コニカミノルタ株式会社の基本情報

会社名コニカミノルタ株式会社
業種電気機器
従業員数連40015名 単4269名
従業員平均年齢46.5歳
従業員平均勤続年数21.3年
平均年収7990466円
1株当たりの純資産632.12円
1株当たりの純利益-8.57円
決算時期3月
配当金5円
配当性向0%
株価収益率(PER)179倍
自己資本利益率(ROE)-1.4%
営業活動によるCF833億円
投資活動によるCF▲445億円
財務活動によるCF▲968億円
研究開発費※193億円
設備投資額※13.41億円
販売費および一般管理費※11907.19億円
株主資本比率※234.6%
有利子負債残高(連結)※3※40円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。 (1)当連結会計年度の総括 当連結会計年度(以下「当期」)における外部環境は、ウクライナ情勢などによる不確実性の高まりや世界的な物価高と各国の金融引き締め政策により、欧州を中心に経済成長は鈍化傾向、米国では引き締め的な金融環境の中でも底堅い個人消費が景気を押し上げて経済が堅調に推移しました。日本では、物価高により消費は停滞しましたが、インバウンド需要の増加などもあり景気は緩やかに回復しております。 このような経営環境の下で、当期における当社グループの連結売上高は、円安の進行もあり1兆1,599億円(前期比2.6%増)と、2003年のコニカとミノルタの経営統合以来最高の売上高となりました。デジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業、ヘルスケア事業、インダストリー事業の全ての事業で増収となり、営業利益は大きな減損損失を計上した前期から大幅増の260億円、親会社の所有者に帰属する当期利益45億円と、2019年3月期以来の黒字を達成しました。事業貢献利益、営業利益、当期利益、いずれも期初からの業績見通しを超過し、特に営業利益は大幅な超過となりました。デジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業では、前期に欧米など主要地域において半導体不足に起因する受注残の解消という一過性の販売増があった反動を受け販売台数減となったものの、為替の追風や航空輸送の減、物流の正常化、生産コストダウンによりカバーしております。さらに、販売費及び一般管理費の抑制に努め、世界的な物価高騰に対応した定期昇給の見直しなどで人件費は増えましたが、為替影響を除きますと実質では費用の削減となりました。加えて、米国の創薬支援企業Invicro, LLCの持分譲渡に伴う公正価値評価により、売却目的保有資産に係る減損損失戻入益36億円を計上したこと及び米国の遺伝子検査企業であるAmbry Genetics Corporationの事業が順調に推移していることから減損損失戻入益34億円を計上したことも影響しております。 一方で、プロフェッショナルプリント事業の産業印刷ユニットにおいて、フランスの印刷機器メーカーMGI Digital Technologyでの減損損失21億円や、インダストリー事業の映像ソリューションユニットにおけるプラネタリウム直営館の集客低下などによる減損損失17億円と画像IoTソリューションにおけるドイツMobotix AGの減損損失2億円を当期に計上しました。金利上昇や為替等の影響により金融収支は122億円のマイナス、また、主に海外子会社の当期損失に係る繰延税金資産を認識することができなかったことで、税負担率が高くなっております。 当社は、2024年3月期を初年度とする3ヶ年の中期経営計画で非重点事業と位置付けた領域への対応も確実に進めてまいりました。プレシジョンメディシンユニットで、2024年4月に創薬支援サービスを担うInvicro, LLCのCalyx Services Inc.への全持分譲渡が完了しました。光学コンポーネントユニットにおいては、2023年10月にラックスビジョンズイノベーションテクノロジー有限会社と中国生産子会社2社の80%の持分譲渡契約を締結し、クロージングに向けた対応を進めております。同様に中期経営計画内で掲げた財務基盤強化についても、運転資本圧縮を実行し営業キャッシュ・フロー833億円の黒字を達成しました。 (2)翌連結会計年度の経営方針 翌連結会計年度において、当社は、欧米を中心とした物価高と景気減速、為替変動など経営環境の不確実性が高まると見込んでおります。このような中、当社は、デジタルワークプレイス事業のオフィスユニットでは働き方の変化に伴うプリントボリュームの緩やかな減少を見込んでおりますが、複合機連携アプリケーション・サービスの提供やモノづくり革新による更なるコスト低減や固定費削減等により、収益力を強化するとともに、資産効率を高めキャッシュを創出します。プロフェッショナルプリント事業のプロダクションプリント・産業印刷ユニットでは、オフセット印刷からデジタル印刷へシフトする流れは不変であり、中期的には中堅・大手印刷会社を中心に需要をけん引して市場は成長すると見込んでおります。また、8年ぶりに開催される世界最大規模の国際印刷・メディア産業展「drupa 2024」の出展による需要が期待できますが、欧米を中心とした景気減速影響による一部顧客との商談長期化のリスクも見ております。 オフィスユニット、プロダクションプリントユニットにおいては、投資効率やコスト競争力の向上、安定供給、環境対応、事業継続力強化を目的として、調達、トナー開発・生産に関する他社との業務提携を積極的に進めていきます。 ヘルスケアユニットでは、強みであるⅩ線関連機器に加えて、Ⅹ線動態解析システムの成長を図っていきます。医療サービスの質の向上や効率化に向けて、画像やAIなどのデジタル技術の利活用が進展していくことも想定されます。 インダストリー事業において、センシングユニットのスマートフォン用ディスプレイ計測器は顧客における設備投資抑制が続いておりますが、新たなディスプレイ技術の開発は進むと見ており、先行需要の取り込みに注力していきます。機能材料ユニットは、ITデバイス・スマートフォン用薄膜フィルムは市場在庫調整からの回復が見え始め、テレビ用ディスプレイは、市場在庫調整が一巡し、大型ディスプレイ向けを中心に回復することが期待されます。こうした市場動向を認識しながら、当社は事業貢献利益の拡大を図るとともに、中期経営計画で掲げた経営目標を達成しROE5%の早期達成を実現していきます。 また、新たに追加施策として、人財最適化を含めたグローバルでの構造改革を実行し、従業員一人あたりの生産性の向上を図り、高収益企業を目指して事業の選択と集中を実行していきます。2025年3月期の通期見通しには、これらの施策実行による一過性費用の計上を見込んでおります。 (3)2025年度に実現する事業構造2024年3月期を初年度とする3ヶ年の中期経営計画では、これまで当社が展開してきた施策を総合的に評価し、企業価値向上に資するものは継承し、変革すべき部分については速やかに判断することが必要不可欠と認識して、高収益企業への回帰を目指し、赤字からの脱却、収益基盤とキャッシュ創出力の強化に取り組んできました。その結果、当期は当期利益までが黒字となり、営業キャッシュ・フローは833億円とキャッシュ創出力も向上しました。また棚卸資産の削減等による運転資本等の資産圧縮や有利子負債の縮減によるバランスシートの改善が進みました。事業の選択と集中については、過去の経緯にとらわれず、時間軸も含めて当社の将来につながるのかを判断の軸に取組んでおります。当期におきましては、非重点事業と位置付けた、プレシジョンメディシンユニットにおける創薬支援サービスを担うInvicro,LLCの全持分譲渡や、光学コンポーネントユニットにおける産業用途での高付加価値領域へのシフトを目的とした中国生産子会社2社の80%持分譲渡の契約を締結するなど、収益基盤の再構築に向けて大きな一歩を踏み出しました。強化事業と位置付けたインダストリー事業、プロフェッショナルプリント事業、ヘルスケアユニットには経営資源を重点的に配分して利益率の向上を図り一層の成長を追求します。特にインダストリー事業は、ターゲット領域をディスプレイ、モビリティ、半導体製造等に定め、強みである材料、光学、微細加工、画像等の「コア技術」をAI活用と事業をまたぐ技術融合により強化し、「顧客との共創」につなげて高い市場シェアを保有する既存事業の一層の強化と新規事業開発を推進します。収益堅守事業と位置付けたオフィスユニットは利益とキャッシュ貢献に重点を置いております。新型コロナウイルス感染症拡大前からプリントボリュームは減少しておりますが、当社独自のOne Rate(毎月変動する従来の複合機の課金方法ではなく、定額の課金をする当社独自の課金モデル)などの取り組み成果もあって、売上総利益の水準を維持しております。また、当期は徹底した生産コストの削減により、当初計画以上の事業貢献利益を創出しております。現時点では、プリントボリュームは、中期経営計画の想定内で推移しており、減少が加速されるような新たな要素は見当たりません。しかし、長期的には市場の縮小傾向が想定されるため、投資効率を向上させることが必要と判断し、オフィスとプロダクションプリントユニットにおいて他社とのアライアンスも積極的に実行していきます。地政学リスクについても課題を認識し、対応を図っていきます。非重点事業と方向転換事業においては、アクションを加速させ、2025年3月期に事業の選択と集中を完遂することを目指してまいります。また、当社は事業の持続的な成長を実現するため、全社的に生産性の向上や業務効率の向上を追求して労働生産性が高い組織に変革していきます。そのために生産性・効率性の障害を特定し、業務プロセスの見直しや生成AI活用などのツール導入などを通して、生産性・効率性の改善を図るとともに、適材適所で現場の課題解決に専念できる体制を強化してまいります。事業の成長による事業貢献利益は継続して拡大しますが、事業の選択と集中やグローバルでの構造改革を確実に実行するためには痛みも伴い、2025年3月期に一時的費用の計上を見込んでおります。これらの取り組みにより、中期経営計画の最終年度2026年3月期には環境変化に強い事業構造と持続的な利益成長が可能な経営基盤を確立させ、経営目標ROE5%以上の達成を実現します。当面は財務基盤の強化を優先させていただきますが、業績とキャッシュ・フローを勘案し、株主の皆様に納得いただける配当水準への復帰と利益成長と併せて株主還元の強化を図っていきたいと考えております。
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 経営者の視点による当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びにこれらの状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1)重要性がある会計方針及び見積り 当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり見積りが必要となる事項については、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。 重要性がある会計方針及び見積りについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記3 重要性がある会計方針」及び「同 注記4 重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりであります。 (2)経営成績の状況 当連結会計年度(以下「当期」)における世界の経済情勢は、ウクライナ情勢などによる不確実性の高まりや世界的な物価高と各国の金融引き締め政策により、欧州を中心に経済成長は鈍化傾向にあります。米国では引き締め的な金融環境のなかでも良好な雇用情勢や所得環境による底堅い個人消費が景気を押し上げて経済が堅調に推移しました。中国では不動産不況の影響と消費低迷により経済成長が鈍化しました。日本では、物価高により消費は停滞しましたが、インバウンド需要の増加などもあり景気は緩やかに回復しております。新興国のインドは、国内外からの投資と内需がけん引して好調な景気が継続しております。 こうした経営環境の下、当期における当社グループの連結売上高は、円安の進行もあり1兆1,599億円(前期比2.6%増)と、2003年のコニカとミノルタの経営統合以来最高の売上高となりました。地域別では、前期比で欧州は約5%、北米は約3%、アジア(除く中国)は約8%の増収、日本は約2%、中国は約1%の減収となりました。事業別ではデジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業、ヘルスケア事業、インダストリー事業の全ての事業で増収となりました。 売上高と売上総利益は、前期の半導体不足起因の受注残解消による一過性の販売増加の反動がありましたが、為替の影響もあり前期比で増加しました。また、販売費及び一般管理費の抑制に努め、為替の影響を除くと実質では費用の削減となりましたが、事業貢献利益は対前期37億円減の260億円(前期比12.5%減)となりました。営業利益は大きな減損損失を計上した前期から大幅増の260億円(前期は951億円の営業損失)となりました。 なお、当期にプロフェッショナルプリント事業の産業印刷ユニットにおいて、フランスの印刷機器メーカーMGI Digital Technologyでの減損損失21億円や、インダストリー事業の映像ソリューションユニットにおけるプラネタリウム直営館の集客低下などによる減損損失17億円と画像IoTソリューションにおけるドイツMobotix AGの減損損失2億円を計上しました。 一方で、プレシジョンメディシンユニットにおけるInvicro,LLCの持分譲渡に伴う公正価値評価により、売却目的保有資産に係る減損損失戻入益を36億円及びAmbry Genetics Corporationで減損損失戻入益を34億円計上しました。 金利上昇や為替等の影響により金融収支は122億円のマイナスとなり、税引前利益は135億円(前期は1,018億円の税引前損失)となりました。また、主に海外子会社の当期損失に係る繰延税金資産を認識することができなかったことで、税負担率が高くなり親会社の所有者に帰属する当期利益は45億円となりました。前期比では大幅な増益となり(前期は1,031億円の親会社の所有者に帰属する当期損失)、2019年3月期以来の黒字となりました。 当期において中期経営計画で非重点事業と位置付けたプレシジョンメディシンユニットは、当社における事業の戦略適合性を考慮するとともに、今後も継続して成長投資が必要であるという点を踏まえ、2024年3月に創薬支援サービスを担うInvicro,LLCをCalyx Services Inc.への全持分譲渡契約を締結し、2024年4月に譲渡が完了しました。残るプレシジョンメディシンユニット(遺伝子検査サービス)も第三者資本活用の検討を積極的に推進していく予定です。また、光学コンポーネントユニットにおいては、2023年10月にラックスビジョンズイノベーションテクノロジー有限会社と中国生産子会社2社の80%の持分譲渡契約を締結し、クロージングに向けた対応を進めております。 なお、当期から報告セグメントの区分を変更しております。前期比較については、前期の数値を変更後の報告セグメントの区分に組み替えた数値で比較分析しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 5 事業セグメント」に記載しております。 セグメント別の状況は以下のとおりであります。 前連結会計年度当連結会計年度増減 (自2022.4.1(自2023.4.1 至2023.3.31)至2024.3.31) 億円億円億円%デジタルワークプレイス売上高6,0026,1491462.4事業事業貢献利益306327206.6 営業利益21432911453.5プロフェッショナル売上高2,5262,6331074.3プリント事業事業貢献利益150138△12△8.3 営業利益135116△19△14.3ヘルスケア事業売上高1,3781,389110.8 事業貢献利益△70△654- 営業利益△1,115△121,102-インダストリー事業売上高1,3701,395251.8 事業貢献利益217123△93△43.0 営業利益13493△41△30.5小計売上高11,27711,5682902.6 事業貢献利益604522△81△13.4 営業利益△6295271,157-「その他」及び調整額売上高2631519.4(注2)事業貢献利益△306△26244- 営業利益△321△26655-連結損益計算書計上額売上高11,30311,5992962.6 事業貢献利益297260△37△12.5 営業利益△9512601,212-(注1)売上高は外部顧客への売上高であります。(注2)売上高は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 5 事業セグメント」に記載の外部顧客への売上高の「その他」、営業利益は同記載のセグメント利益(△は損失)の「その他」と「調整額」の合計であります。(注3)当期の第1四半期連結会計期間から、従来「インダストリー事業」に含めていた一部の事業を「その他」に含めております。また、報告セグメントごとの業績をより適切に評価するため、本社業務にかかわる費用の一部は報告セグメントに帰属しない全社費用として各報告セグメントに配賦しないこととし、報告セグメント利益又は損失の測定方法の変更を行っております。加えて、「デジタルワークプレイス事業」及び「プロフェッショナルプリント事業」の両事業に共通する費用の配賦方法を変更しております。前連結会計年度のセグメント情報についても、当変更を反映した後の数値により作成したものを開示しております。 ①デジタルワークプレイス事業  オフィスユニットでは、A3複合機の販売台数は、前期比でカラー機は87%、モノクロ機は80%、全体では84%と減少しました。これは、中国の景況が悪化したこと、また前期に欧米など主要地域において半導体不足に起因する受注残の解消という一過性の販売増があった反動を受けたことが主な要因です。消耗品やサービスなどのノンハード売上高は、前期の受注残の解消の反動を受けましたが、カラープリント量の下落緩和や、複合機連携アプリケーション・サービスの伸長、為替の影響があり全体では増収となりました。これらにより、オフィスユニットとしては、前期比で増収となりました。また直販ビジネスの強化や、主に機器生産の人員・経費の最適化による固定費削減及び部材原価低減などによるコストダウン、物流の正常化や当社の航空輸送利用減による物流費の減少により、売上総利益や事業貢献利益が増加しました。 ITサービスなどの提供を中心とするDW-DXユニットでは、欧州において業務プロセス管理サービス、日本においてクラウド商材やAIを活用した自社開発ソリューションの販売が伸長し、前期比で増収となりました。また、販売費及び一般管理費を抑制し、事業貢献損失を縮小しました。 これらの結果、当事業の売上高は6,149億円(前期比2.4%増)、事業貢献利益は327億円(前期比6.6%増)、営業利益は329億円(前期は減損損失の計上等もあり前期比53.5%増)と増収増益となりました。 ②プロフェッショナルプリント事業  プロダクションプリントユニットでは、デジタル印刷機の販売台数は、欧州や中国での景気減速による投資抑制の影響を受けたこと、またオフィスユニット同様に前期の受注残の解消による一過性の販売増があった反動を受けたことにより、前期比でカラー機は96%、モノクロ機は84%、全体では92%と減少しました。一方で、注力している印刷速度が最も速いヘビープロダクションプリント(HPP)が前期比で131%伸長したこと、また為替影響もあり、デジタル印刷機全体で増収となりました。消耗品やサービスなどのノンハード売上高については、インドや中国での印刷需要が増加したことや、為替影響もあり増収となりました。これらの結果、プロダクションプリントユニットでは前期比で増収となりました。 産業印刷ユニットでは、インクジェットデジタル印刷機「AccurioJet(アキュリオジェット)KM-1e」、ラベル印刷機、加飾印刷機の販売台数が増加しました。ノンハード売上高は、市場における印刷機稼働台数の増加と顧客におけるデジタル印刷化比率が高まったことで伸長しました。これらの結果、前期比で増収となりました。 マーケティングサービスユニットでは、国内販売子会社であるコニカミノルタマーケティングサービス株式会社の連結除外により前期比で減収になりましたが、売上総利益は前期比で増加しました。 これらの結果、当事業の売上高は2,633億円(前期比4.3%増)、人件費の高騰による影響を受けて販売費及び一般管理費が増加し、事業貢献利益は138億円(前期比8.3%減)となりました。産業印刷ユニットにおいて当第4四半期連結会計期間にフランスの印刷機器メーカーMGI Digital Technologyの減損損失を計上したことなどにより、営業利益は116億円(前期比14.3%減)となり、増収減益となりました。 ③ヘルスケア事業  ヘルスケアユニットでは、Ⅹ線診断に用いられるDR(デジタルラジオグラフィー)の販売は、国内における前年度の政府補正予算による受注増からの反動と、米国での金利や人件費の高騰を背景とした設備投資の抑制により、病院市場の成長が減速したことで前期から大きく減少しました。また、日本の病院市場向け仕入れ商材の販売も減少しました。一方で、当社が注力しているⅩ線動態解析システムの販売は、米国の病院市場を中心に順調に拡大しました。これらの結果、ユニット全体では前期比で大幅な減収となりました。DRの販売減少による売上総利益の減少に加えて、生産量の減少に伴う稼働率の悪化の影響で、ヘルスケアユニットの事業貢献利益は前期から大きく減少しました。 プレシジョンメディシンユニットでは、遺伝子検査サービスは、米国内での市場の回復を受け、生殖細胞系列遺伝子変異を評価するRNA検査を中心に遺伝子検査数が前期比で増加しました。米国で同事業を担うAmbry Genetics Corporationは、増収に伴う売上総利益の増加のほか、売掛金の回収率向上やラボの稼働率向上により、四半期ベースで継続して黒字となりました。創薬支援サービスは、米国内での治験実施状況の改善により臨床試験向けと前臨床向けともに、前期比で増収となりました。なお、上述した様に米国で同事業を担うInvicro,LLCのCalyx Services Inc.への全持分譲渡は2024年4月に完了しました。このInvicro,LLCの持分譲渡に伴う公正価値評価により、売却目的保有資産に係る減損損失戻入益36億円を計上しました。また、Ambry Genetics Corporationの事業が順調に推移していることから減損損失戻入益34億円を計上しました。 これらの結果、当事業の売上高は1,389億円(前期比0.8%増)、プレシジョンメディシンユニットは赤字幅を縮小したものの、ヘルスケアユニットにおける売上高減少に伴う売上総利益の減少の影響を受け、事業貢献損失は65億円(前期は70億円の事業貢献損失)、営業損失は12億円(前期はのれん等の減損損失1,035億円の影響があり1,115億円の営業損失)と増収、損失の縮小となりました。 ④インダストリー事業  センシングユニットでは、物体色向け計測器及び自動車の外観計測向け検査装置の売上は堅調に増加しました。一方、光源色向け計測器は、大手顧客を中心としたディスプレイ設備投資抑制等の影響で需要の低迷が継続し、センシングユニット全体では前期比で減収となりました。 機能材料ユニットは、当社の主力製品であるテレビのVAパネル用位相差フィルムの販売数量がセットメーカーのパネル需要の面積ベースでの増加もあり、堅調に推移しました。特に大型テレビ向け「SANUQI」フィルムは需要が強まり販売を拡大しました。また、ITデバイス、スマートフォン用薄膜フィルムのサプライチェーンにおける在庫が解消に向かい、需要が回復傾向となり、特にスマートフォン用薄膜フィルムの販売が堅調に推移し、前期比で増収となりました。さらに、新たなスマートフォン用高機能性フィルムを販売開始したほか、インダストリー事業横断でICTブランドオーナーへアプローチしたことで、次世代ディスプレイ向けの偏光板用以外の機能性フィルムを受注し、量産を開始しております。 IJコンポーネントユニットは、サイングラフィックスプリンター向けヘッド販売が好調に推移し、特に中国上海で開催された世界最大規模のサイングラフィックス関連展示会の活況により販売が増加しました。また成長領域においては、新規市場向けへの採用事例が増えたことにより、前期比で増収となりました。 光学コンポーネントユニットは、産業用途である半導体製造装置向けの販売は好調に推移しましたが、プロジェクタ用レンズ の販売が中国、欧州市況の影響により低調となり、前期比減収となりました。 画像IoTソリューションユニットでは、欧米での監視カメラソリューションの販売が順調に進んだこと、また前期に買収した自動ナンバープレート認識ソリューションを提供するVAXTOR Technologies,S.L.(本社:スペイン)の販売が好調を維持したことから、前期比で増収となりました。 映像ソリューションユニットでは、プラネタリウム直営館での集客は計画を下回ったものの前期並みであったこと、また2019年に買収したデジタルプラネタリウムの世界的トップメーカーであるRSA Cosmos S.A.(本社:フランス)の販売が好調に推移したことなどにより、前期比で増収となりました。 これらの結果、当事業の売上高は1,395億円(前期比1.8%増)、事業貢献利益はセンシングユニットにおける売上高減に伴う売上総利益の減少などにより123億円(同43.0%減)となりました。営業利益は、画像IoTソリューションユニット及び映像ソリューションユニットにおける減損損失や、光学コンポーネントユニットにおける中国の生産子会社の持分譲渡における一過性費用の増加などにより、93億円(同30.5%減)と増収減益となりました。 (3)財政状態の状況 前連結会計年度末当連結会計年度末増減資産合計             (億円)14,13713,880△257負債合計             (億円)9,1388,346△792資本合計             (億円)4,9985,533535親会社の所有者に帰属する持分合計(億円)4,8745,3985231株当たり親会社所有者帰属持分 (円)986.871,091.68104.81親会社所有者帰属持分比率     (%)34.538.94.4 当連結会計年度末(以下「当期末」)の資産合計は、前期末比257億円(1.8%)減少し1兆3,880億円となりました。これは主に、現金及び現金同等物の減少534億円、棚卸資産の減少230億円、有形固定資産の減少69億円、売却目的で保有する資産の増加366億円、のれん及び無形資産の増加120億円、営業債権及びその他の債権の増加60億円によるものであります。 負債合計については、前期末比792億円(8.7%)減少し8,346億円となりました。これは主に、社債及び借入金の減少424億円、その他の金融負債の減少346億円、営業債務及びその他の債務の減少66億円、売却目的で保有する資産に直接関連する負債の増加107億円によるものであります。 資本合計については、前期末比535億円(10.7%)増加し5,533億円となりました。 親会社の所有者に帰属する持分合計は、前期末比523億円(10.7%)増加し5,398億円となりました。これは主に、その他の資本の構成要素(主に在外営業活動体の換算差額)の増加491億円によるものであります。 これらの結果、1株当たり親会社所有者帰属持分は1,091.68円となり、親会社所有者帰属持分比率は4.4ポイント増加の38.9%となりました。 (4)キャッシュ・フローの状況(単位:億円) 前連結会計年度当連結会計年度増減営業活動によるキャッシュ・フロー133833700投資活動によるキャッシュ・フロー△374△445△70計(フリー・キャッシュ・フロー)△241388629財務活動によるキャッシュ・フロー843△968△1,811  当期の連結キャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フロー833億円の収入と、投資活動によるキャッシュ・フロー445億円の支出の結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは388億円のプラスとなりました。 また、財務活動によるキャッシュ・フローは968億円の支出となりました。 そのほかに、現金及び現金同等物に係る為替変動の影響額があり、当期末の現金及び現金同等物の残高は、前期末比509億円減少の1,296億円となりました。  当期における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 税引前利益135億円に、減価償却費及び償却費757億円、棚卸資産の減少による増加388億円等によるキャッシュ・フローの増加と、営業債務及びその他の債務の減少による減少242億円等によるキャッシュ・フローの減少により、営業活動によるキャッシュ・フローは833億円の収入となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 有形固定資産の取得による支出272億円、無形資産の取得による支出178億円等により、投資活動によるキャッシュ・フローは445億円の支出となりました。  この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは388億円のプラス(前期は241億円のマイナス)となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 短期借入金の純減少額555億円、非支配株主持分からの子会社の持分取得による支出320億円、社債の償還及び長期借入金の返済による支出277億円等による支出と、社債の発行及び長期借入れによる収入402億円等の収入により、財務活動によるキャッシュ・フローは968億円の支出(前期は843億円の収入)となりました。 (5)生産、受注及び販売の実績①生産実績 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2023年4月1日  至 2024年3月31日)前期比 百万円%デジタルワークプレイス事業345,53999.9プロフェッショナルプリント事業ヘルスケア事業12,71186.8インダストリー事業125,709100.3 報告セグメント計483,96099.6その他0-合計483,96099.6(注1)金額は、売価換算値で表示しております。(注2)デジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業につきましては、共通の設備にて生産を行っておりますので、当該生産拠点における生産実績を記載しております。 ②受注実績 当社グループは見込み生産を主としておりますので、記載を省略しております。 ③販売実績 販売状況については、「(2)経営成績の状況」において各セグメントの業績に関連付けて示しております。 (6)資本の財源及び資金の流動性①資本政策の基本的な方針当社は、事業の選択と集中、コスト削減と経営資源の適正化を進め、中長期的な企業価値向上に向けた持続的な成長を支えるための最適な資本政策を実施していきます。特にキャッシュ・フロー創出力の強化と資本効率(ROE・ROIC)の向上を重視し、その実現に向けて、「成長投資の実施」、「財務基盤の強化」及び「株主還元の充実」について、これらの最適バランスを目指した資本政策を推進し、資本効率を意識した最適な資本・負債構成を目指します。1)資本効率の向上資本コストを重視し、資本コストを安定的に上回るROE・ROICの向上を目指します。ROEの改善ドライバーとして当期純利益率の改善を重視し、バランスの取れた財務基盤を維持しつつ、資本効率の向上を図ります。加えて、KM-ROIC(注1)及び投下資本収益(注2)という独自指標を設定し、両指標の最大化を通して事業毎の収益性を評価し、資本効率と企業価値の継続的な向上を実現していきます。2)株主還元の充実連結業績や成長分野への投資、キャッシュ・フローなどを総合的に勘案し、配当を基本として利益還元の充実に努めます。自己株式の取得については、当社の財務状況や株価の推移等も勘案しつつ、利益還元策の一つとして適切に判断していきます。3)財務健全性の担保当社は、財務ガバナンスの強化、財務リスクの最小化、資金効率の向上、株主資本の充実により、財務基盤をより強固なものとしながら、事業の選択と集中に従った成長投資を進めていきます。 (注1)KM-ROIC:事業利益を投下資本で除した比率であり、事業活動のために投下した資本を使って、どれだけ事業利益を生み出したかを示す指標であります。(注2)投下資本収益:事業収益から投下資本コストを控除した収益であり、どれだけ投下資本コストを上回る価値を創造したかを示す指標であります。     投下資本収益の最大化によりROICの向上を図ります。 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりであります。 ②資金需要当社グループの主な資金需要は、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに当社グループの設備新設、改修等に係る投資や、将来の成長及び企業価値向上を目的としたM&Aによる投資であります。 ③資金の源泉当社グループの資金の主な源泉は、営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入や社債の発行による資金調達であります。 ④資金調達についての方針当社グループは、円滑な事業活動に必要な流動性の確保と財務の健全性・安定性維持を資金調達の基本方針とし、主に金融機関からの短期借入及び長期借入や社債の発行により資金調達を行っております。社債については、国内社債発行登録枠を有しており、当社の既発行社債の債券格付、発行登録予備格付はともに株式会社格付投資情報センター(R&I)及び株式会社日本格付研究所(JCR)からA格を取得しております。長期資金の調達に際しては、償還や返済の時期を分散することにより借り換えリスクの低減を図っております。また、資金調達は主に当社が行っており、必要資金を関係会社に主にキャッシュ・マネジメント・システムを通じて供給することで資金調達の一元化や効率化を図っております。(注)2018年3月31日以降の残高には、ハイブリッドローンが含まれております。格付機関の評価により、資金調達額1,000億円の50%に対して資本性の認定をうけております。(注)ハイブリッドローンは、2027年10月以降の各利払日に元本の全部又は一部を返済期限(2057年10月)前に返済することが可能となっております。 ⑤流動性当社は営業活動によるキャッシュ・フローに加え、複数の金融機関との間で2026年9月末を期限とする1,000億円のコミットメントライン及び一つの金融機関との間で2024年10月末を期限とする50億円のコミットメントラインを締結するほか、アンコミットメントベースの融資枠も有しております。また、当社グループ内の資金の効率化については、日本・北米・欧州・アジアパシフィックの各統括拠点においてキャッシュ・マネジメント・システムを導入しており、各地域の余剰資金を当社へ集中し一元的に管理を行うことにより、資金効率の向上と金融費用の極小化及びガバナンスの向上を図っております。なお、一時的な余剰資金は、安全性が極めて高い金融資産で運用しております。

※本記事は「コニカミノルタ株式会社」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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