ファナック株式会社の基本情報

会社名ファナック株式会社
業種電気機器
従業員数連9970名 単4689名
従業員平均年齢40歳
従業員平均勤続年数14.1年
平均年収12384000円
1株当たりの純資産1803.59円
1株当たりの純利益140.23円
決算時期3月
配当金84.14円
配当性向77.4%
株価収益率(PER)29.8倍
自己資本利益率(ROE)8%
営業活動によるCF1717億円
投資活動によるCF▲135億円
財務活動によるCF▲1225億円
研究開発費※1498.13億円
設備投資額※1524.64億円
販売費および一般管理費※11339.25億円
株主資本比率※291.3%
有利子負債残高(連結)※3※40円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境および対処すべき課題等は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在の状況に対する判断に基づくものです。 (1)経営方針1956年にNCの開発をスタートさせて以来、ファナックは一貫して工場の自動化を追求しています。創業期に目指した、小柄でもしっかり根を張った巨人のごとき逞しさがある企業、技術で勝負する企業を希求し続け、「狭い路」を真っ直ぐに歩むことに努めています。その企業像を実現するために、当社グループは基本理念として「厳密と透明」を掲げています。そこには、企業の永続性、健全性は厳密から生まれ、組織の腐敗、企業の衰退は不透明から始まる、という考えがあります。ファナックは、基本技術であるNCとサーボ、レーザからなるFA事業と、その基本技術を応用したロボット事業およびロボマシン事業を展開しています。そして、IoT・AI技術をFA・ロボット・ロボマシンの全ての分野に積極的に適用していくことで、お客様がファナック商品をより効率的にご利用いただけるよう取り組みます。また、生産財のサプライヤであるとの原点に立ち、お客様がファナックの商品をお使いになる限り、保守サービスを提供し続けます。当社グループはこれらの事業活動を通じて、お客様の工場の自動化と効率化を推進することで国内外の製造業の発展に貢献し、今後も中長期的に拡大が見込まれる工場の自動化分野において、着実な成長を実現していきます。 (2)経営環境及び対処すべき課題①当社欧州向けロボカット製品におけるEMC指令に基づく整合規格不準拠の試験実施の疑義2024年3月下旬、当社が製造・販売するロボカット(ワイヤ放電加工機)について、欧州のEMC指令に基づく整合規格に適合していない態様で試験が行われていた疑い(以下本項において「本件疑義」といいます。)があることが判明しました。当社は基本理念である「厳密と透明」をもって法令等の遵守を実践してまいりましたが、このような事態を招いてしまったことを重く受け止め、お客様をはじめ関係者の皆様に多大なご心配とご迷惑をおかけしますことを、深くお詫び申しあげます。本件疑義を受けて必要な対策を速やかに講じるとともに、本件疑義について徹底した事実の調査を行って原因を究明し、EMC指令に関して不適切な行為が認められた場合には、再発防止、信頼の回復に全力で取り組んでまいります。 ② 経営環境およびその他の対処すべき課題ファナックの商品は景気変動の影響を大きく受けやすい生産財であることから、短期的な事象に左右されない、長期的な視点に立った経営を続けています。当社グループを取り巻く経営環境につきましては、地政学的リスクの高まりや、景気減速の懸念等もあり、予断を許さない状況が続くものと思われます。その一方で、工場の自動化への要求は中長期的に拡大することが見込まれます。当社グループは、「one FANUC」を合言葉に、FA・ロボット・ロボマシンが一体となったトータルソリューションの提供、およびグループ一体となった世界のお客様への対応、という当社グループならではの強みを最大限活かしてまいります。特に、CNC工作機械とロボットとの連携、ロボマシンとロボットとの連携を重要テーマの一つと捉え、商品を開発してまいります。また、ファナックの商品は製造現場でご使用いただく生産財であるとの原点に立ち、お客様の工場におけるダウンタイムを最小にして稼働率向上を図るため、「壊れない」「壊れる前に知らせる」「壊れてもすぐ直せる」ことを商品開発において徹底いたします。また、工場の自動化への要求が拡大する一方、熟練労働者の確保が難しくなる状況に対応するため、使いやすさを一層重視した商品開発にも取り組んでまいります。そして世界中のどこでもファナックのグローバルスタンダードに沿った高度な保守サービスを提供すること、お客様が使用し続ける限り保守を続ける「生涯保守」を行うこと、を基本理念とした「サービス ファースト」を実践してまいります。特に、競合会社が追随することが難しい「生涯保守」については、当社グループの大きな特長として、引き続き注力してまいります。また、工場の自動化分野という当社の強みを発揮できる分野に絞り込んで研究開発投資を積極的に行い、競争力の高い商品を開発し市場に投入します。これにより知的財産の充実を図ります。さらに、当社グループは、今後も競争力の高い商品を開発し市場投入していくうえで、IoT・AI技術を必要不可欠なものと考えております。これらの技術をFA・ロボット・ロボマシンの全ての分野に積極的に適用していくことで、お客様における生産の効率化を一層推進します。加えて、ファナックの商品がSDGsの達成に大きく貢献することを目指してまいります。当社グループは、長期的視点に立ち、商品競争力の強化、セールス・サービス活動の強化、工場の自動化・ロボット化の推進、経費と時間の削減および業務の合理化など、より強い企業にするための基本施策を推し進めます。また、生産財のサプライヤとして、いかなる場合にもお客様への供給責任を果たし、サービス活動を維持することができるよう、生産拠点やサービス拠点の複数化に取り組んでいます。さらに、部品調達先の複数化、適切な部品在庫の保有など、サプライチェーンの強化にも取り組んでいます。中長期的な成長のためには、人材が最重要であるとの観点に立ち、社員がより働きやすい職場の実現、社員のモチベーションの一層の向上も重要課題として取り組んでまいります。また、将来を見据え、必要な人材の採用や社員の育成の強化のための人的資本への投資を積極的に行います。これらを通じて継続的に人的資本の充実を図ります。経営に当たっては、営業利益率、経常利益率、ROEなどに加えて、市場シェアも重要な経営指標と捉え、総合的に判断してまいります。また、当社は資本コストを的確に把握し、5年平均でのエクイティ・スプレッド(ROEと資本コストの差)をプラスとすることを目指します。今後もあらゆる面で当社グループは、基本理念である「厳密と透明」を徹底し、こうした諸施策をグループ一丸となって推し進めることにより、お客様の当社グループへの安心と信頼を高めるとともに、激しい環境変化に適応することで、永続的な企業となるべく努力してまいります。
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の業績の概要① 財政状態及び経営成績の状況a. 財政状態(資産)資産合計は、前連結会計年度末比525億1百万円増の1兆9,260億37百万円となりました。これは、原材料及び貯蔵品が224億81百万円、投資有価証券が249億34百万円増加したことが主な要因です。(負債)負債合計は、前連結会計年度末比391億44百万円減の2,068億37百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が139億97百万円、未払法人税等が202億46百万円減少したことが主な要因です。(純資産)純資産合計は、前連結会計年度末比916億45百万円増の1兆7,192億円となりました。これは、利益剰余金が247億36百万円、為替換算調整勘定が598億17百万円増加したことが主な要因です。 b. 経営成績当期(2023年4月1日から2024年3月31日まで)における当社グループを取り巻く状況につきましては、サプライチェーンにおける半導体等の部品の不足による生産活動への影響は落ち着きましたが、世界的なインフレや高金利による景気減速の懸念、為替変動による影響等により先行き不透明な状況が続きました。加えて、2022年度下期から続く在庫調整が生産への影響を及ぼしました。こうした中、当社では業績への影響を最小限にとどめるべく、セールス、研究開発、工場、サービス、事務、全ての部門の総力を挙げて取り組みました。一方で、こうした厳しい状況ではありましたが、新商品、新機能の開発や工場の生産能力増強など、将来の発展に向けた取り組みを引き続き進めました。加えて、世界的に脱炭素社会へ向けた動きが広がる中、グローバルに事業を展開している当社グループにとっても気候変動は重要な経営課題であると認識しており、商品の省エネルギー性能向上に向けた開発を推進しました。また、国際的な非営利団体であるCDPにより、気候変動分野の透明性とパフォーマンスにおけるリーダーシップが認められ、2023年度のAリスト企業に初めて選定されました。2023年度における連結業績は、売上高が7,952億74百万円(前期比6.7%減)、経常利益が1,817億55百万円(前期比21.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が1,331億59百万円(前期比21.9%減)となりました。なお、当期におきましては、工作機械・産業機械の省エネルギー化に貢献する新世代のサーボシステムである「ファナック αi-Dシリーズ サーボ」が第66回日刊工業新聞社「十大新製品賞」本賞を受賞しました。また、世界最大となる最大2.3t可搬の産業用ロボットである「ファナック ロボット M-2000iA」が公益財団法人大河内記念会より、「大河内記念生産特賞」を受賞しました。なお、当社グループは、CNCシステムとその応用商品を提供する企業グループとして、単一セグメントの事業を営んでおりますが、商品部門別の状況は以下のとおりです。 〔FA部門〕FA部門につきましては、CNCシステムの主要顧客である工作機械業界の需要は、国内を含む世界各国で減速傾向がみられ、当社のCNCシステムの売上も減少しました。FA部門の連結売上高は、1,803億84百万円(前期比27.9%減)、全連結売上高に対する構成比は22.7%となりました。 〔ロボット部門〕ロボット部門につきましては、欧米共に前期からの受注残により、EV関連向けおよび一般産業向け共に堅調で売上が増加しました。中国では、好調だったEV関連向けが若干下降気味であり、インフラ関係と電子産業向けも低調で売上が減少しました。インドでは、自動車関連向け、一般産業向け共に好調で売上が増加しました。国内では、自動車関連向けで回復傾向が見られており、売上が増加しました。ロボット部門の連結売上高は、3,809億44百万円(前期比6.7%増)、全連結売上高に対する構成比は47.9%となりました。 〔ロボマシン部門〕ロボマシン部門につきましては、ロボドリル(小型切削加工機)では、中国をはじめとする海外市場の低迷が続き、売上が減少しました。ロボショット(電動射出成形機)では、IT関連向けの需要が落ち込み、売上が減少しました。ロボカット(ワイヤ放電加工機)では、欧米をはじめとする海外市場の低迷が続き、売上が減少しました。ロボマシン部門の連結売上高は、1,033億88百万円(前期比22.1%減)、全連結売上高に対する構成比は13.0%となりました。 〔サービス部門〕サービス部門につきましては、「サービス ファースト」をキーワードに、サービス体制の強化、IT技術の積極的な導入による効率アップ等を進めました。世界中に270ヶ所以上のサービス拠点を置いて100ヶ国以上をカバーする体制を構築し、お客様の工場でのダウンタイムを最小限にすべく、迅速なサービス活動を行っております。サービス部門の連結売上高は、1,305億58百万円(前期比16.5%増)、全連結売上高に対する構成比は16.4%となりました。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前年度末比499億28百万円増の5,268億81百万円となりました。 (各キャッシュ・フローの状況)営業活動の結果得られた資金は、前年同期比722億59百万円増の1,717億64百万円であり、これは主に前連結会計年度に棚卸資産が大きく増加していたことの反動によるものです。投資活動の結果使用した資金は、前年同期比644億35百万円減の135億63百万円であり、これは主に定期預金の預入による支出が減少したことによるものです。財務活動の結果使用した資金は、前年同期比54億10百万円減の1,225億14百万円であり、これは主に配当金の支払額が減少したことによるものです。 ③ 生産、受注及び販売の実績a. 生産実績(当連結会計年度)生産高(百万円)前期比(%)672,178△20.6 (注) 生産高は、販売価格によっております。 b. 受注実績(当連結会計年度)受注高(百万円)前期比(%)684,239△20.3 c. 販売実績(当連結会計年度)販売高(百万円)前期比(%)795,274△6.7 (注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合相手先前連結会計年度当連結会計年度金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)SHANGHAI-FANUC Robotics Co., LTD.111,38913.187,45411.0 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、期末日における資産、負債および偶発債務ならびに会計期間における収益、費用に影響を与える見積りを必要としておりますが、実際の結果と異なる場合があります。中でも連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられるものは、以下のとおりであります。(退職給付債務)当社グループの従業員退職給付費用および債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用および計上される債務に影響を及ぼします。長期金利の低下や運用利回りの悪化は、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 (固定資産の減損)当社グループは、減損の兆候が見られる固定資産については将来キャッシュ・フローの見積りに基づいて、遊休資産については個別に比較可能な市場価額等に基づいて減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて減損処理を実施しております。将来キャッシュ・フローや回収可能価額の見積りの前提となる将来の収益性の低下や時価の下落等により、減損損失が発生する可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 (経営成績)2023年度における連結業績は、売上高が7,952億74百万円(前期比6.7%減)、経常利益が1,817億55百万円(前期比21.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が1,331億59百万円(前期比21.9%減)となりました。当期(2023年4月1日から2024年3月31日まで)における当社グループを取り巻く状況につきましては、サプライチェーンにおける半導体等の部品の不足による生産活動への影響は落ち着きましたが、世界的なインフレや高金利による景気減速の懸念、為替変動による影響等により先行き不透明な状況が続きました。加えて、2022年度下期から続く在庫調整が生産への影響を及ぼしました。こうした中、当社では業績への影響を最小限にとどめるべく、セールス、研究開発、工場、サービス、事務、全ての部門の総力を挙げて取り組みました。 (財政状態)(資産)資産合計は、前連結会計年度末比525億1百万円増の1兆9,260億37百万円となりました。これは、原材料及び貯蔵品が224億81百万円、投資有価証券が249億34百万円増加したことが主な要因です。(負債)負債合計は、前連結会計年度末比391億44百万円減の2,068億37百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が139億97百万円、未払法人税等が202億46百万円減少したことが主な要因です。(純資産)純資産合計は、前連結会計年度末比916億45百万円増の1兆7,192億円となりました。これは、利益剰余金が247億36百万円、為替換算調整勘定が598億17百万円増加したことが主な要因です。 ③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報(キャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は、前年同期比722億59百万円増の1,717億64百万円であり、これは主に前連結会計年度に棚卸資産が大きく増加していたことの反動によるものです。投資活動の結果使用した資金は、前年同期比644億35百万円減の135億63百万円であり、これは主に定期預金の預入による支出が減少したことによるものです。財務活動の結果使用した資金は、前年同期比54億10百万円減の1,225億14百万円であり、これは主に配当金の支払額が減少したことによるものです。以上のキャッシュ・フローの増減に現金及び現金同等物に係る換算差額142億41百万円を加算し、連結キャッシュ・フローは、499億28百万円の増加となりました。 (資本の財源)当期の所要資金は全て自己資金により充当し、外部からの調達は行っておりません。

※本記事は「ファナック株式会社」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

コメント