996億円の収入増加となりました。この収入増加は主として、長期借入金が増加したことによるものであります。 ③ 資金の流動性及び資金調達当連結会計年度末の連結現預金残高は6,742億円、連結有利子負債残高は4,924億円となりました。当社単体において国内金融機関からは約1,500億円のコミットメントラインを設定しており、現預金残高にコミットメントラインを加えた流動性は約8,300億円となっております。また、事業環境の悪化による資金需要の増加に備えて、上記の流動性に加え、海外子会社においても資金調達枠を設定し、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な資金の確保に努めております。なお、当社グループは、格付投資情報センター及びS&Pの格付機関から格付を取得しており、本報告書提出時点において、格付投資情報センター:「BBB+」、S&P:「BB+」となっております。 (3)生産、受注及び販売の実績① 生産実績 当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。 当連結会計年度数量(台)前連結会計年度比(%)国 内499,497109.2海 外511,25691.0 アジア498,02891.8 その他13,22867.1合計1,010,75399.2(注)生産実績は当社及び連結子会社の完成車(国内はKDを含む)の生産台数を示し、他社へのOEM供給及び共同開発車の当社生産分を含んでおります。 ② 受注実績 当社は、大口需要等特別の場合を除き、見込生産を行っております。③ 販売実績 当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。 当連結会計年度前連結会計年度比(%)数量(台)金額(百万円)数量金額国 内265,077609,100107.7110.2海 外763,9682,180,489100.2114.4 北米182,796711,099122.4132.2 欧州79,795219,377151.0142.3 アジア257,988537,03978.890.0 オセアニア88,938318,988103.2113.2 その他154,451393,984105.1117.9合計1,029,0452,789,589102.0113.5 (注)1.販売実績は、外部顧客の所在地別の当社及び連結子会社の完成車及びKDパックの卸売り台数を示しております。 2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、総販売実績の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。 (4)重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、連結会計年度末日における資産・負債の計上及び偶発資産・負債の開示、並びに報告期間における収益・費用の計上に影響を与える見積り及び仮定設定を行っております。これらの見積りは、過去の実績や合理的と考えられる方法に基づき行われておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が当社グループの連結財務諸表における重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。なお、市場措置に関する負債及び偶発債務(訴訟損失引当金)については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等」の「重要な会計上の見積り」に記載しております。① 貸倒引当金当社グループは、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。経済状況の変化等により顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合には、追加引当が必要となる可能性があります。② 製品保証引当金当社グループは、製品のアフターサービスに対する費用の支出に備えるため、保証書の約款に従い過去の実績を基礎に将来の保証見込みを加味して計上しております。実際の製品不良率又は修理コストが見積りと異なる場合、アフターサービス費用の見積額の修正が必要となる可能性があります。③ 偶発損失引当金当社グループは、将来発生する可能性の高い偶発損失に備え、偶発事象ごとに個別のリスク等を勘案し、合理的に算出した損失負担見込額を計上しております。④ 退職給付費用及び債務従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の長期収益率などが含まれております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。⑤ 繰延税金資産の評価当社グループでは、繰延税金資産について、回収可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を控除し、純額を計上しております。評価性引当額は、将来の課税所得及びタックスプランニング等を勘案し算定しており、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上しております。また、繰延税金資産の計上金額を上回る繰延税金資産を将来回収できると判断した場合、繰延税金資産への調整により当該判断を行った期間に利益を増加させることとしております。⑥ 投資有価証券の評価当社グループは、価格変動性が高い公開会社の株式と、市場価格のない非公開会社の株式を保有しております。当社グループは、投資有価証券の評価を一定期間ごとに見直し、その評価が取得原価又は減損後の帳簿価額を一定率以上下回った場合、減損処理を実施しております。将来の市況悪化又は投資先の業績不振により、現在の帳簿価額に反映されていない損失又は帳簿価額の回収不能が発生した場合、減損処理の実施が必要となる可能性があります。 ⑦ 固定資産の減損当社グループは、固定資産の減損会計の適用に際し、生産用資産は主として事業会社単位、販売関連資産は主として事業拠点単位、賃貸用資産及び遊休資産は個々の資産グループとしてそれぞれグルーピングし、各グループの単位で将来キャッシュ・フローを見積もっております。将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合、回収可能価額まで帳簿価額を減額しております。将来この回収可能価額が減少した場合、減損損失が発生し、損益に影響を与えることがあります。 |
※本記事は「三菱自動車工業株式会社」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
コメント