古河電気工業株式会社の基本情報

会社名古河電気工業株式会社
業種非鉄金属
従業員数連52757名 単4335名
従業員平均年齢43.8歳
従業員平均勤続年数19.7年
平均年収6783723円
1株当たりの純資産4656.93円
1株当たりの純利益92.4円
決算時期3月
配当金60円
配当性向221%
株価収益率(PER)35.03倍
自己資本利益率(ROE)2.07%
営業活動によるCF318億円
投資活動によるCF▲247億円
財務活動によるCF▲93億円
研究開発費※145.74億円
設備投資額※118.98億円
販売費および一般管理費※11478.21億円
株主資本比率※230.4%
有利子負債残高(連結)※33455.56億円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針[古河電工グループの理念体系] 当社グループは、経営の判断の軸となり、従業員一人ひとりが理解・共感し、当社グループで誇りを持って働くことにつながるパーパス(存在意義)を制定し、これまでのグループ理念体系を見直しました。 「古河電工グループ パーパス」(以下、パーパス)は、多様なステークホルダーから真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献する企業グループとして認知され、従業員が誇りを持って挑戦し続けるために定めた当社グループの存在意義を明文化したものです。また、持続的に成長していく上で、特に大事にし、より強化していきたい価値観を、「Core Values」としております。「古河電工グループ ビジョン2030」は、将来社会像やパーパスを踏まえ、時間軸を2030年と定めて描いた当社グループの将来の在りたい姿を定めたものです。ビジョン2030のありたい姿からのバックキャストで中間地点としての2025年の目指す姿を定義したものが25中期経営計画です。「古河電工グループCSR行動規範」は、パーパスおよびCore Valuesに基づき企業活動を展開するにあたり、企業の社会的責任の観点から、当社グループの役員・従業員のとるべき基本的行動の規範を定めたものです。 ■古河電工グループ パーパス**「古河電工グループ パーパス」は、2024年3月に制定され、2024年4月19日から施行されています。 ■Core Values(コア・バリュー)当社グループが持続的に成長していく上で、特に大事にし、より強化していきたい価値観としての5つを定め、「Core Values」としております。 ■古河電工グループ ビジョン2030当社グループは、「古河電工グループ パーパス」に基づき、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs*)」が示す社会課題の解決を念頭に置いて2030年におけるありたい姿を描き、そこへ向けて目指す時間軸と領域を明確にした「古河電工グループ ビジョン2030」(以下、「ビジョン2030」という)を策定しております。ビジョン2030のもと、情報/エネルギー/モビリティの各領域及びこれらの融合領域において、当社グループは社会課題の解決を目指してまいります。さらに、新領域においても、これまでにない新たな事業の創出を通じた社会課題の解決を目指してまいります。古河電工グループは「地球環境を守り」「安全・安心・快適な生活を実現する」ため、情報 / エネルギー / モビリティが融合した社会基盤を創る。 さらに、当社グループでは、ビジョン2030を達成するために当社グループが対処すべき経営上の重要課題を「マテリアリティ」と定義し、収益機会とリスクの両面で次のとおりマテリアリティを特定しております。これらのマテリアリティに取り組むことにより、ビジョン2030を達成するとともに、SDGsの達成にも寄与してまいります。*SDGs…国連で採択されたSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称であり、17のゴール・169のターゲットで構成される国際目標 (2) 経営環境、中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題当社は、ビジョン2030のありたい姿からのバックキャストで中間地点としての2025年の目指す姿を定義し、その達成に向け2025年度を最終年度とする4か年の新中期経営計画「Road to Vision2030-変革と挑戦-」(以下、「25中計」という)を2022年度に策定し、各施策に取り組んでまいりました。 <経営環境>25中計の前提となる当社を取り巻く経営環境は、今後非連続かつ不可逆的に変化していくものと考えております。例えば、ESG/SDGsが企業の存続に欠かせない経営課題となる、人生100年時代等を踏まえた新たなライフスタイルが広がる、人口減少・高齢化の進展により国内市場が縮小する、DX(Digital Transformation)が急速に進展する、等の変化が想定されます。このような環境においては、Beyond5G*の実現やカーボンニュートラルの実現、安全・安心・快適に人とモノが移動の自由を享受するための次世代インフラの実現、健康寿命延伸の実現、サーキュラー・エコノミーの実現等の社会課題解決の期待がより高まるものと想定されます。*Beyond5G…5Gの特徴(高速・大容量、低遅延、多数端末との接続)のさらなる高度化に加えて、空・海・宇宙への利用領域の拡張、超低消費電力、超高信頼等の特徴を備えることが想定されている。6G(第6世代移動通信システム)とも呼ばれる。 <各事業領域における市場環境の見通し>世界経済は、成長が持続する中、インフレ率が着実に低下して、「ソフトランディング」に向かう姿となりました。もっとも景気拡大のペースは緩やかで、インフレの動向や地政学的ショックには不確実さが残る等、先行き不透明な状況が続くと予想されますが、当社グループが重点領域と位置づけているインフラ(情報通信、エネルギー)/自動車分野、また、注力事業と位置づけている半導体に関連する機能製品分野は、中長期では継続的な市場成長が見込まれます。情報通信分野は、5GやIoT等、クラウドをベースとしたサービスが様々な分野で成長しており、中でも生成AIの分野は急成長を果たしています。それらを支えるデータセンタ関連の光ネットワークの建設は今後も続くと考えられます。足元では世界的な光ファイバ等の需給バランスが復調傾向であり、中長期での継続的な市場成長が見込まれます。エネルギー分野は、国内に関しては国のエネルギー政策に伴う洋上風力を中心とする再生可能エネルギーや電力会社のリプレース需要が見込まれ、海外に関しては欧米、新興国での旺盛な需要が継続する見通しであります。自動車分野は、経済が拡大基調をたどる下で自動車需要は堅調に推移すると見られ、今後も当該分野は継続的に成長する見通しであります。機能製品分野は、生成AI関連市場は好調、スマートフォン・パソコン・HDDの需要は緩やかに復調すると見込んでおり、中長期的には継続的な市場拡大・成長する見通しであります。 <25中計達成に向けた取組み(対処すべき課題)>25中計のもと、情報/エネルギー/モビリティの各領域及びこれらの融合領域における社会課題解決型事業の強化・創出を掲げ、収益の拡大に向けた取組みとして、「資本効率重視による既存事業の収益最大化」及び「開発力・提案力の強化による新事業創出に向けた基盤整備」を推進してまいります。また、これらを下支えする「ESG経営の基盤強化」に取り組んでまいります。 ①資本効率重視による既存事業の収益最大化本中期経営計画の目標達成のため、各事業の収益の拡大に向け、引き続き収益性・成長性等の観点から投資配分の最適化を進め、事業ポートフォリオの見直しを含む、資本コストをより意識した経営管理と意思決定を一層加速してまいります。光ファイバ・光関連部品等については、高付加価値製品の拡販や新規顧客の獲得に注力し、また、製造能力の整備や生産性の改善に取り組むとともに、ネットワーキングシステムについてグローバル展開の推進により、収益の確保を図ってまいります。電力ケーブルシステムについては、設備投資・更新等による生産性改善、工事施工能力の増強を進めるとともに、国内の超高圧地中線、再生可能エネルギー向けの海底線や地中線の受注活動に取り組むことにより、収益の拡大を目指してまいります。自動車用ワイヤハーネスについては、車両を軽量化することでCO2削減に貢献するアルミワイヤハーネスの拡販に引き続き努めるとともに、車の電動化が加速する中で注目されている高電圧対応製品の開発と受注活動を進めてまいります。半導体製造用テープについては、将来的に半導体の需要拡大が見込まれることから、生産能力の増強や、より高性能かつ高品質な製品の提供等を目的とする新工場建設及び試作を引き続き進めてまいります。さらに、生成AIの需要拡大を受け、顧客の様々なニーズに対応した放熱製品の拡販に努めてまいります。 ②開発力・提案力の強化による新事業創出に向けた基盤整備当社グループは、素材力を核として長年培ってきた「メタル」「ポリマー」「フォトニクス」「高周波」の4つのコア技術を活用するとともに、外部パートナーとの共創を進めるほか、デジタル技術やデータの利活用を推進し、課題解決を起点とした製品・サービスの開発・提供を通じて、新たな社会課題解決型事業創出に向けた基盤整備を図ってまいります。Beyond5G社会に対応するため、フォトニクス技術及び高周波技術を活かし、次世代の情報通信環境において必要となる光電融合の実現に向けた光半導体デバイス等の開発を進め、オール光ネットワークと高効率エネルギー社会の実現に貢献してまいります。また、安全でサステナブルなエネルギーの供給に貢献する核融合発電関連製品の共同研究開発等を進めてまいります。さらに、カーボンニュートラルの実現に貢献するために、化石資源を使用しないグリーンLPガス*について引き続き研究開発に取り組んでまいります。加えて、社会インフラ維持管理向けデジタルソリューションについて、顧客への提案活動を進めるとともに、更なる高度化を目指してまいります。*グリーンLPガス…バイオガス(家畜の排泄物や生ゴミ等を発酵させた際に発生するメタンガスと二酸化炭素)を原料に生成したLPガスのこと。 ③ESG経営の基盤強化25中計では、特定したマテリアリティごとに2025年度の目指す姿を定め、それらを実現する施策を策定するとともに、進捗を測定するサステナビリティ指標・目標値を設定しており、それらの達成を図ることで、ESG経営の基盤を強化してまいります。持続可能な企業へ変革する上で必須となっている「気候変動に配慮したビジネス活動の展開」に対しては、低炭素経済への移行を支援する一連の目標と行動である気候移行計画を策定し、それに基づいたカーボンニュートラル実現への取組みを加速してまいります。また、人的資本の強化を図るため、人材に対するグループ・グローバル共通の考え方である「古河電工グループPeople Vision」に基づき、「人材・組織実行力」の強化に取り組んでまいります。具体的には、従業員エンゲージメントの要素を含む人材・組織実行力調査を実施し、これをモニタリングツールとして、人材マネジメントに関わる取組みを強化してまいります。「リスク管理強化に向けたガバナンス体制の構築」は、当社グループ全体のリスクマネジメントのみならず、サプライチェーンマネジメントと人権マネジメントに関わる取り組みを強化しています。それぞれ具体的には、「古河電工グループCSR調達ガイドライン」に基づく自己評価調査(SAQ)について当社から国内外グループ会社の主要な取引先へ段階的に拡大しております。「人権デューディリジェンスの実施」については、従業員と取引先を優先して対応すべきステークホルダーとして、それぞれについて想定される人権上の課題を特定し、課題への改善策や予防策を講じております。 (3) 目標とする経営指標25中計において、資本効率を意識した事業の強化と創出を行うため、ROICやROE等を経営指標として重視し、最終年度である2026年3月期の到達目標水準は、ROIC(税引後)6%以上、ROE11%以上、連結売上高1.1兆円以上、連結営業利益580億円以上、親会社株主に帰属する当期純利益370億円以上としております。また、25中計では、これらの財務目標に加え、各マテリアリティにおける2025年度の目指す姿を実現するためのサステナビリティ指標(温室効果ガス排出量削減率、従業員エンゲージメントスコア、管理職に対する人権リスクに関する教育実施率等)及びそれらの目標を設定しております。ビジョン2030の実現に向けて、本中期経営計画を着実に推進してまいります。 2025年度の財務目標値ROIC(税引後)6%以上ROE11%以上Net D/Eレシオ0.8以下自己資本比率35%以上連結売上高1.1兆円以上連結営業利益580億円以上親会社株主に帰属する当期純利益370億円以上 2025年度のサステナビリティ目標値環境調和製品売上高比率70%新事業研究開発費増加率(2021年度基準)125%事業強化・新事業創出テーマに対するIPランドスケープ実施率100%(*1)温室効果ガス排出量削減率(スコープ1、2)(2021年度基準)△18.7%電力消費量に占める再生可能エネルギー比率30%従業員エンゲージメントスコア80(*2)(単体)管理職層に占める女性比率7%(単体)スタッフ新規採用者に占めるキャリア採用比率 30%全リスク領域に対するリスク管理活動フォロー率100%主要取引先に対するCSR調達ガイドラインに基づくSAQ実施率100%管理職に対する人権リスクに関する教育実施率100% (*1) 2022年度に設定したテーマに関して全件実施を意味する。(*2) 2023年度に対象範囲を国内外グループ会社に拡大し、単体目標からグループ目標に変更。
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度の期首より、会計方針の変更を行っており、前連結会計年度との比較分析にあたっては、遡及適用後の数値を用いております。詳細については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。(業績等の概要)(1) 業績当期の世界経済は、米国においては、金融引締めによる需要抑制効果が顕在化したものの、良好な雇用情勢や実質所得の増加が個人消費を下支えし、政府の産業支援策等により企業の設備投資にも力強さがみられ、景気は堅調に推移しました。欧州においては、実質所得の改善が個人消費を下支えしたものの、インフレや金融引締めの継続に伴う景気の下押し圧力が依然として強く、エネルギー価格高騰・供給制約による物価上昇の影響が残存したこともあり、景気は低迷しました。中国においても、経済成長重視の政策としてのインフラ投資が景気を下支えしたものの、不動産市場の停滞に加え個人消費も回復の兆しが見えず、景気は低迷しました。さらに、ロシア・ウクライナ情勢や中東での軍事衝突等不安定な状況が継続しており、世界的に先行きが不透明な経済環境が続きました。わが国の経済は、雇用や所得環境の改善を背景に個人消費に持ち直しの兆しが見られるものの、物価高による消費下押しと、人手不足等による設備投資の遅延により、景気の回復ペースは緩やかなものとなりました。このような環境の下、当社グループでは、2030年におけるありたい姿を描き、そこへ向けての時間軸と領域を明確にした「古河電工グループ ビジョン2030」(以下、「ビジョン2030」という)からバックキャストして2025年に目指す姿の達成を見据えて策定した中期経営計画「Road to Vision2030-変革と挑戦-」(以下、「25中計」という)に基づき、「資本効率重視による既存事業の収益最大化」及び「開発力・提案力の強化による新事業創出に向けた基盤整備」を推進してまいりました。また、これらを下支えする「ESG経営の基盤強化」に取り組んでまいりました。「資本効率重視による既存事業の収益最大化」については、成長性と収益性の観点から可視化された事業の位置付けに基づき、資本効率性を意識した経営管理の推進に取り組んでまいりました。また、情報通信ソリューション事業においては、高付加価値製品の販売比率を高めることで製品ミックスの改善による利益率向上を図ってまいりました。自動車部品事業においては、顧客の生産計画の変更にも柔軟に対応できる体制の整備に引き続き努めるとともに、販売価格の適正化に取り組んでまいりました。「開発力・提案力の強化による新事業創出に向けた基盤整備」については、次世代のエネルギー源として期待される核融合*発電の開発を進める英国の顧客に対し当社グループは超電導線材を供給しておりますが、新たに同社に出資する等、同社とのパートナーシップの強化を推進してまいりました。また、国内においては、核融合発電を含むクリーンエネルギーに関する事業の創出を目的とする協議会に参画いたしました。さらに、日本国内において道路や鉄道等の社会インフラの老朽化と労働人口の減少が進行する中、社会インフラ維持管理向けデジタルソリューションの受注活動に注力してまいりました。*核融合…強力な超電導マグネットで高温プラズマ(数億度)を閉じ込め、核融合反応でエネルギーを発生させる。核融合の燃料の元は海水(重水素(2H))であり、二酸化炭素(CO?)を排出せずに発電可能で環境負荷も低いことから、核融合による発電は次世代のエネルギー源として期待されている。 「ESG経営の基盤強化」については、脱炭素社会及び水・資源循環型社会への貢献等を掲げた「環境目標2030」の達成に取り組んでおり、一部の工場の全電力について実質再生可能エネルギー由来電力化を実現する等、CO?排出量削減を進めてまいりました。また、従業員個々人と組織がともに実行力を向上させ成長するため現状をモニタリングする調査を実施し、その結果を踏まえた改善施策を事業活動に反映していく「人材・組織実行力の強化」の取組みを実施してまいりました。加えて、経営層がESGの取組みを一層推進するための仕組みとして、新たにESG連動報酬を加えた役員報酬制度の運用を開始いたしました。当期の業績につきましては、情報通信ソリューション事業において顧客の投資抑制等による需要低迷により光ファイバ等が減収となり、電装エレクトロニクス事業においてワイヤハーネス等の自動車部品が増収となったものの、グループ全体の売上は減少しました。損益面では、販売価格の適正化等に取り組んだものの、売上の減少や原燃料価格の上昇等により減益となりました。 これらの結果、連結売上高は1兆565億円(前期比0.9%減)、連結営業利益は112億円(前期比27.7%減)、連結経常利益は103億円(前期比40.5%減)となりました。投資有価証券売却益120億円等を特別利益に、固定資産処分損15億円等を特別損失として計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は65億円(前期比59.1%減)となりました。なお、海外売上高は5,452億円(前期比0.7%減)で、海外売上高比率は51.6%(前期比0.1ポイント増)となりました。単独の業績につきましては、売上高は2,968億円(前期比3.0%減)、営業損失は91億円(前期比73億円悪化)、経常利益は3億円(前期比96.2%減)、当期純利益は19億円(前期比92.4%減)となりました。 セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。 〔インフラ〕情報通信ソリューション事業では、光ファイバ・光関連部品等について顧客の投資抑制や在庫調整の長期化等による需要低迷、中南米におけるネットワーキング市場の減速により売上が減少する中、製品ミックスの改善による利益率の向上や原燃料価格の高騰に対する販売価格の適正化に取り組んでまいりましたが、売上が減少した影響により、減収減益となりました。エネルギーインフラ事業では、産業電線・機器事業は、軽量かつ柔軟性に優れ建設工事現場での省力化・効率化に貢献するアルミCVケーブル等の機能線の拡販を進めたことにより好調に推移いたしました。電力事業においては、国内の超高圧地中線の需要が堅調に推移し、また再生可能エネルギー向けの海底線及び地中線も好調に推移いたしましたが、中国市場の低迷等の影響が大きく、エネルギーインフラ事業全体としては増収減益となりました。これらの結果、当セグメントの連結売上高は2,782億円(前期比14.1%減)、連結営業損失は113億円(前期比199億円悪化)となりました。また、単独売上高は774億円(前期比13.8%減)となりました。情報通信ソリューション事業では、引き続き高付加価値製品の販売比率の更なる向上に取り組むとともに、北米市場を中心にFTTxやデータセンタ関連製品の拡販推進に加え、光ファイバ等の製品販売やネットワークの設計・運用支援、アフターサービス等をトータルで提供するネットワーキングシステムについてグローバル展開の強化に取り組み、収益の拡大を図ってまいります。また、光ファイバ・光関連部品等の需要回復を見据えた製造体制の整備も引き続き進めてまいります。エネルギーインフラ事業では、引き続き国内の超高圧地中線、再生可能エネルギー向けの海底線及び地中線等市場拡大が見込まれる分野に注力し、ケーブルの製造能力や工事施工能力の増強に取り組んでまいります。さらに、利益確保重視の受注と販売価格の適正化を推進するとともに、送配電部品及びアルミCVケーブル等の機能線の更なる拡販に向けたマーケティング活動により、収益の確保に努めてまいります。 〔電装エレクトロニクス〕自動車部品事業では、軽量でカーボンニュートラル推進に貢献するアルミワイヤハーネス、及び電動車市場の拡大により需要の増大が見込まれる高電圧に対応したワイヤハーネスの拡販に取り組んでまいりました。また、自動車生産計画の急激な変更にも柔軟に対応できる体制の整備に注力するとともに、生産性の改善を図ってまいりました。さらに、原燃料価格の高騰等を受け販売価格の適正化に取り組んだこともあり、増収増益となりました。電装エレクトロニクス材料事業では、車載関連製品は回復傾向にあるもののエレクトロニクス関連製品の需要は依然として低迷しており、高付加価値製品の拡販による製品ミックスの改善や原燃料価格の高騰等を受けた販売価格の適正化に注力いたしましたが、増収減益となりました。これらの結果、当セグメントの連結売上高は6,537億円(前期比7.1%増)、連結営業利益は187億円(前期比140億円増)となりました。また、単独売上高は1,415億円(前期比7.3%減)となりました。自動車部品事業では、引き続きアルミワイヤハーネス及び高電圧に対応したワイヤハーネスの拡販に取り組み、さらに業務プロセスの改善や生産平準化と在庫水準の適正化等による生産性の改善を進め原価低減を図るとともに、今後の電動車市場の拡大に向けた製品開発等を推進し、収益の確保を目指してまいります。電装エレクトロニクス材料事業では、車載市場等に向けた抵抗材の製品構成拡充やパワー半導体用及び放熱部品用耐熱無酸素銅条の拡販による製品ミックスの改善に引き続き取り組むとともに、販売価格の適正化に努めてまいります。 〔機能製品〕機能製品事業では、2022年度下期以降のスマートフォンやパソコン、ハードディスクドライブ関連製品の世界的な需要の低迷及びこれに伴うサプライチェーン上の在庫調整の長期化等の影響から幅広い製品で売上が減少しましたが、生成AI関連の需要急拡大を受け高付加価値製品が好調に推移したこと等により、減収増益となりました。これらの結果、当セグメントの連結売上高は1,154億円(前期比8.7%減)、連結営業利益は55億円(前期比31.8%増)となりました。また、単独売上高は734億円(前期比22.2%増)となりました。機能製品事業では、急拡大した生成AI関連市場等の需要に対し、今後の更なる需要増大を見据えた生産体制の整備を進めるとともに、高付加価値製品の更なる拡販推進等により新たな顧客を取り込み、事業の成長を目指してまいります。 〔サービス・開発等〕水力発電、新製品の研究開発、不動産の賃貸、各種業務受託等による当社グループ各事業のサポート等を行っております。なお、当社日光事業所においては、必要な電力のほとんどを再生可能エネルギー(水力発電)で賄っており、本水力発電は25中計におけるサステナビリティ目標「電力消費量に占める再生可能エネルギー比率30%」の達成に向け、その一端を担っております。当セグメントの連結売上高は316億円(前期比0.5%減)、連結営業損失は19億円(前期比2億円改善)となりました。また、単独売上高は43億円(前期比32.8%増)となりました。 (2) キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、531億円(前連結会計年度比+11億円)となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益+201億円、減価償却費+390億円、有価証券及び投資有価証券売却損益(△は益)△113億円、法人税等の支払額又は還付額(△は支払)△111億円等により+319億円(前連結会計年度比△46億円)となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出△364億円、投資有価証券の売却及び償還による収入+130億円等により△248億円(前連結会計年度比△31億円)となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入+296億円、長期借入金の返済による支出△254億円、短期借入金の純増減額(△は減少)△120億円、コマーシャル・ペーパーの純増減額(△は減少)+75億円等により△93億円(前連結会計年度比+252億円)となりました。 (生産、受注及び販売の状況)当社グループの生産・販売品目は、広範かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額又は、数量で示すことはしておりません。 (財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析)(1) 財政状態の分析当連結会計年度末の資産の部では、合計が前連結会計年度末に比べ515億円増加して9,850億円となりました。受取手形、売掛金及び契約資産が162億円、棚卸資産が114億円、有形固定資産が94億円、投資有価証券が121億円増加しました。流動資産から流動負債を差し引いた運転資本は、前連結会計年度末に比べ111億円増加して1,169億円となりました。有形・無形固定資産は、資本的支出で390億円の増加、減価償却で390億円の減少のほか、除売却による減少等により変動しております。負債の部では、合計が前連結会計年度末に比べ226億円増加して6,270億円となりました。借入金、社債、コマーシャル・ペーパーを含む有利子負債が3,330億円と前連結会計年度末比で92億円増加しました。純資産の部では、合計が前連結会計年度末に比べ289億円増加して3,580億円となりました。その他の包括利益累計額が252億円増加しました。この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末比1.0ポイント上昇し33.3%となりました。キャッシュ・フローの概況については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(業績等の概要)(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。 (2) 経営成績の分析当連結会計年度の連結売上高は、前連結会計年度比0.9%減の1兆565億円、連結営業利益は、前連結会計年度比27.7%減の112億円となりました。情報通信ソリューション事業において顧客の投資抑制等による需要低迷により光ファイバ等が減収となり、電装エレクトロニクス事業においてワイヤハーネス等の自動車部品が増収となったものの、グループ全体の売上は減少しました。損益面では、販売価格の適正化等に取り組んだものの、売上の減少や原燃料価格の上昇等により減益となりました。営業外損益では、前連結会計年度に比べ支払利息が29億円悪化、持分法による投資利益が27億円改善しました。この結果、連結経常利益は前連結会計年度比40.5%減の103億円となりました。特別損益は、98億円の利益(純額)となりました。投資有価証券売却益120億円等を特別利益に、固定資産処分損15億円等を特別損失として計上いたしました。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比59.1%減の65億円となりました。なお、セグメント別の概況は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(業績等の概要)(1)業績」に記載しております。 (3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析当社グループでは、事業活動の継続及び発展のための成長投資や運転資金需要に対して、営業活動を通じて獲得したキャッシュ・フローの他、金融機関からの借入、社債やコマーシャル・ペーパーの発行等の負債性調達や、資産の流動化等により、資金調達を実施しております。具体的な調達手段については、市場環境や当社のバランスシート状況を踏まえ、経済合理性や財務構造の安定化の観点から判断しております。また、日本、中国及びタイにおいては、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入し、効率的な資金活用に努めております。手元流動性については、手元現預金とコミットメントラインにより、短期的な支払リスクをカバー出来うる水準を確保しております。 (重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定)当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

※本記事は「古河電気工業株式会社」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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