富士フイルムホールディングス株式会社の基本情報

会社名富士フイルムホールディングス株式会社
業種化学
従業員数連72593名 単1198名
従業員平均年齢43.5歳
従業員平均勤続年数17.5年
平均年収11242845円
1株当たりの純資産913.43円
1株当たりの純利益(単体)4.32円
決算時期3月
配当金65円
配当性向1504.6%
株価収益率(PER)658.4倍
自己資本利益率(ROE)(単体)0.5%
営業活動によるCF4281億円
投資活動によるCF▲5419億円
財務活動によるCF1088億円
研究開発費※1133.29億円
設備投資額※15295.33億円
販売費および一般管理費※14276.14億円
株主資本比率※254%
有利子負債残高(連結)※3※40円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 (1)経営方針、経営環境 当社は、創立90周年を機に、グループパーパス「地球上の笑顔の回数を増やしていく。」を制定しました。創業以来、先進的かつ独自の技術に基づいた商品やサービスの提供を通じて、人々の「笑顔」に寄り添ってきました。これから迎える100周年、さらにその先においても、当社は全事業を通じて社会課題の解決に貢献するとともに、世界中の人々に幸せな笑顔が何度も訪れるよう、従業員一人ひとりが「アスピレーション(志)」を持って挑み続けていきます。このグループパーパスを実現するためには、①事業の持続的成長につながる新製品開発や設備投資、②環境・人権・サプライチェーンマネジメント等のESG課題への取組み、③人材育成や労働環境の向上、賃金引き上げ等、従業員の働きがいや能力発揮につながる取組み、④株主への還元を確実に実行し、多様なステークホルダーに価値を提供することが成功の鍵となります。当社グループは、これらの活動の原資となる利益を生み出すために、競争優位性を長期にわたって維持できる力強いビジネスにフォーカスすることで「稼げる力」を向上させ、経済的価値と社会的価値の両方を追求しながら、「稼げる会社」に進化させていきます。そして、獲得した利益を上記①②③④に再投資することにより、永続的な好循環を実現させます。 当社は、2017年8月に長期CSR計画「Sustainable Value Plan 2030」(以下、「SVP2030」と記載します。)を策定しました。2024年4月に発表した中期経営計画「VISION2030」(以下、「VISION2030」と記載します。)は「SVP2030」の具体的なアクションプランとして位置付けています。「VISION2030」では、収益性と資本効率を重視した経営により当社グループの価値を向上させ、世界TOP Tierの事業の集合体として、世界をひとつずつ変え、様々なステークホルダーの価値(笑顔)を生み出すことを「2030年度のあるべき姿」としました。2024年度は、「VISION2030」の1年目にあたり、「売上高」「営業利益」「当社株主帰属当期純利益」は3年連続で、過去最高を更新しました。「事業ポートフォリオマネジメント」と「キャッシュフローマネジメント」の強化により確保した原資を、バイオCDMO事業や半導体材料事業を中心とした成長分野の設備投資に充てる等、「VISION2030」達成に向けて順調なスタートを切りました。 2025年度は、国内では金利上昇がデフレ型経済からの脱却を後押しし、世界的には物価高や金利高の収束に多くの期待が寄せられる一方で、持続的な回復を実現するためには多くの課題が残されています。特に、米国が発動した関税の大幅な引き上げに対し、各国の対抗措置やそれに伴うサプライチェーンの混乱、不確実性が増すことでの企業の投資抑制、堅調だった米国の景況感の悪化等により、世界経済が景気後退に陥るリスクが高まっています。また、終わりの見えないロシア・ウクライナ情勢やイスラエル・ガザ紛争を発端とした中東情勢の悪化も、依然として世界経済の不安定要因です。このような状況下においても、当社グループは全事業の収益力向上に努め、安定的なキャッシュ創出を進めるとともに、ヘルスケア・エレクトロニクスの成長加速や、持続的な成長を可能とする強靭な事業基盤の構築をさらに強化し、「稼げる会社」へと進化させることで、この難局を乗り越えていきます。  経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりであります。 (単位:億円) 2024年度2025年度(次期の見通し)対前年度 2026年度(中期経営計画)売上高31,95832,800842 34,500営業利益3,3023,3108 3,600当社株主帰属当期純利益2,6102,62010 2,700ROE8.0%7.7%0.3ポイント減 8.1%ROIC5.9%5.5%0.4ポイント減 5.8% (2)対処すべき課題「ヘルスケア部門の成長戦略」 ヘルスケア部門では、高齢化社会におけるQOL(Quality Of Life)向上や新興国における医療環境の整備といった医療分野の社会課題に対し、当社独自のAI技術やバイオ技術等、最先端の技術を駆使した製品やサービスを提供し続けます。これにより、2025年度にはヘルスケア部門として2024年度に到達した売上高1兆円を上回る増収を目指します。 メディカルシステム事業では、重点課題である、AI・ITを活用した製品やサービスを拡充し、サービス・消耗品等のリカーリングビジネスを拡大する成長戦略を確実に進めていきます。また、健診サービス事業では、2024年12月にインド・ケララ州に医療スタッフ向けトレーニングや遠隔読影機能を有する戦略拠点「NURA Global Innovation Center」を設立し、2025年1月にはアラブ首長国連邦に「NURA」の運営ノウハウを取り入れた健診センターを開設しました。2025年度も引き続き「NURA」の展開を加速させます。 バイオCDMO事業では、抗体医薬品の旺盛な需要に応えるべく建設を進めてきた、デンマーク拠点の大型製造設備が2024年11月に稼働開始し(既存の20,000リットル動物細胞培養タンク6基に加え、新たに6基を増設)、2025年後半には米国ノースカロライナ拠点で大型製造設備8基を稼働開始させます。米国ノースカロライナ拠点においては、2023年11月にJohnson & JohnsonグループのJanssen Supply Group, LLCと長期にわたる製造受託を発表、2025年4月には、Regeneron Pharmaceuticals, Inc. と10年間にわたる総額30億ドル超の製造契約を締結する等、今後の大型製造設備を中心とした事業拡大に向けて、順調に受託が進んでおります。一方、バイオテック企業への投資環境の冷え込みに起因する細胞・遺伝子治療薬の開発停滞等により、英国や米国拠点の中小型製造設備による受託ビジネスは依然として低調であるものの、市場ニーズの高い、生産効率を高める技術開発や品質保証・ITセキュリティに対する整備をいち早く実現することで、競争優位性を確保し、事業の成長を加速させていきます。 ライフサイエンス事業では、創薬支援材料分野において、基礎研究から製造・安全性・品質試験までの広範囲にわたり、顧客ニーズに対応した培地・試薬・細胞等多種多様な製品とサービスを提供し、また、iPS細胞技術・ノウハウを生かした細胞治療薬の開発支援ビジネスも拡大します。 医薬品事業では、ペニシリン等の抗菌剤の製造販売とともに、脂質ナノ粒子製剤の製造受託を展開していきます。また、既存の富山拠点を活用し、平時は抗体医薬品・抗体薬物複合体、パンデミック時はmRNAワクチン・遺伝子組換えタンパクワクチンの製造が可能なデュアルユース設備を有する国内バイオ医薬品CDMO拠点の立ち上げ(2027年より稼働予定)に向けた準備を確実に進めます。 コンシューマーヘルスケア事業では、主力ブランドのASTALIFT(化粧品)、メタバリア(サプリメント)の通販強化に加え、男性向け化粧品「ASTALIFT MEN」や、機能性表示食品の「ヒザテクト」の拡販を進めます。 CRO事業では、当社独自のAI技術や化合物ライブラリ、iPS細胞等を駆使した特徴的なサービスを展開し、主に基礎研究から非臨床試験までの創薬初期段階の顧客に広めていきます。 「エレクトロニクス部門の成長戦略」 エレクトロニクス部門では、「エレクトロニクス戦略本部」の下、同領域の顧客アプリケーション軸での製品ポートフォリオの構築・戦略マネジメントを通じて既存事業の拡大と新規事業の開発を進めていきます。 半導体市場は、生成AI向け等先端半導体を中心に需要は引き続き拡大しており、半導体のパフォーマンス向上のため、微細化に加えて、前工程の技術・材料を活用した後工程での高集積化が加速するとみられています。また、地政学上の背景から各国が半導体メーカーへの支援・誘致を強化しており、サプライチェーン確立のため、半導体材料メーカーの現地対応が求められています。 半導体材料事業では、2023年度のプロセスケミカル事業買収により、当社の製品ラインアップが拡充され、半導体製造プロセスのより多様な工程に当社製品を提供できるようになりました。今後、新製品開発によりさらなる拡充を進めるとともに、複数プロセスに材料を供給している強みを生かし、単一材料では解決できない複雑な顧客課題を解決していく等、「ワンストップソリューション」を提供することで事業成長を加速させます。また、地産・地消・“地援*1“を重視し、現在世界に20ヶ所ある製造拠点への積極的な投資によりグローバルに拡大する大手顧客の要望に確実に応えるとともに、半導体市場の成長が見込まれるインドへの製造拠点投資を検討開始する等、新市場にもいち早く取り組んでいきます。 アドバンストファンクショナルマテリアルズ事業では、液晶パネル向けTAC製品の強いマーケットポジションの維持、OLED向け材料のシェア向上を推進するとともに、データセンターで使用されるデータテープ、半導体やディスプレイ等デバイス製造工程に使用される圧力測定フィルム「プレスケール」等、当社が持つ技術を駆使して、エレクトロニクス分野向けに差別化した製品の供給を拡大します。加えて、エレクトロニクス材料グループの技術(フロー合成、高純度液化、無機粒子形成、液晶を用いた光学制御等)を基盤に、これまで蓄積してきた顧客接点も活用し、通信市場及びエネルギー市場の、顧客ニーズに応じた新規材料の提案を行っていきます。*1 「地援」とは、顧客の課題に現地で対応できるサポート体制を指します。 「ビジネスイノベーション部門の成長戦略」 ビジネスイノベーション部門では、2024年度にグラフィックコミュニケーション事業をビジネスイノベーションに統合し、オフィスから商業印刷(アナログ・デジタル)・産業印刷まで全領域をカバーする業界唯一の「ソリューションパートナー」として事業展開を進めています。 ビジネスソリューション事業では、ITリソースが不足しDX(デジタルトランスフォーメーション)のニーズがある中堅・中小企業向けに、ITインフラ環境の構築・運用を支援する「IT Expert Services」、顧客企業のインフラのクラウド化、顧客企業の業務プロセス変革・DXを支援するクラウドサービス「FUJIFILM IWpro」、「Microsoft Dynamics 365」を主力としたERPソリューション等、顧客企業のステージに合わせたIT環境の構築と運用を提供し、リカーリングビジネスを拡大します。加えて、当社グループのAI・IT技術アセットを活用し、ビジネスソリューションを含むビジネスイノベーション部門全体の成長を加速してまいります。 オフィスソリューション事業では、プリントボリュームが漸減する中で、当社がトップレベルのシェアを有するA3カラー領域に注力し、環境対応と生産基盤の強化を図ります。2025年1月には、コニカミノルタ㈱との原材料、部材調達連携の合弁会社である「グローバルプロキュアメントパートナーズ㈱」を設立し、業界をリードする供給体制構築を推進します。販売では、効率的な販売体制への転換による収益性の維持・向上、及び、欧州各国や北米の有力代理店による当社複合機の新規取り扱いや新規OEM等、新たな市場での販売拡大を目指します。 グラフィックコミュニケーション事業では、商業印刷・パッケージ印刷市場におけるトレンドシフトに対応しています。大ロットのアナログ印刷やモノクロ印刷が減少する一方で多品種・小ロット印刷やカラー印刷の需要が増加する中、当社は刷版、デジタル印刷機、産業用ヘッドにおいてトップレベルのシェアを持つ強固な顧客基盤を中心に販売を拡大し、デジタルシフトをさらに加速させます。2025年1月には戦略商品として、1パス5色印刷を可能にしたミドルレンジモデルのプロダクションプリンター「Revoria Press EC2100S」「Revoria Press SC285S」を発売し、ワールドワイドで拡販していきます。インクジェットインク・ヘッドについては、生産体制の再編で収益性改善を図るとともに、インクやヘッドといった基幹部材を自社でもつ強みを活かし、プリンターメーカーに加え、さらに上流のブランドオーナー向けの販売を拡大し、商業印刷及びパッケージ印刷のデジタル市場の成長に応えていきます。 「イメージング部門の成長戦略」 コンシューマーイメージング事業では、2025年4月に発売したクラシックモデルのアナログインスタントカメラ「instax mini 41」をはじめとした魅力的な新製品をタイムリーに市場投入し、ユーザー層の拡大を図ります。また、トナー方式フォトプリンター機の展開拡大や異業種パートナーとのアライアンスによる若い世代との新たなタッチポイント創出等を通じて、新規プリント需要の掘り起こしを進めていきます。 プロフェッショナルイメージング事業では、デジタルに最適化された色再現が特徴のデジタルカメラ「Xシリーズ」「GFXシリーズ」のマルチブランド戦略を強化することで、スマートフォンでは満足できない潜在ニーズを掘り起こし、当社ファンの拡大を図ります。また、2025年中の発売を目指し開発発表した当社初の映像制作用カメラ「FUJIFILM GFX ETERNA(エテルナ)」で映像制作市場へ本格参入し、幅広い分野での高品質かつ効率的な映像制作に貢献していきます。また、プロジェクター・遠望監視カメラの新規用途/エリア展開、最先端の光学技術・画像処理技術・AIを駆使したインフラ点検DXといった新規分野の立ち上げも進めていきます。 「SVP2030の下での重点分野と取組み」 当社グループは、長期CSR計画である「SVP2030」の下、「事業を通じた社会課題の解決」と「事業プロセスにおける環境・社会への配慮」の2つの側面から、4つの重点分野「環境」「健康」「生活」「働き方」と、事業活動の基盤となる「サプライチェーン」及び「ガバナンス」における各分野で設定した目標達成に向けた取組みを進めています。 「環境」分野においては、気候変動への対応や水資源を含む生物多様性の保全、資源循環の促進等を重点課題として取り組んでいます。脱炭素化については、パリ協定で定められている「1.5℃目標」に整合した目標「自社の製品ライフサイクル全体での温室効果ガス(GHG)排出を2030年度までに50%削減(2019年度比)」を掲げています。本目標は「Science Based Targets(SBT)イニシアチブ*2」より、パリ協定の「1.5℃目標」を達成するための科学的根拠に基づいた目標として認定されています。また、2022年度から「インターナルカーボンプライシング(社内炭素価格)」を導入し、この仕組みを通じて低炭素投資を促進することで、脱炭素社会の実現に貢献しています。加えて、水資源管理については、2014年度より国内外の全事業拠点を対象に水リスクを評価し、リスクの程度を踏まえた水の投入量抑制やリサイクル利用を行っております。当社グループでは環境戦略「Green Value Climate Strategy」の下、環境負荷の少ない生産活動や、優れた環境性能を持つ製品・サービスの創出・普及を推進しており、これら活動が評価され、当社は国際的な非営利団体CDP*3が実施する調査において「気候変動」と「水セキュリティ」の2分野で最高評価である「Aリスト企業」に認定されました。「気候変動」分野は3年連続4回目、「水セキュリティ」分野では5回目の認定を受けています。 「健康」分野においては、2024年度に115ヶ国まで拡大した、医療AI技術を活用した製品・サービスの導入国を、2030年度には世界196の全ての国に導入することを目標としています。また、2024年度に8拠点まで展開した、新興国におけるがん検診を主とした健診センター「NURA」の拠点数を、2030年度には100拠点にまで増やす計画です。これにより、より多くの人々への医療アクセス向上を目指しています。さらに、当社は内視鏡システム、超音波診断装置、デジタルマンモグラフィ、CT、MRI等、疾病の早期発見に貢献するための診断用医用機器及びサービスを幅広く提供しています。これらを活用することで、医師の診断を支援し、人々の健康維持増進に貢献しています。2024年7月にはアンメットメディカルニーズへの対応や医療アクセス向上を目的に、バイオCDMO事業に関連した資金調達手段として、ソーシャルボンド(社会貢献債)を発行しました。発行金額は2,000億円であり、国内社債市場におけるソーシャルボンドの発行額としては最大規模となります。また、当社は従業員の健康意識の向上やがん対策等の取組みが評価され、経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「健康経営銘柄」に5年連続で選ばれました。さらに、経済産業省と日本健康会議より、優良な健康経営R*4を実践している法人として「健康経営優良法人ホワイト500」に9年連続で認定されています。今後もヘルスケア事業を通じた社会課題の解決に取り組むとともに、健康長寿社会の実現に向けて貢献していきます。 「働き方」分野においては、ビジネスに革新をもたらす当社のソリューション・サービスを利用し、働く人の生産性向上と創造性発揮を支援する働き方を2030年度まで累計5,000万人に提供していきます。当社は、DXにおける目指す姿を明文化した「DXビジョン」を2021年に制定し、代表取締役社長・CEOをトップとしたグループ横断型のDX推進体制を構築しています。この体制では、トップダウンによる戦略的なガバナンスと、現場起点・現場主導のボトムアップのアプローチを融合させ、一貫性の高い全社規模のDX推進を実現しています。具体的な成果として、経営情報分析システム「One-Data」により、グループ全体の「連結経営KPI」の進捗状況を可視化し、それに基づいて販売、調達、生産等の現場におけるデータ活用を強化しています。これにより、グローバルな連結経営管理の迅速化が進み、生産性の向上に寄与しています。こうした取組みが評価され、経済産業省が東京証券取引所及び独立行政法人情報処理推進機構と共同で選定する「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2025」において「DX銘柄2025」に選ばれました。今後もDXのさらなる推進を通じて、2030年度までにより多くの製品やサービスの価値を向上させ、イノベーティブなお客様体験の創出や社会課題の解決に貢献していきます。 「ガバナンス」分野においては、コーポレート・ガバナンスを経営上の重要な課題と位置づけ、その強化に取り組んでいます。2024年6月には取締役会の上程基準を見直し、より中長期的な課題及びその進捗に関する議案を充実化させ、監督機能の一層の強化を図っています。2024年度にはグローバル共通の設計として株式報酬制度を一新するとともに、社外取締役にも業績非連動型の株式報酬を導入しました。さらに、中期業績連動型株式報酬における新たなESG指標としてエンゲージメントスコアを追加しました。当社は誠実かつ公正な事業活動を通じて、当社グループの持続的な成長と企業価値の向上を図るとともに、社会の持続的発展に貢献することを目指していきます。*2 CDP、国連グローバル・コンパクト、WRI(世界資源研究所)、WWF(世界自然保護基金)による国際的な共同イニチアチブ。科学的根拠に基づいてGHG排出削減目標の検証や削減施策のベストプラクティスを推進しています。*3 CDPは、740以上の機関投資家を代表して企業の気候変動対策や水資源管理等を調査しており、2024年は約23,000社が回答。本調査の結果は、ESG(環境、社会、統治)の観点から企業活動を評価する世界の代表的な社会的責任投資指標(SRI Index)にも活用されています。*4 「健康経営R」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。 「2025年度グループ基本方針」 当社グループの2025年度の経営方針は「アスピレーション(志)を持って卓越した価値を届けよう!」です。「VISION2030」の2年目となる2025年度は、本計画に織り込んだ主要アクションをスケジュール通りに遂行し、その達成を確実にするための重要な一年です。グループパーパスの下、全てのステークホルダーの笑顔(価値)を生み出していくためにも、従業員一人ひとりがアスピレーション(志)の具現化に向けた行動を起こし、卓越した価値を届けていきます。
経営者による財政状態の説明
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 当連結会計年度における連結売上高は、エレクトロニクス部門の半導体材料事業や、イメージング部門等を中心に売上を伸ばし、3,195,828百万円(前年度比7.9%増)となりました。営業利益は、330,155百万円(前年度比19.3%増)となりました。税金等調整前当期純利益は340,594百万円(前年度比7.3%増)、当社株主帰属当期純利益は260,951百万円(前年度比7.2%増)となりました。 事業セグメント別の業績は次のとおりであります。 (事業セグメント別の連結売上高)セグメント前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減額(百万円)増減率(%)ヘルスケア975,0811,022,56447,4834.9エレクトロニクス358,427432,79774,37020.7ビジネスイノベーション1,157,7501,198,49440,7443.5イメージング469,658541,97372,31515.4連結合計2,960,9163,195,828234,9127.9  ヘルスケア部門の連結売上高は、前年度の975,081百万円に対し、メディカルシステム事業、バイオCDMO事業等で売上を伸ばしたことにより47,483百万円増加し、1,022,564百万円となりました。エレクトロニクス部門の連結売上高は、前年度の358,427百万円に対し、半導体材料事業、ディスプレイ材料事業等で売上を伸ばしたことにより74,370百万円増加し、432,797百万円となりました。ビジネスイノベーション部門の連結売上高は、前年度の1,157,750百万円に対し、ビジネスソリューション事業等で売上を伸ばしたことにより40,744百万円増加し、1,198,494百万円となりました。イメージング部門の連結売上高は、前年度の469,658百万円に対し、コンシューマーイメージング事業、プロフェッショナルイメージング事業で売上を伸ばしたことにより72,315百万円増加し、541,973百万円となりました。 (事業セグメント別の営業利益)セグメント前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減額(百万円)増減率(%)ヘルスケア97,38977,635△19,754△20.3エレクトロニクス46,27077,31531,04567.1ビジネスイノベーション67,42574,6147,18910.7イメージング102,033139,21437,18136.4全社費用等△36,392△38,623△2,231-連結合計276,725330,15553,43019.3※当連結会計年度より、グラフィックコミュニケーション事業をエレクトロニクス(旧マテリアルズ)セグメントからビジネスイノベーションセグメントへ変更しております。前連結会計年度のセグメント情報は、変更後の区分方法により作成したものを記載しております。変更の概要については連結財務諸表注記23「セグメント情報」に記載しております。  ヘルスケア部門の営業利益は、前年度の97,389百万円に対し、バイオCDMOの一時費用等により19,754百万円減少し、77,635百万円となりました。エレクトロニクス部門の営業利益は、前年度の46,270百万円に対し、生成AI向け半導体材料やOLED向け材料の増収に伴う増益等により31,045百万円増加し、77,315百万円となりました。ビジネスイノベーション部門の営業利益は、前年度の67,425百万円に対し、DX関連ソリューション等の販売増加や欧米市場の増収に伴う増益等により7,189百万円増加し、74,614百万円となりました。イメージング部門の営業利益は、前年度の102,033百万円に対し、インスタントフォトシステムやデジタルカメラの販売が好調に推移したことにより37,181百万円増加し、139,214百万円となりました。  当連結会計年度末では、総資産は有形固定資産の増加等により466,448百万円増加し、5,249,908百万円(前年度末比9.8%増)となりました。負債は社債及び長期借入金の増加等により287,081百万円増加し、1,897,226百万円(前年度末比17.8%増)となりました。純資産は当社株主帰属当期純利益の計上等により179,367百万円増加し、3,352,682百万円(前年度末比5.7%増)となりました。 ② キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」と記載します。)は、前連結会計年度末より7,604百万円減少し、当連結会計年度末において172,111百万円となりました。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度の営業活動により得られた資金は428,162百万円となり、当期純利益、減価償却費、持分証券に関する損益が増加したこと等に起因して、前連結会計年度と比較して20,221百万円増加(前年度比5.0%増)となりました。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度の投資活動に使用した資金は541,953百万円となり、前連結会計年度と比較して14,537百万円増加(前年度比2.8%増)しておりますが、これは有形固定資産の購入額が増加したこと等によるものです。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度の財務活動により得られた資金は108,883百万円となり、前連結会計年度と比較して109,345百万円増加(前連結会計年度は462百万円の支出)しておりますが、これは長期債務による調達額が増加したこと等によるものです。③ 生産、受注及び販売の実績 当社グループの生産・販売品目は多種多様であり、同種の製品であっても、その容量・構造・形式等は必ずしも一様ではなく、セグメント毎に生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことは行っておりません。 販売の実績につきましては、「① 財政状態及び経営成績の状況」の記載に含めております。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 ① 資本の財源及び資金の流動性ⅰ)キャッシュ・フロー 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。(連結キャッシュ・フロー指標) 前連結会計年度当連結会計年度株主資本比率(%)66.363.8時価ベースの株主資本比率(%)84.865.3キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)1.21.6インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)48.148.9 (注)株主資本比率:株主資本/総資産時価ベースの株主資本比率:株式時価総額(期末株価終値×期末発行済株式数*)/総資産*自己株式を除くキャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債(社債、短期・長期借入金)/営業キャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い(支払利息) ⅱ)財務政策 当社グループの資金需要には、運転資金需要及び投資を目的とした資金需要、株主還元のための資金需要が含まれます。 運転資金需要のうち主なものは、原材料等の購入費用、製造費用、販売費及び一般管理費、研究開発費等の営業費用によるものであり、投資を目的とした資金需要のうち主なものは、設備投資、事業買収を含む投融資等によるものであります。また、株主還元の方針は次のとおりであります。 (株主還元方針) 配当につきましては、連結業績を反映させるとともに、成長事業のさらなる拡大に向けたM&A、設備投資、研究開発投資等、将来にわたって企業価値を向上させていくために必要となる資金の水準等も考慮した上で決定いたします。また、その時々のキャッシュ・フローを勘案し、株価推移に応じて自己株式の取得も機動的に実施していきます。株主還元方針については、配当を重視し、配当性向30%を目安としております。  これらの資金は、主として内部資金により充当し、必要に応じ金融機関からの借入や社債による資金調達を実施しています。 なお、当連結会計年度末における短期の社債及び借入金の残高は215,103百万円、長期の社債及び借入金の残高は470,805百万円であります。  ② 経営成績 ⅰ)売上高、営業費用及び営業利益 当連結会計年度の売上高は、前年度の2,960,916百万円に対し、234,912百万円増加し、3,195,828百万円(前年度比7.9%増)となりました。国内売上高は1,099,302百万円(前年度比4.7%増)、海外売上高は2,096,526百万円(前年度比9.7%増)となりました。実績為替レートは152円/米ドル(前年度比7円安)、164円/ユーロ(前年度比7円安)となりました。 販売費及び一般管理費は、前年度の752,427百万円に対し、54,098百万円増加し、806,525百万円(前年度比7.2%増)となりました。販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は25.2%となりました。 研究開発費は、前年度の157,108百万円に対し、6,291百万円増加し、163,399百万円(前年度比4.0%増)となりました。研究開発費の売上高に対する比率は5.1%となりました。 事業セグメント別の業績は次のとおりであります。 「ヘルスケア部門」 本部門の連結売上高は、1,022,564百万円(前年度比4.9%増)となりました。営業利益は、77,635百万円(前年度比20.3%減)となりました。 メディカルシステム事業では、中国における医療機材の需要減等の影響を受けるも、内視鏡やCT・MRI、体外診断(IVD)等の分野で販売が好調に推移したことにより、売上が増加しました。X線画像診断分野では、日本におけるデジタルマンモグラフィ撮影装置「Amulet SOPHINITY」及び「Amulet ELITE」の販売伸長に加え、日本・欧州を中心とした、契約率向上による保守サービス事業の拡大等により、売上が増加しました。医療IT分野では、電子カルテ・レセプト関連事業を2023年10月に譲渡した影響があるも、医用画像情報システム(PACS)「SYNAPSE」や3D画像解析システム「SYNAPSE VINCENT」を中心としたシステム・サービス販売が日本・米国・欧州・中東・東南アジア等で好調に推移し、売上が増加しました。超音波診断分野は、米国及び中国の販売が堅調に推移し、売上が増加しました。内視鏡分野では、日本・米国・欧州をはじめとする主要市場で販売が伸長し、売上が増加しました。日本では、画像処理エンジンを一新し高画質を追求したフラッグシップモデル「ELUXEO 8000システム」(2024年5月発売)が、売上拡大に寄与しました。体外診断(IVD)分野では、血液生化学検査「富士ドライケム」機器・スライドの販売が好調に推移したことにより、売上が増加しました。CT・MRI画像診断分野では、米国・欧州・中南米を中心に販売が伸長したこと等により売上が増加しました。 バイオCDMO事業では、中小型製造設備では細胞・遺伝子治療薬の市況低迷や、テキサス拠点の商用製造拡大に向けた体制強化のために実施した稼働調整の影響がありましたが、デンマーク拠点の大型製造設備において抗体医薬品の受託製造が堅調に推移したこと等により、売上が増加しました。2024年11月には、デンマーク拠点にて、20,000リットルの動物細胞培養タンク6基を増設する第1次設備増強工事を完了し、稼働を開始しました。高い成長を続けるバイオ医薬品市場に対して、生産プロセスの開発受託に加え、小規模生産から大規模生産、原薬から製剤・包装の受託等、お客様のニーズに一貫してお応えできる体制を整備し、事業の成長を一段と加速していきます。 ライフサイエンス事業では、前年度にiPS 細胞を用いた網膜疾患治療法の開発・商業化に関するライセンスを供与したことに伴い、一時的なライセンス収入を計上したことの反動があるも、創薬支援向け細胞・培地・試薬の販売が安定して推移し、売上が増加しました。 医薬品事業では、COVID-19国産ワクチンの治験薬受託製造が寄与するも、前年に特許ライセンス収入 を計上した反動等により、売上が減少しました。 コンシューマーヘルスケア事業では、ASTALIFT MENシリーズや、2024年3月に発売した化粧品「ASTALIFT WHITE ADVANCED LOTION」「ASTALIFT WHITE ADVANCED CREAM」の販売が好調に推移したものの、その他化粧品、及び市場全体が停滞したサプリメントの販売減少等により、事業全体では売上が減少しました。 CRO事業では、当社独自のiPS 細胞技術や AI 技術を活用し、新たな医薬品のシーズ探索や有効性・安全性評価等のサービス提供を進めています。 「エレクトロニクス部門」 本部門の連結売上高は、432,797百万円(前年度比20.7%増)となりました。営業利益は、77,315百万円(前年度比67.1%増)となりました。 半導体材料事業では、生成AI向け先端半導体の需要拡大に加え、2023年10月に米国Entegris社から買収を完了した半導体用プロセスケミカル事業が寄与したこと等で、売上が増加しました。2025年2月には、ベルギーの生産拠点において、先端半導体材料のCMPスラリーの生産設備を新たに導入するとともに、フォトリソグラフィー周辺材料の既存設備を増強することを発表しました。当社は、今後も積極的な成長投資を継続し、日米欧アジアの主要国に製造拠点を有するグローバルな安定供給体制や高い研究開発力を生かして、半導体製造工程を幅広くカバーし、最適な材料を提供するワンストップソリューションの推進により、事業の成長を一段と加速していきます。 2024年6月に、ディスプレイ材料事業、産業機材事業、ファインケミカル事業を統合し、アドバンストファンクショナルマテリアルズ事業部を設立したのに伴い、当該事業をAF事業として開示しています。AF事業では、人材、ビジネス資産を一元化し、近接領域での相乗効果を創出、また、コア技術や、市場への深い理解に基づく新規ビジネス開発の知見を事業・市場軸で共有することで、市場開拓力を強化・向上させていきます。当期は、OLED向け反射防止材料の受注好調等により、売上が増加しました。 「ビジネスイノベーション部門」 本部門の連結売上高は、1,198,494百万円(前年度比3.5%増)となりました。営業利益は、74,614百万円(前年度比10.7%増)となりました。 ビジネスソリューション事業では、自治体向けサービス売上やWindows10サポート終了に伴う買い替え需要を梃子にしたDX関連ソリューション販売が伸長したこと等により、売上が増加しました。2025年2月には、Microsoft Dynamics 365の導入コンサルティングサービスを展開する㈱パシフィックビジネスコンサルティングの買収を完了しました。今回の買収に伴う中堅・中小企業向け基幹システム販売・導入支援の事業基盤強化により、更に基幹ビジネスを成長させていきます。 オフィスソリューション事業では、中国の景気減速を中心としたアジア地域における販売減や低採算の欧米向けプリンターの販売を終了したこと等により、売上が減少しました。2024年10月には、A3デジタルカラー複合機「Apeos」シリーズ3機種10商品の販売を開始しました。また、イタリア、イギリスに続き、スペインとフランスでオフィス向けデジタルカラー複合機の販売を開始し、新たに欧州地域での販売エリアを拡大しました。当社は今後も、グローバルでの複合機販売を強化していきます。2025年1月には、コニカミノルタ㈱との合弁で、原材料・部材の安定調達とコストダウンを推進する、グローバルプロキュアメントパートナーズ㈱を設立しました。両社が保有する幅広いサプライヤーネットワークを活用し、商品の強固な供給体制の構築や業務プロセスの効率化等、事業基盤の強化に取り組んでいきます。 グラフィックコミュニケーション事業では、デジタル印刷分野におけるプロダクションプリンターの欧米向け販売伸長、インクジェット分野におけるインクジェットヘッドの販売伸長等により、売上が増加しました。2025年1月には、プロダクションプリンター「Revoria Press」シリーズのミドルレンジモデルの新商品として、CMYKの4色トナーに加え特殊トナー*を搭載し、1パスで5色印刷を可能にした「Revoria Press EC2100S」、「Revoria Press SC285S」を発売、また、業界トップクラスの高速印刷と高精細な画質を両立する新開発の技術を搭載した、商業印刷用の高速ロール紙カラーインクジェットプリンター「Jet Press 2160CFG」の国内受注を開始しました。当社は、オフセットからデジタル印刷、さらには印刷ワークフローに関するDXソリューションまでを、ワールドワイドのお客様にお届けするソリューションパートナーとして、印刷ビジネスの拡大に貢献していきます。*クリア・ピンク、カスタムレッド、ゴールド、シルバー、ホワイトの特殊トナー(ゴールド・シルバー・ホワイトの特殊トナーは後日発売予定)。 「イメージング部門」 本部門の連結売上高は、541,973百万円(前年度比15.4%増)となりました。営業利益は、139,214百万円(前年度比36.4%増)となりました。 コンシューマーイメージング事業では、インスタントフォトシステム「instax」の好調な販売が継続し、売上が増加しました。当期は、ワイドフォーマット対応アナログカメラ「instax WIDE 400」や、ARエフェクト機能を強化したスマホプリンター「instax Link 3」、シリーズ最多のエフェクトを搭載したハイエンドモデル「instax WIDE Evo」等多彩な新製品を展開し、幅広い年齢層や多様なニーズに応える新しい写真体験を提供しています。またイベント向けアプリ「instax Biz」を通じ、ゲームやスポーツ、音楽等様々な分野で「instax」のファン層拡大を進めており、今後も“撮ったその場で”、すぐにプリントが楽しめる「instax」の世界を広げ、写真の価値と楽しみを広めていきます。 プロフェッショナルイメージング事業では、デジタルカメラの販売が好調に推移したことにより、売上が増加しました。当期は「FUJIFILM GFX100S II」、「FUJIFILM X-T50」、「FUJIFILM X-M5」の新製品を発売し、2025年3月には、「GFXシリーズ」初となるレンズ一体型デジタルカメラで、フルサイズ1.7倍の大型センサーによる高画質と小型・軽量ボディを両立した「FUJIFILM GFX100RF」を発表しました。今後も、「GFX シリーズ」ではラージフォーマットによる圧倒的高画質を、「X シリーズ」では画質とサイズのベストバランスを実現し、デジタルカメラユーザーや映像業界に魅力的な製品を提供していきます。  ⅱ)営業外損益及び税金等調整前当期純利益 営業外収益及び費用は、前年度40,563百万円の営業外収益に対し30,124百万円減少し、10,439百万円の営業外収益となりました。 税金等調整前当期純利益は、前年度の317,288百万円に対し23,306百万円増加し、340,594百万円となりました。  ⅲ)法人税等 法人税等は、前年度の78,102百万円に対し507百万円減少し、77,595百万円となりました。  ⅳ)持分法による投資損益及び非支配持分帰属損益 持分法による投資損益は、前年度4,111百万円の利益に対し5,431百万円減少し、1,320百万円の損失となりました。 非支配持分帰属損益は、前年度の212百万円の利益に対し940百万円減少し、728百万円の損失となりました。  ⅴ)当社株主帰属当期純利益 当社株主帰属当期純利益は、前年度の243,509百万円に対し17,442百万円増加し、260,951百万円となりました。基本的1株当たり当社株主帰属当期純利益は、前年度の202.29円に対し、216.67円となりました。また、希薄化後1株当たり当社株主帰属当期純利益は、前年度の202.05円に対し、216.46円となりました。 なお、当社は、2024年4月1日付で普通株式を1株につき3株の割合で株式分割を行っております。1株当たり当社株主帰属当期純利益の各金額は、前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定しております。 ③ 次期の見通し (単位:億円) 2025年度(次期の見通し)2024年度(実績)増減率・増減額売上高32,80031,9582.6%営業利益3,3103,3020.3%税金等調整前当期純利益3,4303,4060.7%当社株主帰属当期純利益2,6202,6100.4%ROE(%)7.78.00.3ポイント減ROIC(%)5.55.90.4ポイント減為替レート(円/米ドル)145円152円△7円為替レート(円/ユーロ)155円164円△9円  2025年度業績は、連結売上高は3兆2,800億円(前年度比2.6%増)、営業利益は3,310億円(前年度比0.3%増)、税金等調整前当期純利益は3,430億円(前年度比0.7%増)、当社株主帰属当期純利益は2,620億円(前年度比0.4%増)を予想しております。 通期での対米ドル円為替レートを145円、対ユーロ円為替レートを155円で想定しております。 ④ 重要な会計上の見積り 当社の連結財務諸表は、米国において一般に公正妥当と認められた会計基準に準拠して作成されております。これらの財務諸表の作成にあたっては、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす見積り及び仮定を行う必要があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは次のとおりであります。ⅰ)企業結合 企業結合は取得法で処理しております。取得法では、取得した全ての資産及び引き受けた全ての負債を、支配獲得日における公正価値に基づき認識及び測定します。公正価値の決定には、将来キャッシュ・フローの予測、割引率及び永久成長率等の、重要な見積りを伴います。 企業結合の処理における公正価値の算定に用いられた見積りは合理的であると考えていますが、見積りの根拠となる前提条件の予測不能な変化に伴い公正価値が修正され、取得した資産の将来における減損損失の計上、引き受けた負債の増加につながる可能性があります。 ⅱ)営業権の減損 営業権は償却せず、毎年1月1日時点で減損の有無を検討しております。営業権の減損テストは、当社の報告単位毎に見積将来キャッシュ・フローの現在価値に基づく公正価値に基づいて行われており、使用される割引率は、報告単位のWACC(加重平均資本コスト)に基づいて算出しております。また、客観的事実や状況の変化により当該資産の公正価値が帳簿価額を下回る可能性がある場合には、その都度減損の有無を検討しております。 見積将来キャッシュ・フローの現在価値に基づく公正価値の算定には、将来キャッシュ・フローの予測、割引率及び永久成長率等の、重要な見積りを伴います。 営業権の減損判定に使用した公正価値の算定に用いられた見積りは合理的であると考えていますが、見積りの根拠となる前提条件の予測不能な変化によって公正価値が減少し、将来において営業権の減損損失を認識することになる可能性があります。 なお、事業セグメント毎の営業権の残高については、連結財務諸表注記「8 営業権及びその他の無形固定資産」に記載しております。 ⅲ)長期性資産の減損 営業権及び耐用年数を確定できないその他の無形固定資産を除く、保有及び使用予定の長期性資産について、客観的事実や状況の変化により当該資産の帳簿価額の回収可能性に疑いのある場合には、減損の有無を検討しております。減損の兆候があると判断されるときは、その資産に関連する見積割引前将来キャッシュ・フローとその資産の帳簿価額を比較し、帳簿価額の減額が必要かどうかを検討しております。この結果、帳簿価額が割引前将来キャッシュ・フローを超過すると判断される場合は、当該資産の帳簿価額を見積公正価値へ減額処理しております。公正価値を決定するにあたり、当社は市場取引価格又はその他の評価方法を使用しております。市場取引価格を利用できない場合には、主に資産の使用や最終的な処分から生じる見積将来キャッシュ・フローに基づく割引現在価値法、ロイヤルティ免除法又は超過収益法を使用しております。 これらの手法は、将来見積利益又はキャッシュ・フローの予測及び割引率等の、重要な見積りを伴います。 長期性資産の減損判定に使用した公正価値の算定に用いられた見積りは合理的であると考えていますが、見積りの根拠となる前提条件の予測不能な変化によって公正価値が減少し、将来において長期性資産の減損損失を認識することになる可能性があります。 ⅳ)退職給付引当金及び退職給付費用 当社の一部の子会社は確定給付企業年金制度を採用しており、当該制度に係る退職給付引当金及び退職給付費用は、数理計算上の仮定に基づいて算出しております。これらの仮定には、割引率、年金資産の長期期待収益率、予想再評価率、退職率、死亡率等が含まれております。 数理計算上の仮定は、最善の見積りにより決定しておりますが、見直しが必要となった場合には、退職給付引当金及び退職給付費用が増加する可能性があります。 なお、数理計算上の仮定については連結財務諸表注記「10 退職給付制度」に記載しております。 ⅴ)信用損失引当金 金融資産の信用損失引当金は、残存期間において将来的に発生すると予測される全ての信用損失を見積っています。 信用損失引当金の計上において、当社は、信用の質を一括評価債権及び個別評価債権として管理しており、債務者の財政状態や支払の延滞状況等、過去の信用損失実績及び合理的かつ裏付け可能な予測に基づき、金融資産について一括評価及び個別評価を行っています。 なお、信用損失引当金の残高については、連結財務諸表注記「20 金融資産の信用の質及び信用損失引当金」に記載しております。 ⅵ)繰延税金資産 資産及び負債の財務会計上の金額と税務上の金額の差異に基づいて繰延税金資産及び負債を認識しており、その算出にあたっては差異が解消される年度に適用される税率及び税法を適用しております。また、繰延税金資産のうち回収されない可能性が高い部分については、評価性引当金を計上しております。 回収可能性の検討にあたっては、評価時点で利用可能な情報に基づいた最善の見積りを行っておりますが、見積りの前提とした仮定や条件に変更が生じた場合には、繰延税金資産の回収可能性の評価を見直す可能性があります。 なお、繰延税金資産の残高については、連結財務諸表注記「11 法人税等」に記載しております。 ⅶ)棚卸資産 棚卸資産については、原則として移動平均法による低価法により評価しております。また、当社は定期的に陳腐化、滞留、又は過剰在庫の有無を検討し、該当する場合には正味実現可能価額まで評価減しております。 評価損の見積りにあたっては、過去の出荷実績や評価時点で入手可能な情報等を基に、合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で判断しておりますが、市場環境が予測より悪化して正味実現可能価額が下落する場合には、追加の評価損計上が必要となる可能性があります。

※本記事は「富士フイルムホールディングス株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。

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連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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