会社名 | 第一生命ホールディングス株式会社 |
業種 | 保険業 |
従業員数 | 連59495名 単895名 |
従業員平均年齢 | 41歳 |
従業員平均勤続年数 | 14年 |
平均年収 | 9499000円 |
1株当たりの純資産 | 4107.03円 |
1株当たりの純利益 | 329.68円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 113円 |
配当性向 | 63% |
株価収益率(PER) | 11.7倍 |
自己資本利益率(ROE) | 9.8% |
営業活動によるCF | 9973億円 |
投資活動によるCF | ▲6016億円 |
財務活動によるCF | ▲1457億円 |
研究開発費※1 | -円 |
設備投資額※1 | 57億円 |
販売費および一般管理費※1 | 149.35億円 |
株主資本比率※2 | 54.2% |
有利子負債残高(連結)※3 | 9221.98億円 |
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) グループ企業理念1902年に日本で創業し、アジア・パシフィック、北米等グローバルに事業を展開しております当社グループでは、グループ理念を共有・浸透することで、グループ各社が、それぞれの地域や国で、生命保険の提供を中心に人々の安心で豊かな暮らしと地域社会の発展に貢献するとともに、グループの提供価値を最大化し持続的な成長を実現することを目指してまいりました。社会の変化が一層激しくなる中で、グループが目指す新たな未来に向け変革を実践するために、グループ企業理念を刷新いたしました。具体的には、「グループの社会における存在意義」であるパーパス(Purpose)とパーパスを実現するためのバリューズ(Values)「大切にする価値観」について、策定いたしました。当社グループは、新たなパーパス及びバリューズの浸透を通じ、グループ社員の一体感醸成により従業員エンゲージメントを高めるとともに、積極的な挑戦・変革を通じ、企業の革新性を高めることで、社会課題の解決と企業価値向上に向けて常に挑戦し続けてまいります。 〈グループ企業理念〉 Purpose:グループの社会における存在意義「共に歩み、未来をひらく 多様な幸せと希望に満ちた世界へ」“Partnering with you to build a brighter and more secure future”当社グループの目指す世界は、1人ひとりの異なる価値観や生き方が尊重され、多様な幸せと未来への希望に満ちた世界です。このような世界を実現するために、私たちは、お客さまをはじめとするステークホルダーと共に歩み、未来を切りひらくための挑戦を続けてまいります。 Values:大切にする価値観Purposeの実現のためにグループのすべての従業員が大切にする価値観として、Valuesを定めます。 「いちばん、人を考える」“We care”私たちは、お客さま、地域・社会、株主・投資家、お取引先、従業員など、企業活動を通じて関わるあらゆる「人」のことを誰よりも真剣に考えます。 「まっすぐに、最良を追求する」“We do what’s right”私たちは、お客さまや社会にとっての「最良」を常に誠実に追い求めます。 「まっさきに、変革を実現する」“We innovate”私たちは、スピード感をもって自ら変革し続けます。 Brand Message:Purposeを端的に表したコミュニケーションメッセージ「一生涯のパートナー」“By your side, for life” 当社グループはPurposeを実現するため、事業活動を通じた社会的価値の創造に取り組みます。 (2) 経営環境及び対処すべき課題グローバルに事業を展開する当社グループを取り巻く経営環境は、複雑さを増しております。世界各地で地政学的な緊張が継続し世界経済に大きな影響を及ぼす一方、生成AIや半導体が世界の株高を牽引しております。国内においても、マイナス金利政策の解除により金利のある世界が戻ってきた他、コロナ禍以降の急速なデジタル化を背景に、お客さまの暮らしや価値観の多様化が加速度的に進展しております。また、世界的に経済成長やテクノロジーの劇的な進化が続く一方で、国内外を問わず社会の分断や様々な二極化が発生しております。当社グループは目を背けることなく、社会や人々に寄り添い、社会課題の解決に向けて真摯な取組みを続けていかなくてはならないと考えております。こうした複雑化・多様化が進む環境にあって、当社グループは、狭義の生命保険業を続けているだけでは、持続的に社会に貢献し、企業として成長していくことが難しくなっております。今後もステークホルダーの皆さまからの期待にお応えしていくためには、お客さまの日々の生活をあらゆる面でサポートする保険サービス業への変革を実現することが、不可欠だと考えております。 ①経営環境2024年3月期の世界経済は各国中央銀行による金融引締め等を背景に全般的に減速したものの、米国経済が堅調さを保ったことで全体としては緩やかな減速にとどまりました。日本経済は、新型コロナウイルスに伴う行動制限の緩和やインバウンド需要の回復が追い風となる一方、物価高による実質賃金の減少を背景に個人消費は伸び悩み、海外経済の減速や能登半島地震の影響等もあり、景気の回復ペースは緩やかなものにとどまりました。金融環境については、多くの国で引締め的な金融政策が取られる中にありながら、米国経済の落込みが市場の想定を下回ったことや、AIをはじめとした新技術に対する期待が高まったことで、世界の株式市場は堅調に推移しました。為替市場ではFRBの金融引き締めが長期化するとの観測の下、円安ドル高が進みました。国内では、日本銀行が2023年10月にイールドカーブコントロール(YCC)の柔軟化、2024年3月にはマイナス金利政策の解除、YCCの廃止等を実施する中、長期金利は緩やかに上昇しました。国内外で生命保険事業を中心に事業を展開する当社グループは、確実な保険金及び給付金のお支払い等を通じて、保険事業者としての役割を継続して果たしてまいりました。また、外部環境が大きく変化する中、中期経営計画「Re-connect 2023」における4つの重要施策(国内事業、海外事業、財務・資本、サステナビリティ・経営基盤)を着実に進展させました。 ②優先的に対処すべき課題当社グループを取り巻く経営環境は、生成AIの実装に見られるデジタル技術の急速な進化や、日本銀行によるマイナス金利政策の解除や株価上昇といった経済環境の急変等を通じて、大きく変化しました。経営環境の変化は当社グループの事業・業績にも大きな影響を与えており、今後、当社グループが持続的に成長していくためには、今までにない大きな変革が必要になると考えております。このような環境認識の下、当社グループは2025年3月期から新たな中期経営計画を開始いたしました。お客さま満足度、従業員満足度、商品・サービスの革新性、企業価値の4つの領域で2030年までに国内No.1を目指すとともに、保険業の未来を先導する存在として、グローバルトップティアに伍する存在を目指します。新中期経営計画期間である3年間は、当社が2030年に目指す姿に向けて成長を加速させるステージと位置付けており、目指すべき姿への指針として策定した、パーパス・バリューズを道標として企業価値の向上に向けた取組みを加速してまいりたいと考えております。国内事業では、新契約業績の早期回復に向けた取組みと、質と生産性を重視した中長期的なビジネスモデル変革を同時追求してまいります。「保障」と「資産形成・承継」の両面における一体的な商品・サービスの提供とコンサルティング推進によってお客さまに共感される価値提供に取り組むとともに、生成AIをはじめとしたテクノロジーの活用・DX推進により、価値創造とチャネル生産性の向上を実現してまいります。また、非保険領域の取組みも加速し、人生100年時代における社会課題解決に貢献するとともに、第一生命保険株式会社(以下、「第一生命」という。)では金銭に係る不正行為撲滅に向けた経営品質刷新に取り組み、多様化するお客さまのニーズを捉えた新商品の開発と、デジタルとリアルを最適に組み合わせたコンサルティング能力の強化によって、コロナ前水準の新契約業績への回帰に向けた取組みを加速させてまいります。海外事業では、既存進出国の市場規模、事業ステージ及び各社の業界ポジション等を踏まえて策定した戦略に基づき、資本効率の改善や利益貢献の拡大に取り組みます。新中期経営計画で掲げる利益目標について、各地域における既存事業のオーガニック成長だけでは不足する部分は、M&A等を通じたインオーガニック成長によってカバーしてまいりたいと考えております。財務・資本政策では、高い資本効率や成長性が見込まれる事業への資本投下を通じ、グループの資本効率とキャッシュ創出力を高めるとともに、充実・安定した株主還元を目指す資本循環経営を引き続き推進してまいります。資本効率の改善及び資本コストの低減を通じて、資本コストを安定的に上回る資本効率を実現することで、当社の企業価値の向上を目指してまいります。グループ経営管理態勢の面では、CXOポストを更に拡充し、コーポレート機能の強化を図りつつ、新たに事業オーナー制を導入することで、事業と機能のマトリクス経営を本格的に推進いたします。また、事業運営の大前提である持続可能な社会の実現に向けては、新たに重要課題(コア・マテリアリティ)を策定し、事業と社会価値創造の共創に取り組んでまいります。当社グループは、今後も目指すべき姿に向けて企業価値増加に資する変革を加速させてまいります。 (3) 中期経営計画「Re-connect 2023」の進捗2024年3月期は中期経営計画「Re-connect 2023」の最終年度であります。当社グループは、2024年3月期までの中期経営計画「Re-connect 2023」で掲げた4つの重要施策(国内事業、海外事業、財務・資本、サステナビリティ・経営基盤)を着実に進展させ、一部に課題は残したものの、重要経営指標(KPI)の目標水準を概ね達成いたしました。「「Re-connect 2023」グループ重要経営指標(KPI)の状況」については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 財政状態、経営成績」をご参照下さい。 2024年3月期における各事業の主な取組みは次のとおりであります。 ①国内事業国内事業では、お客さまに選ばれ続ける保険グループとなることを目指し、顕在化する社会課題の解決とデジタル化の潮流を捉えた商品・サービスの改革に取り組んでおります。従来の保険の枠にとどまらない4つの体験価値(保障、資産形成・承継、健康・医療、つながり・絆)をお届けすることで、すべての人々の“well-being(幸せ)”に貢献する取組みを推進しました。また、それぞれの体験価値をより多くのお客さまに日常的に体験いただけるよう、デジタルの利点とリアルの強みを融合した当社グループ版OMO(※1)の実現を目指し、デジタル接点の拡充と、リアルチャネルのコンサルティング力向上等に取り組みました。※1 Online Merges with Offlineの略語であります。 <4つの体験価値(保障、資産形成・承継、健康・医療、つながり・絆)>「保障」当社グループでは、第一生命、ネオファースト生命保険株式会社(以下、「ネオファースト生命」という。)、第一スマート少額短期保険株式会社の国内3社で「保障」をお届けし、多様化するお客さまニーズにお応えしております。第一生命では、生涯設計デザイナーチャネル体制の改革に取り組むとともに、社会保障制度と連動したライフプランコンサルティングの推進、保障と資産形成・承継の一体的な価値提供に向けた商品ラインアップの拡充に取り組みました。ネオファースト生命では、三大疾病の治療等にかかる費用をまとまった一時金でサポートする三大疾病一時給付保険「ネオde3疾病サポート」を新たに発売する等、お客さまの「ココロとカラダの充実(wellness)」を応援する商品・サービスの拡充に取り組みました。また、第一スマート少額短期保険株式会社では旅行・宿泊予約のキャンセル費用を補償するデジタル完結型保険「トラベルキャンセル保険」を発売する等、新たな保険体験価値の創出に取り組みました。今後もグループ一体となって、多様化するお客さまニーズにお応えしてまいります。 「資産形成・承継」当社グループでは、個人向け貯蓄・投信事業、団体年金事業、投信窓販事業等、資産形成・承継領域における各事業が持つ強みを活かし、お客さまのライフステージごとのニーズをサポートできる「商品競争力の強化・拡充」、「コンサルティング機能の高度化」、「デジタル接点の強化」に取り組んでおります。人生100年時代に資する貯蓄性商品の競争力向上、商品開発力の強化、アセットマネジメント事業の強化・拡大に向けて、オルタナティブ運用機能の拡充にも取り組んでおり、2023年12月にトパーズ・キャピタル株式会社を買収、2024年3月には米国のキャニオン・パートナーズ・グループ(※2)への出資について同社と合意しました。また、バーテックス・インベストメント・ソリューションズ株式会社のクオンツ運用ノウハウを活用した指数連動型年金「ステップジャンプ」を2023年12月に第一生命で発売し、第一フロンティア生命保険株式会社(以下、「第一フロンティア生命」という。)では資産承継ニーズにも対応できる「プレミアレシーブ2」を2024年1月に発売する等、お客さまにとって魅力ある商品・サービスの提供に努め、当社グループ全体の運用機能の強化を推進しました。さらに第一生命では、保障性商品に加えてiDeCoや投資信託等も取り扱う資産形成・承継・相続アドバイザーの育成を開始し、2024年3月末時点で300名以上が保障と資産形成の一体コンサルティング活動を行っております。また、資産形成をサポートするWebプラットフォーム「資産形成プラス」の機能強化を図り、対面・デジタル両面からお客さまに最適なソリューションを提供できるよう取り組んでおります。※2 Canyon Partners, LLC、Canyon Partners Real Estate LLC及び傘下関連法人であります。 「健康・医療」当社グループは、「生活習慣病予防」、「メンタルヘルス対策」の2つを柱とした健康維持・増進施策を通じた重症化予防、女性の健康、両立支援策に取り組むことで、社員well-being実現の土台となる「健康経営R」を推進しております。また、社員のみならず、お客さま、地域・社会の健康増進に寄与する「健康経営R」を推進することを通じて、すべての人々のwell-beingへの貢献に挑戦しております。第一生命では、「健康寿命の延伸」という社会課題の解決に向け、将来の医療費適正化や効率的な保健事業運営をワンパッケージで支援する健康保険組合向けサービスHealstepR(ヘルステップ)のサービス拡充に取り組みました。また、HealstepRを導入いただいている健康保険組合は着実に増加しており、事業主マーケットへのサービス提供を拡大しました。 「つながり・絆」当社グループでは、従来の保障や資産形成・承継領域の商品・サービスの提供に留まらず、健康・医療やつながり・絆を含む新規領域の商品・サービスを、エコシステムを通じてシームレスにお客さまに提供することを目指しております。2024年3月期は、アイペットホールディングス株式会社において主力商品であるペット保険の販売が好調に推移しました。また、新たに株式会社ベネフィット・ワンの買収に向けたTOBを完了し、エコシステムのハブとなる企業福利厚生プラットフォーム機能の獲得に向けた取組みを前進させました。今後、同社のプラットフォームの活用を戦略の中核に据え、グループ各社と連携しながら協業メニューを策定し、国内事業における“深化”と“探索”を図ります。 ②海外事業海外事業では、グループ全体の持続的な企業価値向上に向けて、海外各社の成長戦略の推進と、資本効率の追求によるフリーキャッシュ・フローの創出に取り組みました。また、新規取組みでは、資本効率の高い良質な投資機会を追求し、新たな事業領域の探索を行っております。 <既存進出国における取組み内容・新規取組み>「既存進出国(アメリカ・オーストラリア・ベトナム等)」Protective Life Corporation(以下、「プロテクティブ」という。)では、破綻した米国銀行の債券に関する損失や、解約率等の保険負債前提の見直しの影響を受けて、修正利益(※3)は減益となりましたが、世界最大の生命保険市場であるアメリカにおいて、リテール事業と買収事業の両輪の拡大に向けた取組みを継続しました。TAL Dai-ichi Life Australia Pty Ltd(以下、「TAL」という。)では、2023年3月期に買収完了したTAL Life Insurance Services Limited(旧Westpac Life Insurance Services Limited)からの収益貢献が利益を押し上げ、オーストラリアの保障性市場における業界首位の事業基盤が一層強化されました。基礎的収益力が堅調に推移したことに加えて、金利環境もポジティブに作用し、修正利益は増益となりました。ベトナムでは、銀行チャネルの販売モメンタムが低下した影響等により、業界全体で販売が大きく落ち込みました。この影響を受けて、Dai-ichi Life Insurance Company of Vietnam, Limited(以下、「第一生命ベトナム」という。)は減収減益となりましたが、販売チャネルの体制強化、募集品質の改善及びお客さまの体験価値向上等に取り組むことで、他社と比べて販売減を抑制させました。この結果、販売シェアが上昇する等、業界大手のポジションを維持・拡大させております。その他の進出国においても、各社の事業ステージに応じた成長戦略に基づく取組みを行いました。※3 キャッシュベースの実質的な利益を示す当社独自の指標であります。 「新規取組み」新たな事業領域の探索では、インドの大手デジタル保険ブローカーRenewBuy社(D2C Consulting Services Private Limited)へ出資を行い、同社の広範な販売網の活用による当社インド事業の強化に取り組むとともに、同社の先進的なテクノロジーや組織能力について、当社グループへ展開することを企画・検討しております。また、2023年3月期に出資をしたYuLife Holdings Ltd.との共同取組みの第一弾として、日本国内で、同社が提供するサービス(YuLifeアプリ)のトライアル展開を開始いたしました。 ③財務・資本政策 <資本循環経営の実践>当社グループは、財務健全性を維持しつつ、持続的な企業価値向上と株主還元の更なる充実を目指して、ERM(Enterprise Risk Management)(※4)の枠組みに基づく資本政策運営を行っております。中期経営計画「Re-connect 2023」では、高い資本効率や成長性が見込まれる事業への資本投下を通じてグループの資本効率・キャッシュ創出力を高めるとともに、株主還元を充実させる「資本循環経営」(※5)を推進しました。2024年3月期実績に基づくキャッシュ・フローについては、グループ会社からの配当等により創出したキャッシュを戦略投資や株主還元に活用し、成長に向けた戦略的投資と株主還元の充実が両立する資本配賦を実現しております。2024年3月期グループ修正利益をベースとしたグループ会社からの配当等は、前期を上回る約3,000億円を確保する見通しであります。※4 ERMとは、事業におけるリスクの種類や特性を踏まえ、利益・資本・リスクの状況に応じた経営計画・資本政策を策定し、事業活動を推進することを指しております。※5 「資本循環経営」とは、事業運営を通じて稼得した資本や、リスク削減によって解放された資本を財源として、財務健全性を確保しつつ、より高資本効率・高成長事業へと資本を再配賦することで資本・キャッシュ創出の好循環を生み出し、企業価値向上を目指す考え方であります。 <リスクプロファイルの変革に向けた市場関連リスク削減の取組み>当社グループでは、資本コストの低減とリスク・リターンの向上を通じた資本効率の改善を目指しております。中長期的に目指す姿として、市場関連リスクに偏った現在のリスクプロファイルを、保険リスク中心のリスクプロファイルにシフトすることを企図しており、中期経営計画「Re-connect 2023」では第一生命における金利・株式リスク量の削減目標をグループ重要経営指標に設定し、取組みを推進いたしました。2024年3月期の第一生命における市場関連リスク削減の取組みは、中期経営計画「Re-connect 2023」の当初掲げた削減計画を上回りました。金利リスク削減については、2024年3月期は超長期債券の継続的な購入や銘柄の入替えによるデュレーションの長期化等の取組みを着実に進めることで、当初想定を大きく上回る取組み実績となりました。株式リスク削減については、保有する国内株式の売却等を通じ、取組みを着実に進めたものの、2024年3月期の国内株式の時価上昇に伴う影響を受け株式リスクは増加することになりました。資本効率の更なる改善に向けて、歩みを止めることなく、市場関連リスク削減への取組みをはじめとする、リスクプロファイルの変革に引き続き取り組んでまいります。 ④サステナビリティ・経営基盤<持続的社会の実現に向けて>当社グループは、気候変動問題を地球環境への取組みにおける最重要課題と位置付け、機関投資家と事業会社の両面の立場から、ネットゼロの実現に向けた取組みを推進しております。2024年3月期の取組みにおいて、事業会社としては、前期実績におけるRE100(※6)達成企業の認定(※7)を受けました。機関投資家としては、資産運用ポートフォリオにおける温室効果ガス(GHG)排出量を、2030年3月期までに50%削減するという中間目標(※8)を設定いたしました。また、第一生命と第一フロンティア生命共同で「責任投資の中期取組方針(2030年3月まで)(※9)」を策定し、GHG排出量削減や社会課題解決に向けた投融資に関する共通の目標を設定する等、責任投資の更なる高度化に取り組んでおります。2024年3月期は、GFANZ(※10)移行計画ガイダンスに基づき、ネットゼロ実現に関する行動計画である「ネットゼロ移行計画」を日本の保険会社として初めて策定・開示いたしました。また、2023年6月に始動したGFANZ初の国別支部である日本支部においては、コンサルテーティブグループ(※11)の初代議長に当社取締役会長の稲垣 精二が就任し、COP28をはじめとする様々な国際会合の場で、ネットゼロ移行に向けた金融機関としての意見発信を行っております。加えて、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)(※12)開示提言へのEarly Adopter登録(※13)等、各種イニシアティブへの参画を通じてネイチャーポジティブの実現に向けた取組みにも貢献しております。当社グループでは、持続的社会の実現に向けた取組みを力強く推進するために、当社グループの経営幹部とサステナビリティや気候変動問題、well-beingといった各分野の外部有識者で構成する「グループサステナビリティ推進委員会」を年4回開催し、グループ横断的かつ中長期的な視点で議論を行っております。こうした取組みを受けて、2024年3月期に当社はアジア・太平洋地域におけるサステナビリティに関する取組みが優れた企業として、S&P社の“Dow Jones Sustainability Asia Pacific Index”の構成銘柄に継続選定されました。※6 事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする国際的イニシアティブであります。第一生命が加盟しております。※7 RE100 Annual Disclosure Report 2023のデータを参照しております。※8 上場株式、社債、不動産、融資に対する削減目標であります。※9 方針の内容については下記リンク先をご覧ください。 https://www.dai-ichi-life-hd.com/newsroom/newsrelease/2023/pdf/index_052.pdf※10 Glasgow Financial Alliance for Net Zeroの略称で、ネットゼロへの移行を目的に設立されたアセットオーナー、銀行、保険、運用会社等のイニシアティブの連合体であります。※11 金融機関や政府機関の代表者等で構成される助言機関であります。※12 Taskforce on Nature-related Financial Disclosures:2021年6月に発足した自然関連の財務情報を開示する枠組みの開発・提供をめざす国際イニシアティブ※13 TNFD 提言に基づく開示を行う意思をTNFDのウェブサイトで登録した企業等のことであります。登録した企業は2024年度分もしくは2025年度分のいずれかにおいてTNFD提言に準拠した開示を行う必要があります。 <人財・ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン・人権尊重>当社グループが成長し、企業価値の更なる向上を成し遂げるには、多様な人財の活躍が必要不可欠です。グループの経営戦略と連動しつつ、各社の独自性を理解・尊重すると同時に、性別、年齢、経歴、国籍等に関係なく、価値創造に貢献できる人財の育成、環境づくりが欠かせません。企業価値向上を支える多様な人財を育成するため、2027年3月期を目途に3,400名程度の人財の戦略的シフトに取り組んでおります。特にビジネスモデル変革の推進力となる人財育成を強化し、グループ内外を問わず収益力強化につながる領域や新規事業への人員配置を進めてまいります。また、お客さま第一の業務運営方針の実践に向けて組織と社員の結び付きをより高めるため、全役員と社員との対話の機会の場としてタウンホールミーティングや、少人数での「役員と語る」会を継続して実施している他、組織と社員の結び付きをエンゲージメント調査にて定期的に測定しております。こうした取組みを通じてグローバルトップレベルの保険グループを目指すとともに、全世界の社員が生き生きと個性を発揮し、活躍できる企業風土の実現を引き続き目指してまいります。また、当社グループでは、第一生命グループ人権方針において、事業に関わるすべての方の人権を尊重する責任を果たすことを表明しております。海外グループ会社では、ICCS(※14)のフレームワークを用いて人権デュー・ディリジェンス(以下、「人権DD」という。)体制の整備を着実に進めつつ、国内グループ会社では業務委託先における人権DD取組みを推進いたしました。※14 海外生命保険会社の内部統制態勢の整備状況を確認・評価するツールであります。 (4) 当社グループの目指す姿と2024-2026年度中期経営計画<当社グループの目指す姿>2025年3月期より始まった新たな中期経営計画は、『お客さま満足度、従業員満足度、商品・サービスの革新性、企業価値の4つの領域で国内No.1』、『グローバルトップティアの保険グループに伍する存在になること 』、『保険業の未来を先導する存在になること』を2030年に目指す姿として定めたうえで、その目指す姿からバックキャストして、次の3年間で実現すべき取組みを具体化する形で策定いたしました。 <グループパーパス・バリューズの制定>「(1) グループ企業理念」に記載のとおり、当社グループでは、社会の変化が一層激しくなる中で 、新中期経営計画で目指す姿の実現に向け、グループ一丸となって邁進するべく、「グループの社会における存在意義」であるパーパスを新たに制定するとともに、バリューズも「大切にする価値観」として、創業以来大切にしてきた価値観をベースに改めて見直しました。 <コア・マテリアリティの策定>グループパーパスの制定と合わせて、事業と社会価値創造の共創に取り組むことで2030年に目指す姿を実現すべく、当社グループが優先的に取り組む重要課題を「コア・マテリアリティ」として定義し、具体的には、「Financial Well-being for All(すべての世代を支える金融サービスの提供)」、「Healthy People and Society(一人ひとりのWell-beingと健全な社会への貢献)」、「Green Leadership(気候変動を中心とした環境課題への戦略的対応)」、「Proactive Governance and Engagement(経営基盤の強化と社員・多様なステークホルダーとの積極的な向き合い)」としました。財務的価値だけではなく、非財務面での社会的価値を創造することが真のサステナブルな企業グループであり、各種の事業戦略や経営基盤の大前提として、引き続き積極的に取り組んでまいります。 <新中期経営計画における重要取組み>①事業戦略国内の市場規模が今後縮小していくことを前提に、より資本効率・成長性の高い領域へ経営資源をシフトすることで、グループ全体の企業価値向上を目指します。国内事業においては、国内保険事業で安定的かつ持続的な利益・キャッシュの創出を維持しながら、新規事業やデジタル分野を強化することで、商品・サービスの革新性を高めてまいります。海外事業では事業規模の拡大を目指します。海外保険事業では当社の成長ドライバーとして、順調に利益規模を拡大してきており、現在30%前後のグループ修正利益における海外保険事業の利益占率を2027年3月期に40%、2030年には50%へ拡大させてまいります。 ②財務・資本戦略事業運営を通じて稼得した資本やリスク削減によって解放された資本を財源として、財務健全性を維持しつつ、より高い資本効率・高い成長性の事業へ資本を再配賦する資本循環経営を継続することで、資本・キャッシュ創出の好循環を生み出し、企業価値向上を目指します。これにより、新中期経営計画末までに資本効率(修正ROE(※1)目標10%)が資本コスト(目標8%)を安定的に上回る状態の実現を目指します。2028年3月期以降は戦略投資を拡大することで、更なる利益成長を目指してまいります。当社の資本政策については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 資本政策」をご参照下さい。※1 キャッシュベースの実質的な利益を示す修正利益を分子、キャッシュベースの実質的な純資産を示す修正ROE用純資産を分母とした当社独自の指標であります。 ③経営基盤企業価値向上に向けた事業戦略・財務戦略を安定的に支える経営基盤としてグループガバナンス態勢を一層強化してまいります。CXOポストの拡充と事業オーナー制の導入によりマトリクス型経営管理体制を強化し、レポーティングラインの整備・見直しを図ります。当社のCXO体制と事業オーナー制については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (2) 役員の状況」をご参照下さい。 |
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 当連結会計年度(2023年4月1日から開始し、2024年3月31日に終了した連結会計年度をいいます。以下同じ。) における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。 (1) 財政状態、経営成績①連結業績における概況営業活動の成果である新契約年換算保険料は、第一生命が引き続き低位にとどまった一方で、第一フロンティア生命が好調な販売でグループ全体を牽引し、国内全体で前期比増収となりました。海外保険事業では、第一生命ベトナムにおいて現地の銀行チャネルで販売モメンタムが低下した影響等から、海外全体において、前期比で減収となりました。グループ保有契約年換算保険料は、第一フロンティア生命の好調な販売実績に牽引され、前期末比で増加しました。当社グループの実質的な利益指標であるグループ修正利益(※1)は増益となりました。第一生命における為替ヘッジ付外貨建債券のヘッジコスト上昇や新型コロナウイルス関連の給付金支払い増加等の前期業績の下押しとなった一過性の減益要因からの反動増が主因となり、前期を上回る着地となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、グループ修正利益と同様の要因により、増益となりました。当社グループは、経済価値ベースの新たな資本規制の導入を見据え、国内子会社分(※2)について資本充足率を表すESRの計測基準を見直しました。それに伴い、経済価値ベースの企業価値を示すグループEVについては、新基準ベースのESRの分子にあたる適格資本に一定の調整を加えたものを従前のEEVに換えて示すことといたしました(※3)。新たな基準に基づくグループEVは、国内金利上昇や株価上昇等により第一生命の保有契約価値が増加したことを主な要因として前期末比で増加しました。グループ新契約価値についても、当社グループの経済価値の増加分の実態が反映されるように計測基準の見直しを行いました(※4)。第一生命の自社商品販売量の低下やプロテクティブで前期の大型経営者保険の販売影響が剥落したこと等を受けて、前期比で減少しました。 項目2023年3月期2024年3月期前期比グループ新契約年換算保険料3,936億円5,029億円127.8%グループ保有契約年換算保険料(※5)4兆5,250億円4兆8,108億円106.3%親会社株主に帰属する当期純利益(※6)1,737億円3,207億円184.6%グループ修正利益(※6)1,705億円3,193億円187.2%うち国内保険事業1,739億円2,178億円125.2%うち海外保険事業624億円766億円122.8%うちその他事業△658億円249億円-グループEV(※5)7兆742億円8兆8,921億円125.7%グループ新契約価値(※7)777億円545億円70.1% ※1 グループ修正利益とは、株主還元の原資となる当社独自の指標であり、グループ各社の修正利益を合計したものであります。各社の修正利益は、キャッシュベースの実質的な利益を示しております。持株会社である当社は、各社から受け取る配当金等に基づき株主還元を行います。※2 第一生命、第一フロンティア生命、ネオファースト生命を対象としております。※3 新基準ベースのEV(新基準ベースのESRの分子である適格資本に一定の調整を加えたもの)は、従前のEEVと比較して、保険負債を評価する割引率や保険リスクマージンの取扱いに差異があります。2023年3月末ベースの数値では、特に第一生命における保険リスクマージンの導入による影響が大きく、新基準ベースのEVは従前のEEVと比較して約0.3兆円低い水準となりました。※4 新基準ベースのグループ新契約価値は、従前のグループ新契約価値と比較して、保険負債を評価する割引率や保険リスクマージンの取扱いに差異があります。特に第一フロンティア生命の保険負債を評価する割引率について、従前の計測基準では保守的な割引率が用いられていたところ、新たな計測基準では期待運用利回りを一定程度反映する形としたことで、2023年3月期の数値では、新基準ベースのグループ新契約価値は従前のグループ新契約価値と比較して約65億円高い水準となりました。※5 期末の数値を記載しております。※6 2024年3月期から一部の在外連結子会社がIFRS第17号を適用したことに伴い、前期(2023年3月期)の数値についてグループ連結の数値を含めて遡及修正した値を表示しております。※7 グループ新契約価値について、2023年9月29日に公表しました誤計上による修正を反映し、新基準ベースの金額を表示しております。 基礎利益の詳細については、「(参考1)当社グループの固有指標の分析」をご参照ください。 ②「Re-connect 2023」グループ重要経営指標(KPI)の状況中期経営計画「Re-connect 2023」で掲げたグループ重要経営指標は、2024年3月期の増益や、国内の金融環境が好調に推移した影響により、概ね達成する結果となりました。市場関連リスク削減の取組みについては、国内金利の上昇等を背景に特に金利リスク削減が大きく進展した一方で、株価上昇により保有株式の時価が上昇したことで、株式リスク量は計画策定時点の水準より増加する結果となり、新中期経営計画に向けて課題を残しました。資本効率を示すグループ修正ROE(※1)は、第一生命における為替ヘッジコスト負担増加や新型コロナウイルス関連の給付金支払い増加等の前期の減益要因からの反動増を主な要因としてグループ修正利益が増益となった一方で、保有株式の時価上昇により純資産が増加したことで、8.2%となりました。グループROEV(※2)は、金利上昇に伴い保有契約価値が増加したことにより、26.8%となりました。リスクプロファイル変革に向けた市場関連リスクの削減取組みについては、経済環境による影響を除き、第一生命において中期経営計画期間合計で約5,600億円の削減目標を超過達成いたしました。また、財務健全性を示す資本充足率(ESR)は、国内子会社の計算基準を経済価値ベースの新規制導入を見据えて見直した新基準ベースで226%となりました。市場評価を示す相対TSR(※3)(※4)(※5)は、2023年に入ってからの国内株式市場の上昇や、日本銀行の政策変更等の影響もあり堅調に推移し、競合10社との比較で第4位となりました。 ※1 グループ修正ROEは、「修正利益÷{純資産-のれん・確定利付資産含み損益(税後)・市場価格調整(MVA)関連損益累計(税後)等}」にて算出します。※2 ROEVとは、Return on Embedded Valueの略語で、EVの増加額を生命保険会計の特殊性を考慮した利益と見做し、企業価値の成長性を測定する指標であります。※3 TSRとは、Total Shareholder Return(株主総利回り)の略語で、キャピタルゲインとインカムゲインを合わせた株主にとっての総合投資利回りを指します。※4 相対TSRは、以下の合計10社との比較です。(HDとは、ホールディングスの略語です。)国内保険会社5社:かんぽ生命保険、T&DHD、東京海上HD、MS&ADインシュアランスグループHD及びSOMPOHDグローバルで生命保険事業を展開し、日米市場等で当社グループと競合関係にある会社5社:Aflac、AXA、Manulife、MetLife及びPrudential(米国)※5 2024年4月1日時点当社集計値であります。 ③新中期経営計画におけるグループ重要経営指標(KPI)2024-2026年度中期経営計画では、当社グループの目指す姿の実現に向けた重要な指標をグループ重要経営指標(KPI)として設定いたしました。グループROEV・グループ修正ROEといったグループ資本効率を引き続き最重要指標と位置づけて構成しております。また、財務指標以外にも、非財務目標としてお客さま数やESGインデックスを設定しております。事業戦略・財務戦略の遂行と経営基盤の強化、資本効率改善を通じた企業価値向上を目指してまいります。 〈当連結会計年度の業績〉当連結会計年度の業績は以下のとおりであります。なお、当連結会計年度の期首から一部の在外連結子会社において、会計方針の変更を行っております。それに伴い前連結会計年度については遡及適用後の連結財務諸表となっております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の「注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。 ① 経常収益経常収益は11兆281億円(前期比16.0%増)となりました。経常収益の内訳は、保険料等収入が7兆5,263億円(同13.1%増)、資産運用収益が3兆339億円(同33.0%増)、その他経常収益が4,678億円(同18.4%減)となっております。a 保険料等収入保険料等収入は、前連結会計年度(2022年4月1日から開始し、2023年3月31日に終了した連結会計年度をいいます。以下、前連結会計年度及び前期につき同じ。) に比べ8,719億円増加し、7兆5,263億円(前期比13.1%増)となりました。保険料等収入が増加した主な要因は、第一フロンティア生命において、高水準が続く海外金利の影響で販売好調が続いている外貨建保険に加え、円建指数連動型年金も販売が好調に推移したことであります。b 資産運用収益資産運用収益は、前連結会計年度に比べ7,531億円増加し、3兆339億円(前期比33.0%増)となりました。資産運用収益が増加した主な要因は、第一フロンティア生命において、円安進展により為替差益が大幅に増益となったことであります。c その他経常収益その他経常収益は、前連結会計年度に比べ1,056億円減少し、4,678億円(前期比18.4%減)となりました。その他経常収益が減少した主な要因は、第一フロンティア生命において、前期におけるDai-ichi Life Reinsurance Bermuda Ltd.への既契約ブロック出再に伴う責任準備金戻入という一過性の増収要因が剥落したことであります。 ② 経常費用経常費用は10兆4,891億円(前期比15.0%増)となりました。経常費用の内訳は、保険金等支払金が6兆7,568億円(同3.2%増)、責任準備金等繰入額が1兆8,774億円(前期は153億円)、資産運用費用が6,038億円(同47.3%減)、事業費が9,263億円(同10.1%増)、その他経常費用が3,246億円(同43.1%減)となっております。a 保険金等支払金保険金等支払金は、前連結会計年度に比べ2,086億円増加し、6兆7,568億円(前期比3.2%増)となりました。保険金等支払金が増加した主な要因は、第一生命において、一時払終身保険の解約増加等に伴い解約返戻金が増加したことであります。b 責任準備金等繰入額責任準備金等繰入額は、前連結会計年度に比べ1兆8,620億円増加し、1兆8,774億円(前期は153億円)となりました。責任準備金等繰入額が大幅に増加した主な要因は、第一フロンティア生命やプロテクティブにおいて、責任準備金が繰入から大幅に戻入に転じるという前期における一過性要因が剥落したことであります。c 資産運用費用資産運用費用は、前連結会計年度に比べ5,420億円減少し、6,038億円(前期比47.3%減)となりました。資産運用費用が減少した主な要因は、金融市場環境の変化に伴いプロテクティブにおける売買目的有価証券の評価損益等が前期から大幅に改善したことであります。d 事業費事業費は、前連結会計年度に比べ846億円増加し、9,263億円(前期比10.1%増)となりました。e その他経常費用その他経常費用は、前連結会計年度に比べ2,454億円減少し、3,246億円(前期比43.1%減)となりました。 ③ 経常利益経常利益は、前連結会計年度に比べ1,515億円増加し、5,390億円(前期比39.1%増)となりました。 ④ 特別利益・特別損失特別利益は66億円(前期比45.0%増)、特別損失は311億円(同21.7%減)となりました。a 特別利益特別利益は前連結会計年度に比べ20億円増加し、66億円(前期比45.0%増)となりました。b 特別損失特別損失は前連結会計年度に比べ86億円減少し、311億円(前期比21.7%減)となりました。 ⑤ 契約者配当準備金繰入額契約者配当準備金繰入額は前連結会計年度に比べ75億円減少し、875億円(前期比7.9%減)となりました。 ⑥ 親会社株主に帰属する当期純利益経常利益に特別利益、特別損失、契約者配当準備金繰入額、法人税等合計を加減した親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ1,470億円増加し、3,207億円(前期比84.6%増)となりました。 ⑦ 資産の部資産の部合計は、第一生命における責任準備金対応債券の積増し増加等に伴い有価証券の残高が増加したことを主な要因として、前連結会計年度末に比べ5兆8,866億円増加し、67兆5,403億円(前期比9.6%増)となりました。 ⑧ 負債の部負債の部合計は、第一フロンティア生命やプロテクティブにおいて、前期の責任準備金戻入の一過性要因が剥落したことで責任準備金繰入額が大幅に増加したこと等に伴う責任準備金残高の増加を主な要因として、前連結会計年度末に比べ4兆6,662億円増加し、63兆6,581億円(前期比7.9%増)となりました。 ⑨ 純資産の部純資産の部合計は、第一生命における国内株式及び外国株式の含み益が増加したこと等によりその他有価証券評価差額金が増加したことを主な要因として、前連結会計年度末に比べ1兆2,203億円増加し、3兆8,821億円(前期比45.9%増)となりました。 セグメントの業績は、以下のとおりであります。 ① 国内保険事業国内保険事業における経常収益は、第一フロンティア生命において外貨建保険や円建指数連動型年金の販売が好調に推移したことによる保険料等収入の増加や、第一フロンティア生命における円安進展による為替差益の大幅に増益等を主な要因として、前連結会計年度に比べて4,418億円増加し、8兆7,829億円(前期比5.3%増)となりました。セグメント利益は、第一生命において新型コロナウイルス関連の給付金支払いが大幅に減少したことや、第一フロンティア生命において金融市場環境の変化や新契約出再等に伴い外貨標準責任準備金の積増し負担や新契約費用が減少したことを主な要因として、前連結会計年度に比べて628億円増加し、4,070億円(同18.3%増)となりました。 ② 海外保険事業海外保険事業における経常収益は、2022年8月に買収完了したTAL Life Insurance Services Limited(旧Westpac Life Insurance Services Limited)の事業が好調に推移したことに伴うTALにおける保険料等収入の増加や、金融市場環境の変化に伴いプロテクティブにおいて売買目的有価証券の評価損益等が前期から大幅に改善されたことを主な要因として、前連結会計年度に比べて5,311億円増加し、3兆1,498億円(前期比20.3%増)となりました。セグメント利益は、2022年11月に買収完了したニュージーランドのPartners Group Holdings Limitedにおける利益貢献、Dai-ichi Life Reinsurance Bermuda Ltd.において、前期に比べて売買目的有価証券運用損益が改善されたこと等を主な要因として、前連結会計年度に比べて1,226億円増加し、1,273億円(前期は47億円)となりました。 ③ その他事業その他事業においては、第一生命や第一フロンティア生命等のグループ会社からの配当金収入が減少したことを主な要因として、経常収益は前連結会計年度に比べて674億円減少し、2,268億円(前期比22.9%減)となりました。また、セグメント利益は、前連結会計年度に比べて697億円減少し、1,992億円(同25.9%減)となりました。 なお、セグメントにおける主たる子会社の業績は以下のとおりであります。 <国内保険事業(第一生命保険株式会社)> ① 経営成績当事業年度(2023年4月1日から開始し、2024年3月31日に終了した事業年度をいいます。以下同じ。) の経常収益は、保険料等収入2兆2,898億円(前事業年度(2022年4月1日から開始し、2023年3月31日に終了した事業年度をいいます。以下同じ。) 比0.3%減)、資産運用収益1兆3,038億円(同5.5%減)、その他経常収益4,933億円(同6.4%増)を合計した結果、4兆870億円(同1.3%減)となりました。一時払終身保険の解約増加等に伴う責任準備金戻入額の増加等によりその他経常収益が増加したものの、為替ヘッジ付外貨建債券の残高削減に伴い利息・配当金等収入が減少したことや、金融市場環境の変化に伴いその他有価証券に区分される国内債券の有価証券売却益が大幅に減少したこと等により、資産運用収益が減少したことを主な要因として経常収益は減収となりました。一方、経常費用は、保険金等支払金2兆5,604億円(同4.4%増)、責任準備金等繰入額84億円(同63.2%減)、資産運用費用4,917億円(同26.5%減)、事業費3,851億円(同2.6%減)、その他経常費用2,499億円(同1.1%増)を合計した結果、3兆6,956億円(同2.4%減)となりました。経常費用の減少は、前事業年度に比べ為替ヘッジ付外貨建債券の売却額が減少したこと等に伴う有価証券売却損の縮小等により資産運用費用が減少したことが主な要因であります。これらの結果、経常利益は3,913億円(同10.7%増)となりました。また、当期純利益は2,038億円(同23.1%増)となりました。生命保険本業における期間収益を示す指標の一つである基礎利益は、為替ヘッジ付外貨建債券の残高削減に伴う利息・配当金等収入の減少等で順ざやが減少したものの、新型コロナウイルス関連の給付金支払いが大幅に減少したこと等による保険関係損益の改善により、前事業年度に比べ738億円増加し、3,310億円(同28.7%増)となりました。 ② 財政状態当事業年度末の資産合計は、35兆9,822億円(前事業年度末比5.0%増)となりました。主な資産構成は、有価証券が29兆7,350億円(同6.3%増)、貸付金が3兆1,090億円(同14.5%増)、有形固定資産が1兆1,891億円(同1.2%減)であります。 負債合計は、33兆842億円(同2.9%増)となりました。負債の大部分を占める保険契約準備金は29兆5,889億円(同1.0%減)となりました。 純資産合計は、2兆8,979億円(同38.0%増)となりました。純資産合計のうち、その他有価証券評価差額金は、主に国内株式及び外国株式の含み益が増加したこと等により2兆4,201億円(同58.8%増)となりました。 なお、保険金等の支払余力を示すソルベンシー・マージン比率は、865.0%となりました。第一生命保険株式会社の非連結子会社等を含めた連結ソルベンシー・マージン比率は、900.0%となりました。 ③ 契約業績個人保険・個人年金保険を合わせた新契約高は、前事業年度に比べて9,910億円増加し、2兆2,083億円となりました(前事業年度比81.4%増)。個人保険・個人年金保険を合わせた保有契約高は、前事業年度末に比べて3兆6,880億円減少し、80兆397億円(前事業年度末比4.4%減)となりました。 個人保険・個人年金保険を合わせた新契約年換算保険料は、前事業年度に比べて113億円増加し、575億円(前事業年度比24.5%増)となりました。なお、保有契約年換算保険料は、前事業年度末に比べて483億円減少し、1兆9,494億円(前事業年度末比2.4%減)となりました。 医療保障・生前給付保障等の第三分野の新契約年換算保険料は、前事業年度に比べて27億円減少し、268億円(前事業年度比9.1%減)となりました。第三分野の保有契約年換算保険料は、前事業年度末に比べて114億円減少し、6,904億円(前事業年度末比1.6%減)となりました。 団体保険の保有契約高は、前事業年度末に比べて9,049億円減少し、48兆4,369億円(同1.8%減)となりました。団体年金保険の保有契約高は前事業年度末に比べて1,050億円増加し、6兆1,719億円(同1.7%増)となりました。 a 保有契約高明細表 (単位:億円)区分前事業年度末(2023年3月31日)当事業年度末(2024年3月31日)個人保険732,067695,092個人年金保険105,210105,305個人保険+個人年金保険837,278800,397団体保険493,418484,369団体年金保険60,66961,719 (注)1 個人年金保険の金額は、年金支払開始前契約の年金支払開始時における年金原資と年金支払開始後契約の責任準備金額の合計であります。2 団体年金保険の金額は、責任準備金額であります。 b 新契約高明細表 (単位:億円)区分前事業年度(自 2022年4月1日至 2023年3月31日)当事業年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)個人保険10,50316,573個人年金保険1,6695,509個人保険+個人年金保険12,17222,083団体保険1,7112,715団体年金保険200 (注)1 個人保険及び個人年金保険は、転換による純増加を含みます。2 個人年金保険の金額は、年金支払開始時における年金原資であります。3 団体年金保険の金額は、第1回収入保険料であります。 c 保有契約年換算保険料明細表 (単位:億円)区分前事業年度末(2023年3月31日)当事業年度末(2024年3月31日)個人保険14,64514,086個人年金保険5,3325,408合計19,97719,494うち医療保障・生前給付保障等7,0196,904 (注)1 年換算保険料とは、1回当たりの保険料について保険料の支払方法に応じた係数を乗じ、1年当たりの保険料に換算した金額であります(一時払契約等は、保険料を保険期間で除した金額)。2 医療保障・生前給付保障等には、医療保障給付(入院給付、手術給付等)、生前給付保障給付(特定疾病給付、介護給付等)、保険料払込免除給付(障害を事由とするものは除く。特定疾病罹患、介護等を事由とするものを含む)等に該当する部分の年換算保険料を計上しております。 d 新契約年換算保険料明細表 (単位:億円)区分前事業年度(自 2022年4月1日至 2023年3月31日)当事業年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)個人保険395371個人年金保険66204合計462575うち医療保障・生前給付保障等295268 (注) 転換による純増加を含みます。 e 保険料等収入明細表 (単位:億円)区分前事業年度(自 2022年4月1日至 2023年3月31日)当事業年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)個人保険11,08010,633個人年金保険2,7792,646団体保険1,4411,464団体年金保険6,2476,877その他969854小計22,51922,477再保険収入449420合計22,96822,898 (注) その他は、財形保険、財形年金保険、医療保障保険、就業不能保障保険、コミュニティ保険、受再保険の合計であります。 f 保険金等支払金明細表 前事業年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) (単位:億円)区分保険金年金給付金解約返戻金その他返戻金再保険料合計個人保険5,7412512,5583,582204-12,339個人年金保険12,81015967132-3,674団体保険673601–681団体年金保険-2,6872,993504748-6,934その他408624627373-865小計6,8245,8185,7595,0331,058-24,494再保険—–1818合計6,8245,8185,7595,0331,0581824,513 (注) その他は、財形保険、財形年金保険、医療保障保険、就業不能保障保険、コミュニティ保険、受再保険の合計であります。 当事業年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) (単位:億円)区分保険金年金給付金解約返戻金その他返戻金再保険料合計個人保険5,4322501,5884,579179-12,031個人年金保険12,89416796039-4,062団体保険6866100-694団体年金保険-2,8122,888715889-7,306その他4705925290265-1,112小計6,5906,0234,6726,5451,374-25,206再保険—–398398合計6,5906,0234,6726,5451,37439825,604 (注) その他は、財形保険、財形年金保険、医療保障保険、就業不能保障保険、コミュニティ保険、受再保険の合計であります。 <国内保険事業(第一フロンティア生命保険株式会社)>① 経営成績当事業年度の経常収益は、保険料等収入3兆5,010億円(前事業年度比34.0%増)、資産運用収益8,926億円(同75.9%増)、その他経常収益0億円(前事業年度は8,790億円)を合計した結果、4兆3,938億円(同9.9%増)となりました。前事業年度におけるDai-ichi Life Reinsurance Bermuda Ltd.への既契約ブロック出再に伴う責任準備金戻入という一過性の増収要因が剥落し、その他経常収益が減少したものの、高水準が続く海外金利の影響で販売好調が続いている外貨建保険に加え、円建指数連動型年金も販売が好調に推移したこと等により保険料等収入が増加したことを主な要因として、経常収益は増収となりました。 一方、経常費用は、保険金等支払金3兆5,602億円(同3.2%減)、責任準備金等繰入額6,182億円(前事業年度は48億円)、資産運用費用662億円(同65.8%減)、事業費1,050億円(同18.1%増)、その他経常費用229億円(同26.9%増)を合計した結果、4兆3,727億円(同9.7%増)となりました。責任準備金が繰入から大幅に戻入に転じるという前事業年度における一過性要因が剥落したことに加え、外貨建保険の販売好調に伴う危険準備金繰入額の増加や、円安進展に伴う円貨ベースでの責任準備金繰入額の増加等により、責任準備金等繰入額が増加したことを主な要因として、経常費用は増加しました。 この結果、経常利益は210億円(同50.6%増)となりました。また、当期純利益は156億円(同141.1%増)となりました。 生命保険本業における期間収益を示す指標の一つである基礎利益は、金融市場環境の変化や新契約出再等に伴い外貨標準責任準備金の積増し負担が前事業年度に比べて減少したこと等による保険関係損益の改善を主な要因として、前事業年度に比べ315億円増加し、83億円(前事業年度はマイナス232億円)となりました。 ② 財政状態当事業年度末の資産合計は、9兆3,120億円(前事業年度末比7.8%増)となりました。主な資産構成は、有価証券7兆2,182億円(同7.5%増)、現金及び預貯金等7,761億円(同2.3%増)であります。負債合計は、9兆906億円(同7.7%増)となりました。負債の大部分を占める保険契約準備金は8兆2,686億円(同8.1%増)となりました。 純資産合計は、2,213億円(同12.6%増)となりました。純資産合計のうち、その他有価証券評価差額金は、外国債券の含み損の縮小によりマイナス358億円(前事業年度末はマイナス450億円)となりました。 なお、保険金等の支払余力を示すソルベンシー・マージン比率は、419.9%(前事業年度末は440.5%)となりました。 ③ 契約業績個人保険・個人年金保険を合わせた新契約高は、前事業年度に比べて6,305億円増加し、3兆1,520億円(前事業年度比25.0%増)となりました。個人保険・個人年金保険を合わせた保有契約高は、前事業年度末に比べて2兆7,240億円増加し、13兆3,360億円(前事業年度末比25.7%増)となりました。個人保険・個人年金保険を合わせた新契約年換算保険料は、前事業年度に比べて805億円増加し、3,012億円(前事業年度比36.5%増)となりました。なお、保有契約年換算保険料は、前事業年度末に比べて2,130億円増加し、1兆1,775億円(前事業年度末比22.1%増)となりました。 a 保有契約高明細表 (単位:億円)区分前事業年度末(2023年3月31日)当事業年度末(2024年3月31日)個人保険66,49789,191個人年金保険39,62144,168個人保険+個人年金保険106,119133,360団体保険–団体年金保険– (注) 個人年金保険の金額は、年金支払開始前契約の年金支払開始時における年金原資と年金支払開始後契約の責任準備金額の合計であります。 b 新契約高明細表 (単位:億円)区分前事業年度(自 2022年4月1日至 2023年3月31日)当事業年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)個人保険12,18716,670個人年金保険13,02814,849個人保険+個人年金保険25,21531,520団体保険–団体年金保険– (注) 個人年金保険の金額は、年金支払開始時における年金原資であります。 c 保有契約年換算保険料明細表 (単位:億円)区分前事業年度末(2023年3月31日)当事業年度末(2024年3月31日)個人保険5,4966,837個人年金保険4,1484,937合計9,64411,775うち医療保障・生前給付保障等5378 d 新契約年換算保険料明細表 (単位:億円)区分前事業年度(自 2022年4月1日至 2023年3月31日)当事業年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)個人保険9481,238個人年金保険1,2581,774合計2,2073,012うち医療保障・生前給付保障等2321 (注)1 年換算保険料とは、1回当たりの保険料について保険料の支払方法に応じた係数を乗じ、1年当たりの保険料に換算した金額であります(一時払契約等は、保険料を保険期間で除した金額)。2 医療保障・生前給付保障等には、医療保障給付(入院給付、手術給付等)、生前給付保障給付(特定疾病給付、介護給付等)、保険料払込免除給付(障害を事由とするものは除く。特定疾病罹患、介護等を事由とするものを含む。)等に該当する部分の年換算保険料を計上しております。 e 保険料等収入明細表 (単位:億円)区分前事業年度(自 2022年4月1日至 2023年3月31日)当事業年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)個人保険12,08216,484個人年金保険9,72311,717団体保険–団体年金保険–その他–小計21,80628,201再保険収入4,3206,808合計26,12635,010 f 保険金等支払金明細表 前事業年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) (単位:億円)区分保険金年金給付金解約返戻金その他返戻金再保険料合計個人保険1,773-1,3597,61254-10,799個人年金保険-2,1752396,08348-8,547団体保険——-団体年金保険——-その他——-小計1,7732,1751,59813,695103-19,346再保険—–17,44917,449合計1,7732,1751,59813,69510317,44936,795 当事業年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) (単位:億円)区分保険金年金給付金解約返戻金その他返戻金再保険料合計個人保険2,174-1,5946,46854-10,291個人年金保険-3,9682082,62239-6,838団体保険——-団体年金保険——-その他——-小計2,1743,9681,8029,09094-17,130再保険—–18,47218,472合計2,1743,9681,8029,0909418,47235,602 <海外保険事業(Protective Life Corporation)>以下では、プロテクティブの業績を現地通貨であります米ドル建で表示しております。日本円に換算する際の為替レートは、前事業年度(2022年1月1日から開始し、2022年12月31日に終了した事業年度をいいます。プロテクティブにおいて以下同じ。)及び前事業年度末については1米ドル=132.70円、当事業年度(2023年1月1日から開始し、2023年12月31日に終了した事業年度をいいます。プロテクティブにおいて以下同じ。)及び当事業年度末については、1米ドル=141.83円であります。 ① 経営成績 当事業年度の経常収益は、保険料等収入6,159百万米ドル(前事業年度比1.0%増)、資産運用収益5,316百万米ドル(同39.4%増)、その他経常収益2,055百万米ドル(同31.9%減)を合計した結果、13,531百万米ドル(同4.6%増)となりました。経常収益が増収となった主な要因は、金融市場環境の変化に伴い売買目的有価証券の評価損益等が前事業年度から大幅に改善されたことによる資産運用収益の増加であります。 一方、経常費用は、保険金等支払金6,065百万米ドル(同1.8%減)、責任準備金等繰入額4,889百万米ドル(前期は責任準備金戻入額2,281百万米ドル)、資産運用費用913百万米ドル(同70.7%減)、事業費1,227百万米ドル(同4.3%増)、その他経常費用297百万米ドル(同86.9%減)を合計した結果、13,393百万米ドル(同5.1%増)となりました。経常費用が増加した主な要因は、前事業年度における金融市場環境の変化に伴う一過性要因の剥落により責任準備金が戻入から繰入に戻ったことを受けた責任準備金等繰入額の大幅な増加であります。 これらの結果、経常利益は137百万米ドル(同27.5%減)となりました。また、当期純利益は116百万米ドル(同16.4%減)となりました。 ② 財政状態当事業年度末の資産合計は、118,386百万米ドル(前事業年度末比4.6%増)となりました。主な資産構成は、有価証券が77,105百万米ドル(同5.9%増)、貸付金が13,472百万米ドル(同1.4%増)、無形固定資産が3,714百万米ドル(同8.7%減)であります。 負債合計は、115,071百万米ドル(同3.7%増)となりました。負債の大部分を占める保険契約準備金は、107,163百万米ドル(同3.9%増)となりました。 純資産合計は、3,314百万米ドル(同49.3%増)となりました。 <海外保険事業(TAL Dai-ichi Life Australia Pty Ltd)>以下では、TALの業績を現地通貨であります豪ドル建で表示しております。日本円に換算する際の為替レートは、前事業年度及び前事業年度末については1豪ドル=89.69円、当事業年度及び当事業年度末については1豪ドル=98.61円であります。 ① 経営成績当事業年度の経常収益は、保険料等収入7,878百万豪ドル(前事業年度比3.0%増)、資産運用収益450百万豪ドル(同129.8%増)、その他経常収益245百万豪ドル(同48.4%減)を合計した結果、8,573百万豪ドル(同3.0%増)となりました。2022年8月に買収完了したTAL Life Insurance Services Limited(旧Westpac Life Insurance Services Limited)の事業が好調に推移したことによる保険料等収入の増加に加え、金利等の金融市場環境の変化に伴い売買目的有価証券の評価損益が改善されたことによる資産運用収益の増加を主な要因として、経常収益は増収となりました。一方、経常費用は、保険金等支払金6,140百万豪ドル(同6.8%減)、資産運用費用70百万豪ドル(同47.0%増)、事業費1,737百万豪ドル(同39.3%増)、その他経常費用14百万豪ドル(同13.0%増)を合計した結果、7,963百万豪ドル(同0.8%増)となりました。保険金の支払いが前事業年度に比べ減少し保険金等支払金が減少したものの、TAL Life Insurance Services Limitedの取込みに伴い事業費が増加し、経常費用は微増となりました。これらの結果、経常利益は610百万豪ドル(同44.1%増)となりました。また、当期純利益は430百万豪ドル(同41.5%増)となりました。 ② 財政状態当事業年度末の資産合計は、22,014百万豪ドル(前事業年度末比22.8%増)となりました。主な資産構成は、有価証券が13,009百万豪ドル(同33.8%増)、無形固定資産が786百万豪ドル(前事業年度末は同額)、現預金が1,100百万豪ドル(同49.0%増)であります。負債合計は、19,650百万豪ドル(同24.9%増)となりました。負債の大部分を占める保険契約準備金は、14,162百万豪ドル(同0.7%減)となりました。 純資産合計は、2,363百万豪ドル(同7.5%増)となりました。 (2) 資本政策① 資本政策の基本的な考え方当社グループでは、財務健全性を確保しつつ、持続的な企業価値向上と株主還元の充実を目指し、ERMの枠組みに基づく資本政策運営を行っております。グループの事業を取り巻くリスクを適切にコントロールすると同時に、グループ各社の成長ステージに応じた持株会社への還元や内部留保を行い、必要に応じて外部調達を活用して、グループの成長に向けた投資と資本基盤の強化へバランスの取れた資本配賦を実践することで、財務健全性の確保と資本効率の向上を通じたグループ利益の持続的な成長を推進しております。2024-26年度中期経営計画(「新中期経営計画」という。)では、基本的な考え方は2021-23年度中期経営計画「Re-connect 2023」(「前中期経営計画」という。)から変更はなく、ERMサイクル(利益・資本・リスク)を進化させ、資本循環経営の実践を通じた持続的な成長を目指してまいります。資本循環経営とは、各事業会社の余剰資本やリスク削減によって解放された資本等を財源として、財務健全性を保ちつつ、より高い資本効率や成長性が見込まれる事業への資本投下や株主還元の充実等を通じてグループ資本効率を高めるとともに、資本・キャッシュ創出力を高める好循環経営を意味しております。具体的には、各事業会社から当社への配当金額については、経済価値ベースの財務健全性や各国の健全性規制・会計制約等、複数の視点や制約からストックとなるフリーキャッシュを割り出し、これに基づき決定する運営を行っております。また、資本の配賦・回収等は、個々の事業リスク特性等に応じた資本コストを設定した上で事業成果を評価し意思決定を行います。こうして創出されたフリーキャッシュ・フローを、全体最適なバランスで健全性確保、成長投資、株主還元に振り向けてまいります。また、資本コストを安定的に上回る資本効率を目指し、修正ROE及びROEVを中長期的に引き上げる一方で、市場関連リスク削減等により資本コストを引き下げる取組みを行っております。具体的には、会計利益ベースの資本効率指標であるグループ修正ROEは、新中期経営計画期間中に10%への向上を目指しております。想定資本コストは、前中期経営計画開始時点では10%の自己認識であったところ、前中期経営計画期間において進捗した市場リスク削減に伴う資本コスト低減効果を反映した結果、現時点は9%と自己認識しております。EV対比の金利・株式リスク削減等を通じ新中期経営計画期間中に8%への低減を目指しております。成長投資については、健全性のターゲット水準に応じて、今後はDX推進に向けて従来以上にデジタル等を中心とした「新規領域での探索」にフォーカスする一方、「既存領域の深化」では市場リスクが小さく保険リスクにフォーカスした案件を引き続き優先する等、事業ポートフォリオの拡大・分散につながる投資を行ってまいります。株主還元については、利益に応じた毎期の安定配当として、過去3年平均のグループ修正利益に対する配当性向40%以上を実現することに加え、総還元性向の目安を中期平均50%とし、機動的・柔軟な追加還元を戦略的に検討・実施してまいります。また、中間配当を原則実施してまいります。上記、資本循環経営の土台となる財務健全性を安定的に確保するため、現在の国内保険会社に対する健全性基準であるソルベンシー規制に加え、国際的な資本規制動向や2026年3月期から導入予定となっております経済価値ベースのソルベンシー規制も踏まえ、従来から資産・負債の時価評価を行う経済価値ベースの健全性指標である資本充足率(ESR)を導入しており、170%~200%をターゲット水準と位置付け、水準に応じた資本政策を柔軟に検討してまいります。財務健全性の強化に向けては市場関連リスクの削減に加え、財務格付に留意しつつ必要に応じて外部調達を活用することで、財務健全性の維持・向上を図ってまいります。 ② 資本政策の当連結会計年度における状況当連結会計年度の1株当たり株主配当額は、前連結会計年度より27円増配の113円とし、自己株式取得額は、上限1,000億円といたしました。また、グループ資本の充実や流動性確保に向けて、当社において2024年3月にシニアローンの借入(2,000億円)を実施しております。 (3)キャッシュ・フローの状況営業活動によるキャッシュ・フローは、主に保険料等収入が増加したことにより、前期と比べて1兆1,298億円収入増の9,973億円の収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有価証券の取得による支出が増加したことにより、前期と比べて9,121億円支出増の6,016億円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、主に借入金の返済が減少したことにより、前期と比べて1,796億円支出減の1,457億円の支出となりました。以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、期首から2,550億円増加し、2兆7,723億円(前連結会計年度末は2兆5,172億円)となりました。 (4)生産、受注及び販売の実績当社グループの主たる事業である生命保険事業において、他の業態と異なり物品の生産や受注を行わない業務の特性により、本項における記載に該当する情報がないため記載しておりません。 (5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針及び見積りが連結財務諸表に大きな影響を及ぼすと考えております。 ① 金融商品の時価の算定方法有価証券の一部及びデリバティブ取引は、時価法に基づいて評価しております。時価は、原則として市場価格に基づいて算定しておりますが、一部の有価証券及びデリバティブ取引については将来キャッシュ・フローの現在価値等に基づく合理的な見積りによっております。将来、見積りに影響する新たな事実の発生等により、見積り額は変動する可能性があります。なお、金融商品の時価の算定方法に係る基準は、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(金融商品関係)の注記に記載のとおりであります。 ② 有価証券の減損処理売買目的有価証券以外の有価証券のうち、時価が著しく下落したものについては合理的な基準に基づいて減損処理を行っております。将来、株式市場の悪化等、金融市場の状況によっては多額の有価証券評価損を計上する可能性があります。なお、有価証券の減損処理に係る基準は、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(有価証券関係)の注記に記載のとおりであります。 ③ 固定資産の減損処理固定資産については、資産グループの回収可能価額が帳簿価額を下回った場合に、その差額を減損損失に計上しております。回収可能価額は、資産グループの時価から処分費用見込額を控除した正味売却価額と割引後将来キャッシュ・フローとして算定される使用価値のいずれか大きい方としていることから、将来、固定資産の使用方法を変更した場合又は不動産取引相場や賃料相場が変動した場合には、新たに減損損失が発生する可能性があります。なお、固定資産の減損処理に係る基準は、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(連結損益計算書関係)の注記に記載のとおりであります。 ④ のれん及びその償却方法連結貸借対照表の資産の部には「のれん」が計上されております。当該「のれん」は、他の企業又は事業を取得した場合、その取得に要した費用(取得原価)が受け入れた資産及び引き受けた負債に配分された純額を上回る場合に計上されるものであります。また、当該「のれん」の算定において用いられる取得に要した費用並びに受け入れた資産及び引き受けた負債の算定には一定の前提条件を置いており、見積りの要素を含んでおります。この「のれん」は、20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって均等償却しております。なお、のれんの評価方法は、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(重要な会計上の見積り)の注記に記載のとおりであります。 ⑤ 保有契約価値及びその償却方法連結貸借対照表のその他の無形固定資産には「保有契約価値」が含まれております。「保有契約価値」とは、買収等で獲得したその買収時点で有効な保険契約及び投資契約に関して、そのキャッシュ・フローから得られる将来利益を現在価値として計算し、無形固定資産として計上するものであります。この「保有契約価値」の算定には見積りの要素を含んでおりますが、前提条件については毎期回復可能性テストを実施し、資産計上額の妥当性を判定した上で資産計上しております。「保有契約価値」は、その効果が及ぶと見積もられる期間にわたり、効果の発現する態様にしたがって償却しております。なお、保有契約価値の評価方法は、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(重要な会計上の見積り)の注記に記載のとおりであります。 ⑥ 繰延税金資産の回収可能性の評価繰延税金資産の回収可能性の判断に際して、将来の通算グループ全体の課税所得は事業計画に基づく将来予測に直近の業績見通しを反映し、合理的に見積っております。また、期末における将来減算一時差異の解消見込年度のスケジューリングに際して、個別に解消年度のスケジューリングをすることが実務上困難なものは、過去の税務上の損金の算入実績により合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の通算グループ全体の課税所得の見積りに依存するため、将来、当社グループを取り巻く環境に大きな変更があった場合等、その見積り額が変動した場合は、繰延税金資産の回収可能性が変動する可能性があります。 ⑦ 貸倒引当金の計上基準債権の貸倒れによる損失に備えるため、資産の自己査定基準及び償却・引当基準に則り、債務者の状況に応じ、回収不能見積り額を計上しております。将来、債務者の財務状況が悪化し支払い能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。なお、貸倒引当金の計上基準は、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載のとおりであります。 ⑧ 支払備金の積立方法保険契約に基づいて支払義務が発生したと認められる保険金等のうち、期末時点において支払いが行われていない、又は支払事由の報告を受けていないが支払事由が既に発生したと認められる保険金等について、支払備金として積み立てております。将来、新たな事実の発生等により、支払備金の計上額が変動する可能性があります。なお、既発生未報告支払備金(IBNR備金)の計算方法は、後記「第5 経理の状況1 連結財務諸表等(1) 連結財務諸表」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載のとおりであります。 ⑨ 責任準備金の積立方法保険契約に基づく将来における債務の履行に備えるため、責任準備金を積み立てております。責任準備金は各国の規制や会計基準に基づき、契約時等に定めた計算方法や計算前提等に基づく将来の予定キャッシュ・フローの見積りに基づき算出した額を積み立てております。なお、当該見積りと直近の実績が大きく乖離すること等により、将来の債務の履行に支障を来すおそれがあると認められる場合には、追加して責任準備金を積み立てる必要があることから、責任準備金に積み立て不足が生じていないかを検証するために、責任準備金の十分性を確認するテストを実施しております。なお、責任準備金の積立方法は、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載のとおりであります。 ⑩ 退職給付債務及び退職給付費用退職給付債務及び退職給付費用は、年金資産の期待運用収益率や将来の退職給付債務算出に用いる数理計算上の前提条件に基づいて算出しております。このため、実際の結果が前提条件と異なる場合や前提条件の変更が行われた場合には、将来の退職給付債務及び退職給付費用が変動する可能性があります。なお、退職給付債務等の計算の基礎に関する事項は、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(退職給付関係)の注記に記載のとおりであります。 (参考1)当社グループの固有指標の分析 1 主要な固有指標 (1) 基礎利益① 基礎利益基礎利益とは生命保険本業における期間収益を示す指標の一つであります。当社グループの基礎利益は、当社、国内保険会社(第一生命保険株式会社、第一フロンティア生命保険株式会社、ネオファースト生命保険株式会社、アイペットホールディングス株式会社)の基礎利益、海外保険会社(Protective Life Corporation、TAL Dai-ichi Life Australia Pty Ltd、Partners Group Holdings Limited、Dai-ichi Life Insurance Company of Vietnam, Limited、Dai-ichi Life Insurance (Cambodia) PLC.、Dai-ichi Life Insurance Myanmar Ltd.)の各国で生命保険本業における期間収益を示すために一般的に用いられる利益、関連会社の持分利益(税引前換算)等を合算し、グループの内部取引の一部を相殺すること等により算出しております。 アイペットホールディングス株式会社を除く国内保険会社の場合、基礎利益は、保険契約者から受領した保険料等の保険料等収入、資産運用収益及び責任準備金戻入額等その他経常収益等で構成される基礎収益から、保険金等支払金、責任準備金等繰入額、資産運用費用、事業費及びその他経常費用等から構成される基礎費用を控除したものであります。アイペットホールディングス株式会社の場合、基礎利益は、税引前当期純利益から非支配株主に属する当期純利益(税引前換算)を控除したものであります。また、基礎利益に有価証券売却損益等の「キャピタル損益」と危険準備金繰入額等の「臨時損益」を加味したものが経常利益となります。 海外保険会社の場合、基礎利益として、Protective Life Corporationの税引前営業利益、TAL Dai-ichi Life Australia Pty Ltd、Partners Group Holdings Limitedの基礎的な利益(税引前換算)、Dai-ichi Life Insurance Company of Vietnam, Limited、Dai-ichi Life Insurance (Cambodia) PLC.、及びDai-ichi Life Insurance Myanmar Ltd.の税引前利益を用いております。 ② 順ざや額/逆ざや額国内生命保険会社は、保険料を計算するにあたって、資産運用を通じて得られる収益を予め見込んで、その分保険料を割り引いて計算しております。この割引率を「予定利率」といい、市中金利水準等を勘案して設定しております。そのため、保険会社は、毎年割り引いた分に相当する金額(予定利息)等の負債コストを運用収益等で確保する必要があります。 予定利息を実際の運用収益等でまかなえている状態を「順ざや」といい、まかなえていない状態を「逆ざや」といいます。 当社グループの順ざや額/逆ざや額は、国内生命保険会社(第一生命保険株式会社、第一フロンティア生命保険株式会社、ネオファースト生命保険株式会社)の合算値であります。 <順ざや額/逆ざや額の算出方法> 順ざや額/逆ざや額 = ( 基礎利益上の運用収支等の利回り - 平均予定利率 )× 一般勘定責任準備金 ・「平均予定利率」とは、予定利息の一般勘定責任準備金に対する利回りをいいます。 ③ 基礎利益の算定方法の改正2023年3月期より、経済的な実態の反映および保険会社間の取扱いに一貫性を持たせる観点から、基礎利益の算定方法が改正されております。主な改正項目は以下のとおりであります。改正項目改正内容為替に係るヘッジコスト基礎利益の算定に含める投資信託の解約損益基礎利益の算定から除外有価証券償還損益のうち為替変動部分再保険に関する損益既契約の出再に伴う損益基礎利益以外の損益と対応する再保険に関する損益 (2) 責任準備金国内生命保険会社の責任準備金は、生命保険会社が将来の保険金等の支払いを確実に行うために、保険料や運用収益等を財源として保険業法により積立てが義務付けられている準備金のことで、生命保険会社の負債の最も大きな部分を占めております。国内生命保険会社については、保険業法に基づき責任準備金を積み立てており、「保険料積立金」、「未経過保険料」及び「危険準備金」で構成されております。 内容保険料積立金保険契約に基づく将来の債務の履行に備えるため、保険数理に基づき計算した金額をいいます。ただし、払戻積立金として積み立てる金額を除きます。未経過保険料未経過期間(保険契約に定めた保険期間のうち、決算期において、まだ経過していない期間をいいます。)に対応する責任に相当する額として計算した金額をいいます。ただし、払戻積立金として積み立てる金額を除きます。危険準備金保険契約に基づく将来の債務を確実に履行するため、将来発生が見込まれる危険に備えて計算した金額をいいます。 なお、責任準備金は事業年度末において要積立額を計算し、前事業年度末残高との差額を損益計算書に計上いたします。即ち、事業年度末の要積立額が前事業年度末残高を上回る場合にはその差額を責任準備金繰入額として経常費用の科目に計上し、事業年度末の要積立額が前事業年度末残高を下回る場合にはその差額を責任準備金戻入額として経常収益の科目に計上いたします(四半期会計期間末においても同様に計上いたします)。 責任準備金の積立水準は、積立方式と計算基礎率によって決まります。保険業法において責任準備金の積立方式及び計算基礎率について定められております。 海外生命保険会社については、各国の法令や規制等に基づき積み立てております。なお、連結される米国、豪州及びニュージーランドの生命保険会社の責任準備金については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)をご参照下さい。 (3) ソルベンシー・マージン比率ソルベンシー・マージン比率とは、通常の予測を超えて発生するリスクに備えて「支払余力」がどの程度カバーされているかを示す行政監督上の指標の一つであります。具体的には、保険会社が抱える保険金等のお支払いに係るリスクや資産運用に係るリスク等、多様なリスクが通常の予測を超えて発生した場合、資本等の内部留保と有価証券含み益等の合計(ソルベンシー・マージン総額)で、これらのリスク(リスクの合計額)をどの程度カバーできているかを指数化したものであります。同比率の算出は、ソルベンシー・マージン総額をリスクの合計額で割り算して求め、同比率が200%以上であれば、健全性について一つの基準を満たしていることを示しております。ソルベンシー・マージン比率 =ソルベンシー・マージン総額 × 100(%)リスクの合計額 × 1/2 (4) 実質純資産額実質純資産額とは、貸借対照表の資産を基礎として計算した額(有価証券・不動産等について一定の時価評価を行ったもの)から負債の部に計上されるべき金額を基礎として計算した額(負債の額から価格変動準備金・危険準備金等の額を差し引いた額)を控除した金額を言い、保険会社の健全性の状況を示す行政監督上の指標の一つであります。金融庁による早期是正措置において、実質的な債務超過の判定基準として用いられる額であります。 2 当社グループの固有指標の分析(1) 基礎利益① 基礎利益当社グループの基礎利益は、前事業年度比で1,609億円増加し、5,251億円(前期比44.2%増)となりました。第一生命において、新型コロナウイルス関連の給付金支払いが大幅に減少したこと等に伴い保険関係損益が改善したことが主な要因であります。 ② 順ざや額/逆ざや額当社グループの順ざや額(国内グループ生命保険会社合算値)は、第一生命において、為替ヘッジ付外貨建債券の残高削減により利息・配当金等収入が減少したこと等に伴い、前事業年度に比べ268億円減少し、924億円(前期比22.5%減)となりました。 (注)第一生命、第一フロンティア生命、ネオファースト生命の合算値であります。 (2) 連結ソルベンシー・マージン比率当社グループの連結ソルベンシー・マージン比率は、692.6%と前期比11.4ポイント減となりました。詳細については、以下のとおりであります。 (単位:億円) 項目前事業年度末(2023年3月31日)当事業年度末(2024年3月31日)ソルベンシー・マージン総額(A)59,75170,464資本金等*112,79812,093価格変動準備金3,0553,243危険準備金7,0076,909異常危険準備金5465一般貸倒引当金1532(その他有価証券評価差額金(税効果控除前)・繰延ヘッジ損益(税効果控除前))×90%(マイナスの場合100%)9,94721,615土地の含み損益×85%(マイナスの場合100%)3,7843,887未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用の合計額3231,633全期チルメル式責任準備金相当額超過額23,05923,452負債性資本調達手段等9,2379,237全期チルメル式責任準備金相当額超過額及び負債性資本調達手段等のうち、マージンに算入されない額△7,320△7,403少額短期保険業者に係るマージン総額00控除項目△2,855△4,832その他644528リスクの合計額(B) 16,97120,344保険リスク相当額 R11,6611,605一般保険リスク相当額 R5148230巨大災害リスク相当額 R61717第三分野保険の保険リスク相当額 R81,8821,816少額短期保険業者の保険リスク相当額 R900予定利率リスク相当額 R22,0742,178最低保証リスク相当額 R7*2 746774資産運用リスク相当額 R313,35016,609経営管理リスク相当額 R4397464ソルベンシー・マージン比率(A)×100(1/2)×(B) 704.1%692.6% *1 社外流出予定額及びその他の包括利益累計額等を除いております。*2 標準的方式を用いて算出しております。 (注) 上記は、保険業法施行規則第210条の11の3、第210条の11の4及び平成23年金融庁告示第23号の規定に基づいて算出しております。 3 第一生命保険株式会社の固有指標の分析 (1) 基礎利益① 基礎利益生命保険本業における期間収益を示す指標の一つである基礎利益は、前事業年度に比べ738億円増加し、3,310億円(前事業年度比28.7%増)となりました。これは、主に新型コロナウイルス関連の給付金支払いが大幅に減少したことに伴い保険関係損益が改善したことによるものであります。詳細については、後記「(参考3)第一生命保険株式会社の一般社団法人生命保険協会の定める決算発表様式に準ずる情報 3. 経常利益等の明細(基礎利益)」をご参照下さい。 ② 順ざや額/逆ざや額順ざや額は、為替ヘッジ付外貨建債券の残高削減に伴う利息・配当金等収入の減少等により、前事業年度に比べ318億円減少し、501億円(前事業年度比38.9%減)となりました。 <第一生命保険株式会社の順ざや額/逆ざや額> (単位:億円) 2023年3月期2024年3月期順ざや額/逆ざや額(注)1820501基礎利益上の運用収支等の利回り(%)2.192.04平均予定利率(%)1.891.85一般勘定責任準備金268,724266,209 (注)1 正値の場合は順ざや額 (2) 責任準備金第一生命は、保険業法等で定められた基準に基づき、標準責任準備金対象契約については、平成8年大蔵省告示第48号に定める方式により責任準備金(標準責任準備金)を積み立て、それ以外の契約については「平準純保険料式」により責任準備金を積み立てており、法令上最も健全な積立方式を採用しております。 <個人保険及び個人年金保険の責任準備金の積立方式・積立率> 2023年3月期末2024年3月期末積立方式標準責任準備金対象契約標準責任準備金標準責任準備金標準責任準備金対象外契約平準純保険料式平準純保険料式積立率(危険準備金を除く。)100.0%100.0% 2008年3月期より、健全性の更なる向上のために、高予定利率の終身保険のうち払込満了後契約等に対して、追加責任準備金の積立てを行っており、2023年3月期は687億円、2024年3月期は602億円の新規繰り入れを実施しております。 (3) ソルベンシー・マージン比率保険金等の支払余力を示すソルベンシー・マージン比率は、865.0%となりました。また、第一生命保険株式会社の連結ソルベンシー・マージン比率は900.0%となりました。詳細については、後記「(参考3)第一生命保険株式会社の一般社団法人生命保険協会の定める決算発表様式に準ずる情報 5. ソルベンシー・マージン比率」をご参照下さい。 (4) 実質純資産額実質純資産額は、前事業年度末に比べ175億円増加し、6兆6,258億円(前事業年度末比0.3%増)となりました。 4 第一フロンティア生命保険株式会社の固有指標の分析(1) 基礎利益生命保険本業における期間収益を示す指標の一つである基礎利益は、金融市場環境の変化や新契約出再等に伴い外貨標準責任準備金の積増し負担が前事業年度に比べて減少したこと等による保険関係損益の改善を主な要因として、前事業年度に比べ315億円増加し、83億円となりました。詳細については、後記「(参考4)第一フロンティア生命保険株式会社の一般社団法人生命保険協会の定める決算発表様式に準ずる情報 3. 経常利益等の明細(基礎利益)」をご参照下さい。 (2) 責任準備金第一フロンティア生命においては、保険業法等で定められている基準に基づき、最も健全な積立方式である標準責任準備金を積み立てておりますが、販売好調に伴う保有契約増加や円安進展に伴う繰入額の増加等により、責任準備金は前事業年度末に比べ6,095億円増加し、8兆2,303億円(前事業年度末比8.0%増)となりました。 (3) ソルベンシー・マージン比率ソルベンシー・マージン比率は、419.9%(前事業年度末は440.5%)となりました。詳細については、後記「(参考4)第一フロンティア生命保険株式会社の一般社団法人生命保険協会の定める決算発表様式に準ずる情報 6. ソルベンシー・マージン比率」をご参照下さい。 (4) 実質純資産額実質純資産額は、前事業年度末に比べ26億円減少し、2,261億円(前事業年度末比1.1%減)となりました。 (参考2)当社グループ及び主要子会社のEV 1 EVについてEVとは、生命保険会社において株主に帰属する企業価値を表す指標の一つであります。当社は、ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー原則(EEV原則)に従い計算した第一生命グループのヨーロピアン・エンベディッド・バリュー(EEV)を開示してまいりましたが、このたび、2026年3月期末の新経済価値規制(J-ICS)導入に向け、2024年3月末より国内3社(第一生命、第一フロンティア生命、ネオファースト生命)については、新経済価値規制(J-ICS)導入に向けた新基準をベースとした測定方法に変更いたしました。なお、海外各社については前事業年度末から計算手法に変更はありません。新経済価値規制(J-ICS)導入に向けた新基準をベースとしたEVは、経済価値ベースバランスシートの純資産から、諸調整したものとし、計測しております。 今回のグループEVの計算にあたり、各社のEV計測方法は下表のとおりとしております。 対象会社(事業)計測手法第一生命、第一フロンティア生命、ネオファースト生命新経済価値規制(J-ICS)導入に向けた新基準をベースとしたEVTAL、プロテクティブの変額年金事業EEV原則 市場整合的手法プロテクティブの変額年金以外の事業EEV原則 トップダウン手法第一生命ベトナム、パートナーズ・ライフ伝統的手法(TEV) 2 EV計算結果(1) グループEV(注)1 (単位:億円) 2023年3月末2024年3月末グループEV70,74288,921修正純資産相当額46,41346,082保有契約価値相当額25,96043,821新契約価値(注)2777545 (注) 1 国内3社(第一生命、第一フロンティア生命、ネオファースト生命)について、2023年3月末の数値も、新経済価値規制(J-ICS)導入に向けた新基準をベースとして再計算しております。 2 新契約価値とは、当年度中に獲得した新契約(保障見直し契約については正味増加分のみ)の契約獲得時点における価値(契約獲得に係る費用を控除した後の金額)を表したものであります。なお、前事業年度及び当事業年度の数値を記載しております。 (2) 主要子会社のEV (単位:億円) 2023年3月末2024年3月末第一生命(注)1EV48,65061,144修正純資産相当額34,52335,653保有契約価値相当額14,12625,490新契約価値(注)3△198△54第一フロンティア生命(注)1EV6,3148,041修正純資産相当額1,4811,763保有契約価値相当額4,8326,278新契約価値(注)3437472ネオファースト生命(注)1EV1,5091,514修正純資産相当額356302保有契約価値相当額1,1521,211新契約価値(注)37140プロテクティブ(注)2EV7,6119,475修正純資産4,8545,243保有契約価値2,7564,231新契約価値(注)3281△40TALEV5,7416,859修正純資産4,0301,449保有契約価値1,7115,410新契約価値(注)34774第一生命ベトナム(注)2EV1,9792,023修正純資産1,0331,185保有契約価値945838新契約価値(注)313846パートナーズ・ライフEV776844修正純資産340483保有契約価値435360新契約価値(注)306 (注) 1 2023年3月末の数値も、新経済価値規制(J-ICS)導入に向けた新基準をベースとして再計算しております。 2 2022年12月末及び2023年12月末の数値を記載しております。ただし、新契約価値については、前事業年度(2022年1月1日から開始し、2022年12月31日に終了した事業年度)及び当事業年度(2023年1月1日から開始し、2023年12月31日に終了した事業年度)の数値を記載しております。 3 前事業年度及び当事業年度の数値を記載しております。 (参考3)第一生命保険株式会社の一般社団法人生命保険協会の定める決算発表様式に準ずる情報 参考として、第一生命保険株式会社の単体情報のうち、一般社団法人生命保険協会の定める決算発表様式に準ずる情報を以下のとおり記載しております。 1. 主要業績(1) 保有契約高及び新契約高① 保有契約高 (単位:千件、億円、%) 区分前事業年度末(2023年3月31日)当事業年度末(2024年3月31日)件数前年度末比金額前年度末比件数前年度末比金額前年度末比個人保険22,270102.9732,06794.322,424100.7695,09294.9個人年 |
※本記事は「第一生命ホールディングス株式会社」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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