会社名 | 株式会社メルカリ |
業種 | 情報・通信業 |
従業員数 | 連2080名 単1417名 |
従業員平均年齢 | 36歳 |
従業員平均勤続年数 | 3.5年 |
平均年収 | 11668000円 |
1株当たりの純資産 | 436.71円 |
1株当たりの純利益 | 87.94円 |
決算時期 | 6月 |
配当金 | 0円 |
配当性向 | 0% |
株価収益率(PER) | 22.71倍 |
自己資本利益率(ROE) | 22.9% |
営業活動によるCF | ▲447億円 |
投資活動によるCF | ▲8億円 |
財務活動によるCF | 334億円 |
研究開発費※1 | 4.78億円 |
設備投資額※1 | 1.53億円 |
販売費および一般管理費※1 | 261.03億円 |
株主資本比率※2 | 40.5% |
有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1)会社の経営の基本方針 メルカリはCtoCマーケットプレイス「メルカリ」から始まり、「あんしんで頼れる」「誰でもカンタン」「使うほどワクワク」「ちょっといいことしてる気分の良さ」をお客さま体験として追求してきました。そこから生まれたお客さま同士の強固なネットワークを基盤として、物理的なモノだけでなく、信用やデジタルアセット、時間やスキルなど価値循環の対象を拡大し、お客さま体験を進化させ続けております。 よりサステナブルな社会への移行が求められる中、メルカリの事業が社会にもたらすポジティブインパクトは定量的にも示されております。メルカリが事業成長することがそのまま、サーキュラーエコノミーの体現であるともいえます。 私たちはこれからも、世界中のモノやコト、そして人の「まだ見出されていない価値」を引き出し、その価値を必要としている人へつなげていきます。有形・無形に限らずあらゆる価値が循環する「エコシステム」を通じて、世界中の人々の可能性を広げる(=Unleashする)存在でありたいと考えております。 (2)目標とする経営指標 当社グループは、日本及び米国で事業展開をしており、各地域によって成長ステージが異なりますが、GMV(流通取引総額)及び売上収益の成長、また、コア営業利益(注)などの指標を通じて、企業価値の向上を図って参ります。(注)営業利益からその他の収益/その他の費用等を控除した利益 (3)中長期的な会社の経営戦略 当社グループは、以下の強みを背景に中長期的な経営戦略を立案しております。当社グループの強み① 中古品市場の拡大をけん引するCtoCマーケットプレイスのパイオニア当社グループは、使いやすく楽しく、かつ安心・安全なCtoCマーケットプレイスの提供を通じて、フリマアプリ市場を作り上げ、オフライン店舗やインターネットオークションに限定されない日本の中古品市場全体の拡大をけん引して参りました。2023年に実施した当社調査によると、フリマアプリ及びオークションサイトの利用経験者のうち当社サービスの利用者数が最も多く、他社のサービスを上回る支持を獲得しております。当社グループは、CtoCマーケットプレイスのパイオニアとしての圧倒的なポジショニングを活用することで、上記の中古品市場の高い市場成長を享受できる立場にあると自負しております。更に、米国をはじめとする海外においても、個人による中古品売買のニーズは高く、「メルカリ」を通じて中古品市場の成長に貢献して参ります。 ② エンゲージメントの高いユーザ基盤及びこれを通じて得られる高付加価値のデータ活用 出品者・購入者双方にとって簡単で使いやすく、楽しく夢中になれるユーザ体験を提供することで、「メルカリ」は高いユーザエンゲージメントを実現しております。「メルカリ」のMAUは2024年6月期第4四半期において約2,200万人であり、ユーザの取引情報やユーザ間における取引評価情報等、利用価値の高いデータを大量に収集することができます。これらのデータと当社が注力して取り組むAIをはじめとするテクノロジーの活用により、購入者の嗜好にあわせた商品提案等による購入転換率の向上や、売れやすい出品価格提案等による出品転換率の向上、カスタマーサポートの効率化等に取り組んでいます。 また、スマホ決済サービス「メルペイ」で提供するCreditサービスにおいて、「メルカリ」の利用実績に基づいた与信を提供するなど、既存のサービスにおけるユーザ体験の向上に加え、グループとしての成長に資する新規サービスの開発にもつなげております。 ③ CtoC特有のネットワーク効果による高いロイヤルティの獲得 CtoCマーケットプレイスである「メルカリ」は、ネットワーク効果が強く働くサービスです。出品者・出品数の増加に伴い、購入したい商品が増えることで購入者・購入数が増加し、これにより商品の流動性が高まり、更に出品者・出品数が増加していきます。更に多くの出品者・購入者が高い頻度で「メルカリ」を利用しており、ネットワーク効果による自走的成長が促進されております。このようなネットワーク効果による出品者や購入者からの高いロイヤルティ獲得につながり、リピートユーザによる継続的な取引への参加が流通取引総額の成長に大きく貢献しております。また、ユーザの過去の取引評価の蓄積により、他のユーザが安心して取引を行うことができるとともに、ユーザ獲得競争において他の競合サービスへの流出を抑制する効果を有しております。更に、クレジットカード機能を有する「メルカード」の利用に伴うロイヤルティプログラムを開始するなど、ユーザ体験の向上に伴う高いロイヤルティの獲得に注力しております。 ④ 高い収益性を実現するビジネスモデル 当社グループは、Marketplaceにおいて既に高い収益性を実現しております。この背景は、一定の事業規模に達するとその後の更なる事業規模拡大に際してコストを適切に管理できるというビジネスモデルにあります。具体的には、当社のコスト構造の相当の割合は広告宣伝費により構成されていますが、一般的にモバイルアプリの初期成長段階では売上高に占める広告宣伝費の割合は高くなるものの、ユーザ基盤が拡大し安定するにつれて広告宣伝費の比率を抑えることが可能になります。その結果高い収益性を実現することが可能となります。 更に、FintechにおいてCreditサービスの成長に伴い収益基盤が強化されるなど、メルカリグループにおける第2の収益の柱としての確立に向けた取り組みも進捗しております。 ⑤ 価値創造を支える組織・企業文化 当社グループが掲げるミッション「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」の達成に向けて、世界中の多様なタレントが活躍できるボーダーレスな組織づくりを重要視しております。様々なバックグラウンドを持つ多様な人材が価値創造の源泉であると考え、「世界中の多様なタレントの可能性を解き放つ組織を体現」を大方針に据え、I&Dを推進しております。2024年6月末時点において、約55ヶ国の優秀なメンバーが在籍し、特にエンジニア組織では約50%以上が外国籍であり、多様なタレントが活躍しております。 また、ミッションを達成するための行動指針として「Go Bold」、「All for One」、「Be a Pro」の3つを策定しており、経営判断から日々の業務まで、メルカリに関わるすべての意思決定を、本バリューに基づき行っております。 当社の具体的な経営戦略 2024年6月期は、成長と収益のバランスを意識した経営を推進しながら、次の10年を見据えた既存事業の成長加速と新規事業創出に取り組んで参りました。その結果、連結で過去最高の売上収益とコア営業利益を達成するとともに、新規事業では、2024年3月に空き時間おしごとサービス「メルカリ ハロ」を開始、2022年11月に提供を開始した「メルカード」発行枚数が340万枚を突破するなど、各々のサービスが大きく成長いたしました。組織面においても、指名委員会等設置会社への移行に伴い、モニタリング型取締役会として実効性が一層向上し、また、指名委員会を通じたサクセッションプランの策定にも取り組むなど、グローバルな組織基盤の構築やガバナンス強化が進捗した一年となりました。 2025年6月期は、原則として、増益を伴うトップラインの成長を実現することを掲げ、グループシナジーを中心とした事業拡大を推進して参ります。各事業の成長に伴い、連結売上収益2,000-2,100億円、連結コア営業利益220-250億円の達成を目指します。 ① Marketplace:CtoCの安定成長に加え、越境取引やBtoC等の高い成長により、GMV成長率 YoY +10%前後に挑戦し、調整後コア営業利益率は37-42%を目指す・主な施策 MarketplaceのGMVは1兆円を超える規模に到達しておりますが、潜在的な市場規模は大きく、更なる事業拡大が可能と考えております。2025年6月期は、目標の達成に向けて、AI/LLMの実装を通じたUI/UXの改善を推進するとともに、高価格帯カテゴリーの強化を通じた取引活性化に取り組んで参ります。また、高成長が期待できる越境取引やBtoCを一層強化することで、MarketplaceのGMV貢献を加速して参ります。 2024年3月より提供開始したスポットワーク事業においては、求人情報を提供する事業者の獲得や、「メルカリ」のユーザ基盤を活かしたワーカー獲得を推進して参ります。これにより、全国で利用できる環境を構築するとともに、UI/UXの継続的な改善を通じたサービスの利用拡大を目指します。 ② Fintech:債権残高の着実な積み上がりを通じた継続的な「増益」フェーズへ移行し、コア営業利益30億円以上を目指す・主な施策 「メルカード」ユーザ獲得を推進しつつ、支払い手段やロイヤルティプログラムの拡充等のUX向上によって利用を促すことで、Fintechの柱であるCreditの更なる成長を目指します。利用拡大に伴う債権残高の積み上がりと、高い債権回収率の維持・向上を両立することで、健全な事業成長を実現して参ります。 また、暗号資産取引における積立機能追加を行う等、資産形成をより身近なものとする取り組みも推進して参ります。 ③ US:ブレイクイーブンにコミットしつつ、成長軌道への復帰を目指す・主な施策 2024年6月期第4四半期に行った人員削減を含む組織再編に伴い、より筋肉質な経営基盤を整えて参りました。2025年6月期は、長引くインフレをはじめとする厳しい外部環境の中、ユーザによる購入機会を創出すべく、日本「メルカリ」との越境取引を開始し、取引活性化を推進して参ります。更に、2024年3月より開始した新たな手数料モデルにおける、AI/機械学習を活用した継続的な精度向上を通じて、ブレイクイーブンにコミットしながら、成長軌道への復帰を目指して参ります。 また、中期においても、原則として、増益を伴うトップラインの成長に取り組んで参ります。MarketplaceにおけるCtoCの安定成長と高い収益性の継続に加え、高成長が期待できる越境取引やBtoC、Fintech、USにおいて規律のある投資を行うことで、2027年6月期に向けた連結目標として、売上収益CAGR2桁成長、コア営業利益CAGR+25%以上の達成を目指します。事業成長を通じたミッションの達成に向けて、「メルカリ」の事業基盤を活用したグループシナジーの創出を強化することで、非連続な成長を実現して参ります。 (4)会社の課題① サービスの安全性及び健全性の確保 Eコマースサービスやソーシャルメディア等の普及と、それに伴う不正利用の巧妙化の流れを受け、インターネット上のサービスの安全性維持に対する社会的要請は一層高まりを見せております。当社グループは、安心・安全な取引の場を提供するため、サービスの安全性・健全性確保を最重要課題として、個人情報保護や知的財産権侵害品対策等に継続的に取り組んで参ります。 ② 人材の育成 企業として持続的成長を続けるために、多様な視点とスキルを持つ人材が共に働きやすい環境を整え、イノベーションを生み出す基盤を強化し続ける必要があると考えております。「I&D Statement」として当社グループの考えを社外に公開、管理職に占める女性比率を改善するなどI&Dの推進に取り組んでおります。今後も、積極的な人材の抜擢・登用を通じて、当社グループの成長を牽引する新しいリーダーの輩出に取り組んで参ります。 ③ 技術力の強化 当社グループはインターネット上でサービスを提供しており、サービス提供に係るシステムを安定的に稼働させることが事業運営上重要であると認識しております。出品数の増加に伴うアクセス数の増加を考慮したサーバー設備の強化、並列処理システムの導入等による負荷分散等、継続的にシステムの安定性確保に取り組んで参ります。 また、先進技術への投資に注力し、更なるユーザ体験の向上に取り組んで参ります。例えば、過去の取引履歴や評価情報等の膨大なデータを元にしたAI/LLMや機械学習技術の活用により、サービスの利便性向上や、安全性及び健全性の維持・強化を推進して参ります。 ④ 海外展開への対応 当社グループは、2014年に米国へ進出し、2019年には日本における「メルカリ」に出品された商品を海外から購入できる越境販売を開始するなど、海外展開にも着手して参りました。米国事業においては、コスト構造と事業戦略の見直しを実施し、成長軌道への復帰を目指しております。越境販売に関しては、順調に拡大を続けており、連携する越境EC事業者も拡大し、世界110ヶ国以上の国・地域のお客さまに越境販売を展開しております。今後も市場の機会を見極めながら、グローバルでの事業拡大を目指して参ります。 ⑤ コーポレートガバナンスの強化 当社グループは、経営の監督機能及び内部統制機能の充実、コンプライアンス経営の徹底を通じて、企業価値の向上に努めることをコーポレートガバナンスの基本方針として定め、ステークホルダーのみなさまの信頼に応えるべく、経営の効率性、透明性を高め、企業価値の最大化と持続的な成長、発展に努めて参ります。 当社は、2023年9月28日開催の第11回定時株主総会における承認をもって指名委員会等設置会社へ移行いたしました。移行により、監督機能と執行機能の分離をより一層明確にすることによって、取締役会の監督機能の強化を実現しながら、執行機能の迅速かつ果断な意思決定と事業推進を実現する体制を構築いたします。 ⑥ 内部管理体制の拡充並びにコンプライアンスの徹底 当社グループは今後もより一層の事業拡大を目指しており、社会的責任を果たし、持続的な成長と企業価値向上を図るために、当社グループの成長に見合った人材の確保、育成及びコンプライアンスの徹底を重要な課題と考えております。内部監査、法務、財務、経理、情報セキュリティ等、それぞれの分野で高い専門性や豊富な経験を有している人材を採用することに加え、社員に対する継続的な啓蒙活動及び研修活動を行うことで、更なる内部管理体制の強化を図るとともに、コンプライアンスの徹底に努めて参ります。 ⑦ 財務規律の強化 当社グループが継続的に成長・拡大していくにあたっては、更なる収益基盤の強化・拡大と、それをレバレッジさせた資金調達力が必要になります。Marketplace・Fintech・USの主力3事業を、優先順位を意識した規律ある投資等の成長と収益のバランスをとった経営を行うことで、その基盤を整えて参ります。 |
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 当社グループは、当連結会計年度よりIFRSを適用しており、前連結会計年度の数値もIFRSに組み替えて比較分析を行っております。 (1)経営成績等の状況の概要① 経営成績等の状況 当連結会計年度は、グループミッション「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」の達成に向け、既存事業の成長の加速及び新規事業の創出に取り組んで参りました。その結果、連結で過去最高の売上収益と営業利益を達成しています。新規事業においても、2024年3月に空き時間おしごとサービス「メルカリ ハロ」を開始、2022年11月に提供を開始した「メルカード」発行枚数が340万枚を突破するなど、各々のサービスが大きく成長した一年となりました。 Marketplaceでは、規律ある投資を継続しつつ、トップラインの成長にフォーカスすることを今期の事業方針として取り組みました。越境取引やBtoC等の注力領域の伸長や、ロイヤルティプログラム(注1)がトップラインの成長に寄与しましたが、成長の加速には至らず、通期GMV(注2)は前連結会計年度比9%増加の1兆727億円となりました。一方、調整後コア営業利益率(注3)は「メルカリ ハロ」への投資を含め40%と、高い収益性を実現しております。2024年3月に開始した「メルカリ ハロ」の登録ユーザ数が開始3か月弱で500万人を突破、パートナー拠点数は全国5万店舗に達するなど、順調なスタートとなりました。 Fintechでは、「メルカード」ユーザ獲得に注力し、グループシナジーの強化を図ることを今期の事業方針として取り組みました。カード発行枚数が順調に拡大し、「メルカード」保有に伴うメルカリ内ARPUが50%向上するなど、グループシナジー創出が着実に進捗いたしました。また、「メルカード」を中心とするCreditサービスも好調に伸長したことで収益力が向上し、通期売上収益(注3)はYoY+51%と高成長を継続いたしました。Creditサービスの成長がけん引し債権残高(注4)が1,872億円まで伸長する中、独自のAI与信を活かした厳格な与信コントロール等により債権回収率(注5)も99.2%に向上し、健全な成長を実現しています。 以上の結果、Japan Regionの当連結会計年度の業績は、売上収益138,108百万円(前連結会計年度比13.0%増)、セグメント利益30,649百万円(前連結会計年度比10.4%減)となりました。 USでは、既存ユーザのリテンション強化に向けたプロダクトの磨き込みを通じて成長軌道への復帰を目指すとともに、将来成長に向けたZ世代の巻き込みにも注力することを今期の事業方針として取り組みました。Z世代獲得に向けたリブランディング等のプロダクトのアップデートや、米国マーケットプレイスで初めて出品手数料を無料化するなど、大胆な挑戦を推進しましたが、想定以上のインフレの長期化をはじめとする外部環境の影響が大きく、成長軌道への復帰には至りませんでした。この結果、当連結会計年度における「Mercari」の通期GMVは前連結会計年度比10%減少の913百万米ドル(1,361億円。月次平均為替レート換算での積み上げ)、売上収益は43,653百万円(前連結会計年度比1.8%減)となりました。このような状況を踏まえて、マーケティング費用の見直しと組織再編を実施したことで、セグメント損失は5,293百万円(前連結会計年度は8,758百万円の損失)と大きく改善いたしました。 以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上収益187,407百万円(前連結会計年度比9.0%増)、営業利益17,486百万円(前連結会計年度比6.7%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益13,461百万円(前連結会計年度比2.7%増)となりました。 (注)1.「メルカード」の利用状況に応じたポイント還元プログラム。常時1%ポイント還元、メルカリ内利用はPay, Buy, Sellのクロスユース等に応じて最大4%ポイント還元。2.「Gross Merchandise Value」の略。流通取引総額のことを指す。3.Marketplace・Fintech間の内部取引(決済業務委託に関わる手数料)を控除した数値を指す。4.当期末時点における「メルペイスマート払い(翌月払い・定額払い)」と「メルペイスマートマネー」の債権残高(破産更生債権等を除く)。5.11ヶ月前に請求を行った「メルペイスマート払い(翌月払い・定額払い)」と「メルペイスマートマネー」の金額に対して11ヶ月以内に回収を完了した四半期累計の加重平均割合(破産更生債権等を除く)。 ② 財政状態の状況(資産) 当連結会計年度末における資産につきましては、前連結会計年度末に比べ83,423百万円増加し、501,773百万円となりました。 主な増減理由は以下のとおりです。・現金及び現金同等物の主な増減理由は「キャッシュ・フローの状況」に記載しております。・営業債権及びその他の債権は、主に「メルペイスマート払い(翌月払い・定額払い)」の利用増加に伴い、前連結会計年度末に比べ68,685百万円増加しております。・差入保証金は、主に「メルカリ」及び「メルペイ」の利用金額の増加に伴い、法令に基づいた供託を実施したことにより、前連結会計年度末に比べ20,004百万円増加しております。(負債) 当連結会計年度末における負債につきましては、前連結会計年度末に比べ66,937百万円増加し、429,627百万円となりました。 主な増減理由は以下のとおりです。・借入金(流動負債)は、主に翌月払い及び定額払い債権の流動化の変動により、前連結会計年度末に比べ6,166百万円減少しております。・社債及び借入金(非流動負債)は、主に定額払い債権の流動化を実施したことにより、前連結会計年度末に比べ39,730百万円増加しております。・預り金は、主に「メルカリ」及び「メルペイ」の利用金額の増加に伴い、前連結会計年度末に比べ37,409百万円増加しております。・未払法人所得税等は、主に法人所得税の支払に伴い、前連結会計年度末に比べ5,084百万円減少しております。(資本) 当連結会計年度末における資本につきましては、前連結会計年度末に比べ16,486百万円増加し、72,145百万円となりました。 主な増減理由は以下のとおりです。・資本金は、新株発行に伴い、前連結会計年度末と比べ1,752百万円増加しております。・資本剰余金は、新株発行及び株式報酬取引等に伴い、前連結会計年度末と比べ485百万円増加しております。・利益剰余金は、主に親会社の所有者に帰属する当期利益の計上に伴い、前連結会計年度末に比べ13,652百万円増加しております。 ③ キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ9,823百万円減少し、当連結会計年度末には191,998百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動により使用した資金は、43,337百万円(前連結会計年度は35,820百万円の使用)となりました。これは主に、税引前利益17,889百万円、営業債権及びその他の債権の増加額68,635百万円、預り金の増加額35,887百万円、差入保証金の増加額20,000百万円、法人所得税の支払額10,274百万円によるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動により使用した資金は、877百万円(前連結会計年度は601百万円の使用)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出1,526百万円、敷金及び保証金の回収による収入531百万円によるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動により獲得した資金は、32,091百万円(前連結会計年度は25,167百万円の獲得)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額△15,835百万円、社債の発行及び長期借入れによる収入51,000百万円によるものであります。 ④ 生産、受注及び販売の実績a. 生産実績 当社グループで行う事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。 b. 受注実績 当社グループで行う事業は、提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。 c. 販売実績 当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2023年7月 1日至 2024年6月30日)販売高(百万円)前年同期比(%)Japan Region138,108113.0US43,65398.2 報告セグメント計181,762109.1その他5,645106.0 合計187,407109.0(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載のとおりです。 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績等の状況及び② 財政状態の状況」に記載したとおりであります。 ③ キャッシュ・フローの分析 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりであります。 当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。 当社グループは、継続的な成長のため、認知度、信頼度を向上させることにより、より多くのユーザを獲得 し、また既存のユーザを維持していくことが必要であると考え、会社設立以降積極的に広告宣伝等にコストを投 下しており、今後も継続して国内外における広告宣伝等を進めていく方針であります。当社グループの運転資金 需要のうち主なものは、当社グループのサービスを効果的に拡大していくための広告宣伝費及び開発に係る人件 費であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。当社グループは、必要な資金 を主に自己資金及び金融機関からの借入、社債の発行、債権流動化で賄っております。 ④ 経営成績に重要な影響を与える要因について 当社グループは、前記「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、サービスの性質、国際事業展開、コンプライアンス等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。 そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、市場のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行って参ります。 (3)並行開示情報 連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した要約連結財務諸表は、以下のとおりであります。 なお、日本基準により作成した当連結会計年度の要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。 ① 要約連結貸借対照表(日本基準)(単位:百万円) 前連結会計年度(2023年6月30日)当連結会計年度(2024年6月30日)資産の部 流動資産340,644415,760固定資産 有形固定資産2,7812,206無形固定資産584501投資その他の資産71,28293,753固定資産合計74,64896,461資産合計415,292512,222 負債の部 流動負債273,608313,575固定負債86,454125,659負債合計360,063439,235 純資産の部 株主資本51,37068,317その他の包括利益累計額2,2113,254新株予約権1,092943非支配株主持分554471純資産合計55,22872,987負債純資産合計415,292512,222 ② 要約連結損益計算書及び要約連結包括利益計算書(日本基準)要約連結損益計算書(単位:百万円) 前連結会計年度(自 2022年7月 1日至 2023年6月30日)当連結会計年度(自 2023年7月 1日至 2024年6月30日)売上高172,064187,462売上原価57,63956,904売上総利益114,425130,557販売費及び一般管理費97,401112,278営業利益17,02318,278営業外収益7161,016営業外費用2901,077経常利益17,44918,217特別利益2201特別損失1,063847税金等調整前当期純利益16,38917,571法人税等合計3,4743,301当期純利益12,91414,269非支配株主に帰属する当期純損失(△)△155△84親会社株主に帰属する当期純利益13,07014,353 要約連結包括利益計算書(単位:百万円) 前連結会計年度(自 2022年7月 1日至 2023年6月30日)当連結会計年度(自 2023年7月 1日至 2024年6月30日)当期純利益12,91414,269その他の包括利益合計9081,043包括利益13,82315,313(内訳) 親会社株主に係る包括利益13,97815,397非支配株主に係る包括利益△155△84 ③ 要約連結株主資本等変動計算書(日本基準)前連結会計年度(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日)(単位:百万円) 株主資本その他の包括利益累計額新株予約権非支配株主持分純資産合計当期首残高35,4531,30392631437,998当期変動額15,91790716524017,230当期末残高51,3702,2111,09255455,228 当連結会計年度(自 2023年7月1日 至 2024年6月30日)(単位:百万円) 株主資本その他の包括利益累計額新株予約権非支配株主持分純資産合計当期首残高51,3702,2111,09255455,228当期変動額16,9461,043△148△8317,758当期末残高68,3173,25494347172,987 ④ 要約連結キャッシュ・フロー計算書(日本基準)(単位:百万円) 前連結会計年度(自 2022年7月 1日至 2023年6月30日)当連結会計年度(自 2023年7月 1日至 2024年6月30日)営業活動によるキャッシュ・フロー△36,883△44,761投資活動によるキャッシュ・フロー△632△877財務活動によるキャッシュ・フロー26,83933,404現金及び現金同等物に係る換算差額1,3172,299現金及び現金同等物の増減額(△は減少)△9,359△9,933現金及び現金同等物の期首残高211,406202,047現金及び現金同等物の期末残高202,047192,113 ⑤ 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更(日本基準)前連結会計年度(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日) 該当事項はありません。 当連結会計年度(自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) 該当事項はありません。 (4)経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報 IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。 前連結会計年度(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日) 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 34.初度適用」に記載のとおりであります。 当連結会計年度(自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) (リース) 日本基準ではオペレーティング・リース取引については、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理しておりましたが、IFRSでは「使用権資産」及び「リース負債」を計上しております。 この結果、IFRSでは日本基準に比べて、使用権資産及びリース負債がそれぞれ3,309百万円及び3,206百万円増加しております。 (契約獲得コスト) 顧客との契約獲得のための増分コストについて、日本基準では一括費用処理しておりましたが、IFRSでは回収可能であると見込まれる部分について、資産として認識しております。 この結果、IFRSでは日本基準に比べて、資産合計が1,288百万円増加しております。 (株式報酬費用) 日本基準では段階的に権利行使が可能となるストック・オプション等について、付与された単位でまとめて会計処理を行っておりましたが、IFRSでは権利確定期間ごとにそれぞれ別個のストック・オプション等として会計処理を行っております。 この結果、IFRSでは日本基準に比べて、売上原価が557百万円増加しております。また販売費及び一般管理費が729百万円減少しております。 (未払有給休暇) 日本基準では会計処理が求められていなかった未消化の有給休暇について、IFRSでは「その他の流動負債」を計上しております。 この結果、IFRSでは日本基準に比べて、その他の流動負債が1,757百万円増加しております。 (在外子会社に係る累積換算差額の振替) 初度適用に際して、IFRS第1号に規定されている免除規定を選択し、移行日における累積換算差額を全て利益剰余金に振替えております。 この結果、IFRSでは日本基準に比べて、その他の包括利益累計が1,303百万円減少しております。 (法人所得税費用及び税効果に関する調整) 日本基準では住民税均等割について「法人税等」に含めて表示しておりましたが、IFRSでは「販売費及び一般管理費」に含めて表示し、事業税の外形標準課税の付加価値割については、日本基準では「販売費及び一般管理費」に含めて表示しておりましたが、IFRSでは「法人所得税費用」に含めて表示しております。また、日本基準では「法人税、住民税及び事業税」、「法人税等調整額」を区分掲記しておりましたが、IFRSでは「法人所得税費用」として一括して表示しております。 日本基準からIFRSへの調整に伴い一時差異が発生したこと、また、IFRSの適用に伴い、全ての繰延税金資産の回収可能性を再検討したことにより「法人所得税費用」の金額を調整しております。 この結果、IFRSでは日本基準に比べて、法人所得税費用が1,132百万円増加しております。 |
※本記事は「株式会社メルカリ」の令和6年6月期 有価証券報告書を参考に作成しています。
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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