| 会社名 | デンカ株式会社 |
| 業種 | 化学 |
| 従業員数 | 連6542名 単4369名 |
| 従業員平均年齢 | 40.6歳 |
| 従業員平均勤続年数 | 16年 |
| 平均年収 | 7515305円 |
| 1株当たりの純資産(連結) | 3436.95円 |
| 1株当たりの純利益(単体) | -142.73円 |
| 決算時期 | 3月 |
| 配当金 | 100円 |
| 配当性向 | 0% |
| 株価収益率(PER) | 16.9倍 |
| 自己資本利益率(ROE)(連結) | -4.1% |
| 営業活動によるCF | 186億円 |
| 投資活動によるCF | ▲595億円 |
| 財務活動によるCF | 401億円 |
| 研究開発費※1 | 21.97億円 |
| 設備投資額※1 | 60.04億円 |
| 販売費および一般管理費※1 | 611.1億円 |
| 株主資本比率※2 | 36.7% |
| 有利子負債残高(連結)※3 | 2026.79億円 |
経営方針
| 1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(経営方針、経営環境及び対処すべき課題)当社グループは、2023年度より「事業価値創造」「人財価値創造」「経営価値創造」の3つの成長戦略により企業価値を向上させる、経営計画「Mission 2030」を推進してまいりました。しかしながら、世界情勢のうねりの中で、計画策定時と比べ当社を取り巻く事業環境が想定以上に変化したこともあり、業績が低迷しております。2024年度は、この状況を打開すべく3つの施策に注力いたしました。 1つ目は、「事業価値創造」におけるポートフォリオ改革の着実な実行です。最優先事項のクロロプレンゴム事業の抜本的対策については、米国クロロプレン製造子会社デンカパフォーマンスエラストマー社(以下DPEという)における関連固定資産の減損損失を計上するとともに、同社はクロロプレンゴム製造設備を暫定停止することとなりました。DPEは、コストの上昇、生産数量の減少、要員面の問題や世界的な需要後退の影響により、当面の収益性の改善は困難な状況にあります。コスト面については、2015年にDuPont社から当該製造設備を取得した時点では必要と想定されなかった、クロロプレンモノマーの排出削減設備の導入・運用に係る多額の費用が発生していることに加え、近年の米国内におけるインフレにより主要原材料費や修繕費の上昇が加速し、コストが増大状態にあります。生産面では、排出削減対策に伴う操業上の制約やサプライチェーンの寸断、自然災害に伴う計画外停止等による生産数量の減少のほか、要員の維持・確保の困難化といった問題にも直面しております。さらに、世界経済環境の変化によるクロロプレンゴムの需要後退の影響も相まって、当社グループの収益を大きく圧迫しております。このような状況に鑑み、当社はDPEの関連固定資産の減損損失を計上するとともに、同社はクロロプレンゴム製造設備を暫定的に停止することとなりました。今後、同社では、同事業について事業譲渡や資産の譲渡の可能性を含め、あらゆる選択肢を検討することとしており、クロロプレンゴム事業の抜本的対策を着実に進めてまいります。なお、現時点で製造設備の恒久停止は決定しておりませんが、DPE生産品の需要家に対しては、現有在庫に加え当社の青海工場生産品の供給を開始いたしました。また、大船工場の稼働停止を決定いたしました。同工場の主力製品である合繊かつら用原糸「ToyokalonR」はシンガポール子会社に事業を集約し、構造改革によるコストの削減と新製品へのシフトで収益の向上を図り、高収益事業への転換を進めてまいります。同じく大船工場で生産しております「カラリヤンRテープ」は、販売数量が減少しており、今後の事業の維持・成長が見込まれず、同テープの原料の一部である「カラリヤンR Y フィルム」も単独での事業継続は困難との結論に至り、事業撤退する予定です。なお、工場用地については、グループ内での有効な活用方法がないことから、譲渡することで資本効率の改善を図ることといたしました。事業の縮小や撤退等を推進する一方で、注力分野である「ICT & Energy」分野の新製品として、次世代高速通信において、電気信号の伝送損失を低減させるために素材に要求される電気特性を備えた低誘電有機絶縁樹脂「スネクトンR」を上市いたしました。各種高速通信機器の銅張積層板向けでの販売を開始したほか、フレキシブル銅張積層板や各種層間絶縁材用途での採用検討が進んでおり、PC、スマートフォン、データセンター、携帯電話基地局、ウェアラブル端末、自動車など幅広い分野への展開が期待されており、新たな事業の柱に成長させていきます。また、当社は、世界各国の最先端の技術を持つスタートアップ企業への出資や提携による新規事業創出を推進しております。2024年度はウェアラブル電子聴診器に関するスタートアップ企業と高性能光学フィルムの技術を保有するスタートアップ企業へ出資しており、既存事業の改革のほか、新規事業の開発にも注力いたしました。 2つ目は、投資計画の見直しです。経営計画「Mission2030」では、当初8カ年累計で戦略投資3,600億円を含む合計5,400億円の投資を計画しておりましたが、これを見直し投資支出1,000億円の削減を目指すことといたしました。投資案件の優先順位明確化や投資計画の更なる厳選、不急案件のスケジュール見直し等、投資額の削減を図る一方で、当社の成長に不可欠な重要投資については、案件を厳選することで、経営資源を集中させております。2024年度は、注力分野のうち「ICT & Energy」分野では、過年度に投資を決定している次世代高機能球状フィラーや窒化ケイ素の生産能力増強工事、タイの連結子会社でのアセチレンブラック生産プラント建設工事等に加え、新製品である低誘電有機絶縁材料「スネクトンR」の製造プラント建設工事を決定し設備投資を実施いたしました。また、「Healthcare」分野では、抗原迅速診断キットおよび検査試薬の生産能力増強工事等の設備投資を実施しておりますが、これらの投資は、当社の成長に必要不可欠であり、拡大する市場をしっかりと捉えた事業展開を図ってまいります。 3つ目は、2024年4月からスタートした全社をあげたコストダウンプロジェクト/ベストプラクティスプロジェクトです。これまで、コストダウンは社内の知見で実施してきましたが、このプロジェクトでは「コストベンチマーク」や「最適なコストダウン手法」など社外の知見を全面的に活用し、経営トップ直轄体制で徹底的なコストダウン活動を強力に推進いたしました。2024年度は原価低減や販売経費低減、投資の適正化等により、当初目標の10億円に対して、約13億円のコストダウンを実現しております。最終目標である2026年度の100億円のコストダウン達成へ向け、引き続き、やり抜く力を発揮して実績化につなげます。 以上の通り、2024年度は、経営計画策定時の前提条件が変動し業績が低迷していることへの打開策として、3つの施策に注力いたしましたが、DPEの固定資産の減損と製造設備の暫定停止や大船工場の稼働停止等、構造改革を推し進めた結果、特別損失を計上し大幅な赤字決算を余儀なくされました。今後、前提条件の変動をふまえて経営計画の見直しを行うこととしておりますが、基本的な方針や長期的な戦略等に変更はありません。諸施策を確実に成果につなげるべく、当社のコアバリューである「挑戦」を促進するための風土醸成や組織作りを進め、スピード感をもって取り組み業績を成長軌道に回帰させてまいります。 当社は、1915年にカーバイドおよび石灰窒素の製造販売を目的に設立され、本年5月に110周年を迎えました。会社設立以降、先人たちが、モノづくりを通じて社会に貢献することをモットーに、果敢に新しい事業に挑戦し続け、現在では、電子材料から合成ゴム、合成樹脂、そしてワクチンや検査試薬といった医療分野まで幅広い事業を展開しております。この様に、環境変化にしなやかに対応し、社会に有益なものを生み出して貢献することは110年続く当社グループの歴史そのものであり、DNAであると考えております。そして110年後の現在、当社は、先人から受け継いだ「挑戦」「誠実」「共感」の3つのコアバリューを土台に、「化学の力で世界をよりよくするスペシャリストになる。」ことを道しるべであるパーパスと位置付けました。そして、「2030年までに、人財・経営価値を高めスペシャリティ・メガトレンド・サステナビリティの3要素をそなえた事業価値創造に集中する。」というミッションを加え、ビジョンといたしました。今一度、「安全」「品質」「環境」は企業活動を継続するための絶対条件であることを肝に銘じながら、「One Denka」で臨むことで、業績を早期に成長軌道に回帰させ、ビジョンの実現に挑戦してまいります。 ◇新たなビジョンと新経営計画「Mission 2030」 ~OUR “NEW” VISION & Mission 2030~ 2023年4月、デンカグループは新たな挑戦をはじめました。これまで指針としてきた「The Denka Value」(企業理念)、Denkaの使命、Denkaの行動指針は、従業員の声をふまえ、より未来のデンカを見据えた新たな「ビジョン」へと進化。同時に、2023~2030年度の8ヵ年を対象とする新経営計画「Mission 2030」が始動しました。 デンカの新たなビジョン新たなビジョンは、デンカのDNAであるコアバリューを土台とし、デンカを導く北極星となるパーパス、2030年に成し遂げたい務めとしてのミッションを重ねた構成とすることで、文字の域を超え、全従業員が自分ごと化できる新しいデンカの未来像を表しました。 コアバリュー「コアバリュー」とは、デンカのDNA。さまざまな判断をする上での拠り所にもなります。「挑戦」「誠実」「共感」は、デンカが脈々と受け継いできた姿勢を改めて言語化したものです。これからも一層大切にしていくべき信条です。 パーパス「パーパス」とは、デンカを導く北極星。デンカが存在する根本的理由です。デンカは世界でどのような存在でありたいのか、デンカだからこそできることは何かを突き詰めて考え、「化学の力」「世界をよりよくする」「スペシャリスト」といった言葉一つひとつを選び出しました。 ミッション「ミッション」は、デンカの務め。大胆で説得力のある野心的目標です。「コアバリュー」や「パーパス」が普遍性を持つものであるのに対して「ミッション」は明確なゴールと期限があり、例えるならば“登るべき山”です。2030年に、その頂上にたどり着くことを目指し、具体的な戦略を経営計画「Mission 2030」に落とし込んでいます。 コーポレートメッセージこのデンカのビジョンを社内外に分かりやすく伝達する言葉としてコーポレートメッセージ「世界に誇れる、化学を。」を創りました。世界に誇れる唯一無二の存在(=スペシャリスト)として、化学の力で世界をよりよくすることを目指すという想いを込めました。 (ご参考)経営計画「Mission 2030」新たなビジョンの実現に向けて、2030年をゴールに取り組む経営計画が「Mission 2030」です。事業価値創造、人財価値創造、経営価値創造の3つを成長戦略として、企業価値向上に取り組みます。事業価値創造では、デンカの全ての事業を、スペシャリティ・メガトレンド・サステナビリティの3要素をそなえた「3つ星事業」とすることを目指します。 2030年の主なKPI目標事業価値創造 人財価値創造 経営価値創造売上高6,000億円以上 平均研修金額(21年度比)2倍 プロセス革新投資23-30年度 500億円3つ星事業100% 営業利益1,000億円以上 人権リスク特定と対応プロセス確立 営業利益率15%以上 ROE15%以上 女性/外国籍/経験者採用者の管理職比率50% 労働災害度数率(21年度 1.1)0.2以下ROIC10%以上 投資決裁額23-30年度 5,400億円 高リスクサプライヤー数0件総還元性向50%水準 CO2排出量 (13年度比)60%削減 従業員エンゲージメント可視化と継続的な改善 重大品質事故発生件数0件再生可能エネルギー 発電最大出力 (21年度 133MW)150MW 重大コンプライアンス違反件数0件 3つの成長戦略 <事業価値創造>事業価値創造では、想定される未来世界とメガトレンドから導き出された「3つの注力分野」である、ICT & Energy(アイシーティー・アンド・エナジー)、Healthcare(ヘルスケア)、Sustainable Living(サステナブル・リビング)に重点を置きます。そして、2030年までにスペシャリティ・メガトレンド・サステナビリティの3要素をそなえた「3つ星事業」を100%にしていきます。また、「3つ星事業」への転換が困難な事業については、売却・撤退を含め、ポートフォリオ変革を進めていきます。そのために、8年間合計で戦略投資3,600億円、研究開発費1,800億円をかけて、2030年に営業利益1,000億円以上を目指します。並行して、地球への貢献と、企業のさらなる社会的価値向上を目指し、8年間合計で850億円の環境投資を行い、サステナビリティを追求します。 3つの注力分野ICT & Energy 2030年営業利益目標 450億円 メガトレンド再生可能エネルギーモビリティー大変革半導体やデバイス需要拡大製品次世代高速通信xEV・再生可能エネルギー 球状シリカ、球状アルミナ、キャリアテープ用シート・トップカバーテープ、放熱材料、エミッター、低誘電有機絶縁材料アセチレンブラック、窒化ケイ素、セラミックス基板、球状シリカ、球状アルミナ 方針最先端素材を供給し、よりよい社会を実現 Healthcare 2030年営業利益目標 400億円 メガトレンド医療ニーズ高度化革新的な医療技術製品予防診断治療 インフルエンザワクチン自動分析装置用試薬抗原検査キットがん治療用ウイルスG47Δ製剤 方針予防・診断・治療の領域で世界の人々のクオリティ・オブ・ライフ向上 Sustainable Living 2030年営業利益目標 150億円 メガトレンド食料・水資源枯渇インフラ需要増大製品食糧インフラ生活用品 バイオスティミュラント特殊混和材LEAF 高機能スチレン系樹脂サステナブルプラスチック「PLATIECOR」 方針安全・安心・快適な日々の暮らしの実現 サステナビリティの追求方針カーボンニュートラルの実現施策・低炭素アセチレンチェーンの確立を含むポートフォリオ変革実施・CO2分離・回収・利用技術の開発と実装化・水力発電増強、太陽光発電所新設によるグリーンエネルギー拡大サステナブルな都市と暮らしの充実・スチレン系包装材料のサーキュラーエコノミー推進・CO2コンクリート固定化技術の確立環境の保全・環境負荷の最小化・廃棄物ゼロエミッション継続・自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)に基づく生物多様性・水資源保全等の自然関連リスクへの対応 <人財価値創造>社員一人ひとりが自己実現と成長を実感できる企業を目指し、人財投資と制度改革を実現します。方針戦略人財育成体制の強化将来の経営層育成と、全社一貫の教育体系の構築および自ら学ぶ文化の醸成ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進多様な考え方を持った人間が活躍できる職場環境・制度・文化の醸成健康経営と働き方改革「明日も来たくなる職場」のための制度改革の推進 <経営価値創造>ESG経営の観点から、企業存続の前提となる経営基盤の強化に取り組みます。方針戦略プロセス革新ビジネスモデル・組織の変革と生産性向上、社内デジタル人財の育成人権の尊重国連ビジネスと人権に関する指導原則および国連グローバルコンパクトに基づく、人権方針制定と人権尊重の徹底安全最優先グループ全体で本質安全化、ルールの整備と安全な職場環境づくりの推進サプライチェーン・ マネジメントサプライチェーン一体となった持続的な付加価値向上製品安全信頼される製品とサービスを提供し、社会と環境の持続的成長に貢献コーポレートガバナンス高度化 高い倫理観に基づく透明性・公平性を確保した、より高度で実効性のあるコーポレートガバナンス体制の構築 財務戦略 ROEとROICの改善下記施策を通じて、ROE(株主資本利益率)とROIC(投下資本利益率)を改善させ、企業価値向上を図ります。 18-22年度平均30年度目標施策ROE8.4%15%以上・3つの価値創造による収益性と効率性向上・ROIC評価による事業の選択と集中・最適資本構成の追求(財務レバレッジ活用)ROIC7.0%10%以上 キャッシュアロケーション~総還元性向50%水準を維持~営業キャッシュフローと負債を有効に活用して、8年間合計で7,400億円のキャッシュを生み出し、それを投資に5,700億円(注)、株主還元に1,700億円(総還元性向50%水準)配分します。 (億円) (億円)キャッシュイン累計(年平均) キャッシュアウト累計(年平均) Denka Value-Up5ヵ年 Mission 20308ヵ年 Denka Value-Up5ヵ年Mission 20308ヵ年営業CF1,717(343)6,500(813) 投資CF戦略 700 (140)3,600 (450)資産売却121100 一般1,093 (219)2,100 (263)借入554800 小計1,793 (359)5,700 (713)合計2,392(478)7,400 (925) 株主還元 (総還元性向50%水準)599 (120)1,700 (213) 合計2,392 (478)7,400 (925) (注)2024年5月10日に公表した「2024年3月期 決算説明会資料」に記載のとおり、投資案件の優先順位明確化や、投資計画の更なる厳選、不急案件のスケジュール見直しなどにより、1,000億円削減し、4,700億円とすることを目指します。 ※文中の将来に関する事項は、計画発表時において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。 |
経営者による財政状態の説明
| 4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況当期のわが国経済は、個人消費や設備投資が持ち直すなど、景気は緩やかに回復しました。世界経済は、全体としては持ち直しの動きがみられましたが、中国経済の減速や欧米での物価高など、先行き不透明な状況が続きました。さらに、足もとでは米国の関税政策の影響や為替の急激な変動など景気減速の懸念が高まっています。このような状況下、当社グループは、2023年度にスタートした8カ年の経営計画「Mission2030」に掲げる「事業価値創造」、「人財価値創造」、「経営価値創造」の3つの成長戦略にもとづく施策を推進し、業容の拡大と収益の確保に注力いたしました。この結果、当期の業績は、原燃料価格の上昇に応じた販売価格改定および円安による手取り増などにより、売上高は4,002億51百万円と前年同期に比べ109億87百万円(2.8%)の増収となりました。収益面では、販売数量が減少したほか、海外子会社の為替換算影響などによる固定費の増加があったものの、円安による交易条件の改善があり、営業利益は144億13百万円(前年同期比10億36百万円増、7.7%増益)となり、経常利益は76億23百万円(前年同期比21億48百万円増、39.3%増益)となりました。親会社株主に帰属する当期純損益は、特別損失として大船工場の稼働停止に伴う事業整理損や米国の子会社デンカパフォーマンスエラストマー社で固定資産減損損失を計上したことから、123億円の損失(前年同期は119億47百万円の利益)となりました。 <電子・先端プロダクツ部門>球状アルミナや球状シリカは、パソコンやスマートフォン用半導体向けの需要は緩やかな回復にとどまりましたが、生成AI用半導体向けの需要が拡大し、全体で増収となりました。高機能フィルムも電子部品向けの需要が緩やかに回復し増収となりました。また、アセチレンブラックの販売は、xEV向けは前年を下回りましたが、高圧ケーブル向けは前年を上回り、全体で増収となりました。このほか、LED向けサイアロン蛍光体“アロンブライト”は販売数量が増加し増収となり、高信頼性放熱プレート“アルシンク”も、電鉄向けの需要回復や、再生可能エネルギーの直流送電用途での需要拡大により増収となりました。一方、セラミックス回路基板は販売数量が前年を大幅に下回り減収となりました。この結果、当部門の売上高は922億3百万円(前年同期比43億64百万円(5.0%)増収)となり、営業利益は91億68百万円と前年同期に比べ1億46百万円(1.6%)の増益となりました。 <ライフイノベーション部門>インフルエンザワクチンの出荷は前年並みとなりました。一方、POCT検査試薬は、新型コロナとインフルエンザの同時診断キットは、検査需要は旺盛に推移しましたが生産能力増強工事に伴う設備の一時停止により十分な供給量が確保できなかったほか、年度末には流行が収束し、販売数量が前年を下回り減収となりました。このほか、その他の検査試薬の販売は前年並みとなりました。この結果、当部門の売上高は432億62百万円(前年同期比38億16百万円(8.1%)減収)となり、営業利益は96億2百万円と前年同期に比べ21億31百万円(18.2%)の減益となりました。 <エラストマー・インフラソリューション部門>クロロプレンゴムの需要は低調に推移しており、販売数量は前年並みとなりました。また、コスト面では、米国の子会社デンカパフォーマンスエラストマー社で物価上昇による固定費の増加や原材料価格の上昇があり、収支を圧迫しました。このほか、農業・土木用途向けのコルゲート管やセメントの販売も前年並みとなりましたが、特殊混和材の販売は工事遅れなどの影響により前年を下回りました。この結果、当部門の売上高は1,116億73百万円(前年同期比3億18百万円(0.3%)増収)となり、79億62百万円の営業損失(前年同期は営業損失92億95百万円)となりました。 <ポリマーソリューション部門>当部門は各製品で原燃料価格の上昇に応じた販売価格の改定を進めました。数量面では、デンカシンガポール社のMS樹脂は前年並みとなり、AS・ABS樹脂や透明樹脂は前年を上回りました。このほか、食品包材用シートおよびその加工品や合繊かつら用原糸“トヨカロン”は、需要低迷が続いており前年並みとなりました。この結果、当部門の売上高は1,353億65百万円(前年同期比111億25百万円(9.0%)増収)となり、営業利益は11億54百万円(前年同期は営業損失1億2百万円)となりました。 <その他部門>YKアクロス株式会社等の商社は、取扱高が概ね前年並みとなりました。この結果、当部門の売上高は177億46百万円(前年同期比10億4百万円(5.4%)減収)となり、営業利益は23億95百万円と前年同期に比べ4億98百万円(26.3%)の増益となりました。 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ392億79百万円増加の6,555億24百万円となりました。流動資産は、棚卸資産の増加などにより前連結会計年度末に比べ50億7百万円増加の2,704億55百万円となりました。固定資産は有形固定資産の増加などにより、前連結会計年度末に比べ342億72百万円増加の3,850億69百万円となりました。負債は、有利子負債の増加などにより、前連結会計年度末に比べ478億98百万円増加の3,472億28百万円となりました。非支配株主持分を含めた純資産は前連結会計年度末に比べ86億19百万円減少の3,082億96百万円となりました。以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の49.9%から45.2%となり、1株当たり純資産は3,568円69銭から3,436円95銭となりました。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、370億2百万円となり、前連結会計年度末と比べ16億16百万円の増加となりました。なお、当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が減少したことなどにより、186億20百万円の収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資の支払いなどにより、595億86百万円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の増加などにより、401億18百万円の収入となりました。 なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりです。 2021年3月期2022年3月期2023年3月期2024年3月期2025年3月期自己資本比率(%)50.851.750.149.945.2時価ベースの自己資本比率(%)72.552.639.832.828.1債務償還年数(年)3.43.219.04.811.7インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)49.845.48.121.78.9 自己資本比率………………………………自己資本/総資産時価ベースの自己資本比率………………株式時価総額/総資産債務償還年数………………………………有利子負債/営業キャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ……営業キャッシュ・フロー/利息支払額(注) 1.いずれの指標も連結ベースの財務数値により算出しております。2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。3.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。 ③ 生産、受注及び販売の実績当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品がほとんどであるため、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことは行っておりません。このため「生産、受注及び販売の実績」については、「①財政状態及び経営成績の状況」におけるセグメントの経営成績に関連付けて記載しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容2024年度のわが国経済は、個人消費や設備投資が持ち直すなど、景気は緩やかに回復しました。世界経済は、全体としては持ち直しの動きがみられましたが、中国経済の減速や欧米での物価高など、先行き不透明な状況が続きました。さらに、足もとでは米国の関税政策の影響や為替の急激な変動など景気減速の懸念が高まっています。このような状況下、当社グループは、2023年度にスタートした8カ年の経営計画「Mission2030」に掲げる「事業価値創造」、「人財価値創造」、「経営価値創造」の3つの成長戦略にもとづく施策を推進し、業容の拡大と収益の確保に注力いたしました。この結果、当期の業績は、原燃料価格の上昇に応じた販売価格改定および円安による手取り増などにより、売上高は増収となりました。収益面では、販売数量が減少したほか、海外子会社の為替換算影響などによる固定費の増加があったものの、円安による交易条件の改善があり、営業利益、経常利益は増益となりました。親会社株主に帰属する当期純損益は、特別損失として大船工場の稼働停止に伴う事業整理損や米国の子会社デンカパフォーマンスエラストマー社(以下、DPE)で固定資産減損損失を計上したことから、当期純損失と大きく減益となりました。 2024年度は、経営計画「Mission 2030」の策定時の前提条件が変動し、業績が低迷していることを打開すべく、成長軌道回帰への基盤づくりに注力いたしました。その中の最優先事項が、「事業価値創造」のポートフォリオ改革における、クロロプレンゴム事業の抜本的対策です。DPEは、コストの上昇、生産数量の減少、要員面の問題や世界的なクロロプレンゴムの需要後退の影響により、当社グループの収益を大きく圧迫しております。こうした状況に鑑み、当社はDPE関連固定資産の減損損失を計上するとともに、同社はクロロプレンゴム製造設備を暫定停止することといたしました。また、大船工場の稼働停止を決定しました。同工場の主力製品である合繊かつら用原糸「ToyokalonR」については、需要の構造変化や減少、さらに原料価格高騰や固定費の増加をふまえ、シンガポール子会社への事業集約等により高収益事業への転換を図ることといたしました。このほか、投資の厳選や、外部の知見を活用し徹底したコストダウンプロジェクトを展開しましたが、2024年度はDPEや大船工場に関する構造改革を推し進めた結果、特別損失を計上し、大幅な赤字決算を余儀なくされました。今後、成長軌道へ回帰するための基盤をさらに強固なものとするべく、クロロプレンゴム事業については、DPEの事業譲渡や資産の譲渡の可能性を含め、あらゆる選択肢を検討し、抜本的対策を着実に進めるとともに、投資の厳選とコストダウンプロジェクトの実績化に引き続き注力いたします。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループの当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローは186億20百万円の収入となりましたが、経営計画「Mission2030」にもとづく積極的な投資による支出をおこない、株主還元方針にもとづく配当を実施した結果、当連結会計年度末のネット有利子負債残高は前連結会計年度末比で416億95百万円増加し、1,806億77百万円となりました。なお、自己資本比率は45.2%、ネットD/Eレシオは0.61倍となり、引き続き良好な財政状態を維持しているものと判断しております。 資本の財源及び資金の流動性については、当社グループでは将来の安定的な成長を持続するため、良好な財務バランスを維持することが重要と考えており、資金需要に見合った資金調達を行うことを基本的な方針としております。 当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金、設備投資資金等であり、必要資金の調達については、自己資金を主とし、運転資金の一部を短期借入金やコマーシャル・ペーパーによって、設備資金等の長期資金の一部を長期借入金や社債によって外部調達しております。 資金の流動性については、適正な水準の現預金を保持した上で、不測の事態に対応するため、取引金融機関と貸出コミットメント契約を締結することで流動性を確保しております。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、重要な会計方針と合理的と考えられる見積りに基づき、収益、費用、資産、負債の計上について判断しております。当社グループの連結財務諸表の作成においては、例えば一般債権に対する貸倒引当金の引当については主として過去の貸倒実績率を、繰延税金資産の計上については将来の税務計画を、退職給付債務については、昇給率、割引率などを使用して見積っておりますが、見積りにつきましては不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、主なものは以下のとおりであります。 (a) 固定資産当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローを見積り、その総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失として計上しております。また、年次の減損テストが必要な場合、資産グループの公正価値を算定し、その帳簿価額が公正価値を超過する場合には、公正価値まで減額を行います。将来キャッシュ・フローの見積りにあたっては、事業計画をもとに最新の事業環境に関する情報等を反映しているほか、必要に応じて外部専門家による評価を活用しております。減損損失の認識及び測定に当たっては、慎重に検討をおこなっておりますが、将来の予測不能な事業環境の著しい悪化等により見直しが必要となった場合、減損損失が発生する可能性があります。 (b) 繰延税金資産の回収可能性繰延税金資産の回収可能性は、収益力もしくはタックス・プランニングに基づく将来の課税所得の十分性により判断しており、課税所得の算定にあたっては、各納税主体の事業計画をもとに最新の事業環境に関する情報等を反映し見積っております。当該見積り及び当該仮定について、将来の予測不能な経営環境の著しい悪化等により見直しが必要となった場合、評価性引当額が変動し損益に影響を及ぼす可能性があります。 (c) 退職給付債務の算定当社グループでは、簡便法を採用している連結子会社を除き、確定給付制度の退職給付債務および関連する勤務費用について、数理計算上の仮定を用いて算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、昇給率、期待運用収益率等の計算基礎があり、これらの計算基礎については、例えば期待運用収益率であれば前提となる企業年金の運用方針などを、定期的かつ合理的な見直しをおこなっております。当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、退職給付債務および関連する勤務費用が変動する可能性があります。 |
※本記事は「デンカ株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)


コメント