会社名 | ANAホールディングス株式会社 |
業種 | 空運業 |
従業員数 | 連44019名 単276名 |
従業員平均年齢 | 45.5歳 |
従業員平均勤続年数 | 2.83年 |
平均年収 | 7302000円 |
1株当たりの純資産 | 2405.12円 |
1株当たりの純利益(連結) | 325.58円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 60円 |
配当性向 | 93.4% |
株価収益率(PER) | 8.5倍 |
自己資本利益率(ROE)(連結) | 14.1% |
営業活動によるCF | 3730億円 |
投資活動によるCF | ▲3436億円 |
財務活動によるCF | ▲1701億円 |
研究開発費※1 | -円 |
設備投資額※1 | 1.42億円 |
販売費および一般管理費※1 | 4276.14億円 |
株主資本比率※2 | 45.4% |
有利子負債残高(連結)※3 | 8938.29億円 |
経営方針
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1) 経営の基本方針当社グループは、グループの使命・存在意義である経営理念として「安心と信頼を基礎に、世界をつなぐ心の翼で夢にあふれる未来に貢献します」を掲げています。経営の基盤である安全を堅持しつつ、「世界中のグループ社員がイキイキと挑戦を続け、お客様や社会に寄り添いながら新たな価値を提供し、世界を期待や喜びで満たしたい」という想いを込め、グループ経営ビジョンを「ワクワクで満たされる世界を」と定めています。 (2) 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略今後の経済見通しにつきまして、日本経済は雇用・所得環境が改善し、景気の緩やかな回復が続くことが期待されています。一方で、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響や、アメリカの通商政策等による影響が景気の下振れリスクとして想定されます。このような状況下で当社グループは、「2023~2025年度ANAグループ中期経営戦略」の最終年度として戦略を確実に遂行し、経営ビジョンである「ワクワクで満たされる世界を」の実現に向けて取り組んでいきます。引き続き、航空事業を中核事業として、地域間の新しい多様な繋がりを創出し、社員のウェルビーイングを大切にするとともに、株主の皆さまをはじめとした様々なステークホルダーに寄り添いながら新たな価値を提供してまいります。 (3) 対処すべき課題「2023~2025年度 ANAグループ中期経営戦略」の期間を「2030年に目指す姿の実現に向けた変革」を進める3年間と位置付けており、コロナ禍からの回復を果たし、持続的な価値成長に向けたビジネスモデルの変革を加速して成長軌道への転換を図ります。本戦略では、経営テーマとして事業戦略の3本柱を掲げています。航空事業を中心に収益を拡大しつつ非航空事業を強化し、航空事業と非航空事業間におけるお客様の回遊を促進します。これにより、コロナ前を上回る利益の創出と強靭な財務基盤の構築を目指します。 ① エアライン事業の利益最大化ANA、Peach、AirJapanの3つのブランドで最適なポートフォリオを追求します。運賃や品揃え、運航距離等の違いに応じて役割を分担し、航空需要の変化に合わせて収益性を高めていきます。併せて、ブランド間におけるマーケティング連携・ブランド間の回遊性向上、協業・機能集約を進めることで、市場シェアと収益の拡大を目指します。国際線旅客事業においては、中長期的な成長軌道に乗せるため、ネットワークを再編・強化しながら生産量を回復し、需要を幅広くカバーしていきます。国内線旅客事業においては、安定した事業基盤を構築するため、グループ全体で連携しながら最適な運航スケジュールの策定を継続します。貨物事業においては、旅客機とフレイターのネットワークバランスを最適化し、需要動向に応じた柔軟な供給量の調整で収益を拡大します。成長するアジア・欧米間の輸送需要を取り込むとともに、フレイターで大型貨物等をカバーし、貨物事業の収益を最大化します。当社は、日本郵船株式会社との間で、同社が保有する日本貨物航空株式会社の株式全てを取得することにより、子会社化することに関し、2023年3月7日に基本合意書を締結しました。その後、具体的な取得方法について検討を行い、国内外の関係当局の認可等を得られることを前提に、当社を株式交換完全親会社、日本貨物航空株式会社を株式交換完全子会社とする株式交換を実施することに関し、日本貨物航空株式会社との間で2023年7月10日に株式交換契約を締結しました。現在は、関係当局から認可等を取得すべく、必要な対応を実施しています。貨物事業の拡大を持続的成長の重要な手段として位置付け、中核事業であるエアライン事業の利益最大化に向けて取り組んでまいります。 ② 航空非連動収益ドメインの拡大社会の変化に応じた新たな事業の創出と更なる安定した経営に繋げるため、非航空事業における事業分類に応じた適切な経営資源配分により、収益拡大を目指します。航空事業とは一線を画した運営体制の導入、人財育成など、事業拡大を支える仕組みを整備します。 ③ ANA経済圏の拡大による持続的な成長「マイルで生活できる世界」を実現し、ANA経済圏の早期拡大を目指します。ANAマイレージクラブアプリを中核に置き、「ANA Mall」や「ANA Pay」等のコンテンツ・決済手段を拡充させるとともに、データ活用を進めることで顧客の回遊を促し、ANA経済圏内のサービス・商品の利用を促進します。 |
経営者による財政状態の説明
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要 当連結会計年度(2024年4月1日~2025年3月31日、以下「当期」という)における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりです。 ①財政状態及び経営成績の状況当期のわが国経済は、企業収益及び雇用環境の改善が続く中、景気についてはこのところ足踏みも見られるものの、各種政策の効果もあり緩やかに回復しています。航空業界を取り巻く環境は、ウクライナや中東地域情勢等の地政学リスクが懸念されるものの、旅客需要は回復基調が続いています。このような経済情勢の下、航空事業を中心に増収となったことから、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益はいずれも過去最高となりました。 財政状態では、売上高の増加等により利益剰余金が増加しています。 また、現金及び預金に有価証券を加えた手元流動性資金は1兆2,164億円となりました。 以上の結果、当期の財政状態及び経営成績等は以下のとおりとなりました。 1)財政状態 当期末の資産合計は、前期末に比べ507億円増加し、3兆6,202億円となりました。 当期末の負債合計は、前期末に比べ367億円減少し、2兆4,802億円となりました。 当期末の純資産合計は、前期末に比べ874億円増加し、1兆1,400億円となりました。 2)経営成績 当期における売上高は2兆2,618億円(前期比10.0%増)、営業費用は2兆652億円(前期比11.8%増)となり、営業利益は1,966億円(前期 営業利益2,079億円)、経常利益は2,000億円(前期 経常利益2,076億円)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,530億円(前期 親会社株主に帰属する当期純利益1,570億円)となりました。 ②キャッシュ・フローの状況 営業活動によるキャッシュ・フローは3,730億円の収入となりました。 投資活動によるキャッシュ・フローは3,436億円の支出となりました。 財務活動によるキャッシュ・フローは1,701億円の支出となりました。 以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前期末に比べて1,397億円減少し、8,627億円となりました。 ③生産及び販売の実績1)セグメント別売上高 最近2連結会計年度のセグメント別売上高は次のとおりです。 前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) 当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)セグメントの名称金額(百万円)構成比(%)金額(百万円)構成比(%)航空事業 国際線 旅客収入728,16830.3805,53030.4貨物収入155,5036.5187,3327.1郵便収入5,0480.24,9110.2 小計888,71937.0997,77337.7国内線 旅客収入644,90226.8703,99126.6貨物収入22,4850.923,0320.9郵便収入2,7280.12,6450.1 小計670,11527.8729,66827.6航空事業収入合計1,558,83464.81,727,44165.3Peach収入138,0305.7139,3215.3AirJapan収入1,2950.111,7100.4その他の収入171,3937.1180,3076.8 航空事業小計1,869,55277.72,058,77977.8航空関連事業 航空関連収入298,82012.4337,27012.8 航空関連事業小計298,82012.4337,27012.8旅行事業 パッケージ商品収入(国内)44,8881.937,6961.4パッケージ商品収入(国際)3,9470.25,3120.2その他の収入29,7061.230,5631.2 旅行事業小計78,5413.373,5712.8商社事業 商社収入117,9194.9129,9994.9 商社事業小計117,9194.9129,9994.9 報告セグメント計2,364,83298.32,599,61998.3その他 その他の収入41,2441.745,5171.7 その他小計41,2441.745,5171.7売上高合計2,406,076100.02,645,136100.0セグメント間取引△350,148-△383,280-売上高(連結)2,055,928-2,261,856-(注)1.セグメント内の内訳は内部管理上採用している区分によっています。2.各セグメントの売上高はセグメント間の売上高を含みます。3.前連結会計年度において、航空事業のその他収入に含めていたAirJapan収入は重要性が増したため、 当連結会計年度より独立掲記することとしました。 2)セグメント別取扱実績(a) 航空事業(ア) ANAブランド輸送実績 最近2連結会計年度の輸送実績は次のとおりです。 項目 前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) 当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)国際線 旅客数(人)7,134,8288,072,715座席キロ(千席キロ)53,281,07557,746,182旅客キロ(千人キロ)41,192,32445,738,339利用率(%)77.379.2有効貨物トンキロ(千トンキロ)6,316,2676,498,949貨物輸送重量(トン)679,797704,230貨物トンキロ(千トンキロ)3,464,3473,611,709郵便輸送重量(トン)13,10111,414郵便トンキロ(千トンキロ)70,70167,442貨物重量利用率(%)56.056.6国内線 旅客数(人)40,763,69244,054,508座席キロ(千席キロ)45,956,06047,037,025旅客キロ(千人キロ)32,373,01735,274,415利用率(%)70.475.0有効貨物トンキロ(千トンキロ)1,455,9321,539,970貨物輸送重量(トン)253,083276,920貨物トンキロ(千トンキロ)247,761266,591郵便輸送重量(トン)23,38822,162郵便トンキロ(千トンキロ)20,10219,200貨物重量利用率(%)18.418.6 (イ) ANAブランド運航実績 最近2連結会計年度の運航実績は次のとおりです。 項目 前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) 当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)国際線国内線国際線国内線運航回数(回)48,340371,89551,312371,927飛行距離(km)256,524,853262,251,166270,564,625263,231,467飛行時間(時間)345,834553,561366,318555,731 (注) 1.国際線、国内線ともに不定期便実績を除きます。2.国内線旅客実績には、アイベックスエアラインズ㈱、㈱AIRDO、㈱ソラシドエア及び㈱スターフライヤーとのコードシェア便実績並びにオリエンタルエアブリッジ㈱、天草エアライン㈱及び日本エアコミューター㈱との一部のコードシェア便実績を含みます。3.国際線貨物及び郵便実績には、コードシェア便実績、エアラインチャーター便実績、ブロック・スペース契約締結便実績及び地上輸送実績を含みます。4.国内線貨物及び郵便実績には、Peach Aviation㈱、㈱AIRDO、㈱ソラシドエア、オリエンタルエアブリッジ㈱及び㈱スターフライヤーとのコードシェア便実績、エアラインチャーター便実績及び地上輸送実績を含みます。5.座席キロは、各路線各区間の有効座席数(席)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。6.旅客キロは、各路線各区間の旅客数(人)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。7.有効貨物トンキロは、各路線各区間の有効貨物重量(トン)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。なお、旅客便については、床下貨物室(ベリー)の有効貨物重量に各区間距離を乗じています。また、床下貨物室の有効貨物重量には、貨物・郵便のほか、搭乗旅客から預かる手荷物搭載の有効搭載重量も含まれています。8.貨物トンキロ及び郵便トンキロは、各路線各区間の輸送重量(トン)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。9.貨物重量利用率は、貨物トンキロと郵便トンキロの合計を有効貨物トンキロで除した数値です。10.利用率及び貨物重量利用率については、「前期比(%)」の欄に前期差(%)を記載しています。11.国内線の区間距離については、2024年4月1日より国際線と同一の「大圏距離」に変更しています。これに伴い、前年同期の実績も変更しています。 (ウ) Peach・AirJapan輸送実績 最近2連結会計年度の輸送実績は次のとおりです。 項目 前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) 当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)Peach 旅客数(人)9,343,8059,100,553 座席キロ(千席キロ)12,192,66312,710,064 旅客キロ(千人キロ)10,560,38410,733,182 利用率(%)86.684.4AirJapan 旅客数(人)40,482428,347 座席キロ(千席キロ)154,0042,194,895 旅客キロ(千人キロ)138,4451,522,088 利用率(%)89.969.3(注)1.座席キロは、各路線各区間の有効座席数(席)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。2.旅客キロは、各路線各区間の旅客数(人)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。3.利用率については、「前期比(%)」の欄に前期差(%)を記載しています。4.国内線の区間距離については、2024年4月1日より国際線と同一の「大圏距離」に変更しています。これに伴い、前年同期の実績も変更しています。 (b) 航空関連事業航空関連事業に含まれる連結子会社の取扱状況等については、構成する各種事業が多岐にわたり、かつ重要性の観点から開示しておりません。 (c) 旅行事業旅行事業に含まれる連結子会社の取扱状況等については、構成する各種事業が多岐にわたり、かつ重要性の観点から開示しておりません。 (d) 商社事業商社事業に含まれる連結子会社の取扱状況等については、構成する各種事業が多岐にわたり、かつ重要性の観点から開示しておりません。 (e) その他その他に含まれる連結子会社の取扱状況等については、構成する各種事業が多岐にわたり、かつ重要性の観点から開示しておりません。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当期末時点において判断したものです。 ①財政状態 <資産の部> 流動資産は、現金及び預金等が減少したことから、前期末に比べて74億円減少し、1兆6,937億円となりました。 固定資産は、航空機を取得したこと等により、前期末に比べ583億円増加し、1兆9,261億円となりました。 以上により、当期末における総資産は前期末に比べて507億円増加し、3兆6,202億円となりました。 <負債の部> 負債の部は、転換社債型新株予約権付社債の償還及び借入金の返済があったこと等により、前期末に比べて367億円減少し、2兆4,802億円となりました。なお、有利子負債(無利子のユーロ円建転換社債型新株予約権付社債を含む)は、前期末に比べて1,349億円減少し、1兆3,490億円となりました。 <純資産の部> 株主資本は、配当金の支払いがあった一方で、当期純利益の計上により利益剰余金が増加したこと等から、前期末に比べて1,202億円増加し、1兆713億円となりました。 その他の包括利益累計額は繰延ヘッジ損益の減少等により、前期末に比べて343億円減少し、589億円となりました。 これらの結果、純資産合計は前期末に比べて874億円増加し、1兆1,400億円となりました。 なお、自己資本比率は31.2%(前期末29.3%)となり、有利子負債と自己資本の比率を示すD/Eレシオは1.2倍(前期末1.4倍)となりました。 ②経営成績 航空業界を取り巻く環境は、ウクライナや中東地域情勢等の地政学リスクが懸念されるものの、旅客需要は回復基調が続いています。 このような社会・経済情勢の下、航空事業を中心に増収となったことから、売上高は2兆2,618億円(前期比10.0%増)となりましたが、運航規模の拡大に伴う整備機会の増加や人財への投資を進めたこと等から費用が増加し、営業利益は1,966億円(同5.4%減)となり、前期と比べて減益となりました。また、航空機等に関わる各種補償金を計上したこと等から、経常利益は2,000億円(前期比3.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,530億円(同2.6%減)となりました。 なお、従業員の健康をサポートする取り組み等が評価され、3年連続で「健康経営銘柄」に選定されたほか、当社は世界の代表的な社会的責任投資の指標である「Dow Jones Best-in-Class World Index」(本年2月に「Dow Jones Sustainability World Index」から名称変更)の構成銘柄に8年連続で選ばれるとともに、国際的な環境評価を手掛ける非営利団体であるCDPより、最高評価の「Aリスト企業」に3年連続で選定されました。今後も人的資本経営を強化しつつ、事業を通じて環境問題等の社会課題解決に取り組み、持続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。 以下、当期におけるセグメント別の概況をお知らせいたします。(なお、各事業における売上高はセグメント間内部売上高を含み、営業利益はセグメント利益に該当します。) ◎航空事業 旺盛な訪日需要とレジャー需要に支えられ、国際線旅客・国内線旅客ともに好調に推移し、売上高は前期を上回り、2兆587億円(前期比10.1%増)となりました。費用面では、整備費や人件費等を中心に増加したことから、営業利益は1,991億円(前期比4.3%減)となり、前期と比べて減益となりました。 なお、当社グループは英国SKYTRAX社から顧客満足度で最高評価となる「5スター」に12年連続で認定されました。また、米国の非営利団体APEXから高品質なサービスの提供が評価され、最高評価となる「WORLD CLASS」を初受賞し、米国のAir Transport World誌からは優れた業績と先進的なサービスが評価され、「2025 Airlineof the Year Award」を受賞しました。 <国際線旅客(ANAブランド)> 国際線旅客では、好調な訪日需要に加え、日本発レジャー需要やビジネス需要を積極的に取り込み、北米路線・欧州路線が好調に推移したこと等により、旅客数、収入ともに前期を上回りました。 路線ネットワークでは、12月から羽田=ミラノ線、本年1月から羽田=ストックホルム線、本年2月から羽田=イスタンブール線を新規開設したほか、8月から羽田=ウィーン線、10月から成田=パース線を再開しました。 営業・サービス面では、国際線ファーストクラスやビジネスクラスの軽食メニューとして、「ANAオリジナルラーメン」の提供を開始したことに加え、機内インターネットやエンターテインメントのサービス拡充に努めました。 以上の結果、当期の国際線旅客数は807万人(前期比13.1%増)となり、収入は8,055億円(同10.6%増)となりました。 <国内線旅客(ANAブランド)> 国内線旅客では、「ANA SUPER VALUEセール」を継続的に実施し、レジャー需要の喚起に努めるとともに、運賃を一部改定したこと等により、旅客数、収入ともに前期を上回りました。 路線ネットワークでは、12月から羽田=能登線を1日2往復に復便したほか、夏休み期間や年末年始期間を中心に臨時便を設定し、レジャー需要を取り込みました。 営業・サービス面では、12月から2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)を記念した特別デザイン機 「EXPO2025 ANA JET」の運航を開始したほか、羽田空港のANA LOUNGE内にキッズルーム「ANA ポケモン Kids TV ラウンジ」をオープンしました。また、羽田空港や伊丹空港等に続き、福岡空港において最新型保安検査機(スマートレーン)を導入し、手荷物検査場の混雑緩和に努めたほか、プレミアムメンバーのお客様の利便性向上を目的に、羽田空港のプレミアムチェックインカウンターをリニューアルしました。 以上の結果、当期の国内線旅客数は4,405万人(前期比8.1%増)となり、収入は7,039億円(同9.2%増)となりました。 <貨物(ANAブランド)> 国際線貨物では、アジア・中国発北米向け三国間貨物の旺盛な需要を取り込んだことに加えて、自動車関連を中心とした日本発の需要が緩やかに回復したこと等により、輸送重量・収入ともに前期を上回りました。 路線ネットワークでは、需要動向を見極め、貨物専用機の運航路線や供給量を柔軟に調整したほか、8月から他社によるエアラインチャーター便を運航する等、収益性の確保に努めました。 成田空港では、10月から新たな貨物施設の供用を開始しました。施設の集約や無人搬送車の導入による作業の効率化に加え、温度管理施設の拡充等による品質向上に取り組みました。また、12月に日本の航空会社として初めて国際航空運送協会(IATA)が策定したリチウム電池輸送における国際品質認証を取得しました。今後、需要が拡大するリチウム電池を安全かつ高品質で輸送できる体制を構築し、お客様のニーズに応えていきます。 以上の結果、当期の国際線貨物輸送重量は704千トン(前期比3.6%増)となり、収入は1,873億円(同20.5%増)となりました。 <Peach・AirJapan> Peachでは、旺盛な訪日需要を取り込むため、使用する機材をはじめリソースを国際線へ重点的に振り分けたこと等から、国内線の旅客数は前期から減少したものの、国際線の拡大が寄与したことにより収入は前期を上回りました。 路線ネットワークでは、12月から新たに関西=シンガポール線を開設したほか、需要動向に応じて、通期で臨時 便を設定しました。 営業・サービス面では、国内・海外の旅行パッケージ商品「Peach Travel」によってレジャー需要の喚起に努めました。また、12月から機内誌を刷新したことに加え、機内食の種類を増やし、一部の国際線で温かいメニューを 再開する等、お客様へのサービスの充実を図りました。 以上の結果、当期のPeach旅客数は910万人(前期比2.6%減)となり、収入は1,393億円(同0.9%増)となりました。 昨年2月に新たなブランドとして誕生したAirJapanでは、成田=バンコク線、成田=仁川線、成田=シンガポー ル線を運航しています。 営業・サービス面では、訪日旅客に加えて日本発旅客に対する需要喚起を目的に、「AirJapanサマーセール」等 を実施したほか、航空券の支払い方法として、日本ならびに就航国であるタイ・韓国において2次元バーコード決 済を開始しました。 以上の結果、当期のAirJapan旅客数は42万人(前年実績4万人)となり、収入は117億円(同12億円)となりました。 <その他> 航空事業におけるその他の収入は1,803億円(前期比5.2%増)となりました。なお、航空事業におけるその他には、マイレージ附帯収入、機内販売収入、整備受託収入等が含まれています。 ◎航空関連事業 外国航空会社の復便や新規就航に伴い、空港地上支援業務や機内食関連業務の受託が増加したほか、国際貨物の取扱高が拡大したこと等により、売上高は3,372億円(前期比12.9%増)となり、前期を上回ったものの、システム関連費用が増加したこと等から、営業利益は40億円(同40.4%減)となりました。 ◎旅行事業 海外旅行については、ダイナミックパッケージ商品がハワイ方面を中心に好調に推移したことに加え、新規就航都市をはじめとするヨーロッパ方面の需要を順調に取り込んだこと等により、売上高は前期を上回りました。国内旅行については、主力のダイナミックパッケージ商品の集客が伸び悩んだこと等から、売上高は前期を下回りました。 以上の結果、当期の旅行事業における売上高は735億円(前期比6.3%減)、営業利益は1億円(同85.9%減)となりました。 また、モバイルペイメントサービス「ANA Pay」の会員数が11月に100万人を突破しました。本年1月には「ANAPay」の機能改善を実施し、日常生活で少額のマイルを使いやすくする等、お客様の利便性向上に努めました。 ◎商社事業 訪日旅客と国内旅客需要の増加に伴い、免税店「ANA DUTY FREE SHOP」、空港物販店「ANA FESTA」や観光土産品卸売「FUJISEY」が好調に推移したこと等により売上高は前期を上回ったものの、人件費が増加したこと等から、営業利益は前期を僅かに下回りました。 以上の結果、当期の商社事業における売上高は1,299億円(前期比10.2%増)、営業利益は45億円(同0.2%減)となりました。 ◎その他 空港設備保守管理事業や不動産関連事業において取扱高が増加したこと等から、売上高・営業利益ともに前期を上回りました。 以上の結果、当期のその他の売上高は455億円(前期比10.4%増)、営業利益は11億円(同110.8%増)となりました。 ③キャッシュ・フローの状況<営業活動によるキャッシュ・フロー> 当期の税金等調整前当期純利益1,965億円に、減価償却費等の非資金項目、営業活動に係る債権・債務の加減算を行った結果、営業活動によるキャッシュ・フローは3,730億円の収入となりました。 <投資活動によるキャッシュ・フロー> 有価証券の取得や設備投資による支出があったこと等から、投資活動によるキャッシュ・フローは3,436億円の支出となりました。 以上の結果、フリー・キャッシュ・フローは293億円の収入となりました。 <財務活動によるキャッシュ・フロー> 配当金の支払いや社債の償還、借入金の返済による支出があったこと等から、財務活動によるキャッシュ・フローは1,701億円の支出となりました。 ④資本の財源及び資金の流動性 当社グループは、運転資金及び設備投資資金(主に航空機等)につきましては、自己資金または金融機関からの借入、及び社債発行等により資金調達することとしており、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。 当期においては、設備投資資金等の手当てのため民間金融機関から900億円の借り換えを実施しました。 当期末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は、1兆3,490億円となっています。また、現金及び預金に有価証券を加えた手元流動性資金は1兆2,164億円となりました。 なお、2025年3月31日現在、複数の金融機関との間で合計1,000億円のコミットメントライン契約を締結しています。 ⑤経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況 指標2022年度2023年度2024年度売上高 (百万円)1,707,4842,055,9282,261,856営業利益 (百万円)120,030207,911196,639売上高営業利益率 (%)7.010.18.7株主資本利益率(ROE)(%)10.816.514.1総資本利益率(ROA)(%)3.76.15.6自己資本比率 (%)25.629.331.2 当社グループは、「2023~2025年度 ANAグループ中期経営戦略」(2023年2月15日開示)のもと、ビジネスチャンスを確実に捉え、各事業において価値創造を実現し、安定的経営基盤の構築に取り組んでまいります。 ⑥重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」及び「(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。 |
※本記事は「ANAホールディングス株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
コメント