いすゞ自動車株式会社の基本情報

会社名いすゞ自動車株式会社
業種輸送用機器
従業員数連45034名 単8491名
従業員平均年齢40.8歳
従業員平均勤続年数17.3年
平均年収7886000円
1株当たりの純資産1951.02円
1株当たりの純利益229.92円
決算時期3月
配当金92円
配当性向46.3%
株価収益率(PER)8.94倍
自己資本利益率(ROE)12.7%
営業活動によるCF2985億円
投資活動によるCF▲1550億円
財務活動によるCF▲1449億円
研究開発費※11239億円
設備投資額※11286億円
販売費および一般管理費※13871.47億円
株主資本比率※253.6%
有利子負債残高(連結)※35568.2億円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1)経営方針・企業理念・行動方針 当社グループを取り巻く事業環境は激変しており、短期的に将来を予測することが極めて難しい時代におかれています。そのような中、社会における自分たちの存在価値をもう一度問い直すことが必要とされています。また、当社グループが中長期的な成長を遂げていくためには、社会とともに経済的価値創造と社会的価値創造の両立を実現していくことが極めて重要となっています。 このような課題認識のもと、当社グループは、よりグローバルなサステナビリティ企業へと変革していくために、2024年4月から始まる次期中期経営計画を見据え、「ISUZU ID」として経営理念体系を再構築しました。 ISUZU IDの体系は以下の通りです。◆PURPOSE(使命):地球の「運ぶ」を創造する従来の企業理念(※)の枠を超え、お客様、そしてパートナーの皆様と地球上のすべてのモノ・ヒトの「運ぶ」を主体的に創造するとともに、カーボンニュートラルや、進化する物流への貢献など、新たな「運ぶ」の価値を提供し、社会を豊かにしていきたい、という決意を表しています。 ◆VISION(将来像):「安心×斬新」で世界を進化させるイノベーションリーダーあらゆる社会課題の解決に貢献していくために、従来大切にしてきた「安心」に「斬新」を掛け合わせ、「イノベーションリーダー」を目指します。 ◆MISSION(任務):あなたと共に「運ぶ」の課題を解決するすべての人々と共に社会を前進させるという意思を込め、4つの分野(お客様満足度・地球へのやさしさ・働きがい・社会への影響力)でのNo.1を目指し、日々努力します。 ◆CORE VALUE(コア・バリュー):相互成長イノベーションリーダーとして、一人ひとりが挑戦・変化・貢献する意欲を持ち、集団として相互に尊重・信頼・刺激し合うことで、成長していきます。 今後、当社グループは、この「ISUZU ID」を起点に、既存事業の強みに一層磨きをかけ、財務基盤の盤石化を図った上で、積極的なイノベーション投資を行い、社会課題解決への貢献を目指します。 (※)従来の企業理念:<「運ぶ」を支え、信頼されるパートナーとして、豊かな暮らし創りに貢献します。> (2)対処すべき課題 環境変化の加速、それに伴う事業の一層の複雑性増大等、当社グループは100年に1度の変革期ともいえる状況下におかれています。このような環境変化・課題への対応は当社グループの社会的使命及び責務であり、これらの変化への柔軟な適応は、持続可能な成長のためには必要不可欠であると認識しています。そのため、当社グループでは、「ISUZU ID」の最上位概念である「地球の『運ぶ』を創造する」の実現を通じて社会課題解決への貢献に向けた取組みを進めていきます。 そして、当社グループは、「ISUZU ID」の使命である「地球の『運ぶ』を創造する」ために、2030年までにカーボンニュートラルや物流DXなどの対応に総額1兆円規模の研究開発・設備投資・事業投資を行います。  次に挙げる課題は、「ISUZU ID」の実現のみならず、自動車業界・商用車業界におけるお客様のご期待や技術的変革に対応するため中長期的な観点から抽出したものです。 [既存事業の拡大・収益向上] カーボンニュートラルや物流DXといった社会課題の解決には多額の研究開発費・投資が必要となります。当社グループでは「イノベーション投資」として2030年までに総額1兆円を投資することを計画しておりますが、財務健全性を維持しつつその原資を確保するためには既存事業の一層の拡大と収益向上が必要不可欠です。 当社グループでは、商用車市場を中心とした既存事業においてお客様に選ばれ続けるためには、多様化するニーズに対応した商品力、その魅力をお客様に届ける販売力、さらに、商品販売以降の機会においてもお客様に価値を提供するサービス力が必要不可欠であると考えています。これまでも、当社グループでは環境性や安全性・快適性といった機能について刷新を図ったピックアップトラック「D-MAX」や、その派生車である「MU-X」の新モデル投入による販売増を実現してきました。また、日本国内においては高度純正装備「PREISM」の全車標準搭載による稼働サポート事業の展開により、収益基盤を強固なものとしてきました。 2023年3月期業績は後述の取組みの確実な実施により売上高3兆1,955億円、営業利益2,535億円となり、「中期経営計画2024」で掲げた2024年3月期の定量目標(売上高2兆7,500億円、営業利益2,500億円)を前倒しで達成することができました。今後も、商品・サービスの一層の充実を通じて一層の既存事業の拡大・収益向上を目指しています。 (当連結会計年度の取組み) 2023年3月期には、主力商品である小型トラック「エルフ」と中型トラック「フォワード」をフルモデルチェンジしました。このモデルチェンジにより、新型「エルフ」「フォワード」は「デザイン」、「ホスピタリティ」、「エコノミー」、「セーフティ」、「コネクテッド」、「ラインナップ」の6つのポイントを中心に大きく進化しています。新型「エルフ」「フォワード」は当社のモジュラー開発「I-MACS」を採用した量産製品第一弾であり、今後も「I-MACS」の活用により国・地域のニーズや動力源に合わせた一層フレキシブルな商品開発に活用していきます。 また、ボルボ・グループより2021年4月に全株式を取得し連結子会社化したUDトラックスとの初の共同開発製品として新型トラクタヘッド「ギガ」と「クオン」を市場投入しました。「ギガ」「クオン」は当社・UD両社の技術を持ち寄った結果、高い積載効率の追求、運転操作性の向上、安全装備の拡充などの進化を遂げており、販売もいすゞ・UD双方のチャネルで行っています。 (今後の計画) フルモデルチェンジを発表した新型「フォワード」は、内外装の全面刷新に加えて、各種快適装備・安全支援機能の大幅拡充を行い、2023年夏頃の発売開始を予定しています。これらの改良により、当社は物流業界の課題に対応し、社会やビジネスが直面する高度化・複雑化した課題を解決することを目指しています。 また、今後も、2023年3月期に上市した商品・サービスおよびその一層の充実を通じて、ドライバー不足や労働環境の改善といった社会課題の解決に貢献し、既存事業の拡大・収益向上、ひいては強固な財務基盤の構築を目指します。 [イノベーションの基軸] 当社グループは、「ISUZU ID」の使命である「地球の『運ぶ』を創造する」ために、2030年までにカーボンニュートラルや物流DXなどの対応に総額1兆円規模の研究開発・設備投資・事業投資を行います。「カーボンニュートラル」対応では、電動車ラインナップの拡充、お客様や地域社会の脱炭素化に貢献するサービスの拡充、事業所のCO2削減や資源循環の推進を図ります。「物流DX」では、お客様の「運ぶ」に関する課題を解決し、新たな価値を創造するため、ソフトウェアやデジタルへ経営資源を集中し、2030年に向けた当社グループの新たな成長ドライバーとするべく取組みを加速します。 これまでも、当社グループでは国内商用車メーカーとしては初となる大型LNGトラック「ギガLNG」発売や、業界に先駆けたコネクテッドサービス(運行管理・ドライバー支援サービス「MIMAMORI」、高度純正装備「PREISM」等)の展開により「カーボンニュートラル」「物流DX」への対応を進めてきました。 (当連結会計年度の取組み) 「カーボンニュートラル」対応では、カーボンニュートラル達成へ向けたひとつの重要な“解”として、初の量産BEV「ELF EV」を発売しました。同時に、商用BEVの導入に関する検討や課題解決のサポート、温室効果ガス排出削減効果の数値化を可能にするトータルソリューションプログラム「EVision」の提供を開始し、製品販売のみならず、お客様のEV導入・運用をトータルにサポートするサービスを提供しています。 また、リマニユニット(高稼働運行したリースアップ車からエンジンやトランスミッションを回収し新品同等に機能回復させたもの)を活用した大型トラックのメンテナンスリースの取り扱いを開始しました。リマニユニット車は再利用する部品が多く、資源を循環活用することが可能なため、CO2の排出量を削減し、カーボンニュートラル社会の実現に貢献することができます。加えて、2022年6月には、「いすゞ環境長期ビジョン2050」の取組みを着実に実現するための2030年までのロードマップを示した「2030環境ロードマップ」を策定しました。 「物流DX」では、株式会社トランストロンおよび富士通株式会社との共同で、商用車情報基盤「GATEX」の提供を開始しました。この情報基盤により、商用車の運行管理や稼働サポートサービスの提供に加え、多様なデータ連携による物流業界が抱えるさまざまな課題の解決に貢献する仕組みを提供することが可能となります。 (今後の計画) 「カーボンニュートラル」対応としては、今後、電動車の開発を一層加速し、2030年までに全ての商用車カテゴリでBEVやFCVといった電動車を市場投入する予定です。あわせて、車載電池、モータ・インバータやこれらの制御技術などに関する研究開発に取組み、電動車の付加価値の向上に取組みます。また、各地域のエネルギー事情に適した多様な選択肢を提供するために、カーボンニュートラル燃料に関する取組みや水素内燃機関の技術開発も継続します。また、これらの取組みを加速するため、内部リソースを集約し製品化と意思決定の迅速化を図るとともに、外部との連携も含めてリソース・ノウハウを集中管理するため、「カーボンニュートラル戦略部門」を設置しました。加えて、2022年に策定した「2030環境ロードマップ」に基づき国内外の事業所から排出されるCO2を2030年までに2013年比50%削減するための投資を本格化させます。 「物流DX」では、今後、商用車情報基盤「GATEX」の機能を強化し、業界を超えた情報プラットフォームとの連携による新しいソリューションの創出や、今後の電動商用車の普及を見据え、EMS(エネルギー・マネジメント・システム)(※)だけではなく、今後さまざまなデータベースとしての活用も視野に入れ、商用車情報基盤として、カーボンニュートラル社会の実現に貢献してまいります。また、同じく2023年3月期に運用開始した商用電動車導入に向けたトータルソリューションプログラム「EVision」を更に進化させ、より利便性の高いソリューションを目指します。加えて、自動運転領域では、将来的なレベル4相当の実用化を見据え、技術開発や実証試験に引き続き取組みます。 以上の取組みおよびそれに伴うイノベーション投資は、引き続きアライアンスパートナーやお客様と、協創したり、成果をシェアしたりすることで広く社会に還元することを企図しています。 (※)EMS(エネルギー・マネジメント・システム):エネルギー使用に関して、方針・目的・目標を設定し、計画を立て、手順を決めて管理する活動を体系的に実施できるようにした仕組みのこと。 [ESGを視点とした経営への進化] 100年に1度の変革期ともいえる状況下の中、さまざまな社会課題を解決し、業界をリードする存在になるためには、大変革期でも生き残れる企業へと体質転換を推進することが必要不可欠です。そのために、当社グループでは株主価値重視、ガバナンス強化と開示拡充、イノベーションを創出する集団への変革等への取組みを進めていきます。 (当連結会計年度の取組み) 株主価値重視の観点では、2023年3月期においては資本効率の一層の向上に努め、ROEは12.1%となりました。また、株主還元について過去最高額となる1株当たり79円の配当を実施し、配当性向は40.4%となりました。 ガバナンス強化と開示拡充の観点では、当社は2022年3月期より監査等委員会設置会社へ移行し、経営の監督機能の一層の強化を図っております。また、社外取締役を5名(取締役総数13名)とし、取締役のうち女性を2名とする体制とすることで取締役会における多様性の確保を図っております。 イノベーションを創出する集団への変革に向けては、2022年5月当社は横浜に本社を移転し、グループ企業を集約しました。新本社の最新オフィス設備・IT環境を活用し、海外拠点も含めた社内・グループ内コミュニケーションの活性化を取組んでいます。さらには様々な業種が拠点を構える横浜の強みを生かして、業界を超えたコミュニケーションの促進にも取組んでいます。 そして、これらのESGを視点とした経営に「いすゞらしさ」を加え、当社グループの使命・将来像・任務と、個人として集団として持つべき価値観を体系化した新たな経営理念体系「ISUZU ID」を作り上げました。 (今後の計画) 株主価値重視の観点では、今後も株主価値を重視した経営を一層推進し、資本効率の更なる向上により2026年3月期にROE15%を目指します。また、株主還元も引き続き強化し、配当性向は中期経営計画期間(2022年3月期から2024年3月期まで)平均で40%を目標とします。加えて、資金状況を踏まえつつ機動的な自社株買いも検討していきます。さらに、株主のみならず、従業員、取引先、顧客、債権者、地域社会をはじめとする多様なステークホルダーとの価値協創が重要となっていることを踏まえ2023年4月に策定した「マルチステークホルダー方針」を基に、従業員への還元や取引先への配慮等の取組みも進めていきます。 ガバナンス強化と開示拡充に向けては、財務報告の国際企業間の比較を容易にし、資金調達及び株主価値向上を図ることを目的に、将来的なIFRS適用に向けて準備を進めています。 イノベーションを創出する集団への変革の観点では、今後も社内外のコミュニケーションの一層の活性化に取組むことに加え、当社グループとボルボ・グループと共同で結成したダイバーシティ&インクルージョン推進を図るソーシャルネットワーク「VOIS」等の取組みを通して、社員のキャリアップに前向きな変化をもたらすことを目指します。 当社グループは、「地球の『運ぶ』を創造する」を通じて、社会課題の解決に貢献し、世界を進化させるイノベーションリーダーを目指してまいります。
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要①経営成績の状況 当連結会計年度の商用車需要は、海外市場を中心に概ね堅調に推移しました。生産面では、主に半導体不足に起因するサプライチェーンの混乱はありましたが、影響を最小限にとどめる運営に取り組んだ結果、国内と海外を合わせた総販売台数は、前連結会計年度に比べ91,536台(15.8%)増加し、671,493台となりました。 国内車両販売台数につきましては、サプライチェーン混乱の生産面への影響はあったものの、徐々に改善に向かっており、前連結会計年度に比べ3,259台(6.0%)増加の57,848台となりました。海外車両販売台数につきましては、ピックアップトラックを中心に販売台数が増加し、前連結会計年度に比べ88,277台(16.8%)増加の613,645台となりました。 車両以外の商品の売上高につきましては、海外生産用部品が一部の市場における需要減少を受け、前連結会計年度に比べ106億円(19.3%)減少の443億円となり、エンジン・コンポーネントは、前連結会計年度に比べ10億円(0.6%)増加の1,714億円となりました。また、その他の売上高につきましては、保有事業の伸長により、前連結会計年度に比べ948億円(16.9%)増加の6,573億円となりました。 これらの結果、売上高につきましては、前連結会計年度に比べ6,812億円(27.1%)増加の3兆1,955億円となりました。内訳は、国内が9,898億円(前連結会計年度比12.7%増)、海外が2兆2,057億円(前連結会計年度比34.8%増)です。  当連結会計年度の業績は次のとおりです。 当連結会計年度 前連結会計年度比売上高31,955億円 6,812億円27.1%営業利益2,535億円 663億円35.4%経常利益2,698億円 614億円29.5%親会社株主に帰属する当期純利益1,517億円 255億円20.2%(為替レート)USD/JPY135.5円(112.4円)THB/JPY3.84円 (3.44円)AUD/JPY92.6円 (83.1円)注:( )内は前連結会計年度の為替レート  損益につきましては、資材費等の高騰によるコストの増加はあったものの、販売台数の増加に加え、円安効果もあり、営業利益は2,535億円(前連結会計年度比35.4%増)となりました。また、経常利益は2,698億円(前連結会計年度比29.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,517億円(前連結会計年度比20.2%増)となりました。  当社グループは、自動車及び部品並びに産業用エンジンの製造、販売(自動車事業)を主な事業とする単一セグメントであるため、セグメントの業績の記載を省略しています。②財政状態の状況 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて1,906億円増加し、3兆467億円となりました。 負債は、前連結会計年度末に比べて748億円増加し、1兆5,365億円となりました。 純資産は、前連結会計年度末に比べて1,158億円増加し、1兆5,102億円となりました。 自己資本比率は42.9%(前連結会計年度末41.8%)となりました。 有利子負債につきましては、前連結会計年度末に比べて173億円減少の5,131億円となりました。 ③キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)につきましては、営業活動で2,270億円獲得した資金を、投資活動で805億円、財務活動で1,403億円使用したこと等により、前連結会計年度末に比べて226億円増加し、3,643億円となりました。 なお、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを控除して計算した、フリーキャッシュ・フローは、1,465億円の資金流入(前連結会計年度は2,488億円の資金流出)となっています。 [営業活動によるキャッシュ・フロー] 営業活動により獲得した資金は、2,270億円(前連結会計年度比32.0%増)となりました。 これは、税金等調整前当期純利益を2,698億円、減価償却費を1,072億円計上し、仕入債務の増加により393億円の資金流入があった一方で、棚卸資産の増加により1,130億円、法人税等の支払により719億円の資金流出などがあったことによります。 [投資活動によるキャッシュ・フロー] 投資活動により使用した資金は、805億円(前連結会計年度比80.9%減)となりました。 これは、投資有価証券の売却で239億円の資金流入があった一方で、固定資産の取得で1,073億円の資金流出があったことが主な要因です。 [財務活動によるキャッシュ・フロー] 財務活動により使用した資金は、1,403億円(前連結会計年度は1,861億円の資金流入)となりました。 これは、長期借入の実行で1,170億円の資金流入があった一方で、長期借入金の返済で905億円、配当金の支払で567億円及び非支配株主への配当金の支払で481億円の資金流出があったことが主な要因です。 ④生産、受注及び販売の実績a.生産実績 当連結会計年度の生産実績は、次のとおりです。  当連結会計年度(自 2022年4月1日  至 2023年3月31日) 前連結会計年度比台数(台)金額(百万円)台数(%)金額(%)大型・中型車62,115-3.6-小型車574,009-14.0-計636,124-12.9-海外生産用部品-41,411-△26.6エンジン・コンポーネント-221,188-△2.1その他-181,512-21.5 (注)1.海外生産用部品、エンジン・コンポーネント、その他の金額は、販売価格によります。2.上記の表には、関連会社の生産実績は含まれていません。b.受注実績 当社グループ(当社及び連結子会社)は、過去の販売実績と将来の予想に基づいて、見込み生産を行っています。c.販売実績 当連結会計年度の販売実績は、次のとおりです。  当連結会計年度(自 2022年4月1日  至 2023年3月31日) 前連結会計年度比金額(百万円)増減率(%) 国 内332,06611.4 海 外394,77549.2大型・中型車計726,84229.2 国 内116,16320.3 海 外1,479,46338.6小型車他計1,595,62637.1 国 内448,22913.6 海 外1,874,23840.7車両計2,322,46834.5 海 外44,310△19.3海外生産用部品44,310△19.3 国 内59,0861.4 海 外112,3200.2エンジン・コンポーネント171,4070.6 国 内482,51713.5 海 外174,83327.3その他657,35116.9 国 内989,83312.7 海 外2,205,70334.8売上高合計3,195,53727.1 (注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。 相手先 前連結会計年度(自 2021年4月1日  至 2022年3月31日) 当連結会計年度(自 2022年4月1日  至 2023年3月31日)金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)トリペッチ いすゞ セールス㈱419,21016.7559,81017.5 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月28日)現在において当社グループが判断したものです。 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容a.概観[CV販売] 当連結会計年度におけるCV車両の販売台数は、前連結会計年度から29,431台(11.1%)増加の294,289台となりました。 国内では、サプライチェーン混乱の生産面への影響があったものの、徐々に改善向かっており、前連結会計年度から3,259台(6.0%)増加の57,848台となりました。海外では、一部の市場で需要の減速があったものの、半導体不足の改善等により、概ね各市場の需要は好調だったことから、前連結会計年度から26,172台(12.4%)増加の236,441台となりました。 なお、当社の国内の普通トラックのシェアは、前連結会計年度比6.9%増加の39.9%となりました(UDトラックスを含む当社グループの国内の普通トラックのシェアは58.2%)。また、小型トラックのシェアは、生産制約が改善したことにより、前連結会計年度比3.1%増加の37.0%となりました。 ・CV車両販売台数 前連結会計年度(台)当連結会計年度(台) 増減台数(台)増減率(%)国内大型・中型29,32330,157 8342.8 小型25,26627,691 2,4259.6 計54,58957,848 3,2596.0北米大型・中型3784,568 4,1901,108.5 小型25,36427,042 1,6786.6 計25,74231,610 5,86822.8アジア大型・中型22,91627,835 4,91921.5 小型51,86158,935 7,07413.6 計74,77786,770 11,99316.0その他地域大型・中型25,79729,701 3,90415.1 小型83,95388,360 4,4075.2 計109,750118,061 8,3117.6合計大型・中型78,41492,261 13,84717.7 小型186,444202,028 15,5848.4 計264,858294,289 29,43111.1 [LCV販売] 当連結会計年度におけるLCV車両の販売台数は、前連結会計年度から62,105台(19.7%)増加の377,204台となりました。 アジアでは、LCVの生産が、半導体部品の供給が改善したことで、前連結会計年度から大幅に増加しました。その結果、販売台数は前連結会計年度から36,699台(19.1%)増加の228,768台となりました。その他地域においても、半導体不足の影響が解消に向かい、新型モデルの販売が大きく拡大したこと等により、全体では前連結会計年度から25,406台(20.7%)増加の148,436台となりました。 なお、タイではLCVの全需が微増に留まったものの、引き続き新型モデルが高評価をいただき、販売シェアは43%と前年を上回りました。 ・LCV車両販売台数 前連結会計年度(台)当連結会計年度(台) 増減台数(台)増減率(%)アジア192,069228,768 36,69919.1その他地域123,030148,436 25,40620.7計315,099377,204 62,10519.7 [パワートレイン出荷] 当連結会計年度における産業用エンジンの出荷基数は、中国における建機需要の減速及び半導体不足の影響により前連結会計年度から12,990台(8.7%)減少の136,162台となりました。 ・産業用エンジン出荷基数 前連結会計年度(台)当連結会計年度(台) 増減台数(台)増減率(%)計149,152136,162 △12,990△8.7 b.当連結会計年度の経営成績についての分析[売上高] 売上高につきましては、国内・海外ともに車両販売台数が増加したこと等により前連結会計年度に比べ、6,812億円(27.1%)増加の3兆1,955億円となりました。内訳は、国内が9,898億円(前連結会計年度比12.7%増)、海外が2兆2,057億円(前連結会計年度比34.8%増)です。 [営業利益] 営業利益につきましては、前連結会計年度に比べ663億円(35.4%増)増加の2,535億円となりました。 当連結会計年度における資材費等の変動の影響は、サプライチェーンの混乱に伴う資材費・物流費等の歴史的な高騰により、前連結会計年度に対して1,300億円の減益となり、大きな減益要因となりました。一方で、為替変動の影響は、円安の進行により前連結会計年度に対して800億円の増益、売上変動/構成差の影響は、販売台数の増加により690億円の増益、価格対応の影響は、値上げ等により550億円の増益、原価低減活動の影響は、210億円の増益となったことから、これらが急激な経済変動の影響を上回る増益要因となりました。 この結果、当連結会計年度における売上高営業利益率は7.9%(前連結会計年度は7.4%)となりました。なお、前連結会計年度からの営業利益の主な増減要因は、次のとおりです。 ・営業利益の増減分析(前連結会計年度比)      (億円)為替変動800売上変動/構成差690価格対応550原価低減活動210費用増減他△287資材費等の変動△1,300合計663 [営業外損益] 営業外損益につきましては、163億円の利益となり、前連結会計年度に比べて48億円の減益となりました。 受取利息及び受取配当金から支払利息を差し引いた純額が89億円の利益となり、前連結会計年度に比べて24億円増益した一方で、為替差損が82億円増加したことにより減益となりました。 [特別損益] 当連結会計年度における特別利益が37億円、特別損失が37億円となり、前連結会計年度に比べて40億円の増益となりました。当連結会計年度の主な項目として、特別損失で、固定資産処分損、ロシア事業関連損失を計上し、特別利益で、投資有価証券売却益を計上しました。 [税金費用] 法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額とを加えた金額は、前連結会計年度では475億円の損失でしたが、当連結会計年度では732億円の損失となりました。 [非支配株主に帰属する当期純利益] 非支配株主に帰属する当期純利益は、主にアセアン現地法人、北米現地法人、国内の製造又は販売会社の非支配株主等に帰属する当期純利益からなり、前連結会計年度の305億円に対し、当連結会計年度は448億円となりました。 [親会社株主に帰属する当期純利益] 当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は1,517億円となり、前連結会計年度に比べて255億円の増益となりました。1株当たり当期純利益は195.75円となりました。 c.当連結会計年度の財政状態についての分析[資産] 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて1,906億円増加し、3兆467億円となりました。 主な要因としましては、棚卸資産が1,357億円、売上債権が273億円、有形固定資産が167億円増加したことによります。 [負債] 負債は、前連結会計年度末に比べて748億円増加し、1兆5,365億円となりました。 主な要因としましては、仕入債務が669億円、未払費用が151億円増加したことによります。 [純資産] 純資産は、前連結会計年度末に比べて1,158億円増加し、1兆5,102億円となりました。 主な要因としましては、剰余金の配当を567億円行った一方で、親会社株主に帰属する当期純利益を1,517億円計上したことに加え、為替換算調整勘定が297億円増加したことによります。 d.経営上の目標の達成状況についての分析 「中期経営計画2024」(2022年3月期から2024年3月期まで)において、当社グループが掲げた経営上の目標とそれに対する当期の達成状況は次のとおりです。 当連結会計年度(2023年3月期) 中期目標(2024年3月期)売上高31,955億円 27,500億円営業利益2,535億円 2,500億円ROE12.1% 12.5%配当性向40.4% 期間平均40.0%  「中期経営計画2024」で掲げた経営上の目標のうち、売上高につきましては、為替が想定から大きく円安に進行したほか、価格改定や販売台数の増加等により目標に比べて大幅な増収となりました。 営業利益につきましては、資材費・物流費・エネルギーコストが歴史的に高騰する中、主に価格改定や販売台数の増加、円安の影響により目標を達成しました。そのほかにもアフターセールスが堅調であったことや費用削減をはじめとした合理化に努めたことも増益に寄与しました。 また、ROEについても、資本効率の向上に努め、当連結会計年度は12.1%となりました。中計目標の12.5%については、更なる増益によって達成を目指します。同時に、自社株買いについても、引き続き検討を続けてまいります。 配当性向については、株主への利益還元、経営基盤の強化及び将来への事業展開に備えるための内部留保の充実等のバランスを総合的に勘案の上、剰余金の配当を実施した結果、40.4%と目標値を上回りました。e.資本の財源及び資金の流動性に係る情報[キャッシュ・フローの状況] 第2「事業の状況」3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1)「経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。 [資金需要] 当社グループにおける主な資金需要は、製品製造のための材料・部品の購入費、製造費用、製品・商品の仕入、販売費及び一般管理費、運転資金及び設備投資資金です。 設備投資の状況については、第3「設備の状況」1「設備投資等の概要」に記載のとおりです。 [資金調達の状況] 運転資金については返済期限が1年以内の短期借入金で、基本は各々の会社が運転資金として使用する現地の通貨で調達しています。設備投資資金については原則として資本金、内部留保といった自己資金でまかなうこととしています。今後、投融資の実行に伴い借入金・社債等による資金調達を検討する可能性があります。 なお、当連結会計年度末における有利子負債の年度別返済額は第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」⑤「連結附属明細表」「社債明細表」「借入金等明細表」に記載のとおりです。 [資金の流動性] CASEの時代を迎え、当社を取り巻くコンペティター、パートナー、ステークホルダーは多様化しかつグローバルに広がりました。このような状況変化のなかでも認められる企業であり続けるためには、今までの経営風土のあり方を変える必要性を強く認識しています。 当社は、「ESGを視点とした経営」を基本に置き、先行するグローバルメーカーをベンチマークし、この変革に取り組みたいと考えています。その一つの視点である「株主価値重視」として、企業価値の持続的な向上を目指した成長投資の確保、及び財務健全性維持のための内部留保の充実と、株主価値重視とのバランスを総合的に勘案の上、「中期経営計画2024」(2022年3月期から2024年3月期まで)期間中の連結配当性向を平均40.0%に設定し、収益力の向上による着実な配当成長を目指します。また、資本効率重視の観点から、機動的な自社株取得も検討してまいります。当社グループは、「中期経営計画2024」に基づき、事業で創出される営業キャッシュ・フローを原資に投資、借入返済、株主還元に充当し、M&A等に係る資金は主として借入金、社債等で対応することによってこれらの目標の実現に向け取り組んでまいります。 なお、手元資金の流動性には絶えず注視が必要ですが、当社グループは現金及び現金同等物に加え、主要銀行とコミットメントライン契約を締結しており、金融市場の急激な環境変化にも対応できる流動性を保持していると考えています。 ②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。当社経営陣は、連結財務諸表の作成に際し、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用に影響を与える判断、見積り及び仮定を必要としていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、当初の見積りとは異なる場合があり、業績に悪影響を与える可能性があります。 当社は、特に以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な見積りと判断に大きな影響を及ぼすと考えています。 なお、翌連結会計年度及び翌事業年度に特に重要な影響を及ぼす可能性のある一部の項目については、第5「経理の状況」1.「連結財務諸表等」(重要な会計上の見積り)及び第5「経理の状況」2.「財務諸表等」(重要な会計上の見積り)に記載しています。 [貸倒引当金] 当社グループの保有する債権は、その大半がディストリビューター・販売会社向けの売掛金で構成されています。これら債権のうち、一般債権については貸倒実績率等により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しています。 従って、景気動向による貸倒実績率の上昇や、貸倒懸念債権等特定の債権の債務者の財務状況が悪化するなどその支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。 [棚卸資産] 当社グループでは、車両・エンジン等の製品及び仕掛品に加え、原材料・部品等の棚卸資産を保有しています。これらの棚卸資産については、市況の悪化等により収益性の低下が認められる場合には、将来需要及び供給等の推定に基づきその収益性の低下の程度を見積もり、評価減を計上しています。 従って、実際の需要又は供給等が推定より悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。 [繰延税金資産] 当社グループは繰延税金資産について、将来の実現性が高い税務計画に基づき回収可能性があると判断した金額まで計上しています。 従って、市場や経済情勢の悪化、当社グループの競争力の低下等の要因により、当社グループの業績が悪化し、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産が調整され、費用が増加する可能性があります。 [退職給付に係る費用及び負債] 退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しています。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、死亡率及び年金資産の長期収益率などが含まれます。 それぞれの前提条件は、現時点で十分に合理的と考えられる方法で計算されていますが、今後、経済環境の変化による割引率の低下や市場環境の悪化による年金資産の長期期待収益率の低下等、さらには退職率・死亡率等の変化が発生した場合、退職給付費用及び負債に悪影響を与え、費用及び負債が増加する可能性があります。 [製品保証引当金] 当社グループは、製品のアフターサービスに対する費用の支出に充てるために、製品保証引当金を計上しています。製品保証引当金は、製品・地域毎の保証書の約定に従い、保証期間中の当社製品に対して、保証期間にわたって発生しうる費用を、過去の保証実績率を基に見積りを行っています。 従って、実際の発生費用が見積りの金額よりも悪化した場合等においては、見積り額の修正が必要となる可能性があります。

※本記事は「いすゞ自動車株式会社」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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