会社名 | 株式会社大和証券グループ本社 |
業種 | 証券、商品先物取引業 |
従業員数 | 連14783名 単616名 |
従業員平均年齢 | 40.9歳 |
従業員平均勤続年数 | 13.7年 |
平均年収 | 16264750円 |
1株当たりの純資産 | 1158.82円 |
1株当たりの純利益(連結) | 109.53円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 56円 |
配当性向 | 113.7% |
株価収益率(PER) | 9.1倍 |
自己資本利益率(ROE)(連結) | 9.8% |
営業活動によるCF | ▲4540億円 |
投資活動によるCF | ▲3534億円 |
財務活動によるCF | 1990億円 |
研究開発費※1 | -円 |
設備投資額※1 | 381億円 |
販売費および一般管理費※1 | 793.98億円 |
株主資本比率※2 | 29.1% |
有利子負債残高(連結)※3 | 49929.53億円 |
経営方針
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 2024年度、日本経済は長期にわたるデフレからの脱却が進み、「金利のある世界」への歴史的な転換点を迎えました。株式市場では、新NISAの導入を契機に「貯蓄から投資へ」の流れが加速し、上場企業による資本効率向上を目指したコーポレートアクションが活発化したことで、7月には日経平均株価は史上最高値4万2,224円を記録しました。また、金融政策では、二度の利上げが実施され、政策金利は17年ぶりの水準にまで引き上げられました。 一方、国内外において既存政権の揺らぎや体制変更が生じ、各国の政策の先行きに不透明感が増すとともに、ロシアによるウクライナへの侵攻や中東情勢の緊迫化などを契機とした地政学的緊張は引き続きリスクとなっています。当社グループでは、2024年度より3ヵ年のグループ中期経営計画~“Passion for the Best”2026~を始動し、新たな一歩を踏み出しました。グループ経営基本方針として「お客様の資産価値最大化」を掲げ、グループそれぞれの事業領域において、お客様のニーズや課題を深く理解し、お客様の状況や経済環境に応じた最善・最適で質の高いソリューションを提供することで、中長期的なお客様の資産価値及び企業価値の最大化に貢献してまいります。 中期経営計画の初年度である2024年度は、ウェルスマネジメントビジネスの強化とアセットマネジメントビジネスの高度化を進展させるとともに、顧客基盤の拡充とソリューション機能強化・商品拡充を目指したインオーガニック戦略を実行し、「お客様の資産価値最大化」に向けて着実に前進しました。 なお、中期経営計画における2026年度の主な数値目標としては、連結経常利益2,400億円以上、連結ROE10%程度、ベース利益(ウェルスマネジメント部門、証券アセットマネジメント、不動産アセットマネジメントの経常利益合計)1,500億円等を定めております。 また、2024年度の状況及び今般の情勢に鑑み、2025年度の大和証券グループ経営方針を下記のとおり定めております。 2025年度 大和証券グループ経営方針 2024年度は、地政学リスクや政治的変動が世界規模で強く意識される中、日本においては、長期にわたるデフレからの脱却が進み、「金利のある世界」への歴史的な転換点を迎えた重要な一年となりました。新NISAの導入を契機に「貯蓄から投資へ」の流れが着実に広がり、企業では資本効率向上を目指したコーポレートアクションが一段と活発化しました。株式市場は年間では下落したものの、7月には日経平均株価が史上最高値の4万2,224円を記録し、さらに、日本銀行が政策金利を17年ぶりの水準に引き上げるなど、日本経済の構造的な変革が一層鮮明になりました。 こうした中、当社は「お客様の資産価値最大化」を基本方針とする中期経営計画 ~“Passion for the Best” 2026~ を力強く始動しました。連結業績が拡大するとともに当社が重視するベース利益も想定を上回るペースで増加しました。さらに、非連続な成長戦略として、株式会社あおぞら銀行や株式会社かんぽ生命保険をはじめとする外部企業との資本業務提携を実現し、事業基盤の拡充に向けた大きな一歩を踏み出しました。 2025年度を迎え、世界情勢には依然として不透明感が漂うものの、転換期を迎えたわが国において、当社グループが果たすべき役割と責務は一層重要性を増しています。本年度は、中期経営計画の2年目として、より強固な収益基盤の確立を目指し、以下に掲げる行動計画をスピード感をもって愚直に推進していきます。お客様の不変のニーズである「資産価値最大化」を最優先に掲げ、的確な環境分析と深いお客様理解に基づいた質の高いコンサルティングやソリューションを提供し、資産運用立国・投資大国の実現、さらには、金融・資本市場を通じた豊かな未来の創造に貢献していきます。 2025年度の各事業部門アクションプランは以下のとおりであります。 (1) ウェルスマネジメント部門① お客様に対する深い理解に基づいた最適なコンサルティングの提供によるウェルスマネジメントビジネスのさらなる深化② 富裕層や法人のお客様の高度なニーズに応えるオーダーメイドで付加価値の高い商品・サービス・ソリューションの拡充及び提供③ デジタルマーケティングによるお客様に合わせたタイムリーかつ適切なサービス提供体制の深化④ 外部提携、ワークプレイス(職域)ビジネスによる顧客基盤の拡大⑤ 銀行ビジネスを活用した顧客基盤の拡大及び、富裕層のお客様向けソリューションの提供 (2) アセットマネジメント部門① 幅広い投資家層に訴求する運用商品・ブランドの確立、魅力的なオルタナティブ商品の展開を通じたさらなる運用残高拡大② かんぽ生命との資産運用分野における協業を軸にした運用の高度化、国内外における投資顧問ビジネスの基盤構築③ 不動産アセットマネジメント事業における運用力・物件ソーシング力の強化、運用商品の拡大及びグループ内連携の推進④ オルタナティブファンドの拡大に向けたパフォーマンスの追求と基盤の構築 (3) グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門① 幅広いお客様ニーズを捉えた多様なプロダクト・高度なソリューションの提供② ウェルスマネジメント部門をはじめとしたグループ連携の更なる強化によるビジネス基盤の拡大③ 未上場企業への更なるソリューションの提供及び国内外M&Aの強化④ 経営資源のリアロケーションを通じた収益性の向上 (4) その他(大和総研グループ)① シンクタンクとしての時宜を得た良質な情報発信による、社会・経済の健全な発展と資産運用立国への貢献② AI・データサイエンスの活用によるお客様の企業価値最大化への貢献③ ヘルステック事業を通じた人的資本経営への貢献 |
経営者による財政状態の説明
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 本項における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められた企業会計の基準に基づき作成されております。また、当社は、連結財務諸表を作成するにあたり、会計方針に基づいていくつかの重要な見積りを行っており、これらの見積りは一定の条件や仮定を前提としております。そのため、条件や仮定が変化した場合には、実際の結果が見積りと異なることがあり、結果として連結財務諸表に重要な影響を与える場合があります。重要な会計方針のうち、特に重要と考える項目は、次の4項目です。 ① トレーディング商品の評価当社グループでは、トレーディング商品に属する有価証券及びデリバティブ取引は、時価をもって連結貸借対照表価額とし、評価損益はトレーディング損益として連結損益計算書に計上しております。また、「時価の算定に関する会計基準」(企業会計基準第30号 2019年7月4日)等を適用しており、トレーディング商品の時価は、時価の算定に用いたインプットの観察可能性及び重要性に応じて、3つのレベルに分類しております。これらの時価は「第5 経理の状況 (金融商品関係) 2. 金融商品の時価等及び時価のレベルごとの内訳等に関する事項」に記載しております。 時価測定に用いた評価技法及びインプットの詳細は以下のとおりであります。これらは、市場参加者が商品を評価するときに考慮するであろう当社グループによる仮定及び見積りを含んでおります。(ⅰ)商品有価証券等 主に同一又は類似の商品に関する市場価格を用いております。また、特定の負債性金融商品及び資産担保証券については、デリバティブ取引に準じた評価技法もしくは、ディスカウント・キャッシュ・フロー・モデルにより時価を測定しております。 (ⅱ)デリバティブ 上場デリバティブについては原則として市場価格を、店頭デリバティブについては、評価技法により理論価格を算定しております。 デリバティブ取引の理論価格には、信用リスク及び流動性リスクを考慮した調整が含まれており、時価測定においては、市場で一般に用いられるリスク中立測度の仮定のもとでの期待キャッシュ・フローの現在価値を、主に数値積分法、有限差分法及びモンテカルロ法による価格算定モデルにより算定しております。 価格算定モデルには、金利、為替レート、株価、ボラティリティ、相関係数などの様々なインプットがあります。また、市場で観察可能でないインプットとしては、相関係数、長期のボラティリティ、長期のクレジット・スプレッドなどがあります。 価格算定モデルの選択及びその価格算定モデルに投入するインプットの決定、信用リスク及び流動性リスクにかかる評価調整には見積り及び前提を含んでおり、特に、市場で観察可能でないインプットを使用する場合には、その見積り及び前提は、トレーディング商品の評価額に重要な影響を及ぼす可能性があります。 算定に用いたインプットを含め、価格算定モデルは社内における指針に基づいて承認され、価格算定モデルの開発部署から独立した部署が、モデル内の仮定及び技法、算定に用いたインプットについて検証を行っております。また、価格算定モデルを観察可能な市場情報や代替可能なモデルとの比較分析等により、市場動向に合わせて調整する体制を構築しております。 経営者は、時価測定に用いられた前提は合理的であると考えております。しかしながら、これらの見積りには不確実性が含まれているため、将来キャッシュ・フローや時価の下落を引き起こすような見積りの変化が、評価金額に不利に影響し、結果として、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。 ② 有価証券の評価 当社グループでは、投資有価証券、営業投資有価証券等のトレーディング商品に属さない有価証券を保有しております。(ⅰ)投資有価証券 市場価格のあるものについては、市場価格が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、減損処理を行っております。具体的には、当連結会計年度末における市場価格の下落率が取得原価の50%以上の場合は、著しい下落かつ回復する見込みがないものと判断して、減損処理を行っております。市場価格の下落率が取得原価の30%以上50%未満の場合は、市場価格の推移及び発行会社の財政状態等を総合的に勘案して回復する見込みを検討し、回復する見込みがあると認められる場合を除き、減損処理を行っております。市場価格のないものについては、実質価額が著しく低下し、かつ、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられない場合には、減損処理を行っております。 (ⅱ)営業投資有価証券 営業投資有価証券は、アセットマネジメント部門における非上場株式、国内外の再生可能エネルギー、インフラストラクチャーへの投資等により構成されております。 営業投資有価証券の評価については、その評価額に基づき実質価額を見積り、その実質価額が帳簿価額を下回り、損失発生の可能性が高い場合には投資損失引当金を計上しております。さらに、実質価額が帳簿価額に比して50%以上下落し、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられない場合には、減損処理を行っております。実質価額の算定の前提となる当社の財政状態又は経営成績に対して重大な影響を与え得る会計上の見積り及び判断が必要となる項目は以下のとおりです。 1) 非上場株式 株式の評価額は、投資先の事業計画等をもとにした将来キャッシュ・フロー、類似取引事例との比較などにより算定しております。 2) 国内外の再生可能エネルギー、インフラストラクチャーへの投資等 評価額は、投資先の事業計画等をもとにした将来キャッシュ・フロー、財政状態などにより算定しております。 これらの評価額の測定には経営者が妥当と判断する見積り及び仮定を使用しており、これらの見積り及び仮定は、減損損失又は投資損失引当金の計上の要否の判断及び認識される損失金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。 経営者は、実質価額の見積りに用いられた仮定は合理的であると判断しております。ただし、これらの見積りには不確実性が含まれているため、将来の予測不能な前提条件の変化などにより、これらの評価に関する見積りが変化した場合には、結果として将来において当社及び連結子会社が減損処理又は投資損失引当金の計上を行う可能性があります。 ③ 固定資産の減損 当社グループでは、各資産グループにおいて、収益性が著しく低下した資産については、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。なお、資産のグルーピングは、事業用資産のうち、証券店舗等の個別性の強い資産については個別物件単位で行い、その他の事業用資産については管理会計上の区分に従って行っております。 ④ 繰延税金資産の状況(ⅰ)繰延税金資産の算入根拠 当社グループでは、会計基準に従い、税務上の繰越欠損金や企業会計上の資産・負債と税務上の資産・負債との差額である一時差異について税効果会計を適用し、繰延税金資産及び繰延税金負債を計上しております。繰延税金資産の回収可能性については、将来の合理的な見積可能期間における課税所得の見積額を限度として、当該期間における一時差異等のスケジューリングの結果に基づき判断しております。 (ⅱ)過去5年間の課税所得(繰越欠損金使用前の各年度の実績値) (単位:百万円)回次第83期第84期第85期第86期第87期決算年月2020年3月2021年3月2022年3月2023年3月2024年3月通算グループの課税所得60,90792,842106,26351,393161,466(注) 提出会社を通算親法人とする通算グループの所得を記載しております。また、記載した課税所得は法人税確定申告書上の繰越欠損金控除前の数値であり、その後の変動は反映されておりません。 なお、当連結会計年度末に係る連結貸借対照表上の繰延税金資産78億円のうち、提出会社を通算親法人とする通算グループの計上額合計は31億円であります。 (ⅲ)見積りの前提とした税引前当期純利益の見込額 提出会社を通算親法人とする通算グループの課税所得見積期間を3年とし、同期間の税引前当期純利益を3,652億円と見積もっております。 (ⅳ)繰延税金資産・負債の主な発生原因 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 税効果会計関係 1」に記載のとおりであります。 なお、ロシア・ウクライナ情勢及び中東情勢の緊迫化や、トランプ政権の関税政策による経済情勢や相場への影響は、現時点においてはこれらの見積りに重大な影響を及ぼしておりませんが、今後、入手可能となる情報等によりこれらの市場、経済又は地政学リスクが顕在化した場合には、会計上の見積りに用いられた前提条件に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループにおきましては、投資事業における保有資産の評価に関する見積りの変化による減損又は評価損の計上、不動産アセットマネジメント事業における資産の稼働率低下による財務内容悪化懸念などの可能性があります。 (2)当連結会計年度の財政状態の分析<資産の部> 当連結会計年度末の総資産は前年度末比3兆9,970億円(12.5%)増加の36兆243億円となりました。内訳は流動資産が同3兆8,364億円(12.6%)増加の34兆2,757億円であり、このうち現金・預金が同6,418億円(14.6%)減少の3兆7,567億円、トレーディング商品が同7,925億円(10.5%)増加の8兆3,275億円、有価証券担保貸付金が同3兆91億円(24.3%)増加の15兆3,775億円となっております。固定資産は同1,606億円(10.1%)増加の1兆7,486億円となっております。 <負債の部・純資産の部> 負債合計は前年度末比3兆8,624億円(12.8%)増加の34兆1,010億円となりました。内訳は流動負債が同3兆8,978億円(14.5%)増加の30兆6,953億円であり、このうちトレーディング商品が同1兆5,733億円(26.8%)増加の7兆4,371億円、有価証券担保借入金が同3兆7,465億円(32.0%)増加の15兆4,454億円となっております。固定負債は同360億円(1.0%)減少の3兆3,993億円であり、このうち社債が同578億円(4.5%)減少の1兆2,184億円、長期借入金が同158億円(0.8%)増加の2兆366億円となっております。 純資産合計は同1,346億円(7.5%)増加の1兆9,232億円となりました。資本金及び資本剰余金の合計は5,136億円となりました。利益剰余金は親会社株主に帰属する当期純利益を1,543億円計上したほか、配当金745億円の支払いを行ったこと等により、同800億円(8.3%)増加の1兆414億円となっております。自己株式の控除額は同100億円(8.1%)減少の1,131億円、その他有価証券評価差額金は同27億円(5.2%)減少の501億円、為替換算調整勘定は同5億円(0.4%)減少の1,336億円、非支配株主持分は同176億円(6.8%)増加の2,772億円となっております。 (3)当連結会計年度の経営成績の分析① 事業全体の状況 当連結会計年度の営業収益は前年度比7.4%増の1兆3,720億円、純営業収益は同9.3%増の6,459億円となりました。 受入手数料は4,164億円と、同16.2%の増収となりました。委託手数料は、株式取引が減少したことにより、同4.7%減の890億円となりました。引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は、エクイティ引受案件が増加したことにより、同24.5%増の479億円となりました。 トレーディング損益は、為替関連取引収益が増加したこと等により、同9.4%増の1,073億円となりました。 金融収支は、支払利息やレポ取引費用が増加したこと等により、同4.6%減の780億円となりました。 販売費・一般管理費は同9.6%増の4,792億円となりました。取引関係費は、支払手数料が増加したことにより、同13.8%増の917億円、人件費は、賞与引当金繰入や給料が増加したことにより、同10.1%増の2,450億円となっております。 以上より、経常利益は同28.7%増の2,247億円となりました。 また、投資有価証券売却益等により特別利益が41億円(前年度184億円)、減損損失や事業再編等関連費用等により特別損失が98億円(前年度130億円)となり、法人税等及び非支配株主に帰属する当期純利益を差し引いた結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前年度比27.0%増の1,543億円となりました。② セグメント情報に記載された区分ごとの状況 純営業収益及び経常利益をセグメント別に分析した状況は次のとおりであります。 (単位:百万円) 純営業収益経常利益又は経常損失(△) 2024年3月期2025年3月期増減率構成比率2024年3月期2025年3月期増減率構成比率(注)ウェルスマネジメント部門228,131255,84112.1%39.6%66,21380,66421.8%35.9%アセットマネジメント部門97,784102,5174.8%15.9%66,40777,41816.6%34.5% 証券アセットマネジメント47,08357,96023.1%9.0%20,95927,84132.8%12.4% 不動産アセットマネジメント28,45529,6194.1%4.6%27,04129,0297.4%13.0% オルタナティブアセットマネジメント22,24514,938△32.8%2.3%18,40620,54711.6%9.1%グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門220,479234,1966.2%36.3%44,03742,738△2.9%19.0% グローバル・マーケッツ149,394149,044△0.2%23.1%37,64829,005△23.0%12.9% グローバル・インベストメント・バンキング71,08485,15119.8%13.2%4,51011,605157.3%5.2%その他・調整等44,51553,435-8.2%△2,06923,895-10.6%連結 計590,910645,9909.3%100.0%174,587224,71628.7%100.0%(注)経常利益又は経常損失(△)の構成比率は、当連結会計年度において経常利益であったセグメントの経常利益合計に占める、各セグメントの経常利益の割合としております。 [ウェルスマネジメント部門] ウェルスマネジメント部門の主な収益源は、国内の個人投資家及び未上場会社のお客様の資産管理・運用に関する商品・サービスの手数料と、大和ネクスト銀行における預金の受入れ等による調達資金の運用から得られる利鞘収入です。経営成績に重要な影響を与える要因には、お客様動向を左右する国内外の金融市場及び経済環境の状況に加え、お客様のニーズに合った商品の開発状況や引受け状況及び販売戦略が挙げられます。 当連結会計年度において大和証券は以下の事業計画に沿って活動を行いました。1.お客様に対する深い理解に基づいた最適なコンサルティングの提供によるウェルスマネジメントビジネスの進化2.富裕層や法人のお客様の高度なニーズに応えるオーダーメイドで付加価値の高い商品、サービス及びソリューションの拡充3.デジタルマーケティングによるお客様に合わせたタイムリーかつ適切なサービス提供体制の確立4.外部提携、ワークプレイス(職域)ビジネスによるお客様基盤の拡大 各項目の実績は以下のとおりです。1.当期も引き続き、お客様の資産状況やニーズなどのヒアリングを踏まえ、最適なポートフォリオ提案やソリューション提案を実践しました。これらの取組みにより、株式投資信託の純増額が過去最高となるなど、マーケット環境に左右されにくい収益基盤の構築が進展しました。2.多様なお客様のニーズに応えられるよう、「ダイワ・ブラックストーン・インフラストラクチャー・ファンド(米ドル建て)」や「UBSユニバーサル・トラスト(ケイマン)Ⅲ -KKRプライベート・マーケッツ・エクイティ・ファンド(米ドル建て)」といったオルタナティブ資産を対象とした株式投資信託など、商品ラインアップの拡充に取り組みました。 3.データ分析による約定確率のスコアリングや、メール・画面ポップアップなどのデジタルアプローチを活用し、持株会を退会されたお客様や相続資金を受け取られたお客様などに対して、タイムリーかつ効率的なサービス提案を実現しました。4.株式会社ゆうちょ銀行に提供している「ゆうちょファンドラップ」について、同行行員に対するサポート体制強化に努めたことで、お客様基盤の順調な拡大につながりました。また、株式会社四国銀行との包括的業務提携では、目標を3年前倒しで達成するなど有価証券資産残高が大きく拡大しました。さらに、2025年3月には株式会社岩手銀行と包括的業務提携に関する最終契約を締結し、提携業務の開始に向け体制を整備しています。 当連結会計年度は、引き続きお客様の資産状況やニーズなどのヒアリングを踏まえ、最適なポートフォリオ提案やソリューション提案を実践しました。この取組みにより、ラップ口座サービスは契約額が過去最高となり、契約資産残高は4兆6,863億円となりました。また、オルタナティブ資産(注)を対象とした株式投資信託など多様なお客様のニーズに応えられるよう、商品ラインナップの拡充に取り組みました。その結果、株式投資信託の純増額も過去最高となるなど、マーケット環境に左右されにくい収益基盤の構築が進展しました。投信代理事務手数料及びラップ関連収益は増収となり、残高ベース収益は前年度比20.4%増の1,117億円と順調に拡大しました。(注)オルタナティブ資産:伝統的な投資対象である上場株式や債券に代わる新たな投資資産。 当連結会計年度において大和ネクスト銀行は以下の事業計画に沿って活動を行いました。1.預金量の拡大と収益性の両立2.グループ内連携の強化3.国内外の金利環境に応じた運用残高の拡大や、運用対象の多様化4.応援定期預金やESG投融資への継続的取り組み 各項目の当連結会計年度における実績は以下のとおりです。1.外貨預金について、業界トップ水準の金利を維持するとともに、キャンペーンの実施等により新規の預金を取り込みました。2.大和証券との連携のもと、お客様のニーズを捉え、新たに不動産投資ローンを導入しました。3.市況環境の変化に応じたポートフォリオの見直しと、投融資残高の拡大に向け取組みました。4.サステナビリティKPIの一つである、ESG投融資の残高維持に向けた取り組みを行いました。 大和ネクスト銀行の当連結会計年度末の預金残高(譲渡性預金含む)は前年度末比4.8%減の4.3兆円、銀行口座数は前年度比6.1%増の189万口座となりました。 これらの結果、当連結会計年度のウェルスマネジメント部門における純営業収益は前年度比12.1%増の2,558億円、経常利益は同21.8%増の806億円となりました。 [アセットマネジメント部門]アセットマネジメント部門は、証券アセットマネジメント、不動産アセットマネジメント及びオルタナティブアセットマネジメントで構成されます。 証券アセットマネジメントの主な収益源は、当社連結子会社の大和アセットマネジメントにおける投資信託の組成と運用に関する報酬です。また、当社持分法適用関連会社である三井住友DSアセットマネジメントの投資信託組成と運用及び投資顧問業務に関する報酬からの利益は、当社の持分割合に従って経常利益に計上されます。経営成績に重要な影響を与える要因には、マーケット環境によって変動するお客様の投資信託及び投資顧問サービスへの需要と、マーケット環境に対するファンドの運用パフォーマンスや、お客様の関心を捉えたテーマ性のある商品開発等による商品自体の訴求性が挙げられます。不動産アセットマネジメントの主な収益源は、当社連結子会社の大和リアル・エステート・アセット・マネジメント、大和証券オフィス投資法人及びサムティ・レジデンシャル投資法人の不動産運用収益です。また、当社持分法適用関連会社であるサムティホールディングス株式会社の各子会社、及び同じく持分法適用関連会社である大和証券リビング投資法人の不動産運用収益からの利益は、当社の持分割合に従って経常利益に計上されます(注1、2)。経営成績に重要な影響を与える要因には、国内の不動産市場・オフィス需要の動向が挙げられます。 オルタナティブアセットマネジメントの主な収益源は、当社連結子会社である大和企業投資、大和PIパートナーズ及び大和エナジー・インフラの投資先の新規上場(IPO)・M&A等による売却益や、投資事業組合への出資を通じたキャピタルゲインのほか、契約に基づきファンドから受領する、管理運営に対する管理報酬や投資成果に応じた成功報酬、投資した株式からの配当、売電収入などのインカムゲインです。経営成績に重要な影響を与える要因には、株式市場やIPO市場の動向、投資先企業の評価額に影響を及ぼす可能性のある経済環境の状況、保有する有価証券や投資資産の流動性が挙げられます。 当連結会計年度において、アセットマネジメント部門は以下の事業計画を実行しました。1.運用の高度化・商品開発力の向上を通じた高付加価値な資産運用サービスの提供2.オルタナティブ商品の拡充や投資顧問領域への本格参入による新たなビジネス基盤の確立3.不動産アセットマネジメント事業における資産運用力・物件ソーシング力の強化及びグループ内連携の推進4.オルタナティブ投資の知見・実績を活かした良質な投資機会の提供及びパフォーマンスの追求 各項目の実績は以下のとおりです。1.大和アセットマネジメントでは高付加価値なアクティブファンドのマーケティングに注力し、新NISAへの好調な資金流入も背景に運用資産残高は過去最高水準となりました。2.2025年2月に「ダイワ・ブラックストーン・インフラストラクチャー・ファンド」を新たに設定し、良質なオルタナティブ商品のラインナップ拡充に取り組みました。また、かんぽ生命との資本業務提携を通じて投資顧問ビジネス強化に取り組みました。3.大和リアル・エステート・アセット・マネジメントでは運用するREITや私募ファンドを通じて運用資産残高が増加、大和証券リアルティでは信託受益権スキームを活用した不動産小口化商品を組成しウェルスマネジメント部門のお客様への提供を行いました。4.大和PIキャピタルでは運営するプライベート・エクイティファンドにおいて目標を上回る出資約束を得て募集を完了し、オルタナティブ投資の知見・実績を活かして良質な投資機会を提供しました。大和企業投資では、国内外の成長企業へ着実に投資を実行したほか、投資先の上場などを通じた既存投資案件の回収を進めました。大和エナジー・インフラでは、国内、米州の太陽光発電事業や蓄電池事業に投資をしたほか、欧州における既存投資案件の回収を実行しました。証券アセットマネジメントは増収増益となりました。大和アセットマネジメントの運用資産残高は、資金純増と時価の上昇により、前年度末比1.0兆円増の33.3兆円となりました。その結果、証券アセットマネジメントの純営業収益は前年度比23.1%増の579億円、経常利益は同32.8%増の278億円となりました。不動産アセットマネジメントは運用する投資法人向けの物件売却による売却益の計上や運用報酬の積み上げにより増収増益となりました。新規の物件取得等により、大和リアル・エステート・アセット・マネジメント及びサムティ・レジデンシャル投資法人の2社を合わせた運用資産残高は前年度末比1,373億円増の1兆5,963億円となりました。その結果、不動産アセットマネジメントの純営業収益は前年度比4.1%増の296億円、経常利益は同7.4%増の290億円となりました。オルタナティブアセットマネジメントは増益となりました。大和企業投資では、国内外の成長企業への投資や上場支援に貢献しながら、投資先の売却益により収益を確保しました。また、大和PIパートナーズでは、国内外で金銭債権投資、不動産ローン、企業向け投融資を実行するとともに、既存案件の回収を進め、大和エナジー・インフラでは、太陽光発電所の取得など、持続可能な開発目標(SDGs)に資する投資を実行しながら、欧州におけるエネルギー・インフラ投資のエグジット等、キャピタル・リサイクリングにより高水準の利益を確保しました。その結果、オルタナティブアセットマネジメントの純営業収益は前年度比32.8%減の149億円、経常利益は同11.6%増の205億円となりました。これらの結果、当連結会計年度のアセットマネジメント部門の純営業収益は前年度比4.8%増の1,025億円、経常利益は同16.6%増の774億円となりました。 (注)1 当社の持分法適用関連会社であったサムティ株式会社は、2024年6月3日付で、単独株式移転の方式により設立されたサムティホールディングス株式会社を完全親会社とする持株会社体制に移行しております。かかる持株会社体制への移行後、当社はサムティホールディングス株式会社を持分法適用関連会社としており、サムティホールディングス株式会社の各子会社の不動産運用収益等からの利益が、当社の持分割合に従って経常利益に計上されております。 2 2024年11月27日付でサムティホールディングス株式会社が公表したとおり、同社の普通株式に対するSong Bidco合同会社(以下「公開買付者」といいます。)による公開買付けは同月26日付で終了し、また、2025年1月29日付でサムティホールディングス株式会社が公表したとおり、同社は同月30日をもって上場廃止となりました。当社及び大和PIパートナーズは、公開買付者との間で不応募契約を締結しており、当社は、サムティホールディングス株式会社の上場廃止後も同社との資本関係を継続し、同社の企業価値の最大化を図る観点から、継続して同社の運営に関与します。 [グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門]グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門は、機関投資家等を対象に有価証券のセールス及びトレーディングを行うグローバル・マーケッツと、事業法人、金融法人等が発行する有価証券の引受けやM&Aアドバイザリー業務を行うグローバル・インベストメント・バンキングによって構成されます。グローバル・マーケッツの主な収益源は、機関投資家に対する有価証券の売買に伴って得る顧客フロー収益及びトレーディング収益であり、地政学リスクや国際的な経済状況等で変化する市場の動向や、それに伴う顧客フローの変化が、経営成績に重要な影響を与える要因となります。グローバル・インベストメント・バンキングの主な収益源は、引受業務やM&Aアドバイザリー業務によって得る引受け・売出し手数料とM&A手数料であり、顧客企業の資金調達手段の決定やM&Aの需要を左右する国内外の経済環境等に加え、当社が企業の需要を捉え、案件を獲得できるかどうかが経営成績に重要な影響を与える要因となります。当連結会計年度において、グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門として以下の事業計画を実行しました。1.幅広いお客様ニーズを捉えた多様なプロダクト・高度なソリューションの提供2.ウェルスマネジメント部門との更なる連携強化によるビジネス基盤の拡大3.未上場企業への更なるソリューションの提供及び国内外M&Aの強化4.経営資源のリアロケーションを通じた収益性の向上各項目の実績は、以下のとおりです。1.引受ビジネス、M&Aの取組みとして、政策保有株式の売却、金利上昇局面における前倒し負債調達、業界再編、といったお客様の多様なニーズを的確に捉えた提案を行い、案件の獲得に取り組みました。2.データサイエンティストによる分析を活用したウェルスマネジメント部門における支店営業の効率化や地域の商流分析に基づくセミナーの実施などを通じ、お客様本位のマーケティング・コンテンツ提供に取り組みました。3.未上場企業のお客様に対してIPOに留まらない多様なソリューションを提供し、国内外M&Aビジネスにおいては、効率的な収益拡大のためにアドバイザリーサービスの高付加価値化に取り組みました。4.グローバル・インベストメント・バンキングでは、テーマ別でのアプローチや大型案件に注力することで収益性の向上に取り組みました。グローバル・マーケッツでは、世界的な日本株への関心の高まりを背景とした体制強化など、お客様ニーズに合わせたリソースの再配分を進め、収益向上を図りました。グローバル・マーケッツのエクイティ収益は、海外投資家による日本株買いが好調に推移したことに加え、大型プライマリー案件の引受けなどに伴って個人投資家の売買が増加したことにより、増収となりました。フィクスト・インカム収益は、国内において金利上昇を背景に投資家の様子見姿勢が強まり、トレーディング収益が減収となりました。海外においても米国金利の高いボラティリティの影響により減収となりました。その結果、グローバル・マーケッツの当連結会計年度の純営業収益は前年度比0.2%減の1,490億円、経常利益は同23.0%減の290億円となりました。グローバル・インベストメント・バンキングでは、株式会社ゆうちょ銀行の株式売出し、JX金属株式会社の新規上場において、グローバル・コーディネーター(注1)を務めたほか、NTTファイナンス株式会社による普通社債、KDDI株式会社によるサステナビリティボンド(注2)などで主幹事を務めました。当連結会計年度の引受け・売出し手数料は、前年度比24.5%増の479億円となりました。M&Aアドバイザリー業務では、株式会社トライアルホールディングスによる株式会社西友株式の取得、SCSK株式会社によるネットワンシステムズ株式会社への公開買付け、伊藤忠商事株式会社による株式会社デサントへの公開買付けなど、多くの案件に関与しました。これらの結果、グローバル・インベストメント・バンキングの当連結会計年度の純営業収益は前年度比19.8%増の851億円、経常利益は同157.3%増の116億円となりました。 その結果、当連結会計年度のグローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門における純営業収益は前年度比6.2%増の2,341億円、経常利益は同2.9%減の427億円となりました。 (注)1 グローバル・コーディネーター:株式の公募・売出しを国内外に対して実施するときに、全体の業務を統括する主幹事証券会社。 2 サステナビリティボンド:企業や地方自治体などが、国内外のグリーンプロジェクト及びソーシャルプロジェクト双方に要する資金を調達するために発行する債券。 [その他] その他の事業には、主に大和総研によるリサーチ・コンサルティング業務及びシステム業務などが含まれます。 当連結会計年度において大和総研グループは以下の事業計画を実行しました。1.リサーチクオリティのさらなる向上を通じて、より良質な情報をタイムリーに発信2.ITサービスのプラットフォーム化、AI・データサイエンスの活用による顧客サービスの拡充3.社会保険事業で蓄積してきたデータを活用したソリューションの提供により健康寿命の延伸に貢献 各項目の当連結会計年度における実績は以下のとおりです。1.シンクタンクとして、少子化対策をはじめ税制や社会保障に関する時宜を得た情報発信と政策提言活動を実施し、プレゼンス向上に寄与しました。2.証券業務向け新基幹系プラットフォームの構築や、生成AIを活用した業務効率化ソリューションの提供を行いました。また、株式会社Workthy、Sky株式会社との資本業務提携を通じ、マイナンバーを活用した金融業界の行政手続きデジタル化と金融機関利用者の利便性向上や、事業会社向けソリューションの拡充を推進しました。3.健康保険組合向け情報管理システム等の基幹システムについて、商品性強化や顧客満足度の向上を目的として再構築を実行したほか、人的資本経営ソリューションに関するサービス開発に取り組みました。 大和総研は、当社グループのシステム開発を着実に遂行したほか、高付加価値のソリューション提案により、お客様との関係を強化したこと、また、大口顧客向けシステム開発案件を手掛けたこと等により、当社グループの収益に貢献しました。 当連結会計年度は、その他セグメントに属する一部のグループ会社が前年同期比で増益となったことや、あおぞら銀行の株式取得及び持分法適用に係る負ののれん発生益等により、その他・調整等に係る純営業収益は534億円(前年度445億円)、経常利益は238億円(前年度経常損失20億円)となりました。 ③ 目標とする経営指標の達成状況等 当社グループでは、2024年度から2026年度にかけての中期経営計画~“Passion for the Best”2026~を公表し、業績KPIとして連結経常利益、連結ROE及びベース利益(注1)を掲げました。また、グループ経営基本方針である「お客様の資産価値最大化」を追求するお客様資産KPIとして、預り資産(注2)、ストック関連資産(注3)及びアセットマネジメント部門AUM(注4)を設定しました。 中期経営計画初年度となる当連結会計年度においては、業績KPIは、連結経常利益2,400億円以上の目標に対し2,247億円、連結ROE10%程度の目標に対し9.8%、ベース利益1,500億円の目標に対して1,375億円となり、順調な滑り出しとなりました。お客様資産KPIは、預り資産120兆円の目標に対し90.2億円、ストック関連資産13.6兆円の目標に対し9.8兆円、AM部門AUM44兆円の目標に対し34.9兆円となり、着実に目標値に向けて増加しています。 2024年度は、日本経済は長期にわたるデフレからの脱却が進み、金融政策の正常化の進展から「金利のある世界」が到来するとともに、株式市場では「貯蓄から投資へ」の流れが加速した歴史的な転換点を迎える年となりましたが、当社ではこうした経済環境を追い風に、グループ経営基本方針である「お客様の資産価値最大化」に向けて、ウェルスマネジメントビジネスの強化やアセットマネジメントビジネスの高度化が着実に進捗した一年となりました。また、中長期的な経営指針となる「2030Vision」の根底に取り入れたサステナビリティへの取組み推進においても、サステナブルファイナンスへの社会的ニーズの一層の高まりを受けてSDGs債の引受け実績を積み上げ、着実な進捗があったと評価しています。 (注)1 ベース利益:ウェルスマネジメント部門、証券アセットマネジメント、不動産アセットマネジメントの経常利益合計2 預り資産:大和証券の預り資産残高3 ストック関連資産:投資信託、ファンドラップ、外貨預金4 AM部門AUM:大和アセットマネジメント、大和ファンド・コンサルティング、大和リアル・エステート・アセット・マネジメント、サムティ・レジデンシャル投資法人、大和PIパートナーズ、大和エナジー・インフラ、大和企業投資のAUM合計 ④ 経営成績の前提となる2024年度のマクロ経済環境<海外の状況> 世界経済は、2020年前半の新型コロナウイルスの感染拡大による落ち込みからの急回復が一服し、その改善ペースは鈍化しています。IMF(国際通貨基金)が2025年4月に公表した世界経済見通しによれば、2020年の大幅な落ち込みからの反動もあり、2021年の世界経済成長率は+6.6%と、IMFが成長率を公表する1980年以降で最も高い成長となりました。一方、2022年の世界経済成長率は+3.6%、2023年には+3.5%へと低下し、2024年には+3.3%と見込まれています。歴史的に高いインフレ率や、それに対応するための当局による金融引き締めが、景気の拡大ペースを鈍化させたとみられます。また、2022年2月に始まったロシアによるウクライナへの侵攻や、中東情勢の緊迫化による地政学的緊張の高まり、更には米国の関税政策が世界経済におけるリスク要因となっています。 米国の2024年1-3月期の実質GDP成長率は、前期比年率+1.6%となり、2023年10-12月期以降減速基調にありました。もっとも、輸入の急増を主因に外需がマイナスに寄与したものの、個人消費や設備投資、住宅投資の増加が経済を下支えしました。2024年4-6月期の実質GDP成長率は、前期比年率+3.0%となり、1-3月期から加速しました。内訳を見ると、屋台骨である個人消費は前期比年率+2.8%と1-3月期の前期比年率+1.9%から伸び率が高まりました。住宅投資は前期比年率△2.8%とマイナスに転じましたが、設備投資は前期比年率+3.9%となりました。全体としては、FRB(連邦準備制度理事会)が金融引き締めを続ける中でも米国経済は内需主導で好調を維持したと評価できます。7-9月期の実質GDP成長率は、前期比年率+3.1%となりました。個人消費が前期比年率+3.7%と加速したことがけん引役となりました。しかし、10-12月期の実質GDP成長率は前期比年率+2.4%と減速しました。個人消費は前期比年率+4.0%と加速が続いた一方で、設備投資が前期比年率△3.0%と減少に転じたことが重しとなりました。更に、2025年1-3月期に入ると、実質GDP成長率は前期比年率△0.2%とマイナス成長を記録しました。トランプ政権による関税率の引き上げが本格化する前に駆け込み輸入が発生したことで、輸入が前期比年率+42.6%と増加したことがマイナス成長の主因ですが、個人消費が前期比年率+1.2%と減速するなど、米国経済には陰りが見え始めています。 金融面では、FRBは歴史的な高インフレの鎮静化から景気の下支えへと徐々にスタンスを変化させています。インフレ率がFRBの目標である2%を大幅に上回っていることを背景に、2022年3月のFOMC(連邦公開市場委員会)では政策金利が0.25%pt引き上げられ、2020年3月以降続いてきた実質的なゼロ金利政策が終了し、その後も、政策金利は段階的に引き上げられました。2023年に入ってもFRBはインフレ抑制の姿勢を崩さず、3月、5月、7月のFOMCではそれぞれ0.25%ptの利上げを決定しました。その後のFOMCでは誘導目標レンジが据え置かれましたが、2024年9月のFOMCでは、誘導目標レンジを0.50%pt引き下げ、11月と12月のFOMCでもそれぞれ0.25%pt引き下げ、誘導目標レンジは4.25-4.50%へと変更されました。インフレの減速が続く可能性が高まる中、景気や雇用を下支えする必要性が高まったことが利下げに転じた背景にあるとみられます。2025年1月と3月のFOMCでは誘導目標レンジは据え置かれました。 欧州経済(ユーロ圏経済)は、緩やかな拡大を続けています。ユーロ圏の実質GDP成長率は2024年1-3月期には前期比年率+1.3%となり、前期比年率+0.2%にとどまった2023年10-12月期から成長ペースが加速しました。家計消費支出の持ち直しや、輸出の増加がけん引役となりました。4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率+0.7%と、1-3月期から成長ペースは鈍化しました。家計消費支出が減少に転じたことが重石となりましたが、輸出の拡大が経済を下支えした格好です。7-9月期の実質GDP成長率は前期比年率+1.7%となり、成長ペースが加速しました。10-12月期の実質GDP成長率は前期比年率+1.0%と前期から減速したものの、2025年1-3月期には前期比年率+1.3%となり、成長率は振れを伴いながらも緩やかに高まっています。1-3月期の実質GDP成長率を国別に見ると、ドイツやフランスもプラス成長に転じており、内容も良好といえます。 金融面では、ECB(欧州中央銀行)は近年インフレの抑制に努めてきましたが、足元では景気停滞に対応すべく利下げが続いています。2022年7月のECB理事会では、0.50%ptの利上げに踏み切り、2014年に導入された預金ファシリティ金利のマイナス状態が8年ぶりに解消されました。その後も段階的に利上げを実施してきましたが、2023年10月と12月の理事会では、政策金利の水準が据え置かれました。2024年に入っても1月、3月、4月の理事会で政策金利の水準据え置きが決定されましたが、6月の理事会では、2019年9月以来、4年9ヵ月ぶりの利下げを決定し、主要3金利(主要リファイナンス・オペ金利、限界貸付ファシリティ金利、預金ファシリティ金利)をそれぞれ0.25%pt引き下げました。7月の理事会では政策金利の水準は据え置かれたものの、9月の理事会では0.25%ptの利下げが全会一致で決定されました。その後もインフレ率の低下などを受け、10月、12月、2025年1月、3月とそれぞれ0.25%ptの利下げを実施しました。 IMFによると、2022年の新興国の実質GDP成長率は、+4.1%の成長となりました。2023年も+4.7%の成長となりましたが、先進国において景気後退懸念が高まる中、新興国経済でも景気減速のリスクが高まりつつあります。2024年の成長率は+4.3%となったと見込まれています。中国を中心に外需の減速によって経済成長のペースが鈍化する見込みです。 新興国のうち、世界第2位の経済規模を持つ中国では、2024年1-3月期の実質GDP成長率は前年同期比+5.3%となりました。4-6月期の実質GDP成長率は前年同期比+4.7%と、1-3月期から伸び率は低下しましたが、背景には不動産不況による家計のバランスシート調整の影響により、消費の伸びが鈍化したことがあります。7-9月期の実質GDP成長率は前年同期比+4.6%となり、減速が続きました。10-12月期の実質GDP成長率は前年同期比+5.4%となりました。消費や投資の回復が経済をけん引しました。2025年1-3月期の実質GDP成長率は前年同期比+5.4%となりました。トランプ政権による関税政策が本格化する前の駆け込み輸出や家電買い替えの促進策による個人消費の増加が下支えしました。 中国以外の新興国は、経済活動の正常化が進展したことなどを背景に、2022年以降は総じてみれば持ち直しの動きが続きました。2022年には高インフレや米国での金利上昇に伴う資金流出抑制のため、多くの国が利上げを余儀なくされましたが、2023年以降は利上げを行う国は減少しています。2024年に米国が利下げに転じたことから、新興国でも利下げによる景気下支えの余地が広がっています。 <日本の状況>日本経済は2024年前半以降持ち直しの動きが続いています。2024年1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率△1.6%となりましたが、4-6月期は前期比年率+3.8%と、4四半期ぶりのプラス成長を記録しました。個人消費が持ち直しに転じたことに加え、設備投資や輸出の増加も経済を下支えしました。その後も、個人消費や輸出の増加を背景に、実質GDP成長率は7-9月期に前期比年率+1.0%、10-12月期には前期比年率+2.4%と回復基調にありました。しかし、2025年1-3月期には、輸出の減少や輸入の増加を主因に実質GDP成長率は前期比年率△0.7%とマイナス成長を記録しました。 需要項目ごとにみると、個人消費に回復の動きがみられます。物価上昇率に賃金上昇率が追い付かず、実質賃金が減少していたことなどを背景に、個人消費は2023年4-6月期から2024年1-3月期まで、4四半期連続で減少していました。しかし、4-6月期に入ると、所得環境の改善もあって個人消費は5四半期ぶりに増加に転じ、その後も回復が続いています。 企業部門の需要である設備投資は一進一退の動きとなっています。2024年1-3月期には輸送用機械への投資停滞を主因に、設備投資は前期比△1.1%と減少しました。しかし、4-6月期に入ると、設備投資は前期比+1.4%と増加しました。内訳を見ると、輸送用機械やその他の機械設備等が増加に転じました。自動車の生産体制の正常化が進んだことが背景にあるとみられます。7-9月期の設備投資は前期比+0.1%と減速したものの、その後は10-12月期に前期比+0.8%、2025年1-3月期に前期比+1.4%と加速しています。 2024年1-3月期の輸出は前期比△3.6%と減少しました。自動車の減産が下押し要因となったほか、資本財などの輸出も伸び悩みました。4-6月期には前期比+1.5%と増加しました。中間財や情報関連財の減少が重石となったものの、自動車の増産が輸出をけん引しました。その後も、7-9月期には前期比+1.2%、10-12月期には前期比+1.7%と増加が続きましたが、2025年1-3月期には前期比△0.6%と減少しました。 金融面では、日本銀行は、短期金利に加えて長期金利(10年国債利回り)も操作対象とする金融緩和措置(イールドカーブ・コントロール)を2016年9月に導入し、強力な金融緩和政策を続けていました。しかし、2024年3月の金融政策決定会合で、マイナス金利政策の解除とイールドカーブ・コントロールの撤廃を決定し、短期金利を操作目標とする通常の金融政策へと転換を図りました。また、2024年7月に開催した金融政策決定会合において、短期金利の誘導目標を0.25%程度に引き上げることを決定しました。その後も、基調的な物価上昇率が目標水準である2%に向けて徐々に高まっているとの判断のもと、日本銀行は2025年1月の金融政策決定会合において短期金利の誘導目標を0.50%程度に引き上げました。また、国債の買入れに関しては、2024年7月の金融政策決定会合で長期国債買入れの減額計画を示しました。減額計画では、月間の長期国債の買入れ予定額を原則として毎四半期4,000億円程度ずつ減額するとされています。2024年7月に月額5.7兆円程度であった買入れ額は、2024年度末で同4.5兆円程度、2025年度末で同2.9兆円程度へと減額され、日本銀行の保有する国債残高はおおよそ7~8%減少すると見込まれています。 為替市場をみると、2024年度に入って以降、変動の大きい展開となっています。4月から7月前半にかけては円安基調で推移し、ドル円レートは一時161円台後半まで円安が進みました。しかし、その後は、日本銀行が追加利上げに踏み切る中、米国の景気に陰りが見えたことでFRBの利下げ観測が高まったことなどもあり、日米金融政策の方向感の違いが強く意識されたことで、円高方向への急速な揺り戻しが生じました。2024年10月以降はFRBによる利下げペースが鈍化するとの見方が強まったこと等を背景に円安が進みましたが、2025年に入ると、トランプ政権の関税政策が米国に景気後退をもたらすとの見方が強まったことで、円高が進みました。 株式市場では、2024年の株価は一進一退の動きとなりました。2024年に入ると、デフレ脱却期待を背景に外国人投資家による買いが相場を下支えしたことで、日経平均株価は一時4万円を超えました。7月にはドル円レートが160円を超えたこともあり、企業収益の拡大期待や外国人投資家による買い姿勢の強まりなどを背景に、日経平均株価は史上最高値を更新しましたが、ドル円レートが急速に円高に振れたことで、日経平均株価は下落しました。その後、再度ドル円レートが円安に振れたことで日経平均株価は持ち直したものの、2025年に入ると世界的な景気後退リスクの高まりから日経平均は軟調な動きとなりました。 2025年3月末の日経平均株価は35,617円56銭(2024年3月末比4,751円88銭安)、10年国債利回りは1.497%(同0.747%ptの上昇)、為替は1ドル149円14銭(同2円20銭の円安)となりました。(4)当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析① 営業活動、投資活動及び財務活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。 (単位:百万円) 2024年3月期2025年3月期営業活動によるキャッシュ・フロー705,124△454,066投資活動によるキャッシュ・フロー△223,986△353,443財務活動によるキャッシュ・フロー△2,847199,019現金及び現金同等物に係る換算差額38,101△3,763現金及び現金同等物の増減額(△は減少)516,392△612,253現金及び現金同等物の期首残高3,835,5594,351,951現金及び現金同等物の期末残高4,351,9513,739,698 当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローは、トレーディング商品の増減、有価証券担保貸付金及び有価証券担保借入金の増減、銀行業における預金の増減などにより、△4,540億円(前年度は7,051億円)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得による支出などにより、△3,534億円(同△2,239億円)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行による収入などにより、1,990億円(同△28億円)となりました。これらに為替変動の影響等を加えた結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前年度末比6,122億円減少の3兆7,396億円となりました。 ② 資本の財源及び流動性に係る情報(ⅰ)流動性の管理<財務の効率性と安定性の両立> 当社グループは、多くの資産及び負債を用いる有価証券関連業務や、投融資業務を行っており、これらのビジネスを継続する上で十分な流動性を効率的かつ安定的に確保することを資金調達の基本方針としております。 当社グループの資金調達手段には、社債、ミディアム・ターム・ノート、金融機関借入、コマーシャル・ペーパー、コールマネー、預金受入等の無担保調達、現先取引、レポ取引等の有担保調達があり、これらの多様な調達手段を適切に組み合わせることにより、効率的かつ安定的な資金調達の実現を図っております。 財務の安定性という観点では、環境が大きく変動した場合においても、業務の継続に支障をきたすことのないよう、平時から安定的に資金を確保するよう努めると同時に、危機発生等により、新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、調達資金の償還期限及び調達先の分散を図っております。 当社は、「金融商品取引法第五十七条の十七第一項の規定に基づき、最終指定親会社が当該最終指定親会社及びその子法人等の経営の健全性を判断するための基準として定める最終指定親会社及びその子法人等の経営の健全性のうち流動性に係る健全性の状況を表示する基準」(平成26年金融庁告示第61号)により連結流動性カバレッジ比率(以下、「LCR」という。)及び連結安定調達比率(以下、「NSFR」という。)を所定の比率(それぞれ100%)以上に維持することが求められており、当第4四半期日次平均のLCRは142.9%です。また、当第4四半期末のNSFRは有価証券報告書提出日における速報値で158.9%となっており、確定値は算出完了次第、当社ホームページにて公表する予定です。また、当社は、上記金融庁告示による規制上のLCR及びNSFRのほかに、独自の流動性管理指標を用いた流動性管理態勢を構築しております。即ち、一定期間無担保調達が行えない場合でも業務の継続が可能となるように流動性ストレステストを中心とした流動性リスク管理態勢を構築しております。短期の無担保調達資金の十分性検証として、様々なストレスシナリオを想定したうえで、資金流出見込額をカバーする流動性ポートフォリオが保持されていることを日次で確認しております。長期の無担保調達資金の十分性検証として、ストレス期に換金性の低い資産に対する安定的な資金調達額を定期的にモニタリングしております。 当第4四半期日次平均のLCRの状況は次のとおりです。 (単位:億円) 日次平均(自 2025年1月 至 2025年3月)適格流動資産(A)28,154資金流出額(B)44,766資金流入額(C)25,064連結流動性カバレッジ比率(LCR) 算入可能適格流動資産の合計額(D)28,154 純資金流出額(E)19,701 連結流動性カバレッジ比率(D)/(E)142.9% <グループ全体の資金管理> 当社グループでは、グループ全体での適正な流動性確保という基本方針の下、当社が一元的に資金の流動性の管理・モニタリングを行っており、当社は、必要に応じて当社からグループ各社に対し、機動的な資金の配分・供給を行うと共に、グループ内で資金融通を可能とする態勢を整えることで、効率性に基づく一体的な資金調達及び資金管理を行っております。 <コンティンジェンシー・ファンディング・プラン> 当社グループは、流動性リスクへの対応の一環として、コンティンジェンシー・ファンディング・プランを策定しております。同プランは、信用力の低下等の内生的要因や金融市場の混乱等の外生的要因によるストレスの逼迫度に応じた報告体制や資金調達手段の確保などの方針を定めており、これにより当社グループは機動的な対応により流動性を確保する態勢を整備しております。 当社グループのコンティンジェンシー・ファンディング・プランは、グループ全体のストレスを踏まえて策定しており、変動する金融環境に機動的に対応するため、定期的な見直しを行っております。 また、金融市場の変動の影響が大きく、その流動性確保の重要性の高い大和証券株式会社、株式会社大和ネクスト銀行及び一部の海外証券子会社においては、更に個別のコンティンジェンシー・ファンディング・プランも策定し、同様に定期的な見直しを行っております。 なお、当社は、子会社のコンティンジェンシー・ファンディング・プランの整備状況について定期的にモニタリングしており、必要に応じて想定すべき危機シナリオを考慮して子会社の資金調達プランやコンティンジェンシー・ファンディング・プランそのものの見直しを行い、更には流動性の積み増しを実行すると同時に資産圧縮を図るといった事前の対策を講じることとしております。 (ⅱ)株主資本 当社グループが株式や債券、デリバティブ等のトレーディング取引、貸借取引、引受業務、ストラクチャード・ファイナンス、M&A、プリンシパル・インベストメント、証券担保ローン等の有価証券関連業を中心とした幅広い金融サービスを展開し、新たな価値の提供に資する投融資を行うためには、十分な資本を確保する必要があります。また、当社グループは、日本のみならず、海外においても有価証券関連業務を行っており、それぞれの地域において法規制上必要な資本を維持しなければなりません。 当連結会計年度末の株主資本は、前連結会計年度末比1,238億円増加し、1兆4,420億円となりました。また、資本金及び資本剰余金の合計は5,136億円となっております。利益剰余金は親会社株主に帰属する当期純利益を1,543億円計上したほか、配当金745億円の支払いを行ったこと等により、同800億円増加し1兆414億円となりました。自己株式の控除額は同100億円減少し、1,131億円となっております。 ③ 財務戦略 当社グループの財務戦略の基本は、成長投資、資本効率性、財務健全性及び株主還元の最適なバランスを図り、健全な利益の確保を通じた持続的成長を実現することです。 持続的な成長の実現に際しては、規制並びに制度対応と適正な自己資本水準を維持することを重視しております。強固な財務基盤を堅持するため、過去の金融危機時のストレス・シナリオにも耐えうる資本のバッファーを加味して、連結総自己資本規制比率には社内管理水準を設定しております。 成長投資に関しましては、当連結会計年度も既存事業の競争力強化のための投資や事業ポートフォリオ多様化のための出資などを数多く実行いたしました。その上で、連結総自己資本規制比率は、速報ベースで社内管理水準を上回っており、今後も継続的な成長投資を行うための十分な資本余力を有しております。このため、証券ビジネスの顧客基盤拡大に向けた投資やコアビジネスと親和性のある周辺領域への投資は今後も常に検討してまいります。 株主還元策については「第4提出会社の状況 3配当政策」に記載のとおりです。 当社の資金調達の方法については、「② 資本の財源及び流動性に係る情報」に記載しております。 |
※本記事は「株式会社大和証券グループ本社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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