会社名 | 関西電力株式会社 |
業種 | 電気・ガス業 |
従業員数 | 連31437名 単8416名 |
従業員平均年齢 | 42.8歳 |
従業員平均勤続年数 | 20.2年 |
平均年収 | 8313252円 |
1株当たりの純資産 | 2547.28円 |
1株当たりの純利益 | 495.09円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 50円 |
配当性向 | 13.7% |
株価収益率(PER) | 4.43倍 |
自己資本利益率(ROE) | 21.8% |
営業活動によるCF | 11549億円 |
投資活動によるCF | ▲4280億円 |
財務活動によるCF | ▲4889億円 |
研究開発費※1 | 97.34億円 |
設備投資額※1 | 4586.12億円 |
販売費および一般管理費※1 | -円 |
株主資本比率※2 | 17.2% |
有利子負債残高(連結)※3 | 42050.58億円 |
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、提出日(2024年6月27日)現在において当社グループが判断したものであり、当社グループとしてその実現を約束するものではない。 (1)経営理念これまで、「安全最優先」と「社会的責任の全う」を経営の基軸に位置付け、「お客さまと社会のお役に立ち続ける」ことを使命とする経営理念のもと、事業活動を展開してきたが、金品受取り問題等では、「社会的責任の全う」という点について、社内外から厳しいご指摘をいただいた。これを受け、新しい関西電力グループとして創生し、持続的に成長していくための指針として、2021年3月に「関西電力グループ経営理念 Purpose & Values」を策定した。この経営理念は、当社グループの最上位概念として、お客さまや社会にとっての『「あたりまえ」を守り、創る』という存在意義のもと、『「公正」「誠実」「共感」「挑戦」』という価値観を大切にして事業活動を行い、持続可能な社会を実現することを掲げている。 (2)ゼロカーボンビジョン2050国における2050年カーボンニュートラル宣言など地球温暖化対策への社会的な要請が一層高まる中、さらなる地球温暖化問題への対応を自主的かつ積極的に推進していく必要があるとの考えのもと、2021年2月、当社グループは「関西電力グループ『ゼロカーボンビジョン2050』」を策定し、事業活動に伴うCO2排出を2050年までに全体としてゼロとすることを宣言した。ビジョンにおいては、ゼロカーボン実現に向けた取組みの3つの柱として、「①デマンドサイドのゼロカーボン化」、「②サプライサイドのゼロカーボン化」、「③水素社会への挑戦」を掲げている。また、2022年3月には、ビジョン実現に向けた道筋である「ゼロカーボンロードマップ」を策定し、中間地点として2030年度の目標を設定するとともに、ゼロカーボン社会の実現に向けて取り組む内容を、「お客さまや社会の皆さまとともに取り組むこと」「関西電力グループ自ら取り組むこと」の2つの観点で整理した。これまでの取組みの進捗や世界的な脱炭素化の潮流の高まりを踏まえ、2024年4月に「関西電力グループ ゼロカーボンロードマップ」を改定し、新たにGHG排出量目標を設定するなど、取組みを加速させている。今後も当社は再生可能エネルギーの主力電源化や、原子力の最大限活用、火力のゼロカーボン化、ゼロカーボン水素の活用に取組み、排出量削減を着実に進める。また、電化や蓄電池などの多種多様なソリューションの提案により、お客さまや社会の皆さまと共に社会全体のCO2排出量を削減していく。引き続き、お客さまや事業パートナー、自治体など、あらゆるステークホルダーの皆さまと力を合わせ、様々な取組みを進めていく。 (3)関西電力グループ中期経営計画(2021-2025)当社グループは、2021年3月、5ヵ年の実行計画として「関西電力グループ中期経営計画(2021-2025)」を策定した。この3年間、当社グループは、計画に掲げた取組みの3本柱である、「ゼロカーボンへの挑戦(EX)」、「サービス・プロバイダーへの転換(VX)」、「強靭な企業体質への改革(BX)」の実行に努めるとともに、前半3ヵ年の財務目標をいずれも達成するなど、着実に取組みを進めてきた。昨今、国際情勢を受けたエネルギー市場の不安定化に加え、脱炭素化の潮流やデジタル技術の一層の進展等により、当社を取り巻く事業環境は、時々刻々と変化し続けている。これらを踏まえ、2024年4月、長期的な方向性を見据えながら、さらなる成長への道筋を確かなものとするため、中期経営計画をアップデートした。これからの後半2年間は、EXでは、2024年4月に改定したゼロカーボンロードマップに基づき、脱炭素化を牽引するとともに、VXでは、分散型サービスプラットフォームをはじめとするエネルギー事業でのⅤⅩに加え、データセンター事業等、エネルギー領域に捉われない領域へ挑戦し、新たな価値を提供していく。また、経営基盤の強化に向けたBXの取組みとして、コスト構造改革、DXの推進等に加え、人財基盤の強化、仕事の進め方の改革等に力を尽くしていく。そして、中長期的には、エネルギー・非エネルギー事業の拡大に取り組むとともに[エネルギー]:[非エネルギー(エネルギーVXを含む)]=2:1の利益バランスの実現によるレジリエントな事業ポートフォリオの構築やM&Aやアライアンスを活用した成長の加速、“安定的に利益とキャッシュを創出し、国内で最も成長し続けるユーティリティ事業者”を目指すことを通じて持続的成長の実現に繋げていく。 財務目標(連結)(2024年4月公表) 2025年度経常利益3,600億円以上FCF2021-2025年度合計で3,000億円以上1,000億円以上自己資本比率28%以上ROA4.4%以上ROIC4.3%以上 2025年度経常利益ROAエネルギー事業2,750億円以上3.7%以上送配電事業100億円以上0.9%以上情報通信事業450億円以上11.5%以上生活・ビジネスソリューション事業300億円以上3.0%以上 (注)1 ROA〔総資産事業利益率〕=事業利益〔経常利益+支払利息〕÷総資産〔期首・期末平均〕 2 ROIC〔投下資本利益率〕=税引後事業利益 ÷ 投下資本〔期首・期末平均〕 3 各セグメント損益には、連結子会社および持分法適用会社からの受取配当金を含まない。 (4)ガバナンス確立とコンプライアンス推進に向けた取組み金品受取り問題をはじめとする一連の不適切事象に共通する課題として、環境変化とリスクへの確実な対応や組織風土面に問題があるとの認識のもと、内部統制の抜本的な強化と、組織風土改革の取組みを両輪で推進する。内部統制強化では、事業運営の適正性確保に向け、法令・ルールの遵守に留まらず、自律的かつ継続的な改善ができる組織作りを目指す。組織風土改革では、役員・従業員一人ひとりが誇りを持ち、業務に活き活きと取り組むことができる会社を目指す。 |
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。 <経営成績等の状況の概要>(1) 経営成績当社グループを取り巻く事業環境は、国際情勢を受けた燃料市況の不安定化に加え、脱炭素化の潮流やデジタル化の急進により、先行き不透明な状況が続いている。こうした中において、「関西電力グループ中期経営計画(2021-2025)」の取組みを着実に進捗させ、長年取り組んできた原子力7基体制を実現するとともにコスト構造改革等による成果が表れてきている。 当連結会計年度の小売販売電力量は、需要数が増加したことなどから、1,172億kWhと前連結会計年度に比べて5.1%増加した。その内訳を見ると、「電灯」については、314億kWhと前連結会計年度に比べて1.7%増加した。また、「電力」については、858億kWhと前連結会計年度に比べて6.4%増加した。 収入面では、販売電力料が増加したことなどから、売上高は4,059,378百万円と、前連結会計年度に比べて107,494百万円の増収(+2.7%)となった。 支出面では原子力利用率の上昇や燃料価格の低下などにより火力燃料費や他社購入電力料が減少したことなどから、営業費用は3,330,442百万円と、前連結会計年度に比べて673,498百万円の減少(△16.8%)となった。 この結果、当連結会計年度の営業利益は728,935百万円と、前連結会計年度に比べて780,992百万円の増益、経常利益は765,970百万円と、前連結会計年度に比べて772,636百万円の増益となった。また、和歌山発電所建設計画の中止を決定したことに伴い、126,495百万円を特別損失に計上したものの、親会社株主に帰属する当期純利益は441,870百万円と、前連結会計年度に比べて424,191百万円の増益(+2,399.3%)となった。 セグメントの経営成績(相殺消去前)は、次のとおりである。セグメント前連結会計年度(自 2022年4月1日至 2023年3月31日)当連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)比較増減金額(百万円)金額(百万円)増減金額(百万円)増減率(%)エネルギー事業売上高3,462,1143,539,19977,0842.2経常費用3,588,9663,053,856△535,109△14.9セグメント損益△27,405583,867611,273-送配電事業売上高1,138,4381,016,276△122,162△10.7経常費用1,192,680901,685△290,995△24.4セグメント損益△45,186124,083169,270-情報通信事業売上高291,683301,3819,6973.3経常費用249,709254,5264,8171.9セグメント損益43,02947,4924,46310.4生活・ビジネスソリューション事業売上高190,710195,0224,3122.3経常費用174,913177,1832,2691.3セグメント損益20,90822,3891,4807.1 (注) 各セグメント損益には、連結子会社および持分法適用会社からの受取配当金を含まない。 (2) キャッシュ・フロー当連結会計年度のキャッシュ・フローの概要は、次のとおりである。科目前連結会計年度(自 2022年4月1日至 2023年3月31日)当連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)比較増減金額(百万円)金額(百万円)増減金額(百万円)増減率(%)営業活動によるキャッシュ・フロー128,0381,154,9901,026,951802.1投資活動によるキャッシュ・フロー△417,884△428,049△10,1642.4(フリー・キャッシュ・フロー)(△289,846)(726,941)(1,016,787)(-)財務活動によるキャッシュ・フロー117,104△488,906△606,011-現金及び現金同等物の期末残高322,235564,427242,19275.2 <生産、受注及び販売の状況>当社および連結子会社における生産、受注及び販売の実績については、その大半を占めるエネルギー事業のうち当社の数値を記載している。 (1) 発受電実績種別2022年度(2022年4月~2023年3月)(百万kWh)2023年度(2023年4月~2024年3月)(百万kWh)前年度比(%)発受電電力量自社水力発電電力量13,44313,554100.8火力発電電力量45,39439,23086.4原子力発電電力量26,54442,085158.5新エネルギー発電電力量211153.3他社受電電力量49,16448,39898.4揚水発電所の揚水用電力量△2,130△2,909136.6合計132,435140,369106.0総販売電力量127,096134,710106.0出水率(%)97.096.8- (注) 1 火力発電電力量は、汽力発電電力量と内燃力発電電力量の合計である。 2 新エネルギー発電電力量は、汽力発電設備におけるバイオマスと新エネルギー等発電等設備における太陽光による発電電力量である。 3 発受電電力量と総販売電力量は、提出日(2024年6月27日)現在において把握している電力量を記載している。 4 揚水発電所の揚水用電力量とは、貯水池運営のための揚水用に使用する電力量である。 5 2022年度出水率は、1991年度から2020年度までの30カ年平均に対する比である。2023年度出水率は、1992年度から2021年度までの30カ年平均に対する比である。 6 四捨五入の関係で、合計が一致しない場合がある。 7 発受電電力量の合計と総販売電力量の差は損失電力量等である。 (2) 販売実績① 総販売電力量 2022年度(2022年4月~2023年3月)(百万kWh)2023年度(2023年4月~2024年3月)(百万kWh)前年度比(%)総 販 売 電 力 量 (小売、他社 計)127,096134,710106.0 小 売 販 売 電 力 量111,565117,246105.1 電 灯30,90431,416101.7 電 力80,66185,830106.4他 社 販 売 電 力 量15,53117,464112.4 (注) 1 総販売電力量は、提出日(2024年6月27日)現在において把握している電力量を記載している。2 四捨五入の関係で、合計が一致しない場合がある。 ② 料金収入 2022年度(2022年4月~2023年3月)(百万円)2023年度(2023年4月~2024年3月)(百万円)前年度比(%)電 灯 料 ・ 電 力 料2,344,6052,297,97498.0 電 灯 料751,756643,99885.7 電 力 料1,592,8481,653,975103.8他 社 販 売 電 力 料411,907346,53684.1 (3) 生産能力自社発電認可最大出力区分水力(kW)火力(kW)原子力(kW)新エネルギー(kW)合計(kW)2023年3月31日現在8,248,21513,816,4006,578,00011,00028,653,6152024年3月31日現在8,258,51513,001,0006,578,00011,00027,848,515 (4) 資材の状況主要燃料の受払状況区分重油(kl)原油(kl)LNG(t)石炭(t)2022年3月末在庫量131,31934,742287,693315,0672022年度受入量821,936214,7105,356,0243,666,959払出量835,423183,2615,350,0413,536,6892023年3月末在庫量117,83166,190293,676445,3372023年度受入量143,75140,0454,915,3313,564,322払出量127,07845,9044,995,4713,716,2062024年3月末在庫量134,50560,331213,536293,453 (注) 四捨五入の関係で、合計が一致しない場合がある。 <財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析>(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。重要な会計方針については、「第5 経理の状況」に記載している。連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の計上額に影響を与える見積りを行う必要がある。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しているが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。このうち、特に重要なものについては、「第5 経理の状況」の連結財務諸表の注記事項(重要な会計上の見積り)に記載している。 (2) 経営成績① 経常損益(セグメントの経営成績)[エネルギー事業]社会の変化に着実に対応すべく、「ゼロカーボンエネルギーのリーディングカンパニー」として、再エネの主力電源化や原子力の最大限活用、火力のゼロカーボン化、ゼロカーボン水素の活用も含めた電源のゼロカーボン化に取り組み、また、お客さまのゼロカーボン化を実現する最適なソリューションをご提案・ご提供するとともに、水素社会に向けた検討・実証にも取り組むなど、お客さまや社会のゼロカーボン化の実現に向けて当社グループのリソースを結集していく。また、デジタル技術の活用や、競争力のある電源ポートフォリオの構築、燃料調達や需給運用の合理化といったコスト構造改革の取り組み等により、強靭な企業体質への改革に努めるとともに、エネルギーソリューションを軸とした様々なサービスの開発・提供を通じて事業の拡大を図り、中期経営計画で掲げた目標の達成に取り組む。(業績)収入面では、販売電力料が増加したことなどから、外部顧客への売上高は3,335,680百万円と、前連結会計年度に比べて225,971百万円の増収(+7.3%)となり、内部売上高を含めた売上高は3,539,199百万円と、前連結会計年度に比べて77,084百万円の増収(+2.2%)となった。支出面では、原子力利用率の上昇や燃料価格の低下などにより火力燃料費や他社購入電力料が減少したことなどから、経常費用は減少した。この結果、セグメント利益は583,867百万円と、前連結会計年度に比べて611,273百万円の増益となった。(当連結会計年度の取組み)原子力プラントについては、特定重大事故等対処施設を含む安全対策工事を完了し、昨年8月に高浜発電所1号機、同年10月に同2号機の本格運転を再開した。これにより美浜発電所、高浜発電所および大飯発電所の全てのプラントが運転を行っており、7基体制を実現することができた。当社の原子力プラントの高経年化対策については、法律に基づいた技術評価を実施し、安全性を確認したうえで運転を行っている。また、昨年6月に改正された原子炉等規制法において、高経年化の安全規制について見直しが行われたが、これに対しても適切に対応していく。今後とも、原子力プラントの安全・安定運転および安全性・信頼性の一層の向上に取り組んでいく。再生可能エネルギーの開発等については、国内において、KDS太陽光合同会社によるコーポレートPPA(電力購入契約)に活用する太陽光発電設備の開発を進め、昨年7月に1号機が営業運転を開始した。また、水力発電事業では、黒部川第二発電所3号機の設備更新など最大出力増加に取り組んだ。和歌山県沖での洋上風力発電事業や北海道古平町と余市町での陸上風力発電事業では、地域からの意見を踏まえつつ、環境保全に十分配慮しながら事業性を検討してきた。国外においては、フィンランドのアラヤルヴィ陸上風力発電事業は昨年12月に商業運転を開始した。また、スペインのビルバオ港沖での浮体式洋上風力実証プロジェクトおよびノルウェーのゴリアテヴィンド浮体式洋上風力発電実証事業へ参画するとともに、オドフェル・オーシャンウィンド社への出資参画にも取り組んできた。ご家庭のお客さまへのサービスについては、従来のオール電化住宅向けなどのメニューに加え、省エネ給湯機エコキュートのリース料金と一定量までの電気料金がセットになったサブスクリプション(定額)メニュー「はぴeセット」等の推進に加え、新たに蓄電池のリースと電気をセットにした「はぴeセットストレジ」の提供を発表した。加えて、当社の電気とガスをセットにした「なっトクパック」の提案活動を展開し、年度末時点での関電ガスの契約件数は160万件となった。法人のお客さまへのサービスについては、脱炭素の計画策定から具体策の実行までをトータルサポートする「ゼロカーボンパッケージ」において、太陽光オンサイトサービス※1やコーポレートPPA、お客さまが所有する分散型エネルギーリソースの最適制御等を行うエネルギーマネジメントシステムであるSenaSonなど、より一層サービス内容の充実を図った。加えて、昨年4月にE-Flow合同会社※2を設立し、分散型エネルギーリソースを最適に運用し、需給調整市場等の各種市場取引を推進している。株式会社関電エネルギーソリューションにおいては、ユーティリティサービス事業について、収益の拡大に向け、大型案件の受注推進に加え、中小規模案件の獲得や首都圏での活動強化など顧客基盤の構築に取り組むとともに、節水・節湯自動管理システム「ぴたっとOU」等の新サービスを推進した。※1:お客さまの建物の屋根などに、太陽光発電設備を設置、所有したうえで、設置後の運用・メンテナンスま でをワンストップで行うもので、初期投資ゼロで太陽光発電による電気をご使用いただけるサービス。※2:昨年4月設立。VPP事業、系統用蓄電池事業、再エネアグリゲーション事業の3事業に重点を置き、2030年 度までに全国で分散型エネルギーリソースの市場取引量250万kW、売上高300億円を目指す。 [送配電事業]送配電事業の一層の中立性を確保しつつ、安全かつ安定した電気を低廉な価格でお届けするため、電力系統の運用、送電、変電、配電の計画・工事などを行い、生活や産業の基盤を支える電力を供給している。また、脱炭素化やレジリエンス強化をはじめ、エネルギーに関する社会ニーズは多様化する中、それを支える基盤である送配電事業の重要性はこれまで以上に高まっていると認識しており、電力ネットワークの次世代化を進めるとともに、分散型電源などの多様な系統利用者の要請にも柔軟に系統利用サービスを提供し続け、お客さまや社会のご期待にお応えし続けていく。(業績)収入面では、託送料金の改定などによる託送収益の増加があったものの、需給調整取引の単価下落により販売電力料が減少したことなどから、外部顧客への売上高は341,880百万円と、前連結会計年度に比べて128,095百万円の減収(△27.3%)となり、内部売上高を含めた売上高は1,016,276百万円と、前連結会計年度に比べて122,162百万円の減収(△10.7%)となった。支出面では、需給調整取引の単価下落により購入電力料が減少したことなどから、経常費用は減少した。この結果、セグメント利益は124,083百万円と、前連結会計年度に比べて169,270百万円の増益となった。(当連結会計年度の取組み)関西電力送配電株式会社において、新たな託送料金制度のもと策定した5ヵ年の事業計画に基づき、高経年化設備の計画的更新や、脱炭素化・レジリエンス強化に資する電力ネットワークの次世代化、サービスレベルの向上などを着実に進め、電力の安定供給に取り組んだ。また、トヨタ生産方式(カイゼン)・DXを通じた生産性向上や徹底した効率化を推進した。 [情報通信事業]FTTHを利用した光インターネット、光電話、光テレビの3つのサービスをeo光ブランドで関西一円に展開しているほか、全国をターゲットにモバイル事業「mineo(マイネオ)」および、法人ソリューション事業などを展開している。(業績)収入面では、株式会社オプテージにおいて、株式会社関電セキュリティ・オブ・ソサイエティを吸収合併したことによりホームセキュリティサービスの収益が増加したことや、FTTHサービスの収益が増加したことなどから、外部顧客への売上高は225,369百万円と、前連結会計年度に比べて2,540百万円の増収(+1.1%)となり、内部売上高を含めた売上高は301,381百万円と、前連結会計年度に比べて9,697百万円の増収(+3.3%)となった。支出面では、株式会社関電システムズにおいて、システム開発案件が増加したことなどから、経常費用は増加した。この結果、セグメント利益は47,492百万円と、前連結会計年度に比べて4,463百万円の増益(+10.4%)となった。(当連結会計年度の取り組み)株式会社オプテージにおいて、FTTHサービス「eo光」について、超高速(10ギガ/5ギガ)コースを関西173市町村で利用可能とするなど、販促活動の推進により関西のFTTH(戸建向け?5ギガコース以上)において約6割のシェアを確保している。また、モバイル事業「mineo」は10周年を控え、約130万回線をご利用いただいている。法人向け事業については、大阪市内に都市型データセンター「曽根崎データセンター」の建設を進め、2026年1月に運用開始を予定している。 [生活・ビジネスソリューション事業]不動産賃貸・分譲・管理、レジャーなどの総合不動産事業に加え、リース、コールセンター運営、メディカル・ヘルスケアなど、お客さまの安心・快適・便利な生活やビジネスを実現するサービスを展開している。(業績)収入面では、関電不動産開発株式会社の住宅分譲事業において、引渡戸数が増加したことや、賃貸事業において、ホテルの稼働率が向上したことなどから、外部顧客への売上高は156,447百万円と、前連結会計年度に比べて7,077百万円の増収(+4.7%)となり、内部売上高を含めた売上高は195,022百万円と、前連結会計年度に比べて4,312百万円の増収(+2.3%)となった。支出面では、関電不動産開発株式会社の住宅分譲事業において、売上原価や委託費が増加したことなどから、経常費用は増加した。この結果、セグメント利益は22,389百万円と、前連結会計年度に比べて1,480百万円の増益(+7.1%)となった。(当連結会計年度の取り組み)安心・快適・便利な生活やビジネスを実現する様々な事業を展開している。特に、関電不動産開発株式会社においては、超高層タワーマンション「シエリアタワー中之島」や、首都圏のオフィス建て替えプロジェクト「関電不動産渋谷ビル」の開発を推進した。また、海外においても住宅開発・賃貸事業を展開しており、米国・豪州にて6件の事業に参画した。 ② 親会社株主に帰属する当期純利益当期経常利益を765,970百万円計上した一方、和歌山発電所建設計画の中止を決定したことに伴い、126,495百万円を特別損失に計上したことなどから、税金等調整前当期純利益は641,054百万円となった。ここから法人税等合計と非支配株主に帰属する当期純利益を差し引きした親会社株主に帰属する当期純利益は441,870百万円となり、前連結会計年度に比べて424,191百万円の増益(+2,399.3%)となった。 (3) 財政状態① 資産・負債の状況資産は、和歌山発電所建設計画の中止を決定したことに伴い、固定資産に係る減損損失126,495百万円を計上したものの、設備投資額が減価償却費を上回ったことや、現金及び預金が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べて258,492百万円増加(+2.9%)し、9,032,917百万円となった。負債は、有利子負債が減少したことなどから、前連結会計年度末に比べて234,973百万円減少(△3.4%)し、6,699,669百万円となった。 ② 純資産の状況純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益441,870百万円を計上したことなどから、前連結会計年度末に比べて493,465百万円増加(+26.8%)し、2,333,248百万円となった。これらの結果、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べて4.8%上昇し、25.2%となった。また、1株当たり純資産は、前連結会計年度末に比べて543円04銭増加し、2,547円28銭となった。 (4) 資本の財源及び資金の流動性① 資金調達当社グループは、エネルギー事業等を行うための設備投資や債務償還などに必要な資金を可能な限り自己資金にて賄い、不足する資金については主に社債や借入金によって資金調達を行い、コマーシャル・ペーパー等により短期的な運転資金を調達することにより、流動性を確保している。 ② キャッシュ・フローの状況営業活動によるキャッシュ・フローについては、税金等調整前当期純損益が増加したことなどから、前連結会計年度に比べて収入が1,026,951百万円増加(+802.1%)し、1,154,990百万円の収入となった。投資活動によるキャッシュ・フローについては、投融資の回収収入が減少したことなどから、前連結会計年度に比べて支出が10,164百万円増加(+2.4%)し、428,049百万円の支出となった。財務活動によるキャッシュ・フローについては、有利子負債が減少したことなどから、前連結会計年度に比べて支出が606,011百万円増加し、488,906百万円の支出となった。以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べて242,192百万円増加(+75.2%)し、564,427百万円となった。 (5)中期経営計画の財務目標および進捗状況連結財務目標および進捗状況 実績財務目標 (2021年3月設定) 2021年度2022年度2023年度2021-2023年度2021-2023年度経常損益1,359億円△66億円 7,659億円3ヵ年平均 2,984億円3ヵ年平均 1,000億円 以上FCF△1,223億円△2,898億円7,269億円 3ヵ年平均1,049億円3ヵ年平均△500億円 未満自己資本比率19.2%20.4%25.2%25.2%20% 以上ROA 1.9%0.2%8.9%3ヵ年平均3.7% 程度3ヵ年平均1.5% 以上 (注) ROA=事業利益〔経常損益+支払利息〕÷総資産〔期首・期末平均〕 セグメント別財務目標および進捗状況 実績財務目標(2021年3月設定)2021年度2022年度2023年度2021-2023年度2021-2023年度エネルギー事業セグメント損益706億円△274億円 5,838億円3ヵ年平均2,090億円3ヵ年平均黒字ROA 1.2%△0.0%7.7%3ヵ年平均3.0%3ヵ年平均0.3% 以上送配電事業セグメント損益60億円△451億円1,240億円3ヵ年平均283億円3ヵ年平均500億円 以上ROA0.6%△1.4%5.1%3ヵ年平均1.4%3ヵ年平均2.0% 以上情報通信事業セグメント損益400億円430億円474億円3ヵ年平均435億円3ヵ年平均350億円 以上ROA12.1%13.2%14.4%3ヵ年平均13.2%3ヵ年平均10.0% 以上生活・ビジネスソリューション事業セグメント損益196億円209億円223億円3ヵ年平均209億円3ヵ年平均150億円 以上ROA2.6%2.8%3.0%3ヵ年平均2.8%3ヵ年平均2.0% 以上 (注) 1 各セグメント損益には、連結子会社および持分法適用会社からの受取配当金を含まない。2 ROA=事業利益〔セグメント損益+支払利息〕÷セグメント資産〔期首・期末平均〕 |
※本記事は「関西電力株式会社」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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