日本郵政株式会社の基本情報

会社名日本郵政株式会社
業種サービス業
従業員数連221387名 単1533名
従業員平均年齢45.3歳
従業員平均勤続年数18.3年
平均年収8674000円
1株当たりの純資産3202.94円
1株当たりの純利益80.26円
決算時期3月
配当金50円
配当性向105.9%
株価収益率(PER)19.1倍
自己資本利益率(ROE)2.6%
営業活動によるCF▲23590億円
投資活動によるCF▲77186億円
財務活動によるCF▲6062億円
研究開発費※1-円
設備投資額※1907.22億円
販売費および一般管理費※1-円
株主資本比率※297.4%
有利子負債残高(連結)※34610億円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 当社グループの経営理念及び経営方針① グループ経営理念 郵政ネットワークの安心、信頼を礎として、民間企業としての創造性、効率性を最大限発揮しつつ、お客さま本位のサービスを提供し、地域のお客さまの生活を支援し、お客さまと社員の幸せを目指します。また、経営の透明性を自ら求め、規律を守り、社会と地域の発展に貢献します。 ② グループ経営方針・ お客さまの生活を最優先し、創造性を発揮しお客さまの人生のあらゆるステージで必要とされる商品・サービスを全国ネットワークで提供します。 ・ 企業としてのガバナンス、監査・内部統制を確立しコンプライアンスを徹底します。 ・ 適切な情報開示、グループ内取引の適正な推進などグループとしての経営の透明性を実現します。 ・ グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指します。・ 働く人、事業を支えるパートナー、社会と地域の人々、みんながお互い協力し、社員一人ひとりが成長できる機会を創出します。 (2) 経営環境当連結会計年度の国内経済は、欧州や中国における景気の減速などの影響を受けつつも、雇用・所得環境の改善などを背景として緩やかな回復の動きが続きました。世界経済においては、金融引締め等により欧州など一部の地域で景気の減速がみられたものの、全体としては持ち直しの動きが続きました。金融資本市場では、国内の10年国債利回りは、日本銀行による長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)の柔軟化を受けて2023年10月から2023年11月にかけて一時0.9%台まで上昇しましたが、早期の金融政策修正観測の後退などから低下し、2023年12月以降は概ね0.5%台から0.7%台で推移しました。日経平均株価は、米国株式市場の影響などを受けつつ、円安を背景に概ね堅調に推移し、2024年2月に最高値を更新した後、2024年3月には一時40,000円台まで上昇しました。物流業界においては、物価や人件費等の上昇により費用負担が増しているほか、消費行動におけるEC市場等からリアル販売チャネルへの回帰やインフレ等による家計消費の弱まり等の影響で宅配便に関する需要が伸び悩みました。また、働き方改革関連法等によるドライバーの拘束時間の減少などから生じる、いわゆる「2024年問題」への対策として、政府により公表された「物流革新に向けた政策パッケージ」に基づき業界・分野別に作成された自主行動計画や「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」に掲げられた取組の実行が求められております。郵便事業においては、デジタル化の進展等に伴う郵便物数の減少傾向の継続に加え、物流業界同様に、物価や人件費等の上昇等の影響により、引き続き厳しい状況です。銀行業界においては、当年度の全国銀行における預金は25年連続で増加し、貸出金も13年連続で増加しました。金融システムは、世界的な金融引締めの継続やそれに伴う景気減速懸念などのストレスにさらされているものの、全体として安定性を維持しています。生命保険業界においては、超高齢社会の進展や人口減少等の大きな構造変化とともに、先端技術の進歩・普及や、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機としたライフスタイル多様化の急速な進展等がみられ、多様なお客さまニーズへの対応が求められております。当社グループは、「郵便・物流」「貯金」「保険」の生活に必要な基礎的サービスや物販、提携金融サービス等を全国約2万4,000か所の郵便局ネットワークを通じて提供するほか、不動産事業など多数のサービスを展開しております。郵便・物流事業においては1日に約3,100万か所への郵便配達箇所数、銀行業においては約1億2,000万口座の通常貯金口座数、生命保険業においては約1,807万人のお客さま数(契約者さま及び被保険者さまを合わせた人数(個人保険及び個人年金保険を含み、かんぽ生命保険が郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約を含みます。)など、毎日の生活の中で多くのお客さまにご利用頂いており、お客さまとの接点の多さは当社グループの強みとなっております。 (3) 当社グループの経営戦略等① 中期経営計画等について当社グループは、2021年5月に策定した中期経営計画「JP ビジョン2025」について、当社グループを取り巻く環境の変化を踏まえて見直しを行い、「JP ビジョン2025+(プラス)」(2024年度~2025年度)を2024年5月に発表しました。 (a) JP ビジョン2025+の基本方針お客さまと地域を支える「共創プラットフォーム」を目指す姿とすることは変えず、グループ全体で直面する課題を克服し、成長ステージへの「転換」を実現するためのドライバーとして、「資源配分」、「郵便局」及び「人材・システム」という3点を変えていきます。「資源配分」については、当社グループが成長分野と考える物流分野や不動産事業へ、資金や人材をより積極的に配分できるよう、仕組みを変えていきます。「郵便局」については、より地域の実情に応じた個性ある郵便局へと進化することを目指し、郵便局ネットワークの価値・魅力を向上させるサービスの充実や、柔軟な営業体制の構築を行うとともに、お客さまの利便性を踏まえた店舗の最適配置、窓口営業時間の弾力化などにより、生産性の向上を図ります。「人材・システム」については、当社グループの事業活動を行う上で最も重要な人的資本への投資を成長に向けた投資の1つと位置づけ、社員体験価値向上に取り組むとともに、DXの推進などにより、人口減少、ライフスタイルや働き方の変化、デジタル化の急速な進展といった環境変化に適応可能な、柔軟で強靭な組織へと変革します。 (b) 成長ステージへの転換に向けた取組の3本柱「JP ビジョン2025+」のもと、「収益力の強化」、「人材への投資によるEX※1の向上」、「DXの推進等によるUX※2の向上」という3本柱を掲げて取り組みます。「収益力の強化」については、グループの収益を強化するため、物流分野と不動産事業を成長分野として捉え、経営資源を積極的に投入していくことで、成長の加速を図ります。「人材への投資によるEXの向上」については、労働人口の減少に伴う人手不足や価値観・ライフスタイルの多様化など、外部環境の変化に対応して、優秀な人材を確保し育成していかなければならないことから、社員エンゲージメント、「誇りとやりがい」の向上や、柔軟で多様性のある組織への転換に取り組みます。「DXの推進等によるUXの向上」については、デジタルへの移行が急速に進む中、お客さまサービスや社員の働き方を、DXにより利便性を高め、効率化していくことが必須となっています。グループDXの推進により、お客さま、社員双方の視点から、UXの向上に取り組んでいきます。※1 EXとは、社員が会社で働くことを通じて得られる体験価値のことです。※2 UXとは、システムやサービスを利用するユーザー(お客さまや社員)が、その利用を通じて得られる体験価値のことです。 (c) 当社グループにおけるサステナビリティ経営の推進当社グループは、グループのサステナビリティの観点から重要と考えている「地域生活・地域経済」「高齢社会への対応」等のサステナビリティ重要課題に対して、「地域のハブとしての役割発揮」「サプライチェーン全体での対応」等のグループの強みを活かして取り組むことにより、各事業戦略の展開を通じたグループの成長と、Well-being※の向上及び低環境負荷社会への貢献といった価値創造を通じた、社会とグループの持続性ある成長を目指していきます。※ 「肉体的にも、精神的にも、社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」(WHO憲章前文) であり、当社グループでは、多様な個人やコミュニティのあり方を包括する概念として使用しております。 ② 経営者の問題意識と今後の方針当社グループは、2021年5月に発表した中期経営計画「JP ビジョン2025」について、事業環境の急激な変化等を踏まえ、グループ全体で直面する課題を克服し、「成長ステージへの転換」を実現するための道標(みちしるべ)とすべく、今後の戦略の見直しを行うとともに、2025年度の主要目標等も見直し、その結果を「JP ビジョン2025+(プラス)」として、2024年5月に策定しました。「JP ビジョン2025+」では、引き続き、お客さまと地域を支える「共創プラットフォーム」を目指し、コアビジネスの充実・強化に向けて、成長分野へのリソースシフトを強力に推進してまいります。また、人口減少、ライフスタイルや働き方の変化、デジタル化の急速な進展等経済社会の大きな変化に対応するため、お客さま体験価値や社員の利便性向上につながるDXの取組を強力に推進するとともに、当社グループの人材・組織を多様性あるものに変革する取組に着手してまいります。財務面では、ROE(株主資本ベース)について、ゆうちょ銀行株式の持分割合の減少により低下したROEを2025年度を目標に回復し、その後、早期に株主資本コストを上回るROEを達成し、中長期的にさらなる向上を目指します。また、業務の適正を確保するため、コーポレートガバナンスのさらなる強化に向け、引き続き、グループ全体の内部統制の強化を推進し、コンプライアンス水準の向上を重点課題として、グループ各社に必要となる支援・指導を行います。特に、かんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題を受け、同様の問題を二度と繰り返さないために講じてきた業務改善計画の施策の浸透・定着に引き続き取り組みつつ、取組の実施状況や課題等を把握し、グループ全体としてさらなる改善を推進してまいります。あわせて、部内犯罪及び社員の不正の防止、個人情報保護並びにマネー・ローンダリング、テロ資金供与及び拡散金融対策等の取組を継続・強化してまいります。そして、郵便、貯金及び保険のユニバーサルサービスの確保については、交付金・拠出金制度も活用しつつ、その責務を果たし、地域社会に貢献するとともに、郵便局ネットワークの一層の活用・維持による安定的なサービスの提供等を図るため、グループ各社の経営の基本方針を策定し、その実施に努めてまいります。ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険の株式については、2社の経営状況、ユニバーサルサービスの責務の履行への影響等を勘案しつつ、できる限り早期に処分するものとするという郵政民営化法の趣旨に沿って、所要の準備を行ってまいります。サステナビリティ経営の推進に関する取組として、環境問題への取組については、政府が掲げる「2050年カーボンニュートラルの実現」に向けた動きを踏まえ、CO2の排出量削減に向けたグループ全体のEV車両の導入拡大、カーボン排出係数の低い電力への段階的な切替え等により、事業サービスを通じた環境負荷軽減等に積極的に取り組みます。社員の多様な能力・個性を活かすダイバーシティ・マネジメントの推進については、2024年度において引き上げとなった法定雇用率の達成に向けた障害者雇用推進の取組や、管理者への女性登用に向けた取組等を実施してまいります。加えて、サイバーテロリスクに備えたサイバーセキュリティの強化、自然災害の発生及び感染症の大流行等の危機へ備えた危機管理態勢の整備に取り組みます。当社は、資本効率の向上、株主還元の強化を目的として、自己株式の取得を実施しており、2022年5月13日付の取締役会決議に基づき、2022年5月16日から2023年3月9日までの間、取引一任契約に基づく市場買付により当社普通株式196,748,200株を取得し、2023年3月29日付の取締役会決議に基づき、2023年4月20日付で保有自己株式のうち196,748,200株を消却いたしました。また、2023年5月15日及び2023年8月14日付の取締役会決議に基づき、2023年8月15日から2024年3月22日の間、自己株式立会外買付取引(ToSTNeT?3)及び立会市場における取引により当社普通株式254,809,200株を取得し、2024年3月27日付の取締役会決議に基づき、2024年4月12日付で保有自己株式のうち254,809,200株を消却いたしました。その結果、2024年4月12日時点における発行済株式総数は3,206,240,300株となりました。さらに、2024年5月15日付の取締役会において、2024年5月16日から2025年3月31日までを取得期間とし、当社普通株式320,000,000株、取得価額の総額3,500億円をそれぞれ上限として、立会市場における取引による当社自己株式の取得について決議いたしました。 (4) 対処すべき課題  各事業セグメント別の対処すべき課題は、以下のとおりであります。 ① 郵便・物流事業日本郵便の郵便・物流事業において、郵便物の減少や荷物需要の増加に対応するため、以下の取組を行います。 (a) 郵便料金の見直しに向けた準備人口の減少やデジタル化の進展等により今後も郵便物数の減少が予想される中、ユニバーサルサービスである郵便サービスの安定的な提供及びお客さまへのサービス向上を実現するためには、郵便料金の見直しは避けられないと考えており、2024年6月に施行された郵便法施行規則の一部を改正する省令(令和6年総務省令第63号)を踏まえ、郵便料金の見直しに向けた準備を進めてまいります。なお、過去5事業年度の郵便、ゆうメール、ゆうパック及びゆうパケットの取扱物数の推移は以下のとおりとなります。 (単位:百万通・百万個) 2020年3月期2021年3月期2022年3月期2023年3月期2024年3月期郵便16,35015,24414,85814,44513,578ゆうメール3,5693,2993,3463,1132,873ゆうパック(含 ゆうパケット)9741,0919899801,010(再掲) ゆうパケット428497420426463  (b) 荷物等の取扱個数の拡大、オペレーションの効率化に向けた取組物流分野については、成長するEC市場やフリマ市場を確実に取り込むため、差出・受取利便性の向上や他企業との連携強化により、荷物等の取扱個数の拡大を図ってまいります。同時に、持続的な成長に向けて、設備投資や人的資本投資を進め、機械処理の強化、次世代輸配送ネットワークの再編等、オペレーションの効率化に向けた取組を強化してまいります。 (c) 「2024年問題」への対応働き方改革関連法等によるドライバーの拘束時間の減少などから生じる、いわゆる「2024年問題」を踏まえ、2024年度において、中継輸送※の導入等、輸送オペレーションを見直します。なお、日本郵便は、政府により公表された「物流革新に向けた政策パッケージ」や「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」を踏まえて、自主行動計画を策定、公表しております。同計画で掲げた諸事項について、荷主・運送事業者双方の立場から確実に対応してまいります。※ 中継輸送とは、トラックの長距離運行を複数のトラックドライバーで分担する輸送形態のことです。 (d) 協力会社の皆さまとのパートナーシップ構築に向けた取組政府が公表した「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を踏まえ、引き続き、協力会社の皆さまとのパートナーシップ構築に向けて取り組んでまいります。 ② 郵便局窓口事業日本郵便の郵便局窓口事業において、以下の取組を行います。 (a) 適正な営業推進態勢の確立経営陣がリーダーシップを取り、適正な営業推進態勢の確立並びにコンプライアンス・顧客保護を重視する健全な組織風土の醸成、適正な営業推進のための改善策を着実に実行し定着を図るためのガバナンスの抜本的な強化及びPDCAサイクルの徹底に向けた取組を継続するとともに、フロントラインに向けた伝達に齟齬がないよう配意しつつ、必要な見直しを随時、適切に行ってまいります。 (b) 郵便局の価値・魅力向上や店舗の最適配置等による生産性向上に向けた取組 郵便局窓口への来局者数は減少傾向にあり、2024年度においても厳しい経営状況が継続すると見込んでおります。直面する事業環境を克服し、お客さまに選んでいただける事業へ成長するため、「営業専門人材の育成」等によるお客さまに寄り添った営業活動を展開するとともに、地方公共団体事務の受託や他企業との連携等により、地域やお客さまニーズに応じた郵便局らしい商品・サービスの充実を行い、郵便局の価値・魅力向上の取組等を推進してまいります。加えて、お客さまの利便性を踏まえた店舗の最適配置や、窓口営業時間の弾力化等による生産性の向上にも取り組んでまいります。これらの取組により、郵便局窓口事業セグメントの損益の改善を図ってまいります。 ③ 国際物流事業トール社が強みを持つ消費財や小売業等について、アジア域内においてそのポジションを維持するとともに、よりバランスの取れたポートフォリオ構築のため、ヘルスケア分野の対応能力拡充を図ってまいります。また、オペレーションの合理化等によるコスト削減にも、引き続き取り組んでまいります。 ④ 銀行業ゆうちょ銀行は、国内外での金利の上昇、生成AIの浸透を始めとする社会のデジタル化の想定以上の進展、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に対する関心の高まり等の経営環境の大きな変化を踏まえて、「リテールビジネス」、「マーケットビジネス」及び「Σ(シグマ)ビジネス(投資を通じて社会と地域の未来を創る法人ビジネス)」の3つの成長エンジンをビジネス戦略の中心に据え、それを支える経営基盤の強化とあわせて取り組んでまいります。 (a) リテールビジネスの変革リアルとデジタルの相互補完戦略を加速し、伝統的な銀行業務を超えた新しいリテールビジネスへの変革を進め、一人ひとりのお客さまとの取引を一層深めてまいります。デジタルサービス戦略では、「ゆうちょ通帳アプリ」(以下「通帳アプリ」といいます。)の使いやすさ・機能の改善や、郵便局ネットワークも活用した積極的なアプローチにより、通帳アプリユーザーの一層の拡大を追求します。そして、パートナー企業との連携により、銀行の枠を超えた多様なサービスを、通帳アプリを通じてお客さまに適切にご案内することで、お客さまの多様なニーズをサポートするとともに、新たな収益機会を開拓してまいります。資産形成サポートビジネスでは、コンサルタントによる専門的できめ細やかなコンサルティングを実施しつつ、デジタルチャネルを拡充するとともに、全国の郵便局と金融コンタクトセンター等をリモートで接続し、約20,000拠点で投資信託(NISA)の受付を可能とする、リアルとデジタルを融合した当社グループの強みを活かした販売態勢を強化してまいります。加えて、デジタル技術を活用した業務改革を進め、お客さまの利便性を向上しつつ、業務量の削減による生産性向上に努めてまいります。 (b) マーケットビジネスの深化リスク管理を深化しつつ、ゆうちょ銀行の安定的な資金調達基盤の強みを維持し、円金利資産とリスク性資産を組み合わせた最適な運用ポートフォリオを追求してまいります。特に、2022年度までの7年間で約2分の1に縮小した日本国債の保有残高は、日本銀行の政策変更を受けた国内金利の上昇トレンドも踏まえ、日本銀行への預け金等から日本国債への投資シフトを推進し、拡大を目指してまいります。また、戦略投資領域※を含むリスク性資産についても、引き続き資本を活用し、リスク対比リターンを意識しつつ、残高を拡大してまいります。※ 戦略投資領域とは、プライベートエクイティファンド(成長が見込まれる未上場企業等へ投資するファンド)、不動産ファンド等からなる戦略的な投資領域のことであります。 (c) Σビジネスの本格始動投資を通じて社会と地域の未来を創る法人ビジネスと位置付けるΣビジネスを推進し、将来的にサステナブルな収益基盤の構築を目指します。ゆうちょ銀行の新設子会社の「ゆうちょキャピタルパートナーズ株式会社」を中心に、パートナー企業とも連携しながら、プライベートエクイティファンド投資で培った知見も活かし、全国の中堅・中小企業への資本性資金の供給を本格化させてまいります。また、全国津々浦々のネットワークを活かし、地域金融機関等と連携した新たな投資先企業の発掘を行うとともに、投資先企業の商材・サービスが持つ潜在的なニーズを掘り起こすマーケティング支援業務を推進するなど、投資先の成長・課題解決に向けた伴走型の支援を行ってまいります。これらの取組を踏まえ、投資実績やマーケット環境の定期的な評価を行いつつ、GP※業務関連残高の拡大を目指してまいります。※ GPとは、General Partner(ジェネラルパートナー)の略語。投資ファンドにおいて投資先企業の選定、投資判断等を担うファンドの運営主体のことであります。 (d) 経営基盤の強化3つのビジネス戦略を強力に推進するため、それらを支える人財、内部管理態勢、システム基盤等を一層強化してまいります。特に、競争力・価値創造の「源泉」かつ「財産」である人財については、最重要資本の1つと捉え、「成長を促す」×「能力を引き出す」×「多様性を活かす」という3つの柱を軸とした、経営戦略と連動する人事戦略を推進してまいります。なお、人的資本経営の推進にあたっては、強化分野の人員数、女性管理者数比率や育児休業取得率などの各種KPIを設定したうえで取り組み、多様な人財が活躍する「いきいき・わくわく」に満ちた会社を社員とともに築き、企業価値の向上を実現してまいります。また、ゆうちょ銀行の直営店及び郵便局の部内犯罪の再発防止に向け、防犯ルールの見直しや、郵便局におけるKRI※のモニタリングを当社グループ全体で推進するなど、コンプライアンス態勢を一層強化するとともに、お客さま・社員の声をサービスや業務の改善に活かすスキームを通じ、お客さま本位の業務運営を推進してまいります。加えて、生成AI等の新技術を積極的に活用したDXの一層の推進等、新たな成長に向けた戦略的なIT投資を強化してまいります。※ KRIとは、Key Risk Indicator(キーリスクインディケーター)の略語。部内犯罪発生リスクを定量的に捉える指標のことであります。 ⑤ 生命保険業かんぽ生命保険は、生命保険会社としての社会的使命に応えるために、以下の取組を実施してまいります。 (a) 成長戦略かんぽ生命保険は、全国規模のお客さま基盤を強みに、ライフステージや世代を超えてお客さまとつながり続けることで、お客さまの維持・拡大を目指すとともに、安定的に利益を確保できる「強い会社」へ成長してまいります。お客さまの維持・拡大のために、営業社員の質と量を強化するとともに、多様なお客さまニーズに応えられる商品ラインアップの拡充とCX※1向上につながる質と量を伴ったアフターフォローの充実を進めてまいります。これらの取組を通じてお客さま体験価値を高め、お客さまの「信頼できる気軽な相談相手」として長期的な関係性を構築するとともに、そのご家族や知人、さらには地域・社会全体へかんぽ生命保険をお勧めいただき、お客さま数を増やしてまいります。まず、営業社員の質と量を強化するために、管理職社員等の営業マネジメント力の強化やコンサルタントの人材育成の強化を進めるとともに、新卒採用におけるインターンシップ等の広報活動の改善や、経験者採用における人材紹介会社を活用した通年採用により、営業社員の人材確保を図ってまいります。多様なお客さまニーズに応えられる商品ラインアップの拡充については、金利上昇等の外部環境を捉え、貯蓄性商品の魅力向上を目指すとともに、要介護状態や就業不能に備える保険等の保障性商品も充実させていくことで、貯蓄性と保障性を織り交ぜた商品ラインアップの拡充を進めてまいります。CX向上につながる質と量を伴ったアフターフォローの充実としては、お客さまの利便性向上のための請求手続きのデジタル化と、リアルとデジタルを織り交ぜたチーム一体のアフターフォローを充実させることに加えて、介護や相続といった人生のあらゆる場面でお客さまの生活に寄り添うサービスを提供することで、お客さまが直面しているお困りごとの解消に取り組んでまいります。また、安定的な利益確保のため、「資産運用の深化・進化」、「収益源の多様化/新たな成長機会の創出」、「事業運営の効率化」にも取り組んでまいります。「資産運用の深化・進化」においては、統合的リスク管理(ERM※2)の枠組みのもと、市場環境変化を捉えた投資、他社との協働等による新規の資産運用事業の拡大・発展、インパクト投資※3を中核としたサステナブル投資※4のさらなる推進、運用専門人材の育成に取り組んでまいります。「収益源の多様化/新たな成長機会の創出」においては、これまで収益源の多様化と新たな成長機会の創出を目的として実施してきた、三井物産株式会社との業務・資本提携、KKR & Co. Inc.及びGlobal Atlantic Financial Groupとの戦略的提携等を基に、引き続き、様々な成長領域の取り込みを図っていくため、他社との協業関係の構築・拡大を目指してまいります。「事業運営の効率化」においては、デジタル化を推進することにより、さらなるお客さまサービス向上と業務の効率化及び経費の削減に引き続き取り組んでまいります。※1 CXとは、Customer Experienceの略語で、商品やサービスの価格や性能といった機能的な価値だけではなく、保険加入前から加入後のアフターフォロー、保険金支払までのプロセスすべてを通じてもたらされる満足感などの感情的・心理的な価値も含めた、お客さまが体験されるすべての価値のことです。※2 ERMとは、Enterprise Risk Managementの略語で、会社が直面するリスクに関して、潜在的に重要なリスクを含めて総体的に捉え、会社全体の自己資本などと比較・対照することによって、事業全体として行うリスク管理のことです。※3 インパクト投資とは、財務的リターンと並行して、ポジティブで測定可能な社会的及び環境的インパクトを同時に生み出すことを意図する投資行動を指します。※4 サステナブル投資とは、サステナビリティ(持続可能性)の諸要素を考慮した投資行動のことです。 (b) サステナビリティ経営かんぽ生命保険は、社会課題の解決への貢献のため、2024年3月に、マテリアリティ(重要課題)の見直しを行い、5つのマテリアリティ(重要課題)として「郵便局ネットワーク等を通じた保険サービスの提供」、「人々の笑顔と健康を守るWell-being向上のためのソリューションの展開」、「多様性と人権が尊重される安心・安全で暮らしやすい地域と社会の発展への貢献」、「豊かな自然を育む地球環境の保全への貢献」、「サステナビリティ経営を支える経営基盤の構築」を設定しました。これらに取り組むことで、自らの社会的使命を果たし、サステナビリティを巡る社会課題の解決に貢献してまいります。 また、かんぽ生命保険は、「人的資本経営」の3つの基本理念である、「社員が主体的に行動する企業風土の定着」、「戦略的な人材確保」、「多様な人材の活躍と柔軟な働き方の推進」に基づき、人的資本への積極的な投資を通じて、「人の力」の成長を促し、全役員・社員が会社とともに成長し、自信と誇りをもって堂々と仕事ができる会社を目指してまいります。加えて、かんぽ生命保険は、コーポレートガバナンスの強化のため、組織としての透明性・公平性を確実に高め、さらには、社員一人ひとりのリスク感度を高めることにより、健全な事業運営を行ってまいります。 (参考)過去の新契約、保有契約の件数の推移は下記のようになります。 (単位:万件)契約の種類2020年3月期2021年3月期2022年3月期2023年3月期2024年3月期新契約(個人保険)6412173162簡易生命保険990894806726660かんぽ生命保険1,7161,5891,4741,3721,309 (注) 2007年10月1日の民営化時の簡易生命保険契約は5,517万件でした。 ⑥ 不動産事業2024年度から、報告セグメントの区分を見直し、「不動産事業」セグメントを独立させました。グループ各社にまたがる不動産事業について一体的に推進し業績管理を行うため、当社が統括する一体的なマネジメント体制を構築して取り組んでまいります。引き続き、JPタワー等のオフィス、商業施設をはじめ、住宅、保育所及び高齢者施設の賃貸事業等を行います。また、稼働中の物件については、収益及び資産価値の維持向上に向けて、共同事業者等との連携や外部委託を適切に活用しながら、良質かつ効率的な運営に取り組みます。また、グループ保有不動産の有効活用や新たな収益機会の拡大の観点から、建築費や収益物件価格が高騰している状況下、適切なタイミングで開発や取得の計画を策定・実行することにより、不動産事業が収益の柱の一つとなるよう取り組んでまいります。
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 財政状態の状況及び分析・検討当連結会計年度末の資産、負債及び純資産の状況は以下のとおりであります。資産の部合計は、前連結会計年度末比2,595,497百万円増※の298,689,150百万円となりました。主な要因は、銀行業等における有価証券11,974,024百万円の増、銀行業及び生命保険業等におけるその他資産1,058,830百万円の増、銀行業等における貸出金919,507百万円の増の一方、現金預け金10,735,704百万円の減、銀行業におけるコールローン450,000百万円の減、銀行業及び生命保険業における買現先勘定383,402百万円の減によるものであります。負債の部合計は、前連結会計年度末比1,953,134百万円増※の282,950,619百万円となりました。主な要因は、銀行業及び生命保険業における売現先勘定5,890,316百万円の増、銀行業における債券賃借取引受入担保金431,926百万円の増、銀行業等における借用金362,130百万円の増の一方、生命保険業における責任準備金3,005,427百万円の減、銀行業における貯金1,547,818百万円の減、銀行業における退職給付信託の設定等による退職給付に係る負債158,477百万円の減によるものであります。純資産の部合計は、前連結会計年度末比642,362百万円増※の15,738,530百万円となりました。主な要因は、銀行業及び生命保険業等におけるその他有価証券評価差額金698,496百万円の増、非支配株主持分452,185百万円の増の一方、銀行業等における繰延ヘッジ損益398,083百万円の減、自己株式99,923百万円の減によるものであります。各事業セグメント別の資産の状況は以下のとおりであります。 ① 郵便・物流事業当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比144,348百万円減※の1,958,795百万円となりました。主な要因は、無形固定資産が21,868百万円増加した一方、現金預け金が153,537百万円、有形固定資産が24,995百万円減少したことによるものであります。 ② 郵便局窓口事業当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比21,328百万円減※の2,563,772百万円となりました。主な要因は、その他資産が35,693百万円増加した一方、現金預け金が48,628百万円、有形固定資産が10,542百万円減少したことによるものであります。 ③ 国際物流事業当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比22,395百万円増※の374,938百万円となりました。主な要因は、有価証券が8,301百万円、現金預け金が2,378百万円減少した一方、有形固定資産が20,234百万円、その他資産が11,128百万円増加したことによるものであります。 ④ 銀行業当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比4,325,856百万円増の233,906,263百万円となりました。主な要因は、有価証券が13,689,219百万円、貸出金が1,244,026百万円増加した一方、現金預け金が10,498,827百万円減少したことによるものであります。 ⑤ 生命保険業当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比1,831,488百万円減の60,855,899百万円となりました。主な要因は、金銭の信託が1,499,094百万円増加した一方、有価証券が2,147,681百万円、買現先勘定が337,571百万円、貸出金が324,518百万円減少したことによるものであります。 ※「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおり、前連結会計年度の連結財務諸表を組替えております。また、当社グループの報告セグメントの区分として従来「国際物流事業」に含まれていたJPロジスティクスグループ株式会社及びJPロジスティクス株式会社の営む事業を「郵便・物流事業」に変更しております。前期末比については、上記組替後の数値により記載しております。 (2) 経営成績の状況及び分析・検討当連結会計年度、当社グループは、2021年5月に発表した中期経営計画「JP ビジョン2025」(2021年度~2025年度)で掲げたお客さまと地域を支える「共創プラットフォーム」の実現を目指し、ユニバーサルサービスを含むコアビジネスの充実強化に加え、DXの推進、不動産事業の拡大や、新規ビジネス等の推進に取り組んでまいりました。2023年6月には、ヤマトグループとの協業について基本合意を行い、ヤマト運輸株式会社と日本郵便の経営資源を有効活用することで、顧客の利便性向上に資する輸送サービスの構築と事業成長を図るとともに、物流業界のいわゆる「2024年問題」や環境問題など、物流業界が抱える社会課題の解決を目指すため、協業の第一弾として、2023年10月から「クロネコゆうパケット」の取扱いを開始し、第二弾として、2024年2月から「クロネコゆうメール」の取扱いを開始しました。グループ一体でのDXの推進については、2023年10月には、初期リリースとして郵便局のサービスのうち利用頻度の高い「送る」「受け取る」の機能を中心としたグループプラットフォームアプリ「郵便局アプリ」のサービス提供を開始しました。また、かんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題を受け、グループガバナンス及びコンプライアンスの強化並びに営業推進態勢の見直し等の再発防止策を講じ、適切な業務運営への取組に努めてまいりました。なお、2024年3月末より、アフラック・インコーポレーテッドに対して持分法を適用することとし、2024年度から同社の利益の一部を当社グループの連結業績に反映いたします。加えて、昨今の事業環境の急激な変化等を踏まえ、「成長ステージへの転換」に向け、「JP ビジョン2025」における今後の戦略の見直しを行うとともに、2025年度の主要目標等も見直し、その結果を2024年5月に「JP ビジョン2025+」として策定しております。当社におきましては、持株会社として、当社グループの企業価値向上を目指し、グループ各社の収益拡大や経営効率化等を着実に推進するとともに、郵便、貯金及び保険のユニバーサルサービスの確保、郵便局ネットワークの維持・活用による安定的なサービスの提供等という目的が達成できるよう、グループ運営に取り組みました。また、グループ各社のコンプライアンス・プログラムの策定・推進の状況、各社の内部監査態勢・監査状況の把握に努めたほか、集約により効率性が高まる間接業務をグループ各社から受託するとともに、病院事業の経営改善に取り組みました。さらに、グループ各社が提供するサービスの公益性・公共性の確保や、持続可能な社会の実現・未来の創造に貢献するため、サステナビリティ経営の推進に関する取組や災害復興支援に、グループ全体で取り組んでおります。2024年1月に発生した令和6年能登半島地震では、郵便局舎に被害があったほか、被災地域における郵便局窓口の営業休止、郵便物の配達停止やゆうパックの引受停止等の影響がありました。日本郵便において作成した復旧マスタープランに基づいて順次業務を再開しており、引き続き業務の正常化を目指してまいります。このような取組を行った結果、当連結会計年度における連結経常収益は11,982,152百万円(前期比843,581百万円増※)、連結経常利益は668,316百万円(前期比10,653百万円増※)、連結経常利益に、特別損益や契約者配当準備金繰入額等を加減した親会社株主に帰属する当期純利益は、268,685百万円(前期比162,359百万円減※)となりました。 ※「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおり、前連結会計年度の連結財務諸表の組替えを行っており、増減については組替後の数値により記載しております。 各事業セグメント別の業績は、以下のとおりであります。 ① 郵便・物流事業郵便・物流事業につきましては、差出・受取利便性の向上等、お客さまのニーズに応える商品・サービスの提供や楽天グループ株式会社及び佐川急便株式会社をはじめとする他企業との連携強化等、荷物分野の収益拡大に取り組んでまいりました。また、当年度にヤマトグループとの協業を開始し、同グループがお預かりした小型薄物荷物及びメール便を、日本郵便の配送網でお届けする取組を開始しております。さらに、デジタル技術を活用した業務効率化、業務量に応じたコストコントロールの取組の深化等を通じ、生産性の向上に努めてまいりました。また、物流業界において物価や人件費等の上昇により費用負担が増していることを踏まえ、将来にわたって、安定的かつ高品質の物流サービスを展開するため、2023年10月にゆうパック基本運賃などの改定を実施しました。上記の取組を推進してきたところではありますが、消費行動のリアル回帰やインフレ等による家計消費の弱まり等の影響で荷物に関する需要が伸び悩みました。郵便事業においても、デジタル化の進展等に伴う郵便物数の減少傾向の継続に加え、物流業界同様、物価や人件費等の上昇等の影響により営業費用が増加し、厳しい状況が継続しました。その結果、当年度の総取扱物数は、郵便物が135億7,769万通(前期比6.0%減)、ゆうパックが10億966万個(前期比3.0%増)、ゆうメールが28億7,348万個(前期比7.7%減)となりました。このような取組を行った結果、当連結会計年度の郵便・物流事業におきましては、ゆうパックはゆうパケットの取扱数量が増加した一方、郵便、ゆうメール及び年賀はがきの減少等により経常収益は1,980,509百万円(前期比79,889百万円減※)、経常費用は引き続きコストコントロールの取組等を進めているものの、人件費や集配運送委託費の増加により増加し、経常損失は64,969百万円(前期は35,454百万円の経常利益※)となりました。また、日本郵便の当連結会計年度における郵便・物流事業の営業収益は1,975,570百万円(前期比80,866百万円減※)、営業損失は68,623百万円(前期は33,007百万円の営業利益※)となりました。 ※「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおり、前連結会計年度の連結財務諸表を組替えております。また、当社グループの報告セグメントの区分として従来「国際物流事業」に含まれていたJPロジスティクスグループ株式会社及びJPロジスティクス株式会社の営む事業を「郵便・物流事業」に変更しております。前期比については、上記組替後の数値により記載しております。 引受郵便物等の状況区分前事業年度当事業年度物数(千通・千個)対前期比(%)物数(千通・千個)対前期比(%)総数18,538,319△3.417,460,836△5.8  郵便物14,445,101△2.813,577,689△6.0 内国14,423,155△2.813,554,657△6.0  普通13,870,967△3.213,029,436△6.1   第一種7,532,007△1.97,084,854△5.9   第二種4,936,378△2.24,776,053△3.2   第三種163,434△5.8152,020△7.0   第四種15,261△8.313,301△12.8   年賀1,170,803△14.4970,486△17.1   選挙53,08412.332,721△38.4  特殊552,1889.7525,220△4.9 国際(差立)21,946△11.323,0325.0  通常11,877△10.913,14110.6  小包2,062△27.62,29411.3  国際スピード郵便8,007△6.67,598△5.1 荷物4,093,218△5.63,883,147△5.1 ゆうパック (含 ゆうパケット)980,317△0.81,009,6653.0  (再掲)ゆうパケット425,9431.4462,6448.6 ゆうメール3,112,902△7.02,873,482△7.7 (注) 1.第一種郵便物、第二種郵便物、第三種郵便物及び第四種郵便物の概要/特徴は、以下のとおりであります。種類概要/特徴第一種郵便物お客さまがよく利用される「手紙」(封書)のことであります。一定の重量及び大きさの定形郵便物とそれ以外の定形外郵便物に分かれます。また、郵便書簡(ミニレター)、特定封筒(レターパックライト)及び小型特定封筒(スマートレター)も含んでおります。第二種郵便物お客さまがよく利用される「はがき」のことであります。通常はがき及び往復はがきの2種類があります。年賀郵便物の取扱期間(12月15日~1月7日)以外に差し出された年賀はがきを含んでおります。第三種郵便物新聞、雑誌など年4回以上定期的に発行する刊行物で、日本郵便の承認を受けたものを内容とするものであります。第四種郵便物公共の福祉の増進を目的として、郵便料金を低料又は無料としているものであります。通信教育用郵便物、点字郵便物、特定録音物等郵便物、植物種子等郵便物、学術刊行物郵便物があります。 2.年賀は、年賀郵便物(年賀特別郵便(取扱期間12月15日~12月28日)及び12月29日~1月7日に差し出された年賀はがきで消印を省略したもの)の物数であります。3.選挙は、公職選挙法に基づき、公職の候補者又は候補者届出政党から選挙運動のために差し出された通常はがきの物数であります。別掲で示しております。4.特殊は、速達、書留、特定記録、本人限定受取等の特殊取扱(オプションサービス)を行った郵便物の物数の合計であります。交付記録郵便物用特定封筒(レターパックプラス)及び電子郵便(レタックス、Webゆうびん、e内容証明)を含んでおります。5.ゆうパックは、一般貨物法制の規制を受けて行っている宅配便の愛称であります。配送中は、追跡システムにより管理をしております。6.ゆうパケットは、一般貨物法制の規制を受けて行っている宅配便の愛称であります。小型の荷物をお届けするもので、ゆうパックより安値でポスト投函も可能な商品であります。配送中は、追跡システムにより管理をしております。7.ゆうメールは、一般貨物法制の規制を受けて行っている1kgまでの荷物の愛称であります。主に冊子とした印刷物やCD・DVDなどをお届けするもので、ゆうパックより安値でポスト投函も可能な商品であります。 ② 郵便局窓口事業郵便局窓口事業につきましては、2019年度に判明したかんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題を受け、これらの構造的要因等を踏まえた業務改善計画を策定し、計画の実行を経営の最重要課題と位置づけ、再発防止策を講じてきました。2023年12月、監督官庁から、業務改善命令に基づく報告については、以後、提出を要しないこととし、改善状況の進捗については通常の監督・モニタリングにおいて継続的に確認していくこととする旨の通知を受けました。これを受け、今後は当社グループの経営陣がリーダーシップを発揮して、継続的な効果確認と適時適切な見直しを図っていくこととし、当社グループの各関係部署で把握した実態の共有及び必要な見直しの議論を継続的に行う体制を構築しました。なお、再発防止に向けた施策の浸透・定着のための取組を継続しつつ、2024年1月から満70歳以上のお客さまへの勧奨を再開しました。また、同月より一時払終身保険の販売を開始し、「お客さま本位の営業活動」を徹底しつつ、お客さまのニーズにあわせたご提案活動を行うことにより、ご利用の拡大に取り組んでまいりました。このほか、地方公共団体事務受託の推進や地域金融機関との連携等により、地域やお客さまのニーズに応じた多種多様な商品・サービスの展開を進めてきたほか、窓口業務運営のデジタル化を推進し、生産性の向上に努めてまいりました。また、不動産事業については、引き続き、JPタワー(商業施設名:KITTE)をはじめとする事務所、商業施設、住宅、保育施設等の賃貸事業を行ってきたほか、当年度、新たにJPタワー大阪や麻布台ヒルズ森JPタワーが竣工し、住宅の分譲や商業施設の開業等、事業の強化・拡充に取り組んでまいりました。 不動産事業における主なプロジェクトの概要は以下のとおりであります。 名称土地面積(千㎡)延床面積(千㎡)簿価(百万円) 持分シェア土地等建物他JPタワー約11約212281,775227,78353,991共同事業メジャーシェアJPタワー大阪約12約22791,22417,53473,689共同事業 メジャーシェアJPタワー名古屋約12約18037,56210,94526,616共同事業 メジャーシェアKITTE博多約5約6418,7527,38511,366単独事業大宮JPビルディング約6約459,3543,9035,451単独事業広島JPビルディング約4約4418,9003,24415,656単独事業麻布台ヒルズ森JPタワー約24約461144,30465,34778,956 共同事業マイナーシェア (注) 2024年3月31日時点 このような取組を行った結果、当連結会計年度の郵便局窓口事業におきましては、不動産販売収入の計上に伴う不動産事業収益の増収により、経常収益は1,113,912百万円(前期比38,149百万円増)、経常費用は不動産販売原価の計上等により増加し、経常利益は73,490百万円(前期比23,023百万円増)となりました。また、日本郵便の当連結会計年度における郵便局窓口事業の営業収益は1,112,929百万円(前期比38,888百万円増)、営業利益は72,962百万円(前期比23,650百万円増)となりました。 郵便局数支社名営業中の郵便局(局)前事業年度末当事業年度末直営の郵便局簡易郵便局計直営の郵便局簡易郵便局計郵便局分室郵便局分室北海道1,20612521,4591,20412411,446東北1,89805602,4581,89805472,445関東2,39501522,5472,39301542,547東京1,471051,4761,466051,471南関東9500701,0209510701,021信越97503071,28297202971,269北陸66601568226400140780東海2,04912772,3272,04912732,323近畿3,09043123,4063,09243053,401中国1,74914262,1761,74814112,160四国93001931,12392801891,117九州2,49608573,3532,49708373,334沖縄174022196176022198全国計20,04973,58923,64520,01473,49123,512 ③ 国際物流事業国際物流事業につきましては、日本郵便の子会社であるToll Holdings Pty Limited(以下「トール社」といいます。)の経営改善の取組を継続しており、豪州事業の収益性向上等の施策を推進するとともに、アジア域内で特に成長が見込まれる国や業種を重視した事業展開を進めるなど、アジアを中心としたビジネスモデルへの転換を進めており、当年度においても引き続き、コスト削減施策の徹底等に取り組んでまいりました。このような取組を行った結果、当連結会計年度の国際物流事業におきましては、フォワーディング事業の貨物単価下落等による減収により、経常収益は450,023百万円(前期比89,892百万円減※)となったものの、経常費用はフォワーディング事業の減収見合いの費用減のほか、ロジスティクス事業のコスト削減等により減少し、経常利益は1,713百万円(前期は797百万円の経常損失※)となりました。また、日本郵便の当連結会計年度における国際物流事業の営業収益は448,814百万円(前期比90,383百万円減※)、営業利益(EBIT)は9,582百万円(前期比894百万円減※)となりました。 ※「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおり、前連結会計年度の連結財務諸表を組替えております。また、当社グループの報告セグメントの区分として従来「国際物流事業」に含まれていたJPロジスティクスグループ株式会社及びJPロジスティクス株式会社の営む事業を「郵便・物流事業」に変更しております。前期比については、上記組替後の数値により記載しております。 ④ 銀行業ゆうちょ銀行では、中期経営計画(2021年度~2025年度)で策定した5つの重点戦略(「リアルとデジタルの相互補完による新しいリテールビジネスへの変革」、「デジタル技術を活用した業務改革・生産性向上」、「多様な枠組みによる地域への資金循環と地域リレーション機能の強化」、「ストレス耐性を意識した市場運用・リスク管理の深化」、「一層信頼される銀行となるための経営基盤の強化」)に基づき、持続的な企業価値向上に向けた取組を進めてまいりました。具体的には、「リテールビジネス」、「マーケットビジネス」及び「Σビジネス」というゆうちょ銀行独自の強みを活かした3つの成長エンジンを通じて、各種取組を進めるとともに、コンプライアンス態勢の強化等、これら3つの成長エンジンを支える経営基盤を強化してまいりました。第1の成長エンジン「リテールビジネス」では、リアルとデジタルの相互補完を通じたお客さま本位のビジネス展開に努めました。デジタルサービスでは、「すべてのお客さまが利用しやすいデジタルサービスを拡充する」という基本方針のもと、通帳アプリに各種払込みやATMでの入出金機能を追加するなど、さらなる利便性向上を図りました。通帳アプリは2020年2月のリリース以降、順調に利用が拡大しており、登録口座数は2024年2月に1,000万口座を突破し、中期経営計画で掲げた目標を2年前倒しで達成しました。加えて、多様化するお客さまのニーズに応えるため、通帳アプリを通じて広告コンテンツの配信を開始しました。また、スマートフォン上で口座開設や暗証番号の再登録が行える「ゆうちょ手続きアプリ」をリリースしたほか、ゆうちょ銀行の直営店で口座開設等の各種取引をお客さまご自身で行えるセルフ型営業店端末「Madotab」の機能を追加するなど、デジタル技術の活用を通じ、お客さまの利便性を向上しつつ、窓口業務の効率化を進めました。資産形成サポートビジネスでは、新しいNISA制度の開始を踏まえ、商品ラインアップの拡充や各種キャンペーンを展開しつつ、ゆうちょ銀行の直営店や全国の郵便局でNISAのご案内を行うなど、お客さまの資産形成ニーズにお応えする取組を進めました。第2の成長エンジン「マーケットビジネス」では、リスク対比リターンの向上に向けた、国際分散投資等を推進しました。海外金利の上昇や円安の進行など、市場環境が大きく変動するなか、適切にリスクをコントロールしながら、投資適格領域の外国社債等への投資を中心にリスク性資産残高を拡大しました。リスク性資産のうち、プライベートエクイティファンド等の戦略投資領域については、優良案件への選別的な投資に努め、残高を積み上げました。また、日本銀行の金融政策修正を受けた国内金利上昇局面を捉え、日本銀行への預け金から日本国債への投資シフトを開始し、円金利資産に係るポートフォリオの再構築を進めました。一方で、ポートフォリオ運営を支えるモニタリング態勢の充実等、リスク管理の取組も強化し、十分な財務健全性を確保しております。「Σビジネス」は、全国の中堅・中小企業への資本性資金の供給に加え、ゆうちょ銀行の店舗ネットワーク等の強みを活かし、投資先企業の商品・サービスの紹介・媒介(マーケティング支援)や、新たなビジネスの原石となる投資先候補企業の発掘(ソーシング)を行う、新しい法人ビジネスです。このΣビジネスを、リテールビジネス、マーケットビジネスに続く「第3の成長エンジン」として本格稼働させるべく、2022年10月から2年間をパイロット期間と定め、様々な取組を推進しています。当連結会計年度において、中堅・中小企業への資本性資金の供給については、観光産業を軸とした街おこしに強みを持つ、株式会社PROSPER及び株式会社Plan・Do・Seeが設立した「PROSPER 日本企業成長支援ファンド」への出資、ゆうちょ銀行子会社のJPインベストメント株式会社を通じて組成された、地域の事業承継投資を行う「JPインベストメント・シグマ地域事業承継1号ファンド」への出資を行いました。マーケティング支援については、株式会社TTデジタル・プラットフォームとの協業により地方自治体向けに「プレミアム付きデジタル商品券」の導入提案、株式会社Rehab for JAPANとの協業により同社が手掛けるオンラインリハビリサービス等に係る地域の介護事業所や自治体等への導入提案を開始しました。ソーシングについては、地域の情報を活用した、新たなビジネス機会創出に向け、事業者情報のデータ収集、蓄積、活用のための専用システム開発を決定しました。 このような取組を行った結果、当連結会計年度の銀行業におきましては、外国為替売買損益の減少によりその他業務収益が減少した一方、株式のリスク調整オペレーションに伴う売却益の増加等によりその他経常収益は増加し、経常収益は2,651,686百万円(前期比587,571百万円増)、経常費用は外貨調達コストの増加等により増加したものの、経常利益は496,038百万円(前期比40,501百万円増)となりました。 ゆうちょ銀行における損益の概要などの詳細な状況については、下記「(参考1) 銀行業を行う当社の子会社であるゆうちょ銀行(単体)の状況」「(参考2) 自己資本比率の状況」「(参考3) 資産の査定」に記載のとおりであります。 (参考1) 銀行業を行う当社の子会社であるゆうちょ銀行(単体)の状況(a) 損益の概要当事業年度の業務粗利益は、前事業年度比3,136億円減少の7,289億円となりました。このうち、資金利益は、外貨調達コストの増加を主因に、前事業年度比695億円の減少となりました。外貨調達コストの増加は、世界的な高インフレを背景とした米欧中央銀行の金融引き締めにより、海外短期金利が上昇し、国内外の金利差が拡大していることによるものです。役務取引等利益は、前事業年度比51億円の増加となりました。その他業務利益は、外国為替売買損益の減少を主因に、前事業年度比2,492億円の減少となりました。経費は、前事業年度比25億円増加の9,262億円となりました。業務純益は、前事業年度比3,162億円減少の△1,972億円となりました。臨時損益は、株式のリスク調整オペレーションに伴う売却益の増加等により、前事業年度比3,628億円増加の6,921億円となりました。経常利益は、前事業年度比465億円増加の4,948億円となりました。この結果、当期純利益は3,543億円、前事業年度比296億円の増益となりました。 前事業年度(百万円)(A)当事業年度(百万円)(B)増減(百万円)(B)-(A)業務粗利益1,042,610728,933△313,676 資金利益785,114715,544△69,570 役務取引等利益146,354151,5295,175 その他業務利益111,140△138,140△249,280  うち外国為替売買損益199,045△120,470△319,516  うち国債等債券損益△88,083△15,67672,406経費(除く臨時処理分)△923,664△926,221△2,556 人件費△115,285△112,6802,605 物件費△772,942△778,688△5,746 税金 △35,436△34,852584業務純益(一般貸倒引当金繰入前)118,945△197,287△316,233一般貸倒引当金繰入額-△9△9業務純益118,945△197,296△316,242臨時損益329,297692,116362,819 うち株式等関係損益74,993△288,298△363,291 うち金銭の信託運用損益246,820996,850750,030経常利益448,242494,81946,576特別損益△1,188△1,903△715 固定資産処分損益△312△1,692△1,379 減損損失△875△210664税引前当期純利益447,054492,91645,861法人税、住民税及び事業税△145,782△144,901880法人税等調整額23,3346,288△17,045法人税等合計△122,447△138,612△16,165当期純利益324,607354,30329,696 (注) 1.業務純益=業務粗利益-経費(除く臨時処理分)-一般貸倒引当金繰入額2.臨時損益とは、損益計算書中「その他経常収益・費用」から一般貸倒引当金繰入額を除き、金銭の信託運用見合費用及び退職給付費用のうち臨時費用処理分等を加えたものであります。 3.「金銭の信託運用見合費用」とは、金銭の信託取得に係る資金調達費用であり、金銭の信託運用損益が臨時損益に計上されているため、業務費用から控除しているものであります。4.国債等債券損益=国債等債券売却益+国債等債券償還益-国債等債券売却損-国債等債券償還損-国債等債券償却5.株式等関係損益=株式等売却益-株式等売却損-株式等償却6.金額が損失又は費用には△を付しております。 (参考) 与信関係費用 前事業年度(百万円)(A)当事業年度(百万円)(B)増減(百万円)(B)-(A) 与信関係費用 12△7△19  一般貸倒引当金繰入額12△7△19  貸出金償却---  個別貸倒引当金繰入額---  償却債権取立益--- (注) 1.金融再生法開示債権に係る費用を計上しております。2.金額が損失又は費用には△を付しております。 (b) 国内・国際別の資金利益等ゆうちょ銀行は、海外店や海外に本店を有する子会社(以下「海外子会社」)を有しておりませんが、円建の取引を「国内業務部門」、外貨建取引を「国際業務部門」に帰属させ(ただし、円建の対非居住者取引は「国際業務部門」に含む。)、各々の収益・費用を計上した結果、国内業務部門・国際業務部門別の資金利益等は次のとおりとなりました。当事業年度は、国内業務部門においては、資金利益は2,446億円、役務取引等利益は1,523億円、その他業務利益は40億円となりました。国際業務部門においては、資金利益は4,708億円に減少、役務取引等利益は△7億円、その他業務利益は△1,421億円となりました。この結果、国内業務部門、国際業務部門の相殺消去後の合計は、資金利益は7,155億円、役務取引等利益は1,515億円、その他業務利益は△1,381億円となりました。 イ.国内業務部門 前事業年度(百万円)(A)当事業年度(百万円)(B)増減(百万円)(B)-(A)資金利益276,171244,663△31,508 資金運用収益307,787272,051△35,736うち国債利息235,493190,288△45,204資金調達費用31,61527,387△4,228役務取引等利益146,904152,3035,398役務取引等収益174,503180,7576,254役務取引等費用27,59828,454856その他業務利益△18,1094,00822,118その他業務収益54,4555,194△49,260その他業務費用72,5641,185△71,379 ロ.国際業務部門 前事業年度(百万円)(A)当事業年度(百万円)(B)増減(百万円)(B)-(A)資金利益508,942470,880△38,062資金運用収益925,6691,123,504197,835うち外国証券利息917,6481,113,437195,788資金調達費用416,726652,624235,897役務取引等利益△550△773△223役務取引等収益331326△4役務取引等費用8811,100218その他業務利益129,250△142,148△271,399その他業務収益236,47213△236,458その他業務費用107,221142,16234,940 ハ.合計 前事業年度(百万円)(A)当事業年度(百万円)(B)増減(百万円)(B)-(A)資金利益785,114715,544△69,570資金運用収益1,232,4081,396,938164,529資金調達費用447,294681,394234,100役務取引等利益146,354151,5295,175役務取引等収益174,834181,0846,249役務取引等費用28,48029,5541,074その他業務利益111,140△138,140△249,280その他業務収益290,9274,833△286,093その他業務費用179,786142,974△36,812 (注) 1.資金調達費用は、金銭の信託運用見合費用(前事業年度10,863百万円、当事業年度16,945百万円)を控除しております。2.「国内業務部門」「国際業務部門」間の内部取引による相殺消去額(資金貸借に係る利息)等は下表のとおりであります。 前事業年度(百万円)当事業年度(百万円)国内業務部門・資金運用収益1,047△1,382国際業務部門・資金調達費用1,047△1,382国内業務部門・その他業務収益-374国際業務部門・その他業務費用-374 (c) 国内・国際別資金運用/調達の状況当事業年度の資金運用勘定の平均残高は221兆8,598億円、利回りは0.62%となりました。また、資金調達勘定の平均残高は211兆7,989億円、利回りは0.32%となりました。国内・国際別に見ますと、国内業務部門の資金運用勘定の平均残高は212兆2,673億円、利回りは0.12%となりました。また、資金調達勘定の平均残高は206兆3,798億円、利回りは0.01%となりました。国際業務部門の資金運用勘定の平均残高は81兆6,059億円、利回りは1.37%となりました。また、資金調達勘定の平均残高は77兆4,325億円、利回りは0.84%となりました。 イ.国内業務部門種類前事業年度当事業年度増減平均残高利息利回り平均残高利息利回り利回り(百万円) (百万円) (%)(A)(百万円) (百万円) (%)(B)(%)(B)-(A)資金運用勘定210,210,806307,7870.14212,267,371272,0510.12△0.01うち貸出金5,179,9199,5890.185,884,7309,5160.16△0.02うち有価証券63,733,361272,0850.4260,455,794230,4300.38△0.04うち預け金等63,294,69627,5490.0462,868,71434,7300.050.01資金調達勘定204,217,39631,6150.01206,379,88127,3870.01△0.00うち貯金194,561,69412,9630.00194,808,66210,4870.00△0.00うち債券貸借取引受入担保金5,14250.0924,978250.100.00 (注) 1.「国内業務部門」は円建取引であります。2.金銭の信託に係る収益及び費用を「その他経常収益」「その他経常費用」に計上しておりますので、資金運用勘定は金銭の信託の平均残高(前事業年度2,751,073百万円、当事業年度2,340,262百万円)を控除し、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前事業年度2,751,073百万円、当事業年度2,340,262百万円)及び利息(前事業年度△2,532百万円、当事業年度△7,722百万円)を控除しております。3.預け金等は、譲渡性預け金、日銀預け金、コールローン、買入金銭債権であります。「ロ.国際業務部門」「ハ.合計」においても同様であります。4.貯金は銀行法施行規則の負債科目「預金」に相当するものであります。「ハ.合計」においても同様であります。 ロ.国際業務部門種類前事業年度当事業年度増減平均残高利息利回り平均残高利息利回り利回り(百万円) (百万円) (%)(A)(百万円) (百万円) (%)(B)(%)(B)-(A)資金運用勘定76,608,908925,6691.2081,605,9871,123,5041.370.16うち貸出金30,2501610.5328,4631590.560.02うち有価証券76,363,251917,6481.2081,379,1031,113,4371.360.16うち預け金等-------資金調達勘定73,333,363416,7260.5677,432,518652,6240.840.27うち債券貸借取引受入担保金1,786,87852,1732.912,230,406125,1795.612.69 (注) 1.「国際業務部門」は外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引については、「国際業務部門」に含めております。2.ゆうちょ銀行は、海外店及び海外子会社を有しておりません。3.金銭の信託に係る収益及び費用を「その他経常収益」「その他経常費用」に計上しておりますので、資金運用勘定は金銭の信託の平均残高(前事業年度2,357,381百万円、当事業年度2,926,795百万円)を控除し、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前事業年度2,357,381百万円、当事業年度2,926,795百万円)及び利息(前事業年度13,396百万円、当事業年度24,667百万円)を控除しております。 ハ.合計種類前事業年度当事業年度増減平均残高利息利回り平均残高利息利回り利回り(百万円) (百万円) (%)(A)(百万円) (百万円) (%)(B)(%)(B)-(A)資金運用勘定219,606,7591,232,4080.56221,859,8931,396,9380.620.06うち貸出金5,210,1709,7500.185,913,1939,6760.16△0.02うち有価証券140,096,6121,189,7340.84141,834,8971,343,8680.940.09うち預け金等63,294,69627,5490.0462,868,71434,7300.050.01資金調達勘定210,337,804447,2940.21211,798,933681,3940.320.10うち貯金194,561,69412,9630.00194,808,66210,4870.00△0.00うち債券貸借取引受入担保金1,792,02052,1792.912,255,384125,2045.552.63 (注) 1.金銭の信託に係る収益及び費用を「その他経常収益」「その他経常費用」に計上しておりますので、資金運用勘定は金銭の信託の平均残高(前事業年度5,108,455百万円、当事業年度5,267,058百万円)を控除し、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前事業年度5,108,455百万円、当事業年度5,267,058百万円)及び利息(前事業年度10,863百万円、当事業年度16,945百万円)を控除しております。2.「国内業務部門」「国際業務部門」間の内部取引による相殺消去額(資金貸借の平均残高及び資金貸借に係る利息)は下表のとおりであります。 前事業年度当事業年度平均残高(百万円)利息(百万円)平均残高(百万円)利息(百万円)国内業務部門・資金運用勘定67,212,9551,04772,013,466△1,382国際業務部門・資金調達勘定67,212,9551,04772,013,466△1,382 (d) 役務取引等利益の状況当事業年度の役務取引等利益は、前事業年度比51億円増加の1,515億円となりました。 前事業年度(百万円)(A)当事業年度(百万円)(B)増減(百万円)(B)-(A)役務取引等利益146,354151,5295,175為替・決済関連手数料91,12189,217△1,904ATM関連手数料32,89037,3224,431投資信託関連手数料11,89212,215323その他10,44912,7742,324 (参考) 投資信託・ゆうちょファンドラップの取扱状況 前事業年度(百万円)(A)当事業年度(百万円)(B)増減(百万円)(B)-(A)販売金額247,341435,771188,430残高2,405,1232,766,336361,212 (e) 預金残高の状況当事業年度末の貯金残高は前事業年度末比2兆1,485億円減少の192兆8,029億円となりました。○ 預金の種類別残高(末残・構成比) 種類前事業年度当事業年度増減金額(百万円)(A)構成比(%)金額(百万円)(B)構成比(%)金額(百万円)(B)-(A)預金合計194,951,503100.00192,802,939100.00△2,148,563流動性預金119,611,34361.35124,314,46764.474,703,124振替貯金12,710,6006.5112,694,3586.58△16,241通常貯金等106,132,12054.44110,801,85257.464,669,731貯蓄貯金768,6220.39818,2570.4249,634定期性預金75,217,32638.5868,379,58535.46△6,837,740定期貯金3,307,1431.693,581,7971.85274,653定額貯金71,910,18336.8864,797,78833.60△7,112,394その他の預金122,8330.06108,8850.05△13,947譲渡性預金-----総合計194,951,503100.00192,802,939100.00△2,148,563 ○ 預金の種類別残高(平残・構成比) 種類前事業年度当事業年度増減金額(百万円)(A)構成比(%)金額(百万円)(B)構成比(%)金額(百万円)(B)-(A)預金合計194,561,694100.00194,808,662100.00246,968流動性預金116,105,78059.67122,762,76563.016,656,985振替貯金11,263,2165.7812,868,2126.601,604,995通常貯金等104,110,68753.51109,099,52656.004,988,839貯蓄貯金731,8760.37795,0260.4063,150定期性預金78,238,47540.2171,824,09036.86△6,414,385定期貯金3,869,5941.983,215,8911.65△653,702定額貯金74,368,88138.2268,608,19835.21△5,760,682その他の預金217,4380.11221,8060.114,368譲渡性預金-----総合計194,561,694100.00194,808,662100.00246,968 (注) 1.通常貯金等=通常貯金+特別貯金(通常郵便貯金相当)2.貯金は銀行法施行規則の負債科目「預金」に相当するものであります。「振替貯金」は「当座預金」、「通常貯金」は「普通預金」、「貯蓄貯金」は「貯蓄預金」、「定期貯金」は「定期預金」に相当するものであります。「定額貯金」は「その他の預金」に相当するものでありますが、「定期性預金」に含めております。3.特別貯金(通常郵便貯金相当)は郵政管理・支援機構からの預り金のうち、郵政管理・支援機構が公社から承継した定期郵便貯金、定額郵便貯金、積立郵便貯金、住宅積立郵便貯金、教育積立郵便貯金に相当する郵便貯金で満期となったものなどであります。4.上記の通常貯金、定期性預金は、「第1 企業の概況 3 事業の内容 (3) 事業に係る主な法律関連事項 ③ 郵政民営化法 (f) ゆうちょ銀行における預入限度額」に記載の郵政民営化法における預入限度額規制上の区分とは異なります。 (f) 資産運用の状況(末残・構成比)当事業年度末の運用資産のうち、国債は43.8兆円、その他の証券は86.6兆円となりました。種類前事業年度当事業年度増減金額(百万円)(A)構成比(%)金額(百万円)(B)構成比(%)金額(百万円)(B)-(A)預け金等68,283,56730.1657,872,31025.04△10,411,256コールローン2,460,0001.082,010,0000.86△450,000買現先勘定9,788,4524.329,742,6214.21△45,830債券貸借取引支払保証金250,2410.11--△250,241金銭の信託6,564,7382.896,163,5852.66△401,152うち国内株式1,857,6600.821,127,5520.48△730,108うち国内債券1,270,6090.561,210,8490.52△59,759有価証券132,769,42058.64146,459,32263.3813,689,902国債38,114,71116.8343,862,08318.985,747,371地方債5,640,8682.495,634,8282.43△6,039短期社債1,400,8950.61891,9240.38△508,971社債9,233,5794.079,443,4224.08209,843株式22,0780.0022,1770.0099その他の証券78,357,28634.6186,604,88537.488,247,599うち外国債券26,139,01011.5429,326,78812.693,187,778うち投資信託52,110,20023.0157,156,05224.735,045,851貸出金5,604,3662.476,848,3932.961,244,026その他659,6740.291,961,8090.841,302,135合計226,380,460100.00231,058,043100.004,677,583 (注) 「預け金等」は譲渡性預け金、日銀預け金、買入金銭債権であります。 (g) 評価損益の状況(末残)当事業年度末の評価損益(その他目的)は、内外金利の上昇等に伴い、ヘッジ考慮後で、前事業年度末から915億円悪化し、1,224億円(税効果前)となりました。 前事業年度(A)当事業年度(B)増減(B)-(A)貸借対照表計上額/想定元本評価損益/ネット繰延損益貸借対照表計上額/想定元本評価損益/ネット繰延損益貸借対照表計上額/想定元本評価損益/ネット繰延損益(百万円)(百万円)(百万円)(百万円)(百万円)(百万円)その他目的 112,766,0181,117,315115,528,0821,947,5272,762,064830,211有価証券①106,201,2801,216,159109,364,4973,458,9613,163,2172,242,802国債 23,072,127△423,81623,312,956△881,501240,828△457,684外国債券 22,365,2821,476,12922,408,5373,393,04943,2541,916,920投資信託 52,110,200184,01157,156,052988,1305,045,851804,118その他 8,653,668△20,1656,486,951△40,717△2,166,717△20,552時価ヘッジ効果額②―△1,306,052―△2,256,228―△950,176金銭の信託③6,564,7381,207,2096,163,585744,794△401,152△462,414国内株式 1,857,6601,104,9101,127,552732,729△730,108△372,181その他 4,707,077102,2995,036,03312,065328,955△90,233デリバティブ取引(繰延ヘッジ適用分)④18,078,012△903,30417,353,097△1,825,051△724,915△921,747評価損益合計①+②+③+④―214,011―122,475―△91,536 (注) 「有価証券」には、有価証券のほか、現金預け金中の譲渡性預け金、買入金銭債権を含んでおります。 前事業年度(A)当事業年度(B)増減(B)-(A)貸借対照表計上額評価損益貸借対照表計上額評価損益貸借対照表計上額評価損益(百万円)(百万円)(百万円)(百万円)(百万円)(百万円)満期保有目的の債券27,053,673△305,32037,540,157△509,89010,486,483△204,570 (h) 業種別貸出金残高の状況(末残・構成比)業種別前事業年度当事業年度増減金額(百万円)(A)構成比(%)金額(百万円)(B)構成比(%)金額(百万円)(B)-(A)国内(除く特別国際金融取引勘定分)5,571,866100.006,828,393100.001,256,526農業、林業、漁業、鉱業-----製造業114,6762.05144,4202.1129,744電気・ガス等、情報通信業、運輸業98,5631.7679,8321.16△18,731卸売業、小売業38,5850.6954,0010.7915,416金融・保険業477,7638.57415,1826.08△62,581建設業、不動産業113,6542.03121,1011.777,446各種サービス業、物品賃貸業74,8251.3472,4221.06△2,402国、地方公共団体4,573,37882.075,868,19585.931,294,817その他80,4191.4473,2361.07△7,182国際及び特別国際金融取引勘定分32,500100.0020,000100.00△12,500政府等-----その他32,500100.0020,000100.00△12,500合計5,604,366―6,848,393―1,244,026 (注) 1.「国内」とは本邦居住者に対する貸出、「国際」とは非居住者に対する貸出であります。2.ゆうちょ銀行は、海外店及び海外子会社を有しておりません。3.「金融・保険業」のうち郵政管理・支援機構向け貸出金は、前事業年度末157,418百万円、当事業年度末118,384百万円であります。 (参考2) 自己資本比率の状況ゆうちょ銀行の自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。なお、ゆうちょ銀行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。 連結自己資本比率(国内基準) (単位:億円、%) 2024年3月31日1.連結自己資本比率(2/3)15.012.連結における自己資本の額93,2593.リスク・アセット等の額621,1904.連結総所要自己資本額24,847 (注) 連結総所要自己資本額は、上記3.に記載しているリスク・アセット等の額に4%を乗じた額であります。 単体自己資本比率(国内基準) (単位:億円、%) 2024年3月31日1.単体自己資本比率(2/3)15.002.単体における自己資本の額93,2173.リスク・アセット等の額621,0414.単体総所要自己資本額24,841 (注) 単体総所要自己資本額は、上記3.に記載しているリスク・アセット等の額に4%を乗じた額であります。 (参考3) 資産の査定資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号)第6条に基づき、ゆうちょ銀行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。 (a) 破産更生債権及びこれらに準ずる債権破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。 (b) 危険債権危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。 (c) 要管理債権要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。 (d) 正常債権正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記(a)から(c)までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。 資産の査定の額債権の区分2023年3月31日2024年3月31日金額(億円)金額(億円)破産更生債権及びこれらに準ずる債権--危険債権00要管理債権--正常債権 57,31870,326 ⑤ 生命保険業かんぽ生命保険では、2019年度に判明したかんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題を受け、これらの構造的要因等を踏まえた業務改善計画を策定し、計画の実行を経営の最重要課題と位置づけ、再発防止策を講じてきました。2023年12月、監督官庁から、業務改善命令に基づく報告については、以後、提出を要しないこととし、改善状況の進捗については通常の監督・モニタリングにおいて継続的に確認していくこととする旨の通知を受けました。これを受け、今後は当社グループの経営陣がリーダーシップを発揮して、継続的な効果確認と適時適切な見直しを図っていくこととし、当社グループの各関係部署で把握した実態の共有及び必要な見直しの議論を継続的に行う体制を構築しました。また、お客さまの多様な保障ニーズに対応した保険サービスを提供するため、専門性と幅広さを兼ね備えた新しいかんぽ営業体制を構築し、当社グループ一体での総合的なコンサルティングサービスを提供しております。リテール領域では、2022年度に導入したお客さま担当制の下、コンサルタントや郵便局がお客さま一人ひとりの担当者又は担当局として責任をもち、お客さまに寄り添った質の高い細やかなアフターフォローに取り組んでおります。法人営業領域では、法人営業部門ビジョン「社員一人ひとりがお客さまや地域社会とともに進化することに挑戦し続けます」に基づき、引き続き、メインマーケットである中小企業の経営者に寄り添い、より質の高いサービスをご意向に合わせてご提供することにより、お客さまとの真の信頼関係の構築・拡大に取り組んでおります。上記の新しいかんぽ営業体制に基づく取組に加えて、「事業基盤の強化」と「お客さま体験価値(CX)の向上」に向けて取り組んでおります。「事業基盤の強化」については、「保険サービスの充実」、「資産運用の深化・高度化」等に取り組んでおります。「保険サービスの充実」に向けた具体的な取組としては、人生100年時代における、あらゆる世代のお客さまの保障ニーズにお応えするため、2023年4月に、万が一の保障とあわせて教育資金を確実に準備できる学資保険「はじめのかんぽ」について、戻り率※の改善を主な目的として商品改定を実施したことに加えて、2024年1月に、中高年齢層のお客さまの一生涯の死亡保障ニーズの他、自身が亡くなった際の葬儀費用や遺族の生活資金等を速やかに確保しておきたいというニーズにお応えできるよう、一時払終身保険の販売を開始しました。「資産運用の深化・高度化」については、保険金等の確実なお支払いのためALMを基本としつつ、低金利環境下における安定的な利差益の確保を目指し、リスク許容度の範囲で、収益追求資産への投資を継続しております。また、海外金利の上昇と為替に係るヘッジコストの上昇を踏まえて、外国債券の残高を減らしつつ、オルタナティブ投資については、段階的な残高の積み上げを継続しております。これらの資産運用の取組は、統合的リスク管理(ERM)の枠組みのもとで行っており、財務の健全性の確保やリスク対比リターンの向上を図っております。このほか、サステナブル投資については、「Well-being向上」、「地域と社会の発展」、「環境保護への貢献」を重点取組テーマとし、かんぽ生命らしい“あたたかさ”の感じられる投資に取り組んでおります。「お客さま体験価値(CX)の向上」については、お客さまに「かんぽ生命に入っていてよかった」と感動いただくために、お客さまの利便性向上のための「請求手続きのデジタル化」と「リアルとデジタルを織り交ぜたお客さまへのアフターフォロー」に取り組んでおります。まず、「請求手続きのデジタル化」の具体的な取組として、2023年5月より、ご契約者さま等に向けたWebサービス(マイページ)において、貸付請求を利用できる保険契約の対象範囲を拡大したことに加えて、同年9月にも、ご契約者さまのご家族もご契約内容を閲覧できる機能等を追加しております。次に「リアルとデジタルを織り交ぜたお客さまへのアフターフォロー」の具体的な取組として、2023年5月より、マイページからの請求時に専門スタッフ(カスタマーセンタースタッフ)がチャットでお客さまのご不明点に回答する「リアルタイムサポート」のサポート対象に貸付請求を追加したことに加えて、2024年2月より、各種請求や手続きを実施したお客さま情報等をかんぽ生命保険の本社からそのお客さまを担当するコンサルタントへ適時に連携・通知する取組を、かんぽ生命保険の全ての支店を対象に実施しております。このような取組を行った結果、当連結会計年度の生命保険業におきましては、保有契約は減少したものの、2024年1月から一時払終身保険の販売を開始したこと等による保険料等収入の増加等により、経常収益は6,744,227百万円(前期比364,665百万円増)となりました。また、新型コロナウイルス感染症に係る保険金支払の減少により基礎利益が増加したことに加え、当該保険金支払の減少等により危険準備金の繰入額は増加したもののキャピタル損益の大幅な改善により、経常利益は160,915百万円(前期比43,022百万円増)となりました。※ 戻り率とは、払い込みいただく保険料総額に対する、受け取れる学資金の割合のことです。 かんぽ生命保険における保険引受及び資産運用の状況などの詳細な状況については、下記「(参考)生命保険業を行う当社の子会社であるかんぽ生命保険の状況」に記載のとおりであります。 (参考)生命保険業を行う当社の子会社であるかんぽ生命保険の状況(下表(a)イ.~ニ.の個人保険及び個人年金保険には、かんぽ生命保険が郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約を含みません。) (a) 保険引受及び資産運用の状況イ.保有契約高明細表 (単位:千件、百万円)区分前事業年度末当事業年度末件数金額件数金額個人保険13,72238,950,90013,09536,698,079個人年金保険686972,944540754,563 (注) 個人年金保険の金額は、年金支払開始前契約の年金支払開始時における年金原資と年金支払開始後契約の責任準備金額を合計したものであります。 ロ.新契約高明細表 (単位:千件、百万円)区分前事業年度当事業年度件数金額新契約転換による純増加件数金額新契約転換による純増加個人保険314836,677836,665126281,557,8451,557,8378個人年金保険0557557-02,0112,011- (注) 1.件数は、新契約件数に転換後契約件数を加えた数値であります。なお、転換後契約とは、既契約の転換によって成立した契約であります。 2.個人年金保険の金額は、年金支払開始時における年金原資であります。 ハ.保有契約年換算保険料明細表 (単位:百万円)区分前事業年度末当事業年度末個人保険2,353,9832,200,282個人年金保険244,689193,670合計2,598,6722,393,952 うち医療保障・生前給付保障等322,178308,878 (注) 1.年換算保険料とは、1回あたりの保険料について保険料の支払方法に応じた係数を乗じ、1年あたりの保険料に換算した金額であります(一時払契約等は、保険料を保険期間等で除した金額)。2.医療保障・生前給付保障等には、医療保障給付(入院給付、手術給付等)、生前給付保障給付(特定疾病給付、介護給付等)、保険料払込免除給付(障がいを事由とするものは除きます。特定疾病罹患、介護等を事由とするものを含みます。)等に該当する部分の年換算保険料を計上しております。 ニ.新契約年換算保険料明細表 (単位:百万円)区分前事業年度当事業年度個人保険65,888116,830個人年金保険47169合計65,936116,999 うち医療保障・生前給付保障等6,43910,392 (注) 1.年換算保険料とは、1回あたりの保険料について保険料の支払方法に応じた係数を乗じ、1年あたりの保険料に換算した金額であります(一時払契約等は、保険料を保険期間等で除した金額)。2.医療保障・生前給付保障等には、医療保障給付(入院給付、手術給付等)、生前給付保障給付(特定疾病給付、介護給付等)、保険料払込免除給付(障がいを事由とするものは除きます。特定疾病罹患、介護等を事由とするものを含みます。)等に該当する部分の年換算保険料を計上しております。3.新契約年換算保険料は、新契約に係る年換算保険料に、既契約の転換による転換前後の年換算保険料の純増加分を加えた数値であります。 (参考)かんぽ生命保険が郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約の状況(a) 保有契約高 (単位:千件、百万円)区分前事業年度末当事業年度末件数保険金額・年金額 件数保険金額・年金額 保険7,26519,212,5276,60517,487,699年金保険1,240407,3371,169380,861 (注) 計数は、郵政管理・支援機構における公表基準によるものであります。 (b) 保有契約年換算保険料 (単位:百万円)区分前事業年度末当事業年度末保険863,712787,046年金保険408,686385,688合計1,272,3981,172,735 うち医療保障・生前給付保障等270,889255,788 (注) かんぽ生命保険が郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約について、上記ハ.に記載しております個人保険及び個人年金保険の保有契約年換算保険料と同様の計算方法により、かんぽ生命保険が算出した金額であります。 ホ.一般勘定資産の構成区分前事業年度末当事業年度末金額(百万円)構成比(%)金額(百万円)構成比(%)現預金・コールローン1,468,4832.31,192,7302.0買現先勘定1,384,7642.21,047,1921.7債券貸借取引支払保証金----買入金銭債権47,3450.125,3920.0商品有価証券----金銭の信託4,772,3217.66,271,41510.3有価証券49,842,47879.547,694,59778.4 公社債44,743,70671.442,791,94670.3 株式410,0880.7558,5360.9 外国証券2,949,2604.72,168,8413.6 公社債2,787,1214.41,974,5103.2 株式等162,1390.3194,3310.3 その他の証券1,739,4232.82,175,2723.6貸付金3,605,8325.83,281,3135.4 保険約款貸付140,3550.2149,7070.2 一般貸付916,3741.5849,1741.4 機構貸付2,549,1024.12,282,4323.8不動産78,7270.1121,6420.2 うち投資用不動産----繰延税金資産1,028,6621.6636,5241.0その他456,9940.7586,6281.0貸倒引当金△379△0.0△346△0.0合計62,685,230100.060,857,090100.0 うち外貨建資産4,343,3346.94,084,3926.7 (注)1.機構貸付とは、郵政管理・支援機構(簡易生命保険勘定)への貸付であります。 2.不動産については、土地・建物・建設仮勘定を合計した金額を計上しております。 ヘ.一般勘定資産の資産別運用利回り (単位:%)区分前事業年度当事業年度現預金・コールローン0.000.00買現先勘定--債券貸借取引支払保証金--買入金銭債権0.710.96商品有価証券--金銭の信託4.445.17有価証券1.331.40 うち公社債1.491.46 うち株式6.686.53 うち外国証券△0.680.21貸付金1.811.78 うち一般貸付1.061.06不動産--一般勘定計1.431.54 うち海外投融資0.291.88 (注)1.利回り計算式の分母は帳簿価額ベースの日々平均残高、分子は経常損益中、資産運用収益-資産運用費用として算出した利回りであります。  2.一般勘定計には、有価証券信託に係る資産を含めております。  3.海外投融資とは、外貨建資産と円建資産の合計であります。 (b) 基礎利益基礎利益は、保険料等収入、保険金等支払金、事業費等の保険関係の収支と、利息及び配当金等収入を中心とした運用関係の収支からなる、生命保険会社の基礎的な期間損益の状況を表す指標であります。かんぽ生命保険の当事業年度における基礎利益は、2,240億円となりました。 (経常利益等の明細(基礎利益)) (単位:百万円)項目前事業年度当事業年度基礎利益(A)192,346224,005キャピタル収益 287,199427,662 金銭の信託運用益150,378181,439 売買目的有価証券運用益-- 有価証券売却益50,567151,153 金融派生商品収益-- 為替差益6,81413,579 その他キャピタル収益79,43881,491キャピタル費用351,009417,565 金銭の信託運用損-- 売買目的有価証券運用損-- 有価証券売却損177,296177,704 有価証券評価損30671 金融派生商品費用60,58895,835 為替差損-- その他キャピタル費用112,817143,953キャピタル損益(B)△63,81010,097キャピタル損益含み基礎利益(A)+(B)128,535234,103臨時収益-- 再保険収入-- 危険準備金戻入額-- 個別貸倒引当金戻入額-- その他臨時収益--臨時費用10,88371,521 再保険料-- 危険準備金繰入額10,88323,457 個別貸倒引当金繰入額-- 特定海外債権引当勘定繰入額-- 貸付金償却-- その他臨時費用-48,063臨時損益(C)△10,883△71,521経常利益(A)+(B)+(C)117,652162,581 (参考) その他項目の内訳(単位:百万円)項目前事業年度当事業年度基礎利益への影響額33,378110,526 投資信託の解約益△20,826△34 金銭の信託に係るインカム・ゲインに相当する額112,817143,953 為替に係るヘッジコスト△58,612△81,456 既契約の出再に伴う損益-48,063その他キャピタル収益79,43881,491 投資信託の解約益20,82634 金銭の信託に係るインカム・ゲインに相当する額-- 為替に係るヘッジコスト58,61281,456その他キャピタル費用112,817143,953 金銭の信託に係るインカム・ゲインに相当する額112,817143,953 為替に係るヘッジコスト--その他臨時費用-48,063 追加責任準備金繰入額-- 既契約の出再に伴う損益-48,063 (c) かんぽ生命保険の連結ソルベンシー・マージン比率生命保険会社は将来の保険金等の支払いに備えて責任準備金を積み立てており、通常予測できる範囲のリスクについては責任準備金の範囲内で対応できます。ソルベンシー・マージン比率とは、大災害や株価の大暴落など、通常の予測を超えて発生するリスクに対応できる「支払余力」を有しているかどうかを判断するための行政監督上の指標の一つであります。この比率が200%を下回った場合は、当局によって早期是正措置がとられます。逆にこの比率が200%以上であれば、健全性の一つの基準を満たしていることになります。当連結会計年度末におけるかんぽ生命保険の連結ソルベンシー・マージン比率は1,023.2%と高い健全性を維持しております。 (単位:百万円)項目前連結会計年度末当連結会計年度末ソルベンシー・マージン総額(A)5,636,9956,928,566 資本金等 1,552,8751,604,045 価格変動準備金 889,960873,799 危険準備金 1,701,8771,725,335 異常危険準備金 -- 一般貸倒引当金 3131 (その他有価証券評価差額金(税効果控除前)・繰延ヘッジ損益(税効果控除前))×90%(マイナスの場合100%) 989,5082,206,874 土地の含み損益×85%(マイナスの場合100%) 2,534△21,656 未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用の合計額 3,2733,033 全期チルメル式責任準備金相当額超過額 249,674214,749 負債性資本調達手段等 300,000400,000 全期チルメル式責任準備金相当額超過額及び負債性資本調達手段等のうち、マージンに算入されない額 -- 控除項目 △52,740△77,647 その他 --リスクの合計額[{(R12+R52)1/2+R8+R9}2+(R2+R3+R7)2]1/2+R4+R6(B)1,117,1281,354,164 保険リスク相当額R1119,580107,916 一般保険リスク相当額R5-- 巨大災害リスク相当額R6-- 第三分野保険の保険リスク相当額R840,82437,822 少額短期保険業者の保険リスク相当額R9-- 予定利率リスク相当額R2118,481108,247 最低

※本記事は「日本郵政株式会社」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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