会社名 | 協和キリン株式会社 |
業種 | 医薬品 |
従業員数 | 連5974名 単4082名 |
従業員平均年齢 | 43歳 |
従業員平均勤続年数 | 16.5年 |
平均年収 | 9447246円 |
1株当たりの純資産 | 1158.1円 |
1株当たりの純利益 | 93.7円 |
決算時期 | 12月 |
配当金 | 56円 |
配当性向 | 59.8% |
株価収益率(PER) | 25.3倍 |
自己資本利益率(ROE) | 8.2% |
営業活動によるCF | 1155億円 |
投資活動によるCF | ▲203億円 |
財務活動によるCF | ▲325億円 |
研究開発費※1 | 721億円 |
設備投資額※1 | 164.82億円 |
販売費および一般管理費※1 | 4646.94億円 |
株主資本比率※2 | 71.6% |
有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年12月31日現在)において当社グループが判断したものです。 (1) 経営の基本方針協和キリングループは、経営理念「ライフサイエンスとテクノロジーの進歩を追求し、新しい価値の創造により、世界の人々の健康と豊かさに貢献します。」を掲げています。この経営理念に謳う「新しい価値」を社会と共有できる価値(CSV:Creating Shared Value)と捉え、当社グループは、社会課題への取組みによる「社会的価値の創造」と「経済的価値の創造」の両立により、企業価値向上を実現するCSV経営を実践しています。また、協和キリングループで働く全ての人々が、行動の拠り所となる考え方や姿勢を示す中心概念の“Commitment to Life”と3つのキーワードで構成される価値観を、全員で共有、実践することで、社会から信頼される企業グループであり続けることを目指しています。 (2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題製薬業界を取り巻く環境は、年々、大きく複雑に変化しています。世界中で薬剤費抑制の流れが加速し研究開発の難度が高まる中、新たなモダリティやAI創薬等の科学技術の進歩による創薬・開発の加速や効率化等が期待されています。そして、根治又は進行抑制への要求がさらに強まり、アンメットメディカルニーズに対する有効な治療薬が世界中から待ち望まれています。 協和キリンは2030年のビジョン実現に向けたマテリアリティ(重要経営課題)を選定し、2030年に向けたビジョン及びその達成に向けた戦略に沿って、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして成長を実現していきます。 (アンメットメディカルニーズを満たす医薬品の提供)Crysvita(日本製品名:クリースビータ)、Poteligeo(日本製品名:ポテリジオ)等のグローバル戦略品の価値最大化に向けて、事業地域の拡大や市場浸透を進めていきます。グローバルに各機能部門や関係会社間の密接な連携体制を引き続き強化し、協和キリンブランドの新薬を、世界の患者さんにお届けしていきます。特にCrysvitaについては、米国での自社による販売拡大等を中心に、世界中の患者さんの医薬品へのアクセス向上に努めていきます。同時に、次世代グローバル戦略品であるKHK4083(一般名:rocatinlimab)、KHK4951(一般名:tivozanib)等の開発の推進、パイプライン充実に向けた、当社独自のバイスペシフィック抗体技術REGULGENTを搭載したKK2260、KK2269、ADCのKK2845等の初期開発品の研究開発及び新たなパイプラインの獲得に向けた活動強化等を通して、革新的な医薬品の継続的な創出に向けた戦略を実行していきます。今まで培った技術に関する蓄積と疾患に関する知見を融合することにより、新たな医療価値の創造と創薬の更なるスピードアップを目指すために、研究・開発においては、「骨・ミネラル」「血液がん・難治性血液疾患」「希少疾患」を注力する疾患領域に設定し推進します。技術面では、先進的抗体技術やOrchard Therapeutics社が保有する造血幹細胞遺伝子治療技術の活用など、革新的なモダリティ*1を活用したプラットフォームを着実に築いていきます。これに加え、アカデミアやスタートアップ等との共同研究活動の継続、ベンチャーキャピタル/コーポレートベンチャーキャピタルファンド出資を介した情報への早期アクセスを融合し、進化したオープンイノベーション活動を通じて、イノベーションの加速と強化を推し進めます。このように生み出されたLife-changingな価値*2は、自社での価値提供に加え、他社との共同や完全導出などの戦略的パートナリングによって価値最大化を図っていきます。*1 モダリティ:構想した治療コンセプトを実現するための創薬技術(方法・手段)の分類*2 Life-changingな価値:病気と向き合う人々の満たされていない医療ニーズを見出し、その課題を解決するための新たな薬やサービスを創造し、提供することで、患者さんが「生活が劇的に良くなった」と感じ笑顔になること (患者さんを中心においた医療ニーズへの対応)病気と向き合う人々に笑顔をもたらすために「ペイシェントアドボカシー活動*3」をグローバルで連携して進めることで、患者さんを中心においた医療ニーズへの対応を実現します。「医薬品アクセス基本方針*4」に則り、疾患啓発活動や患者さん支援ツールの提供なども通じて、アンメットメディカルニーズの解決に取組みます。そして、各国の患者支援団体等との関係維持強化を通して、グローバルで積極的に活動を推進し、患者さんや医療従事者の方々が解決を望んでいる課題や医療ニーズを収集して、病気と向き合う人々に笑顔をもたらすための活動を強化していきます。さらには、患者さんに笑顔を届けるために、より長期的な視点で、患者さんからのインサイトに基づく医薬品にとどまらない価値の創出についても取組みを進めます。当社の強みを活かせる領域で、蓄積されたデータの活用や、患者さんへの理解を深めることで、自社医薬品回りの課題解決に取組むと共に、キリングループが取組むヘルスサイエンスとのシナジーも活かし、医薬品にとどまらない新たな価値を創出していきます。*3 ペイシェントアドボカシー活動:患者コミュニティ及び医師コミュニティとの対話と連携により、社会の疾患に関する正しい理解を促進する活動。さらに、当社事業のバリューチェーン全体を通じてアンメットメディカルニーズの解決に取組み、病気と向き合う人々に笑顔をもたらす活動*4 医薬品アクセス基本方針:当社ウェブサイト https://www.kyowakirin.co.jp/sustainability/patient/access_to_medicine/index.html (社会からの信頼獲得)当社は、医薬品という確かな品質が求められる製品をグローバルに安定的に供給するために、強固な生産体制を確立すると共に、品質保証体制及びサプライチェーンマネジメントの強化に努め、自社や委託先での生産における課題についても引き続き適切に対処していきます。また、国際基準や法令に従って「協和キリングループサプライヤー行動指針」を改正し、サステナブルな調達活動を強化していきます。また、世界規模の気候変動に対し、当社は「キリングループ環境ビジョン2050」と連動し、設備投資を含む継続的な省エネの推進、再生可能エネルギーの導入・拡大などにより、バリューチェーン全体の温室効果ガス排出量ネットゼロを目指し、次世代に引き継ぐ地球環境の保護に積極的に取組んでいきます。「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言を踏まえ、気候変動に関連するリスクと機会の管理や評価を行い、引き続き適切な情報開示を行っていきます。 (Life-changingな価値を実現する人材・基盤の強化)グローバルにビジネスを展開する中で事業基盤を確立し、製品価値の最大化・開発パイプラインの充実、製品安定供給など、持続的な成長を実現できる体制を整えます。Life-changingな価値実現のためのデジタルトランスフォーメーションとして掲げた「デジタルビジョン2030*5」のもと、オペレーショナルエクセレンスの実現と、DX推進基盤の強化を進めていきます。当社は、人的資本を競争力の源泉の一つと位置付け、「価値創造活動」を推進することがビジョンの実現につながると考えています。「患者さんの笑顔のため」という使命感と責任感のもと、高い専門性を持って変革に挑み続ける多様な人材の育成と輩出を目指し、社内環境の整備や企業文化の醸成に取組みます。人権に関する取組みとして、グループ人権基本方針*6に基づき、人権デュー・ディリジェンスを継続的に実施して人権尊重に向けた活動を更に推進していきます。また、コーポレートガバナンスについては、執行への権限委譲やCxOの拡充等、取締役会の実効性向上と執行体制の強化に努めていきます。*5 デジタルビジョン2030:当社ウェブサイト https://www.kyowakirin.co.jp/sustainability/human_resources_infrastructure/dx/index.html*6 人権基本方針:当社ウェブサイト https://www.kyowakirin.co.jp/csr/human_rights/index.html |
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】<事業の概況>地政学的リスクの高まり、原材料やエネルギーの価格高騰等、事業を取り巻く環境が大きく複雑に変化する中、アンメットメディカルニーズを満たす医薬品の提供に向けて、研究開発、生産・物流の強化や情報収集・提供活動を行ってきました。2023年においても、引き続き、「協和キリンは、イノベーションへの情熱と多様な個性が輝くチームの力で、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして病気と向き合う人々に笑顔をもたらすLife-changingな価値の継続的な創出を実現します。」という2030年に向けたビジョンの実現を目指し取組みを推進しました。Crysvita(日本製品名:クリースビータ)、Poteligeo(日本製品名:ポテリジオ)などのグローバル戦略品の価値最大化に向け、米国ではCrysvitaの自社販売を開始し、欧州ではエスタブリッシュト医薬品事業※1の合弁提携化によるCrysvita、Poteligeoへの集中を進めるとともに、世界中の患者さんの医薬品へのアクセス向上に努めました。次世代戦略品については、免疫・アレルギー疾患領域のKHK4083の開発を米国Amgen社と連携しながら複数の臨床試験を継続して推進しました。日本においては、腎臓領域のRTA 402の開発中止を決定しましたが、透析中の慢性腎臓病における高リン血症の改善を適応症としたフォゼベルの製造販売承認を取得しました。当社独自のバイスペシフィック抗体技術REGULGENTを搭載したKK2260は臨床試験を開始し、KK2269もその準備を進めています。革新的な医薬品創出の重要なステップとして、造血幹細胞遺伝子治療(HSC-GT※2)のグローバルリーダーである英国Orchard Therapeutics社と買収契約を締結※3しました。確かな品質の医薬品の安定供給に向けて、高崎工場において、最新設備を導入した品質保証関連複合施設(Q-TOWER)を竣工し、新しいバイオ医薬原薬製造棟等の建設を開始しました。サステナブルな社会の実現に向けた取組みとして、再生可能エネルギー導入※4等によるCO2排出量を2019年比で約54%を削減しました。※1:主に特許期間が満了した先発医薬品及び後発医薬品を取り扱う事業※2:hematopoietic stem cell gene therapy※3:2024年1月24日付でOrchard Therapeutics社の株式取得(子会社化)を完了しました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 35.後発事象」をご覧ください。※4:工場2拠点、研究所3拠点の全ての購入電力にRE100基準の再生可能エネルギーを導入 (1)当期の財政状態の概況(単位:億円) 前連結会計年度末当連結会計年度末増減資産9,39910,259861非流動資産流動資産3,9775,4224,1486,111171689負債1,7711,895125資本7,6288,364736親会社所有者帰属持分比率(%)81.2%81.5%0.3% ◎ 資産は、前連結会計年度末に比べ861億円増加し、10,259億円となりました。・非流動資産は、欧州エスタブリッシュト医薬品事業の合弁化に伴い、持分法で会計処理されている投資が増加したことに加えて、有形固定資産の増加や為替の円安影響によるのれんの増加等により、前連結会計年度末に比べ171億円増加し、4,148億円となりました。・流動資産は、売却目的で保有する資産の減少等がありましたが、現金及び現金同等物の増加等により、前連結会計年度末に比べ689億円増加し、6,111億円となりました。◎ 負債は、契約負債の減少によるその他の非流動負債の減少等がありましたが、営業債務及びその他の債務の増加等により、前連結会計年度末に比べ125億円増加し、1,895億円となりました。◎ 資本は、配当金の支払による減少等がありましたが、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上や為替影響による在外営業活動体の換算差額による増加等により、前連結会計年度末に比べ736億円増加し、8,364億円となりました。この結果、当連結会計年度末の親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末に比べ0.3ポイント増加し、81.5%となりました。 (2)当期の経営成績の概況① 業績の概況当社グループは、グローバルに事業を展開していることから、国際会計基準(以下「IFRS」という。)を適用していますが、事業活動による経常的な収益性を示す段階利益として「コア営業利益」を採用しています。当該「コア営業利益」は、「売上総利益」から「販売費及び一般管理費」及び「研究開発費」を控除し、「持分法による投資損益」を加えて算出しています。(単位:億円) 前連結会計年度当連結会計年度増減増減率%売上収益3,9844,42243911.0%コア営業利益86796810111.6%税引前利益67697229743.9%親会社の所有者に帰属する当期利益53681227651.5% <期中 平均為替レート>通貨前連結会計年度当連結会計年度増減米ドル(USD/円)130円140円10円英ポンド(GBP/円)161円174円13円ユーロ(EUR/円)137円151円14円 当連結会計年度の売上収益は4,422億円(前期比11.0%増)、コア営業利益は968億円(同11.6%増)となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は812億円(同51.5%増)となりました。 ◎ 売上収益は、北米を中心としたグローバル戦略品の伸長に加え、技術収入の増加により、増収となりました。なお、売上収益に係る為替の増収影響は189億円となりました。◎ コア営業利益は、研究開発費の増加や持分法による投資損益の減少がありましたが、海外売上収益や技術収入の増収に伴う売上総利益の増加により、増益となりました。なお、コア営業利益に係る為替の増益影響は65億円となりました。◎ 親会社の所有者に帰属する当期利益は、コア営業利益の増益に加え、欧州エスタブリッシュト医薬品事業の合弁化に伴う子会社株式売却益及び残存持分評価益の計上等によるその他の収益の増加や、減損損失の減少等によるその他の費用の減少もあり、増益となりました。 ② 地域統括会社別の売上収益(単位:億円) 前連結会計年度当連結会計年度増減増減率%日本1,4871,470△17△1.1%北米1,1261,37825222.4%EMEA669733659.7%アジア/オセアニア3013575518.3%その他4014848320.7%売上収益合計3,9844,42243911.0%(注)1.One Kyowa Kirin 体制(日本・北米・EMEA・アジア/オセアニアの4極の地域(リージョン)軸、機能(ファンクション)軸と製品(フランチャイズ)軸を組み合わせたグローバルマネジメント体制)における地域統括会社(連結)の製商品の売上収益を基礎として区分しています。2.EMEAは、ヨーロッパ、中東及びアフリカ等です。3.その他は、技術収入及び受託製造等です。 <主要製品の売上収益(日本)>(単位:億円) 前連結会計年度当連結会計年度増減増減率%ダルベポエチン アルファ注シリンジ「KKF」176140△36△20.6%ダーブロック66993451.5%ジーラスタ31131992.8%ロミプレート1041201514.6%クリースビータ891051618.4% ◎ 日本の売上収益は、腎性貧血治療剤ダーブロック等が伸長したものの、2022年4月及び2023年4月に実施された薬価基準引下げの影響等を受け、前連結会計年度に比べ減少しました。・ダルベポエチン アルファ注シリンジ「KKF」は、薬価基準引下げ及び競合品浸透の影響を受け、売上収益が減少しました。・腎性貧血治療剤ダーブロックは、2020年の発売以来、順調に売上収益を伸ばしています。・発熱性好中球減少症発症抑制剤ジーラスタは、2022年12月に自動投与デバイスであるボディーポッドを発売し、売上収益が前連結会計年度を上回りました。・慢性特発性血小板減少性紫斑病治療剤ロミプレートは、2019年の既存治療で効果不十分な再生不良性貧血を適応症とする承認の取得に加え、2023年9月に「既存治療で効果不十分な再生不良性貧血」を「再生不良性貧血」に変更する承認事項一部変更承認を取得し、市場浸透により売上収益が増加しています。・FGF23関連疾患治療剤クリースビータは、2019年の発売以来、順調に売上収益を伸ばしています。 <主要製品の売上収益(海外)>(単位:億円) 前連結会計年度当連結会計年度増減増減率%Crysvita1,1821,42023720.1%Poteligeo2232846127.3%Nourianz65821827.4%Gran8269△13△15.4% ◎ 北米の売上収益は、グローバル戦略品が伸長し、前連結会計年度を上回りました。・X染色体連鎖性低リン血症治療剤Crysvita(日本製品名:クリースビータ)は、2018年の発売以来、順調に売上収益を伸ばしています。・抗悪性腫瘍剤Poteligeo(日本製品名:ポテリジオ)は、2018年の発売以来、売上収益を伸ばしています。・パーキンソン病治療剤Nourianz(日本製品名:ノウリアスト)は、2019年の発売以来、売上収益を伸ばしています。◎ EMEAの売上収益は、エスタブリッシュト医薬品の売上収益が減少しましたが、グローバル戦略品の伸長やTostranの権利譲渡による収入などにより、前連結会計年度を上回りました。・X染色体連鎖性低リン血症治療剤Crysvita(日本製品名:クリースビータ)は、2018年の発売以来、上市国を拡大しながら売上収益を伸ばしています。・抗悪性腫瘍剤Poteligeo(日本製品名:ポテリジオ)は、2020年の発売以来、上市国を拡大しながら売上収益を伸ばしています。・エスタブリッシュト医薬品事業のGrunenthal社との合弁化に伴い、8月より13ブランドの売上収益が製品売上から売上ロイヤルティ及びライセンス利用料に移行したため、Abstral等のエスタブリッシュト医薬品の売上収益が減少しました。・エスタブリッシュト医薬品Tostranに関する権利のADVANZ PHARMA社への譲渡により10月に62.5百万ポンド(115億円)の売上収益を計上しました。◎ アジア/オセアニアの売上収益は、前連結会計年度を上回りました。・X染色体連鎖性低リン血症治療剤Crysvita(日本製品名:クリースビータ)は、2022年11月に販売を開始したオーストラリアを中心に、売上収益を伸ばしています。・好中球減少症治療剤Gran(日本製品名:グラン)は、中国の一部の地域で始まった集中購買制度※の影響を受け売上収益が減少しました。※:中国で医療費削減を目的に2018年に導入された医薬品調達プログラム(VBP:Volume-Based Procurement)。入札により2-5社程度の企業だけに供給が委託される一方、価格は大幅に下落します。 <その他の売上収益> ◎ その他の売上収益は、前連結会計年度を上回りました。・AstraZeneca社からのベンラリズマブに関する売上ロイヤルティが増加しました。 ③ コア営業利益◎ コア営業利益は、第Ⅲ相国際共同治験を実施中のKHK4083の開発進展等に伴う研究開発費の増加に加え、4月27日からの北米でのCrysvita自社販売開始に伴う人件費等の増加や持分法による投資損益の減少等がありましたが、北米を中心としたグローバル戦略品の伸長や技術収入の増収に伴う売上総利益の増加により、前連結会計年度に比べ増益となりました。 (3)当期のキャッシュ・フローの概況「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析 ③ キャッシュ・フローの状況、資本の財源及び資金の流動性についての分析」に記載のとおりです。 (4)生産、受注及び販売の実績① 生産実績当連結会計年度の生産実績は、次のとおりです。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)医薬145,37095.6合計145,37095.6(注)1.金額は販売価格によっています。2.当社グループ内において原材料等として使用する中間製品については、その取引額が僅少であるため相殺消去等の調整は行っていません。 ② 受注実績当社グループは、主として販売計画に基づいた生産を行っています。一部の製品で受注生産を行っていますが、受注高及び受注残高の金額に重要性はないため、記載を省略しています。 ③ 販売実績当連結会計年度の販売実績は、次のとおりです。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)医薬442,233111.0合計442,233111.0(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。相手先前連結会計年度当連結会計年度金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)CVS Caremark社--46,92310.6(注)前連結会計年度におけるCVS Caremark社に対する売上収益は、連結損益計算書の売上収益の10%未満であるため、記載を省略しています。 (5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年12月31日現在)において当社グループが判断したものです。 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたって、用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (5) 会計上の判断、見積り及び仮定」に記載のとおりです。 ② 当期の財政状態及び経営成績の分析当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 当期の財政状態の概況、(2) 当期の経営成績の概況」に記載のとおりです。 ◎ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等2021-2025年中期経営計画の財務指標の最終年度である2025年度の経営目標及び当連結会計年度の実績は、以下のとおりです。 2025年度経営目標当連結会計年度実績 ROE10%以上10.2%当期利益÷期首期末平均資本売上収益成長率(CAGR)10%以上11.6%2020年度を基準年度とした年平均成長率研究開発費率18~20%を目処に積極投資16.3%研究開発費÷売上収益コア営業利益率25%以上21.9%コア営業利益÷売上収益配当性向(注)40%を目処に継続増配35.5%7期連続の増配 (注)コアEPS(経常的な収益性を示す指標として、「当期利益」から「その他の収益」及び「その他の費用」並びにこれらに係る「法人所得税費用」を控除した「コア当期利益」を期中平均株式数で除して算定)に対する配当性向を記載しています。 当社グループは、2021-2025年中期経営計画において、成長性、イノベーション創出能力、収益性を持続的に高めていくことにより、中長期的なROEの向上と継続増配を実現し、グローバル・スペシャリティファーマとしての安定した収益構造の確立と持続的な成長を目指しています。その目標達成状況を判断するための客観的な指標として、「ROE」「売上収益成長率」「研究開発費率」「コア営業利益率」「配当性向」の5つの財務指標(KPI)を掲げています。当連結会計年度は、Crysvita、Poteligeo等のグローバル戦略品の価値最大化に向け、米国ではCrysvitaの自社販売を開始し、欧州ではエスタブリッシュト医薬品事業の合弁提携化によるCrysvita、Poteligeoへの集中を進めるとともに、世界中の患者さんの医薬品へのアクセス向上に努めました。研究開発では、免疫・アレルギー疾患領域のKHK4083(一般名:rocatinlimab)の開発を米国Amgen社と連携しながら複数の臨床試験を継続して推進しました。日本においては、腎臓領域のRTA 402の開発中止を決定しましたが、透析中の慢性腎臓病における高リン血症の改善を適応症としたフォゼベルの製造販売承認を取得しました。これらの結果、売上収益は4,422億円と前連結会計年度に比べ439億円増加しました(売上収益成長率11.6%)。販売費及び一般管理費は1,631億円と前連結会計年度に比べ31億円減少した一方、研究開発費は721億円(研究開発費率16.3%)と前連結会計年度に比べ92億円増加しましたが、コア営業利益は968億円(コア営業利益率21.9%)と前連結会計年度に比べ101億円、当期利益は812億円と前連結会計年度に比べ276億円それぞれ増加し、過去最高益となりました。ROEは10.2%(前連結会計年度は7.1%)となりました。なお、当期末の剰余金の配当につきまして、1株につき29円とすることを取締役会で決議しました。2024年3月22日開催予定の第101回定時株主総会で承認されますと、中間配当金27円を加えた年間配当金は、前連結会計年度に比べ5円増配の年間56円(配当性向35.5%)と、7期連続の増配となる予定です。 ③ キャッシュ・フローの状況、資本の財源及び資金の流動性についての分析◎ 当期のキャッシュ・フローの概況(単位:億円) 前連結会計年度当連結会計年度増減増減率%営業活動によるキャッシュ・フロー4871,156669137.4%投資活動によるキャッシュ・フロー△172△204△3218.6%財務活動によるキャッシュ・フロー△290△325△3512.1%現金及び現金同等物の期首残高3,3513,392411.2%現金及び現金同等物の期末残高3,3924,03163918.8% ◎ 当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末の3,392億円に比べ639億円増加し、4,031億円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。◎ 営業活動によるキャッシュ・フローは、1,156億円の収入(前連結会計年度は487億円の収入)となりました。主な収入要因は、税引前利益972億円に加えて、減価償却費及び償却費211億円、連結子会社からの外貨建預り金の期末における換算差額等の為替差損益132億円、減損損失及び減損損失戻入益108億円です。一方、主な支出要因は、子会社株式売却益及び残存持分評価益148億円、法人所得税の支払額86億円です。◎ 投資活動によるキャッシュ・フローは、204億円の支出(前連結会計年度は172億円の支出)となりました。主な支出要因は、有形固定資産の取得による支出172億円や無形資産の取得による支出156億円です。一方、主な収入要因は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入78億円、関係会社社債の償還による収入50億円です。◎ 財務活動によるキャッシュ・フローは、325億円の支出(前連結会計年度は290億円の支出)となりました。主な支出要因は、配当金の支払額290億円です。 ◎ 資本政策の基本的な方針当社グループは、2021-2025年中期経営計画において、持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指すための重要な財務指標(KPI)として「ROE」(自己資本利益率)を掲げ、株主資本コストを安定的に上回る「10%以上」を早期に達成し、この水準を中長期的に維持向上させていくことを目標としています。このための経営資源の配分、株主還元、資金調達についての方針は、以下のとおりです。 ・経営資源の配分についての方針2025年以降の持続的成長と企業価値最大化に向けた成長投資(R&D投資、戦略投資、設備投資)を最優先に考えています。 R&D投資については、2021-2025年中期経営計画においては、売上収益の18~20%を目処に研究開発費を継続的に積極投資することを目標としています。研究開発活動への資源投入としては、KHK4083、KHK4951等の次世代グローバル戦略品の開発の推進、パイプライン充実に向けた、当社独自のバイスペシフィック抗体技術REGULGENTを搭載したKK2260、KK2269、ADCのKK2845等の初期開発品の研究開発及び新たなパイプラインの獲得に向けた活動強化等を通して、革新的な医薬品の継続的な創出に向けた戦略を実行します。技術面では、先進的抗体技術や買収したOrchard社が保有する造血幹細胞遺伝子治療技術の活用など、革新的なモダリティを活用したプラットフォームを着実に築いていきます。当連結会計年度のR&D活動は、「第2 事業の状況 6 研究開発活動」に記載のとおりです。 戦略投資については、オープンイノベーションを積極活用した創薬技術などの外部イノベーションの取り込みやパイプラインの獲得を目的として、戦略的なパートナリング活動(導入・提携等)やM&Aなどの外部資源の活用にも積極的に取組み、中長期的なグローバルパイプラインの拡充や、グローバル戦略品とのシナジー創出を図ることにより、さらなる持続的成長の加速を目指しています。これらの戦略的な成長投資に関しては、社長を中心に毎月開催している「戦略的投資検討会議」において具体的な案件の検討を継続的に行っています。次のような戦略投資案件を優先的な検討対象としています。① ポートフォリオ強化を目的とするライセンスイン、M&A投資・注力する疾患領域である骨・ミネラル、血液がん・難治性血液疾患、希少疾患にプライオリティを置く② 新たな強みを創造するサイエンス・テクノロジーへの投資・新たなモダリティや初期パイプラインの獲得、協業やコラボレーションの加速を目的とした投資・情報探索、アクセスを目的としたVC(Venture Capital)投資・CVC(Corporate Venture Capital)活動当連結会計年度は、造血幹細胞遺伝子治療のグローバルリーダーであるOrchard社と買収契約(買収総額478百万米ドル)を締結し、2024年1月24日付で同社の買収を完了しました。 設備投資については、グローバル戦略品の価値最大化に向けた競争力ある事業基盤整備のための投資も積極的に実施しています。特に、医薬品という確かな品質が求められる製品をグローバルに安定的に供給するために、強固な生産体制を確立すると共に、品質保証体制及びサプライチェーンマネジメントの強化に努めています。また、戦略的なITデジタル活用基盤の構築・整備等により、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとしての持続的な成長を支えるグローバルな事業基盤の早期確立を目指しています。当連結会計年度は、232億円の設備投資(無形資産、長期前払費用を含む)を実行しました。確かな品質の医薬品の安定供給に向けて、高崎工場において、最新設備を導入した品質保証関連複合施設(Q-TOWER)を竣工(投資予定金額140億円)し、新しいバイオ医薬原薬製造棟(同168億円)や倉庫棟(同72億円)等の建設を開始しました。 これらの投資案件や開発プロジェクトの事業性評価においては、投資家の皆様が当社に期待する資本コスト(WACC)を反映したハードルレート(地域別)を用いた正味現在価値(NPV)と期待現在価値(EPV)を主たる定量的な基準としています。投資の判断においても、資本コストを上回るリターンの創出による中長期的な企業価値向上への寄与を重視しています。・株主還元についての方針配当方針については、2021-2025年中期経営計画で掲げたコアEPSに対する配当性向(以下、「配当性向」)40%を目処とし、中長期的な利益成長に応じた安定的かつ継続的な配当水準の向上(継続的な増配)を目指しています。この方針に基づき、当連結会計年度は、2022年度より5円増配の56円(配当性向35.5%)の配当を予定しています。また、2024年度の配当については58円(配当性向47.6%)と、8期連続の増配を予定しています。また、自己株式の取得については、株価状況等を勘案したうえで機動的に検討する方針としており、2024年2月には、資本効率の向上及び株主還元の拡充のため、400億円(17百万株)を上限とする自己株式の取得及び消却を決定し、取得を開始しました。日本発のグローバル・スペシャリティファーマとしての持続的成長と企業価値最大化に向けて、成長性、イノベーション創出能力、収益性を高め、中長期的なROE向上と継続増配を目指していきます。 ・資金調達についての方針引き続きネットキャッシュポジションの維持を原則としますが、手元資金に加えて、戦略的な大型投資案件に備えた借入余力と機動的な資金調達手段(CP(コマーシャル・ペーパー)、コミットメントライン)も確保し、十分な財務柔軟性を維持します。 |
※本記事は「協和キリン株式会社」の令和5年12期 有価証券報告書を参考に作成しています。
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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