日本電気株式会社の基本情報

会社名日本電気株式会社
業種電気機器
従業員数連105276名 単22210名
従業員平均年齢43.3歳
従業員平均勤続年数17.5年
平均年収8804235円
1株当たりの純資産4541.84円
1株当たりの純利益828.66円
決算時期3月
配当金120円
配当性向14.5%
株価収益率(PER)13.26倍
自己資本利益率(ROE)19.8%
営業活動によるCF2712億円
投資活動によるCF▲760億円
財務活動によるCF▲1555億円
研究開発費※1202.68億円
設備投資額※1867.05億円
販売費および一般管理費※11633.99億円
株主資本比率※243.7%
有利子負債残高(連結)※3※40円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、NECグループが判断したものです。 (1) 会社の経営の基本方針NECグループは、NECグループが共通でもつ価値観であり、行動の原点として「NEC Way」を規定しています。 「NEC Way」は、企業としてふるまう姿を示した「Purpose(存在意義)」「Principles(行動原則)」と、NECグループの一人ひとりの価値観・ふるまいを示した「Code of Values(行動基準)」「Code of Conduct(行動規範)」で構成されています。 「Purpose(存在意義)」は、Orchestrating a brighter worldをもとに、豊かな人間社会に貢献する姿を示した宣言です。 NECは、安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現を目指します。 「Principles(行動原則)」は、NECグループとしての行動のもととなる原則であり、次の3つの心構えを示しています。 創業の精神「ベタープロダクツ・ベターサービス」常にゆるぎないインテグリティと人権の尊重あくなきイノベーションの追求 「Code of Values(行動基準)」は、NECグループの一人ひとりが体現すべき日常的な考え方や行動の在り方を示した行動基準です。 視線は外向き、未来を見通すように思考はシンプル、戦略を示せるように心は情熱的、自らやり遂げるように行動はスピード、チャンスを逃さぬように組織はオープン、全員が成長できるように 「Code of Conduct(行動規範)」は、NECグループの一人ひとりに求められるインテグリティ(高い倫理観と誠実さ)についての具体的な指針であり、次の章から構成されています。 1.基本姿勢2.人権尊重3.環境保全4.誠実な事業活動5.会社財産・情報の管理コンプライアンスに関する疑問・懸念相談、報告 NECグループは、「Purpose」を全うするため、「Principles」に基づき、中期経営計画をはじめとする中長期的な経営戦略を実践し、社会価値の継続的な創出と企業価値の最大化をはかっていきます。また、NECグループの一人ひとりが、「Code of Values」に基づき、自らの働き方や組織のあり方を常に見直し、改善するとともに、高い倫理観と誠実さをもったよき企業人として「Code of Conduct」を遵守していきます。社会や顧客が期待する価値は常に変化し続けていることから、NECグループがこれからも社会から必要とされる存在であり続けるためには、何が価値となるのかを常に考え、新たな価値を創造していく必要があります。NECグループは、情報通信技術とさまざまな知見・アイデアを融合することで、世界の国々や地域の人々と協奏しながら、明るく希望に満ちた暮らしと社会を実現して未来に繋げてまいります。 (2) 目標とする経営指標NECグループは、企業価値の最大化に向けて、Purpose・戦略・文化の一体的な取り組みを経営方針として掲げています。Purposeの具現化に向けて、戦略ではEBITDA成長率(*1)を、文化ではエンゲージメントスコアを、特に中核指標と位置づけています。加えて、売上収益、調整後営業利益(*2)、Non-GAAP営業利益(*3)、親会社の所有者に帰属するNon-GAAP当期利益(*4)、EBITDA(*5)およびROIC(*6)を経営上の目標として掲げています。*1 EBITDA成長率:2020年度から2025年度までの期間におけるEBITDAの年平均の成長率を意味します。*2 調整後営業利益:営業利益から、買収により認識した無形資産の償却費およびM&A関連費用(ファイナンシャルアドバイザリー費用など)を控除した利益指標です。*3 Non-GAAP営業利益:営業利益から、買収により認識した無形資産の償却費およびM&A関連費用(ファイナンシャルアドバイザリー費用など)ならびに構造改革関連費用、減損損失、株式報酬その他の一過性損益を控除した本源的な事業の業績を測る利益指標です。*4 親会社の所有者に帰属するNon-GAAP当期利益:親会社の所有者に帰属する当期利益から税引前当期利益に係る調整項目およびこれらに係る税金相当・非支配持分相当を控除した、親会社の所有者に帰属する本源的な事業の業績を測る利益指標です。*5 EBITDA:売上総利益-販売管理費+減価償却費・償却費*6 ROIC:(調整前営業利益-みなし法人税<30.5%>)÷(期末有利子負債+期末純資産<非支配持分含む>)(3) 経営環境当連結会計年度の経済環境は、欧米を中心に物価水準の高止まりとこれまでの金融引き締め政策などの影響により、世界経済の改善ペースは緩やかなものとなりました。日本経済は、物価高などの影響により、民間需要を中心に改善ペースが緩やかなものとなりました。一方で、IT投資が世界的に活性化しており、国内においても過去最高水準の投資意欲がみられます。従来型ITインフラのクラウドシフト、通信インフラの増強などが需要を強く下支えし、社会全体のデジタル化が進展しています。また、質問や指示に応じて文章や画像を生成する「生成AI(人工知能)」が大きな注目を集め、AIによる働き方や社会の変革にも大きな関心が寄せられています。環境問題をはじめとした社会課題がますます深刻化・複雑化する中で、持続可能な社会の実現に向けた企業の貢献が求められており、テクノロジーの役割が増大しています。このような経営環境のもと、NECグループは、Purpose・戦略・文化の一体的な取り組みを経営方針として掲げる「2025中期経営計画」を策定し、高いモチベーションをもって、ITサービス事業および社会インフラ事業を中心とした成長の実現や、サステナビリティ経営の基盤強化などを目指します。 (4) 中長期的な会社の経営戦略および対処すべき課題NECグループは、2021年5月に発表した「2025中期経営計画」に基づき、Purpose・戦略・文化の一体的な取り組みを経営方針として掲げ、その実現に向けて、役員・社員一丸となって取り組んでいます。 ① PurposeNECグループは、「NEC Way」において、安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現をPurposeとして掲げています。社会価値を創造する企業として、社会や顧客との「未来の共感」を創ることで、その実現を目指します。 ② 戦略NECグループの強みである技術力を顧客価値に転換し、「ITサービス」および「社会インフラ」の事業を中心に成長を実現します。「ITサービス」のうち、国内ITサービス事業では、DX(デジタルトランスフォーメーション)事業の共通基盤である「NECデジタルプラットフォーム」(*)において、クラウド、モダナイゼーション、AI (特に生成AI) 、セキュリティを中心に強化することで、高い売上成長と収益性の実現を目指します。コンサル起点で戦略構想策定から実装・運用までをEnd to Endで支援するビジネス(コンサル起点ビジネス)においては、アビームコンサルティング㈱との連携を通じて、上流コンサルを起点に顧客との価値共創ビジネスを拡大します。加えて、社会の変革を後押しするプロジェクトについても、当社の強みを活かし、政策と連動することで、新たな事業機会を創出します。海外ITサービス事業(デジタル・ガバメントおよびデジタル・ファイナンス)では、売上拡大による利益底上げに加え、収益性の高いソフトウェア・SaaS事業に注力し、オフショア拡大やコスト削減などによる競争力強化をはかります。「社会インフラ」のうち、テレコムサービス事業では、通信領域の仮想化・オープン化を推進し、ソフトウェア・サービスや通信事業者のDX(デジタルトランスフォーメーション)といった高付加価値領域の拡大による収益性の向上を目指します。また、パートナー企業との連携強化により、国内外へ販路を広げていきます。エアロスペース・ナショナルセキュリティ事業では、獲得済の案件を着実に実行するとともに新規案件の獲得により事業拡大をはかります。新規事業開発では、AI関連事業、ヘルスケア・ライフサイエンス事業およびカーボンニュートラル関連事業において、NECグループがグローバルで強みを持つ技術をベースに、海外を含む先端顧客、研究機関との協業やNECグループが近年培ってきた新事業開発ノウハウ・手法を用いて事業化を進めていきます。上記に加え、利益率が低い事業については、CFO主導による徹底的なモニタリングを強化しており、着実な収益性の改善をはかっていきます。また、改善計画が未達成となった場合には、事業撤退を含めた経営判断を行うなどして、各事業における堅調な成長と競合他社を上回る利益率の実現を目指します。これらの成長戦略の実行の裏付けとなる財務力については、持続的なEBITDAの成長に加え、保有資産の最適化を進めることでキャッシュ・フローを創出します。それらを原資に事業成長を重視したキャピタル・アロケーションを実行するとともに、強固な財務基盤の維持・強化をはかり、今後の成長投資を支えます。また、NECグループでは、Purpose経営を推進するために、ESG視点の経営優先テーマとして「マテリアリティ」を特定しています。マテリアリティの実践を通じて大きな社会・環境価値および経済価値を創出し、主要なESGインデックス銘柄への継続的な組み入れを目指します。 ③ 文化Purposeの実現には、高いモチベーションをもつ社員の存在が不可欠であることから、社員に選ばれる会社(Employer of Choice)への変革を目指し、人とカルチャーの変革に取り組んでいます。2024年度は、社員が「NEC Way」に基づく会社の方向性を理解、共感し、自身の仕事に誇りを持って働けるよう全社方針・戦略の浸透を強化します。具体的には、NECグループ各社で実施しているタウンホールミーティングをグローバルでも実施し、経営層とのコミュニケーションを強化します。加えて、各組織のリーダーが自組織の「NEC Way」実践を伝える連鎖ミーティングを実施することで、組織が向かう方向性に対する社員の理解を促進します。また、市場の変化にしなやかかつスピーディに対応し、かつパフォーマンスに応じたフェアな評価をするために全社員を対象としたジョブ型人材マネジメント制度を導入し、「適時適所適材」の実現や、イノベーションの源泉であるダイバーシティのさらなる加速を推進します。さらに、経営インフラについては、社員の仕事の仕方そのものを変えるべく、組織の変革を成功に導くための管理手法であるチェンジマネジメントを強化するとともに、様々なデータを蓄積し、デジタル技術を駆使してビジネスのあらゆる局面においてデータ主導での意思決定をする経営(データドリブン経営)を推進することにより、会社の成長と収益性の向上を目指します。 上記の各施策を通じて、2025年度に、EBITDA成長率8%およびエンゲージメントスコア50%、ならびに、売上収益3兆5,000億円、調整後営業利益3,000億円(利益率8.6%)、Non-GAAP営業利益3,000億円(利益率8.6%)、親会社の所有者に帰属するNon-GAAP当期利益1,850億円(利益率5.3%)、EBITDA4,250億円(利益率12.1%)、ROIC6.5%の達成を目指します。NECグループは、Purposeの実現に向け、「2025中期経営計画」の達成をとおして、国際連合の定める「SDGs」の達成に貢献します。 * 2024年5月にNECデジタルプラットフォームは、価値創造モデル「BluStellar(ブルーステラ)」へ進化しました。
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】※当連結会計年度から、セグメントを変更しています。また、前連結会計年度との比較数値については、前連結会計年度の数値を新たなセグメントに組み替えて表示しています。 (1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度におけるNECグループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。 ① 財政状態および経営成績の状況当連結会計年度の経済環境は、欧米を中心に物価水準の高止まりとこれまでの金融引き締め政策などの影響により、世界経済における改善ペースが緩やかなものとなりました。また、日本経済においても、物価高などの影響により、民間需要を中心に改善ペースが緩やかなものとなりました。このような事業環境のもと、NECグループは、2021年5月に発表した「2025中期経営計画」に基づき、Purpose・戦略・文化の一体的な取り組みを経営方針に掲げて、事業活動を行いました。「戦略」においては、2023年4月から事業セグメントを「ITサービス」および「社会インフラ」に変更し、各事業を推進しています。「ITサービス」のうち、国内ITサービス事業では、継続的にIT投資が旺盛だったことに加えて、DX(デジタルトランスフォーメーション)の領域における需要の高まりを背景に、NECデジタルプラットフォームに関するビジネスとコンサル起点ビジネスが拡大しました。NECデジタルプラットフォームについては、特に成長が見込まれる生成AIの事業戦略において、2023年7月に当社独自の生成AIの開発・提供開始を発表した後、2023年11月に相模原市と共同検証を開始しました。そして、2023年12月には、これに生成AI「cotomi(コトミ)」という名称を付けたうえで、更なる性能の強化・拡充を発表しました。コンサル起点ビジネスについては、当社子会社であるアビームコンサルティング㈱を中心に、お客様の産業・経営アジェンダに対応した変革テーマの創出と変革ロードマップを策定するなど価値共創ビジネスを拡大しました。また、DX領域の技術者も2020年度末時点の2倍に相当する1万人超を確保するなど人材も強化しました。海外ITサービス事業(デジタル・ガバメントおよびデジタル・ファイナンス)は、2023年6月に当社子会社であるアバロク社がアメリカの資産運用会社であるブラックロック社と戦略的パートナーシップを締結しました。このパートナーシップによりクライアントへの更なる付加価値の提供が可能になりました。「社会インフラ」のうち、テレコムサービス事業では、グローバル5Gに関して、国内5G基地局を中心に商用商談の開拓と、ソフトウェア・サービスを中心とした高付加価値事業へのシフトを進め、㈱NTTドコモの5G商用サービス向け仮想化基地局(vRAN)ベンダーに選定されました。また、海外5G領域においては、コストコントロールを徹底することで財務の健全化をはかったことなどにより、収益性が改善しました。エアロスペース・ナショナルセキュリティ領域では、ナショナルセキュリティへの意識の高まりを背景とした日本政府の防衛予算の増加に伴い、案件の獲得が増加しており今後の成長が期待されます。次の柱となる新規事業開発にも取り組んでおり、ヘルスケア・ライフサイエンス事業では、バイオテクノロジー企業であるフランスのトランスジーン社およびAIによる分子・免疫プロファイリングのリーディング企業であるアメリカのボストンジーン社の2社と、頭頸部がんに対する個別化ネオアンチゲンがんワクチンの第I/II相臨床試験に向けた協業を拡大しました。また、デジタルヘルスケアサービスである「フォーネスビジュアス(FonesVisuas)」においても、「検査日から5年以内の認知症の発症リスク予測」、「4年以内の慢性腎不全の発症リスク予測」および「『たばこの影響』による現在の体の状態」の3つを新たな検査項目として追加したうえで、提供を開始しました。農業領域では、住友商事㈱と協力してAIを用いて農作物栽培を支援するサービス「CropScope(クロップスコープ)」を2024年中にグローバルに展開し、テクノロジーで食料の安定生産を支援していきます。コーポレート・ガバナンスについては、取締役会の監督機能の強化と、取締役会から執行役への大幅な権限委譲による意思決定と事業遂行の迅速化を目的とし、指名委員会等設置会社へと移行しました。また、2024年3月には上場子会社であった日本航空電子工業㈱の株式を一部売却し、非連結化しました。「文化」においては、「2025中期経営計画」に基づいた施策として、主に「『ジョブ型人材マネジメント』への移行に向けた人事制度改定」、「『Inclusion & Diversity』の加速」および「『経営インフラ』の高度化」を実行しました。「ジョブ型人材マネジメント」については、2024年4月から全社員に導入しましたが、これに先駆けて2023年度から統括部長以上に導入し、会社としての「適時適所適材」を進めるとともに、社員のキャリア自律をサポートする仕組みと環境の下地を構築しました。「Inclusion & Diversity」については、多様な人材が活躍する会社を目指して、キャリア採用者や女性・外国人社員の登用を進めており、特に役員における女性・外国人の割合が2年間で約10ポイント向上しました(*)。「経営インフラ」については、フラッグシップとして社内基幹システムを刷新し、2023年度から順次機能を稼働させました。これにより、会社全体の商談プロセスを標準化・システム化し、商談段階でのオペレーションを改善しました。また、NECグループが世界に誇る生体認証技術やデジタルIDを活用したオフィス入退場、業務用パソコンへのログイン、社内売店での決済などに加え、各種業務での生成AIの活用などにより、当社自身をゼロ番目のクライアントとして最先端のテクノロジーを実践する「クライアントゼロ」の考え方のもと、当社が先んじて課題に取り組み変革を推進しています。また、そこで得た経験をリファレンスとしてお客様や社会に提供したいと考えています。「NEC 2030VISION」で示した未来の社会像の実現に向けて自らその構想を発信し、ステークホルダーとともに新たな価値の創造と社会への実装を目指すソートリーダーシップ活動として、スイスで行われたダボス会議への参加や、NECグループのシンクタンクである㈱国際社会経済研究所の体制強化、NECグループの注力領域に関するホワイトペーパーの発行などを行い、未来の共感創りの加速と成長事業の社会実装への貢献を推進しました。これらの取り組みに加え、経営幹部と社員との継続的なコミュニケーションを実施したことなどにより、「2025中期経営計画」で指標に掲げたエンゲージメントスコアが、2020年度の25%から39%へと改善しました。なお、「2025中期経営計画」では、エンゲージメントスコアを50%まで上げることを目標としており、これは概ねグローバル上位25パーセンタイルに該当します。このような経営環境のもと、当連結会計年度の売上収益は3兆4,773億円(前連結会計年度比5.0%増)、営業利益は1,880億円の利益(同176億円増加)、調整後営業利益は2,236億円の利益(同180億円増加)、Non-GAAP営業利益は2,276億円の利益(同305億円増加)、税引前利益は1,850億円の利益(同173億円増加)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,495億円の利益(同350億円増加)、親会社の所有者に帰属するNon-GAAP当期利益は1,778億円の利益(同450億円増加)となりました。また、当連結会計年度のフリー・キャッシュ・フロー(「営業活動によるキャッシュ・フロー」と「投資活動によるキャッシュ・フロー」の合計額)は、1,952億円の収入となりました。当連結会計年度末の有利子負債(短期借入金、コマーシャル・ペーパー、1年内返済予定の長期借入金、1年内償還予定の社債、社債、長期借入金およびリース負債を合計したもの)残高は、前連結会計年度末に比べ598億円減少し、5,486億円となり、デット・エクイティ・レシオ(D/Eレシオ、自己資本(「資本合計」から「非支配持分」を控除したもの)に対する有利子負債の割合)は、0.29倍(前連結会計年度末比0.08ポイント改善)となりました。なお、有利子負債残高から現金及び現金同等物の残高を控除した有利子負債残高(NETベース)は、前連結会計年度末に比べ1,169億円減少の722億円となり、デット・エクイティ・レシオ(NETベース)は0.04倍(前連結会計年度末比0.08ポイント改善)となりました。 * 2021年4月1日時点の取締役、監査役および執行役員に占める女性・外国人の割合と2023年7月1日時点の取締役、執行役、Corporate SEVP、Corporate EVPおよびCorporate SVPに占める女性・外国人の割合を比較しています。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、2,712億円の収入で、前連結会計年度に比べ1,191億円増加しました。これは運転資金の改善や税引前利益が増加したことなどによるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは、760億円の支出で、前連結会計年度に比べ264億円支出額が増加しました。これは有形固定資産の取得の増加などによるものです。この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは1,952億円の収入となり、前連結会計年度に比べ927億円増加しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、子会社において償還オプション付優先株式の発行による収入などがあったものの、リース負債の返済や長期借入金の返済による支出などにより、1,555億円の支出となりました。現金及び現金同等物に係る為替変動による影響は、173億円の増加となりました。上記の結果、現金及び現金同等物は、4,765億円となり、前連結会計年度末に比べ570億円増加しました。 ③ 生産、受注および販売の実績NECグループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメントごとに生産規模、受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。このため、生産、受注および販売の状況については、「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」におけるセグメントの業績に関連づけて示しています。なお、外部顧客への売上収益のうち、連結損益計算書の売上収益の10%以上を占める相手先がないため、主要な販売先に関する記載を省略しています。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点によるNECグループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、NECグループが判断したものです。連結財務諸表の作成には、期末日における資産、負債、偶発資産および偶発債務ならびに会計期間における収益および費用に影響を与えるような見積りや仮定を必要とします。結果として、このような見積りと実績が異なる場合があります。 ① 当社の概要(主な事業内容)および経営成績に重要な影響を与える要因NECグループの売上は、2つの主要なセグメントであるITサービス事業、社会インフラ事業から生じます。各セグメントの製品およびサービス等の概要は、「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載のとおりです。NECグループの各セグメントの業績は、景気動向およびIT投資の動向や通信事業者の投資動向等に左右されます。 経営成績に重要な影響を与えるその他の要因につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。 ② 重要性がある会計方針および見積り経営陣は、次の重要性がある会計方針の適用における見積りや仮定が連結財務諸表に重要な影響を与えると考えています。 重要性がある会計方針および見積りにつきましては、「第一部 企業情報 第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」と「第一部 企業情報 第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。 ③ 当連結会計年度の経営成績の分析当連結会計年度の売上収益は、3兆4,773億円と前連結会計年度に比べ1,642億円(5.0%)増加しました。これは、ITサービス事業および社会インフラ事業が増収となったことによるものです。収益面につきましては、営業利益は、前連結会計年度に比べ176億円増加し、1,880億円の利益となりました。これは、売上収益の増加などによるものです。また、調整後営業利益は、前連結会計年度に比べ180億円増加し、2,236億円の利益となり、Non-GAAP営業利益は、前連結会計年度に比べ305億円増加し、2,276億円の利益となりました。税引前利益は、営業利益が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ173億円増加し、1,850億円の利益となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、税引前利益が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ350億円増加し、1,495億円の利益となりました。また、親会社の所有者に帰属するNon-GAAP当期利益は、前連結会計年度に比べ450億円増加し、1,778億円の利益となりました。セグメント別実績については次のとおりです。なお、各セグメント別の売上収益については、外部顧客に対する売上収益を記載しています。 a.ITサービス事業売上収益1兆9,151億円(前連結会計年度比    9.1%増)調整後営業利益2,081億円(    同     401億円増加) ITサービス事業の売上収益は、国内の企業向けおよび官公庁向けが好調に推移したことなどにより、前連結会計年度に比べ1,602億円(9.1%)増加し、1兆9,151億円となりました。調整後営業利益は、売上の増加に加え、システム構築領域の収益性向上などにより、前連結会計年度に比べ401億円増加し、2,081億円の利益となりました。 b.社会インフラ事業売上収益1兆840億円(前連結会計年度比    2.1%増)調整後営業利益754億円(    同     16億円増加) 社会インフラ事業の売上収益は、防衛向けが増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ218億円(2.1%)増加し、1兆840億円となりました。調整後営業利益は、通信事業者向けで不採算案件や棚卸資産の評価引当など一過性の費用を計上したものの、売上の増加に加え、5G事業の収益性改善などにより、前連結会計年度に比べ16億円増加し、754億円の利益となりました。 c.その他売上収益4,781億円(前連結会計年度比    3.6%減)調整後営業利益184億円(    同     54億円減少) その他の売上収益は、前連結会計年度に比べ177億円(3.6%)減少し、4,781億円となりました。調整後営業利益は、前連結会計年度に比べ54億円減少し、184億円の利益となりました。 財政状態につきましては、当連結会計年度末の総資産は4兆2,275億円と、前連結会計年度末に比べ2,435億円増加しました。流動資産は、営業債権及びその他の債権や契約資産が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ1,459億円増加し、2兆1,418億円となりました。非流動資産は、その他の非流動資産の増加や為替変動などによるのれんの増加などにより、前連結会計年度末に比べ976億円増加し、2兆857億円となりました。 負債は、2兆1,380億円と前連結会計年度末に比べ667億円増加しました。これは、営業債務及びその他の債務や契約負債などが増加したことなどによるものです。有利子負債残高は、前連結会計年度末に比べ598億円減少の5,486億円となり、デット・エクイティ・レシオは0.29倍(前連結会計年度末比0.08ポイント改善)となりました。また、有利子負債残高から現金及び現金同等物の残高を控除した有利子負債残高(NETベース)は、前連結会計年度末に比べ1,169億円減少の722億円となり、デット・エクイティ・レシオ(NETベース)は、0.04倍(前連結会計年度末比0.08ポイント改善)となりました。 資本は、配当金の支払があったものの、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上に加え、為替変動に伴う在外営業活動体の換算差額の増加や、確定給付制度の再測定の増加など、その他の資本の構成要素が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ1,768億円増加し、2兆895億円となりました。 この結果、親会社の所有者に帰属する持分は1兆9,156億円となり、親会社所有者帰属持分比率は45.3%(前連結会計年度末比4.6ポイント改善)となりました。 ④ 流動性と資金の源泉NECグループは、手許流動性、すなわち、現金及び現金同等物と複数の金融機関との間で締結したコミットメントライン契約の未使用額との合計額を今後の事業活動のための適切な水準に維持することを財務活動の重要な方針としています。当連結会計年度末は、現金及び現金同等物4,765億円、コミットメントライン未使用枠2,380億円、合計7,145億円の手許流動性を確保し、必要な流動性水準を維持しました。なお、現金及び現金同等物は主に円貨であり、その他は米ドルやユーロなどの外国通貨です。また、NECグループは、短期・長期の資金需要を満たすのに十分な調達の枠を維持しています。まず短期資金調達では、その多くを国内コマーシャル・ペーパーの機動的な発行で賄っており、5,000億円の発行枠を維持しています。さらに、不測の短期資金需要の発生やコマーシャル・ペーパーによる調達が不安定になった場合の備えとして、コミットメントライン枠計2,380億円を維持し、常時金融機関からの借入れが可能な体制を敷いています。一方、長期資金調達では、国内普通社債の発行枠2,600億円を維持しています。負債構成の考え方に関しては、必要資金の安定的な確保の観点から、十分な長期資金の確保、およびバランスのとれた直接・間接調達比率の維持を当面の基本方針としており、その状況を示すと次のとおりです。 前連結会計年度末当連結会計年度末長期資金調達比率 *170.8%75.0%直接調達比率 *238.5%42.7%*1 長期資金調達比率は、社債、長期借入金およびその他(1年超のリース債務)の合計を有利子負債で除して計算したものです。*2 直接調達比率は、社債(1年以内償還予定を含む)およびコマーシャル・ペーパーの合計を有利子負債で除して計算したものです。 (3)キャッシュ・フローの状況についてキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。 (4)経営戦略と今後の方針について経営戦略と今後の方針につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。

※本記事は「日本電気株式会社」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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