会社名 | アサヒグループホールディングス株式会社 |
業種 | 食料品 |
従業員数 | 連28173名 単265名 |
従業員平均年齢 | 44.6歳 |
従業員平均勤続年数 | 1年 |
平均年収 | 12181758円 |
1株当たりの純資産 | 812.49円 |
1株当たりの純利益(連結) | 126.66円 |
決算時期 | 12月 |
配当金 | 93円 |
配当性向 | 73% |
株価収益率(PER) | 24.7倍 |
自己資本利益率(ROE)(連結) | 9.2% |
営業活動によるCF | 4037億円 |
投資活動によるCF | ▲1186億円 |
財務活動によるCF | ▲2727億円 |
研究開発費※1 | 1.12億円 |
設備投資額※1 | 12.59億円 |
販売費および一般管理費※1 | 1276.13億円 |
株主資本比率※2 | 44.3% |
有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中には、中期経営方針等に関する様々な業績予想及び目標数値、並びにその他の将来に関する情報が開示されています。これらの業績予想及び目標数値、並びにその他の将来に関する情報は、将来の事象についての現時点における仮定及び予想、並びにアサヒグループが現在入手可能な情報や一定の前提に基づいているため、今後様々な要因により変化を余儀なくされるものであり、これらの予想や目標の達成及び将来の業績を保証するものではありません。 (1)グループ理念 アサヒグループは、純粋持株会社であるアサヒグループホールディングス株式会社のもと、日本、欧州、オセアニア、東南アジアを核として主に酒類、飲料、食品事業を展開しています。 グループ理念「Asahi Group Philosophy(AGP)」に基づき、未来のステークホルダーからも信頼されるグループを目指しています。AGPは、Mission、Vision、Values、Principlesで構成され、グループの使命やありたい姿に加え、受け継がれてきた大切にする価値観とステークホルダーに対する行動指針・約束を掲げています。また、AGPを補完するコーポレートステートメントとして、「Make the world shine “おいしさと楽しさ”で、世界に輝きを」を策定し、AGPの社会的な価値や意義を表明しています。 (2)中長期経営方針 AGPの実践に向けて、『中長期経営方針』では、長期戦略のコンセプトとして「おいしさと楽しさで“変化するWell-being”に応え、持続可能な社会の実現に貢献する」ことを掲げています。 目指す事業ポートフォリオの実現に向けた取り組みを推進するとともに、サステナビリティと経営の統合、DX (デジタル・トランスフォーメーション)やR&D(研究開発)といったコア戦略の一層の強化を図ります。また、人的資本の高度化やグループガバナンスの進化など戦略基盤を強化することにより、持続的な成長と全てのステークホルダーとの共創による企業価値向上を目指しています。1.『中長期経営方針』:長期戦略の概要※ BX:ビジネス・トランスフォーメーションの略 2.目指す事業ポートフォリオ 長期戦略における事業ポートフォリオでは、人々のウエルビーイングの変化に応えていくなかでの「リスクと機会」を捉え、ビールを中心とした既存事業の持続的成長に加えて、その事業基盤を活かした周辺領域や新規事業・サービスの拡大を目指しています。 既存事業については、主力ブランドを中心としたプレミアム戦略の推進などにより、各地域において販売単価の向上を実現したほか、『Asahi Super Dry』と『Peroni Nastro Azzurro』を中心とした世界的なパートナーシップの強化などにより、グローバル5ブランド全体で販売数量は前年比5%増加しました。 新規領域については、各地域でのノンアルコールや低アルコールカテゴリーの取り組みを推進するなど、BAC※への投資強化による新市場拡大を図りました。また、新たな成長ドライバーの探索を目指して設立した米国投資運用会社の本格的な稼働に加えて、酵母・乳酸菌技術を活用した新たな領域拡大やデジタル技術を活かした新サービスの開発に取り組みました。 今後もビールを中心に培ってきたケイパビリティや事業基盤を活かし、BACや新商材・新サービスの領域で成長機会を拡大することで、最適な事業ポートフォリオを構築していきます。※ BAC:Beer Adjacent Categoriesの略。低アルコール飲料、ノンアルコールビール、成人向け清涼飲料など、ビール隣接カテゴリーを指します。 3.コア戦略 ―サステナビリティ戦略― アサヒグループは、「サステナビリティと経営の統合」を掲げ、持続的な成長とさまざまなステークホルダーとの共創による企業価値向上を目指していきます。 事業成長と社会価値の創出の最大化を目指して、重点方針を定めているほか、経営課題として取り組む領域を特定したマテリアリティ・取り組みテーマを設定し、適切で実効性のある取り組みにつなげています。 詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。 4.コア戦略 ―DX戦略― アサヒグループのDXは単なるデジタライゼーションではなく、生き残りをかけた経営改革であると認識しており、DX=BXと捉え、「Business」「Process」「Organization」の領域において、三位一体でイノベーションを推進しています。 ①Business Innovation 一人ひとりのウエルビーイングの形を捉え、パーソナライゼーションモデルの実現を目指します。また、デジタル技術でサステナビリティに関する課題を解決し、人々のサステナブルな生活の実現に向けた取り組みを推進していきます。 ②Process Innovation グローバル調達で規模の経済を実現し、調達コストやリスクを最適化するとともに、サプライチェーン、サステナビリティチームとIT組織が協働し、当社のサステナビリティに関わるあらゆる情報・データを収集・集計するための最適なソリューションの導入に向け、取り組んでいます。 ③Organization Innovation デジタルネイティブ組織への変革を目指し、各機能・組織がIT/データ活用スキルを当たり前のスキルとして持つ「IT/データ活用の民主化」を目指します。また、アジャイルな働き方※の導入を同時に進めていきます。※ 柔軟性と迅速性を重視し変化に素早く対応する働き方 5.コア戦略 ―R&D戦略― R&D戦略においては、中長期的な社会環境や競争環境の変化を見据え、メガトレンドからバックキャストで導いた未来シナリオとこれまでの研究で蓄積してきた技術・知見・ノウハウを踏まえ、以下の4つを重点領域として位置付け、新たな価値創造やリスク軽減に向けた商品・技術開発に取り組んでいます。また、海外を含む拠点間での技術シナジーの醸成、異分野とのオープンイノベーション活用による新たな価値創造にも積極的に取り組んでいます。 ①アルコール関連 アルコールに対するニーズの多様化や社会の変化に対応し、BAC領域において新たな価値を創造するための研究開発に取り組んでいます。長年培ってきた酵母育種、発酵プロセス、調香、官能評価などの技術をベースとしつつ、心理学、脳科学、AI(人工知能)などの最先端の技術を獲得し組み合わせることで、嗜好性や機能性のみならず、環境影響及びコストといった側面における優位性を追求しています。 中長期的な市場トレンドをグローバル・ローカルの両面から捉えて技術課題に落とし込み、研究から製品化に至るまでの一連の開発機能を強化することで更なる研究成果の導出を目指します。 ②ヘルス&ウェルネス 消費者の健康志向の高まりに対し、身体や心の健康をサポートするソリューションを提供することで、人々の健康維持増進への貢献に取り組んでいます。 健康な人の免疫機能の維持に役立つ「L-92乳酸菌」や、心理的なストレスを和らげ、睡眠の質(眠りの深さ)を高める機能や腸内環境を整える機能を持つ「ガセリ菌CP2305株」など、オリジナルの機能性乳酸菌についてグローバル活用に向けた取り組みを進めています。「ガセリ菌CP2305株」による睡眠の質と腸内環境の改善機能については、豪州において、現地当局への表示届出が受理されました。 今後、日本国内のみならず海外においても人々の健康で豊かな生活をサポートするヘルス&ウェルネス研究を強化し、新しい価値提案を目指します。 ③サステナビリティ 環境・エネルギー分野における技術実装、気候変動に伴う原料コスト影響の最小化、容器包装の環境負荷低減などのサステナビリティに関する研究開発を通じ、社会的責務を果たすとともに、持続的な社会の発展に貢献しています。 環境分野においては、缶、びん、PETボトルなどの使い捨て容器の使用が廃止される未来を見据え、使い捨て容器を使用しなくても強炭酸が楽しめるサーバー『EXTRA BURST』を開発しました。2024年からオフィスやホテル向けのサービスを開始し、2025年内に家庭用サーバーの展開を目指します。さらに、繰り返し使用可能な専用タンブラーと併用することで、PETボトルなどの使い捨て容器と比較して大幅に環境負荷を低減した、サステナブルな飲料提供を目指しています。 本取り組み以外に、グリーンエネルギー技術や副産物利用技術の開発にも力を入れており、今後も環境負荷低減の実効性向上を目指します。 ④新規事業 中長期的に目指す事業ポートフォリオの実現に向け、グループ内外の技術とビジネスモデルとの掛け合わせ等により、新規事業につながる非凡なシーズの創出に取り組んでいます。 アサヒグループがこれまでに活用してきた酵母や乳酸菌などの微生物関連技術に、AI・デジタル技術をはじめとした、さまざまな次世代技術を新たな視点をもって組み合わせることで、これまでにない新価値を創出し、新規事業を開拓していきます。 これらを実現するために、グローバル視点で革新的な外部技術を取り入れ、異分野技術の融合を積極的に推進することでイノベーション創出を目指します。 6.人的資本の高度化 アサヒグループでは、「ありたい企業風土の醸成」、「継続的な経営者人材の育成」及び「必要となるケイパビリティ※の獲得」の3つの取り組みを通じ、経営基盤を強化し、競争優位の源泉となる「人的資本の高度化」を実現することで、従業員と会社が共に成長し、中長期的な企業価値の向上を推進しています。※ 戦略を実現するために必要な組織的能力 詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本」をご参照ください。 (3)中期的なガイドライン 主要指標のガイドライン及び財務方針は、2024年までの進捗や資本市場との対話を踏まえ、改めて2030年までを目処として以下のとおり更新しました。 主要指標については、収益性において、EPSのCAGR(年平均成長率)として「一桁台後半から二桁」をコミットするとともに、事業利益においても、成長戦略の加速などにより金額と利益率の持続的な向上を図っていきます。収益性の指標は、利益成長と資本政策が反映されるEPSに一本化し、資本市場との目線を合わせたうえで、更なるエンゲージメントを促進します。また、株価のバリュエーション改善には、収益性だけでなく資本効率の向上を図る必要があり、今後は、ROEとROIC※1を主要指標として追加します。 財務方針については、引き続き、財務健全性を確保(Net Debt/EBITDA※2:2.5~3倍程度)しつつ、成長投資を優先してまいりますが、財務戦略の柔軟性が高まったことを踏まえ、資本効率の向上や株主還元の充実にも資本を配分していきます。また、株主還元については、より安定的な増配を継続すべく、DOE※34%以上を目指した累進配当※4及び機動的な自社株買いを行っていきます。 引き続き、規律ある成長投資により、事業ポートフォリオの強靭化やコア戦略を力強く推進するとともに、財務戦略による資本効率の向上、資本市場とのエンゲージメントによる資本コスト低減などに取り組み、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指していきます。※1 税引後事業利益を、純有利子負債と親会社の所有者に帰属する持分合計(ただし、在外営業活動体の換算差額とその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融商品への投資の公正価値の変動などを控除したもの)の合計で除して算出。※2 Net Debt/EBITDA(EBITDA純有利子負債倍率)=(金融債務-現預金)/EBITDA。ただし、劣後債の50%はNet Debtから除いて算出。※3 配当総額を、親会社の所有者に帰属する持分合計で除して算出。※4 累進配当とは、1株当たりの配当金額を毎年増配又は最低でも横ばいの水準で配当し続けることです。 ■主要指標のガイドライン 2030年までのガイドライン2024年実績EPS(調整後EPS※1)・CAGR(年平均成長率):一桁台後半~二桁(CAGR(年平均成長率):一桁台後半~二桁)EPS:126.66円(調整後EPS:120.65円)ROE(調整後ROE※2)・11%以上 ※株主資本コスト:8%程度(14%以上)7.5%(10.7%)ROIC・10%以上※WACC(加重平均資本コスト):5.5~6%程度6.9%※1 調整後EPSは、事業ポートフォリオの再構築や減損損失など一時的な特殊要因を控除して算出。※2 調整後ROEは、調整後親会社の所有者に帰属する当期利益(親会社の所有者に帰属する当期利益から、事業ポートフォリオの再構築や減損損失など一時的な特殊要因を控除したもの)を親会社の所有者に帰属する持分合計(ただし、在外営業活動体の換算差額とその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融商品への投資の公正価値の変動などを控除したもの)で除して算出。 ■財務方針 2030年までのガイドライン2024年実績株主還元・DOE:4%以上を目指した累進配当+機動的な自社株買い2.9%財務健全性・Net Debt/EBITDA:2.5~3倍程度を維持2.49倍 (4)対処すべき課題 中長期的な外部環境としては、テクノロジーの発展が人類に新たな技術力と自由な時間を与え、気候変動・資源不足といった地球規模の課題を抱える中、社会・経済だけではなく人類の幸福(Well-being)のあり方も変化していくものと想定されます。 そうしたメガトレンドを踏まえて更新した『中長期経営方針』に基づき、各地域統括会社は、既存事業の持続的成長に加えて、その事業基盤を活かした周辺領域や新規事業・サービスを拡大していきます。さらに、サステナビリティと経営の統合などコア戦略の一層の強化により、グループ全体で企業価値の向上に努めていきます。<地域統括会社の中期重点戦略>[日本]① 変化を先読みする商品ポートフォリオ最適化とシナジー創出による日本事業のポテンシャル拡大② ニーズの多様化に対応したスマートドリンキングなどの推進、高付加価値型サービスの創造③ カーボンニュートラルなど社会課題の事業による解決、日本全体でのサプライチェーン最適化[欧州]① グローバル5ブランドの拡大と強いローカルブランドを軸としたプレミアム戦略の強化② ノンアルコールビールやクラフトビール、RTDなど高付加価値商品を軸とした成長の加速③ 再生エネルギーの積極活用や循環可能な容器包装の展開など環境負荷低減施策の推進[オセアニア]① 酒類と飲料を融合したマルチビバレッジ戦略の推進、統合シナジーの創出② BACなど成長領域でのイノベーションの推進、健康・Well-beingカテゴリーの強化③ 新容器・包装形態などサステナビリティを重視した新価値提案、SCM改革の推進[東南アジア]① マレーシアの持続成長と自社ブランドの強化など、域内6億人超の成長市場での基盤拡大② 植物由来商品など新セグメントの拡大による最適なプレミアムポートフォリオの構築③ 環境配慮型容器の展開などによる持続可能性の確保や原材料調達での地域社会との共創 |
経営者による財政状態の説明
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(業績等の概要)(1)業績 当期における世界経済は、米国においては、底堅い個人消費を背景に景気は堅調に推移し、欧州においては、インフレ圧力の緩和とともに、景気の持ち直しが見られました。また、日本においても、物価高騰の影響を受けつつも、雇用・所得環境の改善に伴う個人消費の増加により、景気は緩やかな回復の兆しが見られました。 こうした状況のなかアサヒグループは、『中長期経営方針』に基づき、各地域におけるプレミアム戦略の推進などによる事業ポートフォリオの強靭化に取り組みました。また、サステナビリティと経営の統合をはじめとしたコア戦略の一層の推進に加えて、真のグローバル化に向けた人的資本の高度化やグループガバナンスの強化により、長期戦略を支える経営基盤を強化しました。 その結果、アサヒグループの売上収益は2兆9,394億2千2百万円(前期比6.2%増)となりました。また、利益については、事業利益※1は2,851億2千1百万円(前期比8.1%増)、営業利益は2,690億5千2百万円(前期比9.8%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,920億8千万円(前期比17.1%増)、調整後親会社の所有者に帰属する当期利益※2は1,829億7千7百万円(前期比10.5%増)となりました。 なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前期比2.1%の増収、事業利益は前期比3.7%の増益となりました。※3※1 事業利益とは、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した、恒常的な事業の業績を測る当社独自の利益指標です。※2 調整後親会社の所有者に帰属する当期利益とは、親会社の所有者に帰属する当期利益から事業ポートフォリオ再構築及び減損損失など一時的な特殊要因を控除したものです。※3 2024年の外貨金額を、2023年の為替レートで円換算して比較しています。 アサヒグループの実績 (単位:百万円) 実績前期比売上収益2,939,4226.2%事業利益285,1218.1%営業利益269,0529.8%親会社の所有者に帰属する当期利益192,08017.1%調整後親会社の所有者に帰属する当期利益182,97710.5% 当年度の財政状態の状況は、連結総資産は前年度末と比較して1,174億9千1百万円増加し、5兆4,034億5百万円、負債は前年度末と比較して907億7千8百万円減少し、2兆7,293億5千3百万円となりました。また、資本は前年度末に比べ2,082億7千万円増加し、2兆6,740億5千1百万円となりました。 セグメントの業績は次の通りです。各セグメントの売上収益はセグメント間の内部売上収益を含んでおります。 事業セグメント別の実績(単位:百万円) 売上収益前期比事業利益前期比売上収益事業利益率営業利益前期比 為替一定 為替一定日本1,362,8740.0%0.0%134,90312.9%12.9%9.9%136,27222.5%欧州781,00513.4%4.6%101,14018.9%11.1%13.0%65,82210.7%オセアニア715,3949.7%2.4%108,798△1.7%△8.2%15.2%81,844△8.7%東南アジア66,13814.4%6.9%1,86233.2%23.9%2.8%1,78376.6%その他26,47022.9%19.0%4,179△21.5%△22.4%15.8%3,844△25.7%調整額計△12,459--△26,333---△20,516-無形資産償却費---△39,430-----合計2,939,4226.2%2.1%285,1218.1%3.7%9.7%269,0529.8%※1 為替一定とは、当期の外貨金額を、前年同期の為替レートで円換算したものです。※2 営業利益における無形資産償却費は各事業に配賦しています。 [日本] 日本においては、酒類、飲料、食品事業の主力ブランドに経営資源を投下するとともに、新たな価値提案の強化などにより、成長基盤の拡大に取り組みました。また、各事業の枠を超えたシナジー創出に加えて、人的資本や組織機能の高度化、サステナビリティへの取り組み推進などにより、日本全体の経営基盤を強化しました。 酒類事業では、ビール類において、「スーパードライ」の世界観に没入できるコンセプトショップを期間限定でオープンするなど広告・販売促進活動の強化に加え、『アサヒスーパードライ ドライクリスタル』をリニューアルするなど、「スーパードライ」ブランドの価値向上に取り組みました。また、『アサヒ生ビール』の世界観を体験できる「出張マルエフ横丁」を展開するなど、ビールカテゴリーの更なる強化を図りました。洋酒においては、ニッカウヰスキー創業90周年の取り組みとして、マスターブランドの活性化や期間限定バー「THE NIKKA WHISKY TOKYO」の展開に加え、10月に『ニッカ フロンティア』を全国発売するなど、新たなユーザーの獲得に取り組みました。RTD※1においては、『アサヒGINON(ジノン)』の全国発売に加え、『未来のレモンサワー』をエリア・数量限定で発売するなど、新価値創造を推進しました。アルコールテイスト飲料においては、『アサヒゼロ』の全国発売に加え、お酒を飲む人と飲まない人が共に楽しめる生活文化の創造を目指し、「スマートドリンキング」の推進に取り組みました。 飲料事業では、生誕140周年の「三ツ矢サイダー」や生誕120周年の「ウィルキンソン」ブランドにおいて、広告・販促活動の強化によるブランド価値向上や炭酸飲用者の拡大の取り組みに加え、緑茶ブランド『アサヒ 颯(そう)』のパッケージをリニューアルし香り高い味わいを訴求するなど、市場の活性化を図りました。また、健康な人の免疫機能の維持に役立つ機能が報告されている「L-92乳酸菌」を配合した機能性表示食品『三ツ矢免疫サポート』を発売するなど、健康志向を踏まえた価値提案に取り組みました。 食品事業では、「ミンティア」において、人気アニメとコラボレーションしたパッケージ商品の発売に加え、強いミントの清涼感が楽しめる『ミンティアブリーズ ウルトラブラック』をリニューアルするなど、ユーザー層の拡大を図りました。また、月経に関する機能性を訴求したフェムケア※2商品『わたしプロローグ』を発売するなど、女性の健康課題解決への貢献にも取り組みました。 以上の結果、売上収益は、外食事業からの撤退による減収影響などはありましたが、酒類事業、飲料事業、食品事業が増収となり、1兆3,628億7千4百万円(前期比0.0%増)となりました。 事業利益は、原材料関連費用の増加などの影響はあったものの、価格改定の効果や各種コストの効率化などにより、1,349億3百万円(前期比12.9%増)となりました。※1 RTD:Ready To Drinkの略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指します。※2 フェムケアとは、女性の体や健康をケアすることです。 [欧州] 欧州においては、各国のプレミアム戦略に基づく競争優位性の向上に加えて、『Asahi Super Dry』や『Peroni Nastro Azzurro』を軸とした世界的なパートナーシップの活用などにより、グローバルブランドの認知度向上を図りました。また、「環境」や「コミュニティ」を中心としたサステナビリティへの取り組みを強化することなどにより、成長基盤を更に拡大しました。 欧州の主要地域では、チェコにおいて、『Pilsner Urquell』や『Radegast』などの主力ブランドにおけるプロモーションを強化したことに加えて、新たな消費者の開拓に向けて、苦みとアルコール度数を抑えたラガービール『Proud』を発売しました。また、イタリアでのプレミアムラガービール『Raffo Lavorazione Grezza』の発売に加えて、ルーマニアでの『Kozel』や『Ciucas』におけるフェスティバルへの協賛や参加などにより、ブランド価値の向上に取り組みました。さらに、ノンアルコールビールにおいて、チェコの『Birell』からカフェインなどを加えた新たなシリーズの発売や、ポーランドの『Lech Free』や『Tyskie 0.0%』、ルーマニアの『Ursus Cooler』などを積極的に展開し、新たな飲用機会の創出に向けた取り組みを強化しました。 グローバルブランドの拡大展開では、『Asahi Super Dry』において、ラグビーワールドカップのパートナーシップを2029年大会まで延長したほか、「City Football Group」とのパートナーシップを活かしたマーケティング活動に取り組みました。『Peroni Nastro Azzurro』においては、プレミアムな世界観を演出するためのプロモーションを展開したほか、F1チーム「Scuderia Ferrari」と新たなパートナーシップを開始したノンアルコールビール『Peroni Nastro Azzurro 0.0%』において、F1のイタリアグランプリを記念して、ブランド体験型の施設「The House of Peroni Nastro Azzurro 0.0%」をミラノに期間限定で展開するなど、グローバルでのブランド認知度の向上に努めました。 以上の結果、売上収益は、各国のプレミアムビールやノンアルコールビール、グローバルブランドなどが好調に推移したことで、7,810億5百万円(前期比13.4%増)となりました。 事業利益は、人件費などは増加しましたが、増収効果や各種コストの効率化を推進したことにより、1,011億4千万円(前期比18.9%増)となりました。 なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前期比4.6%の増収、事業利益は前期比11.1%の増益となりました。 [オセアニア] オセアニアにおいては、『Great Northern』など主力ブランドを中心とした持続的な成長に加え、酒類と飲料事業の強みを活かしたマルチビバレッジ戦略により、商品ポートフォリオの強化を図りました。また、各種オペレーションの最適化などによる収益構造改革やサステナビリティを重視した新価値提案などにより、事業基盤を一層強化しました。 酒類事業では、主力ブランドの『Victoria Bitter』において、高まる健康需要に応えるべく低糖質のビールを新たに発売しました。また、『Peroni Nastro Azzurro』や『Somersby』ブランドにおいて全豪オープンテニストーナメントとのスポンサーシップを継続したほか、RTDブランド『Hard Rated』の新たなフレーバーの発売や、「Nikka」ブランドの拡販を加速しました。さらに、プレミアムスピリッツ製造販売企業であるNever Never社を買収するなど、ブランド力の強化とさまざまなニーズに対応した酒類事業全体のポートフォリオ拡充を図りました。 飲料事業では、「Pepsi」ブランドにおいてリニューアルを行い伝統的な価値観と最新のトレンドを融合させたほか、「Schweppes」ブランドにおいて国立美術館とのパートナーシップを強化するなど、主力ブランドの価値向上に取り組みました。 さらに、豪州では、先住民社会との協調活動を通じて、コミュニティのウエルビーイングを尊重するなど、展開地域との「つながり」を強化するとともに、ニューサウスウェールズ州最大の太陽光発電プロジェクトから電力調達を開始するなど、サステナビリティの取り組みを推進しました。 以上の結果、売上収益は、酒類事業の主力ブランドの販売減少はあったものの、飲料事業の好調などにより、7,153億9千4百万円(前期比9.7%増)となりました。 事業利益は、原材料関連の費用増加などの影響により、1,087億9千8百万円(前期比1.7%減)となりました。 なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前期比2.4%の増収、事業利益は前期比8.2%の減益となりました。 [東南アジア] 東南アジアにおいては、自社ブランドを中心とした主力ブランドへの投資強化や販売チャネルの最適化を推進し、マレーシアなど展開国における収益性向上の取り組みを推進しました。また、健康需要の取り込みやDX投資、人材育成などの強化を通じて、成長基盤の拡大を図りました。 マレーシアでは、「WONDA」において地元の人気キャラクターとのコラボ商品である『Wonda Kluang Coffee』を新発売し、地域に即した価値提案を消費者へ訴求することでブランド力を強化しました。また、『Goodday』では、eスポーツ向けのマーケティングを積極的に展開することで、幅広い年齢層のユーザーに対して、革新的な価値提案を図りました。 以上の結果、売上収益は、主力ブランドの販売が好調に推移したことに加え、価格改定の効果や為替変動の影響などにより、661億3千8百万円(前期比14.4%増)となりました。 事業利益は、固定費全般の効率化などを推進したことにより、18億6千2百万円(前期比33.2%増)となりました。 なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前期比6.9%の増収、事業利益は前期比23.9%の増益となりました。 [その他] その他については、売上収益は264億7千万円(前期比22.9%増)、事業利益は41億7千9百万円(前期比21.5%減)となりました。 [『中長期経営方針』の中期的なガイドラインの進捗] 「主要指標のガイドライン」については、各地域におけるプレミアム戦略の推進や適切な価格戦略による売上単価の向上に取り組みましたが、インフレの進行や原材料価格の上昇に加えて、将来を見据えたブランド投資の拡大などにより、事業利益(為替一定ベース)及びEPS(調整後)はガイドラインを下回りました。フリー・キャッシュ・フロー(FCF)については、有形固定資産の売却や運転資本の圧縮などのキャッシュ創出により、ガイドラインを上回りました。 「財務方針のガイドライン」については、FCFを金融債務の削減に充当したことなどにより、Net Debt/EBITDA※1はガイドライン以上に低下させることができました。また、株主還元については、当期は1株当たりの配当額を49円※2に増額することにより、配当性向のガイドラインを上回りました。※1 Net Debt/EBITDA(EBITDA純有利子負債倍率)=(金融債務-現預金)/EBITDA※2 2024年10月1日を効力発生日とする株式分割(1株につき3株の割合)を考慮し、当該効力発生日以前の1株当たりの配当金を調整のうえ、記載しております。 ■主要指標のガイドライン 3年程度を想定したガイドライン2022-24年進捗事業利益・CAGR(年平均成長率):一桁台後半※1CAGR:4.7%EPS(調整後※2)・CAGR(年平均成長率):一桁台後半CAGR:5.9%FCF※3・年平均2,000億円以上年平均:2,530億円※1 為替一定ベース※2 調整後とは、事業ポートフォリオの再構築や減損損失など一時的な特殊要因を除いたものです。※3 FCF=営業CF-投資CF (M&A等の事業再構築を除く)(注)「主要指標のガイドライン」におけるFCFの金額は、表示単位未満を四捨五入して表示しております。 ■財務方針のガイドライン 2022年以降のガイドライン2024年実績成長投資・債務削減・FCFは債務削減へ優先的に充当し、成長投資への余力を高める・Net Debt/EBITDAは2024年に3倍程度を目指す(劣後債の50%はNet Debtから除いて算出)2.49倍株主還元・配当性向※35%程度を目途とした安定的な増配(配当性向は2025年までに40%を目指す)40.6%※ 配当性向は、親会社の所有者に帰属する当期利益から事業ポートフォリオ再構築及び減損損失などに係る一時的な損益(税金費用控除後)を控除して算出しております。 (2)キャッシュ・フローの状況 当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益が2,669億9千万円となりましたが、法人所得税等の支払による減少があった一方で、減価償却費等の非キャッシュ項目による増加や運転資本の効率化により、4,037億2千3百万円(前期比:561億7千5百万円の収入増)の収入となりました。 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより、1,186億6千5百万円(前期比:9億5千2百万円の支出増)の支出となりました。 財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行による収入があった一方で、社債の償還や借入金の返済による支出などがあり、2,727億8千4百万円(前期比:460億3千8百万円の支出増)の支出となりました。 以上の結果、当年度末では、前年度末と比較して現金及び現金同等物の残高は240億1千6百万円増加し、839億6千1百万円となりました。 (生産、受注及び販売の状況)(1)生産実績 当年度におけるセグメントごとの生産実績は以下の通りであります。セグメントの名称金額前期比日本1,281,852百万円0.9%欧州623,466百万円10.3%オセアニア598,264百万円7.7%東南アジア53,232百万円14.9%(注)1 金額は、販売価額によっております。2 IFRS会計基準に基づく金額を記載しております。3 日本の生産高には、外部への製造委託を含めております。 (2)受注実績 当社グループでは受注生産はほとんど行っておりません。 (3)販売実績 当年度におけるセグメントごとの販売実績は以下の通りであります。セグメントの名称金額前期比日本1,362,874百万円0.0%欧州781,005百万円13.4%オセアニア715,394百万円9.7%東南アジア66,138百万円14.4%その他26,470百万円22.9%調整額△12,459百万円-合計2,939,422百万円6.2%(注)1 調整額はセグメント間取引であります。2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、外部顧客への売上収益のうち、総販売高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。 (経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容) 当年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は以下の通りであります。(1)重要性がある会計方針及び見積り 当社の連結財務諸表は、IFRS会計基準に準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 6 重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。 (2)当年度の経営成績の分析① 売上収益 アサヒグループの当年度の売上収益は、前期比6.2%増、1,703億3千1百万円増収の2兆9,394億2千2百万円となりました。日本においては、外食事業からの撤退による減収影響などはありましたが、酒類事業、飲料事業、食品事業が増収となり、前期比0.0%増の1兆3,628億7千4百万円となりました。欧州においては、各国のプレミアムビールやノンアルコールビール、グローバルブランドなどが好調に推移したことで、前期比13.4%増の7,810億5百万円となりました。オセアニアにおいては、酒類事業の主力ブランドの販売減少はあったものの、飲料事業の好調などにより、前期比9.7%増の7,153億9千4百万円となりました。東南アジアにおいては、主力ブランドの販売が好調に推移したことに加え、価格改定の効果や為替変動の影響などにより、前期比14.4%増の661億3千8百万円となりました。その他においては、前期比22.9%増の264億7千万円となりました。 ② 事業利益 当年度の事業利益は、前期比8.1%増、214億4千1百万円増益の2,851億2千1百万円となりました。日本においては、原材料関連費用の増加などの影響はあったものの、価格改定の効果や各種コストの効率化などにより、前期比12.9%増の1,349億3百万円となりました。欧州においては、人件費などは増加しましたが、増収効果や各種コストの効率化を推進したことにより、前期比18.9%増の1,011億4千万円となりました。オセアニアにおいては、原材料関連の費用増加などの影響により、前期比1.7%減の1,087億9千8百万円となりました。東南アジアにおいては、固定費全般の効率化などを推進したことにより、前期比33.2%増の18億6千2百万円となりました。その他においては、前期比21.5%減の41億7千9百万円となりました。 ③ 営業利益 営業利益は、事業利益の増益などにより、前期比9.8%増、240億5千3百万円増益の2,690億5千2百万円となりました。 ④ 税引前利益 当年度の税引前利益は、営業利益の増益に加え、金融収益が前期比28.7%増、40億5千8百万円増加の181億7千6百万円となったことや、金融費用が前期比14.7%増、26億6千5百万円増加の207億8千7百万円となったことなどにより、前期比10.4%増、251億1千8百万円増益の2,669億9千万円となりました。 ⑤ 親会社の所有者に帰属する当期利益 親会社の所有者に帰属する当期利益は、税引前利益の増益などにより、前期比17.1%増、280億7百万円増益の1,920億8千万円となりました。 また、基本的1株当たり利益は126.66円(前期107.94円)となり、親会社所有者帰属持分比率は49.4%(前期46.5%)となりました。 また、事業ポートフォリオ再構築など一時的な特殊要因を除いた親会社の所有者に帰属する当期利益を算出に用いた調整後基本的1株当たり利益は120.65円(前期108.97円)となりました。 なお、当社は、2024年10月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っております。前年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、基本的1株当たり利益及び調整後基本的1株当たり利益を算定しております。 (3)財政状態の分析① 総資産 当年度の連結総資産は、為替相場の変動によるのれん及び無形資産を含む外貨建資産の増加等により、総資産は前年度末と比較して1,174億9千1百万円増加し、5兆4,034億5百万円となりました。 ② 負債 負債は、社債及び借入金の減少等により、前年度末と比較して907億7千8百万円減少し、2兆7,293億5千3百万円となりました。 ③ 資本 資本は、前年度末に比べ2,082億7千万円増加し、2兆6,740億5千1百万円となりました。これは、配当金支出により利益剰余金が減少したものの、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上により利益剰余金が増加したこと及び為替相場の変動により在外営業活動体の換算差額が増加したこと等によるものです。 この結果、親会社所有者帰属持分比率は49.4%となりました。 また、事業ポートフォリオ再構築や為替変動など一時的な特殊要因を除いた「親会社の所有者に帰属する当期利益」及び「親会社の所有者に帰属する持分合計」を算出に用いた調整後親会社所有者帰属持分当期利益率は10.7%(前期10.3%)となりました。 (4)資本の財源及び資金の流動性についての分析① キャッシュ・フロー分析 キャッシュ・フローの状況につきましては、「(業績等の概要) (2)キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。 また、キャッシュ・フロー指標のトレンドは、以下の通りであります。 前年度当年度親会社所有者帰属持分比率(%)46.549.4時価ベースの親会社所有者帰属持分比率(%)50.446.1キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)6.23.5インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)27.525.7(注)親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分/総資産時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/総資産キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い※ 各指標はいずれも連結ベースの財務数値により算出しております。※ 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。※ キャッシュ・フローは営業キャッシュ・フローを使用しております。 ② 資金の調達 アサヒグループの資金の源泉は、主として営業活動からのキャッシュ・フローと金融機関からの借入、社債の発行からなります。当社は経営方針として、有利子負債残高の圧縮を基本として掲げておりますが、「事業基盤強化・効率化を目指した設備投資」及び「M&Aを含む戦略的事業投資」については資金需要に応じて金融債務を柔軟に活用することとしております。一方、運転資金需要については、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーでまかなうことを基本としております。 ③ 資金の流動性 当社及び主要な連結子会社はCMS(キャッシュマネジメントシステム)を導入しており、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことにより、資金効率の向上と金融費用の極小化を図っております。 (5)戦略的現状と見通し 2025年度は、地政学リスクはより複雑化するとともに、インフレによる経済減速リスクなどが懸念されます。そうした環境のなかで当社は、引き続き『中長期経営方針』に基づき、各地域におけるプレミアム戦略の推進やグローバルブランドの拡大展開に加えて、BAC※1への投資強化などによる事業ポートフォリオの強靭化を図ります。また、サステナビリティと経営の統合をはじめとしたコア戦略に加えて、グループガバナンス体制の一層の進化やグローバル調達機能の高度化など、各事業の総和を超える企業価値の向上に取り組みます。 日本においては、酒類、飲料、食品事業の主力ブランドの強化に加え、高付加価値商品の展開を中心とした新たな価値提案により、成長基盤の拡大に取り組みます。また、各事業の枠を超えたシナジー創出による収益性向上に加えて、人的資本の高度化、サステナビリティへの取り組み推進などにより、持続的な成長に向けた経営基盤の強化を図ります。 欧州においては、主要国におけるプレミアムビールやノンアルコールビールの強化に加えて、世界的なパートナーシップなどを活用した『Asahi Super Dry』と『Peroni Nastro Azzurro』の拡大展開により、グローバルブランドの認知度向上を図ります。また、サステナビリティの取り組みやDXを推進することにより、成長基盤を更に強化します。 オセアニアにおいては、ビールの主力ブランドを中心とした商品ポートフォリオの再構築に加え、高付加価値なRTD※2の展開などによるプレミアム化の促進、飲料事業における成長領域への参入など酒類と飲料事業の強みを活かしたマルチビバレッジ戦略を推進します。また、DXの加速やサプライチェーンの効率化による収益構造改革や、サステナビリティを重視した新価値提案などにより、事業基盤を一層強化します。 東南アジアにおいては、自社ブランドを中心とした主力ブランドへの投資強化や販売チャネルの最適化を推進し、マレーシアやシンガポールなど展開国における収益性向上を図ります。また、サステナビリティを経営の中心に据えることで、持続可能な事業基盤の構築を図ります。 なお、当社はこれまでに、日本・欧州・オセアニア・東南アジアでの4RHQ※3体制を基盤としてきましたが、2025年4月1日からオセアニアと東南アジアのRHQを統合し3RHQ体制へ変更します。オセアニアと東南アジア・南アジアでの酒類・飲料事業の統合を通じてマルチビバレッジ戦略を強化し、東アジアでの酒類事業は、日本の事業を担うアサヒグループジャパン株式会社の強固なブランド、開発力、サプライチェーンなどを活かすことで、これまで以上に競争優位性を高めていきます。※1 BAC:Beer Adjacent Categoriesの略。低アルコール飲料、ノンアルコールビール、成人向け清涼飲料など、ビール隣接カテゴリーを指します。※2 RTD:Ready To Drinkの略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指します。※3 RHQ:Regional Headquarters(地域統括会社)を指します。 (6)経営者の問題認識と今後の方針について 経営者の問題認識と今後の方針につきましては、この文中に記載したほか、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りであります。 (7)経営成績に重要な影響を与える要因について 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載の通りであります。 |
※本記事は「アサヒグループホールディングス株式会社」の令和6年12期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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