株式会社荏原製作所の基本情報

会社名株式会社荏原製作所
業種機械
従業員数連18372名 単5109名
従業員平均年齢43.4歳
従業員平均勤続年数15年
平均年収9488129000000円
1株当たりの純資産3438.27円
1株当たりの純利益(連結)154.62円
決算時期12月
配当金147円
配当性向54.6%
株価収益率(PER)14.1倍
自己資本利益率(ROE)(連結)13.9%
営業活動によるCF685億円
投資活動によるCF▲317億円
財務活動によるCF▲251億円
研究開発費※118.17億円
設備投資額※142.81億円
販売費および一般管理費※11276.13億円
株主資本比率※254.3%
有利子負債残高(連結)※3※40円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (1)経営方針<長期ビジョン「E-Vision2030」>当社グループは1912年の創業以来、創業の精神である「熱と誠」のもとに、「水と空気と環境の分野で広く社会に貢献する」ことを企業理念とし、事業を行ってきました。創業当時は日本の水インフラの整備に貢献し、「水を安全かつ安定的に供給するための事業を通じて国づくりに貢献する」という意思をもって社会の要請に応えてきました。第2次世界大戦からの戦後復興と高度経済成長期には、産業インフラや都市化による建設需要に対して、さまざまなニーズに基づく多種多様な風水力製品・サービスや、市民生活の高度化に伴って生じる廃棄物を処理する焼却設備等を提供してきました。さらに、情報化社会の進展に伴う半導体の爆発的な需要拡大に対して半導体製造装置・機器を開発し、進化する情報化社会に貢献しています。近年は持続可能な社会の要請に対して製品の省エネ化を徹底するなど、事業を通じて社会の様々な課題の解決に貢献してきました。今後100年の人類社会や地球環境を展望した場合、多くの課題が考えられますが、当社グループは、気候変動、特に温暖化現象の激化による異常気象と自然災害の激甚化、海面上昇による高潮、陸地の浸食、さらには食料や水の資源枯渇等を大きな課題と捉えています。また、高度情報化社会はますます進化し、デジタル社会の加速によりライフスタイルが大きく変化することが予想され、社会を支える半導体の技術革新はさらに進むとともに需要も拡大していくと考えられます。このように事業環境が見通しにくい中で、当社グループが今後も社会課題の解決を通じて更なる成長を続けていくためには、今後の社会の展望と課題を認識したうえで、将来のありたい姿を描き、その実現に向けた方針・戦略を明確にすることが不可欠と考え、2020年2月に長期ビジョン「E-Vision2030」を策定しました。 <5つのマテリアリティ>荏原グループは今後も “荏原らしさ”、培われた技術力および信頼性を強みとして、事業を通じてさらに広く社会に貢献し続けていきます。また、2030年に向けて荏原グループが解決・改善していく重要課題を「5つのマテリアリティ」として設定し、その実現プロセスを価値創造ストーリーとして策定・実践していきます。 ① 持続可能な社会づくりへの貢献技術で、熱く、持続可能で地球にやさしい社会、安全・安心に過ごせる社会インフラ、水や食べるものに 困らない世界を支えます。② 進化する豊かな生活づくりへの貢献技術で、熱く、世界が広く貧困から抜け出す経済発展と、進化する豊かで便利なくらしを実現する産業を 支えます。③ 環境マネジメントの徹底二酸化炭素排出を実質的にゼロにするカーボンニュートラルに向けて、再生可能エネルギー利用を含めた 二酸化炭素削減を推進します。④ 人材の活躍促進多様な人材が働き甲斐と働き易さを感じながら活躍し、“競争し挑戦する企業風土”を具体化します。⑤ ガバナンスの更なる革新成長へのビジョンを描き、グローバルで勝ち続ける経営を後押しする攻めと守りのガバナンスを追求します。 (2)2030年にありたい姿当社グループは、2030年までに、SDGsをはじめとする社会課題の解決に資する5つのマテリアリティの実現を通じて持続的に貢献し、①社会・環境価値と②経済価値を同時に向上させていくことで企業価値を向上させることにより、グローバルエクセレントカンパニーを目指します。2030年における企業価値向上の目安として、時価総額1兆円規模を設定します。  <成果目標の代表例>  ①社会・環境価値  ・CO2約1億トン相当の温室効果ガスを削減する  ・世界で6億人に水を届ける  ・最先端の半導体デバイスである14オングストローム(100億分の1m)世代への挑戦により、くらしの進化に寄与する  ②経済価値  ・投下資本利益率(ROIC)10.0%以上  ・親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)15.0%以上   ・売上収益1兆円規模 <ROIC経営>「ROIC経営」は株主が重視する企業価値の最大化と、事業部門が重視すべき事業価値の最大化とを橋渡しする有用な経営手法と捉えています。当社の「ROIC経営」においては、管理すべき事業単位毎にWACC(ハードル・レート)を設定し、各事業単位でROIC・WACCスプレッドの最大化を目指した施策を展開しています。ROICツリーにより、事業単位で管理し易い指標にまで分解し、それらを各担当者レベルの評価指標として位置付けると共に、プロセスKPIとして進捗を月次でモニタリングしています。 (3)中期的な経営戦略と目標とする経営指標<E-Plan2025の位置付け・方向性>E-Plan2022での成果をベースに次のステージとして、それぞれの事業で更なる競争力強化を図るべく、E-Plan2025では「顧客起点での価値創造」をテーマとしています。その上で、E-Plan2025期間を、E-Vision2030に掲げる「2030年にありたい姿」に着実に近づき、2030年にそれを確実に実現するための3年間と位置付け、以下のとおり方向性を定めました。 1.マーケットインを強化していくことで、プロダクトアウトから脱却し、「顧客起点での新たな価値創造」を行う企業文化を根付かせる。2.対面市場に向かってそれぞれの事業がパフォーマンスを最大限に発揮する体制となることを企図し、対面市場別5カンパニー制へと組織改変を行う。3.「2030年にありたい姿」の実現をより確かなものとしていくための資本投下(成長投資/基盤投資)を積極的に行う。4.効率性/収益性指標(ROIC、営業利益率)については、2022年に実現したE-Vision2030で掲げた目標水準(ROIC 10%など)を維持する。5.“ROIC経営の深化”を継続的に進めつつ、「2030年に時価総額1兆円」の実現をより強力に推進するために、E-Vision2030で目標として掲げるROEを重要指標として加え15%以上を目指す。6.グループ全体最適と機能毎のグループガバナンス高度化を目的としてCxO制を導入する。 以上の1~6の実践を通じ、「2030年にありたい姿」実現への道筋がより確実に見通せる位置に到達していることがE-Plan2025の目標となります。事業成長については、E-Plan2025期間のトップラインのCAGRを7%と置くこととし、成長分野と位置付ける「建築・産業」と「精密・電子」の2事業を中心にそれを実現していくものとします。 <E-Plan2025のテーマと重点領域>E-Plan2025では対面市場別組織が顧客起点での価値の創発を行うことで新たな事業創出を目指していきます。 テーマ: 「顧客起点での価値創造=起業化」 挑戦し続けるマインドセットをサポートする組織風土を醸成するとともに、会社全体を顧客の要望、課題に真摯に向き合う組織構造へと変化させ、ビジネスを創出する一連の流れを生み出すことにより、継続的な「起業」とそれによる価値創造を目指します。また、テーマ実現を支える5つの重点領域を以下のとおり定めます。1. 対面市場・顧客起点2. 新たな価値創発3. グローバル事業基盤の確立4. 経営インフラの高度化5. ESG経営の推進 <事業セグメントの変更>当社グループでは、長期ビジョンの実現に向けた次の成長ステージとして、「E-Plan2025」の中で、より市場に向き合い顧客起点での価値創造を実現していくためには、従来の製品軸のセグメントから対面市場軸のセグメントへと事業セグメントを変更することが合理的と判断いたしました。「風水力事業」「環境プラント事業」「精密・電子事業」の従来の3事業セグメントを、「建築・産業」「エネルギー」「インフラ」「環境」「精密・電子」の5事業セグメントに変更いたしました。 具体的には、ポンプ、コンプレッサ・タービン、冷熱機械等の製品軸で構成される現行の「風水力」セグメントを、「建築・産業」「エネルギー」「インフラ」の3つの対面市場別セグメントに再構成した上で、それらを「環境」「精密・電子」と並ぶ事業セグメントに位置づけています。 <目標とする経営指標>E-Plan2025の最終年度である2025年度に達成すべき目標として以下の各項目を設定します。財務数値目標分類項目2025年度目標収益性全社営業利益率10.0%以上<セグメント毎営業利益率>- 建築・産業7.0%以上- エネルギー12.0%以上- インフラ6.0%以上- 環境7.0%以上- 精密・電子17.0%以上効率性ROIC※110.0%以上ROE15.0%以上成長性建築・産業売上CAGR(2022-2025年度)6.0%以上精密・電子売上CAGR(2022-2025年度)15.0%以上健全性D/E レシオ(倍)0.3~0.5(管理目安) ※1 ROIC計算式NOPLAT(みなし税引後営業利益)÷投下資本{有利子負債(期首期末平均)+株主資本(期首期末平均)} 非財務目標分類項目2023年度~2025年度目標環境(E)CDP評価(気候変動) B以上を維持Scope1,2 GHG排出量2018年比32%削減Scope3/削減貢献量/他(バリューチェーン) バリューチェーンにおけるGHG排出量の合理的測定手法の確立※社会(S)競争し、挑戦する風土へ変革し、多様な社員が働きやすさを感じて活躍できる環境づくりを目指す・エンゲージメントサーベイスコア向上(連結) 2025年度 83以上2030年度 86以上グローバルモビリティの向上を目指す・Global Key Position(GKP)における非日本人社員比率(連結)2025年度 30%以上2030年度 50%以上男女の賃金差異解消①GKP女性ポジション比率(連結)②女性管理職比率(単体)①2025年度 8%以上 2030年度 10%以上②2025年度 8%以上性別に関係なく仕事と育児を両立できる企業風土を醸成・男性育児休暇取得比率(単体)2025年度 100%※2023年11月に目標設定障がいのある社員の活躍促進・障がい者雇用比率(単体+グループ適用会社4社)2025年度 2.6%以上サプライヤ向けの人権デューディリジェンスの結果に基づく必要な施策の実施ガバナンス(G)取締役会の実効性の向上と G to V(Governance to Value)への貢献     ※2024年にバリューチェーンにおけるGHG排出量の合理的測定手法を確立し、2030年目標の見直しを行いました。詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組(2)戦略 ①E(環境)(i)<気候変動への対応~カーボンニュートラルの達成に向けて>」を参照ください。 E-Plan2025期間におけるキャッシュ・アロケーションの目安(3年間累計) 項目 内容 2023~2025年度3年間累計成長投資 事業ポートフォリオに基づく成長投資(増産対応設備、研究開発、新規事業、M&A等) 1,800億円~2,250億円(内、研究開発費650億円)基盤投資 持続的成長を支える基盤の強化等(維持更新設備、人的資本、ERP等のIT、ビジネスインフラ、ESG関連投資)500億円~800億円株主還元 配当方針:連結配当性向35.0%以上自己株式取得:親会社所有者帰属持分水準、他の投資対象、手元現預金水準、株価の動向、業績の動向等を総合的に勘案し、適切な局面で機動的に実施する (4)経営環境E-Plan2025を策定するうえで前提とした経営環境は以下の通りです。 表中「市場別・地域別トレンド」の矢印は市場の成長動向を示す。 (5)E-Plan2025期間中に対処すべき課題(5-1)事業別の対処すべき課題各事業は、下記の基本方針と基本戦略で課題解決を行っていきます。 ① 建築・産業(ⅰ)基本方針・建築・産業市場において、顧客視点でのポンプ・冷熱製品・サービスを組合せた新たなソリューション提供により、事業の更なる成長を目指す。・DXを活用した業務・事業運営の高度化、効率化(ⅱ)基本戦略・ソリューション事業強化-顧客へのソリューション提供によるモノ売りからコト売りへの転換-新たなビジネスモデルの創出と展開-IoT+クラウドを使った顧客との接点強化・成長市場(海外)の取り込み-M&A拠点製品(Vansan社、Hayward Gordon社)のグローバル展開-高付加価値製品の投入による新市場の開拓-食品、半導体市場を中心とした先進国の産業ユーティリティ市場への参入-アフリカ地域での販路拡大と灌漑向け製品強化-アフリカ、南米、アジア、北欧地域への新拠点の設立・グローバルでの事業インフラ再構築-海外生産拠点の拡充及び地政学リスクを考慮したグローバル調達・生産配分の見直し ② エネルギー(ⅰ)基本方針・エネルギーシフトをリードし、脱炭素社会に貢献するため、サステナビリティやサービス分野で新たなビジネスモデルを確立する。・既存事業領域の収益性を更に向上させるため構造改革を行う。・コンプレッサ・タービンとカスタムポンプの統合により、顧客や市場に新たな価値を提供する。(ⅱ)基本戦略・製品(New Apparatus)-選別受注の継続による、収益性の向上-新規ソリューションの市場投入準備完了・S&S(Global Service)-サービス拠点の構造改革-コンプレッサ・タービンとカスタムポンプのサービスリソース活用-新たなS&Sビジネスの開発と市場投入・グローバルでの生産体制(Global Manufacturing)-荏原グループ全体最適化の視点でのエンジニアリングの最適化、統一の推進-自動設計の対象機種拡大-生産体制の再構築-LCC(Low Cost Country)からの調達拡大による調達コストの低減 ③ インフラ(ⅰ)基本方針・国内:生産工場との協働により製品開発力を強化し、底堅い官需のシェアと収益を維持する。・海外:成長市場を見定めて、ポンプ設備や周辺技術、エンジニアリング技術を用いた新たな価値を創造する。(ⅱ)基本戦略・国内ポンプ市場でのシェア拡大-製品開発力・エンジニアリング機能の強化-大型機場の延命化提案の推進-有資格技術者の増員と代理店の活用による、機会損失の低減・海外ポンプ市場の深堀と利益確保-国内で高評価を得ているエンジニアリング技術の海外拠点への展開による競争力の強化-フロントローディングによる戦略受注の継続および収益性の確保・国内外での生産性向上-マーケットニーズに即した製品開発-調達能力の強化-生産拠点の連携の深化-DX、AIを活用した生産技術の向上 ④ 環境(ⅰ)基本方針・中核事業の基盤強化・脱炭素や資源循環など市場の変化を適切に捉え、Life Cycle Assessment(LCA)を基軸とした、ソリューションプロバイダとしての取り組み強化(ⅱ)基本戦略・新規DBOの価格競争力向上・EPCの追加原価発生防止     [EPC]-工事費用・機器購入費・設計管理費などの削減-設計の標準化や方針の見直しによる施設のコンパクト化-設計の標準化や自動化等の設計業務プロセス改善成果の徹底活用-計画精度の向上による、土木建築やプラント施工時の追加原価発生の防止[O&M]-長期包括案件におけるメンテナンスメニューの最適化、機器発注及び工事発注の最適化による      コスト低減・既設O&M案件の収益基盤のさらなる強化-周辺業務の拡大-施設運営期間の最大化・LCAを基軸とした脱炭素・資源循環ソリューションプロバイダとしての取り組み強化    -ケミカルリサイクル技術の精度向上と、実用化に向けたスキーム構築    -ロボット開発による運転やメンテナンスなどの高度化    -新技術やサービスの開発・提供   ・地域戦略の推進    -中国拠点との協業で、機器販売およびエンジニアリングビジネスの東南アジアへの拡大 ⑤ 精密・電子(ⅰ)基本方針・製品・サービスを提供するのみでなく、顧客のプロセスやユーティリティにおける課題解決を通じてユニークな価値を提供する。・地域戦略からグローバルアカウント戦略に転換し、顧客のグローバル展開に合わせた戦略立案とグローバル全体最適化によりシェア拡大を図る。(ⅱ)基本戦略・製品・ソリューション開発力の強化[コンポーネント]-顧客の半導体製造の脱炭素化への貢献、AI・DXを活用した新たな価値、半導体以外の産業領域への展開など、半導体工場のサブファブ領域全体に対する価値・ソリューション提供-ドライ真空ポンプ、排ガス処理装置、半導体製造装置向けチラー、次世代EUV露光装置向け排気システムなどの製品開発-データモニタリング、故障予知機能などのソリューション開発[CMPおよびその他装置]-マーケットインのソリューション開発体制構築-研究開発施設の増強-データサイエンス活用によるさらなる価値創造・生産能力増強[コンポーネント]-ドライ真空ポンプは、自動化工場の稼働率向上、グローバルでのオーバーホール能力増強の実施-EUV露光装置向け排気システムを含む各製品は、需要増に向けた設備投資[CMPおよびその他装置]-熊本事業所へ新棟建設・事業規模拡大に対応したグローバルでの事業インフラ再構築-ローカル中心の対応から、グローバルでの顧客サポート強化によるS&Sの強化-サプライヤのマルチ化、海外調達拠点の設立、在庫戦略の再構築によるサプライチェーンの強靭化-需要増に対応したグローバル組織体制の再構築
経営者による財政状態の説明
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (1)経営成績(単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減額増減率 (%)受注高820,598860,57939,9814.9売上収益759,328866,668107,33914.1営業利益86,02597,95311,92813.9売上収益営業利益率 (%)11.311.3--親会社の所有者に帰属する当期利益60,28371,40111,11718.4基本的1株当たり当期利益 (円)130.73154.6223.8918.3 当連結会計年度における我が国経済は、個人消費や企業の設備投資が持ち直し、景気は緩やかな回復傾向が継続しました。世界経済は、欧米の高い金利水準の継続や中国経済の減速による下振れリスクはあるものの、持ち直しの動きがみられました。一方で、米国の政策動向、米中の対立による半導体輸出管理規制強化、ウクライナ情勢や中東情勢などの地政学リスクには注視が必要な状況です。このような環境の下、当社グループは2023年を初年度とした3か年の中期経営計画「E-Plan2025」において、「顧客起点での価値創造」をテーマに対面市場別組織へ移行し競争力の強化を図り、経営指標の達成に向けた各種施策への取り組みを進めています。当連結会計年度の受注高は、「環境」においては、大型案件の受注タイミングによる減少により前期を下回りました。一方で、「精密・電子」においては、生成AI向けの需要増加により、濃淡はあるものの一部顧客の工場稼働率の回復や増産投資の再開を受けて前期を上回りました。また、「建築・産業」においては、国内のサービス&サポート需要の取り込みや、海外が堅調に推移したことにより前期を上回りました。この結果、全社の受注高は前期比で増加となりました。売上収益は、全てのセグメントが堅調に推移して増収となりました。営業利益は、「建築・産業」のトルコのグループ会社に係るのれんの減損損失を計上したものの、全セグメントでの増収が寄与し、さらに「精密・電子」を中心とした収益性改善により増益となりました。これらの結果、当連結会計年度における受注高は8,605億79百万円(前期比4.9%増)、売上収益は8,666億68百万円(前期比14.1%増)、営業利益は979億53百万円(前期比13.9%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は714億1百万円(前期比18.4%増)となり、いずれの項目においても過去最高額を更新しました。なお、当社は2025年2月20日に公正取引委員会から下請代金支払遅延等防止法(以下、「下請法」)に基づく勧告を受けました。当社は、当社製品の一部部品(以下、「本部品」)について、その製造を下請法に定める下請事業に該当する取引先(以下、「対象事業者」)に委託しており、本部品の製造に使用する当社所有の木型、金型、治具等(以下、「木型等」)を一部の対象事業者に貸与しておりました。本勧告では、当社が、木型等を用いて製造する本部品の発注を長期間行わないにもかかわらず、対象事業者に対し、木型等を無償で保管させていた行為が下請法第4条第2項第3号(不当な経済上の利益の提供要請の禁止)に掲げる行為に該当し、同項の規定に違反すると認定されたものです。当社は本勧告を厳粛に受け止め、2025年2月21日に本勧告に係る取締役会決議を行いました。本決議に基づき、当社は、下請法の社内教育の実施など社内体制の整備のために必要な措置を講じ、今後の取引において下請法に違反する行為が発生することのないよう、本件について役員及び従業員に周知徹底するなど、本勧告において求められた措置を速やかに実行するとともに、コンプライアンスの一層の強化と再発防止に努めてまいります。なお、当社においては、対象事業者との間で誠実に協議を行い、適切な保管費用の支払いを行うための費用を計上しており、今後、支払い完了の事実等につき公正取引委員会に確認いただきながら、速やかに対応いたします。 セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。(単位:百万円)セグメント受注高売上収益セグメント損益前連結会計年度当連結会計年度増減率(%)前連結会計年度当連結会計年度増減率(%)前連結会計年度当連結会計年度増減率(%)建築・産業221,351244,40110.4222,181238,1827.215,73710,341△34.3エネルギー222,776222,743△0.0167,229210,43425.822,34728,00825.3インフラ56,65860,5596.950,17851,1181.94,6043,697△19.7環境100,85471,594△29.071,54087,43822.26,9338,44521.8精密・電子217,791260,05919.4246,998278,37812.738,28550,13330.9報告セグメント計819,432859,3594.9758,128865,55214.287,907100,62514.5その他1,1651,2204.71,1991,115△7.0△933△2,826-調整額------△949153-合計820,598860,5794.9759,328866,66814.186,02597,95313.9 <建築・産業>受注高、売上収益は前年度を上回りましたが、セグメント利益は前年度を下回りました。建築設備市場は、日本、中国、東南アジアにおいて成長が鈍化傾向にあるものの、北米や南米は回復傾向にあります。受注高は、国内ではサービス&サポート需要の取り込みが寄与し、海外では北米のデータセンター向けや中国の一部産業市場向けが堅調だったことにより、前年度を上回りました。売上収益は、国内では製品、サービス&サポートともに好調で、海外では北米や南米を中心に好調だったことにより増収となりました。セグメント利益は、子会社であるトルコのVansan社に係るのれんの減損損失を計上したことなどにより減益となりました。これらの結果、受注高は前期から230億50百万円増の2,444億1百万円、売上収益は160億円増の2,381億82百万円、営業利益は53億96百万円減の103億41百万円となりました。 <エネルギー>受注高は前年度並みとなり、売上収益、セグメント利益は 前年度を上回りました。石油化学市場は、北米、アジア、中東地域で動きが継続した一方、LNG市場は市場環境に大きな変化はないものの顧客の投資判断にタイミングのずれが発生しました。受注高は、製品については、北米で一部案件の期ずれによりLNG向け大型案件を複数受注した前年度より減少したものの、中国の電力向けなど他の地域は堅調に推移しました。サービス&サポートについては改造案件などが増加し、全体としては前年度並みの水準となりました。売上収益は、前年の好調な製品受注により北米が大幅に伸び、サービス&サポートもアジアで増加したことにより、増収となりました。セグメント利益は、主に増収効果により増益となりました。これらの結果、受注高は前期から32百万円減の2,227億43百万円、売上収益は432億4百万円増の2,104億34百万円、営業利益は56億60百万円増の280億8百万円となりました。 <インフラ>受注高、売上収益は前年度を上回りましたが、セグメント利益は前年度を下回りました。受注高は、国内の公共ポンプ市場の更新・補修に対する需要が堅調に推移し、海外ではアジアや北米の大型案件を受注したことにより、前年度を上回りました。売上収益は、国内公共向けが減少したものの、海外はアジアや北米が伸長し増収となりました。セグメント利益は固定費の増加などにより減益となりました。これらの結果、受注高は前期から39億1百万円増の605億59百万円、売上収益は9億40百万円増の511億18百万円、営業利益は9億6百万円減の36億97百万円となりました。 <環境>受注高は前年度を下回りましたが、売上収益、セグメント利益は前年度を上回りました。受注高は、ごみ処理施設の延命化の大型案件2件を受注したものの、案件の金額規模が前年度を下回ったことにより前年度と比較して減少しました。売上収益は、O&M、EPCの売上がともに増加したことにより増収となり、セグメント利益も主に増収効果により増益となりました。これらの結果、受注高は前期から292億60百万円減の715億94百万円、売上収益は158億97百万円増の874億38百万円、営業利益は15億11百万円増の84億45百万円となりました。※O&M(Operation & Maintenance)…プラントの運転管理・メンテナンス  EPC(Engineering, Procurement, Construction)…プラントの設計・調達・建設  <精密・電子>受注高、売上収益、セグメント利益はいずれも前年度を上回りました。半導体市場は、生成AI向けの需要の増加が牽引し、顧客の工場稼働率も回復傾向にありますが、増産投資の本格的な再開は顧客ごとに濃淡がある状況です。また、中国の半導体市場は拡大しているものの従来の勢いに落ち着きがみられました。受注高は、CMP、コンポーネントの需要回復により、製品、サービス&サポートともに 前年度を上回りました。売上収益は、CMP、コンポーネントともにサービス&サポート需要が堅調で増収となりました。セグメント利益は、増収効果及び案件ミックスの改善による収益性の改善などにより、増益となりました。これらの結果、受注高は前期から422億67百万円増の2,600億59百万円、売上収益は313億80百万円増の2,783億78百万円、営業利益は118億48百万円増の501億33百万円となりました。 《セグメント別の事業環境と事業概況》セグメント2024年12月期の事業環境2024年12月期の事業概況と受注高の増減率 (注)1建築・産業 <海外>・北米は高い金利水準の継続と建設コストの高騰、労働力不足により市場が停滞している。・欧州はインフレ及び高い金利水準の継続により投資が抑制され、特に住宅市場が低迷している。・中国は商業や住宅向け等の不動産投資の抑制により、建築設備市場が低迷している。一方、一部の産業・公共系市場は政府の投資などにより堅調である。 <国内>・建築設備市場は、資材価格などの高止まりや人手不足の影響により建築着工棟数は鈍化している。サービス市場での需要は引き続き増加傾向である。・産業市場は、脱炭素化を見据えた設備投資の検討や事業構造の転換など中長期で大きな変化が想定されるが、足元では堅調に推移している。<海外>・北南米及び欧州、アジア等で、受注が堅調に推移しており、受注高は前期を上回る。 <国内>・サービス&サポートの受注が堅調に推移しており、受注高は前期を上回る。 エネルギー ・新規製品分野は、北米・アジア・中東地域を中心に石油化学市場の需要は堅調に推移している。LNG市場向けの需要も中東地域を中心に堅調に推移している。中国の電力市場は引き続き活発に推移している。・サービス分野は、メンテナンスの需要が一巡し通常レベルに戻る兆しがみられるが、足元では堅調に推移している。 ・製品の受注高は、前期を下回る。・サービス分野の受注高は、前期を上回る。 インフラ <海外>・水インフラ市場は、中国では景気減速の影響でポンプ需要が減少し競争が激しくなっているが、東南アジアや北米においては、経済成長や施設の老朽化による整備などが進み需要は堅調に推移している。 <国内>・社会インフラの更新・補修に対する投資は、堅調に推移している。・公共向け建設市場は、例年どおりに推移している。既存設備のアフター関連は堅調な需要が継続している。 <海外>・水インフラの受注高は前期を上回る。 <国内>・公共向けの受注高は総合評価案件やアフターサービスの受注拡大などの施策の継続的な取り組みにより堅調に推移しており、前期を上回る。環境(注)2<国内>・公共向け廃棄物処理施設の新規建設需要は例年通りに推移している。・既存施設のO&Mの発注量は例年どおり推移している。・民間向けの木質バイオマス発電施設や廃プラスチックなどの産業廃棄物処理施設は、一定の建設需要が継続している。 <国内>・EPCは今期大型案件がなく、O&Mは大型案件の金額規模が前期を下回ったことにより、全体として前期を下回る。[大型案件の受注状況]・公共向け廃棄物処理施設の基幹的設備改良工事(2件) 精密・電子・顧客の工場稼働率は、半導体需要の全般的な回復や生成AI向け需要の増加によって、回復傾向ではあるものの、顧客により濃淡がみられ、本格的な増産投資の再開は限定的。 ・製品受注の状況は、顧客により濃淡がみられるものの、ロジック・ファウンドリ向けを中心に、調整局面であった前期を上回る。また、顧客の工場稼働率の回復に伴い、サービス&サポート受注も前期を上回る。 (注)1.矢印は受注高の前期比の増減率を示しています。 +5%以上の場合は、△5%以下の場合は、±5%の範囲内の場合はで表しています。 2.EPC(Engineering, Procurement, Construction)………プラントの設計・調達・建設 O&M(Operation & Maintenance)………プラントの運転管理・メンテナンス 生産、受注及び販売の状況は以下のとおりです。① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。セグメントの名称生産高(百万円)前期比(%)報告セグメント  建築・産業228,2545.0 エネルギー204,15827.3 インフラ48,94110.0 環境22,86497.9 精密・電子215,2467.9  報告セグメント計719,46513.6 その他239△27.1合計719,70413.6 ② 受注状況当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)報告セグメント  建築・産業244,40110.468,71613.2 エネルギー222,743△0.0239,03813.7 インフラ60,5596.976,94914.2 環境71,594△29.0344,418△0.7 精密・電子260,05919.4187,937△8.5  報告セグメント計859,3594.9917,0603.0 その他1,2204.7137314.3合計860,5794.9917,1983.0  ③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)報告セグメント  建築・産業238,1827.2 エネルギー210,43425.8 インフラ51,1181.9 環境87,43822.2 精密・電子278,37812.7  報告セグメント計865,55214.2 その他1,115△7.0合計866,66814.1 (注)上記①から③の金額は、いずれも販売価格によっており、セグメント間取引消去後の金額です。 (2)財政状態① 資産当連結会計年度末における資産総額は、前年度末に比べて有形固定資産が261億9百万円、現金及び現金同等物が229億71百万円、契約資産が168億90百万円、営業債権及びその他の債権が69億18百万円、棚卸資産が53億44百万円、その他の流動資産が45億92百万円、のれん及び無形資産が34億14百万円増加したことなどにより、911億85百万円増加し、1兆50億85百万円となりました。 ② 負債当連結会計年度末における負債総額は、前年度末に比べて営業債務及びその他の債務が49億15百万円減少した一方、契約負債が158億59百万円、未払法人所得税が57億64百万円、社債、借入金及びリース負債が51億83百万円、その他の流動負債が26億25百万円増加したことなどにより、274億20百万円増加し、5,197億48百万円となりました。 ③ 資本当連結会計年度末における資本は、配当金を227億63百万円支払った一方、親会社の所有者に帰属する当期利益714億1百万円を計上し、在外営業活動体の換算差額が153億52百万円増加したことなどにより、前年度末に比べて637億64百万円増加し、4,853億36百万円となりました。親会社の所有者に帰属する持分は4,732億77百万円で、親会社所有者帰属持分比率は47.1%となりました。 (3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報① キャッシュ・フロー営業活動によるキャッシュ・フローは、堅調な営業利益に支えられ、1,009億40百万円の収入超過(前期比309億28百万円の収入増加)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出508億92百万円などにより、485億54百万円の支出超過(前期比129億28百万円の支出増加)となりました。営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは、523億86百万円の収入超過(前期比179億99百万円の収入増加)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金及び長期借入金が純額で89億50百万円減少したことや、配当金の支払い227億63百万円などにより、319億15百万円の支出超過(前期比272億56百万円の支出増加)となりました。以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前年度末から229億71百万円増加し、1,710億31百万円となりました。 ② 財務戦略の基本方針当社グループは、資本効率と財務健全性のバランスに配慮しつつ、適宜適切なタイミングで資本の調達と配分を行うことを財務戦略の基本と考えています。現在の事業推進に必要十分と考える「シングルAフラット(※)」の信用格付け維持を基本とし、D/Eレシオを財務規律としつつ負債の活用を図ります。また、キャッシュ・コンバージョン・サイクルの改善と非効率資産の選別/処分を通じ投下資本の効率的活用を促進します。その上で、株主還元として連結配当性向35%以上を維持しつつ、企業価値向上に繋がる投資対象への資本投下の機を逃さずに行い、「長期的な企業価値の最大化」を目指します。(※)格付投資情報センター(R&I)による格付 ③ 資金調達について当社グループは、事業を行う上で必要となる運転資金や成長のための投資資金として、営業キャッシュ・フローを主とした内部資金だけでなく金融機関からの借入や社債の発行などの外部資金を有効に活用していきます。D/Eレシオは0.3~0.5を基準に負債の活用を進め、資本コストの低減・資本効率の向上を図ります。また、現金・預金等の水準(手元流動性)については、連結売上収益の2か月分を目安に適正水準の範囲でコントロールする方針です。これに加えて、金融上のリスクに対応するためにコミットメントライン契約等を締結することで、代替流動性を確保しています。なお、グループ内の資金効率を高めるため、資金を当社に集中する制度を運用しています。 契約の種別並びに当連結会計年度末の借入未実行残高は次のとおりです。 種別金額当座貸越契約50億円コミットメントライン契約800億円借入実行高-借入未実行残高850億円 (4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、IFRS会計基準に基づいて作成されています。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の状況をもとに、種々の見積りと仮定を行っていますが、それらは連結財務諸表、偶発債務に影響を及ぼします。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。

※本記事は「株式会社荏原製作所」の令和6年12期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。

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連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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