会社名 | J.フロント リテイリング株式会社 |
業種 | 小売業 |
従業員数 | 連5343名 単233名 |
従業員平均年齢 | 47.4歳 |
従業員平均勤続年数 | 16年 |
平均年収 | 8156493円 |
1株当たりの純資産 | 1309.09円 |
1株当たりの純利益(連結) | 160.35円 |
決算時期 | 年2 |
配当金 | 52円 |
配当性向 | 120.99% |
株価収益率(PER) | 45.32倍 |
自己資本利益率(ROE)(連結) | 6.2% |
営業活動によるCF | 858億円 |
投資活動によるCF | ▲283億円 |
財務活動によるCF | ▲740億円 |
研究開発費※1 | -円 |
設備投資額※1 | 15.97億円 |
販売費および一般管理費※1 | 22033円 |
株主資本比率※2 | 55.8% |
有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】記載された事項で、将来に関するものは、有価証券報告書提出日現在(2025年5月30日)、入手可能な情報に基づく当社の経営判断や予測によるものです。 (1) 経営方針当社グループは持株会社体制の下、大丸、松坂屋、パルコの店舗ネットワークや顧客基盤などの経営資源を最適かつ有効活用するとともに、時代の変化に的確に対応し、顧客満足の最大化と効率経営の徹底を通じ、リテール事業(百貨店・SC事業)をはじめ既存事業各社の競争力と収益力の向上を図ります。加えて、より成長性のある分野に資源配分を行っていくなど、リテール事業を中核に競争力と収益力に優れた事業群でバランス良く構成されるポートフォリオへの見直しを進め、“くらしの「あたらしい幸せ」を発明する。”というグループビジョンの実現に挑戦します。 (2) 経営目標2024年4月15日に、当社グループは「2024-2026年度 中期経営計画」を公表しました。その後、2024年度業績において本中期経営計画最終年度の利益目標を達成したことから、本中期経営計画の最終年度(2026年度)の経営数値目標を上方修正しました。 1.経営数値目標財務目標として連結事業利益は560億円(当初目標520億円)、連結ROIC6.0%以上(当初目標5.0%以上)、非財務目標として温室効果ガス排出量70%削減(当初目標58%削減)を目指します。 <主要な経営数値目標> 2026年度 新目標(2026年度当初目標)2024年度実績連結事業利益(IFRS)560億円520億円534億円連結ROE8.0%以上8.0%以上10.5%連結ROIC6.0%以上5.0%以上6.2%温室効果ガス排出量※1▲70.0%▲58.0%▲64.5%女性管理職比率※231.0%31.0%26.2%※1 Scope1・2(2017年度比)、2024年度実績は概算値※2女性管理職比率 2025年3月1日現在 27.3% 2.財務政策中長期的な資本収益性の向上を図るため、収益性を伴う成長の実現、自己資本額の適正化及び株主還元の強化に取り組みます。 本中期経営計画では、3年間で2,200億円以上の営業キャッシュ・フロー(使用権資産に係る減価償却費を含む)を創出し、うち1,950億円を設備投資及び成長戦略投資に充当します。投資は2030年を見据え、中核のリテール事業に加え、グループシナジーの具現化に向けたデベロッパー事業への先行投資、また成長戦略投資に重点配分します。株主還元については、連結配当性向40%以上の配当と柔軟かつ機動的な自己株式の取得により、自己資本の適正化に取り組んでまいります。 (3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題サステナビリティ経営を基軸に、新たな体制のもと始動した中期経営計画(2024-2026年度)の初年度の業績は、2030年を見据えた成長戦略の推進に加え、訪日外国人観光客数の伸長など外部環境の追い風を捉えた施策なども奏功し、当初掲げた中期経営計画最終年度(2026年度)の事業利益目標を上回る結果となりました。一方、今後の事業環境の見通しについて、世界情勢の変化、金利や為替変動等による内外経済の先行きや物価上昇の長期化等による国内やインバウンド消費の下押しリスクについて注視していく必要があると認識しています。中長期の成長を確かなものとし、「2030年に目指す姿」である“価値共創リテーラー”への変革を実現するためには、成長戦略の加速を通じて事業基盤を拡大するとともに、これら戦略を着実に進める強固な経営基盤の構築が欠かせません。中期経営計画の2年目となる2025年度は、中期経営計画の経営数値目標を上方修正し、国内・海外顧客層の拡大など「リテール事業の深化」や、重点7エリアのエリア価値最大化をはじめとする「グループシナジーの進化」など成長戦略をさらに強化推進することで、事業基盤の拡大を図ります。また、本中期経営計画は「2030年に目指す姿」の実現に向けた変革期と位置づけています。不確実性の高い事業環境の下、持続的な成長を確かなものとする強固な経営基盤の構築に向け、事業や人財への積極投資、事業の再編強化など企業変革への取り組みを、グループ一丸となり着実に推進します。 <中期経営計画に基づく重点戦略の強化ポイント>1)リテール事業の深化主力の百貨店事業、SC事業において、「国内・海外顧客層の拡大」「顧客接点の魅力化」「高質・高揚消費層へのコンテンツ拡充」への取り組みを強化します。特に海外顧客を対象とするコミュニケーション基盤(インバウンドCRM)の活用など海外富裕層への対応や、外商活動の広域化など国内富裕層マーケットへの対応など、顧客基盤の拡大に重点的に取り組みます。①海外顧客層の拡大・百貨店事業では2024年度末から始動したインバウンドCRMの本格活用を通じて、インバウンド顧客の情報を一元管理するとともに、顧客ニーズに応じた情報発信の強化、再来店を促進します。・海外富裕層を顧客に持つ国内外企業との業務提携を通じて、当社グループ店舗への送客を強化します。また、同一エリア内における百貨店やパルコの枠を超えたアテンド体制の構築など、海外富裕層への対応をグループ一体で強化し、顧客基盤の拡大を目指します。 ②富裕層マーケットへの対応強化・顧客基盤の拡大に向け、外商活動の広域化やデジタルを通じた顧客コミュニケーションの強化、外部企業との連携による新たな商品、サービスの開発などコンテンツの拡充に取り組みます。また、外商ビジネスの持続的成長を見据え、人財や組織体制の強化に取り組みます。 ③高質・高揚消費層向けコンテンツ拡充・渋谷PARCO、名古屋PARCO、仙台PARCOなど基幹店を中心とした大型リニューアルを着実に推進し、国内・海外顧客からも評価の高いジャパンモードやキャラクターゾーン、アニメなどIPコンテンツの展開を継続します。 2)グループシナジーの進化>「エリアの価値最大化」「グループ顧客基盤の拡大」「自社コンテンツの保有・開発」「内装事業の再編強化」に取り組みます。特に「エリアの価値最大化」に向け、名古屋栄エリアでは、街の賑わい創出に向けた施策の立案・推進など、グループ内および地域との連携強化を図ります。大阪心斎橋エリアでは、新規開発プロジェクトへの参画など、将来を見据えたエリア開発計画を推進します。また福岡天神エリアでは、九州随一の立地ポテンシャルを活用した再開発計画に取り組みます。①エリアの価値最大化A.名古屋栄エリア・松坂屋名古屋店および名古屋PARCOにおける大規模リニューアルに加え、2026年(予定)に「ザ・ランドマーク名古屋栄」の開業を控えており、同エリアにおけるグループの商業施設の魅力化は着実に進行しています。・今後、周辺施設や企業、クリエイター等との連携による地域活動等、街の賑わい創出に向けた活動を強化推進します。このため、グループ横断の専任組織を2025年3月に新設しました。B.大阪心斎橋エリア・大阪市が進める御堂筋将来ビジョン(世界に誇れる人中心のストリートへ空間再編)に基づき、街のさらなる賑わい創出が期待される大阪心斎橋エリアにおいて、当社は大丸心斎橋店、心斎橋PARCOに加え、2026年(予定)に開業する新たな複合商業施設へ参画します。・2024年度に子会社化した株式会社心斎橋共同センタービルディングが保有する大丸心斎店南館の将来像の検討に着手するほか、心斎橋ビルの再開発プロジェクトに参画し、エリアにおけるリテールのさらなる拡張など、エリアの価値を最大化する戦略を強化推進します。②グループ顧客基盤の拡大・自社カード発行業務のグループ内集約を着実に推進します。2024年度のGINZA SIX、パルコの新カードに続き、2025年3月より博多大丸の新カードの発行を開始しました。これらを契機に、カード会員の獲得をはじめ顧客基盤の拡大をグループ一体となり推進します。・また、グループ内におけるポイントの一元化、エリア特性に応じた顧客サービスの拡充など、事業や店舗を超えた顧客連携、サービスの具現化に向け検討を重ねていきます。 ③自社コンテンツの保有・開発、事業開発・リテール事業の新たな成長に向けて、百貨店やパルコなどが有する目利き力や調達力、ネットワークなど組織能力を融合し、自社店舗での展開に加え、海外・デジタル領域での将来の展開を見据えた自社コンテンツの保有・開発、また新規事業の開発を推進します。・これらの取り組みを加速推進するため、M&Aや他社提携、当社の事業承継・CVCファンドによる成長戦略投資を強化します。④内装事業の再編強化・2024年度のビルマネジメント事業の統合に続き、内装事業の再編強化に向け、2026年3月に現在の株式会社J.フロント建装および株式会社パルコスペースシステムズの合併を予定しています。・これらを契機に、重点7エリアをはじめグループ内店舗、またグループ外施設における上質な空間価値の創造、専門人財の確保・育成など事業基盤の拡大を図ります。 3)グループ経営基盤の強化「2030年に目指す姿」の実現、戦略の実効性を高める経営基盤の強化に、グループ一体となり取り組みます。特に、価値共創のパートナーである人財への積極投資、人財戦略の立案・実行にスピードを上げて取り組みます。①人財戦略・新たに制定した「人財マネジメントポリシー」に基づき、経営戦略と一体となった人的リソースの強化と再配分を通じて、人と組織の持続的成長を図ります。特に、価値共創力や部下育成力の向上、専門人財の採用強化、女性活躍推進などに積極的に取り組みます。・グループ内の人財交流を活発化し、多様な人財の活躍機会の拡大、人的ネットワークやノウハウの融合を図ります。これらシナジー発揮に向けた施策を推進するため、グループ共通の人財プラットフォームを構築します。②システム戦略・新たに制定した「グループシステムフィロソフィー」に基づき、グループ内の共通システム化やデータ基盤の活用を推進します。・グループ共通会計システムの本格稼働による経営管理の高度化、業務の効率化を図ります。・システム投資や資産管理の高度化、情報セキュリティへの対応を含むリスクマネジメントの強化など、ITガバナンスを推進します。 ③財務戦略・中長期的な資本収益性の向上を図るため、成長性と収益性に基づく投資管理を徹底するほか、事業会社との連携による社内浸透などROIC経営を強化推進します。・フリーキャッシュ・フローの創出を図るとともに、将来を見据えた積極投資を進めます。一方、金融・資本市場等の動向を踏まえ、長期安定資金の確保、有利子負債の適切なコントロールなど財務健全性の確保に努めます。 ④コーポレートガバナンス・新たな経営体制のもと、経営の意思決定、執行の迅速化を図ると共に、取締役会による監督機能のさらなる強化などガバナンスの高度化により、中長期の成長実現、持続的な企業価値向上を図ります。 |
経営者による財政状態の説明
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)財政状態及び経営成績の状況① 当期の経営成績(単位:百万円、%)2025年2月期対前年対10月予想増減高増減率増減高総額売上高1,268,322116,35010.118,322売上収益441,87734,8718.64,877売上総利益212,59617,0808.71,096販売費及び一般管理費159,1067,9215.2△394事業利益53,4909,16020.71,490その他の営業収益11,8318,158222.12,331その他の営業費用7,1222,16743.7△2,378営業利益58,19915,15135.26,199親会社の所有者に帰属する当期利益41,42411,51138.54,924 当連結会計年度の日本経済は、住宅投資など一部に弱めの動きが見られたものの、企業収益の改善傾向を背景に設備投資が堅調に推移し、また訪日外国人消費が拡大するなど、総じて緩やかな回復を見せました。個人消費について、雇用・所得環境は改善基調が続いたものの、消費者物価の上昇などにより消費マインドの改善に足踏みが見られるなど不安定な状況が続きました。こうしたなか、当社は新たな経営体制の下、2030年を見据えた中期経営計画(2024‐2026年度)をスタートさせました。当社はグループビジョン“くらしの「あたらしい幸せ」を発明する。”の実現に向け、事業を通じて環境・社会課題の解決を図る「サステナビリティ経営」を基軸に、企業活動を推進しています。昨年春には、当社が重要視する経営環境の変化や当社の強みを踏まえ、当社が2030年に目指す姿として「リテール事業を中心に、3つの共創価値を提供し続ける“価値共創リテーラー”への変革」を掲げました。本中期経営計画は、2030年に目指す姿の実現、中長期の成長を確かなものとする「変革期」と位置づけ、重点戦略として百貨店事業・SC事業など「リテール事業の深化」、飛躍的成長に向けた「グループシナジーの進化」、これらの戦略の実効性を高める「グループ経営基盤の強化」に集中して取り組んでいます。「リテール事業の深化」では、顧客接点の魅力化、競争優位性のさらなる向上に向け、主に、百貨店事業では既存顧客の深耕や次世代顧客の獲得に向け、松坂屋名古屋店の改装に着手し、2024年11月よりフロアごとに順次、リニューアルオープンしました。また大丸梅田店は、開業以来初となる大規模リニューアルを他社連携で推進することを決定しました。SC事業では、東海エリア随一のファッションとエンタテインメント集積をテーマに名古屋PARCOをリニューアルし、有力ファッションブランドを導入するとともに、ポップカルチャーショップを拡大しました。また、パルコの強みであるアニメやサブカルチャーの分野において、高質・高揚消費層へのコンテンツ拡充を推進するため、人気漫画のライセンスを活用した事業開発に取り組みました。顧客層拡大への取り組みでは、アプリ会員の拡大に取り組んだほか、アプリの改修によりメディア機能の強化を図りました。また海外顧客層への対応強化に向け、百貨店事業において訪日外国人客を対象としたコミュニケーション基盤を新たに構築したほか、国内外企業との提携による相互送客に取り組みました。 「グループシナジーの進化」では、重点7エリアを中心とするエリアシナジーの最大化に向け、主に、名古屋栄エリアでは店舗リニューアルとともに、デベロッパー事業において2026年開業予定の「ザ・ランドマーク名古屋栄」の開発計画を推進しました。心斎橋エリアでは2026年開業予定の「(仮称)心斎橋プロジェクト」の開発を進めたほか、新たに、大丸心斎橋店南館を保有する株式会社心斎橋共同センタービルディングの子会社化、心斎橋ビル(旧関西アーバン銀行本社)を取得する特定目的会社への出資を決定しました。また、福岡天神エリアにおいて他社連携による再開発計画を推進しました。内装事業及びビルマネジメント事業の再編強化に向けた方針に基づき、2024年9月にグループ内のビルマネジメント事業を、株式会社パルコスペースシステムズに統合しました。決済・金融事業では、グループ顧客基盤の拡大に向け、自社カード発行業務のグループ内集約を進めており、2024年4月より新GINZA SIXカード、2025年2月より新PARCOカードの発行を開始しました。この他、今後拡大が予測されるリユース市場への参入による顧客接点の拡大と新たな価値提供に向け、2024年11月に株式会社コメ兵と合弁会社設立に関する契約を締結しました。また、各地域が抱える事業承継課題の解決や地域社会への貢献、魅力ある地域コンテンツの発掘を目的に、外部パートナーと共同で事業承継ファンドを設立し、第1号案件への投資を実行しました。「グループ経営基盤の強化」として、人財戦略では、価値共創リテーラーへの変革実現、経営戦略と一体となった新たなグループ人財戦略の推進に向け、グループ共通の「人財マネジメントポリシー」を制定し、人財戦略の実行を加速するための体制強化を図りました。システム戦略では、経営管理の高度化と業務の効率化を図るグループ共通の会計システムの各社への導入を進めたほか、社内外コミュニケーションの活性化を促すグループウェアの統合などに取り組みました。また、「グループシステムフィロソフィー」を新たに制定しました。コーポレートガバナンスに関しては、従来の法定3委員会の委員長に加え、取締役会議長を独立社外取締役が担う体制に変更し、監督機能を更に強化しました。財務戦略では、ROIC経営の社内浸透に向け事業会社と連携して取り組みを進めたほか、中長期的な資本収益性の向上や自己資本の適正化、株主還元の強化を目的に、連結配当性向40%以上の配当(段階取得に係る差益を除く)と総額100億円の自社株取得を実施しました。以上のような諸施策に取り組みました結果、当期の連結業績について各利益段階で経営統合以降、過去最高益となり、中期経営計画最終年度(2026年度)の利益目標を達成しました。具体的には、売上収益は441,877百万円(対前年8.6%増)となりました。事業利益は売上収益の増加に加え、戦略的支出の一方で経費の節減に努めた結果、53,490百万円(対前年20.7%増)となりました。営業利益は一部店舗で減損損失を計上する一方、主に段階取得に係る差益の計上などにより58,199百万円(対前年35.2%増)、税引前利益は55,785百万円(対前年34.9%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は41,424百万円(対前年38.5%増)と大幅増益となりました。 セグメントの業績は、以下のとおりです。事業管理区分の見直しにより、株式会社パルコデジタルマーケティングを2024年3月1日付で「デベロッパー事業」から「SC事業」に移管しています。また、2024年9月1日付のグループ内組織再編に伴い、株式会社J.フロントONEパートナー(旧:株式会社JFRサービス)の運営事業の一部を株式会社パルコスペースシステムズ他へ移管しました。これらに伴い、前連結会計年度の期首(2023年3月1日)より移管されたものとみなし、遡及修正しています。 セグメント業績<百貨店事業>(単位:百万円、%)2025年2月期対前年対10月予想増減高増減率増減高売上収益263,64324,54310.3△2,357事業利益33,9827,87430.2△1,618営業利益29,6776,24726.7△3,623 主に、高質・高揚消費層へのコンテンツの拡充に向けた改装効果や、訪日外国人観光客による売上の伸長などにより、売上高は大幅な増収となりました。店舗別では、インバウンド売上が好調な大丸心斎橋店・京都店に加え、戦略改装を実施してきた大丸神戸店・札幌店、またターミナル店舗の大丸東京店など、主要店舗の好調が業績を牽引しました。重点戦略に基づき、松坂屋名古屋店では大規模改装を推進しており、昨年11月より順次オープンを迎えています。今回のリニューアルはリアル店舗ならではの「体験価値の向上」、「次世代顧客の獲得」に向け、ラグジュアリーブランドの拡充に加え、ファッション・アート・お酒・美や健康など、次世代のマーケットニーズを捉えたコンテンツを拡充しました。大丸梅田店では同店が入居する「サウスゲートビルディング」の大規模リニューアル計画を他社と共同で発表しました。このほか、お客様との強固な関係性を構築すべく、大丸・松坂屋アプリを改修するなど、メディア機能の強化を図りました。以上のような諸施策に取り組みました結果、売上収益は263,643百万円(対前年10.3%増)の増収となりました。事業利益は33,982百万円(対前年30.2%増)の大幅な増益となりました。 <SC事業>(単位:百万円、%)2025年2月期対前年対10月予想増減高増減率増減高売上収益64,4185,6879.7418事業利益12,7454,32351.31,445営業利益12,8503,38735.83,050 リテール事業の深化に向けてパルコ独自のブランド価値、来店価値の向上を図るため、MZ世代や海外顧客からの支持拡大に向けた戦略改装を実施しました。名古屋PARCOでは、東海エリア随一の洗練されたファッションと多彩なエンタテインメントをテーマとしたリニューアル、仙台PARCOでは、ファッションやエンタテインメントの強化、広島PARCOではエリア唯一のショップ誘致を目的とした戦略改装を行いました。また訪日外国人観光客への情報発信強化やアジアを中心とする海外企業との提携など関係強化に取り組み、渋谷PARCO・心斎橋PARCOではインバウンド取扱高が大幅に伸長し業績を牽引しました。文化事業では、演劇が復調し、音楽は渋谷クアトロが好調、コラボレーションカフェは人気漫画のライセンスを活用した事業開発が奏功しました。また韓国の大手百貨店「現代(ヒュンダイ)百貨店」と戦略的協業に関する基本合意を4月に締結し、渋谷PARCOでポップアップイベントを開催しMZ世代を中心に新たな顧客層を集客しました。以上のような諸施策に取り組みました結果、売上収益は64,418百万円(対前年9.7%増)の増収となりました。事業利益は12,745百万円(対前年51.3%増)の大幅な増益となりました。 <デベロッパー事業>(単位:百万円、%)2025年2月期対前年対10月予想増減高増減率増減高売上収益90,6589,34011.513,158事業利益8,3605757.42,260営業利益8,1895156.72,389 主に、J.フロント都市開発株式会社において保有物件の売却益を計上したほか、株式会社J.フロント建装におけるホテル内装工事の受注増加などが牽引し、増収増益となりました。重点戦略では、7つの重点エリア開発において、2026年度竣工・開業予定である「ザ・ランドマーク名古屋栄」ならびに「(仮称)心斎橋プロジェクト」を着実に推進しました。また、新たに心斎橋ビルを取得する特定目的会社への出資を決定しました。「(仮称)天神二丁目南ブロック駅前東西街区プロジェクト」では、地区計画及び市街地再開発事業の都市計画決定を踏まえ、グループ横断的に計画を推進してまいります。このほか、グループのビルマネジメント事業の再編強化に向け、9月に株式会社J.フロントONEパートナー(旧:株式会社JFRサービス)のビルマネジメント事業を株式会社パルコスペースシステムズへ移管しました。以上のような諸施策に取り組みました結果、売上収益は90,658百万円(対前年11.5%増)の増収となりました。事業利益は8,360百万円(対前年7.4%増)の増益となりました。 <決済・金融事業>(単位:百万円、%)2025年2月期対前年対10月予想増減高増減率増減高売上収益13,135200.1△299事業利益1,637△1,140△41.0△258営業利益1,460△1,123△43.5△229 重点戦略の推進では、百貨店事業との協業によるカード会員の拡大及び利用促進を図りました。また、新たな顧客基盤の拡大に向け、グループ内カード集約の取り組みとして、新GINZA SIXカード、新PARCOカードの発行を開始しました。加盟店事業では、重点エリアを中心に外部加盟店を開拓したほか、グループ商業施設のアクワイアリングの拡大に取り組みました。また、業界課題である不正利用対策の強化に向け、オンラインサービスへの多要素認証導入、ワンタイムパスワード導入等を実施しました。以上のような諸施策に取り組みました結果、売上収益は取扱高増などにより加盟店手数料が増加した一方、ポイント費の増加などもあり13,135百万円(対前年0.1%増)となりました。販管費は、グループ内カード集約に向けた投資費用や人件費などが増加し、事業利益は1,637百万円(対前年41.0%減)の減益となりました。 ② 財政状態(単位:百万円、%)2024年2月期2025年2月期増減高流動資産246,501241,045△5,456非流動資産868,225923,10154,876資産合計1,114,7261,164,14749,421流動負債331,261341,34110,080非流動負債389,232399,57010,338負債合計720,494740,91120,417親会社の所有者に帰属する持分381,898409,64627,748親会社所有者帰属持分比率34.335.20.9資本合計394,232423,23529,003 当連結会計年度末の資産合計は1,164,147百万円となり、前連結会計年度末に比べ49,421百万円増加しました。一方、負債合計は740,911百万円となり、前連結会計年度末に比べ20,417百万円増加しました。なお、有利子負債残高(含むリース負債)は、363,578百万円となり、前連結会計年度末に比べ820百万円減少しました。資本合計は、423,235百万円となり、前連結会計年度末に比べ29,003百万円増加しました。 ③ キャッシュ・フロー(単位:百万円)2024年2月期2025年2月期増減高営業活動によるキャッシュ・フロー90,69285,812△4,880投資活動によるキャッシュ・フロー13,429△28,308△41,737フリーキャッシュ・フロー104,12257,503△46,619財務活動によるキャッシュ・フロー△72,746△74,001△1,255現金及び現金同等物の増減額31,375△16,498△47,873現金及び現金同等物の期末残高71,34254,975△16,367 当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末(71,342百万円)に比べ16,367百万円減の54,975百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。「営業活動によるキャッシュ・フロー」は85,812百万円の収入となりました。前連結会計年度との比較では、税引前利益が増益となった一方、運転資金等の増加により4,880百万円の収入減となりました。「投資活動によるキャッシュ・フロー」は28,308百万円の支出となりました。前連結会計年度との比較では、松坂屋名古屋店の改装や心斎橋共同センタービルディング株式を取得したことなどにより41,737百万円の支出増となりました。「財務活動によるキャッシュ・フロー」は74,001百万円の支出となりました。前連結会計年度との比較では、自己株式を取得したことなどにより1,255百万円の支出増となりました。 ④ 生産、受注及び販売の実績1)生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)デベロッパー事業52786.4(注)1 請負工事につきましては生産実績を定義することが困難であるため、「生産実績」は記載しておりません。2 上記以外のセグメントについては該当事項はありません。 2)受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)デベロッパー事業49,30778.4(注)1 上記以外のセグメントについては該当事項はありません。 3)販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称内訳販売高(百万円)前年同期比(%)百貨店事業大丸松坂屋百貨店243,068110.5博多大丸17,088108.8その他3,487103.6計263,643110.3SC事業パルコ63,482109.7その他936108.6計64,418109.7デベロッパー事業J.フロント都市開発13,34168.8J.フロント建装50,645141.1パルコスペースシステムズ26,670102.4計90,658111.5決済・金融事業JFRカード13,135100.1その他卸売業39,858110.8その他10,85895.6計50,716107.1調整額△40,694124.8合計441,877108.6(注)1 セグメント間の取引については、「調整額」欄で調整しております。2 販売高は、売上収益を記載しております。 (2) 経営者の視点による経営成績の状況に関する分析・検討内容当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ①重要性のある会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や現状を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要性のある会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要性のある会計方針」に記載しております。また、連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容1)経営成績等 セグメントごとの情報については、(1)財政状態及び経営成績の状況 ① 当期の経営成績に記載しております。 a)売上収益売上収益は、前連結会計年度に比べ34,871百万円増の441,877百万円となりました。 b)営業利益営業利益は、前連結会計年度に比べ15,151百万円増の58,199百万円となりました。 c)税引前利益税引前利益は、前連結会計年度に比べ14,442百万円増の55,785百万円となりました。 d)親会社の所有者に帰属する当期利益親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ11,511百万円増の41,424百万円となりました。 e)財政状態当連結会計年度末の資産合計は1,164,147百万円となり、前連結会計年度末に比べ49,421百万円増加いたしました。一方、負債合計は740,911百万円となり、前連結会計年度末に比べ20,417百万円増加いたしました。なお、有利子負債残高(含むリース負債)は、363,578百万円となり、前連結会計年度末に比べ820百万円減少いたしました。資本合計は、423,235百万円となり、前連結会計年度末に比べ29,003百万円増加いたしました。これらの結果、資産合計営業利益率(ROA)は、5.1%、親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)は、10.5%、親会社所有者帰属持分比率は、35.2%となりました。f)キャッシュ・フロー「営業活動によるキャッシュ・フロー」は85,812百万円の収入となりました。「投資活動によるキャッシュ・フロー」は28,308百万円の支出、「財務活動によるキャッシュ・フロー」は74,001百万円の支出となりました。この結果、当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末に比べ16,367百万円減の54,975百万円となりました。今後も、利益水準やキャッシュ・フローの動向等を考慮し、適切な利益配分や設備投資を行っていく予定であります。 g)資本の財源及び資金の流動性(資本政策の基本方針)当社は、フリーキャッシュ・フローの増大とROEの向上が持続的な成長と中長期的な企業価値を高めることに繋がるものと考えています。その実現に向けて、経営環境及びリスクへの備えを勘案した上で「戦略投資の実施」「株主還元の充実」及び「自己資本の拡充」のバランスを取った資本政策を推進します。また、有利子負債による資金調達はフリーキャッシュ・フロー創出力と有利子負債残高を勘案して行うことを基本とし、資金効率と資本コストを意識した最適な資本・負債構成を目指します。フリーキャッシュ・フロー、ROEの向上には、収益を伴った売上拡大を実現する「事業戦略」及び投下資本収益性を向上させる「財務戦略(資本政策を含みます。)」が重要です。併せて、基幹事業の強化、事業領域の拡大・新規事業の積極展開等に経営資源を重点配分することにより、事業利益の最大化と事業利益率を持続的に向上させていくことが重要であると考えております。なお、中期経営計画の達成における重要財務指標として、資本効率性はROE、事業収益性は連結事業利益及びROIC、収益性・安全性はフリーキャッシュ・フロー、財務健全性は親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)の各指標を重視しております。 (資金調達の状況)当社グループでは、事業活動に必要となる資金は、グループで創出した資金でまかなうことを基本方針としております。その上で、事業投資等で必要資金が生じる場合には、財務の健全性維持を勘案し、主として社債の発行及び金融機関からの借入などにより持株会社が一元的に資金調達を行っております。グループ子会社は金融機関からの資金調達を行わず、キャッシュ・マネジメントシステムを利用したグループ内ファイナンスにより必要資金の調達を行うことで、グループ資金の効率化を推進しております。当連結会計年度については、上記方針に基づき、金融機関からの長期借入金により85億円を調達いたしました。一方、長期借入金124億円を返済したことに加え、無担保普通社債200億円の償還を進めた結果、有利子負債残高(除くリース負債)は、前連結会計年度末に比べ238億円減少し、1,900億円となりました。なお、資金調達に係るリスクについては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。(財務政策)「2024-2026年度 中期経営計画」における財務政策については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。 (配当政策)当社の剰余金の配当に関する基本方針並びに当期の配当実績については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。 2)経営目標の達成状況「2024-2026年度 中期経営計画」初年度である2024年度において、百貨店事業・SC事業など「リテール事業の深化」、飛躍的成長に向けた「グループシナジーの進化」、これらの戦略の実効性を高める「グループ経営基盤の強化」に取り組みました結果、連結業績について各利益段階で2007年の経営統合以降、過去最高益となり、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しておりますとおり、中期経営計画の最終年度(2026年度)の利益目標を達成しました。 |
※本記事は「J.フロント リテイリング株式会社」の令和7年年2期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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