コニカミノルタ株式会社の基本情報

会社名コニカミノルタ株式会社
業種電気機器
従業員数連35631名 単3922名
従業員平均年齢46.3歳
従業員平均勤続年数20.8年
平均年収8211911円
1株当たりの純資産605.82円
1株当たりの純利益(単体)-95.98円
決算時期3月
配当金0円
配当性向0%
株価収益率(PER)179倍
自己資本利益率(ROE)(連結)6.7%
営業活動によるCF510億円
投資活動によるCF246億円
財務活動によるCF▲1108億円
研究開発費※164億円
設備投資額※132.16億円
販売費および一般管理費※122033円
株主資本比率※237.2%
有利子負債残高(連結)※3※40円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。 (1)当連結会計年度の総括当連結会計年度(以下「当期」)における世界の経済情勢は、地政学リスクの高まりやインフレの根強さに加え、米国新政権発足に伴う大規模な関税の引き上げ方針をめぐり世界経済の悪化懸念が高まり、先行きに対する不透明感が増大しました。このような経営環境の下で、当社は中期経営計画(2023年度‐2025年度)において、収益力を回復し再び持続的な成長軌道に戻すことを目指し、事業の稼ぐ力である事業貢献利益の増大に取り組んでおります。また、中期経営計画の中間年度である当期は、覚悟を持って経営改革を完遂する年と位置づけ、事業の選択と集中、及びグローバル構造改革に取り組み、これらを計画どおり完遂しました。事業の選択と集中については、時間軸も含めて当社の成長戦略との適合性や追加投資の必要性などを判断の軸に取り組み、非重点事業と位置付けた事業群において、事業譲渡や持分譲渡を実施しました。また、方向転換事業と位置付けた事業においても、再編による赤字の縮小や株式譲渡契約の締結を行い、ソリューション・サービス拡大への転換を図り、事業収益力強化に向けた取組として成果を挙げることができました。また、グローバル構造改革の実施と事業譲渡等により、労務費の適正化を実行しました。一方で、データとAIを活用したDXを推進することにより業務生産性と顧客への提供価値の向上に取り組み、各業務遂行の質とスピードを高めております。当期における当社グループの連結売上高は、為替の影響もあり1兆1,278億円(前期比1.8%増)となりました。事業別の売上高は、前期比でデジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業、画像ソリューション事業は増収となりましたが、インダストリー事業は減収となりました。事業貢献利益は、319億円(前期比4.2%減)となりました。当期の監査において、連結調整における未実現利益消去の計算に関して監査法人から指摘があり、114億円を売上原価として計上しました。オフィス事業の継続的なコスト削減やグローバル構造改革効果による販売費及び一般管理費の抑制などが寄与し、デジタルワークプレイス事業は増益となりましたが、先に述べた連結調整における未実現利益消去の計算の影響により、プロフェッショナルプリント事業は減益となりました。また、画像ソリューション事業、及びインダストリー事業は減益になりました。営業利益は、事業構造改善費用216億円、事業の選択と集中による損失202億円、のれんや有形固定資産等の減損損失511億円等の一過性費用計上などにより、 640億円の損失(前期の営業利益275億円から915億円の減益)となりました。税引前損失は791億円(前期の税引前利益153億円から944億円の減益)、海外の連結子会社の繰延税金資産の取り崩しなどを行った結果、法人所得税費用として162億円を計上しました。一方、Ambry Genetics Corporationの株式譲渡完了に伴う株式譲渡益などにより450億円を非継続事業からの利益として計上しました。非継続事業を含めた親会社の所有者に帰属する当期損失は474億円(前期の非継続事業を含めた親会社の所有者に帰属する当期利益45億円から520億円の減益)となりました。経営改革として進めた事業の選択と集中により資産を圧縮し、事業譲渡で得た対価を活用して有利子負債を大幅に削減し、バランスシートの改善を進め、財務基盤を強化しました。経営改革の完遂に伴う一過性費用等もありましたが、営業キャッシュ・フローは510億円、投資キャッシュ・フローは事業譲渡による譲渡益等により246億円となりました。この結果、フリー・キャッシュ・フローは、757億円(前期比368億円増)となり、キャッシュ創出力の向上と財務健全性を図っております。(注)「事業貢献利益」は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。 (2)翌連結会計年度の経営方針翌連結会計年度において、当社は、米国新政権発足に伴う大規模な関税の引き上げ方針をめぐり、米国を含む世界経済の悪化懸念が高まっており、欧米を中心とした物価高と景気減速、為替変動など経営環境の不確実性が高まると見込んでおります。このような中、2025年度は成長基盤を確立する年として「Turn Around 2025」とし、売上高1兆500億円、事業の成長と当期に完遂した経営改革による利益改善効果を活かし、事業貢献利益525億円、営業利益480億円及び当期利益240億円の利益回復を目指し、中期経営計画で目標としたROE5%以上の達成を目指していきます。世界的な米国の相互関税による影響の動向を注視しながら、Go To Market戦略の見直し、経費の追加削減、低関税率国への生産のさらなるシフト検討等により影響の吸収を目指します。(収益基盤の強化)収益基盤の強化に向けて、2024年度に実施したグローバル構造改革及び事業の選択と集中による効果に加え、各事業で以下の取組を行うことでさらに改善させていきます。デジタルワークプレイス事業のオフィスユニットは、為替の影響を含めて減収を見込みますが、グローバル構造改革の効果創出とともに、さらなるコスト削減やDXを活用した生産・販売・サービスの効率化を進めていきます。プロフェッショナルプリント事業のプロダクションプリントユニットは新製品投入によるヘビープロダクションプリント(HPP)機シェア1位の堅持とミッドプロダクションプリント(MPP)機の拡販により、中大手商業印刷の顧客を中心にノンハード収益を拡大します。産業印刷ユニットはデジタルラベル機のシェア1位堅持と、一層の市場拡大やUVインクジェット機の新製品投入により市場のデジタル化を加速させ、年度での黒字化を目指します。インダストリー事業は、センシングユニットでは顧客のディスプレイ設備投資の回復に伴う収益の改善、自動車外観検査及びハイパースペクトルイメージング技術を活用した検査装置の販売伸長、機能材料ユニットでは需要が増加している新樹脂フィルムSANUQIの生産能力強化とあわせ、新素材フィルムSAZMAの投入により大型TV領域のさらなるシェア拡大を目指します。画像ソリューション事業のヘルスケアユニットでは当社が唯一世界で提供するX線動態解析システムを引き続き拡大させ、インドやアジアを中心とした地域でITやAIを活用した医療のデジタル化の機会を捉えて、収益改善に取り組みます。(財務基盤の強化)財務基盤の強化に向けては、経営改革として進めた事業の選択と集中により事業譲渡で得た対価を活用して、有利子負債を大幅に削減し、2025年度末には約1,940億円の削減を目指します。また、のれんは2024年度の減損損失の計上により、2024年度末で約1,260億円となりました。棚卸資産・営業債権の最適化による運転資本の圧縮なども進めて、総資産の圧縮を行います。事業の収益力回復や、有利子負債の削減による金融費用の圧縮、赤字子会社の黒字化等による実効税率の適正化等と併せて財務基盤を強化することで、ROE5%以上を目指します。 (3)中長期の成長に向けて(領域No.1づくり)まず、事業の成長として、各既存事業のなかで市場セグメントや領域においてNo.1を獲得できる製品やサービスを創出していきます。既にトップポジションにある製品やサービスはNo.1を堅持していきます。(利益成長につなげる成長の芽を育成)当社はこれからもサステナビリティを経営の中心に位置付けていきます。当社が目指すサステナビリティは、「事業によって社会・環境の課題を解決することで持続可能な社会の実現に貢献し会社が成長していくこと」です。持続可能な社会の実現に向けた取組の中で、当社にとっても様々な事業機会が生まれております。その中から技術や人財、お客様とのつながりなど、当社の強みをいかせるテーマを厳選して成長につなげてまいります。具体的には既存事業から派生した精密加工、樹脂成形、材料・製膜、分光計測などのコア技術をAIで強化することで長期の利益成長をけん引する新たなテーマを育てております。インダストリー事業の半導体製造装置向け光学コンポーネントは、強化領域の一部として既に展開しており、2025年度では設備増強も行い生産体制を強化していきます。また、再生プラスチック材料製造、ペロブスカイト太陽電池用バリアフィルム、バイオものづくりのプロセスモニタリングなどは「成長の芽」として、いくつかの技術テーマの中から市場の成長性、競争優位確立の可能性、事業としての収益創出の蓋然性などを評価しながら選別し、利益の拡大に貢献する事業に育てるための投資を実施していきます。(PBR1倍に向けTSRを意識した経営へ)2025年度は本中期経営計画の最終年度として、まずはROE5%を確実に達成し、2026年度以降の中期でROEのさらなる改善を目指していきます。また、2026年度以降、執行役に対する株式報酬制度の評価指標としてTSR(株主総利回り)を導入する方針を決定し、評価期間を2025年度から開始します。TSRを意識した経営にシフトしていき企業価値を向上させることにより、早期にPBR1倍を達成します。
経営者による財政状態の説明
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 経営者の視点による当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びにこれらの状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1)重要性がある会計方針及び見積り 当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第312条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり見積りが必要となる事項については、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。 重要性がある会計方針及び見積りについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記3 重要性がある会計方針」及び「同 注記5 重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりであります。 (2)経営成績の状況 当社は中期経営計画(2023年度‐2025年度)において、収益力を回復し再び持続的な成長軌道に戻すことを目指し、事業の稼ぐ力である事業貢献利益の増大に取組んでおります。また、中期経営計画の中間年度である当連結会計年度(以下「当期」)は、覚悟を持って経営改革を完遂する年と位置づけ、事業の選択と集中及びグローバル構造改革に取り組み、これらを計画どおり完遂しました。  事業の選択と集中においては、2024年4月30日にCalyx Services Inc.へのInvicro, LLCの全持分譲渡及び2025年2月3日にTempus AI, Inc.にAmbry Genetics Corporationの全株式譲渡を完了したことに伴い、当期からプレシジョンメディシン事業を非継続事業に分類し、連結損益計算書上、非継続事業からの利益又は損失は継続事業と区分して表示しており、前連結会計年度(以下「前期」)についても同様に組み替えて表示しております。  当期における当社グループの連結売上高は、為替の影響もあり1兆1,278億円(前期比1.8%増)となりました。事業別の売上高は、前期比でデジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業、画像ソリューション事業は円安の影響もあり増収となりましたが、インダストリー事業は減収となりました。 売上総利益は4,794億円(前期比0.9%増)となりました。売上高の増加や主にオフィスユニットの継続的な生産コスト削減をしました。なお、当期の監査において、連結調整における未実現利益消去の計算に関して監査法人から指摘があり、114億円を売上原価として計上しました。 事業貢献利益は319億円(前期比4.2%減)となりました。グローバル構造改革効果による販売費及び一般管理費の抑制などが寄与しました。事業別では、デジタルワークプレイス事業は増益となりましたが、プロフェッショナルプリント事業は先に述べた連結調整における未実現利益消去の計算の影響により減益となりました。また、インダストリー事業、画像ソリューション事業は、減益となりました。 前述の経営改革の実行、及びのれんや有形固定資産等の減損損失などの一過性費用を計上したため、営業損失は640億円(前期の営業利益275億円から915億円の減益)となりました。一過性費用には以下が含まれております。 グローバル構造改革に関わる費用、方向転換事業の選択と集中に関わる費用及び中国生産子会社であるKonica Minolta Business Technologies (WUXI) Co.,Ltd.の生産活動終了に伴う費用等を、事業構造改善費用として216億円(前期は8億円)計上しました。また、当第4四半期連結会計期間(以下、当第4四半期)には、事業の選択と集中としてマーケティングサービスユニットのKonica Minolta Marketing Services Holding Company Limitedの株式譲渡契約、及び画像IoTソリューションユニットのMOBOTIX AGの株式譲渡契約を締結したことに伴い、損失202億円を計上しました。 当第3四半期連結会計期間には、インダストリー事業のセンシングユニットに属するRadiant Vision Systems, LLC及びInstrument Systems GmbHにおいて、236億円ののれんの減損損失を計上しました。また、インダストリー事業の光学コンポーネントユニットに属するKonica Minolta Opto (Dalian) Co., Ltd.は、持分の80%を広州ラックスビジョンズイノベーションテクノロジー有限会社に譲渡する契約を2023年10月26日付で締結しましたが、クロージングに向けた協議の結果、譲渡対象から外れることとなりました。それに伴い、売却目的保有への分類を中止し、通常の資産及び負債に振り替える過程で回収可能価額まで帳簿価額を減額した結果、有形固定資産等の減損損失を45億円計上しました。 当第4四半期では、プロフェッショナルプリント事業の産業印刷ユニットにおけるフランスの印刷機器メーカーMGI Digital Technology S.A.ののれん、有形固定資産及び無形資産の減損損失139億円、画像ソリューション事業のヘルスケアユニットにおいて有形固定資産及び無形資産55億円、デジタルワークプレイス事業のDW-DXユニットに属する連結子会社3社においてのれん及び有形固定資産等の減損損失25億円を計上しました。 これらにより、当期における減損損失は511億円(前期は41億円の減損損失)となりました。 税引前損失は791億円(前期の税引前利益153億円から944億円の減益)になりました。 Konica Minolta Holdings U.S.A., Inc.等、連結子会社の繰延税金資産の取り崩しなどを行った結果、法人所得税費用162億円を計上しました。 Ambry Genetics Corporation全株式のTempus AI, Inc.への譲渡による益、株式譲渡完了に伴う在外営業活動体の為替換算差額の調整による益、及び譲渡価額の一部として取得したTempus AI, Inc.の株式の公正価値評価等による株式譲渡益の調整などにより450億円を非継続事業からの利益として計上しました。 これらの結果、非継続事業を含めた親会社の所有者に帰属する当期損失は474億円(前期の非継続事業を含めた親会社の所有者に帰属する当期利益45億円から520億円の減益)となりました。  当期から報告セグメントの区分を変更しております。前期比較については、前期の数値を変更後の報告セグメントの区分に組み替え、非継続事業を除いた継続事業の数値で比較分析しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 6 事業セグメント」に記載しております。(注)「事業貢献利益」は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。 セグメント別の状況は以下のとおりであります。 前連結会計年度当連結会計年度増減 (自2023.4.1(自2024.4.1 至2024.3.31)至2025.3.31) 億円億円億円%デジタルワークプレイス売上高6,1496,163140.2事業事業貢献利益327357309.4 営業利益329139△190△57.6プロフェッショナル売上高2,6332,8462128.1プリント事業事業貢献利益138129△8△6.0 営業利益116△131△248-インダストリー事業売上高1,2351,192△43△3.5 事業貢献利益176140△35△20.3 営業利益165△127△293-画像ソリューション事業売上高1,0511,069171.7 事業貢献利益△83△103△19- 営業利益△109△259△150-小計売上高11,07011,2722011.8 事業貢献利益557524△32△5.9 営業利益502△379△882-「その他」及び調整額売上高6601.5(注2)事業貢献利益△224△20518- 営業利益△227△260△33-連結損益計算書計上額売上高11,07711,2782011.8 事業貢献利益333319△14△4.2 営業利益275△640△915-(注1)売上高は外部顧客への売上高であります。(注2)売上高は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 6 事業セグメント」に記載の外部顧客への売上高の「その他」、営業利益は同記載のセグメント利益(△は損失)の「その他」と「調整額」の合計であります。(注3)当連結会計年度から、従来「その他」に含めていたFORXAI及びQOLソリューションをユニットとして独立させ「画像ソリューション事業」に含めております。また、当連結会計年度からプレシジョンメディシン事業を非継続事業に分類し、非継続事業を除いた継続事業の金額を表示しております。前期比較については、前連結会計年度の数値を変更後の報告セグメントの区分に組み替え、非継続事業を除いた継続事業の数値で比較分析しております。 ①デジタルワークプレイス事業  デジタルワークプレイス事業の売上高は、為替の影響もあり6,163億円(前期比0.2%増)となりました。先に述べた連結調整における未実現利益消去の計算の影響がありましたが、オフィスユニットの生産コスト削減の実施、グローバル構造改革に伴う効果や、販売費及び一般管理費の抑制により、事業貢献利益は357億円(前期比9.4%増)となりました。また、グローバル構造改革及び中国生産子会社であるKonica Minolta Business Technologies (WUXI) Co., Ltd.の生産活動終了に伴う一時費用などを計上したため、営業利益は139億円(前期比57.6%減)となりました。 オフィスユニットは前期比で増収となりました。A3複合機の販売台数は、前期比でカラー機が92%、モノクロ機が98%、全体では94%となり、ハードの売上はやや減収となりました。消耗品やサービスなどのノンハードは、為替影響もあり増収、為替の影響を除くとほぼ前年並みになりました。 ITサービスなどの提供を中心とするDW-DXユニットは、方向転換事業として位置づけており、当期はユニット内で事業の選択と集中及びグローバル構造改革を進めてきました。特にマネージドITサービスで、収益性に基づき、地域と事業領域の絞り込みを実行した結果、前期比で減収となりました。注力しているビジネスコンテンツ管理や業務プロセス管理を提供するサービスは欧州で好調であり、AIを用いた学習支援サービスや通訳サービスなど自社開発のAI SaaS事業も日本で伸長しました。 ②プロフェッショナルプリント事業  プロフェッショナルプリント事業の売上高は2,846億円(前期比8.1%増)となりました。売上高は増加しましたが、先に述べた連結調整における未実現利益消去の計算の影響により、事業貢献利益は129億円(前期比6.0%減)となりました。一方で、営業損益は当期にグローバル構造改革に伴う一時費用を計上したこと、当第4四半期に産業印刷ユニットにおいてフランスの印刷機器メーカーMGI Digital Technology S.A.の減損損失を計上したこと、マーケティングサービスユニットにおいてKonica Minolta Marketing Services Holding Company Limitedの株式の譲渡契約の締結に伴う損失98億円を計上したことなどにより、営業損失は131億円(前期は116億円の営業利益)となりました。 プロダクションプリントユニットは前期比で増収となりました。ハードは、地域別では米国で減少、欧州で前年並み、中国とインドなどの地域で増加しました。カラー機の販売台数は101%、モノクロ機は92%、全体では99%となり、ハードの売上は為替の影響もあり増収となりました。特に注力している印刷速度が最も速いヘビープロダクションプリント機(HPP)の販売台数は前期比で118%と伸長、その他のセグメントは総じて前年並みとなりました。また、消耗品やサービスなどのノンハードも増収となりました。地域別では、ノンハード売上は、インドで増加、欧米や中国で前期並みとなりました。 産業印刷ユニットは前期比で増収となりました。ハードは、テキスタイル印刷、加飾印刷の販売台数は減少したものの、インクジェットデジタル印刷機「AccurioJet(アキュリオジェット)KM-1e」、高速デジタルラベル印刷機「AccurioLabel(アキュリオラベル)400」の販売台数が増加し、全体では増収となりました。ノンハードは、デジタル印刷需要の高まりを背景に、インクジェットデジタル印刷、ラベル印刷、テキスタイル印刷、加飾印刷の全ての領域で増収となりました。 マーケティングサービスユニットは前期比で増収となりました。プリント調達支援ビジネスは、欧米やアジアでの主要顧客の販売促進活動が活発化し、好調に推移しました。オンデマンドプリントは、韓国での売上が増加しました。 ③インダストリー事業  インダストリー事業の売上高は1,192億円(前期比3.5%減)となりました。事業貢献利益は、IJコンポーネントユニットと光学コンポーネントユニットは増益となったものの、機能材料ユニットは棚卸資産の評価損による売上原価の増加などにより、また、センシングユニットは売上減に伴い売上総利益が減少などにより、それぞれ減益となったため、事業貢献利益は140億円(前期比20.3%減)となりました。上述のようにセンシングユニットにおいてRadiant Vision Systems, LLC及びInstrument Systems GmbHの、また、光学コンポーネントユニットにおいてKonica Minolta Opto (Dalian) Co., Ltd.の減損損失をそれぞれ計上したこと、グローバル構造改革に伴う一時費用を計上したことなどにより、営業損失は127億円(前期は165億円の営業利益)となりました。 センシングユニットは前期比で減収となりました。光源色向け計測器で顧客のディスプレイ設備投資抑制の影響を受け大手顧客を中心に需要が減速したほか、一部用途向けの競争激化により売上が減少しました。物体色向け計測器は前期並みの売上となり、ハイパースペクトルイメージング技術を応用した計測器は、リサイクル用途を中心に販売が好調に推移し増収となりました。自動車外観検査用の計測器は販売が順調に推移し増収となりました。 機能材料ユニットは前期比で減収となりました。TVの大型化等によるTAC(トリアセチルセルロース)フィルムからCOP(シクロオレフィンポリマー)フィルムへのシフトが進捗し、COPフィルムであるSANUQI-VAは需要の増加と採用拡大により売上が増加した一方、主力のTACフィルムの売上が減少しました。また、ITデバイス用薄膜フィルムはITデバイス向けパネル市場の停滞により売上が減少、スマートフォン用薄膜フィルムは売上が堅調に推移しました。 IJコンポーネントユニットは為替の影響もあり前期比で増収となりました。サイングラフィックスプリンター向けヘッド販売は、中国では景気停滞の影響を受け鈍化しましたが、欧米や韓国、インドでは堅調に推移し全体では売上が増加しました。また成長領域である工業用途では段ボール印字用途向けの当社独自の長距離吐出ヘッドを2024年12月に上市するなど新規顧客にアプローチし、アプリケーションの拡大を進めております。 光学コンポーネントユニットは、市場の回復によりプロジェクタ用レンズの売上が増加したものの、Blu-ray等用のピックアップレンズや交換レンズの売上の減少などにより、前期比で減収となりました。なお、注力する産業用途では半導体製造装置向け製品の需要が増加し、売上が想定を上回り伸長しました。今後の事業拡大に向けた設備の増強と超精密加工の新拠点増設による生産体制強化への取り組みを推進しております。 ④画像ソリューション事業  画像ソリューション事業の売上高は1,069億円(前期比1.7%増)となりました。事業貢献利益は、画像IoTソリューションユニット及び映像ソリューションユニットで増益となったものの、ヘルスケアユニットが中国でのX線フィルム需要の減少や日本の病院の投資抑制継続の影響、先に述べた連結調整における未実現利益消去の計算の影響により103億円の損失(前期は83億円の事業貢献損失)となりました。画像IoTソリューションユニットでMOBOTIX AGの株式譲渡契約を締結したことに伴う損失104億円を計上したことと、ヘルスケアユニットで55億円の減損損失を計上したことにより、営業損失は259億円(前期は109億円の営業損失)となりました。 ヘルスケアユニットは前期比で減収となりました。Ⅹ線フィルムは中国での需要減少に伴い、売上が減少しました。DR(デジタルラジオグラフィー)の売上は日本で減少しましたが、米国とアジアを中心に伸長し、全体では増加しました。医療ITの販売は日米で好調を維持しました。 画像IoTソリューションユニットは前期比で増収となりました。欧米での当社販売会社におけるネットワークカメラを組み合わせたビデオソリューション・サービスの売上は堅調に推移しました。また、2023年に買収したシステムインテグレーターであるForce Security Solutions, LLC(本社:米国)は好調を維持しました。 映像ソリューションユニットは前期比で増収となりました。国内事業におけるプラネタリウム直営館での集客が好調に推移しました。 (3)財政状態の状況 前連結会計年度末当連結会計年度末増減資産合計             (億円)13,88012,176△1,704負債合計             (億円)8,3467,435△911資本合計             (億円)5,5334,740△793親会社の所有者に帰属する持分合計(億円)5,3984,631△7661株当たり親会社所有者帰属持分 (円)1,091.68935.99△155.69親会社所有者帰属持分比率     (%)38.938.0△0.9  当連結会計年度末(以下「当期末」)の資産合計は、前期末比1,704億円(12.3%)減少し1兆2,176億円となりました。これは主に、のれん及び無形資産の減少996億円、現金及び現金同等物の減少372億円、営業債権及びその他の債権の減少298億円、有形固定資産の減少166億円、棚卸資産の減少114億円、売却目的で保有する資産の減少103億円、その他の金融資産の増加340億円、その他の非流動資産の増加66億円によるものであります。 負債合計については、前期末比911億円(10.9%)減少し7,435億円となりました。これは主に、社債及び借入金の減少833億円、営業債務及びその他の債務の減少231億円、その他の流動負債の減少57億円、引当金の増加157億円、売却目的で保有する資産に直接関連する負債の増加50億円によるものであります。 資本合計については、前期末比793億円(14.3%)減少し4,740億円となりました。 親会社の所有者に帰属する持分合計は、前期末比766億円(14.2%)減少し4,631億円となりました。これは主に、親会社の所有者に帰属する当期損失の計上474億円、その他の資本の構成要素(主に在外営業活動体の換算差額)の減少253億円によるものであります。 これらの結果、1株当たり親会社所有者帰属持分は935.99円となり、親会社所有者帰属持分比率は0.9ポイント減少の38.0%となりました。 (4)キャッシュ・フローの状況(単位:億円) 前連結会計年度当連結会計年度増減営業活動によるキャッシュ・フロー833510△322投資活動によるキャッシュ・フロー△445246691計(フリー・キャッシュ・フロー)388757368財務活動によるキャッシュ・フロー△968△1,108△140  当期の連結キャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フロー510億円の収入と、投資活動によるキャッシュ・フロー246億円の収入の結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは757億円のプラスとなりました。 また、財務活動によるキャッシュ・フローは1,108億円の支出となりました。 そのほかに、現金及び現金同等物に係る為替変動の影響額があり、当期末の現金及び現金同等物の残高は、前期末比367億円減少の928億円となりました。  当期における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 税引前損失791億円、非継続事業からの税引前利益426億円に、減価償却費及び償却費745億円、減損損失525億円等によるキャッシュ・フローの増加と、非継続事業の売却目的で保有する資産に係る減損損失及びその戻入益243億円、営業債務及びその他の債務の減少による減少85億円等によるキャッシュ・フローの減少により、営業活動によるキャッシュ・フローは510億円の収入となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 子会社の売却による収入661億円、有形固定資産の取得による支出257億円、無形資産の取得による支出155億円等により、投資活動によるキャッシュ・フローは246億円の収入となりました。  この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは757億円のプラス(前期は388億円のプラス)となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 短期借入金の純減少額799億円、社債の償還及び長期借入金の返済332億円、リース負債の返済220億円等による支出と、社債の発行及び長期借入れ282億円等の収入により、財務活動によるキャッシュ・フローは1,108億円の支出(前期は968億円の支出)となりました。 (5)生産、受注及び販売の実績①生産実績 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年4月1日  至 2025年3月31日)前期比 百万円%デジタルワークプレイス事業363,940105.3プロフェッショナルプリント事業インダストリー事業112,37395.1画像ソリューション事業27,521136.0 報告セグメント計503,835104.1その他--合計503,835104.1(注1)金額は、売価換算値で表示しております。(注2)デジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業につきましては、共通の設備にて生産を行っておりますので、当該生産拠点における生産実績を記載しております。(注3)当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記6 事業セグメント」に記載のとおりであります。前期比の数値につきましては、前期のセグメント情報を、当期のセグメント区分に変更したものと比較を行っております。 ②受注実績 当社グループは見込み生産を主としておりますので、記載を省略しております。 ③販売実績 販売状況については、「(2)経営成績の状況」において各セグメントの業績に関連付けて示しております。 (6)資本の財源及び資金の流動性①資本政策の基本的な方針当社は、事業の選択と集中、コスト削減と経営資源の適正化を進め、中長期的な企業価値向上に向けた持続的な成長を支えるための最適な資本政策を実施していきます。特にキャッシュ・フロー創出力の強化と資本効率(ROE・ROIC)の向上を重視し、その実現に向けて、「成長投資の実施」、「財務基盤の強化」及び「株主還元の充実」について、これらの最適バランスを目指した資本政策を推進し、資本効率を意識した最適な資本・負債構成を目指します。1)資本効率の向上資本コストを重視し、資本コストを安定的に上回るROE・ROICの向上を目指します。ROEの改善ドライバーとして当期純利益率の改善を重視し、バランスの取れた財務基盤を維持しつつ、資本効率の向上を図ります。加えて、KM-ROIC(注1)及び投下資本収益(注2)という独自指標を設定し、両指標の最大化を通して事業毎の収益性を評価し、資本効率と企業価値の継続的な向上を実現していきます。2)株主還元の充実連結業績や成長分野への投資、キャッシュ・フローなどを総合的に勘案し、配当を基本として利益還元の充実に努めます。自己株式の取得については、当社の財務状況や株価の推移等も勘案しつつ、利益還元策の一つとして適切に判断していきます。3)財務健全性の担保当社は、財務ガバナンスの強化、財務リスクの最小化、資金効率の向上、株主資本の充実により、財務基盤をより強固なものとしながら、事業の選択と集中に従った成長投資を進めていきます。 (注1)KM-ROIC:事業利益を投下資本で除した比率であり、事業活動のために投下した資本を使って、どれだけ事業利益を生み出したかを示す指標であります。(注2)投下資本収益:事業収益から投下資本コストを控除した収益であり、どれだけ投下資本コストを上回る価値を創造したかを示す指標であります。     投下資本収益の最大化によりROICの向上を図ります。 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりであります。 ②資金需要当社グループの主な資金需要は、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに当社グループの設備新設、改修等に係る投資や、将来の成長及び企業価値向上を目的としたM&Aによる投資であります。 ③資金の源泉当社グループの資金の主な源泉は、営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入や社債の発行による資金調達であります。 ④資金調達についての方針当社グループは、円滑な事業活動に必要な流動性の確保と財務の健全性・安定性維持を資金調達の基本方針とし、主に金融機関からの短期借入及び長期借入や社債の発行により資金調達を行っております。社債については、国内社債発行登録枠を有しており、当社の既発行社債の債券格付、発行登録予備格付はともに株式会社格付投資情報センター(R&I)及び株式会社日本格付研究所(JCR)からA格を取得しております。長期資金の調達に際しては、償還や返済の時期を分散することにより借り換えリスクの低減を図っております。また、資金調達は主に当社が行っており、必要資金を関係会社に主にキャッシュ・マネジメント・システムを通じて供給することで資金調達の一元化や効率化を図っております。(注)2018年3月31日以降の残高には、ハイブリッドローンが含まれております。格付機関の評価により、資金調達額1,000億円の50%に対して資本性の認定をうけております。(注)ハイブリッドローンは、2027年10月以降の各利払日に元本の全部又は一部を返済期限(2057年10月)前に返済することが可能となっております。 ⑤流動性当社は営業活動によるキャッシュ・フローに加え、複数の金融機関との間で2026年9月末を期限とする1,000億円のコミットメントライン及び一つの金融機関との間で2025年10月末を期限とする50億円のコミットメントラインを締結するほか、アンコミットメントベースの融資枠も有しております。また、当社グループ内の資金の効率化については、日本・北米・欧州・アジアパシフィックの各統括拠点においてキャッシュ・マネジメント・システムを導入しており、各地域の余剰資金を当社へ集中し一元的に管理を行うことにより、資金効率の向上と金融費用の極小化及びガバナンスの向上を図っております。なお、一時的な余剰資金は、安全性が極めて高い金融資産で運用しております。

※本記事は「コニカミノルタ株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。

スポンサーリンク

連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

コメント