日本たばこ産業株式会社の基本情報

会社名日本たばこ産業株式会社
業種食料品
従業員数連53239名 単5940名
従業員平均年齢41.4歳
従業員平均勤続年数15.2年
平均年収9270004円
1株当たりの純資産664.12円
1株当たりの純利益104.1円
決算時期12月
配当金194円
配当性向186.4%
株価収益率(PER)35.02倍
自己資本利益率(ROE)14.51%
営業活動によるCF5670億円
投資活動によるCF▲1261億円
財務活動によるCF▲2705億円
研究開発費※19億円
設備投資額※158億円
販売費および一般管理費※1386.08億円
株主資本比率※251.3%
有利子負債残高(連結)※3※40円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、別段の表示が無い限り、当該事項は提出日現在において判断したものです。(1)経営理念 当社グループの経営理念は、「4Sモデル」の追求です。これは「お客様を中心として、株主、従業員、社会の4者に対する責任を高い次元でバランスよく果たし、4者の満足度を高めていく」という考え方です。 当社グループは、「4Sモデル」の追求を通じ、中長期に亘る持続的な利益成長の実現を目指しています。持続的な利益成長のためには、お客様に新たな価値・満足を提供し続けることが前提となることから、中長期的な視点に基づき、将来の利益成長に向けた事業投資を着実に実施していくことが肝要と考えております。 この「4Sモデル」を追求していくことが、中長期に亘る企業価値の継続的な向上につながると考えており、株主を含む4者のステークホルダーにとって共通利益となるベストなアプローチであると確信しております。 (2)JT Group Purpose自然・社会・個人の様々なスケールで非連続な変化が起こり、事業環境の不確実性・複雑性がますます高まって いる状況下において、当社グループが持続的な存在であるための方向性を明確にするものとして、JT Group Purposeを策定しております。具体的には、当社グループが未来において社会から求められ、かつ、長期に亘り価値を発揮し続けていくべき領域を「心の豊かさ」であると同定し、この領域を任され、貢献し続けていきたいとの考えから「心の豊かさを、もっと。」をJT Group Purposeとしています。加えて、JT Group Purposeの実現に向けて、各事業においてもこれを踏まえた事業Purposeを策定しております。事業戦略の遂行及び行動指針の実践を通じて、成果を創出し、実績を積み上げていくことにより、JT Group Purposeの実現を目指します。時代や人により、多様で、変化していく「心の豊かさ」の領域を、今後も社会から任され、貢献できる存在であり続けるため、当社グループは絶えず進化してまいります。 <JT Group Purpose> <事業Purpose>たばこ事業:Creating fulfilling moments. Creating a better future.医薬事業:科学、技術、人財を大切にし、患者様の健康に貢献します。加工食品事業:食事をうれしく、食卓をたのしく。 (3)経営資源配分方針 当社グループの中長期の経営資源配分は、「4Sモデル」及びJT Group Purposeに基づき、中長期に亘る持続的な利益成長につながる事業投資(注)を最優先とし、同時に事業投資による利益成長と株主還元のバランスを重視する方針です。 当社グループは、たばこ事業を利益成長の中核かつ牽引役と位置付け、たばこ事業の持続的な利益成長に向けた事業投資を最重要視します。一方、医薬事業及び加工食品事業は全社利益成長を補完すべく、必要な投資を実行していきます。(注)たばこ事業の成長投資を最重要視し、お客様・社会への新たな価値・満足の継続的な提供を通じて、質の高い   トップライン成長を実現することで、為替一定調整後営業利益の成長を目指す (4)全社利益目標及び株主還元方針 当社グループは、経営理念及び経営資源配分方針を踏まえ、全社利益目標及び株主還元の中長期の方向性を「経営計画2024」において設定しています。 「経営計画2024」においては、今後最も成長が見込まれるHTS(注1)への大規模な戦略的投資を行う影響等により、2024年度為替一定ベースの調整後営業利益は前年同水準を見込んでおりますが、経営計画期間後半にかけてはHTSの成長ペースが高まることから、期間中における為替一定ベースの調整後営業利益の成長率は、年平均mid single digitを見込んでおります。なお、中長期に亘っては、年平均mid to high single digit成長を目指してまいります。 株主還元方針については、「4Sモデル」及びJT Group Purposeに基づく経営資源配分方針で掲げる「中長期に亘る持続的な利益成長に繋がる事業投資を最優先」と「事業投資による利益成長と株主還元のバランスを重視」という観点から、以下のとおりとしています。・強固な財務基盤(注2)を維持しつつ、中長期の利益成長を実現することにより株主還元の向上を目指す・資本市場における競争力ある水準(注3)として、配当性向75%を目安(注4)とする・自己株式の取得は、当該年度における財務状況及び中期的な資金需要等を踏まえて実施の是非を検討(注1)Heated tobacco sticks。高温加熱型の加熱式たばこ。(注2)経済危機等に備えた堅牢性、及び機動的な事業投資等への柔軟性を担保(注3)ステークホルダーモデルを掲げ、高い事業成長を実現しているグローバルFMCG(Fast Moving Consumer Goods)企業群の還元動向をモニタリング(注4)±5%程度の範囲内で判断(注5)将来に関する記述は、様々なリスクや不確実性に晒されており、実際の業績は、将来に関する記述における見込みと異なる場合があります。当社グループに関するリスク詳細については「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」をご参照ください。 (5)経営環境及び全社利益目標達成に向けた基本戦略ⅰ経営環境 当社グループ経営を取り巻く経営環境は、地政学リスクの顕在化やハイパーインフレ市場等における為替変動リスク等、不確実性を増していると認識しております。こうした不透明な経営環境を乗り越え、適切にグローバルビジネスを運営し、持続的な利益成長を実現するためには、「変化への対応力」が必要であると考えております。これは、不確実性に対処すべく、計画策定時において想定の範囲を拡げるとともに、それでも起こりうる想定を超える変化・出来事に対して、素早く・柔軟に対応する能力を指しており、この変化への対応における巧拙とスピード感は、引き続き企業の競争力を決定する重要なファクターになると考えております。 加えて、デジタル・テクノロジーの進展、生活者の意識・行動の変化及びESGやサステナビリティに対する意識の高まり等、世の中の大きくかつ急速な流れを踏まえ、「変化への対応力」という受け身の対応だけではなく、自ら変化を起こし、変革をリードする組織への進化を加速してまいります。 当社グループは、不確実性を増す経営環境を見極め、スピード感を持って競争力を強化すべく、期間を3年間とした経営計画を1年ごとにローリングを行う方式で策定しております。 ⅱ基本戦略 当社グループは目標達成に向けた基本戦略として「質の高いトップライン成長」「コスト競争力の更なる強化」「基盤強化の推進」を掲げており、それぞれ選択と集中の考え方を通じて実行していきます。 中でも「質の高いトップライン成長」を最重要視しており、以下各事業の基本戦略の中で述べるブランドやカテゴリといった注力分野にリソースを集中し、商品・サービスの付加価値を向上させていきます。 「コスト競争力の更なる強化」については、事業コスト、コーポレートコストの双方においてその最適化を進め、品質の維持・向上との両立を図りながらスピーディーかつ効率的な事業運営体制を構築し、利益率の改善及びキャッシュ・フロー創出力の強化を目指していきます。加えて、事業継続能力の向上を図るとともに、コスト競争力の強化を目指していきます。 「基盤強化の推進」にあたっては、前例にとらわれることなく、変化する環境を適切にとらえ、常に挑戦する姿勢を持ち続けることが重要です。このような観点に基づき、不断の改善に取組んでいきます。加えて100以上の国籍を持つ社員が働く当社グループ人財の多様性を活用し、コラボレーションを推進することにより、シナジーを最大化していきます。また、すべての企業活動及び成果は人財によって生み出されていることを強く認識しており、人財育成についても一層強化していきます。 (6)セグメントごとの経営環境及び基本戦略[たばこ事業] たばこ事業は、当社グループ利益成長の中核かつ牽引役であり、為替一定ベースの調整後営業利益の成長率について、「中長期に亘って年平均mid to high single digit成長」を目指します。 ⅰ経営環境 たばこ製品については、現在多種多様な製品形態が市場に流通しており、紙巻たばこ、加熱式たばこ、E-Vapor製品、Fine cut tobacco、シガー、パイプ、無煙たばこ、水たばこ、クレテック等が挙げられます。加熱式たばこは、たばこ葉を使用し、たばこ葉を燃焼させずに、加熱等によって発生するたばこベイパー(たばこ葉由来の成分を含む蒸気)を愉しむ製品で、各国で伸長しています。加熱式たばこは、たばこ葉を使用していることから、原則として規制・税制上たばこ製品としての取扱いを受けます。加熱式たばこ(中でもHeated tobacco sticks(高温加熱型の加熱式たばこ))は、各社が開発に力を入れており、イノベーションを通じた更なる成長が期待されます。また、鼻や口に直接含んで味・香りを愉しむ、煙の出ない製品である無煙たばこは、たばこ葉を含むスヌースと、たばこ葉を含まないニコチンパウチがあり、欧州や米国を中心に市場規模が拡大してきています。E-Vapor製品は、たばこ葉を使用せず、ニコチンが含まれるリキッドを加熱して愉しむ製品で、欧米の市場を中心に一定の市場規模を有しています。E-Vapor製品は、たばこ葉を使用していないことから、多くの市場において、たばこ製品とは異なる規制・税制が適用されておりましたが、近年は各国の規制・税制に変化が見られています。 世界のCombustibles(注1)総需要は年間約5.4兆本(注2)、金額ベースの市場規模は約8,000億米ドル(注2)です。世界最大の市場は中国であり、世界のCombustibles総需要の40%超を占めていますが、同国の専売企業である中国国家煙草総公司が製造・流通・販売をほぼ独占しています。また、インドネシア、米国、ロシア、トルコ、エジプト、ドイツ、日本が中国に次ぐ市場規模(注2)となります。たばこ産業における主なグローバルプレーヤーは、中国国家煙草総公司を除けば、フィリップ・モリス・インターナショナル社、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ社、JTグループ、インペリアル・ブランズ社があります。RRPにおいては、この4社に加え、E-Vapor製品を販売している数多くの中小企業があります。 Combustibles市場(注3)は、成熟市場と新興市場とで異なる特徴を有しており、成熟市場においては、経済成長が限定的であることや、増税及び規制の強化、人口構造の変化等の様々な要因によって、Combustibles総需要は減少傾向にあります。また、お客様の需要がより低い価格帯の商品へと移行する動きも複数の市場で見受けられます。一方、新興市場においては、人口の増加と経済成長に伴い、中東、アフリカを中心とし、Combustibles総需要が増加傾向にある国も見られます。加えて、所得の増加に伴い、お客様の需要はより高品質・高価格帯の商品へと移行する動きも見受けられます。 世界のCombustibles総需要(注2)は、傾向としては僅かながら減少トレンドにあります。しかしながら、たばこ産業の利益創出構造は引き続き堅固であり、厳しい環境下においても、主にCombustiblesにおける製品単価の上昇により、今次経営計画の期間においても市場全体の売上規模は成長を続けると見立てております。このCombustibles総需要の減少と売上規模の増加傾向は、今後も継続するものと予想されます。また、お客様のニーズ等により加熱式たばこ及びE-Vapor製品等の市場構成は国々で異なるものの、RRPの主な市場は、米国、日本、イタリア、英国等が挙げられます。市場規模はCombustibles市場(注3)に比べれば小さいものの年々売上が伸長しており、今後も加熱式たばこの成長が牽引し、RRP売上規模は拡大していくと見込んでいます。(注1)製造受託/水たばこ/加熱式たばこ/無煙たばこ/E-Vaporを除く燃焼性のたばこ製品(注2)2022年度データ。Fine cut tobaccoを含む(注3)Fine cut tobaccoを含む ⅱ基本戦略<質の高いトップライン成長>・Combustibles及びRRPへの経営資源の集中的な投入 Combustiblesについては、今後も中長期的にたばこ産業全体の数量・売上規模という観点において最大のカテゴリであると見立てているため、その重要性に変わりはなく、トップライン成長に向けたマーケティング投資及び着実なプライシングを実行しつつ、不断の改善によるコスト効率化等を通じ、ROI(Return On Investment)改善を目指します。また、強固なブランドポートフォリオを活用し、各市場シェアの継続的な獲得等を通じて、持続的な成長を目指してまいります。 RRPはHeated tobacco sticks(HTS)を中心に更なる市場規模の拡大が見込まれる中、将来の事業成長の柱としてプレゼンスを拡大すべく、注力してまいります。HTSへ優先的な投資を実施することで、Ploom Xのグローバル展開を加速させ、PloomブランドのHTSカテゴリ内シェアの拡大を目指します。加えて、これらを支える組織ケイパビリティの強化を実施してまいります。 ・ブランドエクイティ強化を通じた既存主要市場におけるシェアの維持・拡大 たばこ事業は、「卓越したブランド力」を原動力として、過去数年間に亘って、当社グループ主要市場の多くで、その市場シェア伸長を実現してきました。 今後も市場シェア伸長を目指すべく、当社グループは、主要ブランド、特にGFBへの継続的な投資を通じたブランドエクイティの向上に注力していきます。その一方で、当社グループが事業展開する各国・各地域のお客様の嗜好に合わせ、ローカルブランドによる補完も適切に実行し、ブランドエクイティ強化に向けた継続的な投資を行っていきます。 具体的には、喫味品質の主たる要素である「ブレンド技術」「香料技術」「フィルターをはじめとする材料技術」、そしてそれらを「加工する技術」を更に進化させていくとともに、外観品質として重要な「パッケージ開発力」も加えた、付加価値あるたばこ創りの5つの主要素の強化に注力していきます。 <コスト競争力の更なる強化> たばこ事業は、これまで同様に不断のコスト改善を追求し、品質の維持・向上との両立を図りながら、スピーディーかつ効率的な事業運営体制の構築を目指します。また、これまで以上に、グローバルサプライチェーンの全体最適化を志向していきます。具体的には、葉たばこのグローバル調達における垂直統合や、材料品調達における材料スペックの統一化、サプライヤー間の互換性の確保によるコスト低減を促進していくとともに、市況に応じた機動的な調達と原材料在庫の適正化による原材料費の抑制を追求していきます。また、生産性の向上を目指した製造体制の見直しと設備投資の最適化を通じた加工費の節減も継続的に実施していきます。同時に、事業継続能力を向上させるべく、代替性確保と重要機能の分散化という観点から、マルチソーシング体制の確立と、グローバルな製造拠点の相互活用による製造能力の最適配分、優先銘柄に関する製造能力のエリア分散を目指しております。 上記施策を通じて、品質に妥協することなくコスト効率化を実現し、更なるマージン改善及び運転資本や投資最適化によるキャッシュ・フロー創出力の強化を目指していきます。 <基盤強化の推進> 当社グループは2022年度よりたばこ事業の事業運営体制を一本化し、たばこ事業の本社機能をジュネーブ拠点に統合しております。新たな事業運営体制においては、コンシューマー・セントリックの考えに基づいた、デジタルや製品開発のケイパビリティ強化を目指すと共に、グローバルリソースの最大活用や意思決定スピードの向上及び効果的かつ効率的な事業運営体制を通じて、グローバルな組織力の強化を図っていきます。また、グローバル視点での優先順位付けに基づいた迅速な資源配分により、お客様への提供価値を強化していきます。 また、たばこ事業の持続的利益成長を支える基盤として、「人財育成」を重要なテーマと考えております。130以上の国と地域で製品を販売する当社グループでは、世界中で100以上の国籍の社員が、国籍・性別・年齢の区別なく働いております。こうした多様性を活かし、コラボレーションを推進する中で、シナジーを最大化しております。すべての企業活動・成果は人財によって生み出されるものという強い認識の下、グローバルな人財の獲得・育成について、更に進化させていきたいと考えております。  たばこ事業は、上記事業戦略の着実な実行により、引き続き業界を代表するグローバルたばこメーカーとしてのプレゼンス向上を目指すとともに、当社グループにおける利益成長の中核かつ牽引役としての役割を一層強化していきます。[医薬事業] 医薬事業は、次世代戦略品の研究開発推進と各製品の価値最大化を通じ、当社グループへの利益貢献を目指します。 ⅰ経営環境 世界の医薬品市場規模は過去5年間で年平均成長率約4.9%と成長を続け、直近2022年の市場規模は前年度比2.7%増の1兆4,725億米ドルとなっています(注)。健康意識の高まり、人口の増加、公的医療制度の充実等に伴い、先進的な医薬品の需要が高まっている一方で、高齢化や財政赤字等の背景もあり、各国政府は薬価コントロールを強めており、医療費の抑制を図っています。 日本の医療用医薬品市場におけるジェネリック医薬品の規模は、政府による医療費抑制を目的とした普及促進に伴い拡大しています。加えて、薬価制度の抜本的改革により、2021年より毎年段階的な薬価引き下げ等が行われており、企業にとっては厳しい状況が続いております。 有望な創薬標的の発見は容易ではなく、また新薬の承認審査基準が厳格化する中で、グローバルの開発競争は厳しさを増しています。当社は、国際的に通用するオリジナル新薬創出のための研究開発主導型事業を運営しており、日本国内だけではなく、グローバルメガファーマやベンチャー企業等、多数の企業と競合関係にあります。(注)Copyright c 2024 IQVIA. Created based on IQVIA World Review (Data Period, Year 2018-2022) 無断転載禁止 ⅱ基本戦略<安定的な利益貢献> 安定的な利益貢献のために、具体的には「次世代戦略品の研究開発推進と最適タイミングでの導出」「各製品の価値最大化」を重要課題とした収益基盤の更なる強化に努めます。 ・次世代戦略品の研究開発推進と最適タイミングでの導出医薬事業の持続的発展の観点から、次世代戦略品の研究開発推進は重要な課題です。新薬創出のハードルが年々上昇している中、世界の医療現場におけるアンメットニーズに徹底的にこだわり、世界中から創薬のタネを求めることによって研究テーマの充実を図るとともに、候補化合物ごとに柔軟かつきめ細やかな研究マネジメントを実践することによって、迅速な臨床開発フェーズへの移行を目指します。近年、世界規模で研究開発競争が激化しており、医療現場ニーズを見据えた完成度の高い開発戦略の構築と、スピード感のある臨床試験の実施が必要不可欠です。研究開発スピードを加速し、早期に世界の患者様に当社グループが創製した新薬をお届けするために、自社での開発推進に加え、引き続き、他社(特にグローバルメガファーマ)への導出や提携等の機会も積極的に追求していきます。 ・各製品の価値最大化2014年以降、国内において当社が「リオナ錠(高リン血症治療剤)」「コレクチム軟膏(アトピー性皮膚炎治療薬)」「エナロイ錠(腎性貧血治療薬)」を、当社のグループ会社である鳥居薬品が「ミティキュアダニ舌下錠」「シダキュアスギ花粉舌下錠」「オラデオカプセル(遺伝性血管性浮腫発作抑制薬)」等を発売しました。また、海外においては各ライセンスパートナー企業が、「Stribild(抗HIV薬)」及び「Genvoya(抗HIV薬)」並びに「Mekinist(メラノーマ、非小細胞肺がん治療薬)」等を販売中です。これら各製品を通じた医療現場への貢献を最大化すべく、鳥居薬品やライセンスパートナー企業と緊密に連携し、市場への着実な浸透を図っていきます。 なお、こうした諸活動の推進を実効あるものとするためには、医療現場におけるアンメットニーズや最新の創薬研究に精通し、それをもとに完成度の高い開発戦略や製品価値最大化戦略を構築しうる人財、世界のアカデミアや製薬企業とわたりあえるグローバル人財の育成が急務であると認識しており、それに向けた取組みに注力していきます。[加工食品事業] 加工食品事業は、高品質なトップライン成長による中長期に亘る利益成長を通じ、当社グループへの利益貢献を目指します。 ⅰ経営環境 2022年における日本国内の冷凍食品消費量(注)は、前年度比3.0%増の約298万トンであり、輸入品を含む国内消費金額(注)は前年度比10.5%増の1兆2,065億円となり、6年連続で1兆円を上回りました。 日本の加工食品市場は、共働き世帯の増加等のライフスタイルの変化に伴い、調理の簡便化や時短化のニーズが高まっていること等を背景として堅調に推移していると考えています。その中でも冷凍食品は、いつでも手軽に出来たてのおいしさを再現でき、バリエーションが豊富であるため、お客様の多様なニーズを満たすことができると期待されています。 当社のグループ会社であるテーブルマーク㈱の競合企業は、マルハニチロ、ニチレイフーズ、味の素冷凍食品、ニッスイといった大手企業に加え、数多くの中小企業が挙げられますが、各種の製品カテゴリごとにすみ分けがなされています。一方で、流通各社でのプライベートブランド製品の拡大や卸企業の業界再編等、販路の動向にも注視することが必要と考えており、また、原材料においても世界的な食料不足を背景とした価格変動等のリスクが依然として存在しています。(注)日本冷凍食品協会(2022年データ) ⅱ基本戦略<質の高いトップライン成長> 冷凍うどん、パックごはん、冷凍お好み焼を中心とした冷凍・常温食品及び調味料を主力として事業を展開しております。お客様ニーズ把握力、アイデア創出力・具現化力の更なる強化を図ることにより、当社グループ独自の製造技術を一層活かしつつ、「お客様にとって、その価格に相応しい付加価値ある商品づくり」を目指します。また、商品戦略と連動した効果・効率的な広告宣伝及び販売促進活動の展開並びに営業力の強化を図ることによって、更なる市場シェア拡大を目指します。 <コスト競争力の更なる強化> 原材料調達力の強化、物流網の効率的運用、自社グループ工場の生産性改善によるコスト低減に加えて、販売促進施策の選択と集中による営業活動経費の効率的執行、全社的な固定費削減努力を継続的に行い、コスト競争力の強化に努めます。 <基盤強化の推進>・食の安全管理 今後も引き続き、お客様に安全で高品質の商品を提供していくため、「フードセーフティ」「フードディフェンス」「フードクオリティ」「フードコミュニケーション」の4つの視点をもとに食の安全管理に万全を期した事業運営を行っていきます。「フードセーフティ」では、既に導入済の食品安全マネジメントシステムを活用し、リスクを極小化する活動を展開します。「フードディフェンス」では、意図的な攻撃を防ぐための仕組みとして導入済であるフードディフェンスプログラムを推進しております。「フードクオリティ」では、食品本来の品質である「おいしさ」を追求するとともに、お問い合わせ・ご指摘情報からの継続的な改善による、商品付加価値とお客様満足度の向上を目指します。「フードコミュニケーション」では、お客様の要望に真摯に耳を傾けるとともに、当社グループの活動の「見える化」を推進するため、積極的に情報を提供する取組みを行います。 ・人財育成 事業を支える人財の育成は重要なテーマであり、高いマーケティング能力や商品開発能力等様々なスキルを有する人財の育成に向け、能力開発プログラムの策定及び適切なキャリアパスの構築を図り、その実行に努めていきます。 以上のとおり、当社グループは、「4Sモデル」及びJT Group Purposeに基づき、「変化への対応力」を高めながら、大胆かつスピーディーに意識・行動を変革し、各事業の成長戦略を着実に実行することによって、持続的利益成長を実現し、中長期に亘る企業価値の継続的な向上を目指していきます。
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 経営者の視点による経営成績等の状況に関する主な注記は以下のとおりです。本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、別段の表示が無い限り、当該事項は提出日現在において判断したものです。 (非GAAP指標について)当社グループは、当社が適用する会計基準であるIFRSにおいて定義されていない非GAAP指標を追加的に開示しております。非GAAP指標は、当社グループが中長期的に持続的な成長を目指す上で、各事業運営の業績を把握するために経営管理にも利用している指標であり、財務諸表の利用者が当社グループの業績を評価する上でも、有用な情報であると考えております。 調整後営業利益営業利益(損失)から買収に伴い生じた無形資産に係る償却費、調整項目(収益及び費用)を除いた調整後営業利益を開示しております。調整項目(収益及び費用)はのれんの減損損失、リストラクチャリング収益及び費用等です。また、為替一定ベースの調整後営業利益の成長率も追加的に開示しております。当社グループは、為替一定ベースの調整後営業利益の成長率における、中長期に亘る年平均mid to high single digit成長を全社利益目標としており、その達成を目指してまいります。 為替一定ベース為替一定ベースとは、たばこ事業における当期の自社たばこ製品売上収益又は調整後営業利益から、前年同期の為替レートを用いて換算・算出した為替影響を除いた指標です。為替一定ベースの実績は、一定の方法を用いて算出した一部市場のインフレに伴う売上又は利益の増加分を除いております。 自社たばこ製品売上収益 たばこ事業においては、自社たばこ製品に係る売上収益を開示しております。自社たばこ製品売上収益には、物流事業及び製造受託等に係る売上収益は含まれておりません。 (超インフレの調整について)当社グループは、超インフレ経済下にある子会社の財務諸表について、IAS第29号「超インフレ経済下における財務報告」に定められる要件に従い、会計上の調整を加えております。 (RRPについて)RRPは、加熱式たばこ及びE-Vapor製品等、喫煙に伴う健康リスクを低減させる可能性のある製品(Reduced-Risk Products, RRP)を指しております。加熱式たばこは、たばこ葉を使用し、たばこ葉を燃焼させずに、加熱等によって発生するたばこベイパー(たばこ葉由来の成分を含む蒸気)を愉しむ製品です。当社製品ポートフォリオでは、高温加熱型のHeated tobaccosticks(HTS)、低温加熱型のInfused-tobacco capsules(Infused)があります。一方、E-Vapor製品は、たばこ葉を使用せず、装置内若しくは専用カートリッジ内のリキッド(液体)を電気加熱させ、発生するベイパー(蒸気)を愉しむ製品です。 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は以下のとおりです。(1)経営成績の状況① 全社実績(単位:億円) 2022年12月期2023年12月期増減率売上収益26,57828,4116.9%調整後営業利益7,2787,2800.0%営業利益6,5366,7242.9%当期利益(親会社所有者帰属)4,4274,8238.9% <売上収益>売上収益は、たばこ事業及び医薬事業での増収により、前年度比6.9%増の2兆8,411億円となりました。為替一定ベースのcore revenue(注)は、前年度比6.1%増となりました。 <調整後営業利益>為替一定ベースの調整後営業利益は、主にたばこ事業における増加により、前年度比5.2%増となりました。為替影響を含めた調整後営業利益は、一部現地通貨による為替影響がネガティブに発現し、前年度と同水準の7,280億円となりました。 <営業利益>営業利益は、調整項目における買収に伴い生じた無形資産に係る償却費の減少や不動産の処分に係る収益の増加により、前年度比2.9%増の6,724億円となりました。 <親会社の所有者に帰属する当期利益>親会社の所有者に帰属する当期利益は、営業利益の増加に加え、金融損益の改善や法人所得税費用の減少により、前年度比8.9%増の4,823億円となりました。 (注)為替一定ベースのcore revenueは、為替一定ベースの自社たばこ製品売上収益、医薬事業・加工食品事業・     その他の売上収益の合計。 ② セグメント別実績〔たばこ事業〕(単位:億本、億円)たばこ事業2022年12月期2023年12月期増減率総販売数量5,2735,4012.4% Combustibles販売数量(注1)5,1945,3132.3% RRP販売数量(注2)798811.8%自社たばこ製品売上収益23,15224,7867.1%調整後営業利益7,5407,498△0.6% <総販売数量>(注3)(注4)総販売数量は、Western Europeにおける総需要の減少があったものの、Asia及びEMAにおける継続的なシェア伸張や一部市場における総需要の増加により、前年度比2.4%増の5,401億本となりました。Combustibles販売数量は、主にEMAにおける増加により、前年度比2.3%増となりました。RRP販売数量は、主に日本における継続的なHTSカテゴリ内のシェア伸張及び新たな市場での投入により、前年度比11.8%増となりました。市場シェアは、主要市場であるイタリア、台湾、日本、フィリピン、ロシアを含めた様々な市場で伸張しました。 なお、当年度における製造委託を含めたCombustibles及びRRPを合わせた製造数量は、前年度に対し321億本増加し、5,584億本(前年度比6.1%増)となりました。 <自社たばこ製品売上収益及び調整後営業利益>自社たばこ製品売上収益は、Western Europe及びEMAを中心とした単価上昇効果、Asia及びEMAにおける継続的なシェア伸張及びポジティブな為替影響等により、前年度比7.1%増となりました。調整後営業利益は、ネガティブな為替影響を受けたことから、前年度比0.6%減となりました。RRP関連売上収益(注2)は、RRP販売数量及びシェアの増加等により、前年度比8.3%増の816億円となりました。為替一定ベースの自社たばこ製品売上収益及び調整後営業利益は、それぞれ前年度比6.4%増、4.4%増となりました。 (注1)製造受託/水たばこ/加熱式たばこ/無煙たばこ/E-Vaporを除く燃焼性のたばこ製品。(注2)RRP販売数量にはデバイス・関連アクセサリー等は含まれておりませんが、RRP関連売上収益にはデバイ    ス・関連アクセサリー等に係る売上収益が含まれております。(注3)総需要及び市場シェアは当社推計です。(注4)たばこ事業セグメントについては、3つのクラスター(Asia、Western Europe、EMA)に区分けしてお    ります。Asiaは日本を含むアジア全域、Western Europeは西欧地域、EMAはアフリカ、中近東、東欧、ト    ルコ、南北アメリカ大陸及びすべてのGlobal Travel Retail(免税市場)を含んでおります。Asiaには台    湾、日本、フィリピン等、Western Europeにはイタリア、英国、スペイン等、EMAにはトルコ、ルーマニ    ア、ロシア等を含んでおります。詳細は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表 (1)連結財務諸表    連結財務諸表注記 6.事業セグメント(2)セグメント収益及び業績」をご参照ください。 〔医薬事業〕(単位:億円)医薬事業2022年12月期2023年12月期増減率売上収益82994914.4%調整後営業利益11117456.2% <売上収益及び調整後営業利益>売上収益は、導出品のライセンス契約に係る一時金収入及び当社の連結子会社である鳥居薬品株式会社の増収により、前年度比14.4%増となりました。調整後営業利益は、研究開発費の増加があったものの、売上収益の増収により、前年度比56.2%増となりました。 〔加工食品事業〕(単位:億円)加工食品事業2022年12月期2023年12月期増減率売上収益1,5551,539△1.1%調整後営業利益356895.2% <売上収益及び調整後営業利益>売上収益は、冷食・常温事業において、価格改定に加え、外食需要の回復による業務用製品の売上伸長があるものの、ベーカリー事業譲渡による売上収益の剥落により、前年度と概ね同水準となりました。調整後営業利益は、原材料費等の高騰があるものの、冷食・常温事業における価格改定効果や外食需要の回復による業務用製品の増収影響により、前年度比95.2%増となりました。 (2)財政状態及びキャッシュ・フローの状況① 財政状態の状況〔資産〕当連結会計年度の資産合計は、前連結会計年度末に比べ7,340億円増加し、7兆2,821億円となりました。これは、現金及び現金同等物の増加があったことに加え、為替影響によるのれんの増加があったこと等によるものです。〔負債〕当連結会計年度の負債合計は、前連結会計年度末に比べ4,383億円増加し、3兆3,696億円となりました。これは、借入金及び未払たばこ税の増加があったこと等によるものです。〔資本〕当連結会計年度の資本合計は、前連結会計年度末に比べ2,957億円増加し、3兆9,125億円となりました。これは、配当金の支払いがあったものの、在外営業活動体の換算差額の増加があったことに加え、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上による利益剰余金の増加があったこと等によるものです。 ② キャッシュ・フローの状況当年度末現在における現金及び現金同等物は、前年度末に比べ1,733億円増加し、1兆402億円となりました(前年度末残高8,669億円)。 〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、5,670億円の収入(前年度は4,838億円の収入)となりました。これは、法人税の支払い、棚卸資産の増加及び前払たばこ税の増加があったものの、主にたばこ事業による安定したキャッシュ・フローの創出があったこと等によるものです。 〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕当年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、1,261億円の支出(前年度は1,018億円の支出)となりました。これは、有形固定資産、無形資産及び投資の取得による支出があったこと等によるものです。 〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕当年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、2,705億円の支出(前年度は3,062億円の支出)となりました。これは、短期借入金の増加があった一方で、配当金の支払い及び社債の償還による支出があったこと等によるものです。 (3)生産、受注及び販売の実績当社グループは、たばこ事業、医薬事業及び加工食品事業において広範囲かつ多種多様な製品の生産・販売を行っており、その品目・形式・容量・包装等は多種類であること、また主要な製品については受注生産を行っていないことから、各セグメントの生産規模及び受注規模を金額及び数量で表示することはしておりません。このため生産、受注及び販売の実績については、「(1)経営成績の状況」における各セグメントの業績に関連付けて記載しております。 なお、当社グループの売上収益総額に対する割合が100分の10以上の相手先に対する売上収益及びその割合については、以下のとおりです。 相手先2022年12月期2023年12月期金額(億円)割合(%)金額(億円)割合(%)Megapolisグループ3,87514.63,71013.1 (注)たばこ事業において、ロシア等で物流・卸売事業を営むMegapolisグループに対して製品を販売しております。(4)重要性のある会計方針① IFRSの適用当社グループは、1999年にRJRナビスコ社から米国外のたばこ事業を取得、2007年にGallaher社を買収し、130以上の国と地域で製品を販売するグローバル企業として着実な成長を続けてきました。こうした中で、日本において国際的な財務・事業活動を行っている上場企業に対して、2009年度よりIFRSの任意適用が認められたことを踏まえ、当社グループは、2011年度よりIFRSを適用することとしました。これにより、当社グループは資金調達手段の多様化、経営管理面での品質向上を目指してまいります。 ② 重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断当社グループの連結財務諸表は、収益及び費用、資産及び負債の測定並びに決算日現在の偶発事象の開示等に関する経営者の見積り及び仮定を含んでおります。これらの見積り及び仮定は過去の実績及び決算日において合理的であると考えられる様々な要因等を勘案した経営者の最善の判断に基づいております。しかし、その性質上、将来において、これらの見積り及び仮定とは異なる結果となる可能性があります。見積り及び仮定は経営者により継続して見直しております。これらの見積り及び仮定の見直しによる影響は、その見積り及び仮定を見直した期間及びそれ以降の期間において認識しております。上記のうち、当社グループの連結財務諸表で認識する金額に重要な影響を与える見積り及び仮定については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」をご参照ください。 (5)目標となる経営指標について当社グループは、経営理念である「4Sモデル」及びJT Group Purposeに基づき、中長期に亘る持続的な利益成長が最も重要であると考えております。持続的利益成長の基盤である事業そのもののパフォーマンスを計るためには、為替影響、一時的要因及び特殊要因を除くことが適切と捉え、為替一定ベースの調整後営業利益の成長率における、中長期に亘る年平均mid to high single digit成長を全社利益目標としております。2023年12月期の為替一定ベースの調整後営業利益は、前年度比5.2%増と厳しい事業環境の中でも前年を上回りました。2023年12月期の経営成績等の状況に関する分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績の状況」に示しております。全社利益目標の達成に向けた経営方針等の詳細については、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。 (6)経営成績等に重要な影響を与える要因当社グループにおける海外でのたばこ事業拡大に伴い、その寄与分につき、為替の変動が連結財務諸表に影響を与えております。2023年12月期においては、為替一定ベースの調整後営業利益は前年度比5.2%増となった一方、為替影響を含めた調整後営業利益は前年度と同水準となり、ネガティブな為替影響を受けました。2024年12月期においても、ネガティブな為替影響を想定しております。当社グループは、為替リスクを緩和すべく、収入通貨と支払通貨を合致させるナチュラルヘッジの実施に努めております。また、一部の為替リスクに対しては、デリバティブ又は外貨建有利子負債等を利用したヘッジを行っております。以上を含む、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」をご参照ください。 (7)財務活動の基本方針当社グループの財務活動の基本方針は、以下のとおりです。① グループ内キャッシュマネジメントグループ全体の資金効率を最大化するため、法制度上許容され、かつ経済合理性が認められることを前提として、主としてキャッシュマネジメントシステム(CMS)によるグループ内での資金貸借の実施を最優先としております。 ② 外部資金調達短期の運転資金については、金融機関からの借入、コマーシャル・ペーパー又はその組み合わせ、中長期資金については、金融機関からの借入、社債、株主資本又はその組み合わせにより調達することを基本としております。安定的で効率的な資金調達のために、複数のコミットメント融資枠を設定する等、取引する金融機関と資金調達手段の多様性を維持しております。③ 外部資金運用外部資金運用においては、安全性と流動性を確保した上で、適切な収益を求め、また投機的取引を行ってはならないことを定めております。 ④ 財務リスク管理当社グループは、経営活動を行う過程において、財務上のリスク(信用リスク・流動性リスク・為替リスク・金利リスク・市場価格の変動リスク)に晒されており、当該リスクを回避又は低減するために、一定の方針に基づきリスク管理を行っております。主要な財務上のリスク管理の状況については、定期的に当社の社長及び取締役会への報告を行っております。また、当社グループの方針として、デリバティブは、実需取引のリスク緩和を目的とした取引に限定しており、投機目的やトレーディング目的の取引は行っておりません。なお、財務リスク管理の詳細については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 33.金融商品 (2)リスク管理に関する事項 ~(8)市場価格の変動リスク」までをご参照ください。 (8)資本の財源及び資金の流動性についての分析① 資金需要 設備投資、運転資金、外部資源の獲得、借入の返済及び利息の支払い、配当金の支払い、自己株式取得並びに法人税の支払い等に資金を充当しております。 重要な資本的支出の予定及び資金の調達方法については、「第3 設備の状況 3.設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりです。 ② 資金の源泉 主として営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入、社債及びコマーシャル・ペーパーの発行により、必要とする資金を調達しております。 <キャッシュ・フロー> 「(2)財政状態及びキャッシュ・フローの状況 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。 <有利子負債> 当社グループの当年度末現在の有利子負債の返済・償還予定額は以下のとおりです。(単位:億円) 帳簿価額1年以内1年超~2年以内2年超~3年以内3年超~4年以内4年超~5年以内5年超短期借入金2,0902,090-----1年内返済予定の長期借入金244244-----長期借入金1,230-28220211,000社債7,859-1,111--1,0005,845合計11,4232,3331,13922021,0016,845(注)リース負債を除いております。(長期負債)社債(1年内償還予定を含む)は、前年度末現在7,373億円、当年度末現在7,859億円、金融機関からの長期借入金(1年内返済予定を含む)は、それぞれ1,572億円、1,474億円です。長期リース負債は、前年度末現在401億円、当年度末現在382億円です。当年度末現在、長期債務格付は、ムーディーズ・ジャパン㈱ではA2(安定的)、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン㈱ではA+(安定的)、㈱格付投資情報センター(R&I)ではAA(安定的)となっており、同日現在、国際的なたばこ会社の信用格付としてはそれぞれ最高レベルです。格付は、事業を行う主要市場の発展及び事業戦略の成功、並びに当社グループではコントロールできない全般的な景気動向等、数多くの要因によって影響を受けます。格付は随時、撤回あるいは修正される可能性があります。格付はそれぞれ、他の格付と区別して単独に評価されるべきものです。JT法のもと、当社により発行される社債には、当社の一般財産に対する先取特権が付されております。この権利により、国税及び地方税並びにその他の法定債務を例外とし、償還請求において社債権者は無担保債権者よりも優先されます。 (短期負債)金融機関からの短期借入金は、前年度末現在637億円、当年度末現在2,090億円です。コマーシャル・ペーパーの発行残高はありません。短期リース負債は、前年度末現在202億円、当年度末現在214億円です。 ③ 流動性当社グループは、従来営業活動により多額のキャッシュ・フローを得ており、今後も引き続き資金源になると見込んでおります。営業活動によるキャッシュ・フローは今後も安定的で、通常の事業活動における必要資金はまかなえると予想しております。また、当年度末現在、国内・海外の主要な金融機関からの5,677億円のコミットメント融資枠があり、そのうち76.2%が未使用です。更に、コマーシャル・ペーパープログラム、アンコミットメントベースの融資枠、国内社債発行登録枠及びユーロMTNプログラム等があります。

※本記事は「日本たばこ産業株式会社」の令和5年12期 有価証券報告書を参考に作成しています。

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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