東日本旅客鉄道株式会社の基本情報

会社名東日本旅客鉄道株式会社
業種陸運業
従業員数連68769名 単39843名
従業員平均年齢38.6歳
従業員平均勤続年数16年
平均年収7251825円
1株当たりの純資産2402.34円
1株当たりの純利益173.82円
決算時期3月
配当金140円
配当性向36%
株価収益率(PER)16.8倍
自己資本利益率(ROE)7.6%
営業活動によるCF6881億円
投資活動によるCF▲6906億円
財務活動によるCF661億円
研究開発費※1193億円
設備投資額※1557億円
販売費および一般管理費※16193.19億円
株主資本比率※222.3%
有利子負債残高(連結)※342031.67億円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1)経営の基本方針(グループ理念) 私たちは「究極の安全」を第一に行動し、グループ一体でお客さまの信頼に応えます。 技術と情報を中心にネットワークの力を高め、すべての人の心豊かな生活を実現します。 (2)今後の経営環境の変化 マイナス金利政策の転換などに象徴されるようにポストコロナの経済が本格始動します。人口減少や少子高齢化、人手不足、人材の流動化などは、想定を超えるスピードで進展しています。さらには、社会の価値観や人々のライフスタイルが大きく変容しました。生成AIの登場など技術革新は日を追って加速し、脱炭素社会に向けた取組みは地球規模の課題になっています。 加えて、当社グループは、会社発足から37年が経過し、鉄道のシステムチェンジや社員の急速な世代交代など、様々な変革課題に直面しています。 (3)中期的な会社の経営戦略 グループ経営ビジョン「変革 2027」において、将来の環境変化を先取りした経営を進めてきました。世の中の大きな変容を、これまで事業全般にわたって取り組んできた構造改革をさらに加速させる好機と捉え、新たな成長戦略を描きこれを果敢に推進することで、「変革 2027」を加速していきます。 「究極の安全」を経営のトッププライオリティとして堅持し、お客さまに安全・安心なサービスを提供していきます。 「ヒト起点」の発想で輸送サービス、生活サービス、IT・Suicaサービスの融合と連携による新たな価値創造に取り組み、鉄道を中心としたモビリティと、お客さまと地域の皆さまとの幅広い接点を持つ生活ソリューションの二軸で経営を支えます。成長余力の大きい事業に経営資源を積極的に振り向けてビジネスポートフォリオを変革し、いかなる経営環境の変化にあっても、サステナブルに成長を続けることができる強靭な経営体質を構築してまいります。 より良い世の中を創るための事業活動を通じて利益成長をし、創出された利益を、お客さまや地域の皆さま、株主や投資家の皆さま、そして社員や家族の幸福の実現に還元するとともに、グループの成長にも振り分け、こうした成長と創造のサイクルを回していくことによりサステナブルに発展する、「四方良し」の志の高い企業グループをめざします。 (4)目標とする経営数値 グループ経営ビジョン「変革 2027」において、第39期(2025年度)をターゲットとした数値目標を設定しておりましたが、コロナ禍で急激に変化した経営環境のその後の推移等を踏まえ、2023年4月に第41期(2027年度)を新たなターゲットとした数値目標を以下のとおり設定しました。今後も目標達成に向けてグループ一体となって取り組んでまいります。 第41期(2027年度)数値目標第37期(2023年度)1月計画第37期(2023年度)実績第37期(2023年度)計画対比連結営業収益3兆2,760億円2兆7,120億円2兆7,301億円100.7% モビリティ運輸事業2兆190億円1兆8,490億円1兆8,536億円100.2% 生活ソリューション流通・サービス事業6,540億円3,750億円3,796億円101.2% 不動産・ホテル事業5,070億円3,970億円4,058億円102.2% その他960億円910億円910億円100.1%連結営業利益4,100億円3,100億円3,451億円111.3% モビリティ運輸事業1,780億円1,300億円1,707億円131.3% 生活ソリューション流通・サービス事業800億円600億円540億円90.1% 不動産・ホテル事業1,240億円1,000億円1,001億円100.2% その他300億円220億円219億円99.6% 調整額△20億円△20億円△16億円-連結営業キャッシュ・フロー(5年間の総額 ※1)3兆8,000億円-6,881億円(進捗率)18.1%連結ROA4.0%程度-3.6%-(※2)ネット有利子負債/EBITDA中期的に5倍程度長期的に3.5倍程度-6.2倍-※1 第37期(2023年度)から第41期(2027年度)までの総額を記載※2 ネット有利子負債=連結有利子負債残高-連結現金及び現金同等物残高EBITDA=連結営業利益+連結減価償却費 (5)対処すべき課題 「変革 2027」の実現に向けて、「安全」を経営のトッププライオリティと位置づけ、「収益力向上(成長・イノベーション戦略の再構築)」、「経営体質の抜本的強化(構造改革)」、「成長の基盤となる戦略の推進」および「ESG経営の実践」に引き続きグループを挙げて取り組んでまいります。 ○ 「安全」がトッププライオリティ 当社グループを挙げて安全のレベルアップに取り組み、すべての基盤であるお客さまや地域の皆さまからの「信頼」を引き続き高めます。これまで、当社グループが一丸となり、安全レベルを高めるための取組みを推進し、社員一人ひとりが「安全について考え、議論し、行動していく」安全文化を醸成してきました。昨今、当社グループを取り巻く環境は、人口減少、自然災害の激甚化・頻発化など、激しく変化しています。これらの変化に対応するために、「これまでは想定外であったリスク」を本質の理解により想像し、安全を先取る取組みを進めていく、「グループ安全計画2028」を2023年11月に策定しました。これにより、「お客さまの死傷事故ゼロ、社員の死亡事故ゼロ」の実現をめざします。また、異常時におけるお客さまへの影響拡大防止など、サービス品質の改革に向けた取組みも推進していきます。 ○ 収益力向上(成長・イノベーション戦略の再構築) 世の中の大きな変容を、「変革 2027」で進めてきた構造改革をさらに加速させる好機と捉え、グループの持つポテンシャルを最大限に引き出します。「ヒト起点」の発想で商品やサービスをバリューアップし、さらなる飛躍をめざすことで、連結キャッシュ・フローの最大化に努めていきます。 旅行気運の高まりや移動需要の増加を捉え、ライフスタイルの変化に対応した新しい商品・サービスを展開します。当社グループの強みである重層的でリアルなネットワークを活用し、お客さまの移動の目的地づくりや、DXによるお客さまとの接点強化などに取り組むことにより、新たな収益の柱を作ります。 中央快速線グリーン車の導入に向けた工事や車両の新造を進めるとともに、2031年度の開業をめざして羽田空港アクセス線(仮称)の本格的な工事に着手しました。また、「はこビュン」の増売、海外プロモーションによるインバウンドの誘客、様々なエリアでのMaaS展開、「JRE MALL」の当社グループならではの品揃えの強化、「STATION WORK」ネットワークのさらなる拡大、「JRE BANK」によるデジタル金融サービスの展開など、「モビリティ」と「生活ソリューション」を融合したサービスの創造をさらに進めます。さらに、いよいよ2025年3月にまちびらきを迎える「TAKANAWA GATEWAY CITY」をはじめとした多様な魅力あるまちづくり、不動産事業における回転型ビジネスなど、攻めの戦略を加速していきます。 ○ 経営体質の抜本的強化(構造改革) 鉄道事業の将来にわたるサステナブルな運営に向けて、固定的なオペレーションコストの見直しを図り、柔軟なコスト構造をめざします。そのために、自動運転・スマートメンテナンスなど新技術の活用、現場第一線社員のアイディアを活かした技術開発などによる仕事の仕組みの見直しや、設備のスリム化を進めます。 2023年3月に導入した「オフピーク定期券」サービスでは、さらに多くのお客さまにご利用いただくため、購入時のJRE POINT還元に加え、よりお求めやすい価格に改定を行います。 また、2024年4月改正の収入原価算定要領に基づき収入・原価を精査しており、条件を満たせば、速やかに運賃改定の認可申請を行うとともに、認可対象の運賃・料金の見直しや、シンプルかつ柔軟な制度の実現に向けて、引き続き国に要望してまいります。さらに、地方ローカル線については、沿線自治体などと持続可能な交通体系の構築に向けた協議を進めます。 急速なスピードで変化する経営環境に柔軟に対応し、一人ひとりの社員の働きがいの向上と生産性向上による経営体質の強化を図るため、組織改正を進めます。権限移譲および系統間や現業機関と企画部門の融合を進め、お客さまに近い場所でスピーディーに価値創造・課題解決に取り組むとともに、社員の活躍のフィールドを拡大していきます。 ○ 成長の基盤となる戦略の推進 これらの実現に向け、その基盤となる人材、DX・知的財産、財務・投資などの戦略を明確にし、グループ一体で取り組みます。 人材戦略については、「多様性」「柔軟性」「成長」の観点から、人材・価値観の多様性を育むとともに、人物本位の柔軟な人事運用や重点・成長分野への人材の集中配置等を進め、働きがいと生産性のさらなる向上をめざすことで、経営戦略を加速する人的資本経営を推進します。 DX・知的財産戦略については、各事業において戦略的な知的財産の取得・活用などを進めるとともに、オープンイノベーションをはじめとした社内外の技術・知見などを活用した技術開発、デジタルを使った業務改善や価値創造などDXの推進により、ビジネス創出と仕事の仕組みの変革を進めていきます。 財務・投資戦略については、ビジネスごとに戦略やKPIを再定義し、中長期視点に基づく連結キャッシュ・フロー経営を追求するとともに、社員の発意・創意工夫を自ら実現できる仕組みのさらなる浸透を図ります。 ○ 「ESG経営」の実践 環境、社会、企業統治の観点から「ESG経営」を実践し、事業を通じて社会的な課題を解決することで、地域社会の持続的な発展に貢献するとともに、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた取組みを推進します。 環境については、2020年度に公表した環境長期目標「ゼロカーボン・チャレンジ2050」において掲げる2050年度のCO?排出量「実質ゼロ」の達成に向けた挑戦を続け、持続可能な社会の実現に向けた新たな価値を提供していきます。パリ協定に基づく温室効果ガスの排出削減目標であるSBTの認定取得をめざし、2025年8月までに削減目標を策定するとともに、グループ事業全体のサプライチェーンにおいて排出される温室効果ガス削減にも貢献していきます。また、2030年度の営業運転開始をめざし「HYBARI」で実証実験中の水素ハイブリッド電車の開発を進めます。 地方創生については、地方中核駅を中心としたまちづくり、6次産業化による地域経済の活性化などに取り組みます。 さらに、企業統治については、意思決定や業務執行のさらなる迅速化および取締役会の監督機能の強化などを目的に、2023年6月に監査等委員会設置会社へと移行しました。急速なスピードで変化する経営環境に柔軟に対応するとともに、コーポレート・ガバナンスを一層充実させ、さらなる企業価値の向上をめざします。  これらの戦略を着実に推進することで経済価値を創造するとともに、事業を通じて社会が抱える様々な課題の解決に取り組みます。また、地域社会の発展に貢献することにより、お客さまや地域の皆さまからの「信頼」を高めていきます。その「信頼」を基盤に社員一人ひとりの力とネットワークの力を結びつけ、すべての人の笑顔あふれる心豊かな生活を実現し、世の中に価値を提供し続けるサステナブルなグループをめざします。
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況 当連結会計年度におけるわが国経済は、足元では足踏みもみられるものの、緩やかな回復が続きました。 このような状況の中、当社グループは、「安全」を経営のトッププライオリティに位置づけ、「収益力向上」、「経営体質の抜本的強化」、「成長の基盤となる戦略の推進」および「ESG経営の実践」に取り組み、グループ経営ビジョン「変革 2027」の実現に向けた歩みを加速してまいりました。 「究極の安全」を実現するため、「グループ安全計画2023」の最終年度として、一人ひとりの「安全行動」および「安全マネジメント」の進化と変革に、グループ一体で取り組みました。安全設備では新幹線早期地震検知システムの改良や2021年・2022年の福島県沖地震を踏まえた新幹線耐震補強計画の見直し、鉄道駅バリアフリー料金制度を活用したホームドアなどの整備を着実に進めました。 「収益力向上(成長・イノベーション戦略の再構築)」では、「ポストコロナ」と「インバウンド」をキーワードに、平日限定のおトクな商品「旅せよ平日!JR東日本たびキュン?早割パス」の販売、インバウンド施策のさらなる拡充や訪日外国人旅行者向け鉄道パスの価格改定など、JR東日本エリアにおけるお客さまの流動促進と収益の拡大に取り組みました。また、㈱JR東日本スマートロジスティクスの設立、不動産事業の戦略的展開など、生活ソリューションにつながる事業のさらなる成長によるビジネスポートフォリオの変革に向けた施策を推進しました。 「経営体質の抜本的強化(構造改革)」では、オフピーク定期券の浸透、メンテナンス業務におけるAIの活用をはじめとするDXの加速など、柔軟なコスト構造の実現をめざした取組みを実施しました。また、お客さまに近い場所でスピーディーに価値創造・課題解決に取り組むとともに、より柔軟な働き方を実現するため、統括センターや営業統括センターの設置を進め、系統間や現業機関と企画部門における融合と連携をさらに推進しました。「成長の基盤となる戦略の推進」では、多様なデジタル人材の育成に向けて、DXリテラシーを牽引する専任担当であるDXプロを新たに配置するとともに、アジャイル開発の推進や生成AIなどへのガバナンス問題の対応を担う本社内組織「Digital&Dataイノベーションセンター」を新設しました。また、新卒初任給の引上げや子育て等に関する支援の拡充など、社員の意欲と多様な働き方に応える柔軟な制度・環境の整備を進めました。 「ESG経営の実践」では、環境について、生物多様性・自然資本の保全に向けて土地固有の樹木を植えて森を再生する「ふるさとの森づくり」の取組みや、信濃川水力発電所周辺での魚道の整備などの取組みを継続してきました。また、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)が2023年9月に公表した開示提言に賛同を表明し、提言を採用する「TNFD Adopter」として2024年3月に鉄道会社として初めて登録されました。地方創生の実現に向けて、「東北の宝ものプロジェクト」や「東北復興ツーリズム推進ネットワーク」の設立、「沿線まるごとホテルプロジェクト」などを推進しました。  今後も、グループ経営ビジョン「変革 2027」の実現に向けてグループ一体で取り組みます。 当連結会計年度の決算については、鉄道の利用増やエキナカ店舗、ホテル、ショッピングセンターの売上増に伴い、すべてのセグメントで増収となったことなどにより、営業収益は前期比13.5%増の2兆7,301億円となりました。また、これに伴って営業利益は前期比145.4%増の3,451億円、経常利益は前期比167.4%増の2,966億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比98.0%増の1,964億円となりました。  セグメントの業績は次のとおりであります。 a 運輸事業 運輸事業では、安全・安定輸送およびサービス品質の確保にグループの総力を挙げて取り組みました。 この結果、鉄道の利用増に伴い、鉄道運輸収入が増加したことなどにより、売上高は前期比14.1%増の1兆9,180億円となり、営業利益は1,707億円(前期は営業損失240億円)となりました。 b 流通・サービス事業 流通・サービス事業では、駅を交通の拠点からヒト・モノ・コトがつながる暮らしのプラットフォームへと転換する「Beyond Stations構想」などを推進しました。 この結果、お客さまのご利用増に伴い、エキナカ店舗の売上が増加したことなどにより、売上高は前期比14.3%増の4,156億円となり、営業利益は前期比53.1%増の540億円となりました。 c 不動産・ホテル事業 不動産・ホテル事業では、大規模ターミナル駅開発や沿線開発など「くらしづくり(まちづくり)」を推進し、地域とともにまちの魅力を高めました。 この結果、お客さまのご利用増に伴い、ホテルやショッピングセンターの売上が増加したことなどにより、売上高は前期比6.2%増の4,349億円となりましたが、不動産販売の利益が減少したことなどにより、営業利益は前期比10.2%減の1,001億円となりました。 d その他 その他の事業では、Suicaの利用シーンのさらなる拡大と、シームレスでストレスフリーな移動を実現する「MaaSプラットフォーム」の拡充などに取り組みました。 この結果、ICカード事業の売上が増加したことなどにより、売上高は前期比13.9%増の2,540億円となり、営業利益は前期比27.2%増の219億円となりました。 (注) 当社は、「セグメント情報等の開示に関する会計基準」(企業会計基準第17号 平成22年6月30日)および「セグメント情報等の開示に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第20号 平成20年3月21日)におけるセグメント利益又は損失について、各セグメントの営業利益又は営業損失としております。 (参考)当社の鉄道事業の営業実績 当社の鉄道事業の最近の営業実績は次のとおりであります。 輸送実績 区分単位第36期(自 2022年4月1日至 2023年3月31日)第37期(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)営業日数日365366営業キロ新幹線キロ1,194.21,194.2在来線〃6,108.06,108.0計〃7,302.27,302.2客車走行キロ新幹線千キロ493,528532,998在来線〃1,717,5601,714,971計〃2,211,0882,247,969輸送人員定期千人3,184,0883,331,650定期外〃2,139,5302,365,793計〃5,323,6195,697,444輸送人キロ新幹線定期千人キロ1,563,0021,670,516定期外〃14,931,34619,560,252計〃16,494,34821,230,768在来線関東圏定期〃54,766,76157,474,481定期外〃31,590,03535,912,814計〃86,356,79693,387,296その他定期〃2,697,7192,763,384定期外〃1,929,0242,319,661計〃4,626,7435,083,046計定期〃57,464,48060,237,865定期外〃33,519,05938,232,476計〃90,983,54098,470,342合計定期〃59,027,48261,908,382定期外〃48,450,40657,792,728計〃107,477,888119,701,111乗車効率新幹線%48.157.7在来線〃37.840.9計〃39.143.2(注)1 乗車効率は次の方法により算出しております。乗車効率=輸送人キロ×100客車走行キロ×客車平均定員2 「関東圏」とは、当社首都圏本部、横浜支社、八王子支社、大宮支社、高崎支社、水戸支社および千葉支社管内の範囲であります。 収入実績 区分単位第36期(自 2022年4月1日至 2023年3月31日)第37期(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)旅客運輸収入新幹線定期百万円21,20722,551定期外〃400,721514,875計〃421,929537,427在来線関東圏定期〃354,175378,800定期外〃602,127698,784計〃956,3021,077,584その他定期〃16,14116,513定期外〃37,38945,054計〃53,53061,568計定期〃370,316395,314定期外〃639,517743,838計〃1,009,8331,139,153合計定期〃391,524417,865定期外〃1,040,2381,258,714計〃1,431,7621,676,580荷物収入〃42合計〃1,431,7671,676,582鉄道線路使用料収入〃5,6635,389運輸雑収〃170,944166,143収入合計〃1,608,3761,848,115 ② キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローについては、税金等調整前当期純利益の増加などにより、流入額は前連結会計年度に比べ1,063億円増の6,881億円となりました。 投資活動によるキャッシュ・フローについては、有形及び無形固定資産の取得による支出が増加したことなどにより、流出額は前連結会計年度に比べ1,251億円増の6,906億円となりました。 財務活動によるキャッシュ・フローについては、流入額は前連結会計年度に比べ392億円増の661億円となりました。 なお、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ658億円増の2,808億円となりました。 また、当連結会計年度末のネット有利子負債残高は4兆5,874億円となりました。なお、「ネット有利子負債」とは、連結有利子負債残高から連結現金及び現金同等物の期末残高を差し引いた数値であります。 ③ 生産、受注及び販売の実績 当社および当社の連結子会社の大多数は、受注生産形態をとらない業態であります。 なお、販売の実績については、「(1)経営成績等の状況の概要」におけるセグメントの業績に関連づけて示しております。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容a 経営成績○ 営業収益 当連結会計年度の営業収益は、鉄道の利用増やエキナカ店舗、ホテル、ショッピングセンターの売上増に伴い、すべてのセグメントで増収となったことなどにより、前期比13.5%増の2兆7,301億円(対1月業績予想181億円増)となりました。  運輸事業の外部顧客への売上高は、前期比14.5%増の1兆8,536億円(対1月業績予想46億円増)となりました。 これは、鉄道の利用増に伴い、鉄道運輸収入が増加したことなどによるものであります。 新幹線に関しては、鉄道の利用増に伴い、輸送人キロは前期比28.7%増の212億人キロとなりました。定期収入は前期比6.3%増の225億円、定期外収入は前期比28.5%増の5,148億円となり、全体では前期比27.4%増の5,374億円となりました。 関東圏の在来線に関しては、鉄道の利用増に伴い、輸送人キロは前期比8.1%増の933億人キロとなりました。定期収入は前期比7.0%増の3,788億円、定期外収入は前期比16.1%増の6,987億円となり、全体では前期比12.7%増の1兆775億円となりました。 関東圏以外の在来線に関しては、鉄道の利用増に伴い、輸送人キロは前期比9.9%増の50億人キロとなりました。定期収入は前期比2.3%増の165億円、定期外収入は前期20.5%増の450億円となり、全体では前期比15.0%増の615億円となりました。  運輸事業以外の事業の外部顧客への売上高については、以下のとおりであります。 流通・サービス事業では、お客さまのご利用増に伴い、エキナカ店舗の売上が増加したことなどにより、前期比15.8%増の3,796億円(対1月業績予想46億円増)となりました。 不動産・ホテル事業では、お客さまのご利用増に伴い、ホテルやショッピングセンターの売上が増加したことなどにより、前期比6.2%増の4,058億円(対1月業績予想88億円増)となりました。 その他の事業では、ICカード事業の売上が増加したことなどにより、前期比18.4%増の910億円(対1月業績予想0億円増)となりました。 ○ 営業費用 営業費用は、前期比5.3%増の2兆3,849億円となりました。営業収益に対する営業費用の比率は、前連結会計年度の94.2%に対し、当連結会計年度は87.4%となりました。 運輸業等営業費及び売上原価は、前期比4.6%増の1兆7,656億円となりました。これは、物件費が増加したことなどによるものであります。 販売費及び一般管理費は、前期比7.3%増の6,193億円となりました。これは、物件費が増加したことなどによるものであります。 ○ 営業利益 営業利益は、前期比145.4%増の3,451億円(対1月業績予想351億円改善)となりました。営業収益に対する営業利益の比率は、前連結会計年度の5.8%に対し、当連結会計年度は12.6%となりました。 ○ 営業外損益 営業外収益は、前期比30.6%減の291億円となりました。これは、持分法による投資利益が減少したことなどによるものであります。 営業外費用は、前期比8.2%増の777億円となりました。これは、支払利息が増加したことなどによるものであります。 ○ 経常利益 経常利益は、前期比167.4%増の2,966億円(対1月業績予想446億円改善)となりました。営業収益に対する経常利益の比率は、前連結会計年度の4.6%に対し、当連結会計年度は10.9%となりました。 ○ 特別損益 特別利益は、前期比56.4%減の406億円となりました。これは、受取補償金や工事負担金等受入額が減少したことなどによるものであります。 特別損失は、前期比16.6%減の631億円となりました。これは、工事負担金等圧縮額が減少したことなどによるものであります。 ○ 税金等調整前当期純利益 税金等調整前当期純利益は、前期比113.5%増の2,740億円となりました。営業収益に対する税金等調整前当期純利益の比率は、前連結会計年度の5.3%に対し、当連結会計年度は10.0%となりました。 ○ 親会社株主に帰属する当期純利益 親会社株主に帰属する当期純利益は、税金等調整前当期純利益の増加などにより、前期比98.0%増の1,964億円(対1月業績予想314億円改善)となりました。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の87.79円に対し、当連結会計年度は173.82円となりました。また、当連結会計年度の営業収益に対する親会社株主に帰属する当期純利益の比率は、前連結会計年度の4.1%に対し、当連結会計年度は7.2%となりました。 b 財政状態 当連結会計年度末の資産残高は前連結会計年度末に比べ4,195億円増の9兆7,714億円、負債残高は前連結会計年度末に比べ1,780億円増の7兆322億円、純資産残高は前連結会計年度末に比べ2,415億円増の2兆7,392億円となりました。 運輸事業においては、大規模地震対策やホームドア整備、車両新造、中央快速線等グリーン車導入に伴う工事などに4,366億円の投資を行ったことなどにより、当連結会計年度末の資産残高は7兆2,549億円となりました。 流通・サービス事業においては、仙台駅北部高架下開発など、新規店舗の展開や既存店舗の改良などに225億円の投資を行ったことなどにより、当連結会計年度末の資産残高は3,903億円となりました。 不動産・ホテル事業においては、TAKANAWA GATEWAY CITYや大井町駅周辺広町地区開発(仮称)、JR青森駅東口ビルなど、ショッピングセンターやオフィスビル、ホテルの建設などに2,256億円の投資を行ったことなどにより、当連結会計年度末の資産残高は1兆9,820億円となりました。 その他の事業においては、システム開発などに288億円の投資を行ったことなどにより、当連結会計年度末の資産残高は1兆1,741億円となりました。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報a キャッシュ・フロー 営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より1,063億円増加し、6,881億円の流入となりました。これは、税金等調整前当期純利益の増加などによるものであります。 投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より1,251億円増加し、6,906億円の流出となりました。これは、有形及び無形固定資産の取得による支出が増加したことなどによるものであります。 なお、設備投資の概要は以下のとおりです。 運輸事業に関しては、大規模地震対策やホームドア整備、車両新造、中央快速線等グリーン車導入などの設備投資を実施しました。流通・サービス事業に関しては、仙台駅北部高架下開発など、新規店舗の展開や既存店舗の改良などを行いました。不動産・ホテル事業に関しては、TAKANAWA GATEWAY CITYや大井町駅周辺広町地区開発(仮称)、JR青森駅東口ビルなど、ショッピングセンターやオフィスビル、ホテルの建設などの設備投資を実施しました。その他の事業においては、システム開発などの設備投資を実施しました。 また、フリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度より187億円減少し、25億円の流出となりました。 財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より392億円増加し、661億円の流入となりました。 なお、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末の2,150億円から658億円増加し、2,808億円となりました。 b 財務政策 グループ経営ビジョン「変革 2027」の早期実現に向けて、設備投資に関して、成長投資においては、収益力向上や生産性向上に資する投資を積極的に実施します。維持更新投資においては、大規模地震対策やホームドア整備など安全のレベルアップに資する投資を引き続き着実に進めるとともに、安全の確保を大前提とした投資の選択と集中を徹底します。さらに、「脱炭素社会」実現などの社会的課題の解決、地域社会など多様なステークホルダーへの貢献、長期的視点での生産性向上や業務変革をめざし、地方創生やDXなどの設備投資を厳選して実施します。2023年度から2027年度まで総額3兆8,900億円の投資を計画しています。また、株主還元については、中長期的に総還元性向40%を目標とし、配当性向は30%をめざすこととしております。このために必要な資金については、営業キャッシュ・フローによるほか、社債の発行や金融機関からの借入等による資金調達を行っており、連結有利子負債残高は、連結営業収益、利益に応じた水準とすることを中長期的な考え方としております。具体的には、ネット有利子負債/EBITDAを中期的に5倍程度、長期的に3.5倍程度とすることをめざしております。 「ネット有利子負債」とは、連結有利子負債残高から連結現金及び現金同等物の期末残高を差し引いた数値であり、当連結会計年度末のネット有利子負債残高は4兆5,874億円となりました(なお、当連結会計年度末の有利子負債残高は4兆8,682億円であります)。また、「EBITDA」とは、連結営業利益に連結減価償却費を加えた数値であり、当連結会計年度のEBITDAは7,373億円となりました。 当社グループはキャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入しており、CMS参加各社の余裕資金の運用と資金調達の管理を一括して行い、連結ベースでの資金効率の向上に努めております。また、グループ間決済の相殺やグループ内の支払業務を集約する支払代行制度などの資金管理手法を採用しております。 当社は、健全な財務体質の維持・向上および十分な手元流動性の確保を基本方針に置き、社債の発行や金融機関からの借入等により資金調達を行っております。また、金利上昇リスクの抑制を目的とし、支払金利の固定化や、調達年限の長期化による支払金利の長期固定化を行っております。さらに、年度ごとの債務償還額の抑制および平準化に資する年限選択を行うことで、将来の借換リスク抑制を図っております。 当社は、当連結会計年度に国内において償還期限を2033年から2073年の間とする11本の無担保普通社債を総額1,480億円発行いたしました。これらの社債については、㈱格付投資情報センターよりAA+の格付けを取得しております。また、海外において償還期限を2032年および2043年とする2本の無担保普通社債を総額13億ユーロ(2,060億円)発行いたしました。これらの社債は、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン㈱よりA+、ムーディーズ・ジャパン㈱よりA1の長期債格付けを取得しております。その他、金融機関から1,083億円の長期資金を借り入れました。 新幹線鉄道施設に関連する鉄道施設購入長期未払金は、元利均等半年賦支払であり、年利6.55%の固定利率により2051年9月30日までに支払われる3,107億円であります。 このほか、当連結会計年度末現在、東京モノレール㈱が2億円の鉄道施設購入長期未払金を有しております。  短期資金の需要に対応するため、当連結会計年度末現在、主要な銀行に総額3,600億円の当座借越枠を設定しております。また、コマーシャル・ペーパーについては、当連結会計年度末現在、㈱格付投資情報センターよりa-1+、㈱日本格付研究所よりJ-1+の短期債(CP)格付けを取得しております。なお、当連結会計年度末における当座借越残高およびコマーシャル・ペーパーの発行残高はありません。さらに、当連結会計年度末現在、銀行からのコミットメント・ライン(一定の条件のもと契約内での借入れが自由にできる融資枠)を600億円設定しておりますが、当連結会計年度末におけるコミットメント・ラインの使用残高はありません。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されており、連結財務諸表の作成に当たっては、連結決算日における資産・負債および当連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積りを行った上で、継続して評価を行っております。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。 連結財務諸表の作成に当たって用いた見積りや仮定のうち、財政状態および経営成績に重要な影響を与える可能性がある項目は以下のとおりです。 a 繰延税金資産の回収可能性 繰延税金資産の回収可能性に関する仮定に関しては、「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。 b 固定資産の減損 固定資産の減損に関する仮定に関しては、「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。 c 退職給付債務の見積り 従業員の退職給付債務は、割引率、昇給率、退職率、死亡率等の数理計算上の前提条件を用いて見積りを行っております。数理計算上の前提条件と実績が異なる場合または前提条件の変更があった場合は、翌連結会計年度の退職給付債務の見積りに影響を与える可能性があります。

※本記事は「東日本旅客鉄道株式会社」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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