株式会社電通グループの基本情報

会社名株式会社電通グループ
業種サービス業
従業員数連71127名 単165名
従業員平均年齢45.4歳
従業員平均勤続年数16.9年
平均年収15885604円
1株当たりの純資産2386.74円
1株当たりの純利益231.9円
決算時期12月
配当金139.5円
配当性向60.2%
株価収益率(PER)15.6倍
自己資本利益率(ROE)9.9%
営業活動によるCF752億円
投資活動によるCF▲1462億円
財務活動によるCF▲1536億円
研究開発費※120.48億円
設備投資額※132.75億円
販売費および一般管理費※110187.3億円
株主資本比率※249.9%
有利子負債残高(連結)※3※40円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 中期経営計画の達成見込とその要因2024年度を計画最終年度とする現行の中期経営計画は、資本配分やESGに関する一部コミットメントについては達成に向けて進んでいるものの、2023年度の厳しい実績等から、オーガニック成長率とオペレーティング・マージンについてはコミットメント達成が困難な状況となっております。具体的には、オーガニック成長率を2021年に対して2024年まで年平均成長率(CAGR)4~5%と見込んでおりましたが、2023年度通期実績は△4.9%、2024年度業績予想は約1%となっており、その達成は困難となりました。また、オペレーティング・マージンについても同様に、2023年まで17~18%の範囲で管理した上で2024年には18%を確保することを目指しておりましたが、2023年度は14.5%という実績となり、2024年度は約15%となる予想であります。中期経営計画のコミットメント未達の要因を分析する中で、金融・テクノロジー関連クライアントの支出減少や、コンサルティング会社・テックカンパニー等との競争の激化など当社グループを取り巻く外部環境の変化だけではなく、当社グループ自身に複数の内部要因が存在していることを認識しております。具体的には、買収に偏重した成長戦略を取っていたことで必要な内部投資が不足していたこと、各サービスを提供する組織間のサイロ化により統合ソリューションの提供実現に遅れが生じていること、買収を加速する中でビジネスオペレーションが複雑化/複層化しコスト構造改革が遅滞したことなどが主要な要因であり、2023年に導入した「ワン・マネジメント・チーム」の下、これらへの対策に着手しております。 (2) オーガニック成長への回帰に向けて経営資源を集中こうした状況を踏まえ、特に2024年に取り組むべきは、経営資源をコアビジネスの強化によるオーガニック成長へと集中的に振り向けていくことだと考えております。当社グループの強みは、マーケティング、テクノロジー、コンサルティングが融合する領域において、保有するユニークで多岐に渡るケイパビリティを統合して、顧客企業のトップライン成長を実現する「Integrated Growth Solutions(インテグレーテッド・グロース・ソリューション)」であります。この強みを進化させるため、既に獲得したアセットの進化や、他のケイパビリティとの統合の促進に注力してまいります。これを実現するために、本年よりグローバルに一貫した「One dentsuオペレーティング・モデル」を導入しております。これを通じ、真にクライアント中心のソリューション提供体制を敷き、地域間・プラクティス間の協業を加速するとともに、オペレーションや組織の簡素化などを通じて、成長への回帰と収益の改善を図ります。 (3) 2024年度のアクションプランより確かなオーガニック成長を実現するために、当社グループが2024年度に取り組むアクションを「Integrated Growth Solutionsを実現するための内部投資」「事業ポートフォリオ変革と財務規律の強化」「ガバナンス及び内部統制の再構築」の3つに整理しております。① Integrated Growth Solutionsを実現するための内部投資まず、当社グループの事業戦略の核となる「Integrated Growth Solutions」の提供による健全な事業成長を実現するために、内部投資を強化します。具体的な投資領域としては、アカウンタビリティの高いソリューションの提供を実現するためのデータ&テクノロジー領域や、「Integrated Growth Solutions」の提案と実行を担う人財育成・獲得、ビジネスオペレーションとエンタープライズプラットフォームの強化などが挙げられます。 ② 事業ポートフォリオ変革と財務規律の強化事業戦略推進に当たっては、One dentsuの一貫した戦略に基づき、注力すべき事業領域や市場を絞り込みます。当社グループは世界140か国以上での自社ネットワークによるサービスを提供しておりますが、当社グループの推進する戦略に照らして、注力すべき市場やサービスを明確にし、集中的にリソースを投下してまいります。また、これまで売上総利益に占める「Customer Transformation & Technology(カスタマートランスフォーメーション&テクノロジー)」領域の構成比を50%へ高めることを目指し、当該領域での買収を積極的に行ってまいりましたが、当面は獲得した既存アセットのPMIやシナジー創出に注力し、業績推移や戦略貢献のモニタリング体制の強化など投資活動全般の規律を高めてまいります。また、事業ポートフォリオの変革にも取り組み、不採算な事業や市場の再建や見直しを進めてまいります。なお、このような変革を遂行し、健全な事業成長を図るに際し、財務面からの規律を徹底するため、取締役会の諮問機関として、社外取締役を中心に構成されるファイナンス委員会を新設することを決定しました。同委員会には、事業推進の支援とともに、規律のある財務戦略・方針の策定、資本配分の見直し、株主視点での財務指標の設定、及びそれらの履行状況のモニタリング等を通じて、財務ガバナンスの高度化を支援いただきます。③ ガバナンス及び内部統制の再構築東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会におけるテストイベントの入札等事業に関して、当社は、2023年2月28日に独占禁止法違反の疑いで公正取引委員会から刑事告発され、東京地方検察庁により起訴されました。その後、当社は、外部有識者による「調査検証委員会」から受領した本事案の原因分析と提言に則り、dentsu Japan改革委員会による「意識行動改革」を策定し、役員・従業員一同、問題の再発防止に取り組んでおります。また、複数の国で構成され、複数の通貨が流通するDACH(ドイツ・オーストリア・スイスで構成する)区域において、人事システム、プロジェクト管理システム、財務システムの変更を含む複数の変革・統合作業を同時並行で実施したため、いくつかの業務プロセスとシステムの間に不整合が発生したことを背景として、一時的な財務影響を認識しました。この要因について、包括的な内部調査、当社グループのグローバル・ゼネラル・カウンセル(法務責任者)と内部監査部門が任命した外部法律事務所および外部会計事務所による調査、および内部監査部門による調査・分析を行いました。その結果、主な要因は不十分なプロジェクト管理等であったことが報告されて、同時にその改善策も提示されました。また、当社グループは、同調査と分析に基づき、DACHを含むグループのマーケットにおいて、今後類似事象が発生するリスクは限定的であると判断しております。さらに業務プロセスの変更やシステムの改善など、提示された改善策に既に着手し、推進しております。これら具体事案の対処に加え、当社はガバナンス及び内部統制の再構築に努めてまいります。既にグローバル内部統制&リスク責任者を設置するなど、体制を強化する取り組みを進めております。併せて、経営陣と社員が一体となって進める取り組みとして、「電通グループ行動憲章」を当社グループ全体に浸透させることで、インテグリティを最優先とする組織風土の実現を図ります。さらに、One dentsuオペレーティング・モデルを一層推進することで、組織の合理化、意思決定の迅速化、責任の明確化および権限委譲を図るとともに、類似事象が発生するリスクを低減する強固な業務プロセスとガバナンスに基づき、効果的な事業運営および企業活動を行ってまいります。なお、当社の上場子会社群への対応については各社の戦略的位置づけに照らして最適なあり方を継続的に検討しており、方針が決定した場合には適切にご報告させていただきます。 (4) 株主価値の向上に向けてこれらの戦略とアクションを通じて、長期的な株主価値を確実に向上してまいります。まず、オーガニック成長とコスト構造改革により、利益とキャッシュ・フローの改善を図ります。同時に、投資規律を強化するとともに、投資バランスを買収から内部投資へ転換します。それに加え、バランスシートの最適化を進め、事業ポートフォリオ変革や投資の見直しを通じて資本効率の改善を進めてまいります。 市場環境には依然不透明な部分が残りますが、私たちは新たな環境に適応すべく、事業を不断に変革してまいります。事業ポートフォリオ変革等の具体的な計画は、新たな中期経営計画の形で本年後半に発表する予定であります。
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(経営成績等の状況の概要)(1) 財政状態及び経営成績の状況<事業全体の概況>2023年の世界経済は、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、世界的な物価上昇とそれに対処するための各国中央銀行による金融引き締め、米国の一部金融機関の破綻による金融不安など、先行き不透明な状況が続きました。こうした環境下、当期(2023年1月1日~12月31日)における当社グループの業績は、売上総利益は前期比2.3%増となりました。売上総利益のオーガニック成長率は△4.9%でした。物価上昇及びコロナ禍からの回復に伴う諸経費の増加、人員増等による人件費の増加などにより販管費が増加したため、調整後営業利益は同20.0%減、オペレーティング・マージンは同390bps減、親会社の所有者に帰属する調整後当期利益は同31.3%減、減損損失の計上などにより、営業利益は同61.5%減、親会社の所有者に帰属する当期損失は107億14百万円(前期は当期利益598億47百万円)となりました。なお、調整後営業利益は、営業利益から、買収行為に関連する損益及び一時的要因を排除した、恒常的な事業の業績を測る利益指標であります。買収行為に関連する損益:買収に伴う無形資産の償却費、M&Aに伴う費用、完全子会社化に伴い発行した株式報酬費用一時的要因の例示:構造改革費用、減損、固定資産の売却損益など 親会社の所有者に帰属する調整後当期利益は、当期利益から、営業利益に係る調整項目、条件付対価に係る公正価値変動額(アーンアウト債務再評価損益)・株式買取債務に係る再測定額(買収関連プットオプション再評価損益)、これらに係る税金相当・非支配持分損益相当などを排除した、親会社の所有者に帰属する恒常的な損益を測る指標であります。      当期の連結業績(単位:百万円、△はマイナス)科目当期前期前期比・差収益1,304,5521,246,4014.7%売上総利益1,144,8191,119,5192.3%営業利益45,312117,617△61.5%親会社の所有者に帰属する当期利益△10,71459,847― ※ 従来、「その他の収益」に表示していたコンテンツ事業の収益分配金は、当期において「収益」に含めて表示することに変更しております。また、従来、当該収益分配金に関連する費用として「その他の費用」に表示していた長期前払費用償却費等は、収益の控除項目として「収益」に含めて表示することに変更しております。これに伴い、前期については、当該表示方法の変更を反映した遡及修正後の金額を記載しています。遡及修正の内容については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (5) 表示方法の変更 (連結損益計算書)」を参照ください。      当期の主要な利益指標(単位:百万円、△はマイナス)科目当期前期前期比・差調整後営業利益163,515204,307△20.0%オペレーティング・マージン14.5%18.4%△390bps親会社の所有者に帰属する調整後当期利益89,839130,835△31.3% ※ 2022年11月にロシア事業の譲渡契約を締結したことから、譲渡が完了するまでの期間に発生するロシア事業に係る営業損益は、一時的要因として当期の調整後営業利益には含めておりません。これに伴い、前期については、前期に調整後営業利益に含めていたロシア事業に係る営業損益を排除して組替表示しております。 <当期の連結業績のポイント>売上総利益については、連結オーガニック成長率は△4.9%でしたが、為替影響やM&Aによる収益貢献により、前期比2.3%の増収となり、3年連続で上場来最高となりました。調整後営業利益は、オーガニック成長がマイナスとなったこと及び販管費の増加等により、前期比20.0%の減益となり、オペレーティング・マージンは前期比390bps減少し、14.5%となりました。事業における減益に加え、APACにおいて678億4百万円の減損損失を計上したことなどにより、制度会計上の営業利益は453億12百万円と前期比61.5%の減益となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期利益は107億14百万円の損失計上となりました。前年に続き、カスタマートランスフォーメーション&テクノロジー(CT&T)領域に注力するM&Aを推進し、CRMコンサルティング事業を展開するスペインの「Omega Customer Relationship Management Consulting, S.L.」、米国のB2Bエクスペリエンス&コマース・エージェンシー「Shift7 Digital, LLC.」、デジタルクリエイティブコンテンツの制作とマーケティングのパーソナライゼーション支援をグローバルに展開する英国の「Tag Worldwide Holdings Ltd」、デジタルファーストのクリエイティブエージェンシー事業を展開するドイツの「RCKT GmbH」等を買収しました。日本でのCT&T領域の二桁成長や、新規連結した各社の貢献の一方、海外各リージョンでのCT&Tにおけるプロジェクト遅延と規模縮小なども影響し、同領域の売上総利益が全体に占める構成比は前期と同水準の32%となりました。 <当期の連結業績:地域別>当連結会計年度より、報告セグメントを変更しております。当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 6.セグメント情報(3)報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。 1.日本広告市況は軟調に推移しましたが、CT&T領域は二桁の成長をとげ好調を維持し、売上総利益のオーガニック成長率は1.6%、売上総利益は4,489億98百万円(前期比1.8%増)で3年連続で過去最高を更新しました。物価上昇及びコロナ禍からの回復に伴う諸経費の増加、人員増等による人件費の増加などにより、調整後営業利益は1,034億40百万円(同2.1%減)、オペレーティング・マージンは23.0%(前期 は23.9%)となりました。 2.Americas(米州)Americasにおける売上総利益のオーガニック成長率は△7.2%となりました。主要マーケット別にみると、カナダ、ラテンアメリカなどは堅調でしたが、CT&Tにおけるプロジェクト遅延と金融・テックセクターを中心とした市況の悪化などによる顧客企業のメディア出稿の減少が影響し米国などは厳しい状況となっています。為替レートが全般的に円安となっていること及びM&Aにより、Americasの売上総利益は、3,220億78百万円(前期比1.6%増)、調整後営業利益は730億30百万円(同7.1%増)、オペレーティング・マージンは22.7%(前期は21.5%)と、いずれも前期を上回りました。 3.EMEA(ロシアを除くヨーロッパ、中東及びアフリカ)EMEAにおける売上総利益のオーガニック成長率は、第2四半期及び第3四半期に発生したDACH(ドイツ・オーストリア・スイス)区域での複合的な事業変革とシステム・インテグレーションを背景とした一時的財務影響等により、△10.9%となりました(同影響を除くと△7.6%)。主要マーケット別にみると、スペイン、オランダなどは堅調でしたが、イギリス、スイス、ドイツ、フランスなどは厳しい状況となっています。為替レートが全般的に円安となっていること及びM&Aにより、EMEAの売上総利益は、2,375億23百万円(前期比2.0%増)でしたが、DACH区域での一時的財務影響、物価上昇及びコロナ禍からの回復に伴う諸経費の増加などにより、調整後営業利益は242億38百万円(同53.3%減)、オペレーティング・マージンは10.2%(前期は22.3%)となりました。 4.APAC(日本を除くアジア太平洋)APACにおける売上総利益のオーガニック成長率は△8.2%となりました。主要マーケット別にみると、台湾などは堅調でしたが、中国、オーストラリア、インドなどは厳しい状況となっています。為替レートが全般的に円安となっていること及びM&Aにより、APACの売上総利益は、1,132億35百万円(前期比0.8%増)でしたが、物価上昇及びコロナ禍からの回復に伴う諸経費の増加、人員削減費用の計上などにより、調整後営業利益は79億57百万円(同64.3%減)、オペレーティング・マージンは7.0%(前期は19.8%)となりました。   地域別のオーガニック成長率(△はマイナス成長) 当期2023年度第4四半期(10-12月)2023年度第3四半期(7-9月)2023年度第2四半期(4-6月)2023年度第1四半期(1-3月)日本1.6%0.9%3.0%3.4%△0.2%Americas△7.2%△9.3%△6.6%△7.4%△4.9%EMEA△10.9%△13.6%△17.2%△12.7%3.4%APAC△8.2%△8.6%△9.1%△7.0%△7.8%連結△4.9%△6.6%△6.0%△4.7%△1.6% <当期における中期経営計画の進捗について>2023年度における中期経営計画の進捗は以下のとおりとなりました。 前事業年度の有価証券報告書記載の当社グループが設定した、経営目標等は、以下のとおりであります。① 事業変革による成長戦略の実践・オーガニック成長率:2021年度を基準に2024年度まで年平均成長率ベースで4~5%とする。・売上総利益に占める「カスタマートランスフォーメーション&テクノロジー」領域の構成比を今後50%に高めることを目指す。② 収益性と効率性の改善・2023年度までオペレーティング・マージンを17.0~18.0%のレンジで管理し、2024年度には18.0%を確保する。③ 財務基盤の改善と、株主価値の持続的向上 ・Net debt/調整後EBITDA(期末)の上限を1.5倍とし、中期的な目線を1.0~1.5倍とする (IFRS第16号の適用影響を控除したベース)。・配当性向(基本的1株当たり調整後当期利益ベース)を漸進的に高め、2024年度までに35%とする。④ ESG経営の推進・2030年度までにCO2排出量を46%削減、2030年度までに再生可能エネルギー使用率100%を達成(利用可能なマーケットに限定)する。・従業員エンゲージメントスコアを向上させる。・従業員のダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DEI)の強化。2030年度までに女性管理職比率を30%とする。 なお、④の2030年度までに女性管理職比率を30%については、女性リーダー比率45%へと目標を変更しております。 以上の経営目標等に対し、2023年度の進捗は以下のとおりでした。① 事業変革による成長戦略の実践・オーガニック成長率:2021年度は連結13.1%、2022年度は連結3.2%、2023年度は△4.9%となりました。目標値の平均成長率4~5%を、3年間の平均で下回っております。・売上総利益に占める「カスタマートランスフォーメーション&テクノロジー」領域の構成比:2020年度は27.5%、2021年度は29.1%、2022年度は32.1%、2023年度は31.9%となり、中長期的に上昇しております。② 収益性と効率性の改善・調整後オペレーティング・マージン:オペレーティング・マージンは、2020年度は14.8%、2021年度は18.3%、2022年度は18.4%、2023年度は14.5%となりました。2023年度は、目標レンジを下回る結果となりました。③ 財務基盤の改善と、株主価値の持続的向上・Net debt/調整後EBITDA(期末):2021年度末及び2022年度末のNet Debt/調整後EBITDA倍率はマイナスとなっており、2023年度末のNet Debt/調整後EBITDA倍率は0.59倍であり、1.5倍を下回っております。・配当性向(基本的1株当たり調整後当期利益ベース):2020年度は28.5%、2021年度は30.0%、2022年度は32.0%、2023年度は35.0%となり漸進的に引き上げております。(なお、2023年度は、DACH(ドイツ・オーストリア・スイス)区域での複合的な事業変革とシステム・インテグレーションを背景とした一時的財務影響と、年内に計上した退職費用について、過去の一貫性に配慮し足し戻した「控除後基本的1株当たり調整後当期利益」ベースでの配当性向です。) ④ ESG経営の推進・2030年度までにCO2排出量削減と再生可能エネルギー100%(利用可能なマーケットに限定):詳細は、「サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) 気候変動へのアクション ③目標と実績」をご参照下さい。 ・従業員エンゲージメントスコアの向上(全社員対象の調査を毎年実施):2023年度のスコアは以下のとおりとなっております。・当社グループ全体 66(2021年度スコア68、2022年度スコア68)・国内 60(2021年度スコア63、2022年度スコア60)・海外 69(2021年度スコア70、2022年度スコア71) ・従業員のダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン(DEI)の強化。2030年度までの女性リーダー比率向上:2023年12月末時点における当社グループにおける女性リーダーの比率は、当社グループ全体で32.4%であります。 <財政状態の状況について>当期末は、前期末と比べ、主に「のれん」が増加したものの、「現金及び現金同等物」が減少したことなどにより、資産合計で1,070億25百万円減少し、3兆6,344億1百万円となりました。一方、負債については、主に「社債及び借入金」が減少したことなどにより、負債合計で644億53百万円減少し、2兆7,216億46百万円となりました。また、資本については、主に配当金の支払いなどにより「利益剰余金」が減少したことなどから、資本合計は425億72百万円減少し、9,127億55百万円となりました。 なお、前連結会計年度及び当連結会計年度において、主に、ロシア事業に関する資産及び負債を、「売却目的で保有する非流動資産」及び「売却目的で保有する非流動資産に直接関連する負債」に分類しております。詳細は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 13.売却目的で保有する非流動資産」をご参照ください。 中期経営計画において、健全かつ柔軟なバランスシートを維持することは重要な課題であり、当社グループは、今後の経営方針として、Net debt/調整後EBITDA(期末)の上限を1.5倍とし、中期的な目線を1.0~1.5倍 (IFRS第16号の適用影響を控除したベース)としていく方針であります。 (2) キャッシュ・フローの状況当期末の現金及び現金同等物(以下「資金」)は、3,906億78百万円(前期末6,037億40百万円)となりました。主に財務活動による支出などにより、前期末に比べ2,130億61百万円の減少となりました。 営業活動によるキャッシュ・フロー 営業活動の結果により得た資金は、前期に比べ56億28百万円減少し、752億67百万円となりました。主に税引前利益が減少したことや、運転資本が増加したことなどによるものであります。 投資活動によるキャッシュ・フロー 投資活動の結果支出した資金は、前期に比べ1,219億50百万円増加し、1,462億97百万円となりました。主に子会社の取得による支出が増加したことによるものであります。 財務活動によるキャッシュ・フロー 財務活動の結果支出した資金は、前期に比べ345億11百万円減少し、1,536億81百万円となりました。主に長期借入金の返済による支出が増加した一方で、短期借入金の純増減額の増加、長期借入れによる収入の増加、自己株式取得による支出の減少などによるものであります。 (生産、受注及び販売の状況)販売実績当連結会計年度におけるセグメントの販売実績(収益)は次のとおりであります。 セグメントの名称収益(百万円)前期比(%)日本546,501103.3Americas350,455108.0EMEA268,880102.8APAC115,142100.5全社23,574141.9計1,304,552104.7  (注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。 (経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては「(経営成績等の状況の概要) (1) 財政状態及び経営成績の状況」に記載したとおりであります。 (2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報① 資本政策・財務戦略の基本的な考え方当社グループは、2021年2月に発表した中期経営計画期間において、経営の安定性、財務の健全性に留意しつつ、企業活動のデジタル化の進展などがもたらす社会の変化と事業機会を積極的にとらえ、広く社会課題の解決に資するとともに、さらなる企業価値、株主価値の向上を目指してまいります。財務の健全性については、純有利子負債の調整後EBITDAに対する倍率の上限(期末)を1.5倍とし、中期的な目線を1.0~1.5倍(いずれもIFRS第16号の適用影響を控除したベース)とすることで、高い信用格付の維持を目指してまいります。また、内部資金、金融機関からの借入、社債、コマーシャル・ペーパー、債権流動化、又はコミットメントライン等により、十分な手元流動性を確保することとしております。さらに、2023年度においては、急速な外部環境変化等に万全を期すため、引き続き金融機関との間で一時的に追加の銀行融資枠を設定しております。これらにより、急激な事業環境の変化等に対するリスク耐性が高い状態を維持できるよう努めてまいります。M&A・設備投資等の成長投資に関しては、経営の安定性・財務の健全性に留意しながら、グループ全社にわたる成長に向けた投資を推進してまいります。株主還元に関しては、これらの活動を通して得られる利益の適切な配分と本源的な企業価値の向上を通じて株主の皆様への利益還元に努めることとし、配当方針としては、基本的1株当たり調整後当期利益に対する配当性向が2024年度までに35%となるよう漸進的に高めてまいります。なお、2023年度に1年前倒しで同配当性向35%を達成いたしました。 ② 資金需要の主な内容当社グループの運転資金需要のうち主なものは、広告作業実施のための媒体料金及び制作費の支払等並びに人件費をはじめとする販売費及び一般管理費であります。また、2021年2月に発表した中期経営計画期間においては、新しいテクノロジーやソリューション開発、イノベーションへの投資や高成長領域であるカスタマートランスフォーメーション&テクノロジーへのM&A・投資に係る資金需要が見込まれます。 ③ キャッシュ・フローの状況当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては「(経営成績等の状況の概要) (2) キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりであります。 ④ 資金調達及び流動性の状況 当社グループは、内部資金、金融機関からの借入、社債、コマーシャル・ペーパー、又は債権流動化等の多様な手段の中から、その時々の市場環境や長期資金の年度別償還額も考慮した上で、機動的に有利な手段を選択し、資金調達を行っております。なお、長期資金については、原則として当社で一元的に資金調達しております。また、緊急時の流動性を確保するため、当社はシンジケーション方式による極度額500億円のコミットメントラインを、Dentsu International Limited(以下「DI社」といいます。)は5億英ポンド(約900億円)のコミットメントラインを設定しております。また、急速な外部環境変化等に万全を期すため、引き続き金融機関との間で一時的に追加の銀行融資枠を設定しております。さらに、グループ内の資金調達の一元化・資金効率の向上・流動性の確保の観点から、資金余剰状態にある子会社から当社が資金を借り入れ、資金需要が発生している子会社に貸出を行うキャッシュ・マネジメント・システムを導入しております。 当社グループは、安定的な外部資金調達能力の維持向上を重要な経営課題と認識しており、格付機関である株式会社格付投資情報センター(R&I)から長期格付AA-、短期格付a-1+を取得しております。また、主要な内外金融機関との間で長期間に亘って築き上げてきた幅広く良好な関係に基づき、当社グループの事業の維持拡大、必要な運転資金の確保、成長投資資金の調達に関しては問題なく実施可能であると認識しております。 (3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社の連結財務諸表は、国際会計基準審議会により公表されたIFRSに基づき作成されております。また、当社経営陣は、連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務等オフバランス取引の開示、報告期間における財政状態及び経営成績について影響を与える見積りを行わなければなりません。経営陣は、例えば、投資、企業結合、退職金、法人税等、偶発事象や訴訟等に関する見通しや判断に対して、継続して評価を行っております。経営陣は、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行い、その結果は、資産・負債の簿価、収益・費用の報告数字についての根拠となります。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。当社の連結財務諸表で認識する金額に重要な影響を与える見積り及び仮定は、以下のとおりであります。 ① 有形固定資産、のれん及び無形資産の減損当社グループは決算日において、棚卸資産及び繰延税金資産を除く非金融資産が減損している可能性を示す兆候があるか否かを判定し、減損の兆候が存在する場合には当該資産の回収可能価額に基づき減損テストを実施しております。のれんは償却を行わず、減損の兆候の有無にかかわらず年に一度、又は減損の兆候がある場合はその都度、減損テストを実施しております。資産の回収可能価額は資産又は資金生成単位の処分コスト控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い方の金額としており、資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には、当該資産は回収可能価額まで減額し、減損損失を認識しております。使用価値の算定に際しては、資産の耐用年数や将来キャッシュ・フロー、成長率、割引率等について一定の仮定を用いております。これらの仮定は過去の実績や当社経営陣により承認された事業計画等に基づく最善の見積りと判断により決定しておりますが、事業戦略の変更や市場環境の変化等により影響を受ける可能性があり、仮定の変更が必要となった場合、認識される減損損失の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。のれんの減損テストにおける主要な仮定や感応度分析等の詳細については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表注記 15.のれん及び無形資産 (3)のれんの減損テスト」をご参照ください。 ② 使用権資産当社グループは、借手としてのリースについて、リースの開始日において、使用権資産及びリース債務を認識しております。使用権資産は開始日において取得原価で測定しております。開始日後においては、原価モデルを適用して、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除して測定しております。 当社グループは構造改革の一環として不動産の適正化を行っており、一部の不動産リース契約について、サブリースの活用を見込んでおります。当該リース契約に関する使用権資産の残高は、基本サブリース料、リース期間におけるリース支払料の想定増加率、リースインセンティブ及びサブリース開始時期を含む空室期間に仮定をおいて算定しております。市場環境の変化や予測不能な事象の発生等により上記仮定の見直しが必要となった場合には、翌連結会計年度において使用権資産に係る追加の減損又は減損の戻入れが発生する可能性があります。 ③ 金融商品(条件付対価及び株式買取債務を含む)の評価当社グループは有価証券やデリバティブ等の金融資産を保有しており、当該金融資産の評価に当たり一定の仮定を用いております。公正価値は、市場価格の他、マーケット・アプローチやインカムアプローチ等の算出手順に基づき決定しております。具体的には、株式及びその他の金融資産のうち活発な市場が存在する銘柄の公正価値は市場価格に基づいて算定し、活発な市場が存在しない銘柄の公正価値は観察可能な市場データを用いて算定した金額、観察不能なインプットを用いて主としてインカムアプローチやマーケット・アプローチで算定した金額で評価しております。企業結合の結果生じる条件付対価及び株式買取債務の公正価値等は、観察不能なインプットを用いて割引キャッシュ・フロー法で算定した価額で評価しております。当社経営陣は金融商品の公正価値等の評価は合理的であると判断しておりますが、予測不能な前提条件の変化等により見積りの変更が必要となった場合、認識される公正価値等の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。 ④ 確定給付制度債務の評価確定給付制度債務及び退職給付費用は、年金数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、死亡率等が含まれます。当社経営陣はこれらの前提条件は合理的であると判断しておりますが、実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、認識される費用及び計上される債務に重要な影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 引当金当社グループは、過去の事象の結果として現在の法的又は推定的債務を有しており、債務の決済を要求される可能性が高く、かつ当該債務の金額について信頼性のある見積りが可能である場合に引当金を認識しております。貨幣の時間価値の影響が重要である場合、引当金は当該負債に特有のリスクを反映させた割引率を用いた現在価値により測定しております。これらの引当金は、決算日における不確実性を考慮した最善の見積りにより算定しておりますが、予測不能な事象の発生や状況の変化等により影響を受ける可能性があり、実際の結果が見積りと異なる場合、計上される債務の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 繰延税金資産の回収可能性繰延税金資産は、税務上の繰越欠損金、繰越税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来の課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しております。繰延税金資産は毎決算日に見直し、税務便益の実現が見込めないと判断される部分について減額しております。当社グループは、将来の課税所得及び慎重かつ実現性の高い継続的なタックス・プランニングの検討に基づき繰延税金資産を計上しており、回収可能性の評価に当たり行っている見積りは合理的であると判断しておりますが、見積りは予測不能な事象の発生や状況の変化等により影響を受ける可能性があり、実際の結果が見積りと異なる場合、認識される費用及び計上される資産に重要な影響を及ぼす可能性があります。

※本記事は「株式会社電通グループ」の令和5年12期 有価証券報告書を参考に作成しています。

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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