会社名 | 関西電力株式会社 |
業種 | 電気・ガス業 |
従業員数 | 連31428名 単8258名 |
従業員平均年齢 | 42.6歳 |
従業員平均勤続年数 | 19.8年 |
平均年収 | 9732263円 |
1株当たりの純資産 | 2752.01円 |
1株当たりの純利益(連結) | 436.09円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 60円 |
配当性向 | 18.4% |
株価収益率(PER) | 4.06倍 |
自己資本利益率(ROE)(連結) | 15.7% |
営業活動によるCF | 5752億円 |
投資活動によるCF | ▲3423億円 |
財務活動によるCF | 1376億円 |
研究開発費※1 | 118.3億円 |
設備投資額※1 | 5348.69億円 |
販売費および一般管理費※1 | -円 |
株主資本比率※2 | 24.1% |
有利子負債残高(連結)※3 | 39068.23億円 |
経営方針
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、提出日(2025年6月25日)現在において当社グループが判断したものであり、当社グループとしてその実現を約束するものではない。 (1) 経営理念これまで、「安全最優先」と「社会的責任の全う」を経営の基軸に位置付け、「お客さまと社会のお役に立ち続ける」ことを使命とする経営理念のもと、事業活動を展開してきたが、金品受取り問題等では、「社会的責任の全う」という点について、社内外から厳しいご指摘をいただいた。これを受け、新しい関西電力グループとして創生し、持続的に成長していくための指針として、2021年3月に「関西電力グループ経営理念 Purpose & Values」を策定した。この経営理念は、当社グループの最上位概念として、お客さまや社会にとっての「『あたりまえ』を守り、創る」という存在意義のもと、「『公正』『誠実』『共感』『挑戦』」という価値観を大切にして事業活動を行い、持続可能な社会を実現することを掲げている。 (2) ゼロカーボンビジョン2050国における2050年カーボンニュートラル宣言など地球温暖化対策への社会的な要請が一層高まる中、さらなる地球温暖化問題への対応を自主的かつ積極的に推進していく必要があるとの考えのもと、2021年2月、当社グループは「関西電力グループ『ゼロカーボンビジョン2050』」を策定し、事業活動に伴うCO2排出を2050年までに全体としてゼロとすることを宣言した。ビジョンにおいては、ゼロカーボン実現に向けた取組みの3つの柱として、「①デマンドサイドのゼロカーボン化」、「②サプライサイドのゼロカーボン化」、「③水素社会への挑戦」を掲げている。また、2022年3月には、ビジョン実現に向けた道筋である「関西電力グループ ゼロカーボンロードマップ」を策定し、中間地点として2030年度の目標を設定するとともに、ゼロカーボン社会の実現に向けて取り組む内容を、「お客さまや社会の皆さまとともに取り組むこと」、「関西電力グループ自ら取り組むこと」の2つの観点で整理した。これまでの取組みの進捗や世界的な脱炭素化の潮流の高まりを踏まえ、2024年4月に「関西電力グループ ゼロカーボンロードマップ」を改定し、新たにScope3を含むGHG排出量目標を設定するなど、取組みを加速させている。今後も当社は再生可能エネルギーの主力電源化や、原子力の最大限活用、火力のゼロカーボン化、ゼロカーボン水素の活用に取組み、排出量削減を着実に進める。また、電化や蓄電池などの多種多様なソリューションの提案により、お客さまや社会の皆さまと共に社会全体のCO2排出量を削減していく。引き続き、お客さまや事業パートナー、自治体など、あらゆるステークホルダーの皆さまと力を合わせ、様々な取組みを進めていく。 (3) 関西電力グループ中期経営計画(2021-2025)当社グループは、2021年、5ヵ年の実行計画として「関西電力グループ中期経営計画(2021-2025)」を策定した。その後、国際情勢を受けたエネルギー市場の不安定化や脱炭素化の潮流、デジタル技術の一層の進展等、当社を取り巻く事業環境の変化を踏まえ、2024年4月、中期経営計画のアップデートを行った。アップデートでは、2025年度の財務目標と後半2年間の取組みに加え、中長期の目指す姿を示している。中期経営計画の最終年度にあたる2025年度についても、引き続き、事業運営の大前提となる「ガバナンス確立とコンプライアンス推進」および3本柱(EX、VX、BX)に沿った取組みをグループ一丸となって推進し、中期経営計画の目標達成に向けて全力を尽くしていく。 財務目標(連結)(2024年4月公表) 2025年度経常利益3,600億円以上FCF2021-2025年度合計で3,000億円以上1,000億円以上自己資本比率28%以上ROA4.4%以上ROIC4.3%以上 2025年度経常利益ROAエネルギー事業2,750億円以上3.7%以上送配電事業100億円以上0.9%以上情報通信事業450億円以上11.5%以上生活・ビジネスソリューション事業300億円以上3.0%以上 (注)1 ROA〔総資産事業利益率〕=事業利益〔経常利益+支払利息〕÷ 総資産〔期首・期末平均〕 2 ROIC〔投下資本利益率〕=税引後事業利益 ÷ 投下資本〔期首・期末平均〕 3 各セグメント損益には、連結子会社および持分法適用会社からの受取配当金を含まない。 (4) 関西電力グループ 2025年度計画当社グループは、中期経営計画の進捗状況や経営環境の変化を踏まえ、2025年4月に「関西電力グループ 2025年度計画」を策定した。 ・事業運営の大前提「ガバナンス確立とコンプライアンス推進」 適正な事業運営のため、経営の透明性・客観性を確保するとともに、一人ひとりが「気づく」「言える」 「行動する」を実践できるよう、引き続き、組織風土改革および内部統制強化を両輪で推進 ・取組みの3本柱 EX:「関西電力グループ ゼロカーボンロードマップ」に基づき、脱炭素化を牽引 VX:既存事業の周辺領域・重なり合う領域で、お客さまや社会の脱炭素ニーズの多様化・高度化をふまえた 新たな価値提供を加速 BX:「人」、「しくみ」、「財務」の視点で、経営のリーダーシップのもと、4つの「高める」の取組みお よびDX推進・コスト構造改革等を加速 (5) ガバナンス確立とコンプライアンス推進に向けた取組み金品受取り問題をはじめとする一連の不適切事象に共通する課題として、環境変化とリスクへの確実な対応や組織風土面に問題があるとの認識のもと、内部統制の抜本的な強化と、組織風土改革の取組みを、両輪で推進する。内部統制強化では、事業運営の適正性確保に向け、法令・ルールの遵守に留まらず、自律的かつ継続的な改善ができる組織作りを目指す。組織風土改革では、役員・従業員一人ひとりが誇りを持ち、業務に活き活きと取り組むことができ、安心して仕事ができる会社を目指す。 |
経営者による財政状態の説明
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。 <経営成績等の状況の概要>(1) 経営成績当社グループは、2024年、長期的な方向性を見据えながら、中期経営計画の今後2カ年の内容をアップデートし、計画に掲げた取組みを強力に推進してきた。 総販売電力量は1,560億kWhと、前連結会計年度に比べて15.8%増加した。 収入面では、販売電力料収入が増加したことなどから、売上高は4,337,111百万円と、前連結会計年度に比べて277,733百万円の増収(+6.8%)となった。 支出面では、他社購入電力料が増加したことなどから、営業費用は3,868,234百万円と、前連結会計年度に比べて537,791百万円の増加(+16.1%)となった。 この結果、当連結会計年度の営業利益は468,877百万円と、前連結会計年度に比べて260,058百万円の減益(△35.7%)、経常利益は531,686百万円と、前連結会計年度に比べて234,283百万円の減益(△30.6%)となった。また、英国で配電事業を行うエレクトリシティ・ノース・ウエスト社の株式の一部を売却したことに伴い、61,412百万円を特別利益に計上したものの、親会社株主に帰属する当期純利益は420,364百万円と、前連結会計年度に比べて21,506百万円の減益(△4.9%)となった。 セグメントの経営成績(相殺消去前)は、次のとおりである。セグメント前連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)比較増減金額(百万円)金額(百万円)増減金額(百万円)増減率(%)エネルギー事業売上高3,539,1993,774,142234,9436.6経常費用3,053,8563,490,745436,88814.3セグメント損益583,867411,321△172,546△29.6送配電事業売上高1,016,2761,097,55181,2758.0経常費用901,6851,052,684150,99916.7セグメント損益124,08355,794△68,288△55.0情報通信事業売上高301,381312,63111,2503.7経常費用254,526266,63112,1044.8セグメント損益47,49246,945△547△1.2生活・ビジネスソリューション事業売上高195,022221,40826,38613.5経常費用177,183200,45423,27113.1セグメント損益22,38926,2083,81917.1 (注) 各セグメント損益には、連結子会社および持分法適用会社からの受取配当金を含まない。 (2) キャッシュ・フロー当連結会計年度のキャッシュ・フローの概要は、次のとおりである。科目前連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)比較増減金額(百万円)金額(百万円)増減金額(百万円)増減率(%)営業活動によるキャッシュ・フロー1,154,990575,299△579,690△50.2投資活動によるキャッシュ・フロー△428,049△342,35385,695△20.0(フリー・キャッシュ・フロー)(726,941)(232,946)(△493,995)(△68.0)財務活動によるキャッシュ・フロー△488,906137,673626,580-現金及び現金同等物の期末残高564,427941,432377,00466.8 <生産、受注及び販売の状況>当社および連結子会社における生産、受注及び販売の実績については、その大半を占めるエネルギー事業のうち当社の数値を記載している。 (1) 発受電実績種別2023年度(2023年4月~2024年3月)(百万kWh)2024年度(2024年4月~2025年3月)(百万kWh)前年度比(%)発受電電力量自社水力発電電力量13,55413,655100.7火力発電電力量39,23039,932101.8原子力発電電力量42,08548,634115.6新エネルギー発電電力量1112103.5他社受電電力量48,39662,741129.6揚水発電所の揚水用電力量△2,909△3,128107.5合計140,367161,847115.3総販売電力量134,710156,044115.8出水率(%)96.898.2- (注) 1 火力発電電力量は、汽力発電電力量と内燃力発電電力量の合計である。 2 新エネルギー発電電力量は、汽力発電設備におけるバイオマスと新エネルギー等発電等設備における太陽光による発電電力量である。 3 発受電電力量と総販売電力量は、提出日(2025年6月25日)現在において把握している電力量を記載している。 4 揚水発電所の揚水用電力量とは、貯水池運営のための揚水用に使用する電力量である。 5 2023年度出水率は、1992年度から2021年度までの30カ年平均に対する比である。2024年度出水率は、1993年度から2022年度までの30カ年平均に対する比である。 6 四捨五入の関係で、合計が一致しない場合がある。 7 発受電電力量の合計と総販売電力量の差は損失電力量等である。 (2) 販売実績① 総販売電力量 2023年度(2023年4月~2024年3月)(百万kWh)2024年度(2024年4月~2025年3月)(百万kWh)前年度比(%)総 販 売 電 力 量 (小売、他社 計)134,710156,044115.8 小 売 販 売 電 力 量117,246115,52198.5 電 灯31,41632,902104.7 電 力85,83082,61996.3他 社 販 売 電 力 量17,46440,523232.0 (注) 1 総販売電力量は、提出日(2025年6月25日)現在において把握している電力量を記載している。2 四捨五入の関係で、合計が一致しない場合がある。 ② 料金収入 2023年度(2023年4月~2024年3月)(百万円)2024年度(2024年4月~2025年3月)(百万円)前年度比(%)販 売 電 力 料 収 入 (小売、他社 計)2,644,5113,062,553115.8 電 灯 料 ・ 電 力 料2,297,9742,289,44999.6 電 灯643,998751,932116.8 電 力1,653,9751,537,51693.0他 社 販 売 電 力 料346,536773,104223.1 (3) 生産能力自社発電認可最大出力区分水力(kW)火力(kW)原子力(kW)新エネルギー(kW)合計(kW)2024年3月31日現在8,258,51513,001,0006,578,00011,00027,848,5152025年3月31日現在8,259,21511,201,0006,578,00011,00026,049,215 (4) 資材の状況主要燃料の受払状況区分重油(kl)原油(kl)LNG(t)石炭(t)2023年3月末在庫量117,83166,190293,676445,3372023年度受入量143,75140,0454,915,3313,564,322払出量127,07845,9044,995,4713,716,2062024年3月末在庫量134,50560,331213,536293,4532024年度受入量76,0358,0075,408,6933,255,269払出量136,68511,3465,287,1003,240,1772025年3月末在庫量73,85556,993335,130308,546 (注) 四捨五入の関係で、合計が一致しない場合がある。 <財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析>(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。重要な会計方針については、「第5 経理の状況」に記載している。連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の計上額に影響を与える見積りを行う必要がある。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しているが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。このうち、特に重要なものについては、「第5 経理の状況」の連結財務諸表の注記事項(重要な会計上の見積り)に記載している。 (2) 経営成績① 経常損益(セグメントの経営成績)[エネルギー事業]第7次エネルギー基本計画やGX2040ビジョンで掲げられたエネルギー安定供給と脱炭素の両立に着実に対応すべく、「ゼロカーボンエネルギーのリーディングカンパニー」として、再エネの主力電源化や原子力の最大限活用、火力のゼロカーボン化、ゼロカーボン水素の活用も含めた電源のゼロカーボン化に取り組み、また、お客さまのゼロカーボン化を実現する最適なソリューションをご提案・ご提供するとともに、水素社会に向けた検討・実証にも取り組むなど、お客さまや社会のゼロカーボン化の実現に向けて当社グループのリソースを結集していく。また、デジタル技術の活用や、競争力のある電源ポートフォリオの構築、燃料調達や需給運用の合理化といったコスト構造改革の取組み等により、強靭な企業体質への改革に努めるとともに、エネルギーソリューションを軸とした様々なサービスの開発・提供を通じて事業の拡大を図り、中期経営計画で掲げた目標の達成に取り組む。(業績)収入面では、販売電力料収入が増加したことなどから、外部顧客への売上高は3,540,779百万円と、前連結会計年度に比べて205,099百万円の増収(+6.1%)となり、内部売上高を含めた売上高は3,774,142百万円と、前連結会計年度に比べて234,943百万円の増収(+6.6%)となった。支出面では、他社購入電力料が増加したことなどから、経常費用は増加した。この結果、セグメント利益は411,321百万円と、前連結会計年度に比べて172,546百万円の減益(△29.6%)となった。(当連結会計年度の取組み)原子力発電事業については、美浜発電所、高浜発電所および大飯発電所の7基全てのプラントが運転を継続している。原子力プラントの高経年化対策については、法律に基づいた技術評価を実施し、安全性を確認したうえで運転を行っている。また、2023年6月に改正された関連法令に基づき見直しが行われた安全規制や運転期間に関する制度に対しても、適切に対応を進めている。今後とも、原子力プラントの安全・安定運転および安全性・信頼性のより一層の向上に取り組んでいく。再生可能エネルギーに関して、水力発電事業については、設備更新によって最大出力を増加させた新丸山発電所が営業運転を開始し、また、奥多々良木発電所3、4号機では長期脱炭素電源オークションを活用した設備更新を進めてきた。洋上風力発電事業については、2024年12月に山形県遊佐町沖での洋上風力発電事業者公募において事業者に選定されたほか、新たに北海道松前沖、檜山地方沖および島牧沖において、地域のみなさまや関係行政機関からのご意見を賜わりつつ、環境保全に十分配慮しながら事業実施の可能性を検討してきた。また、2024年5月には国内の太陽光発電事業を投資対象としたファンドを設立するなど、太陽光発電によるコーポレートPPA(電力購入契約)の一層の拡大に取り組んでいるほか、2024年12月からは紀の川蓄電所の運転を開始するなど、電力需給の安定化や再生可能エネルギーの導入加速に貢献している。加えて、系統用蓄電池をはじめとした分散型リソースの運用については、E-Flow合同会社※1がAIを活用したシステムを通じ、卸電力取引市場、需給調整市場および容量市場※2において最適な市場取引を行っている。国外においては、スペインの大手電力会社イベルドローラ社から株式を取得し、ドイツにおけるヴィンダンカー洋上風力発電事業へ参画した。加えて、再生可能エネルギー事業におけるリーディングカンパニーである同社と戦略的協業に関する覚書を締結し、グローバルな事業拡大の取組みを始めている。一方で、英国の配電会社エレクトリシティ・ノース・ウエスト社の株式の一部売却により売却益を獲得するなど、ポートフォリオの組替えも機動的に進めている。火力発電事業については、南港発電所1?3号機の長期脱炭素電源オークションを活用した設備更新が決定し、2025年3月をもって既存設備を廃止した。高経年化が進んでいる姫路第一発電所は、最新の高効率コンバインドサイクル機への設備更新の検討を開始した。また、水素の利活用として、姫路第二発電所での水素混焼発電実証の取組みを進め、当年度は、水素混焼発電に必要となる設備の設計・製作、据付および試運転を行い、大阪・関西万博期間中の実証試験開始に向けて、着実に準備を進めてきた。※1:2023年4月設立。VPP事業、系統用蓄電池事業、再エネアグリゲーション事業の3事業に重点を置き、2030 年度までに全国で分散型エネルギーリソースの市場取引量250万kW、売上高300億円を目指している。※2:卸電力取引市場:発電事業者と小売電気事業者が電力量(kWh)を取引する市場。 需給調整市場:一般送配電事業者が周波数調整や需給調整を行うための調整力(⊿kW)を効率的に調達・ 運用する市場。 容量市場:将来にわたる日本全体の供給力(kW)を効率的に確保する市場。 ご家庭のお客さまへのサービスについては、従来のオール電化住宅向けなどのメニューに加え、省エネ給湯機エコキュートのリース料金と一定量までの電気料金がセットになったサブスクリプション(定額)メニュー「はぴeセット」を推進した。さらに、2024年4月には蓄電池のリース料金と一定量までの電気料金がセットになった「はぴeセット ストレジ」の提供を開始し、サービスラインナップを拡充した。また、当社の電気とガスをセットにして提案活動を展開し、年度末時点での関電ガスの契約件数は約163万件となった。法人のお客さまへのサービスについては、脱炭素の計画策定から具体策の実行までをトータルサポートする「ゼロカーボンパッケージ」において、より一層サービス内容の充実を図ってきた。具体的には、太陽光発電オンサイトサービス※3、コーポレートPPA、分散型エネルギーリソースの最適制御等を行うエネルギーマネジメントシステムである「SenaSon」、法人のお客さま等が所有する車のEV化を支援する「カンモビパッケージ」のサービス拡充に取り組んだ。また、タイ、ベトナムに加え、2024年11月には新たにインドネシアに現地法人を設立し、東南アジアを中心に海外進出する日系企業の工場に対して、最適なエネルギーシステムの構築・運用に関するソリューション提案を通じて、省エネ・省コスト・省CO2などの多様なニーズにお応えする取組みを推進している。中核会社の株式会社関電エネルギーソリューションにおいては、全国300を超える地点でユーティリティサービスを提供しており、病院やデータセンター等の大型案件への注力、首都圏活動の強化など、事業拡大に努めてきた。また、2025年3月には、大規模なお客さま設備の運転制御を、当社が遠隔で代行し最適運用する「おまかSave-Pro」をリリースするなど、サービスの高度化にも取り組んでいる。※3:お客さまの建物の屋根などに、当社が太陽光発電設備を設置、所有したうえで、設置後の運用・メンテナ ンスまでをワンストップで行うもので、初期投資ゼロで太陽光発電による電気をご使用いただけるサービ ス。 [送配電事業]電力系統の運用や送電、変電、配電設備の計画・工事などを行い、中立・公平な立場で安全に安定した電気をお客さまにお届けしている。脱炭素化やレジリエンス強化をはじめ、エネルギーに関する社会ニーズが多様化する中、それを支える基盤である送配電事業の重要性はこれまで以上に高まっていると認識しており、電力ネットワークの次世代化を進めるとともに、分散型電源などの多様な系統利用者の要請にも柔軟に系統利用サービスを提供し続け、お客さまや社会のご期待にお応えし続けていく。(業績)収入面では、エリア需要の増加などにより、託送収益が増加したことなどから、外部顧客への売上高は389,120百万円と、前連結会計年度に比べて47,240百万円の増収(+13.8%)となり、内部売上高を含めた売上高は1,097,551百万円と、前連結会計年度に比べて81,275百万円の増収(+8.0%)となった。支出面では、需給調整取引に伴う費用や修繕費が増加したことなどから、経常費用は増加した。この結果、セグメント利益は55,794百万円と、前連結会計年度に比べて68,288百万円の減益(△55.0%)となった。(当連結会計年度の取組み)関西電力送配電株式会社において、託送料金制度のもと策定した5ヵ年(2023~2027年度)の事業計画に基づき、高経年化設備の計画的更新や、脱炭素化・レジリエンス強化に資する電力ネットワークの次世代化、サービスレベルの向上などを着実に進めることで、電気の安全・安定供給に取り組んだ。また、トヨタ生産方式(カイゼン)・DXを通じた生産性向上や徹底した効率化を推進した。 [情報通信事業]FTTHを利用した光インターネット、光電話、光テレビの3つのサービスをeo光ブランドで関西一円に展開しているほか、全国をターゲットにモバイル事業「mineo(マイネオ)」および法人ソリューション事業などを展開している。(業績)収入面では、株式会社オプテージにおいて、eo電気の燃料費調整額が減少したことなどから、外部顧客への売上高は223,584百万円と、前連結会計年度に比べて1,785百万円の減収(△0.8%)となった。一方で、株式会社関電システムズにおいて、システム開発案件が増加したことなどから、内部売上高を含めた売上高は312,631百万円と、前連結会計年度に比べて11,250百万円の増収(+3.7%)となった。支出面では、株式会社オプテージにおいて、容量拠出金が増加したことや、委託費等の販売管理費が増加したことなどから、経常費用は増加した。この結果、セグメント利益は46,945百万円と、前連結会計年度に比べて547百万円の減益(△1.2%)となった。(当連結会計年度の取組み)株式会社オプテージにおいて、FTTHサービス「eo光」について、2024年10月にオンライン申込専用の新プラン「eo光シンプルプラン10ギガコース」の提供を開始するなどして、約171万件のお客さまに選ばれている。さらに、2025年4月からは、eo光テレビ新コース「CSベーシック」「CSプレミアム」を追加し、サービスラインナップを拡充した。MVNO事業については、「mineo(マイネオ)」において2025年3月から基本データ容量で選ぶプラン「マイピタ」に50GBコースを追加するなどし、約135万件のお客さまに選ばれている。また、法人向け事業については、2026年1月から都市型データセンター「曽根崎データセンター」を新たに運用開始する予定のほか、2026年度中には「生成AI向けコンテナ型データセンター」を開設し、「AI学習用GPUサーバ」の提供を予定している。 [生活・ビジネスソリューション事業]不動産賃貸・分譲・管理、レジャーなどの総合不動産事業に加え、リース、コールセンター運営、メディカル・ヘルスケアなど、お客さまの安心・快適・便利な生活やビジネスを実現するサービスを展開している。(業績)収入面では、関電不動産開発株式会社の住宅分譲事業において、引渡戸数の増加や販売単価が向上したことなどから、外部顧客への売上高は183,626百万円と、前連結会計年度に比べて27,178百万円の増収(+17.4%)となり、内部売上高を含めた売上高は221,408百万円と、前連結会計年度に比べて26,386百万円の増収(+13.5%)となった。支出面では、関電不動産開発株式会社の住宅分譲事業において、商品原価等の売上原価が増加したことなどから、経常費用は増加した。この結果、セグメント利益は26,208百万円と、前連結会計年度に比べて3,819百万円の増益(+17.1%)となった。(当連結会計年度の取組み)安心・快適・便利な生活やビジネスを実現する様々な事業を展開している。特に、関電不動産開発株式会社においては、住宅分譲事業では、関西圏、首都圏でタワーマンションなどの販売が好調に推移するとともに、関西初の全邸オール電化かつZEH仕様の戸建住宅やマンションに加え関電グループのVXサービスを組み入れた「スマートエコタウン星田」の開発を行ってきた。また、賃貸事業では、築50年超のオフィスビル「堂島関電ビル」でテナントのみなさまと協働し「ESG×SDGs」に配慮した大規模リニューアルを実施するとともに、堂島浜や難波等の関西圏での再開発プロジェクトの推進に加え、首都圏においても複合施設の再開発に向けた準備を行っている。海外事業についても、米国や豪州等で様々な住宅開発や賃貸事業に参画し、日系企業の幹事会社としての事業推進にも着手している。 ② 親会社株主に帰属する当期純利益当期経常利益を531,686百万円計上したことに加え、英国で配電事業を行うエレクトリシティ・ノース・ウエスト社の株式の一部を売却したことに伴い、61,412百万円を特別利益に計上したことなどから、税金等調整前当期純利益は594,572百万円となった。ここから法人税等合計と非支配株主に帰属する当期純利益を差し引きした親会社株主に帰属する当期純利益は420,364百万円となり、前連結会計年度に比べて21,506百万円の減益(△4.9%)となった。 (3) 財政状態① 資産・負債の状況資産は、設備投資額が減価償却費を上回ったことや、現金及び預金が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べて619,737百万円増加(+6.9%)し、9,652,655百万円となった。負債は、有利子負債が減少したことなどから、前連結会計年度末に比べて154,466百万円減少(△2.3%)し、6,545,202百万円となった。 ② 純資産の状況純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益(420,364百万円)を計上したことや、新株式発行及び自己株式の処分(378,787百万円)を実施したことなどから、前連結会計年度末に比べて774,204百万円増加(+33.2%)し、3,107,452百万円となった。これらの結果、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べて6.6%上昇し、31.8%となった。また、1株当たり純資産は、前連結会計年度末に比べて204.73円増加し、2,752.01円となった。 (4) 資本の財源及び資金の流動性① 資金調達当社グループは、エネルギー事業等を行うための設備投資や債務償還などに必要な資金を可能な限り自己資金にて賄い、不足する資金については主に社債や借入金によって資金調達を行い、コマーシャル・ペーパー等により短期的な運転資金を調達することにより、流動性を確保している。 ② キャッシュ・フローの状況営業活動によるキャッシュ・フローについては、法人税等の支払が増加したことや、受取手形、売掛金及び契約資産などが増加したことなどから、前連結会計年度に比べて収入が579,690百万円減少(△50.2%)し、575,299百万円の収入となった。投資活動によるキャッシュ・フローについては、投融資の回収収入が増加したことなどから、前連結会計年度に比べて支出が85,695百万円減少(△20.0%)し、342,353百万円の支出となった。財務活動によるキャッシュ・フローについては、新株式発行及び自己株式の処分を実施したことや、有利子負債の返済額が減少したことなどから、前連結会計年度に比べて収入が626,580百万円増加し、137,673百万円の収入となった。以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べて377,004百万円増加(+66.8%)し、941,432百万円となった。 (5)中期経営計画の財務目標および進捗状況連結財務目標および進捗状況 実績財務目標 (2024年4月アップデート) 2021年度2022年度2023年度2024年度2025年度経常損益1,359億円△66億円7,659億円5,316億円3,600億円 以上FCF△1,223億円△2,898億円7,269億円2,329億円1,000億円 以上自己資本比率19.2%20.4%25.2%31.8%28% 以上ROA 1.9%0.2%8.9%6.1%4.4% 以上ROIC1.8%0.3%8.8%6.0%4.3% 以上 (注) 1 ROA〔総資産事業利益率〕=事業利益〔経常損益+支払利息〕÷総資産〔期首・期末平均〕2 ROIC〔投下資本利益率〕=税引後事業利益÷投下資本〔期首・期末平均〕 セグメント別財務目標および進捗状況 実績財務目標(2024年4月アップデート)2021年度2022年度2023年度2024年度2025年度エネルギー事業セグメント損益706億円△274億円5,838億円4,113億円2,750億円 以上ROA 1.2%△0.0%7.7%5.3%3.7% 以上送配電事業セグメント損益60億円△451億円1,240億円557億円100億円 以上ROA0.6%△1.4%5.1%2.5%0.9% 以上情報通信事業セグメント損益400億円430億円474億円469億円450億円 以上ROA12.1%13.2%14.4%14.3%11.5% 以上生活・ビジネスソリューション事業セグメント損益196億円209億円223億円262億円300億円 以上ROA2.6%2.8%3.0%3.3%3.0% 以上 (注) 1 各セグメント損益には、連結子会社および持分法適用会社からの受取配当金を含まない。2 ROA〔総資産事業利益率〕=事業利益〔セグメント損益+支払利息〕÷セグメント資産〔期首・期末平均〕 |
※本記事は「関西電力株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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