会社名 | 京セラ株式会社 |
業種 | 電気機器 |
従業員数 | 連79185名 単21156名 |
従業員平均年齢 | 40歳 |
従業員平均勤続年数 | 15.6年 |
平均年収 | 6922862円 |
1株当たりの純資産 | 1732.04円 |
1株当たりの純利益 | 64.59円 |
決算時期 | 年3 |
配当金 | 125円 |
配当性向 | 77.4% |
株価収益率(PER) | 31.31倍 |
自己資本利益率(ROE) | 3.8% |
営業活動によるCF | 2690億円 |
投資活動によるCF | ▲1584億円 |
財務活動によるCF | ▲825億円 |
研究開発費※1 | 1042.9億円 |
設備投資額※1 | 259.65億円 |
販売費および一般管理費※1 | 1633.99億円 |
株主資本比率※2 | 62.3% |
有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当社が当連結会計年度末現在において判断したものです。 (1)経営の基本方針 当社は、「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」という経営理念の追求のため、「人間として何が正しいか」を判断基準とした企業哲学である「京セラフィロソフィ」と、独自の経営管理システムである「アメーバ経営」の実践を通して、持続的な売上拡大と高い収益性の実現を目指しています。 (2)中期の経営目標 当社は、今後の中期的な経営目標を設定し、その達成に必要な施策を明確化するために、2024年3月期から2026年3月期までの中期経営計画を策定し、遂行しています。 中期経営計画における主要な施策は次のとおりです。 ・長期的な展望に基づいた先行投資の集中実施 ・高成長の実現に向けたグループ内経営資源の競争優位分野への統合・結集 ・事業の選択と集中の推進、及び低成長・低採算領域における構造改革の実施 ・社会課題解決型の新規事業創出に向けた研究開発体制の強化 (中期経営計画)2026年3月期目標売上高2兆5,000億円税引前利益3,500億円税引前利益率14.0%ROE7.0%以上 中期経営計画の達成に向けて、当社は、既存事業への設備投資及び新規事業創出のための研究開発の一層の拡大を見込んでいます。この資金の源泉としては、営業活動によるキャッシュ・フローに加え、金融資産を活用した借入金を充当する計画です。 詳細は下記キャピタル・アロケーションをご参照ください。 (2024年3月期から2026年3月期までの投資計画を含むキャピタル・アロケーション) (3)中長期的な経営環境及び対処すべき課題 AI技術や5G通信技術の進化とともに社会全体のデジタル化が加速しており、今後も半導体関連産業や電子部品産業の更なる拡大が見込まれます。また、技術の進化と併せて、脱炭素等の環境対応や労働人口減少に対する生産現場のスマート化の進展等、様々な社会課題の解決に貢献する技術やサービスへのニーズが高まっています。 当社はこれらの環境変化を事業機会と捉え、当社の強みである幅広い事業領域と多様な技術、強固な財務基盤を活用し、社会課題の解決に貢献する製品やソリューションの展開を通じ、事業拡大を図ります。 a. 既存事業の拡大及び新規事業の創出に向けた投資の強化 AIの活用領域拡大に伴い、中長期的に5G/6Gや半導体、モビリティ関連市場での各種製品の需要が見込まれます。これらの市場においては、より高精細、高性能、高品質な製品供給が求められる一方、需要の変動や技術革新の加速化により、生産能力だけでなく、ニーズの変化にタイムリーに対応できる供給体制の構築が必要となっています。当社は高シェア製品を中心に、引き続き国内外において新工場棟の建設を進めるとともに、デジタル技術の活用による生産現場のスマートファクトリー化等の積極的な設備投資を進め、既存事業の拡大に努めます。 また、新製品・新技術開発の促進に向けて、グループ内外の経営リソースの一層の活用による開発力の強化及びスピードアップ、並びに人材育成に努め、事業領域の拡大を図ります。 さらに、長期的な事業成長を支える新規事業の創出に向けた研究開発への投資も積極的に進めています。新素材等の応用展開による様々な領域への新製品開発をはじめ、当社の強みである幅広い技術資産を組み合わせることにより、独自性が高く、社会課題の解決に貢献する新規事業の創出を図ります。 b. 収益性向上に向けた事業の選択と集中 当社は、高収益事業の一層の収益性の向上並びに課題事業の収益性改善を図るため、経営陣主導による事業モニタリングを強化し、事業体制や事業領域、製品展開の見直し等を進め、事業の選択と集中に取り組んでいます。 コアコンポーネントセグメント及び電子部品セグメントにおいては、より高収益な事業体制の構築に向けて高付加価値製品等の競争優位領域に注力するとともに、生産性向上に向けたスマートファクトリーの導入や生産管理面でのデジタル技術の活用等による効率化を進めます。 ソリューションセグメントにおいては、保有している様々な技術や製品の融合により、新たな事業モデルを構築するとともに、構造改革を実行することで収益性の改善・向上を図ります。 c. サステナブル経営の推進 当社は持続的な企業運営に向けて、環境や社会課題への対応並びにコーポレート・ガバナンスの強化に取り組みます。 環境面では脱炭素社会の実現を目指し、再生可能エネルギーの普及に努めています。自社拠点への太陽光発電システムの設置導入を進めるとともに、地域・社会全体での温室効果ガス排出量削減に向けて、太陽電池、燃料電池、蓄電池の3つの電池を活用した新たな電力サービスの創出に取り組んでいます。 社会面では、経営理念である「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」の実現を目指し、社員一人ひとりがいきいきと活躍できるよう、働きやすさの醸成に努めるとともに、DEI(Diversity, Equity & Inclusion)の推進や従業員エンゲージメント向上への積極的な取り組みを進めています。また、特に世界的に意識が高まっている人権問題については、自社だけでなくサプライチェーンにおけるデューデリジェンスを実施する等の対応を進めています。 コーポレート・ガバナンスについては、企業価値向上を目指し、取締役会の更なる多様性や実効性の向上、中長期の事業戦略及び資本戦略に関する積極的な議論等を進めます。また、リスクマネジメント及びコンプライアンスの推進等により、サステナブル経営の実践を図ります。 (4)レポーティングセグメント別の対処すべき課題等 <レポーティングセグメント別 中期経営計画> a. コアコンポーネント(a) 経営戦略 ・半導体関連市場への注力 ・生産性向上のための積極的な設備投資の実行 (b) 中期目標(2026年3月期)売上高7,800億円事業利益1,404億円利益率18.0% (c) 事業環境見通し及び主な事業戦略 当レポーティングセグメントの主要市場である半導体市場は、中長期的に最先端品を中心に大幅な需要増を見込んでおり、ロジックは2022年から2030年にかけて年平均成長率(CAGR)11%、メモリーは同5%の成長を予想しています。 当社は、半導体市場向けにネットワークサーバー用有機パッケージ、半導体用セラミックパッケージ、半導体製造装置用ファインセラミック部品を供給しています。パッケージ製品では戦略顧客における高いシェアに加え、有機パッケージでは大型高多層化に対応する製造技術を、セラミックパッケージでは高い供給能力や材料・プロセス技術を、また、半導体製造装置用ファインセラミック部品では精密加工や温度均一性等、先端品の技術・品質・生産対応力と先進装置メーカーとの長年にわたる強固な信頼関係を有しています。当社はこれらの強みを活かすことで、先端半導体を中心に顧客要求へ迅速かつ的確に対応し、高い市場シェアの維持・拡大を図ります。 この事業成長の実現には、生産能力の増強が必要であり、当社は顧客との密な連携に基づく更なる先行投資の強化、及び建築資材調達や工期の長期化を考慮した新工場、新棟建設の早期対応を図るため、2024年3月期から2026年3月期までの3年間で過去最大規模となる4,000億円の設備投資を計画しています。長期的需要増を見据えた新工場棟の立ち上げに加え、既存工場のスクラップ&ビルドを実施することで主要製品の生産容量の拡大を進め、市場要求への対応を図ります。 b. 電子部品(a) 経営戦略 ・京セラ㈱電子部品とKyocera AVX Components Corporation(KAVX)とのシナジー最大化によるシェア拡大 ・コンデンサとタイミングデバイスへの注力 (b) 中期目標(2026年3月期)売上高5,000億円事業利益1,000億円利益率20.0% (c) 事業環境見通し及び主な事業戦略 当レポーティングセグメントの主要製品は、エレクトロニクス産業の進展に伴う拡大が予想されており、2022年から2025年にかけての各市場のCAGRは、コネクタで4%、積層セラミックコンデンサで10%、タイミングデバイスで5%、ポリマータンタルで7%を予想しています。 当社の主な強みは、ICの高集積化に貢献する小型・高精度化技術や、産業機器、車載、医療及び航空宇宙と多岐にわたるKAVXのディストリビューター販売チャネル及び物流ネットワークです。この強みを活かし、タンタルコンデンサやタイミングデバイスで高い市場シェアの維持を図ると同時に、積層セラミックコンデンサやコネクタにおいては市場シェアの向上を目指します。 また、事業拡大を支える生産体制の確立に向け3年間合計で2,100億円の設備投資を計画しており、生産能力拡大に向けたグローバル体制の構築と自動化・省人化に不可欠なデジタル技術の積極採用を進めます。具体的には、タイでの新工場建設や鹿児島国分工場での新棟建設に加え、既存のKAVX拠点への自動化ラインの導入を推進します。 これらの取り組みを通じ、シナジーを発揮することで市場成長率を上回る成長を目指します。 c. ソリューション(a) 経営戦略 ・既存事業の持続的な成長・拡大 ・コミュニケーション事業及びエネルギー事業の構造改革による収益改善 (b) 中期目標(2026年3月期)売上高1兆2,500億円事業利益1,250億円利益率10.0% (c) 事業環境見通し及び主な事業戦略 当レポーティングセグメントの事業戦略は、既存事業の拡大及び構造改革の推進です。 既存事業の拡大については、機械工具事業及びドキュメントソリューション事業を中心に成長を図ります。機械工具事業の主要市場である切削工具市場は2023年から2025年にかけてCAGR4%の成長が予測されており、空圧・電動工具市場でも同程度の成長が期待されています。切削工具では付加価値の高い特注工具や新工法の開発力を活かし、成長産業や大手顧客の開拓を図り、アジア、欧州向けの販路を強化することで事業拡大を行います。空圧・電動工具では、開発、製造、販売、サービスまで一貫体制の強みを活かしたグローバルシェアの拡大と、充電プラットフォームの共通化等、事業内技術連携による付加価値創出に取り組みます。さらにドキュメントソリューション事業のベトナム生産拠点を活用する等、セグメント内でのリソースの有効活用による収益性向上に取り組み、米国での商業建築向けビジネスやMRO(副資材)等の新規ビジネスを強化することで事業拡大を図ります。 ドキュメントソリューション事業については、オフィスでのペーパーレス化が進み、MFP・プリンター市場のCAGRは2023年から2025年にかけて△4%と縮小する一方、商業用インクジェットは8%、ECM(Enterprise Contents Management)は5%と成長が予想されます。このような環境下、MFP・プリンターでは、長寿命設計の強みを活かした環境に優しい新製品の積極投入によるシェア拡大を図ります。商業用インクジェットでは多種多様な用紙への印刷が可能な新製品投入や、アパレル業界が抱える水質汚染と大量廃棄の社会課題解決に貢献する産業用デジタル捺染機FOREARTHを市場投入することで事業の拡大を図ります。ECM・ドキュメントBPO(Business Process Outsourcing)サービスでは、自社製ECMソフトウェアのラインアップ拡充とグローバル展開を図ります。ドキュメントソリューションの強みでもある、環境に優しい製品とソリューションの組み合わせで、持続可能な社会実現に貢献していきます。 構造改革については、コミュニケーション事業及びエネルギー事業の収益性向上に取り組みます。 コミュニケーション事業においては、事業構造の抜本的転換で商品・カテゴリーの選択と集中、及び法人向けソリューション事業への注力を進めていきます。具体的には、コンシューマー向けスマートフォン事業を終息させ、ミリ波5G通信等のインフラ関連事業や収益性の高い法人向け製品とそれに付随する通信ソリューションサービスの提供にシフトするとともに、京セラコミュニケーションシステム㈱の主力事業であるICTサービス、エンジニアリング事業を拡大していきます。 エネルギー事業については、再生可能エネルギー需要とエネルギー価格高騰に対応する法人向け電力販売サービスの拡大を進めます。太陽電池は、長期信頼性というブランド価値の訴求による事業拡大、蓄電池は、原価低減による収益性向上と新製品投入による販売拡大を図ります。また、多様な電源の再生可能エネルギーを調達し自社で需給管理を行い企業に電力を販売する「再エネ電力供給ビジネス」を推進することで、従来のモノ売りからコト売りへ転換を進めます。 以上の施策を通じて、市場性と収益性の両面から各事業の見極めを行い、将来の成長分野へリソースを集中・統合することで、成長と収益性の向上を図ります。 |
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 文中の将来に関する事項は、当社が当連結会計年度末現在において判断したものです。 (1)業績等の概要 当連結会計年度において、世界経済は各国の金融政策や地政学的リスクの高まりにより成長鈍化が見られたものの、底堅く推移しました。当社の主要市場である自動車関連市場は受注状況が改善した一方で、半導体関連や情報通信関連市場は依然として在庫調整等の影響があり、回復には至りませんでした。 当連結会計年度の売上高は、ソリューションセグメントが増加したものの、コアコンポーネントセグメント及び電子部品セグメントにおいては主要製品の受注減少の影響を受けたことを主因に減少しました。 利益は、将来的な生産拡大に向けた積極的な設備投資を継続している一方で、受注減少に伴う生産設備の稼働率低下や、人件費等の増加を主因に、営業利益、税引前利益、親会社の所有者に帰属する当期利益のいずれも減少しました。(百万円) 前連結会計年度(自 2022年 4月 1日至 2023年 3月31日)当連結会計年度(自 2023年 4月 1日至 2024年 3月31日)増 減金 額売上高比(%)金 額売上高比(%)増減金額増減率(%)売上高2,025,332100.02,004,221100.0△21,111△1.0営業利益128,5176.392,9234.6△35,594△27.7税引前利益176,1928.7136,1436.8△40,049△22.7親会社の所有者に帰属する当期利益127,9886.3101,0745.0△26,914△21.0米ドル平均為替レート (円)135-145---ユーロ平均為替レート (円)141-157--- (2)財政状態及び経営成績の状況a.売上高 当連結会計年度の売上高は2,004,221百万円となり、前連結会計年度の2,025,332百万円と比較し、21,111百万円(1.0%)減少しました。 ソリューションセグメントが増収となったものの、コアコンポーネントセグメント及び電子部品セグメントにおいては主要製品の受注減少の影響を受けたことを主因に、前連結会計年度に比べ減収となりました。 b.売上原価及び売上総利益 当連結会計年度の売上原価は1,451,110百万円となり、前連結会計年度の1,460,388百万円と比較し、9,278百万円(0.6%)減少しました。 売上原価の主な内訳は、原材料費が前連結会計年度の516,172百万円から15,918百万円(3.1%)減少の500,254百万円となり全体の34.5%を占め、人件費が前連結会計年度の295,080百万円から2,036百万円(0.7%)減少の293,044百万円となり全体の20.2%を占めています。また、減価償却費は前連結会計年度の95,631百万円から7,628百万円(8.0%)増加の103,259百万円となり全体の7.1%を占めています。 この結果、当連結会計年度の売上総利益は553,111百万円となり、前連結会計年度の564,944百万円と比較し、11,833百万円(2.1%)減少し、売上総利益率は、27.9%から27.6%へ0.3ポイント低下しました。 c.販売費及び一般管理費、営業利益 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は460,188百万円となり、前連結会計年度の436,427百万円と比較し、23,761百万円(5.4%)増加しました。これは主に、人件費の増加や円安の影響によるものです。 当連結会計年度の販売費及び一般管理費の主な内訳は、人件費が前連結会計年度の239,458百万円から20,132百万円(8.4%)増加の259,590百万円となり全体の56.4%を占め、販売費及び広告宣伝費が前連結会計年度の49,655百万円から982百万円(2.0%)増加の50,637百万円となり全体の11.0%を占めています。また、減価償却費は前連結会計年度の45,932百万円から927百万円(2.0%)増加の46,859百万円となり全体の10.2%を占めています。 この結果、当連結会計年度の営業利益は92,923百万円となり、前連結会計年度の128,517百万円と比較し、35,594百万円(27.7%)減少しました。当連結会計年度の営業利益率は前連結会計年度の6.3%から1.7ポイント減少し、4.6%となりました。 d.金融収益 当連結会計年度の金融収益は60,839百万円となり、前連結会計年度の52,289百万円と比較し、8,550百万円(16.4%)増加しました。これは主に、受取利息及びKDDI㈱からの受取配当金が増加したことによるものです。e.金融費用 当連結会計年度の金融費用は18,836百万円となり、前連結会計年度の8,245百万円と比較し、10,591百万円(128.5%)増加しました。これは主に、日米の金利差が拡大し為替予約コストが増加したことによるものです。 当社では、外貨建の債権債務に係る為替変動リスクの低減を図るために、主に先物為替予約を利用しています。当社は、先物為替予約については、外国為替レートの変動をヘッジする目的に限定して利用しており、トレーディング目的のための先物為替予約は行っていません。f.持分法による投資損益 当連結会計年度の持分法による投資損益は526百万円の損失となり、前連結会計年度の695百万円の利益と比較し、1,221百万円減少しました。g.税引前利益 当連結会計年度の税引前利益は136,143百万円となり、前連結会計年度の176,192百万円と比較し、40,049百万円(22.7%)減少しました。当連結会計年度の税引前利益率は前連結会計年度の8.7%から1.9ポイント減少し、6.8%となりました。 将来的な生産拡大に向けた積極的な設備投資を継続している一方で、受注減少に伴う生産設備の稼働率低下や、人件費等の増加を主因に、前連結会計年度に比べ減益となりました。h.法人所得税費用 当連結会計年度の法人所得税費用は31,316百万円(実効税率23.0%)となり、前連結会計年度の45,227百万円(実効税率25.7%)と比較し、13,911百万円(30.8%)減少しました。これは主に、税引前利益が減少したことによるものです。i.非支配持分に帰属する当期利益 当連結会計年度の非支配持分に帰属する当期利益は3,753百万円となり、前連結会計年度の2,977百万円と比較し、776百万円(26.1%)増加しました。 j.レポーティングセグメント別営業概況コアコンポーネント 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ23,231百万円(3.9%)減少の569,145百万円となりました。事業利益は、同32,249百万円(36.0%)減少の57,226百万円となり、利益率は10.1%に低下しました。 売上高は、半導体関連市場向けファインセラミック部品等は増加したものの、情報通信インフラ市場向け有機基板及びスマートフォン市場向けセラミックパッケージの市況軟化を主因に減少しました。事業利益は、比較的収益性が高い有機基板等の販売減少及び半導体部品有機材料事業における減価償却費の増加により減少しました。 電子部品 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ26,259百万円(6.9%)減少の352,277百万円となりました。事業利益は同37,543百万円(85.2%)減少の6,521百万円となり、利益率は1.9%へ低下しました。 売上高は、情報通信及び産業機器市場向けのコンデンサや水晶部品等において、需要は底を打ったものの、在庫調整に伴う低迷を主因に減少しました。事業利益は、減収に加え、稼働率の低下に伴う原価率の大幅な悪化や構造改革費用等の影響もあり、減少しました。 ソリューション 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ32,547百万円(3.0%)増加の1,101,144百万円となりました。事業利益は同29,331百万円(69.4%)増加の71,570百万円となり、利益率は6.5%へ向上しました。 売上高は、ドキュメントソリューション事業、コミュニケーション事業において主要製品の販売増及びサービスの需要増、円安の効果もあり増加しました。事業利益は、ドキュメントソリューション事業等における増収効果に加え、コミュニケーション事業において前連結会計年度に着手した構造改革に伴い発生した在庫評価減等約80億円の影響がなくなったことを主因に、増加しました。 レポーティングセグメント別売上高(百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増 減金 額構成比(%)金 額構成比(%)増減金額増減率(%)コアコンポーネント592,37629.2569,14528.4△23,231△3.9 産業・車載用部品199,1949.8224,57411.225,38012.7 半導体関連部品364,57918.0314,64915.7△49,930△13.7 その他28,6031.429,9221.51,3194.6電子部品378,53618.7352,27717.6△26,259△6.9ソリューション1,068,59752.81,101,14454.932,5473.0 機械工具308,40615.2310,74015.52,3340.8 ドキュメントソリューション434,91421.5452,16222.517,2484.0 コミュニケーション207,79310.3224,40311.216,6108.0 その他117,4845.8113,8395.7△3,645△3.1その他の事業23,4031.218,2360.9△5,167△22.1調整及び消去△37,580△1.9△36,581△1.8999-売上高2,025,332100.02,004,221100.0△21,111△1.0 レポーティングセグメント別税引前利益(△損失)(百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増 減金 額売上高比(%)金 額売上高比(%)増減金額増減率(%)コアコンポーネント89,47515.157,22610.1△32,249△36.0 産業・車載用部品24,74312.426,40911.81,6666.7 半導体関連部品67,70218.630,3759.7△37,327△55.1 その他△2,970-4421.53,412-電子部品44,06411.66,5211.9△37,543△85.2ソリューション42,2394.071,5706.529,33169.4 機械工具23,2797.516,8375.4△6,442△27.7 ドキュメントソリューション33,7067.843,9409.710,23430.4 コミュニケーション△11,729-6,9643.118,693- その他△3,017-3,8293.46,846-その他の事業△28,795-△43,356-△14,561-事業利益計146,9837.391,9614.6△55,022△37.4本社部門損益等29,209-44,182-14,97351.3税引前利益176,1928.7136,1436.8△40,049△22.7 k.本社部門損益等 本社部門損益は、金融資産に係る収益や、各セグメントに対して本社部門から提供される経営管理サービスに伴う収入等から構成されます。 当連結会計年度は44,182百万円の収益となり、前連結会計年度の29,209百万円の収益と比較し、14,973百万円(51.3%)増加しました。前連結会計年度に計上した訴訟関連費用の影響がなくなったことに加え、KDDI㈱からの受取配当金が増加したことにより、増益となりました。l.生産、受注及び販売の実績レポーティングセグメント別受注高(百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減率(%)金 額構成比(%)金 額構成比(%)コアコンポーネント569,81828.7549,47227.9△3.6 産業・車載用部品202,83410.2227,36411.612.1 半導体関連部品338,40017.1291,88814.8△13.7 その他28,5841.430,2201.55.7電子部品364,50818.4346,15317.6△5.0ソリューション1,065,52453.71,092,25955.52.5 機械工具309,69515.6313,80215.91.3 ドキュメントソリューション433,59921.8450,99822.94.0 コミュニケーション209,83810.6225,74211.57.6 その他112,3925.7101,7175.2△9.5その他の事業19,3261.017,4130.9△9.9調整及び消去△35,909△1.8△36,144△1.9-受注高1,983,267100.01,969,153100.0△0.7(注)当社は、需要の増加や顧客の要求、市場の変化等に柔軟に対応して生産活動を行っており、生産実績は販売実績に類似しています。このため、生産及び販売の実績は「j.レポーティングセグメント別営業概況」に関連付けて示しています。 (3)流動性及び資金の源泉a.資金の源泉<当連結会計年度末の資金の状況> 当社の主な資金の源泉は、営業活動によって獲得した現金です。当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは269,069百万円であり、当連結会計年度末において現金及び現金同等物を424,792百万円保有しています。うち海外の連結子会社が保有する現金及び現金同等物は、当連結会計年度末において277,197百万円になりますが、当社での使用を目的として、これらを当社へ還流することは現時点において想定していません。 また、当社は将来の更なる成長に向けた投資のために金融機関からの借入も実施しています。当連結会計年度末の借入金残高は209,154百万円(総資産に対し4.7%)であり、主として円建です。 当連結会計年度末の運転資本(流動資産から流動負債を控除した金額)は969,165百万円であり、自己資本比率(親会社の所有者に帰属する持分比率)は72.2%と、引き続き強固な財務体質を保っています。 このように強固な財務体質を維持していることに加え、一部の借入には資金調達コストの引き下げを目的として、当社が保有するKDDI㈱の株式の一部を担保に設定していることから、比較的低いコストで資金を調達しています。なお、借入金の詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記19. 借入金」を参照ください。 <当連結会計年度の資金需要> 当社の当連結会計年度における主な資金需要は、営業活動上の運転資金に加えて、設備投資及び研究開発のための資金、配当金の支払並びに自己株式の取得等となりました。 当連結会計年度の設備投資額は、前連結会計年度の173,901百万円と比較し、12,217百万円(7.0%)減少し、161,684百万円となりました。これは主に、5Gや半導体関連市場向け製品の需要増へ対応すべく、前期に引き続き積極的な設備投資を実施した一方、前期に電子部品セグメントにおいて、生産能力拡大のために海外に工場を建設したことによるものです。研究開発費は、前連結会計年度の94,277百万円と比較し、10,013百万円(10.6%)増加し、104,290百万円となりました。 また、当社は、当連結会計年度において1株当たり200円(株式分割後基準50円)、総額71,149百万円の配当金の支払いを行いました。 さらに、2023年5月15日開催の取締役会において、株主還元の一環並びに機動的な資本戦略への準備として自己株式の取得を決議し、総額50,000百万円の自己株式取得を実施しました。 当社は、当連結会計年度においてこれらの設備投資、研究開発並びに配当金の支払や自己株式の取得等の原資について、自己資金及び金融機関からの借入で賄いました。 <翌連結会計年度の資金需要> 当社は、翌連結会計年度における主な資金需要として、営業活動上の運転資金に加えて、設備投資及び研究開発のための資金や配当金の支払等を見込んでいます。 翌連結会計年度においては、200,000百万円の設備投資と120,000百万円の研究開発費を予定しており、これらの売上高に対する割合については、当連結会計年度に比べて増加する見通しです。設備投資額は、半導体関連や情報通信関連市場向け部品を中心に生産体制をさらに拡充するため、当連結会計年度に比べて増加する見通しです。また、研究開発費についても、事業拡大に向けて新技術・新製品開発の強化を継続する考えであり、当連結会計年度に比べて増加する見通しです。なお、設備の発注契約を含め、当社の契約債務の詳細については後述の「d.契約債務」を参照ください。 配当金の支払については、2024年6月25日に開催された当社の定時株主総会において承認されており、1株当たり25円、総額35,216百万円の期末配当を実施します。 当社は、これらの資金需要については、営業活動等で獲得した自己資金に加え、金融機関からの借入にて対応する予定です。ただし、現時点では格付機関による信用格付に影響を与えるような外部からの資金調達を行う予定はありません。当社は、主要な取引先金融機関と良好な関係を構築していることから、今後の事業資金の調達に関して問題はないと認識しています。 なお、既存事業の拡大及び新規事業の創出のための投資に多額の資金需要が生じる場合には、金融機関からの借入に加え、社債、株式の発行といった資金調達手段を有しています。 ただし、今後主要市場での需要動向が悪化した場合や、製品価格が当社の予想を大きく超えて下落した場合等においては、当社の資金の流動性に悪影響を及ぼす可能性があります。 b.キャッシュ・フローの状況(百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減金額営業活動によるキャッシュ・フロー179,212269,06989,857投資活動によるキャッシュ・フロー△168,833△158,41310,420財務活動によるキャッシュ・フロー△61,257△82,596△21,339現金及び現金同等物に係る換算差額10,24923,23212,983現金及び現金同等物の増減額(△は減少)△40,62951,29291,921現金及び現金同等物の期首残高414,129373,500△40,629現金及び現金同等物の期末残高373,500424,79251,292 営業活動によるキャッシュ・フロー 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・インは、前連結会計年度の179,212百万円に比べ89,857百万円(50.1%)増加し、269,069百万円となりました。これは主に当期利益が減少した一方、前連結会計年度に増加した棚卸資産が当連結会計年度に減少したことに加え、前連結会計年度に京セラドキュメントソリューションズ㈱の連結子会社TA Triumph-Adler GmbHの退職給付に係る負債を現金等で第三者に引き渡した影響がなくなったことによるものです。投資活動によるキャッシュ・フロー 当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・アウトは、前連結会計年度の168,833百万円に比べ10,420百万円(6.2%)減少し、158,413百万円となりました。これは主に定期預金の解約が減少した一方、設備投資に伴う支出が減少したことによるものです。財務活動によるキャッシュ・フロー 当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・アウトは、前連結会計年度の61,257百万円に比べ21,339百万円(34.8%)増加し、82,596百万円となりました。これは主に借入金の返済が減少した一方、自己株式の取得による支出が増加したことによるものです。 なお、当連結会計年度において現金及び現金同等物は、換算により23,232百万円増加しました。これは主に、前連結会計年度末に比べ当連結会計年度末は欧米通貨に対し円安となったことによるものです。 以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末の373,500百万円から51,292百万円(13.7%)増加し、424,792百万円となりました。当社の保有する現金及び現金同等物は主に円建ですが、海外の連結子会社では、主として米ドルを含む外貨建の現金及び現金同等物を保有しています。c.資産、負債及び資本 当連結会計年度末における当社の資産合計は、前連結会計年度末の4,093,928百万円から371,448百万円(9.1%)増加し、4,465,376百万円となりました。 現金及び現金同等物は、前連結会計年度末から51,292百万円(13.7%)増加し、424,792百万円となりました。詳細は上記「b.キャッシュ・フローの状況」を参照ください。 営業債権及びその他の債権は、為替変動による増加を主因に、前連結会計年度末から11,240百万円(3.0%)増加し、392,212百万円となりました。 その他の金融資産は、定期預金への預入による増加を主因に、前連結会計年度末から12,139百万円(51.9%)増加し、35,541百万円となりました。 資本性証券及び負債性証券は、KDDI㈱株式を含む保有株式の株価上昇に伴う時価総額の増加等により、前連結会計年度末に比べ131,780百万円(8.7%)増加し、1,640,038百万円となりました。 有形固定資産は、前連結会計年度末から78,512百万円(13.4%)増加し、665,990百万円となりました。なお、当連結会計年度の設備投資額は161,684百万円、減価償却費は111,724百万円でした。 使用権資産は、社員寮及び物流倉庫の新規賃貸借契約締結等により、前連結会計年度末に比べ20,022百万円(32.0%)増加し、82,642百万円となりました。 のれんは、為替変動による増加を主因に、前連結会計年度末に比べ11,723百万円(4.3%)増加し、282,879百万円となりました。 その他の非流動資産は、年金資産の時価増加による退職給付に係る資産の増加を主因に、前連結会計年度末に比べ28,766百万円(47.7%)増加し、89,010百万円となりました。 当連結会計年度末における当社の負債合計は、前連結会計年度末の1,045,093百万円から167,425百万円(16.0%)増加し、1,212,518百万円となりました。 流動負債における借入金は、銀行借入の返済を主因に前連結会計年度末に比べ19,666百万円(67.7%)減少し、9,394百万円となりました。 非流動負債における借入金は、銀行借入を主因に前連結会計年度末に比べ92,034百万円(85.4%)増加し、199,760百万円となりました。 非流動負債におけるリース負債は、社員寮及び物流倉庫の新規賃貸借契約締結を主因として、前連結会計年度末に比べ17,995百万円(34.2%)増加し、70,659百万円となりました。 繰延税金負債は、KDDI㈱株式を含む保有株式の時価評価額の増加等により、前連結会計年度末に比べ47,384百万円(12.0%)増加し、441,345百万円となりました。 当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末の3,048,835百万円から204,023百万円(6.7%)増加し、3,252,858百万円となりました。 利益剰余金は、親会社の所有者に帰属する当期利益101,074百万円及び支払配当金71,149百万円を計上したことに加え、年金資産の時価評価損益等25,230百万円を計上したことにより、前連結会計年度末の1,912,372百万円から55,155百万円(2.9%)増加し、1,967,527百万円となりました。 その他の資本の構成要素は、KDDI㈱株式を含む保有株式の株価上昇及び円安に伴う為替換算調整勘定の増加を主因として、前連結会計年度末に比べ196,951百万円(20.3%)増加し、1,166,752百万円となりました。 当連結会計年度末の親会社の所有者に帰属する持分比率は、前連結会計年度末の73.9%から1.7ポイント減少し、72.2%となりました。d.契約債務 当社の予定決済日ごとの契約債務は次のとおりです。(百万円) 2025年3月期2026年3月期-2027年3月期2028年3月期-2029年3月期2030年3月期以降合 計長期借入金(1年以内返済予定分を含む)9,39432,133164,4083,219209,154支払利息(長期借入金)(1年以内返済予定分を含む)(注)1,4581,8655748554,752リース負債26,66834,90318,63423,158103,363設備の発注契約112,4979,27366921122,460合 計150,01778,174184,28527,253439,729(注)変動金利による借入金の支払利息については、当連結会計年度末の実質利率を使用して、将来見込まれる支払利息を算出しています。 当社は翌連結会計年度において、確定給付制度に対し10,450百万円を拠出する予定です。また、当社は、当連結会計年度末において不確実な税務ポジションとして負債を1,011百万円計上していますが、将来の解決時期を合理的に見積ることができないため、上記の表には含めていません。(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社の連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されています。これらの連結財務諸表を作成する際には、見積り、判断及び仮定を用いることが必要となりますが、これらは期末日における資産・負債の金額、及び開示期間の収益・費用の金額に影響を与えます。ただし、これらの見積り、判断及び仮定は実際の結果とは異なる場合があります。 当社の連結財務諸表における見積りは、次の場合において会計上非常に重要な見積りとなります。すなわち、当社が見積りを行った時点では、その対象となった事象が非常に不確実な状況にも関わらず見積りを行う必要があった場合、また、当該期間において当社が実際に採用したものとは異なるが、当社が採用することができた見積りがある、もしくは複数の会計年度にわたって変更が発生すると予想される見積りがあり、その見積りが当社の財政状態及び経営成績の開示に重要な影響を及ぼす場合です。当社は会計情報の開示を行う上で、下記の項目を重要な会計上の見積りとして認識しています。各項目の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」を参照ください。 a.棚卸資産の評価 当社は、棚卸資産が適正な価値で評価されるように評価損の金額を見積っています。過剰、滞留、並びに陳腐化した棚卸資産に対して評価損を計上しています。また、棚卸資産は正味実現可能価額まで評価損を計上しています。当社は通常、一定の保有期間を超える棚卸資産を滞留もしくは陳腐化していると見なします。また、当社では、将来の需要予測や市況、そして関与する経営者の判断のもとに、一定の保有期間に満たない棚卸資産についても評価損を計上することがあります。今後も市場の状況や製品の需要が当社の想定を下回れば、棚卸資産の評価損を計上しなければならない可能性があります。b.有形固定資産及び無形資産の耐用年数 有形固定資産は、事業ごとの実態に応じた見積利用可能年数または見積投資回収期間に基づき、定額法で減価償却しています。償却性無形資産は、資産の将来の経済的便益が消費されると予測される期間に基づき、定額法で償却しています。 将来、技術革新等による設備の陳腐化や用途変更並びに事業環境の変化等による利用可能期間の見直しの結果、耐用年数を変更する場合には、翌連結会計年度以降の財政状態及び経営成績に重要な影響を与える可能性があります。 c.有形固定資産、のれん及び無形資産の減損 当社は、有形固定資産及び償却性無形資産について、帳簿価額を回収できない可能性を示す事象が発生した時点、もしくは状況が変化した時点で、減損テストを行っています。また、のれん及び耐用年数が確定できない無形資産は償却をせず、年1回及び減損の可能性を示す事象が発生または状況が変化した時点で減損テストを行っています。減損損失は、資産または資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を上回った場合に認識しています。 資産または資金生成単位の回収可能価額は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のうちいずれか大きい方の金額としています。使用価値は、マネジメントが承認した事業計画を基礎としたキャッシュ・フローの見積額を、貨幣の時間価値及び当該資産に固有のリスクを反映した税引前割引率により、現在価値に割り引いて算定しています。 使用価値は様々な仮定に基づき算定されているため、使用価値の減少をもたらすような予測不能な事業環境の変化等が生じた場合には、減損損失が発生するリスクがあります。d.償却原価で測定する金融資産の減損 当社は、主に営業債権等の償却原価で測定される金融資産について、回収可能性や信用リスクの著しい増加等を考慮のうえ将来の予想信用損失を測定していますが、実際の損失が予想信用損失より過大または過少になる可能性があります。e.金融商品の公正価値 当社は、特定の金融商品の公正価値を評価する際に、市場で観察可能ではないインプットを利用する評価技法を用いています。観察可能ではないインプットは、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、当社の財政状態及び経営成績に重要な影響を与える可能性があります。f.法人所得税費用 当社は、繰延税金資産について、将来の課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。繰延税金資産の評価は将来の課税所得の見積りと税務上、実現可能と見込まれる計画に依拠します。仮に将来の市場環境や経営成績の悪化により将来の課税所得が見込みを下回る場合は、繰延税金資産の金額が大きく影響を受ける可能性があります。 当連結会計年度末においては、繰延税金資産を151,430百万円認識しています。当社は、当連結会計年度の税引前利益及び法人所得税費用と比較し、当該繰延税金資産が将来において合理的に実現するものと考えます。 また当社は、税務調査を受けることを前提に税務上認識された不確実な税務ポジションについて発生の可能性が高いと判断した場合、当該部分を不確実な税務ポジションとして負債に計上しています。なお、法人所得税における不確実性に関する会計処理の金額と税務当局との解決による金額は異なる可能性があります。 当連結会計年度末においては、不確実な税務ポジションを総額で1,011百万円計上しています。当社は、法人所得税の不確実性に関する最終的な解決が将来の連結損益計算書へ重要な影響を及ぼすことはないと考えています。g.確定給付制度 確定給付制度において、確定給付負債または資産の純額は、確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除して算定されます。 確定給付制度債務の現在価値は数理計算上の仮定に基づき算定されます。数理計算上の仮定には割引率、昇給率等の基礎率についての見積り及び判断が求められます。 当社は、優良社債の利回り等を参考に割引率を決定します。昇給率は主に過去の実績、近い将来の見通し、物価変動等により決定されます。当社は毎年、数理計算の基礎となる前提条件を見直しており、必要に応じてその時点の市場環境をもとに調整を行っています。 日本及び世界的な経済の停滞により当社が割引率を引き下げる場合には、確定給付制度債務及び関連する勤務費用等が増加します。h.引当金及び偶発債務 当社は、通常の事業活動を営む上で、様々な訴訟や賠償要求を受ける可能性があります。当社は、法律専門家と相談の上、こうした偶発債務が重要な結果を引き起こす可能性を予測しています。当社は、不利益な結果を引き起こす可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には当該債務を計上します。見積りを行う際当社は、受けている訴訟の進捗、及び他の会社が受けている同種の訴訟やその他関連する事項を考慮します。発生した負債は見積りに基づいており、将来における偶発債務の発展や解決に大きく影響されます。 i.収益認識 当社は、情報通信、半導体、自動車関連等の市場における販売を主な収益源としています。当社におけるレポーティングセグメントは、「コアコンポーネント」、「電子部品」、「ソリューション」で構成されており、事業単位並びに主要事業及び子会社は次のとおりです。 レポーティングセグメント及び事業単位主要事業及び子会社コアコンポーネント 産業・車載用部品ファインセラミック部品、自動車部品、光学部品半導体関連部品セラミック材料、有機材料その他医療機器、宝飾・応用商品電子部品電子部品、Kyocera AVX Components Corporationソリューション 機械工具機械工具ドキュメントソリューション情報機器(京セラドキュメントソリューションズ㈱)コミュニケーション通信機器、情報通信サービス(京セラコミュニケーションシステム㈱)その他スマートエナジー、ディスプレイ、プリンティングデバイス なお、当社において、顧客への販売は、顧客と締結した取引基本契約書及び注文書に記載された条件に基づいて行われます。当該契約書及び注文書には、価格、数量、並びに所有権の移転時期が記載されています。 (a) 販売奨励金 「電子部品」セグメントにおいて、各種電子部品を販売する代理店への販売については、以下の様々な販促活動が定められており、顧客との契約において約束された対価から販売奨励金を控除した金額で収益を測定しています。ⅰ.ストック・ローテーション・プログラム ストック・ローテーション・プログラムとは、品質に問題のない在庫について、直近6ヵ月の売上高に対して特定の比率を乗じ算出される金額分を、代理店が半年毎に返品することが可能な制度です。売上高に対するストック・ローテーション・プログラムの引当金は、現時点までの推移、現在の価格と流通量の情報、市場の特定の情報や売上情報、マーケティングやその他主要な経営手段を用いて算出した代理店の売上高に対する比率に基づき収益認識時点で算定し、計上されており、これらの手続きには重要な判断を必要とします。当社は、ストック・ローテーション・プログラムによる将来の返品について妥当な算定ができていると考えており、これまでの実際の結果と算定額に重要な乖離はありません。なお、製品が返品され、検収された時点で、代理店に対する売掛金を減額しています。ⅱ.シップ・フロム・ストック・アンド・デビット・プログラム シップ・フロム・ストック・アンド・デビット・プログラム(以下、シップ・アンド・デビット)は、代理店が顧客への販売活動における市場での価格競争に対して代理店を補助する仕組みです。シップ・アンド・デビットが適用されるためには、代理店が在庫から顧客へ販売する特定部分についての価格調整を代理店が要求する必要があります。シップ・アンド・デビットは、現在及び将来の代理販売において、代理店が顧客へ販売する特定部分について適用されることがあります。IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」に準拠し、当社は代理店に対して収益を認識した時点で、その代理店への売上高にシップ・アンド・デビットが適用される可能性を考慮して、その売上高に関連する代理店の将来の活動に対して変動対価を見積り、計上しています。当社は、当該期間における売上高、代理店に対する売掛金の残額、代理店の在庫水準、現時点までの推移、市場状況、設備製造業やその他顧客に対する直接的な販売活動に基づく価格変動の傾向、売上情報、マーケティングやその他主要な経営手段を用いて売上高に対する変動対価を見積り、計上しています。これらの手続きは慎重な判断のもとで行われており、またその結果、当社はシップ・アンド・デビットにおける変動対価について妥当な算定、計上ができていると考えています。これまでの当社の実際の結果と算定額に重要な乖離はありません。 (b) リベート 「機械工具」事業及び「ドキュメントソリューション」事業における代理店への販売において、当社は、定められた期間内に予め定めた売上目標を達成した代理店に対し、現金でリベートを支払っています。このリベートについては、収益を認識した時点で見積った各代理店の予想販売額に基づき、リベート額を算定して、これを収益から控除しています。(c) 返品 当社は、収益を認識した時点で過去の実績に基づいて返品による損失額を見積り、収益から控除しています。(d) 製品保証 当社は、主に「ドキュメントソリューション」事業において、製品に対して通常1年間の製品保証を提供しています。また、最終消費者への販売において、1年間の保証期間終了後、延長保証契約を締結する場合があります。この延長保証契約については別個の履行義務として識別し、取引価格の一部を当該履行義務に配分した上で延長保証期間にわたり収益を認識しています。 また、製品販売、製品保証等、複数の財またはサービスを提供する複数要素取引に係る契約については、契約に含まれる履行義務を識別し、契約の対価を配分する必要がある場合には、取引価格を独立販売価格に基づき配分しています。独立販売価格は、類似する製品またはサービスの販売価格やその他の合理的に利用可能な情報を参照して算定しています。 |
※本記事は「京セラ株式会社」の令和6年年3期 有価証券報告書を参考に作成しています。
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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